フランケル (競走馬)
フランケル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2012年インターナショナルS | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
欧字表記 | Frankel[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
品種 | サラブレッド[2] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
性別 | 牡[2] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
毛色 | 鹿毛[2] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
白斑 |
星[3] 四白[3] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
生誕 | 2008年2月11日(16歳)[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
父 | Galileo[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
母 | Kind[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
母の父 | Danehill[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
生国 | イギリス[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
生産者 | Juddmonte Farms Ltd[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
馬主 | Khaled Abdullah[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
調教師 | Sir Henry R. A. Cecil(UK)[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
競走成績 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
タイトル |
カルティエ賞 最優秀2歳牡馬(2010年) 最優秀3歳牡馬(2011年) 最優秀古馬(2012年) 年度代表馬(2011年・2012年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
生涯成績 | 14戦14勝[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
獲得賞金 | 2,998,301ポンド[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
WTRR |
M136 / 2011年[4] M140 - I140 / 2012年[5] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
TR | 147 / 2012年[6] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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繁殖成績 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
タイトル | 英愛リーディングサイアー(2021年)[7] |
フランケル(Frankel, 2008年2月11日 - )は、イギリスの競走馬、種牡馬である[1]。おもな勝ち鞍は2010年のデューハーストステークス、2011年の2000ギニー、セントジェームズパレスステークス、サセックスステークス、クイーンエリザベス2世ステークス、2012年のロッキンジステークス、クイーンアンステークス、サセックスステークス、インターナショナルステークス、チャンピオンステークス[2]。
概要
競走馬としてG1競走10勝を含む14戦14勝の生涯成績を残し、2年連続で欧州年度代表馬となった[8]。2着馬につけた着差の合計は76馬身1/4に及び[8]、特に2012年のクイーンアンステークスおよびインターナショナルステークスの圧勝はワールドサラブレッドランキングにおいて史上最高の評価を受けている[9]。
種牡馬としても成功し、ダービー馬アダイヤーなど多くのG1馬を輩出している。イギリス・アイルランドのリーディングサイアー(2021年)[7][10]。
生い立ち
誕生
2008年2月11日午後11時40分、イギリス・ニューマーケットの近郊バンステッドマナースタッドで生まれる[11]。バンステッドマナーの場長サイモン・モックリッジによると、「驚くぐらいバランスの良い体」をしていて、「生まれた瞬間から、既に生後1週間が経過した馬」のようだったという[11]。
父は、現役時代エプソムダービー、アイリッシュダービーという2か国のダービーおよびキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスに勝ったクールモアの種牡馬ガリレオ。後にイギリス・アイルランドのリーディングサイアーに計12回なり、欧州最高の種牡馬と認識されるようになるガリレオだが、2008年生まれの産駒のための交配が行われた2007年春の時点では、その初年度産駒が4歳を迎えたばかりであったためにその評価は定まっていなかった[11][12]。
母は、現役時代リステッド競走を2勝したジュドモントの繁殖牝馬カインド。ジュドモントの代表であるハーリド・ビン・アブドゥッラー王子が北米のジャック・ホイットニーから直接交渉して購入した繁殖牝馬ロックフェストの孫にあたる[11][13]。
この2頭の交配の背景には、クールモアとジュドモントという、欧州競馬界におけるトップグループ同士による生産上の協定があった[14]。それはジュドモントの繁殖牝馬10頭をクールモアの種牡馬と交配し、生まれた仔馬達を両者で分け合うというものであり、ジュドモントの繁殖牝馬カインドはその10頭の内の1頭として、クールモアの種牡馬ガリレオと交配されたのである[14][15]。どの仔馬をどちらが所有するかは、両者が順番に好きな馬を選択していく形で決められており、本馬は同年に最初の選択権を持っていたジュドモント側に所有されることが決まった[14][15]。
デビュー前
2008年7月、生後5か月を迎えた本馬はアイルランドに渡り、ニューアビーアンドファーランズ・スタッドで成長した[11]。アブドゥッラーのマネージャーであるロリー・メイホンは、歩様、脚元、気性のいずれにも優れた本馬を高く評価し、「7++」[注 1]の査定を与えた[11][注 2]。
2009年9月に馴致が始まった[11]。2010年1月にはイギリス・ニューマーケットのウォーレンプレイスに渡り、癌との闘病生活を送っていたイギリスのヘンリー・セシル調教師に預けられた[11]。アブドゥッラーは、懇意にしていたアメリカ合衆国の名調教師であったロバート・フランケルが2009年に死亡したことをうけ、この仔馬をフランケル(Frankel)と名付けた[11][17]。
競走馬時代
2歳時(2010年)
8月のニューマーケット競馬場のメイドン(未勝利戦)でデビューし、1番人気に応えて2番人気ナサニエルとの争いを半馬身差で制する[18]。その相手関係は一般的なデビュー戦の水準を超えるもの[11]で、同競走の2着馬ナサニエルは後に勝ち上がってキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、エクリプスステークスに優勝し[19]、またナサニエルから5馬身離された3番人気の3着馬ジーニアスビーストも翌年のG3クラシックトライアルを勝利している[20]ほか、8番人気の11着馬は後のゴールドカップ勝ち馬カラーヴィジョンであった[21]。競走後、セシル師は「このまま順調にいって欲しいし、もっと良くなってもらいたい」と発言した[11]。
翌9月には、ドンカスター競馬場の条件戦に出走し、2番人気に支持されていたファー[22]が出走取消となったなか、ほとんど馬なりのまま2着馬レインボースプリングスに13馬身の差をつけて優勝[23]。続いて重賞初挑戦となるロイヤルロッジステークス(G2)も圧巻のレース振りを見せ、2着馬クラマー[注 3]に10馬身、3着のトレジャービーチ[注 4]には11馬身の差をつけて優勝した[26]。
この連勝で、早くも翌年の2000ギニー、ダービーの前売りで圧倒的な一番人気となっていた[27]。
デューハーストステークス
一躍注目の的となったフランケルの2歳シーズン最終戦は、欧州2歳路線の最重要レースに位置づけられる10月のデューハーストステークス[8]。このレースには、シャンペンステークスを含む2戦2勝のサーミッド[28]、ミドルパークステークスを9馬身差で優勝した3戦3勝のドリームアヘッド[29]らも出走し、3強の対決に大いに注目が集まった[30]。レースでは、ライバル2頭が伸びあぐねる中、1頭だけ楽々と抜け出し、ラスト1ハロンでは右によれる走りを見せながらも、ロデリックオコナーに2馬身1/4の差をつけて優勝した[31]。同レースの2着馬ロデリックオコナーは同年のクリテリウムアンテルナシオナル、翌年のアイリッシュ2000ギニーを制しており[32]、6着に敗れたサーミッドも翌年のジュライカップ、スプリントカップ、フォレ賞に優勝している[28]。
このシーズンを4戦4勝で終えたフランケルはカルティエ賞最優秀2歳牡馬に選出され[33]、タイムフォーム誌のレイティングでは133ポンドという評価を受けた。公式レーティングでは、ドリームアヘッドと並んで126という2歳馬としては21世紀最高の評価(当時)が与えられた[注 5][11][34]。
3歳時(2011年)
2000ギニーに前哨戦なしで挑むのを好まないセシル師の意向により、フランケルのシーズン初戦にはグリーナムステークスが選ばれ[35]、のちに5回にわたって対戦するエクセレブレーション[36]に4馬身差をつけて優勝した[37]。
2000ギニー
フランケルは、5戦5勝という完璧な成績でイギリスクラシック三冠第1戦の2000ギニーに出走した[8]。フランケルの単勝オッズは1-2(1.5倍)というレース史上稀に見る低さ[38]となった。レースでは、好スタートから自厩舎のペースメーカーを置き去りにして逃げ、一時は12馬身差という大差をつけるほどに加速[11]。そのまま後続を寄せ付けることなく6馬身差で優勝した[39]。この着差は、1947年テューダーミンストレルの8馬身差に次ぐ、同競走における歴代2位の大きさだった[11][40]。レーシング・ポスト紙は「ビヨンド・ビリーフ」の見出しで、ニュース・オブ・ザ・ワールド紙は「フランケルシュタイン」の形容でこの勝利を報道した[11]。
セントジェームズパレスステークス
2000ギニーのレース内容次第では、二冠を目指してダービーに出走する計画もあったが[41]、結局それは実現せず、次走にはマイルのG1セントジェームズパレスステークスが選ばれた。日本からは朝日杯フューチュリティステークス・NHKマイルカップ勝ち馬グランプリボス[42]が出走し、日本の報道陣も集まっていた[8]。同レースでは前走とは異なりスタート直後は三番手に控えると、残り5ハロンの辺りから前方に進出を開始するという驚異的なロングスパートを見せた。さすがにゴール前では失速し、一時は5馬身程あったリードも3/4馬身まで縮まったが、そのまま押し切って優勝した[43]。勝ちはしたものの、鞍上トム・クウィリーは仕掛けが早すぎたとしてレース後非難の対象となった[44]が、クウィリーはセシル師による「コーナーの前で仕掛けるよう」との指示に従ったまでと主張した[45]。
サセックスステークス
フランケルが次に向かったのは上半期のイギリスマイル王決定戦サセックスステークスで、初めて古馬と対戦することなった[45]。ここではマイルG1を5連勝中、前走のクイーンアンステークスでG1を13勝していたゴルディコヴァを下したことで古馬最強マイラーと目されていたキャンフォードクリフスとの対戦となった。この2強に恐れをなした他陣営の多くは出走を敬遠し、レースはわずか4頭立てとなった[46]。実質2頭の一騎討ちの様相を呈したこのレースは、「デュエル・オン・ザ・ダウンズ」と呼ばれ、最大級の注目を集めた[47]。この大一番でフランケルは終始先頭に立ちレースを牽引、ゴール前でキャンフォードクリフスら後続馬を一気に突き放し、5馬身差で優勝した[48]。2着馬キャンフォードクリフスはフランケルを追跡した際に故障を発生したため、これが引退レースとなった[49]。
クイーンエリザベス2世ステークス
3歳シーズン最終戦は、この年から始まったブリティッシュ・チャンピオンズシリーズのマイル部門最終戦として新装されたクイーンエリザベス2世ステークス[50]。「道中ずっとフランケルが逃げる形になって欲しくない」というセシル師の意向により、フランケルの半兄に当たるダービートライアル勝ち馬ブレットトレインが僚馬としてペースメーカーとなった[注 6][52]。フランケルはここでも圧倒的な強さを見せて4馬身差で優勝[53]。2着にムーラン・ド・ロンシャン賞勝ち馬エクセレブレーション、3着にジャックルマロワ賞勝ち馬イモータルヴァースが入った[53]。
このシーズンを5戦5勝で終えたフランケルは、2011年度のカルティエ賞年度代表馬、最優秀3歳牡馬に選出された[54][55]。セシル師は、「どのスポーツにもチャンピオンは必要であり、今年はフランケルでした。最初はちょっと予想がつきませんでしたが、流れがフランケルに落ち着き、最終的に決しました」と語った[55]。同年のワールド・サラブレッド・ランキングでは、サセックスステークスとクイーンエリザベス2世ステークスでのパフォーマンスに対し、2009年のシーザスターズと並ぶ、今世紀最高の136のレイティングを与えられた[56][57]。民間レイティング各社の評価はさらに高く、レーシングポストレイティングは、同レイティングが1988年に始まって以来最高評価のドバイミレニアムと並ぶ139ポンド[58]、最も歴史の古いタイムフォーム誌のレイティングは、シーバード (145) 、ブリガディアジェラード (144) 、テューダーミンストレル (144) に次いで歴代4位となる143ポンドであった[59]。
翌シーズンの予定では距離延長が指向され、芝10ハロンのエクリプスステークスが目標とされたほか、ダート競走のブリーダーズカップ・クラシックも視野に入れられた[60]。
4歳時(2012年)
負傷
初戦をロッキンジステークスに定めて調教を積まれていたが、4月11日の調教中、後肢を前肢にぶつけて負傷する[61][62]。結果的に外傷のみで腱などへの異常はなかったが、検査を待つ間に一部メディアが引退の速報を流したため、馬主側が否定の声明を発表するという“誤報騒動”に発展している[63]。外傷の程度は軽く[64]、10日間調教を休んだが[65]、当初の予定どおりロッキンジステークスに向かうこととなった[64]。
ロッキンジステークス
ロッキンジステークスでは、エクセレブレーションとの4度目の対戦となった。前年、三度フランケルの後塵を拝したエクセレブレーションは、この年からクールモアグループの所有となり、数々の名馬を手がけたエイダン・オブライエン厩舎に転厩していた[66]。そして移籍初戦を勝利で飾り、万全の態勢でフランケルを待ち構えていたのである。しかし古馬になってクウィリーにより「成長し体に厚みが出て、今や彼の実力は本物です」[65]と表現されたフランケルは、この同期のライバルの4度目の挑戦をあっさりと退け、ラスト1ハロンで先頭に立つ走りを見せ5馬身差で優勝した[65][67]。昨期までの最大の課題であった折り合い面の不安は見られず、全く隙のないレース振りであった。このレースで公式レート138ポンドを獲得し[68]、フランケルは今期初戦にして早くも前年を上回る評価を得ることになった。しかし調教師のセシルは「次は更に(3〜4馬身程)良くなるのではないか」「多くの調教師がそうであるように、私達も初戦で100パーセントの力を出させることはしない」[69]と、次走で更にパフォーマンスを上げることに自信を見せていた。
クイーンアンステークス
歳 | フランケル | 競走名 | エクセレブレーション | 差 |
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3歳 | 1着 | グリーナムS | 2着 | 4馬身 |
1着 | セントジェームズパレスS | 3着 | 2馬身 1/4 | |
1着 | クイーンエリザベス2世S | 2着 | 4馬身 | |
4歳 | 1着 | ロッキンジS | 2着 | 5馬身 |
1着 | クイーンアンS | 2着 | 11馬身 |
2戦目となるロイヤルアスコット開催では中距離のプリンスオブウェールズステークスの選択肢も注目された[65]が、クイーンアンステークス[注 7]に出走。前走に続いて5度目の対戦となったエクセレブレーションに対し、今度は11馬身もの差をつけて優勝した[72]。セシル、クウィリーが口を揃えて「これまでのベストパフォーマンス」[73]と認めたこのレース振りに、タイムフォーム誌は歴代1位のシーバードを上回る147ポンドという評価を与えた[74]。公式レートは歴代1位のダンシングブレーヴに1ポンド差までせまる140ポンドとなった[75]が、後に歴代レーティングの見直しがあり、1977年から1991年までのレーティングが一律で引き下げられた。このうち、ダンシングブレーヴのいた1986年は3ポンドの引き下げとなり、その結果フランケルが歴代単独1位となった[76]。
また、エクセレブレーションとはこれが最後の対戦となったが、この後、エクセレブレーションはジャック・ル・マロワ賞、クイーンエリザベス2世ステークスという英仏のマイルのG1を勝って2012年シーズンで引退した[36]。
サセックスステークス
2年連続の出走となったサセックスステークスは、前年に続いて少頭数となった。重賞未勝利ながら前前走のプリンスオブウェールズステークスでソーユーシンクの3着、前走のエクリプスステークスでナサニエルの2着と健闘したファー[22]が2番人気となり、これに重賞未勝利のガブリアル[77]、そして僚馬ブレットトレインを加えて4頭立てで行われたレースでは、単勝1.05倍の支持を受けたフランケルがファーに対しわずかに追って6馬身差をつけ快勝した[78]。これによって同レースの2連覇とデビューからの無敗の12連勝、連続するG1競走7連勝を達成した。
その後は10ハロン程度までの距離延長を行い、インターナショナルステークスおよびチャンピオンステークスへ出走することが予定された[79]。
インターナショナルステークス
歳 | フランケル | 競走名 | ファー | 差 |
---|---|---|---|---|
2歳 | 1着 | 条件戦 | 取消 | - |
4歳 | 1着 | サセックスS | 2着 | 6馬身 |
1着 | 国際S | 2着 | 7馬身 |
サセックスステークスの連覇を果たしたことで、陣営は3歳時から予定を表明していた中距離のインターナショナルステークスにフランケルを出走させた。コロネーションカップ2回、ブリーダーズカップターフと12ハロンのG1を3勝しているセントニコラスアビー[80]が2番人気に、前走でフランケルに圧倒されたファー[22]が3番人気となり、ほかにチャンピオンステークス2回、エクリプスステークス、インターナショナルステークスと10ハロンのG1を3勝しているトゥワイスオーヴァー[81]や、前走のG2ヨークステークスを勝利したスリプトラ[82]、ガネー賞勝ち馬プラントゥール[83]などが出走したが、フランケルはキャリア最長であった1マイルから500m近くの距離延長ながらここでも単勝1.1倍という圧倒的な1番人気に支持された[84]。当日、多くの車と観客が競馬場に集まり、パドックに入ったフランケルには護衛の警官が2人つけられた[11]。
レースでは、スタートで出遅れ、普段追い込みを見せるセントニコラスアビーのさらに後ろからというこれまでにない展開となった。しかし直線で他馬が一杯に追われる中クウィリーがほとんど手を動かすこともなくマークするかたちとなったセントニコラスアビーを交わし先頭に立つと、2着ファー以下に悠々と7馬身差をつける完勝を見せた[85]。これでデビューからの連勝は13、連続するG1競走8連勝を達成し、これまでロックオブジブラルタルが保持していたヨーロッパにおけるG1の連勝記録を更新した[86]。胃癌との闘病によってロイヤルアスコット開催以来競馬場に訪れていなかったセシル師も駆けつけて、「これで20歳若返ったよ」と語った[84][87]。
なおファーは、翌2013年にロッキンジステークスとチャンピオンステークスのG1競走を2勝している[22]。
チャンピオンステークス
歳 | フランケル | 競走名 | ナサニエル | 差 |
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2歳 | 1着 | メイドン | 2着 | 1/2馬身 |
4歳 | 1着 | チャンピオンS | 3着 | 4馬身 1/4 |
その後、フランケルには第91回凱旋門賞出走の憶測が流れた[11]が、陣営はフランケルの引退レースとして、英国平地競馬の一年の総決算となるブリティッシュチャンピオンズデーのメインレースとなるチャンピオンステークスへの出走を表明した[88]。このレースには、同年の公式レーティング中距離部門世界2位となる前年の優勝馬シリュスデゼーグル[89]、同じく中距離部門3位で当年のエクリプスステークスを勝ち、デビュー戦以来の再戦となるナサニエル[19]が参戦し、同1位のフランケルと三つ巴の構図となった。10月20日にレースが開催されるアスコット競馬場の前売り券は9月3日時点で完売した[90]。レース開催週は雨が続き、馬場は重馬場(Soft)となった。重馬場巧者シリュスデゼーグルが得意とし、すでに重賞3勝[注 8]を挙げている一方[89]、フランケルにとっては1/2馬身差の辛勝を収めたメイドンの1回しか経験していなかった馬場である[91]。アブドゥッラーのマネージャーであるグリムソープが馬場を歩いて確かめたことで、フランケルの出走は決定された[91]。
レースでは前走同様スタートでやや後手を踏み位置取りにやや手間取るところもあったが、ブレットトレインのアシストで流れを作ると直線では余裕のある手応えを見せ、シリュスデゼーグルに1馬身3/4を付け勝利した[92]。その3着にナサニエル、4着にドイチェスダービー馬パストリアスが入った[91]。競走後、鞍上クウィリーは、「馬場を気にして、いつものように弾けなかったけど、滅多に使わないムチを1回入れたら、ギアを替えてくれました」と語った[91]。2012年から病状が悪化し、声をほとんど失っていたセシル師は、「フランケルほどの馬はこれまで調教したことも見たこともない。今後これ以上の馬が現れるとしたら驚きだ」と評価した[11][91]。
フランケルはデビューから14戦無敗(うちGIは通算10勝、9連勝)という無傷の戦績で引退した[93]。また、シーズンを5戦5勝で終え、前年に続き2012年度のカルティエ賞年度代表馬に選出された[16]。
競走成績
出走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 頭数 | オッズ(人気) | 着順 | 騎手 | 斤量 | 距離(馬場) | タイム | 着差 | 1着(2着)馬 | |
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2010. 8.13 | ニューマーケット | メイドン | 12 | 2.75(1人) | 1着 | T.クウィリー | 129lb | 芝8f (Sft) | 1:43.69 | -0.07s | 1/2馬身 | (Nathaniel) | |
9.10 | ドンカスター | 条件戦 | 3 | 1.5 | (1人)1着 | T.クウィリー | 128lb | 芝7f (Gd) | 1:24.83 | -2.18s | 13馬身 | (Rainbow Springs) | |
9.25 | アスコット | ロイヤルロッジS | G2 | 5 | 1.3 | (1人)1着 | T.クウィリー | 124lb | 芝8f (GS) | 1:41.73 | -1.76s | 10馬身 | (Klammer) |
10.16 | ニューマーケット | デューハーストS | G1 | 6 | 1.67(1人) | 1着 | T.クウィリー | 127lb | 芝7f (GS) | 1:25.73 | -0.43s | 2 1/4馬身 | (Roderic O'Connor) |
2011. 4.16 | ニューベリー | グリーナムS | G3 | 6 | 1.25(1人) | 1着 | T.クウィリー | 126lb | 芝7f (GF) | 1:24.60 | -0.65s | 4馬身 | (Excelebration) |
4.30 | ニューマーケット | 2000ギニー | G1 | 13 | 1.5 | (1人)1着 | T.クウィリー | 126lb | 芝8f (GF) | 1:37.30 | -0.94s | 6馬身 | (Dubawi Gold) |
6.14 | アスコット | セントジェームズパレスS | G1 | 9 | 1.3 | (1人)1着 | T.クウィリー | 126lb | 芝8f (Gd) | 1:39.24 | -0.15s | 3/4馬身 | (Zoffany) |
7.27 | グッドウッド | サセックスS | G1 | 4 | 1.62(1人) | 1着 | T.クウィリー | 125lb | 芝8f (Gd) | 1:37.47 | -0.84s | 5馬身 | (Canford Cliffs) |
10.15 | アスコット | クイーンエリザベス2世S | G1 | 8 | 1.36(1人) | 1着 | T.クウィリー | 126lb | 芝8f (Gd) | 1:39.45 | -0.71s | 4馬身 | (Excelebration) |
2012. 5.19 | ニューベリー | ロッキンジS | G1 | 6 | 1.29(1人) | 1着 | T.クウィリー | 126lb | 芝8f (Gd) | 1:38.14 | -0.86s | 5馬身 | (Excelebration) |
6.19 | アスコット | クイーンアンS | G1 | 11 | 1.1 | (1人)1着 | T.クウィリー | 126lb | 芝8f (GS) | 1:37.85 | -1.92s | 11馬身 | (Excelebration) |
8. 1 | グッドウッド | サセックスS | G1 | 4 | 1.05(1人) | 1着 | T.クウィリー | 133lb | 芝8f (Gd) | 1:37.56 | -1.08s | 6馬身 | (Farhh) |
8.22 | ヨーク | インターナショナルS | G1 | 9 | 1.1 | (1人)1着 | T.クウィリー | 131lb | 芝10f88y (GF) | 2:06.59 | -1.14s | 7馬身 | (Farhh) |
10.20 | アスコット | チャンピオンS | G1 | 6 | 1.18(1人) | 1着 | T.クウィリー | 129lb | 芝10f (Sft) | 2:10.22 | -0.28s | 1 3/4馬身 | (Cirrus des Aigles) |
- 馬場状態:GF=Good to Firm(良)、Gd=Good(良)、GS=Good to Soft(稍重)、Sft=Soft(重)[95]
- lb:ポンド(≒0.4536 kg)、f:ハロン(≒201.2 m)
種牡馬時代
産駒デビューまで(2013年 - 2015年)
2013年からフランケルは、イギリス・サフォーク州・ニューマーケット郊外のバンステッドマナースタッドで種牡馬として繋養された。初年度の種付け料は12万5000ポンド(発表当時のレートで約1600万円)と設定された。現役時代に引き続きフランケルを所有するジュドモントの「高い種付け料を支払った生産者にとって、競走馬市場にフランケル産駒が多く流れるのは好ましくない」との考えから、フランケルに初年度に配合される牝馬の数は、21世紀の軽種馬生産では決して多いとはいえない130頭に設定された[96]が、そのうちG1優勝馬が38頭、G1優勝馬の母馬が26頭を占めた(双方にあてはまる牝馬が2頭いる)。G1優勝馬の中にはアレクサンダーゴールドラン、ダーレミ、デインドリーム、フィンシャルベオ、ミッデイ、スタセリタ、ザゴラなどが含まれる[97]。最終的には133頭の牝馬に種付けして126頭の受胎が確認され、不受胎馬7頭のうち6頭も受胎後の胎児死亡が確認されたことで、種牡馬としての高い受胎成功率を示した[98]。ジュドモント自らが保有する繁殖牝馬への種付けは24頭となり、残り109頭は外部の繁殖牝馬への種付けとなった。北米からもゼニヤッタの半姉バランスなど複数のG1優勝牝馬やG1馬の母馬が種付けのために大西洋を渡り[99]、また、秋にも南半球から来た繁殖牝馬21頭に限定的に種付けを行った[100]。2014年以後も種付け料は12万5000ポンドに維持された[101][102]。
産駒デビュー後(2016年 - )
初年度産駒は2016年にデビューし高い勝ち上がり率を見せて順調なスタートを切ると、日本で誕生した母スタセリタのソウルスターリングが阪神ジュベナイルフィリーズを制して産駒の初G1勝利を上げた。初年度産駒が一定の実績を収めた後の供用5年目となる2017年シーズンの種付け料も、従来と変わらず12万5000ポンドの設定となった[102]。翌2017年にはクラックスマンがチャンピオンステークスを同年の欧州最高の評価で制するなど、初年度産駒は3歳になっても好成績を挙げ、産駒の2シーズン目終了時には勝ち上がり43頭でうち31頭がステークス競走に勝利した。この実績から2018年の種付け料は17万5000ポンド(2018年のレートで約2600万円)に引き上げられた[103]。
2019年にはイギリスクラシック競走の勝ち馬も現れ、初めにアナプルナがオークスステークスを制し[104]、さらにロジシャンがセントレジャーステークスをコースレコードで勝利した[105]。
2020年9月にカラハラがフランスのG3ダレンベルグ賞を勝ったことで、「グループ制の導入以降史上最速での産駒の重賞40勝」を達成した[106]。2021年9月にインスパイラルがイギリスのG2メイヒルステークスを勝ったことで、「欧州に拠点を置く種牡馬として史上最速の北半球産産駒の重賞50勝」を達成した[107]。
2021年にはアダイヤー(ダービーステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス)、ハリケーンレーン(アイリッシュダービー、パリ大賞典、セントレジャーステークス)の両馬を筆頭に欧米各国で年齢、性別・距離を問わない複数の活躍馬[注 9]が現れ、同年に死亡した父ガリレオの有力後継馬としての地位を高めた[108]。産駒がデビューして6年目となるこの年、初めて英愛リーディングサイアーの座に就いている[110]。英国に繋養されている種牡馬が英愛リーディングサイアーとなるのは、ミルリーフ以来34年ぶりであり、また、賞金額ベースでの欧州リーディングサイアーにも輝いた[10]。これによって2022年の種付け料は20万ポンド(2021年のレートで約3100万円)に増額されることになった[111]。
主な産駒
- 2014年産
- ソウルスターリング - 阪神ジュベナイルフィリーズ、優駿牝馬、チューリップ賞(日G3)
- Cracksman - チャンピオンステークス(2017年・2018年)、ガネー賞、コロネーションカップ、グレートヴォルティジュールステークス(英G2)、ニエル賞(仏G2)
- Call the Wind - カドラン賞、Prix Kergorlay(仏G2)、Prix de Barbeville(仏G3)
- Dream Castle - ジェベルハッタ、Al Rashidiya(唖G2)、Singspiel Stakes(唖G3)
- モズアスコット - 安田記念[112]、フェブラリーステークス、根岸ステークス(日G3)
- Mirage Dancer - ザ・メトロポリタン、Glorious Stakes(英G3)
- Queen Kindly - Lowther Stakes(英G2)
- Finche - Prix Eugène Adam(仏G2)、Prix de Reux(仏G3)、Kingston Town Stakes(豪G3)
- Eminent - Prix Guillaume d'Ornano(仏G2)、クレイヴンステークス(英G3)
- Fashion Business - Del Mar Handicap(米G2)
- Fair Eva - Princess Margaret Stakes(英G3)
- Cunco - クラシックトライアル(英G3)
- Monarchs Glen - Darley Club Stakes(英G3)
- Frankuus - Prix de Condé(仏G3)、Rose of Lancaster Stakes(英G3)
- Toulifaut - Prix d'Aumale (仏G3)
- Last Kingdom - Prix Daphnis (仏G3)
- Lady Frankel - Prix de Lieurey(仏G3)
- ミスエルテ - ファンタジーステークス(日G3)
- Simply Brilliant - January Cup(香G3)
- 2015年産
- Without Parole - セントジェームズパレスステークス
- Veracious - ファルマスステークス、Atalanta Stakes(英G3)
- Rostropovich - Futurity Stakes(愛G2)、Club Stakes(愛G3)
- Elarqam - York Stakes(英G2)、Somerville Tattersall Stakes(英G3)、アークトライアル(英G3)
- Nelson - Juvenile Stakes(愛G3)、Ballysax Stakes(愛G3)
- Lightening Quick - Athasi Stakes(愛G3)
- Master Of Reality - Vintage Crop Stakes(愛G3)
- Sun Maiden - Hoppings Stakes(英G3)
- Learn By Heart - Stockholms Stora Pris(瑞G3)
- 2016年産
- Anapurna - オークスステークス、ロワイヤリュー賞
- Logician - セントレジャーステークス、グレートヴォルティジュールステークス(英G2)
- Obligate - Prix de Sandringham(仏G2)
- Elizabeth Way - Nassau Stakes(加G2)、The Very One Stakes(米G3)
- East - Prix Thomas Bryon(仏G3)
- Suphala - Prix Chloé(仏G3)
- Fount - Prix de Lieurey(仏G3)
- Delaware - Prix Daphnis(仏G3)
- 2017年産
- Quadrilateral - フィリーズマイル
- Hungry Heart - ヴァイナリースタッドステークス、オーストラリアンオークス、Sweet Embrace Stakes(豪G2)、Phar Lap Stakes(豪G2)
- Alpinista - ベルリン大賞、オイロパ賞、バイエルン大賞、 Lancashire Oaks(英G2)
- Frankly Darling - Ribblesdale Stakes(英G2)
- Steinem - Summoned Stakes(豪G3)
- 2018年産
- グレナディアガーズ - 朝日杯フューチュリティステークス、阪神カップ(日G2)
- Adayar - ダービーステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス
- Converge - J.J.アトキンス、ランドウィックギニーズ
- Hurricane Lane - アイリッシュダービー、パリ大賞典、 セントレジャーステークス、ダンテステークス(英G2)
- Snow Lantern - ファルマスステークス
- Kalahara - Prix d'Arenberg(仏G3)
- Rumi - Prix de la Nonette(仏G2)、Prix Vanteaux(仏G3)
- Mohaafeth - ハンプトンコートステークス(英G3)
- Light Refrain - Summer Stakes(英G3)
- Mostahdaf - Darley Stakes(英G3)、ゴードンリチャーズステークス(英G3)
- 2019年産
- Wild Beauty - ナタルマステークス、Fred Darling Stakes(英G3)
- Inspiral - フィリーズマイル、May Hill Stakes(英G2)
- Majestic Glory - Sweet Solera Stakes(英G3)
- Dreamflight - Prix Thomas Bryon(仏G3)
- Homeless Songs - 1000 Guineas Trial Stakes(愛G3)
- Westover - クラシックトライアル(英G3)
※太字はG1競走
-
ソウルスターリング(2014年産)
-
モズアスコット(2014年産)
競走馬としての特徴
身体的特徴
体高は5フィート4.5インチ(約163.8cm)[3]。体重は出生時123ポンド(約56kg)、引退時は1110ポンド(約503kg)であった[3]。
蹄とストライドが他馬よりも大きく、蹄は前肢7.5インチ(約19.1cm)、後肢7インチ(約17.8cm)[注 10]で、ストライドも約22フィート(約6.7m)[注 11]であった[3]。
評価
ワールドベストレースホースランキング[9] | タイムフォームグローバルランキング[113] | |||
---|---|---|---|---|
1位 | 140 | フランケル | 147 | フランケル |
2位 | 138 | ダンシングブレーヴ | 145 | シーバード |
3位 | 137 | パントレセレブル | 144 | ブリガディアジェラード テューダーミンストレル |
レーティング
ワールドサラブレッドランキング
1977年以来競走馬の格付けを行っているワールドサラブレッドランキングは、2012年のクイーンアンステークスおよびインターナショナルステークスを勝利したフランケルに対して140ポンドのレーティングを与えた[9]。その翌2013年1月15日、過去の傑出馬に対する評価の修正[注 12]が実施されたため、同ランキングにおけるフランケルのレーティングは史上最高の評価となった[9]。ワールドサラブレッドランキングの共同会長ギャリー・オゴーマンは、「フランケルは最高の競走馬としての新基準となる」と言明した[9]。
レーティングの見直しを行ったフィル・スミスは、フランケルが古馬でも現役を続行して、加算された斤量を負いながらも勝利し続け[注 13]、最後まで無敗でいたことに触れた[9]。本馬は、2歳、3歳、4歳の全てで公式レーティングの最高馬になった史上初の競走馬である[9]。年度毎のランキングでフランケルの次点になった競走馬は、2011年のブラックキャビア、2012年のシリュスデゼーグルである[114][115]。
タイムフォーム
1948年以来競走馬の格付けを行っているタイムフォーム社は、2012年のクイーンアンステークスを勝利したフランケルに対して147ポンドのレーティングを与えたが、これはシーバード、ブリガディアジェラードなどを上回る史上最高の評価であった[113][6]。同紙のジェイミー・リンチは、「フランケルは、競走馬の能力を量る上での新たな基準となります」と語った[11]。
表彰
カルティエ賞
2011年と2012年のカルティエ賞年度代表馬。2年連続で年度代表馬となるのは同賞史上初のことであった[注 14][117]。年度代表馬選出の際、フランケルを除いた候補馬としては、2011年にはシリュスデゼーグル、ソーユーシンク、デインドリーム、ゴルディコヴァらがおり[118]、2012年にはキャメロット、シリュスデゼーグル、エクセレブレーション、ナサニエルらがいた[119]。
2012年には、本馬の調教師ヘンリー・セシルおよび生産者ジュドモントファームにも、「チーム・フランケル」としてカルティエ賞特別功労賞が贈られている[16]。
殿堂
2021年、新たに創設されたブリティッシュ・チャンピオンズシリーズ名誉の殿堂の最初の選出者として、レスター・ピゴット騎手とともに列された[40][120]。
批判
BBCは、同馬がイギリス競馬の7ハロンから10ハロンまでの舞台でしか競走していないため、真に偉大な競走馬とはみなされないとする意見を紹介している[注 15][3]。
その他
2011年に創設されたブリティッシュ・チャンピオンズデーで2年連続勝利したことで、同開催の基礎を築いたとされる[121][122]。
同馬の強さを表す異名として、「史上最強馬」[123]のほか、「怪物」[8][11]「phenomenon」[3][124]の表現が用いられることがある。
逸話
- 競馬場の入場者数を20%以上増加させた[125]。
- ジャマイカのスプリンター・ウサイン・ボルトに準えられ、「ウサイン・コルト」と呼ばれた[3]。同時期に同じく距離延長に挑戦したことも比較された[126]。
- 引退レース時には「1億ポンドの価値がある奇跡の馬」と称され、イギリスの一般紙の一面に取り上げられ[127]、NBC、CNN、ESPN、アルジャジーラなどの放送局が放送した[128]。
- 種牡馬入りのために厩舎を離れるにあたって、ロイズの普通保険市場がフランケルのリスクを引き受けることができないことが判明するなど、そのあまりの評価額の高さのために保険市場が混乱した[129]。
- 2013年夏に実施されたファンの訪問ツアーで、亡きセシル師の遺志に沿って約3000ポンド(約48万円)の寄付を集めた[130]。
血統表
フランケルの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | サドラーズウェルズ系 |
|||
父 Galileo 1998 鹿毛 |
父の父 Sadler's Wells1981 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic | |
Natalma | ||||
Fairy Bridge | Bold Reason | |||
Special | ||||
父の母 Urban Sea1989 栗毛 |
Miswaki | Mr. Prospector | ||
Hopespringseternal | ||||
Allegretta | Lombard | |||
Anatevka | ||||
母 Kind 2001 鹿毛 |
*デインヒル 1986 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer | |
Pas de Nom | ||||
Razyana | His Majesty | |||
Spring Adieu | ||||
母の母 Rainbow Lake1990 鹿毛 |
Rainbow Quest | Blushing Groom | ||
I Will Follow | ||||
Rockfest | Stage Door Johnny | |||
Rock Garden | ||||
母系(F-No.) | (FN:1-k) | [§ 2] | ||
5代内の近親交配 | Northern Dancer 3×4=18.75%、Natalma 4×5・5=12.50%、Buckpasser 5×5=6.25% | [§ 3] | ||
出典 |
血統背景
- 父ガリレオは競走馬として英愛両ダービーとキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを制し、種牡馬としても11年連続を含む12回ヨーロッパのリーディングサイアーを獲得[132][133]。マイル前後から長距離まで様々な距離でのG1ウィナーを輩出している。ノーザンダンサーによる奇跡の血量を生ずるデインヒル牝駒との配合はニックス[注 16]で、同父中で最も多くの勝ち馬を輩出し[135]、フランケルのほかに複数のG1馬がいる[136]。
- 母カインドは5から6ハロンの準重賞を2勝したスプリンターで、牡駒5頭は全て種牡馬入りしている[13][137]。フランケルは母の第2子。
- 半兄ブレットトレイン(父:サドラーズウェルズ)は母の第1子で、2010年のダービートライアルステークス (英G3) 勝ち馬。フランケルとは同馬主・同厩で、クイーンエリザベス2世ステークス以降すべてのフランケルのレースでペースメーカーをつとめた[51]。同じタイミングで引退し、種牡馬として当初アメリカ、その後アイルランドで繋養された[13]。
- 全弟ノーブルミッション(Noble Mission)は母の第3子で、2014年のタタソールズゴールドカップ(愛G1)、サンクルー大賞(仏G1、2着からの繰り上がり)、チャンピオンステークス(フランケルとの兄弟制覇)のG13勝を含む重賞6勝[138]。
- 2代母レインボーレイクはランカシャーオークス(英G3)勝ち馬[139]。産駒にカインドのほか、その半兄にタターソールズゴールドカップとアーリントンミリオン(米G1)の中距離芝G1を2勝し、2004年のジャパンカップにも出走した(10着)パワーズコート(父:サドラーズウェルズ)[140]。
- 1-kに属する同牝系の競走馬には、6代母サーカシアを共有するものにドントフォゲットミー、デザートキング、ムトト、9代母ジョージアを共有するものにハービンジャーなどがいる[141][142]。
脚注
注釈
- ^ 8以上の評価は「極めて稀」であった[11]。
- ^ 本馬の引退後は、「私たちはきっと彼が2000ギニーを勝つことを望んでいただろう。しかし、チャンピオンになってしまったことは信じられないほどだ」と述懐している[16]。
- ^ 次走で同年のG3ホーリスヒルステークスを勝利[24]。
- ^ 翌年にアイリッシュダービーとセクレタリアトステークスに優勝し、ダービーではプールモアの2着[25]。
- ^ 2019年にピナトゥボが[[ヴィンセントオブライエンステークス |ヴィンセントオブライエンナショナルステークス]]を9馬身差で勝利し、128の評価を得たことで更新された[34]。
- ^ その後、クイーンエリザベス2世ステークス以後のフランケルの6レースには全て出走している[51]。
- ^ なお、同じく無敗馬のブラックキャビアが同競走に出走する可能性がオーストラリアのメディアを中心に取り沙汰された。ブラックキャビアはダイヤモンドジュビリーステークス出走を表明したことで、この無敗対決は実現しなかった[70][71]。
- ^ ドラール賞、ヴィシー大賞、ドーヴィル大賞の3勝。後には同馬場でG1競走3勝(ガネー賞2回、イスパーン賞)[89]。
- ^ ダービー馬2頭・オークス馬1頭・2歳G1馬3頭[108]。北半球のほか、母父デインヒルの血統を背景に(#血統背景を参照)、早熟スプリンターを重視する南半球でも人気を博した[109]。
- ^ 平均は5インチ[3]。
- ^ 平均は20から21フィート[3]。
- ^ ダンシングブレーヴ(141→138)、シャーガー(140→136)、アレッジド(140→134)など[9]。
- ^ 「もしダンシングブレーヴが4歳でも現役を続行し、フランケルのように4ポンド加算していたなら、レーティングは145となり、今般142に格下げされたでしょう」[9]
- ^ 隔年で2度年度代表馬になった競走馬には、ウィジャボードとエネイブルがいる[116]。
- ^ 例えばフランケルと同じく2000ギニーを制したシーザスターズは、12ハロン路線のダービーと凱旋門賞にも勝利して引退した[3]。
- ^ 同配合の産駒によるアーニングインデックスが、父ガリレオおよび母父デインヒル単体によるものを上回っている[134]。
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参考文献
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関連項目
外部リンク
- 競走馬成績と情報 netkeiba、JBISサーチ、Racing Post エラー:
|racingpostname=
が未定義です。(参照1・参照2)