カワカミプリンセス
カワカミプリンセス | |||||||||
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第48回宝塚記念出走時 (2007年6月24日) | |||||||||
欧字表記 | Kawakami Princess[1] | ||||||||
品種 | サラブレッド[1] | ||||||||
性別 | 牝[1] | ||||||||
毛色 | 鹿毛[1] | ||||||||
生誕 | 2003年6月5日[1](19歳) | ||||||||
抹消日 | 2009年11月19日[2] | ||||||||
父 | キングヘイロー[1] | ||||||||
母 | タカノセクレタリー[1] | ||||||||
母の父 | Seattle Slew | ||||||||
生国 | 日本(北海道三石町)[1] | ||||||||
生産者 | 三石川上牧場[1] | ||||||||
馬主 | (有)三石川上牧場[1] | ||||||||
調教師 | 西浦勝一(栗東)[1] | ||||||||
競走成績 | |||||||||
タイトル |
JRA賞最優秀3歳牝馬(2006年) JRA賞最優秀父内国産馬(2006年)[1] | ||||||||
生涯成績 | 17戦5勝[1] | ||||||||
獲得賞金 | 3億5089万2000円[1] | ||||||||
WTRR | L115 / 2006年[3] | ||||||||
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カワカミプリンセス(欧字名:Kawakami Princess、2003年6月5日 - )は、日本の競走馬・繁殖牝馬[1]。主な勝ち鞍は2006年の優駿牝馬、秋華賞。2006年度のJRA賞最優秀3歳牝馬およびJRA賞最優秀父内国産馬に選出された。
戦績
- 特記事項なき場合、本節の出典はJBISサーチ[4]
2006年2月26日、阪神競馬場での3歳新馬戦でデビューし、1着[5]。続く君子蘭賞でも後方からの競馬を制して2連勝とする[6]。結果的に桜花賞を回避し、東上して優駿牝馬(オークス)を目標にトライアルのスイートピーステークスに出走し、中団からのレースを差し切って3連勝とした[7]。本番の優駿牝馬では、桜花賞2着馬アドマイヤキッス、桜花賞馬キストゥヘヴンに続く3番人気に支持され、レースでは先行して直線で先頭に立ち、最後はフサイチパンドラの追撃を4分の3馬身抑えて1着、無敗で優駿牝馬を制した[8]。無敗での優駿牝馬(オークス)制覇は1957年のミスオンワードに次ぐ49年ぶり、父のキングヘイローにとっても初のGI産駒となった[8]。秋初戦は秋華賞に前哨戦を経ずに直接出走し、レースでは前を行くアサヒライジングを半馬身差おさえて優勝[9]。2002年のファインモーションに続く無敗の秋華賞制覇、メジロドーベル、スティルインラブに続く優駿牝馬(オークス)・秋華賞の牝馬二冠馬となった[9]。
秋2戦目、エリザベス女王杯は1番人気で迎え、レースでは中団から構えて直線で前を行くフサイチパンドラとヤマニンシュクルの間を突いた刹那、内側に斜行してヤマニンシュクルと接触し、その煽りでレクレドール、シェルズレイの進路も影響を与えた[10]。1位で入線したが、約15分の審議の結果、最後の直線でヤマニンシュクルへの進路妨害をとられて12着への降着処分となり、2位入線フサイチパンドラが繰り上がりで優勝した[10][11]。鞍上の本田優は経緯について、良馬場発表ながら水気の残った馬場の影響で行き足が良くなく、苦しがった末の斜行という趣旨で釈明し、自分の責任であると説明した[10]。GI競走での1位入線馬の降着は、1991年天皇賞(秋)のメジロマックイーン以来15年ぶり2度目のことであった[10][12]。年内は以降出走せず休養に入った[10]。年明けて、JRA賞の選考では最優秀3歳牝馬と最優秀父内国産馬に選出された[13]。
古馬となってからは勝てない競馬が続き、2008年の府中牝馬ステークスとエリザベス女王杯でともに2着に入ったのが最高の成績であった。2009年のエリザベス女王杯でクィーンスプマンテの9着だったのが最後の競馬となり、11月19日付で競走馬登録を抹消された[2]。
競走成績
以下の内容は、JBISサーチ[4]およびnetkeiba.com[14]に基づく。
年月日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 頭数 | 枠番 | 馬番 | オッズ (人気) |
着順 | 騎手 | 斤量 (kg) |
距離(馬場) | タイム (上り3F) |
着差 | 勝ち馬/(2着馬) | ||
2006 | 2. | 26 | 阪神 | 3歳新馬 | 15 | 3 | 5 | 33.0(9人) | 1着 | 本田優 | 54 | 芝1400(不) | 1:25.4 (36.9) | -0.2 | (メイショウトッパー) | |
3. | 26 | 阪神 | 君子蘭賞 | 500 | 18 | 8 | 17 | 11.3(6人) | 1着 | 本田優 | 54 | 芝1400(良) | 1:23.0 (35.3) | -0.2 | (サウスティーダ) | |
4. | 30 | 東京 | スイートピーS | OP | 18 | 4 | 8 | 2.2(1人) | 1着 | 本田優 | 54 | 芝1800(良) | 1:48.4 (34.6) | -0.1 | (ヤマニンファビュル) | |
5. | 21 | 東京 | 優駿牝馬 | GI | 18 | 5 | 9 | 6.7(3人) | 1着 | 本田優 | 55 | 芝2400(良) | 2:26.2 (35.5) | -0.1 | (フサイチパンドラ) | |
10. | 15 | 京都 | 秋華賞 | GI | 18 | 6 | 12 | 3.6(2人) | 1着 | 本田優 | 55 | 芝2000(良) | 1:58.2 (34.4) | -0.1 | (アサヒライジング) | |
11. | 12 | 京都 | エリザベス女王杯 | GI | 15 | 8 | 16 | 2.7(1人) | 12着[race 1] | 本田優 | 54 | 芝2200(良) | 2:11.4 (34.5) | (-0.2) | フサイチパンドラ | |
2007 | 5. | 13 | 東京 | ヴィクトリアマイル | JpnI | 18 | 3 | 6 | 2.1(1人) | 10着 | 武幸四郎 | 55 | 芝1600(良) | 1:33.4 (33.7) | 0.9 | コイウタ |
6. | 24 | 阪神 | 宝塚記念 | GI | 18 | 4 | 7 | 10.2(6人) | 6着 | 武幸四郎 | 56 | 芝2200(稍) | 2:13.2 (37.5) | 0.8 | アドマイヤムーン | |
2008 | 5. | 31 | 中京 | 金鯱賞 | GII | 17 | 2 | 4 | 10.0(5人) | 3着 | 武幸四郎 | 55 | 芝2000(稍) | 1:59.3 (35.0) | 0.2 | エイシンデピュティ |
10. | 19 | 東京 | 府中牝馬S | GIII | 18 | 4 | 7 | 2.3(1人) | 2着 | 横山典弘 | 55 | 芝1800(良) | 1:45.6 (34.0) | 0.1 | ブルーメンブラット | |
11. | 16 | 京都 | エリザベス女王杯 | GI | 18 | 7 | 15 | 1.8(1人) | 2着 | 横山典弘 | 56 | 芝2200(良) | 2:12.3 (34.5) | 0.2 | リトルアマポーラ | |
12. | 28 | 中山 | 有馬記念 | GI | 14 | 1 | 1 | 19.0(6人) | 7着 | 横山典弘 | 55 | 芝2500(良) | 2:32.5 (37.0) | 1.0 | ダイワスカーレット | |
2009 | 2. | 21 | 京都 | 京都記念 | GII | 12 | 5 | 7 | 3.3(2人) | 4着 | 横山典弘 | 55 | 芝2200(良) | 2:14.9 (35.6) | 0.3 | アサクサキングス |
4. | 5 | 阪神 | 産経大阪杯 | GII | 12 | 2 | 2 | 11.5(4人) | 3着 | 横山典弘 | 55 | 芝2000(良) | 2:00.0 (33.8) | 0.3 | ドリームジャーニー | |
5. | 17 | 東京 | ヴィクトリアマイル | GI | 18 | 7 | 14 | 7.1(2人) | 8着 | 横山典弘 | 55 | 芝1600(良) | 1:33.9 (34.5) | 1.5 | ウオッカ | |
10. | 18 | 東京 | 府中牝馬S | GIII | 18 | 8 | 18 | 4.4(1人) | 6着 | 横山典弘 | 56 | 芝1800(良) | 1:45.5 (35.5) | 0.9 | ムードインディゴ | |
11. | 15 | 京都 | エリザベス女王杯 | GI | 18 | 4 | 8 | 15.1(5人) | 9着 | 横山典弘 | 56 | 芝2200(良) | 2:15.2 (34.3) | 1.6 | クィーンスプマンテ |
- ^ 1位入線
引退後
引退後は繁殖牝馬となり、生まれ故郷の三石川上牧場で繋養されている[15]。また、2010年5月23日の東京競馬場第12競走として行われたJRAプレミアムレース「東京クラウンプレミアム」がインターネット投票の結果、「カワカミプリンセスメモリアル」の副名称を付与して施行された[16]。
産駒一覧
生年 | 馬名 | 性 | 毛色 | 父 | 馬主 | 管理調教師 | 戦績 | 主な勝利競走 | 供用 | 出典 | |
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初仔 | 2012年 | ミンナノプリンセス | 牝 | 黒鹿毛 | コマンズ | (有)ターフ・スポート | 栗東・西浦勝一 | 15戦2勝 | (繁殖牝馬) | [17] | |
2番仔 | 2013年 | ミュゲプリンセス | 鹿毛 | エンパイアメーカー | (有)雅苑興業 →(同)雅苑興業 →上山泰憲 →(同)雅苑興業 |
栗東・西浦勝一 →西脇・玉垣光章 |
15戦1勝 | (繁殖牝馬) | [18] | ||
3番仔 | 2014年 | ハルノヒダマリ | (有)三石川上牧場 | 栗東・西浦勝一 | 5戦0勝 | (繁殖牝馬) | [19] | ||||
4番仔 | 2015年 | カズアピアーニ | 牡→騸 | ヘニーヒューズ | (同)雅苑興業 →蟹江知彦 →杉本剛彦 →高橋貢 |
栗東・西浦勝一 →北海道・安田武広 →園田・田中一巧 →栗東・杉山晴紀 →高知・田中伸一 →名古屋・迫田清美 →名古屋・栗田和昌 →盛岡・平澤芳三 |
75戦8勝 | (現役競走馬) | [20] | ||
5番仔 | 2016年 | クイーンハーツ | 牝 | キングカメハメハ | (有)ターフ・スポート | 栗東・西浦勝一 | 3戦0勝 | (繁殖牝馬) | [21] | ||
6番仔 | 2017年 | グランプリアルザン | 牡 | 栗毛 | ヘニーヒューズ | (有)三石川上牧場 →上山浩司 |
栗東・西浦勝一 →北海道・田中淳司 |
9戦1勝 | (引退) | [22] | |
7番仔 | 2018年 | ジョージバローズ | 牡→騸 | 黒鹿毛 | ダイワメジャー | 猪熊広次
→吉田啓 |
栗東・清水久詞
→水沢・及川良春 |
24戦2勝 | (現役競走馬) | [23] | |
8番仔 | 2019年 | ティグル | 牡 | 鹿毛 | ドゥラメンテ | 加藤誠 | 栗東・中竹和也 | 13戦0勝 | (現役競走馬) | [24] | |
9番仔 | 2020年 | カワカミエレガンス | 牝 | 栗毛 | デクラレーションオブウォー | [25] | |||||
10番仔 | 2021年 | (カワカミプリンセスの2021) | 鹿毛 | カリフォルニアクローム | [15][26] |
- 2022年9月14日現在
血統表
カワカミプリンセスの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | リファール系 |
[§ 2] | ||
父 キングヘイロー 1995 鹿毛 |
父の父 *ダンシングブレーヴDancing Brave 1983 鹿毛 |
Lyphard | Northern Dancer | |
Goofed | ||||
Navajo Princess | Drone | |||
Olmec | ||||
父の母 *グッバイヘイロー Goodbye Halo 1985 栗毛 |
Halo | Hail to Reason | ||
Cosmah | ||||
Pound Foolish | Sir Ivor | |||
Squander | ||||
母 *タカノセクレタリー Takano Secretary 1996 鹿毛 |
Seattle Slew 1974 黒鹿毛 |
Bold Reasoning | Boldnesian | |
Reason to Earn | ||||
My Charmer | Poker | |||
Fair Charmer | ||||
母の母 Summer Secretary1985 |
Secretariat | Bold Ruler | ||
Somethingroyal | ||||
Golden Summer | Key to the Mint | |||
Summer Guest | ||||
母系(F-No.) | タカノセクレタリー(USA)系(FN:4-m) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Hail to Reason 4×5=9.38%、Bold Ruler 4×5=9.38%、Sir Gaylord 5×5=6.25% | [§ 4] | ||
出典 |
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “カワカミプリンセス”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ a b “2冠牝馬カワカミプリンセスが引退、繁殖入り”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2009年11月18日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ “The 2006 World Thoroughbred Racehorse Rankings”. IFHA. 2021年11月6日閲覧。
- ^ a b “カワカミプリンセス 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “フロイデタンツェン、5馬身差圧勝”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年2月26日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ “君子蘭賞、カワカミプリンセスが無傷の2連勝”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年3月26日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ “スイートピーS、カワカミプリンセス無傷の3連勝”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年4月30日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ a b “オークス、カワカミプリンセス無傷の4連勝”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年5月21日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ a b “秋華賞、カワカミプリンセスが無敗の2冠達成”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年10月15日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ a b c d e “カワカミプリンセス1位入線も12着降着/G1復刻”. 日刊スポーツ (2016年11月11日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ “エリザベス女王杯、カワカミ降着でフサイチパンドラ優勝”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年11月12日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ “エリザベス女王杯アラカルト”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2006年11月12日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ディープインパクトが2年連続でJRA年度代表馬に”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2007年1月9日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ “カワカミプリンセスの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2021年5月28日閲覧。
- ^ a b “カワカミプリンセス”. 競走馬のふるさと案内所 馬・牧場・施設検索. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “オークス後の最終Rは「カワカミプリンセスメモリアル」に”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2010年5月4日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ミンナノプリンセス”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ミュゲプリンセス”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ハルノヒダマリ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “カズアピアーニ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “クイーンハーツ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “グランプリアルザン”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ジョージバローズ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ティグル|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年5月27日閲覧。
- ^ “(カワカミプリンセスの2020)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “_”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ a b c “カワカミプリンセス 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年5月28日閲覧。
- ^ a b “カワカミプリンセスの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2021年5月28日閲覧。
外部リンク
- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、JBISサーチ、Racing Post
- カワカミプリンセス - 競走馬のふるさと案内所