「イングロリアス・バスターズ」の版間の差分
編集の要約なし |
Poo tee weet? (会話 | 投稿記録) m →キャスティング: 誤字 |
||
(同じ利用者による、間の1版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
[[file:Inglourious basterds.jpg|thumb|200px]] |
|||
{{Infobox Film |
{{Infobox Film |
||
| 作品名 = イングロリアス・バスターズ |
| 作品名 = イングロリアス・バスターズ |
||
26行目: | 27行目: | ||
| imdb_id = 0361748 |
| imdb_id = 0361748 |
||
}} |
}} |
||
『'''イングロリアス・バスターズ'''』(''Inglourious Basterds'')は、[[2009年の映画|2009年]]の[[アメリカ合衆国の映画|アメリカ]]の[[戦争映画]]である。監督と脚本は[[クエンティン・タランティーノ]]であり、ハリウッドの戦争映画としては珍しく、登場するキャラクターたちがそれぞれの母国語を話している。主演はブラッド・ピット、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロラン。物語はナチス・ドイツの指導者を暗殺しようとする2人の主人公を追いかけている。一方は若いユダヤ系フランス人の映画館経営者(ロラン)であり、もう一方はアルド・レイン中尉(ピット)率いるユダヤ人兵士たちのチームである。当初は『地獄のバスターズ』のリメイクと語っていたが、完成した映画のストーリーは『地獄のバスターズ』とは大きく異なり、タランティーノ特有の様々な過去の映画に対するオマージュをちりばめたものとなっている。 |
|||
『'''イングロリアス・バスターズ'''』(''Inglourious Basterds'')は、[[2009年の映画|2009年]]の[[アメリカ合衆国の映画|アメリカ映画]]。 |
|||
イングロリアス・バスターズの原点は1998年にさかのぼる。タランティーノは映画のためのスクリプトを書きはじめたが、エンディングをどうするかに頭を悩ませ、一旦は製作から離れて2部作の「キル・ビル」の監督をはじめた。2007年に「デス・プルーフ」を撮り終わったタランティーノはイングロリアス・バスターズの仕事を再開する。この映画は2008年10月に製作がスタートし、70,000,000$の予算が組まれて、ドイツとフランスで撮影がおこなわれた。第62回のカンヌ国際映画祭(2009年5月20日)で発表され、パルムドールを争った。イングロリアス・バスターズはワインスタイン・カンパニーとユニバーサルスタジオの配給で、2009年8月からアメリカとヨーロッパの映画館にて広く公開されている。 |
|||
[[1976年の映画|1976年]]の[[イタリアの映画|イタリア映画]]『'''[[地獄のバスターズ]]'''』を下敷きにした、[[クエンティン・タランティーノ]]監督による[[戦争映画]]である。ハリウッドの戦争映画としては珍しく、登場するキャラクターたちが、それぞれの母国語を話している。 |
|||
[[8月21日]]に全米3165館で公開され、3805万4676ドルを稼いでで週末興行収入1位となった<ref name="boxofficeweekend">{{cite web |url=http://www.boxofficemojo.com/weekend/chart/?yr=2009&wknd=34&p=.htm|title=Weekend Box Office Result for August 21-23, 2009|accessdate=2009年10月23日 |publisher=[[Box Office Mojo]]}}</ref>。最終的に全世界で3億ドル以上を稼ぎ<ref name="boxoffice"/>、『[[パルプ・フィクション]]』の2億1392万8762ドル<ref name="pulpfiction">{{cite web |url=http://www.boxofficemojo.com/movies/?id=pulpfiction.htm|title=Pulp Fiction (1994)|accessdate=2009年10月23日 |publisher=[[Box Office Mojo]]}}</ref>を超えてクエンティン・タランティーノの監督映画で最大のヒット作となった。映画賞も多数を獲得し、82回のアカデミー賞では8部門でノミネートされている。 |
|||
== ストーリー == |
== ストーリー == |
||
[[1941年]][[第二次世界大戦]]中の[[ナチス・ドイツ]]占領下のフランス。家族を虐殺されたユダヤ人のショシャナは、「ユダヤ・ハンター」の異名をとる国家保安本部のナチス親衛隊SSのランダ親衛隊大佐の追跡を逃れる。一方、“イングロリアス・バスターズ”と呼ばれるレイン中尉率いるアメリカの秘密特殊部隊は、次々とナチス兵を血祭りにあげ、レインの先祖の[[アパッチ]]族に倣って頭皮を剥いでいた。[[1944年]]映画館主となったショシャナは、[[パリ]]でナチス首脳部の集まるドイツ[[国策]]映画特集の企画を組み、その裏で復讐の牙を剥く。そして、バスターズもまたその劇場でのテロ作戦を練る。しかし、バスターズの作戦の情報を掴み、捕らえたランダはレインに密かにある取引を持ちかける。 |
[[1941年]][[第二次世界大戦]]中の[[ナチス・ドイツ]]占領下のフランス。家族を虐殺されたユダヤ人のショシャナは、「ユダヤ・ハンター」の異名をとる国家保安本部のナチス親衛隊SSのランダ親衛隊大佐の追跡を逃れる。一方、“イングロリアス・バスターズ”と呼ばれるレイン中尉率いるアメリカの秘密特殊部隊は、次々とナチス兵を血祭りにあげ、レインの先祖の[[アパッチ]]族に倣って頭皮を剥いでいた。[[1944年]]映画館主となったショシャナは、[[パリ]]でナチス首脳部の集まるドイツ[[国策]]映画特集の企画を組み、その裏で復讐の牙を剥く。そして、バスターズもまたその劇場でのテロ作戦を練る。しかし、バスターズの作戦の情報を掴み、捕らえたランダはレインに密かにある取引を持ちかける。 |
||
⚫ | |||
[[file:Quentin Tarantino @ 2010 Academy Awards cropped.jpg|thumb|クエンティン・タランティーノ(第82回アカデミー賞授賞式で)]] |
|||
=== 着想と執筆 === |
|||
タランティーノはこの映画のスクリプトの執筆に10年以上を費やしている。インタビューでチャーリー・ローズにその理由を語っているが、タランティーノによれば「エピソードにちょっと凝りすぎた」からである。つまりストーリーが広がり、長くなりすぎたということだ<ref>{{cite news|url=http://www.allheadlinenews.com/articles/7011717003|title=Quentin Tarantino Spends Decade Writing WWII Drama|work=[[All Headline News]]|publisher=AHN Media Corp|first=Jan|last=Westmark|date=July 24, 2008|accessdate=January 25, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE4PF7W4|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref><ref>{{cite video|url=http://www.charlierose.com/view/interview/10567|people=Quentin Tarantino, Charlie Rose|title=An hour with Filmmaker Quentin Tarantino about his film 'Inglourious Basterds'|time=10.38|work=Charlie Rose|publisher=Charlie Rose LLC|format=FLV|date=August 21, 2009|accessdate=February 24, 2010}}</ref>。製作過程でスクリプトが自分のマスターピースだと感じ始めていたタランティーノは、いままで自分が書いた中で最高のものになるだろうと考えていた<ref>{{cite web|url=http://www.movieweb.com/movie/FI3s3c65CkCR5c/RELc0RMQ2vHwPM|title=Inglourious Basterds: Review By WiseGuy|work=MovieWeb|publisher=Fandango|date=September 2009|accessdate=February 1, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE4Ug611 |archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>タランティーノはその頃について映画づくりの前提は「任務に挑む男たちの集団を映画にする(''bunch-of-guys-on-a-mission film'' )。俺がつくる『[[特攻大作戦]]』とか、『[[荒鷲の要塞]]』、『[[ナヴァロンの要塞]]』みたいな作品だ」ったという言い方をしている<ref>{{cite news|url=http://www.telegraph.co.uk/culture/film/5055906/Battleof-the-blockbusters.html|title=Battle of the blockbusters|work=The Daily Telegraph|first=Marc|last=Lee|date=March 26, 2009|accessdate=February 28, 2010 | location=London}}</ref>。タランティーノは自分の映画はどれも観客が思いもよらないところで笑うが、その感覚は人それぞれでそういうものだと語っている<ref>{{cite web|url=http://www.gomolo.in/features/article.aspx?ArticleID=202|title=There Is A Sense Of Humour In All Of My Movies|work=Gomolo.in|date=October 1, 2009|accessdate=January 26, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE4e87kz |archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>。 |
|||
{{quote box|width=30%|align=left|quote=どうにかして、実際にそっくりな場所を見つけるつもりです。スペインを舞台にしたスパゲッティー・ウエスタンで使うような、誰もいない土地。アメリカ人の兵士とフランス人の農民とレジスタン、それにドイツの占領軍を出して、誰もいない不毛の土地みたいなところで撮りたい。まさに自分にとってのスパゲッティー・ウエスタンになるだろうけど、第二次世界大戦の[[図像学|イコノグラフィ]]もはいってる。でも問題は映画のピリオドがうまくうてるかってことで。なかなか[[エディット・ピアフ]]と[[アンドリュー・シスターズ]]みたいにはいかないものだから。ラップだってできるし、やろうと思えばなんだって大丈夫だけど、そういうのはお腹いっぱいだ|source=Quentin Tarantino<ref>{{cite journal|url=http://www.allbusiness.com/services/motion-pictures/4885660-1.html| first=Dylan | last=Callaghan | title=Dialogue with Quentin Tarantino | journal=[[The Hollywood Reporter]] | publisher=[[Nielsen Company]] | date=October 10, 2003 }}</ref>}}<!-- "I'm going to find a place that actually resembles, in one way or another, the [[Spain|Spanish]] locales they had in spaghetti westerns – a no man's land. With [[United States|US]] soldiers and [[France|French]] peasants and the French resistance and German occupation troops, it was kind of a no man's land. That will really be my spaghetti Western but with World War II iconography. But the thing is, I won't be period specific about the movie. I'm not just gonna play a lot of [[Édith Piaf]] and [[The Andrews Sisters|Andrews Sisters]]. I can have [[Rapping|rap]], and I can do whatever I want. It's about filling in the [[viscera]].|YES! I'm Japanese.--~~~~ --> |
|||
2002年には「イングロリアス・バスターズ」が予定よりも長くなってしまうことに気づき、他の監督たちが第二次世界大戦をテーマにしている作品を観ることにした<ref name=beijing>{{cite news|url=http://www.nytimes.com/2002/09/05/movies/tarantino-behind-the-camera-in-beijing.html?pagewanted=all|title=Tarantino Behind the Camera in Beijing|work=[[The New York Times]]|publisher = [[The New York Times Company]]|first=Rick|last=Lyman|date=September 5, 2002|accessdate=January 26, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE4gQg3G |archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>。つまりタランティーノは完成間近のスクリプトを三本書いていた。しかもそれは「どれもいままで書いた中で最高にいい。でもエンディングが浮かばなかった」<ref>{{cite news|url=http://www.usatoday.com/life/movies/news/2003-10-05-tarantino_x.htm|first=Scott|last=Bowles|title=Tarantino goes for the 'Kill'|work=[[USA Today]]|publisher=[[Gannett Company]]|date=October 6, 2003|accessdate=January 26, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE4iAeE0 |archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref> 結果的に予定していた映画を手放し、2部作の「キル・ビル」の監督業に専念することになった<ref name=beijing/> 。そして「キル・ビル」が完成すると、タランティーノは最初の下書き段階だった構想に戻り、それをミニ・シリーズにつくりかえることを思いつく。スクリプトを刈り込むかわりに、導入としてはちょうどいい長さになる「パルプ・フィクション」につかうことを決めたのだ<ref>{{cite news|url=http://www.news.com.au/couriermail/story/0,23739,25939754-7642,00.html|title=Tarantino's glorious 'masterpiece'|work=The Courier Mail|first=Rachel|last=Jones|date=August 17, 2009|accessdate=February 28, 2010}}</ref>。そして2005年には「イングロリアス・バスターズ」の製作を開始する予定を立てている<ref name="MTV">{{cite web|url=http://www.mtv.com/movies/news/articles/1510005/20050920/story.jhtml|title=Tarantino Gushes About 'Grind,' Says Next 'Kill Bill' Is 10 Years Away|work=MTV|first=Larry|last=Carroll|date=September 20, 2005|accessdate=February 28, 2010}}</ref>。やり直した序盤は、処刑を逃れて同盟者を救う任務についた軍人たちのグループに焦点をあてるものだった。監督の表現によれば彼らは「ふつうに考えるヒーローというタイプじゃない。第二次世界大戦といってもご立派なことを命じられるわけじゃないから」<ref>{{cite web|url=http://www.bbc.co.uk/dna/h2g2/A1111447|title=Quentin Tarantino – Film Maker|work=BBC H2G2|publisher=BBC|accessdate=February 28, 2010}}</ref>。2004年の11月には「イングロリアス・バスターズ」の製作をあきらめることを決め、かわりに三池崇史のスパゲッティ・ウェスタン映画「すき焼きウェスタン・ジャンゴ」に出演し、さらに北京語で完全なカン・フー映画をとろうと思い立つ<ref>{{cite news|url=http://www.guardian.co.uk/world/2004/nov/02/china.film|title=Tarantino plans old-style kung fu film – in Mandarin|work=The Guardian|publisher=Guardian Media Group|first=Steve|last=Rose|date=November 12, 2004|accessdate=January 26, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE4uVnT9 |archivedate=February 1, 2010 --> | location=London}}</ref>。この計画も頓挫し、結局タランティーノは「グラインド・ハウス」の一部を監督することになった。「イングロリアス・バスターズ」にとりかかるのはそのさらに後である<ref name="MTV"/>。 タイトルは1978年の[[エンツォ・G・カステラッリ]]監督作品である戦争映画「 [[地獄のバスターズ]]」(英題:''The Inglorious Bastards'' )にインスパイアされたものだ<ref>{{cite news|url=http://www.cbc.ca/arts/film/story/2009/08/20/f-inglourious-basterds-review.html|title=Inglourious Basterds Review|publisher=[[CBC News]]|accessdate=January 18, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE4yfZiA |archivedate=February 1, 2010 --> | date=August 21, 2009}}</ref><ref name="Inglourious Guide">{{cite news|url=http://www.guardian.co.uk/film/2009/aug/15/inglourious-basterds-guide|title=Inglourious Basterds Guide|work=The Guardian|publisher=Guardian Media Group|accessdate=January 19, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE5HOJyN |archivedate=February 1, 2010 --> | location=London | first=Damon | last=Wise | date=August 15, 2009}}</ref>。 カンヌ映画祭の記者会見で映画のタイトルの綴り(原題はInglo'''u'''rious Bast'''e'''rdsだが、正しくはInglorious Bastards)について聞かれたランティーノは、「説明するつもりは全くない」と答えている<ref>{{cite news|url=http://www.msnbc.msn.com/id/32588484|title=Inglourious Basterds has one tricky title|work=[[MSNBC.com]]|agency=[[Associated Press]] |date=August 27, 2009|accessdate=January 18, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE51FAL0|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>。それでも追求されると、「イングロリアス」の最初のUについては説明せずに、「バスターズがどうしたの?だって『バスターズ』って言うだろ」とだけ語っている<ref name="Inglourious Guide"/><ref>{{cite web|url=http://www.empireonline.com/features/tarantino-talks-inglourious-basterds-trailer/default.asp|title=Quentin Tarantino on the Inglourious Basterds Trailer|work=[[Empire (magazine)|Empire]]| publisher=[[Bauer Media Group]] |date=February 12, 2009|accessdate=August 19, 2009<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE5PdZRo|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>。タランティーノはその後にインタビューでスペルの間違ったタイトルについて「[[ジャン=ミシェル・バスキア|バスキア]]がベスキエみたいな(a Basquiat - esque touch)」という言い方もしている<ref>{{cite web|url=http://www.forward.com/articles/112638/|title=Glorious Bastard: Tarantino Talks About His Not-A-Holocaust-Movie|date=August 21, 2009|work=[[The Forward]]|publisher=Forward Association, Inc|accessdate=September 12, 2009|archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE5c9mXV|archivedate=February 1, 2010}}</ref>。さらに[[レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・レターマン|レターマンの番組]]では、タイトルは「クエンティン・タランティーノ風に綴った(Quentin Tarantino spelling.)」というコメントもしている<ref>{{cite episode |title=Late Show with David Letterman – Quentin Tarantino Interview|series=Late Show with David Letterman|serieslink=Late Show with David Letterman|credits=Letterman, David and Tarantino, Quentin|network=[[CBS]]|airdate=August 17, 2009|language=English|accessdate=April 27, 2011}}</ref> |
|||
===キャスティング=== |
|||
[[file:Filmstudio Babelsberg Eingang.jpg|thumb|left|スタジオ・バーベルスベルク]] |
|||
タランティーノはもともとハンス・ランダ役にディカプリオを要求していた<ref>{{cite news |first=Michael|last=Fleming|url=http://www.variety.com/VR1117988993.html|title=Quentin Tarantino seeks 'Bastards'|work=[[Variety (magazine)|Variety]] |publisher=[[Reed Business Information]]|date=July 15, 2008|accessdate=July 29, 2008<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE66KNq7|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>が、その後、このキャラクターにはもっと年上のドイツ人俳優を起用することを決めている<ref name=deck>{{cite news |first=Michael|last=Fleming|coauthors=Tatiana Siegel|url=http://www.variety.com/article/VR1117990111.html?categoryid=13&cs=1&nid=2564|title=Eli Roth on deck for 'Bastards'|work=[[Variety (magazine)|Variety]] |publisher=Reed Business Information|date=August 5, 2008|accessdate=August 6, 2008<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE67JaMk|archivedate= February 1, 2010 -->}}</ref>。しかし、結局この役はオーストリア人のクリストフ・ヴァルツになった。監督によれば「自分の映画にでてくれ」というとヴァルツは「演じられるような役じゃない」と不安がっていた<ref>{{cite news |url=http://www.variety.com/article/VR1118003822?refCatId=3628|title=Tarantino Reflects On 'Basterds'|work=[[Variety (magazine)|Variety]] |publisher=Reed Business Information|date=May 17, 2009|accessdate=December 23, 2011<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE6DBVxC|archivedate= February 1, 2010 --> | first=Michael | last=Fleming}}</ref>ブラッド・ピットとタランティーノは長年いっしょに仕事がしたいといっていたが、ちょうどよい企画がなく時間ばかりが過ぎていった<ref name="CNNPitt">{{cite news|url=http://edition.cnn.com/2009/SHOWBIZ/Movies/08/19/tarantino.pitt.basterds/index.html|title=Tarantino and Pitt: The long-awaited love affair|work=[[CNN]]|publisher=[[Time Warner]]|first=Jim|last=Stenman|date=August 21, 2009|accessdate=January 31, 2010}}</ref>タランティーノはイングロリアス・バスターズの脚本を半分ほど終わらせた頃に、アルド・レイン役にブラッド・ピットを使える可能性がかなり高いと気づいた。そして全て書き終えるころには、ブラッド・ピットならば「すごいことになる」と考えるようになり、代理人と連絡をとって出演可能かどうかをたずねた<ref name="CNNPitt"/> |
|||
ドニー・ドノウィッツ役にはアダム・サンドラーを起用しようとしたタランティーノだが、サンドラーがコメディ映画の「''Funny People'' 」に出演するためスケジュールが合わず、断られてしまう<ref name="mtv">{{cite web|url=http://www.mtv.com/movies/news/articles/1619322/story.jhtml|title=Inglourious Basterds Original Cast Plans Called For Leonardo DiCaprio, Adam Sandler|last=Ditzian|first=Eric|work=[[MTV.com]]|publisher=[[Viacom]]|date=August 24, 2009|accessdate=January 18, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE6GGVMq|archivedate= February 1, 2010 -->}}</ref>。そこでイーライ・ロスが代役となった。ロスはエキストラ300人をつかった<ref>{{cite web|url=http://www.collider.com/2009/12/15/eli-roth-talks-sci-fi-movie-dangerous-species-and-more/|title=Eli Roth Talks Sci-Fi Movie ENDANGERED SPECIES and More|first=Jonathan | last=Callan | work=Collider.com|date=January 15, 2009|accessdate=January 31, 2010 <!-- | archiveurl=http://www.webcitation.org/5nCbLlnGP | archivedate=January 31, 2010 -->}}</ref>メタ映画「''国民の誇り'' 」の監督もしている<ref>{{cite news |url=http://www.variety.com/article/VR1118007314.html?categoryid=13&cs=1&ref=bd_film|title=Film Faux Draws A Double Take|work=[[Variety (magazine)|Variety]] |publisher=[[Reed Business Information]]|first=Justin|last=Kroll|date=August 14, 2009|accessdate=January 31, 2010 <!-- | archiveurl=http://www.webcitation.org/5nCbhPGyh | archivedate=January 31, 2010 -->}}</ref>。監督はアーチー・ヒコックス中尉にはサイモン・ペグを考えていたが、スピルバーグの「タンタンの冒険」にも出演するため、スケジュール管理が難しく参加が見送られた<ref name=fassbender>{{cite news |first=Ali|last=Jaafar|url=http://www.variety.com/article/VR1117990808.html?categoryid=13&cs=1&nid=2564|title=Fassbender in talks for 'Bastards'|work=[[Variety (magazine)|Variety]] |publisher=Reed Business Information|date=August 19, 2008|accessdate=August 20, 2008<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE6JzTFt |archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref> |
|||
アイルランド人の俳優マイケル・ファスベンダーとの交渉の末、2008年8月にヒコックス役が決まった<ref name=fassbender/>。8月中に、アメリカのドラマ「The Office」に出演し、脚本も書いていたB・J・ノヴァクも「''きゃしゃ'' なニューヨーク生まれの軍人」であるヴィルヘルム・ヴィッキ役に決定している<ref>{{cite web|last=Sciretta|first=Peter|title=B.J. Novak Cast in Tarantino's Inglorious Basterds|url=http://www.slashfilm.com/bj-novak-cast-in-tarantinos-inglorious-bastards/|work=SlashFilm|publisher=[[/Film]]|accessdate=January 1, 2011|date=August 6, 2008}}</ref> |
|||
タランティーノはナスターシャ・キンスキーにブリジット・フォン・ハマーシュマルクを演じないかと声をかけ、ドイツに飛んで会いにいくほどだったが、交渉は成立しなかった<ref>{{cite news|url=http://www.hollywoodreporter.com/hr/content_display/film/news/e3i70662f7dd9d6f3c428c389494a8bc280|title=Tarantino gets his French girl|first=Borys|last=Kit|work=[[The Hollywood Reporter]]| publisher=[[Nielsen Business Media]] |date=September 2, 2008|accessdate=January 30, 2010|archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE6OOkvc|archivedate=February 1, 2010}}</ref>ため、かわりにダイアン・クルーガーが呼ばれた<ref name="mtv"/><ref name=KrugerWaltzJoinTarantino>{{cite news|title=Kruger, Waltz join Tarantino film|url=http://www.variety.com/article/VR1117991354.html?categoryid=13&cs=1|work=[[Variety (magazine)|Variety]] |publisher=Reed Business Information|date=August 29, 2008|accessdate=January 30, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE6SNXDo |archivedate=February 1, 2010 --> | first=Michael | last=Fleming}}</ref> |
|||
ロッド・テイラーは俳優を事実上引退していて、代理人ともすでに契約していなかったが、タランティーノのオファーをうけてチャーチル役でこの映画に出演した<ref name=miamih>{{cite news|first=Scott|last=Eyman|title=Tarantino Comes Calling With A Role For Rod Taylor|url=http://www.miamiherald.com/living/story/1196616.html|work=[[The Miami Herald]]|publisher=[[The McClatchy Company]]|date=August 23, 2009|accessdate=August 20, 2009|archiveurl=http://www.webcitation.org/5kJ4OVKYY|archivedate=October 5, 2009}}</ref>役づくりのために、テイラーはチャーチルが登場しているシーンがあるDVDを大量に集め、首相の姿勢や身振り、舌がもつれたような声をうまくものにしようとした<ref name=miamih/>。監督と役柄のことを話すなかで、はじめはイギリス人の俳優アルバート・フィニーを起用するようすすめていたテイラーだったが、それでも自分が出演したのはタランティーノの情熱(''passion'' )によるものだという<ref name=miamih/>。タランティーノのファンでもあるマイク・マイヤーズは両親がイギリス空軍にいたときから、映画に登場する人物を調べていた<ref>{{cite web | url=http://toronto.ctv.ca/servlet/an/local/CTVNews/20090813/myers_tarantino_090813/20090813?hub=TorontoNewHome | title=Mike Myers a perfect fit for 'Basterds': Tarantino | work=[[The Canadian Press]] | publisher=[[CTV News Channel (Canada)|CTV News]] | date=August 13, 2009 | accessdate=January 31, 2010 <!-- | archiveurl=http://www.webcitation.org/5nCdoNrri | archivedate=January 31, 2010 -->}}</ref>。マイヤーズの考えでは、言葉づかいは士官階級にふさわしい[[容認発音|イギリスの標準的な発音]]を脚色したようなものだが、「この戦争には飽き飽きで、終わらせるやつがいたらたいしたもの、自分の国が荒れ果てているんだから」という感情のほうが強くあるとも感じていた<ref>{{cite web|url=http://www.gomolo.in/features/article.aspx?ArticleID=204|title=Mike Myers: I Feel So Honored To Be Able To Do What I Do|publisher=Gomolo.in|date=September 30, 2010|accessdate=January 18, 2010 <!-- | archiveurl=http://www.webcitation.org/5nCdyOzYf | archivedate=January 31, 2010 -->}}</ref>。 |
|||
エンツォ・カステラッリ監督が映画にカメオ出演していたように、タランティーノもドイツ人として自分を「イングロリアス・バスターズ」に出そうと脚本に書いていたが、後に同じ役でも別の階級で、所属も別の組織である人間に書き直している<ref>{{cite web|url=http://www.festival-cannes.com/assets/Image/Direct/029846.pdf|title=Inglourious Basterds|publisher=Cannes Festival|format=PDF|accessdate=January 18, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE6ey4s6|archivedate=Februrary 1, 2010 -->}}</ref><ref>{{cite news |url=http://www.variety.com/article/VR1118003930.html?categoryid=13&cs=1|title=Enzo and Tarantino: 'Basterds' brothers|first=Nick|last=Vivarelli|work=[[Variety (magazine)|Variety]] |publisher=Reed Business Information|date=May 19, 2009|accessdate=January 18, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE6jDiZf |archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>。カステラッリの「地獄のバスターズ」にも出ているボー・スヴェンソンが少しだけカメオ出演しているが、映画内映画である「国民の誇り」ではもっとよく演技をみることができる<ref>{{cite web|url=http://www.screendaily.com/5001437.article|first=Mike|last=Goodridge|title=Inglourious Basterds Review|work=Screen Daily|publisher=EMAP Media|date=May 25, 2010|accessdate=January 19, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE6oDOwu|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>。サミュエル・L・ジャクソンとハーヴェイ・カイテルは2人ともタランティーノの映画に出演したことがある俳優だが、この映画ではそれぞれナレーターと[[Office of Strategic Services|OSS]]の指揮官として短く声だけの出演を果たしている<ref>{{cite web|url=http://popwatch.ew.com/2009/08/19/inglourious-basterds-playing-spot-the-tarantino-reference/|title='Inglourious Basterds':Playing spot the Tarantino reference|last=Nashawaty|first=Chris |date=August 19, 2009|work=Popwatch|publisher=[[Entertainment Weekly]]|accessdate=February 22, 2010 <!-- | archiveurl=http://www.webcitation.org/5nk00Mr2E | archivedate=February 22, 2010 -->}}</ref>。クロリス・リーチマンとマギー・チャンにはそれぞれ、ヒメルスタイン夫人、ミミュー夫人という役が与えられていたのだが、完成した映画が長くなりすぎたせいでカットされている<ref>{{cite news|url=http://tianjin.chinadaily.com.cn/showbiz/2009-05/22/content_7933941.htm|title=Maggie Cheung Okays with 'Basterds' Cut|work=[[China Daily]]|publisher=[[People's Republic of China]]|date=May 22, 2009|accessdate=January 21, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE7r2PSx |archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref><ref>{{cite news|url=http://nymag.com/daily/entertainment/2009/06/cloris_leachman.html|title=Cloris Leachman on Dancing, Inglourious Basterds, and Her Sex Pact With Ed Asner|work=[[New York (magazine)|New York]] |publisher=New York Media LLC|first=Jada|last=Yuan|date=June 19, 2009|accessdate=February 28, 2010}}</ref> |
|||
===プリプロダクションと本撮影=== |
|||
[[file:EnzoG.Castellari.jpg|thumb|「イングロリアス・バスターズ」の上映後、ポスターにサインをするカステラッリ]] |
|||
ワインスタイン・カンパニーとチームを組んだタランティーノは予定どおり製作する映画の準備にはいった<ref>{{cite news|url=http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/film/article1672383.ece|title=Has Tarantino Been Flushed Away?|work=[[The Times]]|publisher=[[News Corporation]]|first=Kevin|last=Maher|date=April 19, 2007|accessdate=January 26, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE8195tz|archivedate=February 1, 2010 --> | location=London}}</ref>2008年7月、タランティーノとエグゼクティヴ・プロデューサーのハーヴェイとワインスタインは2009年のパルムドールを競うことになるカンヌ映画祭に公開が間に合うようにスケジュールを繰り上げている<ref>{{cite web|url=http://www.mymovies.net/news/news_item.asp?t=Tarantino+Prepping+%22Bastards%22+for+an+October+Start&filmid=1590&nid=5129&s=3&n=|title=Tarantino Prepping "Bastards" for an October Start|publisher=[http://www.mymovies.net/about/about.htm Mymovies.net]|date=September 7, 2008|accessdate=January 25, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE8LM5Nq|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref><ref>{{cite news|url=http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/8014179.stm|title=Tarantino Up For Top Cannes Prize|work=[[BBC News]]|publisher=BBC|date=April 23, 2009 | accessdate=January 25, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE8OeJbA|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>ワインスタイン・カンパニーは、映画に共同融資してアメリカで配給をおこなうことを決め、国際的にも展開するためユニバーサル・ピクチャーズとさらに融資をうける契約を結んでいる<ref>{{cite news|url=http://www.nytimes.com/2009/06/08/business/media/08weinstein.html|title=Weinstein Company Takes Step to Ease Debt |work=[[The New York Times]] |first=Michael|last=Cieply|date=June 7, 2009|accessdate=february 28. 2010}}</ref><ref name=universal>{{cite journal|first=Borys|last=Kit|url=http://www.hollywoodreporter.com/hr/content_display/film/news/e3i0e5e7151b1d77beb5d561526c30d032b|title=Universal, Weinstein Co. negotiating 'Bastards'|journal=[[The Hollywood Reporter]]|publisher=[[Nielsen Company]]|date=July 29, 2008|accessdate=July 30, 2008|archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE8VAQtY|archivedate=February 1, 2010}}</ref>ドイツとフランスがロケ地として押さえられ、2008年にドイツで本撮影がはじまった<ref>{{cite web|url=http://www.kdbuzz.com/index.php?2008/12/18/251-photos-et-une-video-du-tournage-d-inglourious-basterds-a-paris-dans-le-18eme|title=Photos and video of the shooting of "Inglourious Basterds" in Paris|publisher=kdbuzz.com|language=French|date=December 18, 2008|accessdate=January 19, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE8XovhY |archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref><ref name=eyes>{{cite journal|first=Michael|last=Fleming|url=http://www.variety.com/article/VR1117989675.html?categoryid=13&cs=1&nid=2564|title=Universal eyes Tarantino's 'Bastards'|journal=[[Variety (magazine)|Variety]]|publisher=[[Reed Business Information]]|date=July 29, 2008|accessdate=July 29, 2008<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE8bBTgg|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref> |
|||
<ref>{{cite web|url=http://www.worstpreviews.com/headline.php?id=10430|title=Quentin Tarantino's "Inglourious Basterds" Began Principal Photography|publisher=WorstPreviews.com|date=October 15, 2008| accessdate=January 20, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE8jycOu|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>。撮影は2008年10月13日に始まる予定で、実際にこの週にスタートしている<ref name=pitt>{{cite journal|first=Michael|last=Fleming|coauthors=Tatiana Siegel|url=http://www.variety.com/article/VR1117990231.html?categoryid=13&cs=1&nid=2564|title=Brad Pitt is officially a 'Bastard'|journal=[[Variety (magazine)|Variety]] |publisher=Reed Business Information|date=August 7, 2008|accessdate=August 7, 2008<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE8qEKtC |archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref><ref name=shooting>{{cite news |url=http://movies.ign.com/articles/919/919660p1.html |title=Inglourious Basterds Begins |date=October 14, 2008 |work=[[IGN Entertainment]]|publisher=News Corporation |accessdate=October 14, 2008<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE8wOcBe|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>特殊効果を担当したのは[[KNB EFX]]と[[グレッグ・ニコテロ]]で<ref>{{cite web|url=http://www.knbefxgroup.com/knb_alt2.html|title=Contender Q and A With Greg Nicotero|publisher=KNB EFX Group, Inc|date=December 12, 2009|accessdate=February 1, 2010|archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE925fbz|archivedate=February 1, 2010}}</ref>、映画の大部分はドイツのポツダムにあるバーベルスベルク・スタジオで撮られ、編集されたものだが<ref name=Kulish>{{cite news|url=http://www.nytimes.com/2009/02/16/world/europe/16germany.html|first=Nicholas|last=Kulish|title=Winslet and Cruise Star in a German Studio's Latest Act |work=[[The New York Times]]|publisher=The New York Times Company|date=February 15, 2009|accessdate=January 20, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE97e8KS |archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>、チェコとの国境にほど近い小さなスパタウンであるバートシャンダウも使われている<ref>{{cite web|url=http://www.atnzone.com/nz/2009/08/27/movie-review-inglourious-basterds|title=Movie Review: Inglourious Basterds|publisher=atnzone.com|date=August 27, 2009|accessdate=January 20, 2010<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE9FMHSy|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref>。イーライ・ロスは映画館が燃えるシーンで、「灰になりかけた」といっている。炎は400 °C (750 °F)で燃えるようによう設定していたが、実際には1200 °C (2000 °F)まで温度が上がってしまい、落ちる予定のなかったハーケンクロイツも焼け落ちてしまった。ロスによれば、鉄のケーブルで固定してあったのだが、熱で液状化してしまったのだという.<ref name="roth survives">{{cite news|url=http://articles.latimes.com/2009/aug/16/entertainment/ca-roth16|title=Eli Roth barely survives acting in Quentin Tarantino's 'Inglourious Basterds'|last=Lee|first=Chris|date=August 16, 2009|work=[[Los Angeles Times]]|publisher=[[Tribune Company]]|accessdate=February 5, 2010 <!-- | archiveurl=http://www.webcitation.org/5nIyLndwa | archivedate=February 5, 2010 -->}}</ref>。 |
|||
カンヌで映画が上映された後に、タランティーノは6月には映画を再編集すると述べた。最終的に映画館で公開するまえに、カンヌで初披露するために急いだことで未完成のままだったシーンがいくつかあり、それを整理して仕上げるためだった<ref>{{cite journal | url=http://weblogs.variety.com/thompsononhollywood/2009/05/tarantino-update.html | title=Thompson On Hollywood – Tarantino Update | last=Thompson | first=Anne | date=May 25, 2009 | work=[[Variety (magazine)|Variety]] | publisher=Reed Business Information| accessdate=May 26, 2009<!-- |archiveurl=http://www.webcitation.org/5nE9SKX5Z|archivedate=February 1, 2010 -->}}</ref> |
|||
== 登場人物・キャスト == |
== 登場人物・キャスト == |
||
[[File:RothLaurentBenderIBAug09.jpg|thumb| [[イーライ・ロス]]、 [[メラニー・ロラン]]、プロデューサーの[[ローレンス・ベンダー]] (カンヌ 2009年)]] |
|||
[[File:ChristophWaltzCannesMay09.jpg|thumb|クリストフ・ヴァルツ(2009年)]] |
|||
=== バスターズ === |
=== バスターズ === |
||
* アルド・レイン中尉: [[ブラッド・ピット]](日本語吹替:[[山寺宏一]]) |
* アルド・レイン中尉: [[ブラッド・ピット]](日本語吹替:[[山寺宏一]]) |
||
55行目: | 86行目: | ||
=== フランス人 === |
=== フランス人 === |
||
[[file:Mélanie Laurent avp 2009.jpg|thumb|ショシャナ役のメラニー・ロラン(2009年)]] |
|||
* ショシャナ・ドレフュス(エマニュエル・ミミュー): [[メラニー・ロラン]](日本語吹替:[[松谷彼哉]]) |
* ショシャナ・ドレフュス(エマニュエル・ミミュー): [[メラニー・ロラン]](日本語吹替:[[松谷彼哉]]) |
||
* マルセル: [[ジャッキー・イド]] |
* マルセル: [[ジャッキー・イド]] |
||
85行目: | 117行目: | ||
* [[クロリス・リーチマン]] |
* [[クロリス・リーチマン]] |
||
* [[張曼玉|マギー・チャン]] |
* [[張曼玉|マギー・チャン]] |
||
⚫ | |||
題名は意識的な、誤スペルとなっている(正しくはInglorious Bastards)。タランティーノが長年にわたって構想してきた企画であり、当初は『地獄のバスターズ』のリメイクと語っていたが、完成した映画のストーリーは『地獄のバスターズ』とは大きく異なり、タランティーノ特有の様々な過去の映画に対するオマージュをちりばめたものとなっている。 |
|||
また、完成脚本を撮影した結果、映画の尺が長くなってしまったため、削除されたエピソードやキャラクターが多数存在する。また、映画内で上映されるナチス宣伝映画『国民の誇り』は、出演者である[[イーライ・ロス]]の監督作品である。 |
|||
=== スタッフ === |
=== スタッフ === |
2012年3月22日 (木) 04:38時点における版
イングロリアス・バスターズ | |
---|---|
Inglourious Basterds | |
監督 | クエンティン・タランティーノ |
脚本 | クエンティン・タランティーノ |
製作 | ローレンス・ベンダー |
製作総指揮 |
ロイド・フィリップス ボブ・ワインスタイン ハーヴェイ・ワインスタイン エリカ・スタインバーグ |
ナレーター | サミュエル・L・ジャクソン(クレジット無し) |
出演者 | ブラット・ピット |
撮影 | ロバート・リチャードソン |
編集 | サリー・メンケ |
製作会社 |
スタジオ・バーベルスベルク ア・バンド・アパート |
配給 |
ワインスタイン/ユニバーサル 東宝東和 |
公開 |
2009年8月21日 2009年11月20日 |
上映時間 | 153分 |
製作国 |
アメリカ合衆国 ドイツ |
言語 |
英語 ドイツ語 フランス語 イタリア語 |
製作費 | $70,000,000[1] |
興行収入 | $313,600,644[1] |
『イングロリアス・バスターズ』(Inglourious Basterds)は、2009年のアメリカの戦争映画である。監督と脚本はクエンティン・タランティーノであり、ハリウッドの戦争映画としては珍しく、登場するキャラクターたちがそれぞれの母国語を話している。主演はブラッド・ピット、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロラン。物語はナチス・ドイツの指導者を暗殺しようとする2人の主人公を追いかけている。一方は若いユダヤ系フランス人の映画館経営者(ロラン)であり、もう一方はアルド・レイン中尉(ピット)率いるユダヤ人兵士たちのチームである。当初は『地獄のバスターズ』のリメイクと語っていたが、完成した映画のストーリーは『地獄のバスターズ』とは大きく異なり、タランティーノ特有の様々な過去の映画に対するオマージュをちりばめたものとなっている。
イングロリアス・バスターズの原点は1998年にさかのぼる。タランティーノは映画のためのスクリプトを書きはじめたが、エンディングをどうするかに頭を悩ませ、一旦は製作から離れて2部作の「キル・ビル」の監督をはじめた。2007年に「デス・プルーフ」を撮り終わったタランティーノはイングロリアス・バスターズの仕事を再開する。この映画は2008年10月に製作がスタートし、70,000,000$の予算が組まれて、ドイツとフランスで撮影がおこなわれた。第62回のカンヌ国際映画祭(2009年5月20日)で発表され、パルムドールを争った。イングロリアス・バスターズはワインスタイン・カンパニーとユニバーサルスタジオの配給で、2009年8月からアメリカとヨーロッパの映画館にて広く公開されている。
8月21日に全米3165館で公開され、3805万4676ドルを稼いでで週末興行収入1位となった[2]。最終的に全世界で3億ドル以上を稼ぎ[1]、『パルプ・フィクション』の2億1392万8762ドル[3]を超えてクエンティン・タランティーノの監督映画で最大のヒット作となった。映画賞も多数を獲得し、82回のアカデミー賞では8部門でノミネートされている。
ストーリー
1941年第二次世界大戦中のナチス・ドイツ占領下のフランス。家族を虐殺されたユダヤ人のショシャナは、「ユダヤ・ハンター」の異名をとる国家保安本部のナチス親衛隊SSのランダ親衛隊大佐の追跡を逃れる。一方、“イングロリアス・バスターズ”と呼ばれるレイン中尉率いるアメリカの秘密特殊部隊は、次々とナチス兵を血祭りにあげ、レインの先祖のアパッチ族に倣って頭皮を剥いでいた。1944年映画館主となったショシャナは、パリでナチス首脳部の集まるドイツ国策映画特集の企画を組み、その裏で復讐の牙を剥く。そして、バスターズもまたその劇場でのテロ作戦を練る。しかし、バスターズの作戦の情報を掴み、捕らえたランダはレインに密かにある取引を持ちかける。
製作
着想と執筆
タランティーノはこの映画のスクリプトの執筆に10年以上を費やしている。インタビューでチャーリー・ローズにその理由を語っているが、タランティーノによれば「エピソードにちょっと凝りすぎた」からである。つまりストーリーが広がり、長くなりすぎたということだ[4][5]。製作過程でスクリプトが自分のマスターピースだと感じ始めていたタランティーノは、いままで自分が書いた中で最高のものになるだろうと考えていた[6]タランティーノはその頃について映画づくりの前提は「任務に挑む男たちの集団を映画にする(bunch-of-guys-on-a-mission film )。俺がつくる『特攻大作戦』とか、『荒鷲の要塞』、『ナヴァロンの要塞』みたいな作品だ」ったという言い方をしている[7]。タランティーノは自分の映画はどれも観客が思いもよらないところで笑うが、その感覚は人それぞれでそういうものだと語っている[8]。
2002年には「イングロリアス・バスターズ」が予定よりも長くなってしまうことに気づき、他の監督たちが第二次世界大戦をテーマにしている作品を観ることにした[10]。つまりタランティーノは完成間近のスクリプトを三本書いていた。しかもそれは「どれもいままで書いた中で最高にいい。でもエンディングが浮かばなかった」[11] 結果的に予定していた映画を手放し、2部作の「キル・ビル」の監督業に専念することになった[10] 。そして「キル・ビル」が完成すると、タランティーノは最初の下書き段階だった構想に戻り、それをミニ・シリーズにつくりかえることを思いつく。スクリプトを刈り込むかわりに、導入としてはちょうどいい長さになる「パルプ・フィクション」につかうことを決めたのだ[12]。そして2005年には「イングロリアス・バスターズ」の製作を開始する予定を立てている[13]。やり直した序盤は、処刑を逃れて同盟者を救う任務についた軍人たちのグループに焦点をあてるものだった。監督の表現によれば彼らは「ふつうに考えるヒーローというタイプじゃない。第二次世界大戦といってもご立派なことを命じられるわけじゃないから」[14]。2004年の11月には「イングロリアス・バスターズ」の製作をあきらめることを決め、かわりに三池崇史のスパゲッティ・ウェスタン映画「すき焼きウェスタン・ジャンゴ」に出演し、さらに北京語で完全なカン・フー映画をとろうと思い立つ[15]。この計画も頓挫し、結局タランティーノは「グラインド・ハウス」の一部を監督することになった。「イングロリアス・バスターズ」にとりかかるのはそのさらに後である[13]。 タイトルは1978年のエンツォ・G・カステラッリ監督作品である戦争映画「 地獄のバスターズ」(英題:The Inglorious Bastards )にインスパイアされたものだ[16][17]。 カンヌ映画祭の記者会見で映画のタイトルの綴り(原題はInglourious Basterdsだが、正しくはInglorious Bastards)について聞かれたランティーノは、「説明するつもりは全くない」と答えている[18]。それでも追求されると、「イングロリアス」の最初のUについては説明せずに、「バスターズがどうしたの?だって『バスターズ』って言うだろ」とだけ語っている[17][19]。タランティーノはその後にインタビューでスペルの間違ったタイトルについて「バスキアがベスキエみたいな(a Basquiat - esque touch)」という言い方もしている[20]。さらにレターマンの番組では、タイトルは「クエンティン・タランティーノ風に綴った(Quentin Tarantino spelling.)」というコメントもしている[21]
キャスティング
タランティーノはもともとハンス・ランダ役にディカプリオを要求していた[22]が、その後、このキャラクターにはもっと年上のドイツ人俳優を起用することを決めている[23]。しかし、結局この役はオーストリア人のクリストフ・ヴァルツになった。監督によれば「自分の映画にでてくれ」というとヴァルツは「演じられるような役じゃない」と不安がっていた[24]ブラッド・ピットとタランティーノは長年いっしょに仕事がしたいといっていたが、ちょうどよい企画がなく時間ばかりが過ぎていった[25]タランティーノはイングロリアス・バスターズの脚本を半分ほど終わらせた頃に、アルド・レイン役にブラッド・ピットを使える可能性がかなり高いと気づいた。そして全て書き終えるころには、ブラッド・ピットならば「すごいことになる」と考えるようになり、代理人と連絡をとって出演可能かどうかをたずねた[25]
ドニー・ドノウィッツ役にはアダム・サンドラーを起用しようとしたタランティーノだが、サンドラーがコメディ映画の「Funny People 」に出演するためスケジュールが合わず、断られてしまう[26]。そこでイーライ・ロスが代役となった。ロスはエキストラ300人をつかった[27]メタ映画「国民の誇り 」の監督もしている[28]。監督はアーチー・ヒコックス中尉にはサイモン・ペグを考えていたが、スピルバーグの「タンタンの冒険」にも出演するため、スケジュール管理が難しく参加が見送られた[29] アイルランド人の俳優マイケル・ファスベンダーとの交渉の末、2008年8月にヒコックス役が決まった[29]。8月中に、アメリカのドラマ「The Office」に出演し、脚本も書いていたB・J・ノヴァクも「きゃしゃ なニューヨーク生まれの軍人」であるヴィルヘルム・ヴィッキ役に決定している[30]
タランティーノはナスターシャ・キンスキーにブリジット・フォン・ハマーシュマルクを演じないかと声をかけ、ドイツに飛んで会いにいくほどだったが、交渉は成立しなかった[31]ため、かわりにダイアン・クルーガーが呼ばれた[26][32] ロッド・テイラーは俳優を事実上引退していて、代理人ともすでに契約していなかったが、タランティーノのオファーをうけてチャーチル役でこの映画に出演した[33]役づくりのために、テイラーはチャーチルが登場しているシーンがあるDVDを大量に集め、首相の姿勢や身振り、舌がもつれたような声をうまくものにしようとした[33]。監督と役柄のことを話すなかで、はじめはイギリス人の俳優アルバート・フィニーを起用するようすすめていたテイラーだったが、それでも自分が出演したのはタランティーノの情熱(passion )によるものだという[33]。タランティーノのファンでもあるマイク・マイヤーズは両親がイギリス空軍にいたときから、映画に登場する人物を調べていた[34]。マイヤーズの考えでは、言葉づかいは士官階級にふさわしいイギリスの標準的な発音を脚色したようなものだが、「この戦争には飽き飽きで、終わらせるやつがいたらたいしたもの、自分の国が荒れ果てているんだから」という感情のほうが強くあるとも感じていた[35]。
エンツォ・カステラッリ監督が映画にカメオ出演していたように、タランティーノもドイツ人として自分を「イングロリアス・バスターズ」に出そうと脚本に書いていたが、後に同じ役でも別の階級で、所属も別の組織である人間に書き直している[36][37]。カステラッリの「地獄のバスターズ」にも出ているボー・スヴェンソンが少しだけカメオ出演しているが、映画内映画である「国民の誇り」ではもっとよく演技をみることができる[38]。サミュエル・L・ジャクソンとハーヴェイ・カイテルは2人ともタランティーノの映画に出演したことがある俳優だが、この映画ではそれぞれナレーターとOSSの指揮官として短く声だけの出演を果たしている[39]。クロリス・リーチマンとマギー・チャンにはそれぞれ、ヒメルスタイン夫人、ミミュー夫人という役が与えられていたのだが、完成した映画が長くなりすぎたせいでカットされている[40][41]
プリプロダクションと本撮影
ワインスタイン・カンパニーとチームを組んだタランティーノは予定どおり製作する映画の準備にはいった[42]2008年7月、タランティーノとエグゼクティヴ・プロデューサーのハーヴェイとワインスタインは2009年のパルムドールを競うことになるカンヌ映画祭に公開が間に合うようにスケジュールを繰り上げている[43][44]ワインスタイン・カンパニーは、映画に共同融資してアメリカで配給をおこなうことを決め、国際的にも展開するためユニバーサル・ピクチャーズとさらに融資をうける契約を結んでいる[45][46]ドイツとフランスがロケ地として押さえられ、2008年にドイツで本撮影がはじまった[47][48] [49]。撮影は2008年10月13日に始まる予定で、実際にこの週にスタートしている[50][51]特殊効果を担当したのはKNB EFXとグレッグ・ニコテロで[52]、映画の大部分はドイツのポツダムにあるバーベルスベルク・スタジオで撮られ、編集されたものだが[53]、チェコとの国境にほど近い小さなスパタウンであるバートシャンダウも使われている[54]。イーライ・ロスは映画館が燃えるシーンで、「灰になりかけた」といっている。炎は400 °C (750 °F)で燃えるようによう設定していたが、実際には1200 °C (2000 °F)まで温度が上がってしまい、落ちる予定のなかったハーケンクロイツも焼け落ちてしまった。ロスによれば、鉄のケーブルで固定してあったのだが、熱で液状化してしまったのだという.[55]。
カンヌで映画が上映された後に、タランティーノは6月には映画を再編集すると述べた。最終的に映画館で公開するまえに、カンヌで初披露するために急いだことで未完成のままだったシーンがいくつかあり、それを整理して仕上げるためだった[56]
登場人物・キャスト
バスターズ
- アルド・レイン中尉: ブラッド・ピット(日本語吹替:山寺宏一)
- ドニー・ドノウィッツ: イーライ・ロス(日本語吹替:後藤敦)
- ヒューゴ・スティーグリッツ: ティル・シュヴァイガー
- ヴィルヘルム・ヴィッキ: ギデオン・ブルクハルト
- スミッソン・ウティヴィッチ: B・J・ノヴァク
- オマー・ウルマー: オマー・ドゥーム
- ヒルシュベルク上等兵: サム・レヴァイン
- マイケル・ジマーマン上等兵: マイケル・バコール
アメリカ人
- ボー・スヴェンソン
- 無線の声(司令部): ハーヴェイ・カイテル
イギリス人
- アーチー・ヒコックス中尉: マイケル・ファスベンダー(日本語吹替:てらそままさき)
- エド・フェネク将軍: マイク・マイヤーズ
- ウィンストン・チャーチル首相: ロッド・テイラー(日本語吹替:藤本譲)
フランス人
- ショシャナ・ドレフュス(エマニュエル・ミミュー): メラニー・ロラン(日本語吹替:松谷彼哉)
- マルセル: ジャッキー・イド
- ラパディット: デニス・メノシェ
- クリスチャン・ベルケル
- ジャナ・パラスキー
ドイツ人レジスタンス
- ブリジット・フォン・ハマーシュマルク: ダイアン・クルーガー(日本語吹替:田中敦子)
ナチス・ドイツ
- ハンス・ランダ親衛隊大佐: クリストフ・ヴァルツ(日本語吹替:山路和弘)
- フレデリック・ツォラー国防軍一等兵: ダニエル・ブリュール
- ヘルシュトローム親衛隊少佐: アウグスト・ディール
- フランチェスカ・モンディーノ: ジュリー・ドレフュス
- ヨーゼフ・ゲッベルス宣伝大臣: シルヴェスター・グロート
- アドルフ・ヒトラー総統: マルティン・ヴトケ
- ラハトマン軍曹: リシャール・サムエル
- ブッツ二等兵: ソンケ・モーリング
- アレクサンダー・フェリング
- ルドガー・ピストール
- エンツォ・G・カステラーリ
- クエンティン・タランティーノ
その他
- ナレーション: サミュエル・L・ジャクソン(日本語吹替:小林清志)
削除されたキャラクター
スタッフ
- 監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
- 製作:ローレンス・ベンダー
- 製作総指揮:エリカ・スタインバーグ、ロイド・フィリップス、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
- 共同プロデューサー:ヘニング・モルフェンター、カール・チャーリー・ウォベッケン、クリストファー・フィッシャー
- アシスタント・プロデューサー:ピラー・サボーン
- 撮影:ロバート・リチャードソン
- プロダクションデザイン:デヴィッド・ワスコ
- 衣装デザイン:アンナ・B・シェパード
- 編集:サリー・メンケ
- VFXデザイナー:ジョン・ダイクストラ
- 特殊効果メイク:グレゴリー・ニコテロ
- 舞台装飾:サンディ・レイノルズ・ワスコ
- 日本語字幕:松浦美奈
音楽
評価
興行収入
8月21日に全米3165館で公開され、3805万4676ドルを稼いでで週末興行収入1位となった[2]。最終的に全世界で3億ドル以上を稼ぎ[1]、『パルプ・フィクション』の2億1392万8762ドル[3]を超えてクエンティン・タランティーノの監督映画で最大のヒット作となった。
批評家の反応
レビューサイトのRotten Tomatoesでは255件のレビューを集め、89%の支持を得て、平均点は10点満点中7.6だった[57]。特にクリストフ・ヴァルツの演技が評価され、第82回アカデミー賞助演男優賞、第62回カンヌ国際映画祭男優賞をはじめとする様々な賞を獲得している。
2010年1月21日発売の映画雑誌『映画秘宝』において、同誌が選ぶ2009年度ベストテン映画で第1位となった[58]。
受賞・ノミネート
受賞・ノミネート | |||
---|---|---|---|
賞 | 部門 | 対象 | 結果 |
アカデミー賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
作品賞 | ローレンス・ベンダー | ノミネート | |
監督賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
脚本賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
撮影賞 | ロバート・リチャードソン | ノミネート | |
編集賞 | サリー・メンケ | ノミネート | |
録音賞 | Michael Minkler Tony Lamberti Mark Ulano |
ノミネート | |
音響編集賞 | Wylie Stateman | ノミネート | |
ゴールデングローブ賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
監督賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
作品賞(ドラマ部門) | ノミネート | ||
脚本賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
英国アカデミー賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
撮影賞 | ロバート・リチャードソン | ノミネート | |
編集賞 | サリー・メンケ | ノミネート | |
監督賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
プロダクションデザイン賞 | サンディ・レイノルズ・ワスコ デヴィッド・ワスコ |
ノミネート | |
オリジナル脚本賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
グラミー賞 | コンピレーション・サウンドトラック・アルバム賞 (映画・テレビ・ビジュアルメディア部門) |
複数のアーティスト | ノミネート |
サテライト賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
撮影賞 | ロバート・リチャードソン | ノミネート | |
美術監督組合賞 | ピリオド映画、フューチャー映画 | デヴィッド・ワスコ | ノミネート |
全米監督協会賞 | 監督賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート |
全米映画俳優組合賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
助演女優賞 | ダイアン・クルーガー | ノミネート | |
キャスト賞 | ダニエル・ブリュール、アウグスト・ディール、ジュリー・ドレフュス、 マイケル・ファスベンダー、シルヴェスター・グロート、ジャッキー・イド、 ダイアン・クルーガー、メラニー・ロラン、ドゥニ・メノーシェ、 マイク・マイヤーズ、ブラッド・ピット、イーライ・ロス、ティル・シュヴァイガー、ロッド・テイラー、クリストフ・ヴァルツ、 マルティン・ヴトケ |
受賞 | |
全米製作者協会賞 | 映画製作者賞 | ローレンス・ベンダー | ノミネート |
カンヌ国際映画祭 | 男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
パルム・ドール | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
ラスベガス映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
衣装デザイン賞 | アンナ・B・シェパード | 受賞 | |
ハリウッド映画祭 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
オースティン映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
主演女優賞 | メラニー・ロラン | 受賞 | |
オリジナル脚本賞 | クエンティン・タランティーノ | 受賞 | |
ボストン映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
放送映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
アンサンブル演技賞 | 受賞 | ||
アクション映画賞 | ノミネート | ||
美術監督賞 | デヴィッド・ワスコ | ノミネート | |
撮影賞 | ロバート・リチャードソン | ノミネート | |
衣装デザイン賞 | アンナ・B・シェパード | ノミネート | |
監督賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
編集賞 | サリー・メンケ | ノミネート | |
作品賞 | ノミネート | ||
オリジナル脚本賞 | クエンティン・タランティーノ | 受賞 | |
ロサンゼルス映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
ニューヨーク映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
サンディエゴ映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
アンサンブル演技賞 | 受賞 | ||
監督賞 | クエンティン・タランティーノ | 受賞 | |
作品賞 | 受賞 | ||
美術賞 | デヴィッド・ワスコ | 受賞 | |
オリジナル脚本賞 | クエンティン・タランティーノ | 受賞 | |
サウスイースタン映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
ワシントンD.C.映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
監督賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
作品賞 | ノミネート | ||
オリジナル脚本賞 | クエンティン・タランティーノ | 受賞 | |
全米映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | 受賞 |
MTVムービー・アワード | 悪役賞 | クリストフ・ヴァルツ | ノミネート |
サターン賞 | 主演女優賞 | メラニー・ロラン | ノミネート |
助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ | ノミネート | |
助演女優賞 | ダイアン・クルーガー | ノミネート | |
アクション/アドベンチャー/スリラー映画賞 | 受賞 | ||
監督賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
脚本賞 | クエンティン・タランティーノ | ノミネート | |
衣装デザイン賞 | ノミネート |
日本でのキャンペーン
日本では、洋画の面白さに目を向けてもらうために、2009年11月20日から11月23日の4日間、本作を観てつまらないと感じて上映開始後1時間以内に退席した観客には鑑賞料金を返却するという「面白さタランかったら全額返金しバスターズ」キャンペーンが約300館の劇場で行われた。企画者はタランティーノ監督と日本の配給会社の東宝東和。タランティーノは「つまらないと思った人は出て行ってください。残った皆で楽しくやろうじゃないか」と語った[59]。
脚注
- ^ a b c d “Inglourious Basterds (2009)” (英語). Box Office Mojo. 5月27閲覧。accessdateの記入に不備があります。
- ^ a b “Weekend Box Office Result for August 21-23, 2009”. Box Office Mojo. 2009年10月23日閲覧。
- ^ a b “Pulp Fiction (1994)”. Box Office Mojo. 2009年10月23日閲覧。
- ^ Westmark, Jan (July 24, 2008). “Quentin Tarantino Spends Decade Writing WWII Drama”. All Headline News (AHN Media Corp) January 25, 2010閲覧。
- ^ Quentin Tarantino, Charlie Rose (21 August 2009). An hour with Filmmaker Quentin Tarantino about his film 'Inglourious Basterds' (FLV). Charlie Rose. Charlie Rose LLC. 該当時間: 10.38. 2010年2月24日閲覧。
- ^ “Inglourious Basterds: Review By WiseGuy”. MovieWeb. Fandango (September 2009). February 1, 2010閲覧。
- ^ Lee, Marc (March 26, 2009). “Battle of the blockbusters”. The Daily Telegraph (London) February 28, 2010閲覧。
- ^ “There Is A Sense Of Humour In All Of My Movies”. Gomolo.in (October 1, 2009). January 26, 2010閲覧。
- ^ Callaghan, Dylan (October 10, 2003). “Dialogue with Quentin Tarantino”. The Hollywood Reporter (Nielsen Company) .
- ^ a b Lyman, Rick (September 5, 2002). “Tarantino Behind the Camera in Beijing”. The New York Times (The New York Times Company) January 26, 2010閲覧。
- ^ Bowles, Scott (October 6, 2003). “Tarantino goes for the 'Kill'”. USA Today (Gannett Company) January 26, 2010閲覧。
- ^ Jones, Rachel (August 17, 2009). “Tarantino's glorious 'masterpiece'”. The Courier Mail February 28, 2010閲覧。
- ^ a b Carroll, Larry (September 20, 2005). “Tarantino Gushes About 'Grind,' Says Next 'Kill Bill' Is 10 Years Away”. MTV. February 28, 2010閲覧。
- ^ “Quentin Tarantino – Film Maker”. BBC H2G2. BBC. February 28, 2010閲覧。
- ^ Rose, Steve (November 12, 2004). “Tarantino plans old-style kung fu film – in Mandarin”. The Guardian (London: Guardian Media Group) January 26, 2010閲覧。
- ^ “Inglourious Basterds Review”. CBC News. (August 21, 2009) January 18, 2010閲覧。
- ^ a b Wise, Damon (August 15, 2009). “Inglourious Basterds Guide”. The Guardian (London: Guardian Media Group) January 19, 2010閲覧。
- ^ “Inglourious Basterds has one tricky title”. MSNBC.com. Associated Press. (August 27, 2009) January 18, 2010閲覧。
- ^ “Quentin Tarantino on the Inglourious Basterds Trailer”. Empire. Bauer Media Group (February 12, 2009). August 19, 2009閲覧。
- ^ “Glorious Bastard: Tarantino Talks About His Not-A-Holocaust-Movie”. The Forward. Forward Association, Inc (August 21, 2009). February 1, 2010時点のオリジナルよりアーカイブ。September 12, 2009閲覧。
- ^ Letterman, David and Tarantino, Quentin (17 August 2009). "Late Show with David Letterman – Quentin Tarantino Interview". Late Show with David Letterman (English). CBS。
{{cite episode}}
:|access-date=
を指定する場合、|url=
も指定してください。 (説明) - ^ Fleming, Michael (July 15, 2008). “Quentin Tarantino seeks 'Bastards'”. Variety (Reed Business Information) July 29, 2008閲覧。
- ^ Fleming, Michael (August 5, 2008). “Eli Roth on deck for 'Bastards'”. Variety (Reed Business Information) August 6, 2008閲覧。
- ^ Fleming, Michael (May 17, 2009). “Tarantino Reflects On 'Basterds'”. Variety (Reed Business Information) December 23, 2011閲覧。
- ^ a b Stenman, Jim (August 21, 2009). “Tarantino and Pitt: The long-awaited love affair”. CNN (Time Warner) January 31, 2010閲覧。
- ^ a b Ditzian, Eric (August 24, 2009). “Inglourious Basterds Original Cast Plans Called For Leonardo DiCaprio, Adam Sandler”. MTV.com. Viacom. January 18, 2010閲覧。
- ^ Callan, Jonathan (January 15, 2009). “Eli Roth Talks Sci-Fi Movie ENDANGERED SPECIES and More”. Collider.com. January 31, 2010閲覧。
- ^ Kroll, Justin (August 14, 2009). “Film Faux Draws A Double Take”. Variety (Reed Business Information) January 31, 2010閲覧。
- ^ a b Jaafar, Ali (August 19, 2008). “Fassbender in talks for 'Bastards'”. Variety (Reed Business Information) August 20, 2008閲覧。
- ^ Sciretta, Peter (August 6, 2008). “B.J. Novak Cast in Tarantino's Inglorious Basterds”. SlashFilm. /Film. January 1, 2011閲覧。
- ^ Kit, Borys (September 2, 2008). “Tarantino gets his French girl”. The Hollywood Reporter (Nielsen Business Media). オリジナルのFebruary 1, 2010時点におけるアーカイブ。 January 30, 2010閲覧。
- ^ Fleming, Michael (August 29, 2008). “Kruger, Waltz join Tarantino film”. Variety (Reed Business Information) January 30, 2010閲覧。
- ^ a b c Eyman, Scott (August 23, 2009). “Tarantino Comes Calling With A Role For Rod Taylor”. The Miami Herald (The McClatchy Company). オリジナルのOctober 5, 2009時点におけるアーカイブ。 August 20, 2009閲覧。
- ^ “Mike Myers a perfect fit for 'Basterds': Tarantino”. The Canadian Press. CTV News (August 13, 2009). January 31, 2010閲覧。
- ^ “Mike Myers: I Feel So Honored To Be Able To Do What I Do”. Gomolo.in (September 30, 2010). January 18, 2010閲覧。
- ^ “Inglourious Basterds” (PDF). Cannes Festival. January 18, 2010閲覧。
- ^ Vivarelli, Nick (May 19, 2009). “Enzo and Tarantino: 'Basterds' brothers”. Variety (Reed Business Information) January 18, 2010閲覧。
- ^ Goodridge, Mike (May 25, 2010). “Inglourious Basterds Review”. Screen Daily. EMAP Media. January 19, 2010閲覧。
- ^ Nashawaty, Chris (August 19, 2009). “'Inglourious Basterds':Playing spot the Tarantino reference”. Popwatch. Entertainment Weekly. February 22, 2010閲覧。
- ^ “Maggie Cheung Okays with 'Basterds' Cut”. China Daily (People's Republic of China). (May 22, 2009) January 21, 2010閲覧。
- ^ Yuan, Jada (June 19, 2009). “Cloris Leachman on Dancing, Inglourious Basterds, and Her Sex Pact With Ed Asner”. New York (New York Media LLC) February 28, 2010閲覧。
- ^ Maher, Kevin (April 19, 2007). “Has Tarantino Been Flushed Away?”. The Times (London: News Corporation) January 26, 2010閲覧。
- ^ “Tarantino Prepping "Bastards" for an October Start”. Mymovies.net (September 7, 2008). January 25, 2010閲覧。
- ^ “Tarantino Up For Top Cannes Prize”. BBC News (BBC). (April 23, 2009) January 25, 2010閲覧。
- ^ Cieply, Michael (June 7, 2009). “Weinstein Company Takes Step to Ease Debt”. The New York Times february 28. 2010閲覧。
- ^ Kit, Borys (July 29, 2008). “Universal, Weinstein Co. negotiating 'Bastards'”. The Hollywood Reporter (Nielsen Company). オリジナルのFebruary 1, 2010時点におけるアーカイブ。 July 30, 2008閲覧。.
- ^ “Photos and video of the shooting of "Inglourious Basterds" in Paris” (French). kdbuzz.com (December 18, 2008). January 19, 2010閲覧。
- ^ Fleming, Michael (July 29, 2008). “Universal eyes Tarantino's 'Bastards'”. Variety (Reed Business Information) July 29, 2008閲覧。.
- ^ “Quentin Tarantino's "Inglourious Basterds" Began Principal Photography”. WorstPreviews.com (October 15, 2008). January 20, 2010閲覧。
- ^ Fleming, Michael; Tatiana Siegel (August 7, 2008). “Brad Pitt is officially a 'Bastard'”. Variety (Reed Business Information) August 7, 2008閲覧。.
- ^ “Inglourious Basterds Begins”. IGN Entertainment (News Corporation). (October 14, 2008) October 14, 2008閲覧。
- ^ “Contender Q and A With Greg Nicotero”. KNB EFX Group, Inc (December 12, 2009). February 1, 2010時点のオリジナルよりアーカイブ。February 1, 2010閲覧。
- ^ Kulish, Nicholas (February 15, 2009). “Winslet and Cruise Star in a German Studio's Latest Act”. The New York Times (The New York Times Company) January 20, 2010閲覧。
- ^ “Movie Review: Inglourious Basterds”. atnzone.com (August 27, 2009). January 20, 2010閲覧。
- ^ Lee, Chris (August 16, 2009). “Eli Roth barely survives acting in Quentin Tarantino's 'Inglourious Basterds'”. Los Angeles Times (Tribune Company) February 5, 2010閲覧。
- ^ Thompson, Anne (May 25, 2009). “Thompson On Hollywood – Tarantino Update”. Variety (Reed Business Information) May 26, 2009閲覧。.
- ^ “Inglourious Basterds (2009)” (英語). Rotten Tomatoes. IGN Entertainment. 1月31日閲覧。accessdateの記入に不備があります。
- ^ “毒舌御免!映画秘宝が選ぶ2009年トホホな映画はこれ!”. シネマトゥデイ (シネマトゥデイ). (2010年1月22日) 2010年1月23日閲覧。
- ^ “面白くなければ全額返金。ブラピ主演&タランティーノ監督作が太っ腹企画”. チケットぴあ. 2009年11月6日閲覧。