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{{改名提案|AKB48握手会襲撃事件|date=2014年9月}} |
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{{ambox |type=delete| text = 「[[Wikipedia:削除の方針#ケース B-2:プライバシー問題に関して|削除の方針 ケースB-2:プライバシー問題に関して]]」により、[[犯人]]・[[被疑者]]の実名を記載してはいけません。}} |
{{ambox |type=delete| text = 「[[Wikipedia:削除の方針#ケース B-2:プライバシー問題に関して|削除の方針 ケースB-2:プライバシー問題に関して]]」により、[[犯人]]・[[被疑者]]の実名を記載してはいけません。}} |
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{{暫定記事名|date=2014年5月}} |
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{{告知|疑問|AKB48メンバーなどによる犯人に関するコメントは必要か|section=「事件に関するコメント・反応」の節について}} |
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{{Infobox 事件・事故 |
{{Infobox 事件・事故 |
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| 名称 = AKB48握手会傷害事件 |
| 名称 = AKB48握手会傷害事件 |
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| 日付 = 2014年5月25日 |
| 日付 = 2014年5月25日 |
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| 時間 = 16時55分頃 |
| 時間 = 16時55分頃 |
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| 概要 = 握手会会場に男が |
| 概要 = 握手会会場において男がAKB48メンバーらを切りつけた |
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| 原因 = |
| 原因 = |
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| 手段 = |
| 手段 = |
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| 武器 = 折 |
| 武器 = 改造した折りたたみ式のこぎり |
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| 攻撃人数 = |
| 攻撃人数 = 1人 |
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| 標的 = |
| 標的 = AKB48のメンバー |
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| 死亡 = なし |
| 死亡 = なし |
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| 負傷 = [[入山杏奈]]、[[川栄李奈]]、スタッフの男性1名 |
| 負傷 = [[入山杏奈]]、[[川栄李奈]]、スタッフの男性1名 |
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| 損害 = 握手会の打ち切り |
| 損害 = 握手会の打ち切り |
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| 犯人 = [[青森県]]の24歳の男 |
| 犯人 = [[青森県]]の24歳の男 |
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| 容疑 = |
| 容疑 = |
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| 動機 = |
| 動機 = |
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| 関与 = |
| 関与 = |
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| 対処 = 犯人は現行犯逮捕<br/>AKB48劇場での公演およびイベントの一時中止 |
| 対処 = 犯人は現行犯逮捕<br/>AKB48劇場での公演およびイベントの一時中止 |
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'''AKB48握手会傷害事件'''(エーケービーフォーティエイト あくしゅかいしょうがいじけん)は、[[2014年]][[5月25日]]、[[日本]]の[[女性アイドルグループ]]・[[AKB48]]が[[岩手県]][[滝沢市]]の[[岩手産業文化センター]](アピオ)で開催していた握手会のイベントにおいて、[[鋸|のこぎり]]を持った男がグループのメンバー2人とスタッフ1人を切りつけ、負傷させた事件である。'''AKB48握手会襲撃事件'''とも呼ばれる<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃事件で表面化 握手会のキケンな実態 手に唾液や精液を付けてくるケースも|newspaper=ZAKZAK|page=1|date=2014-05-27|url=http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20140527/enn1405271531016-n1.htm|accessdate=2014-09-20}}</ref><ref>{{Cite news|title=AKB川栄、ついにコンサート復帰!|newspaper=nikkansports.com|date=2014-08-18|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140818-1352913.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。 |
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'''AKB48握手会傷害事件'''(エーケービーフォーティエイト あくしゅかいしょうがいじけん)とは、[[2014年]][[5月25日]]16時55分頃<ref name=asahi>{{Cite news |date=2014-5-25 |url=http://www.asahi.com/articles/ASG5T5VXFG5TUJUB009.html |title=AKB握手会、川栄李奈さんと入山杏奈さんら襲われけが |publisher=朝日新聞 |accessdate=2014-05-25}}</ref>、[[岩手県]][[滝沢市]]の[[岩手産業文化センター]](アピオ)で発生した[[殺人罪 (日本)#未遂|殺人未遂]]事件。 |
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事件が発生したのは、AKB48のCDに封入されている参加券があれば誰でも参加できる「全国握手会」とよばれるイベントである。グループのメンバーとファンが握手を行う区画(レーン)のひとつに男が入り、のこぎりを取り出してメンバーの[[川栄李奈]]と[[入山杏奈]]、および2人を守ろうとした男性スタッフを切りつけた。男は周囲にいたスタッフに取り押さえられ、警察に[[殺人未遂]]の容疑で[[現行犯]]逮捕された。切りつけられた3人は[[骨折]]や裂傷を負い、病院へ搬送されてただちに縫合手術を受けた。3人は事件翌日に退院した。 |
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== 概要 == |
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2014年5月25日、岩手産業文化センター(アピオ)では、13:00から21:00までの予定で[[AKB48]]全国握手会<ref>「KING RECORDS presents AKB48全国握手会イベント AKB48祭り powered by [[AKB48ネ申テレビ|ネ申テレビ]]」と題し、AKB48の33rdシングル「[[ハート・エレキ]]」、35thシングル「[[前しか向かねえ]]」購入者を対象にした握手会イベント。</ref><ref name=asahi /><ref>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://www.fukuishimbun.co.jp/nationalnews/CO/main/840908.html |title=AKB襲われ川栄さんら3人けが 岩手の会場、のこぎり男逮捕 |publisher=福井新聞 |accessdate=2014-05-25}}</ref>が開催され、AKB48のメンバー約50名が参加していた<ref name=jiji>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2014052500155 |title=AKB川栄さんら切られけが=握手会で、青森の男逮捕—岩手 |publisher=時事ドットコム |accessdate=2014-05-25}}</ref>。 |
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犯人は[[青森県]][[十和田市]]に住む当時24歳の男で、[[発達障害]]をもっている。2014年1月に仕事を失っており、犯行動機はテレビでAKB48を見て「収入が多い」「自分とは正反対」などと不満に思ったことであった。5月に岩手県でAKB48の握手会が行われることを知った男は、その参加券を入手し、自宅ののこぎりに[[カッターナイフ]]の刃を貼りつけるという改造を加えた。こののこぎりを持って握手会に参加し、参加者の列が短かったレーンを狙って犯行に及んだ。男は逮捕後、[[精神鑑定]]が行われた。その結果[[責任能力]]が問えると判断され、[[傷害罪]]および[[銃砲刀剣類所持等取締法|銃刀法]]違反罪で起訴された。 |
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同日16時55分頃、24歳の男がジャンパーの中から全長約50cmの[[鋸]]を取り出して暴れ<ref name=jiji /><ref>{{Cite news |title=元AKB48劇場総支配人、戸賀崎氏 現場の生々しい様子明かす |newspaper=msn産経ニュース |date=2014-05-27 |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140527/crm14052708260006-n1.htm |accessdate=2014-05-27}}</ref>、メンバーの[[入山杏奈]]・[[川栄李奈]]と、2人を庇った会場整理のアルバイトの男性1人を切りつけた<ref name="cn726top">日本経済新聞 2014年5月26日、39面</ref>。切りつけた男は、その場で[[スタッフ]]に取り押さえられ、駆け付けた[[岩手県警察]][[盛岡西警察署]]の[[警察官]]らにより殺人未遂の[[現行犯]]で[[逮捕]]された<ref name=nhk>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140525/k10014712271000.html |title=AKB握手会 メンバーら3人切りつけられけが 岩手 |publisher=NHK |accessdate=2014-05-25}}</ref><ref>{{Cite news |date= |url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140525-1306953.html |title=AKB襲った容疑者「私がやりました」 |publisher=日刊スポーツ |accessdate=2014-05-25}}</ref>。切りつけられた3人は[[高度救命救急センター|岩手県高度救命救急センター]]に搬送されたが、意識はあり命に別状はなかった<ref name=nhk />。[[AKB48劇場]]支配人の湯浅洋によると、メンバーの2人は握手会の心配をしていたという<ref name=mainichi>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://mainichi.jp/select/news/20140526k0000m040134000c.html |title=AKB48襲撃:けがの2人縫合手術 意識はしっかり |publisher=毎日新聞 |accessdate=2014-05-25}}</ref>。また、AKB48グループカスタマーセンター長の[[戸賀崎智信]]は自身の[[Google+]]で事件の経緯について声明文を発表している<ref>[https://plus.google.com/103388469578205010447/posts/7cQjXXrvrDL 昨日、岩手での握手会にて起きた事件につきまして、ファンの皆様にご報告させて頂きます。] 戸賀崎智信のGoogle+ 2014年5月26日閲覧。</ref>。入山杏奈は右手小指の骨折と裂傷および頭部の裂傷、川栄李奈は右手親指の骨折と裂傷<ref>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140525/akb14052523120005-n1.html |title=AKBメンバー切りつけ事件、川栄と入山は指骨折で手術 |publisher=sanspo.com |accessdate=2014-05-25}}</ref><ref>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/Cfettp01405250066.html |title=〈速報〉襲われたAKB川栄、入山は骨折…緊急手術 |publisher=朝日新聞デジタル |accessdate=2014-05-25}}</ref>、男性スタッフは左手を骨折<ref>{{Cite news |date= 2014-05-25|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140525-1307003.html |title=襲われたAKB川栄ら入院…握手会を心配 |publisher=日刊スポーツ |accessdate=2014-05-25}}</ref>と診断され、3人は同日夜に緊急[[手術]]を受けた。同じレーンには他に大島涼花、[[倉持明日香]]、[[高城亜樹]]がいた<ref>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://topics.jp.msn.com/entertainment/general/article.aspx?articleid=4502731 |title=AKB48握手会に刃物男乱入 川栄李奈、入山杏奈負傷「命に別条なし」 |publisher=msn |accessdate=2014-05-25}}</ref>が、この3人は負傷しなかった。 |
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事件は日本のワイドショーなどで合計10時間以上を割いて報道されたほか、日本国外でも多くの報道がされた。事件に関する報道の中には、AKB48の握手会そのものや、握手会の参加券をCDに封入するAKB48の販売手法を事件とからめて扱うものがあり、こうした報道の一部に対する批判や、その批判を過剰だとする意見が出たほか、インターネット上で大衆から批判が出た報道もある。事件については様々な議論や分析がなされ、握手会における警備体制に関する批判がなされたほか、握手会それ自体についても賛否が出た。この事件はアイドルに特有の事例ではなく、有名人を標的にした事件のひとつであると複数の批評家により指摘されている。 |
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その後、5月26日の18時30分頃に入山と川栄は岩手県高度救命救急センターから退院し、その際に簡単な会見を実施した<ref>[http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140526-1307421.html AKB川栄と入山が退院「もう大丈夫」] 日刊スポーツ 2014年5月26日閲覧。</ref><ref>{{Cite news |title=AKB川栄さん入山さん退院 けがした手、布で覆い |newspaper=朝日新聞デジタル |date=2014-05-26 |url=http://www.asahi.com/articles/ASG5V6KT1G5VUJUB01D.html |accessdate=2014-05-27}}</ref><ref>[http://showbiz.chinatimes.com/showbiz/130511/172014052600449.html 平安出院!AKB48被刺團員:讓大家擔心了] 中時電子報{{zh icon}} 2014年5月26日閲覧。</ref>。 |
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事件の影響は多方面に及んだ。切りつけられた川栄と入山は療養を要し、事件後段階的に活動復帰を果たしたものの、しばらくの間負傷部位を[[ギプス]]で固定したまま芸能活動を行うことになった。AKB48の運営会社には、各種イベントにおける警備強化、安全対策を行うよう警察から要請が入り、その後AKB48劇場での公演は厳戒態勢のもとで行われることになった。6月7日実施のイベントおよび6月8日実施のコンサートにおいては、7万人を[[金属探知機]]で検査するという措置が取られた。握手会イベントは、6月末までに実施が予定されていたものが延期となり、7月から厳戒態勢のもとで再開された。このほかにも、事件直後にメンバーがSNSを自粛するなどの影響もあった。AKB48の姉妹グループや、AKB48のライバルとして活動するグループにも影響が及んだほか、それ以外のアイドルなども、事件直後に予定されていた各種イベントを中止としたり、内容を変更したりする措置をとった。一部の映画関係のイベントでも警備強化がなされた。また、事件直後、AKB48に関連するいくつかのテレビ番組が放送を延期するなどの措置をとり、一部のCMも放送の自粛が検討された。事件はAKB48のドキュメンタリー映画でも扱われた。 |
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=== 当日の警備体制 === |
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主催者の[[キングレコード]]によると、制服警備員、会場整理スタッフ約100名が警備にあたり、参加者に握手前に両手を広げてもらい目視でチェックしていたとのこと<ref>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://newslounge.net/archives/128810 |title=AKB48岩手握手会 主催者キングレコード「当日は約100人のチェック体制をとっていた」 |publisher=芸能ニュースラウンジ |accessdate=2014-05-25}}</ref>。参加者によれば手荷物検査はなかったとのことだが<ref name=mainichi /><ref>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://www.mbs.jp/news/jnn_2209594_zen.shtml |title=AKB握手会にのこぎり男、メンバーら3人けが |publisher=[[MBSテレビ|MBS]] |accessdate=2014-05-25}}</ref><ref>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140525-1306834.html |title=川栄、入山襲われた!AKB握手会に刃物男 |publisher= 日刊スポーツ |accessdate=2014-05-25}}</ref>、実際にはランダムに実施されていた<ref name=asahi26>{{Cite news |date=2014-05-26 |url=http://www.asahi.com/articles/ASG5T6T88G5TUTIL01R.html?iref=com_alist_6_02 |title=AKB握手会場、突然の悲鳴 手荷物検査はランダム |publisher=朝日新聞 |accessdate=2014-05-26}}</ref>。 |
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== 背景 == |
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AKB48は、[[シングル]]CDのリリースに際して握手会のイベントを行っている。握手会は全国握手会、個別握手会の2種類に分けられる<ref name="sponichi20140714">{{Cite news|title=ゆきりん全国握手会再開喜ぶ「皆さんに会える機会が増えてうれしい」|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-07-14|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/14/kiji/K20140714008562940.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。全国握手会はシングルCDのうち初回盤に付属している握手券で参加することができるイベントである。イベント開始時にはミニライブが行われ、その後、握手が行われる。イベントに参加するAKB48メンバーは30人から50人ほどである<ref>{{Cite news|title=AKB握手会 手を離さないファンには「剥がし」スタッフ出動|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-26|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/26/kiji/K20140526008237010.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。握手をする時、テントを用いた「レーン」とよばれるいくつかの区画が設けられ、メンバーはそれぞれ決められたレーンに待機しており、ファンはレーンを選んで好きなメンバーと握手することができる。それぞれのレーンには1人から複数人のメンバーが待機している<ref name="nikkan20140526 hagashi">{{Cite news|title=「はがし」スタッフも/AKB握手会|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-26|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140526-1307090.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。全国握手会は、握手券を所持していれば誰でも参加することができる<ref name="sponichi20140714" />。一方、個別握手会はシングルCDのうち劇場盤に付属している握手券で参加できるイベントである。劇場盤はインターネットの特定のサイトを通してのみ購入できる<ref name="nikkan20140526 hagashi" />。個別握手会に参加するにあたっては事前の申し込みが必要であり、その際に自分の個人情報などを入力したうえで握手したいメンバーを選ぶ必要がある<ref name="sponichi20140714" />。全国握手会とは異なり、どの参加メンバーとも1対1で握手することができる<ref name="nikkan20140526 hagashi" />。 |
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握手会においては、参加メンバーの安全確保のために警備などが行われている。従来の握手会においては、レーンごとに10人前後の警備員と整理スタッフが配置され、スタッフはファンに対し、両手を広げたり、手の装飾品を外したりするよう指示を出していたが、ファンが持っている荷物については、時間短縮のため通常は検査が行われていなかった<ref name="sanspo20140526 otoshiana p2">{{Cite news|title=AKB握手会に“落とし穴”…手荷物検査しない甘い危機管理|newspaper=SANSPO.COM|page=2|date=2014-05-26|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140526/akb14052605060008-n2.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。 |
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2014年5月25日、AKB48は岩手県滝沢市の岩手産業文化センターにおいて握手会イベントを開催していた<ref>{{Cite news|title=AKB川栄&入山、握手会で切られた…骨折や裂傷などで緊急手術|newspaper=SANSPO.COM|page=1|date=2014-05-26|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140526/akb14052605090002-n1.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。この日の握手会イベントは、グループのシングル「[[ハート・エレキ]]」および「[[前しか向かねえ]]」のリリースに伴って行われたものであり、握手会の種類は全国握手会であった。参加したメンバーは47人で、レーンの数は10であった<ref>{{Cite news|title=AKB川栄&入山、握手会で切られた…骨折や裂傷などで緊急手術|newspaper=SANSPO.COM|page=4|date=2014-05-26|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140526/akb14052605090002-n4.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。13時からミニライブが行われ、その後握手会が開始された。終了時刻は21時の予定であった<ref name="sanspo20140526 shujutsu p3">{{Cite news|title=AKB川栄&入山、握手会で切られた…骨折や裂傷などで緊急手術|newspaper=SANSPO.COM|page=3|date=2014-05-26|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140526/akb14052605090002-n3.html|accessdate=2014-11-18}}</ref>。入場したファンは約5000人であった<ref>{{Cite news|title=AKB握手会で凶行、刃物男に切られた|newspaper=デイリースポーツ|page=3|date=2014-05-26|url=http://www.daily.co.jp/gossip/2014/05/26/2p_0006993679.shtml|accessdate=2014-09-13}}</ref>。このイベントにおける警備体制について、主催者である[[キングレコード]]は「制服警備員、会場整理スタッフ約100名が警備にあたっており、握手前には両手を広げていただくチェック体制をとっておりました」と説明している<ref>{{Cite web|title=【ご報告】2014年5月25日開催 AKB48 岩手握手会について|publisher=キングレコード|date=2014-05-25|url=http://www.kingrecords.co.jp/cs/pages/20140525_AKB48.aspx|archivedate=2014-05-25|archiveurl=http://web.archive.org/web/20140525235528/http://www.kingrecords.co.jp/cs/pages/20140525_AKB48.aspx|accessdate=2014-09-13}}</ref>。手荷物検査について、キングレコードによると「トラブルがあると、今後のイベント継続が難しくなる」という理由で行っていなかったという一方<ref name="sanspo20140526 otoshiana p2" />、AKB48の事務所によるとランダムで行っていたという<ref name="asahi26">{{Cite news|date=2014-05-26|url=http://www.asahi.com/articles/ASG5T6T88G5TUTIL01R.html?iref=com_alist_6_02|title=AKB握手会場、突然の悲鳴 手荷物検査はランダム|newspaper=朝日新聞|accessdate=2014-09-13}}</ref>。 |
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== 事件の発生 == |
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事件は握手会イベント中の16時55分に発生した<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃 川栄、入山が指骨折・裂傷|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-25|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/25/0006992378.shtml|accessdate=2014-09-13}}</ref>。発生場所は第6レーンのテントであった。第6レーンには5人のAKB48メンバーが待機しており、入口側から[[川栄李奈]]、[[入山杏奈]]、[[大島涼花]]、[[倉持明日香]]、[[高城亜樹]]の順に並んでいた。このレーンのテントに[[鋸|のこぎり]]を持った男が入り、川栄李奈、入山杏奈、および男性スタッフの3人を負傷させた<ref name="sponichi20140526 kirareta">{{Cite news|title=AKB切られた!悪夢のこぎり男襲撃 血染めの握手会|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-26|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/26/kiji/K20140526008235550.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。AKB48グループカスタマーセンター長の[[戸賀崎智信]]によると、男は手荷物を何も持たずにテントに入った。そしてジャンパーの内側から凶器を取り出し、川栄および入山を切りつけた。そばにいた男性スタッフは、男の凶器を素手でつかみ、AKB48メンバーを守ろうとしたものの、男に振り払われたという<ref>[https://plus.google.com/103388469578205010447/posts/7cQjXXrvrDL 戸賀崎智信のgoogle+ 2014年5月26日の投稿] 2014年9月13日閲覧。</ref>。なお[[岩手県警]]によると、事件発生時に叫び声などは上がっていなかったということであり、男はテントに入って無言でメンバーに襲いかかったとみられている<ref>{{Cite news|title=無言で突然AKB襲撃か ノコギリ男|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-28|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140528-1308259.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。男はその後、周囲のスタッフにより取り押さえられた<ref>{{Cite news|title=AKBメンバー切りつけ事件、川栄と入山は指骨折で手術|newspaper=SANSPO.COM|page=1|date=2014-05-25|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140525/akb14052523120005-n1.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。関係者によると、男性スタッフがメンバーを守ろうと動いたことにより、周囲のスタッフたちは事件発生に気付くことができたという<ref name="nikkan20140527">{{Cite news|title=ノコギリを20歳のバイトが素手でつかむ|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-27|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140527-1307615.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。事件のあった一角はすぐに暗幕で覆われ、会場にいたある男性ファンによると、会場で流れていたBGMも止まったという<ref name="nikkan20140526 nokogiri">{{Cite news|title=AKB川栄らノコギリ男に襲われ緊急手術|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-26|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140526-1307061.html|accessdate=2014-11-18}}</ref>。16時59分、警察への通報があった<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃 川栄、入山が指骨折・裂傷|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-05-25|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/25/1p_0006992378.shtml|accessdate=2014-09-13}}</ref>。17時08分<ref>{{Cite news|title=XX容疑者、AKBに思い入れなし「殺すのは誰でもよかった」…AKB襲撃事件|newspaper=スポーツ報知|date=2014-05-27|url=http://www.hochi.co.jp/entertainment/20140526-OHT1T50304.html|accessdate=2014-09-14}}</ref>、男は駆け付けた[[盛岡西警察署]]の署員により殺人未遂容疑で[[現行犯]]逮捕された<ref name="sanspo20140526 shujutsu p3" />。AKB48の握手会においては、ファン同士によるトラブルなどが過去にあったものの、グループのメンバーが傷害を受ける刑事事件が発生したのは初めてである<ref name="sponichi20140526 kirareta" />。なお、負傷した男性スタッフは東北地方のコンサートの制作やプロモートに関わるイベント制作会社「ニュース・プロモーション」のアルバイトスタッフであり、この日の握手会イベントで会場整理を担当していた<ref name="nikkan20140527" />。 |
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事件の発生により、握手会イベントは途中で中止された<ref>{{Cite news|title=AKB48岩手握手会で川栄、入山が暴漢に襲われ負傷|newspaper=音楽ナタリー|date=2014-05-25|url=http://natalie.mu/music/news/117422|accessdate=2014-09-13}}</ref>。負傷した3人は、[[盛岡市]]にある[[岩手県高度救命救急センター]]へと救急搬送された<ref name="sanspo20140526 shujutsu p2">{{Cite news|title=AKB川栄&入山、握手会で切られた…骨折や裂傷などで緊急手術|newspaper=SANSPO.COM|page=2|date=2014-05-26|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140526/akb14052605090002-n2.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。川栄のけがは右手親指の[[骨折]]および裂傷であり、入山のけがは右手小指の骨折および裂傷、ならびに頭部の裂傷であった<ref>{{Cite news|title=AKB川栄&入山が退院 ともに「ありがとうございました」|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-26|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/26/kiji/K20140526008239690.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。2人は救急センターにおいて、21時から翌26日0時まで3時間にわたる裂傷の縫合手術を受けた<ref name="sanspo20140526 shujutsu p2" />。男性スタッフのけがは左手の骨折であり<ref>{{Cite news|title=襲われたAKB川栄ら入院…握手会を心配|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-25|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140525-1307003.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>、25日夜に2 - 3時間の手術を受けた<ref name="nikkan20140527" />。一方、握手会に参加していたほかのAKB48メンバーは、スタッフに付き添われつつ20時40分ごろ[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)[[盛岡駅]]に到着し<ref name="nikkan20140526 ainiikeru">{{Cite news|title=「会いに行けるAKB」再考も|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-26|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140526-1307069.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>、同駅20時50分発の新幹線で東京へ戻った<ref name="sanspo20140526 shujutsu p2" />。[[東京駅]]および[[上野駅]]には報道陣が詰めかけていたが、新幹線の乗客などによると、混乱を避けるためか、AKB48メンバーは手前の[[大宮駅 (埼玉県)|大宮駅]]で降車したという<ref name="nikkan20140526 ainiikeru" />。 |
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負傷した3人は26日、岩手県高度救命救急センターを退院した。まずは午前中に男性スタッフが退院した<ref name="nikkan20140527" />。18時30分、川栄と入山も退院した<ref name="daily20140526">{{Cite news|title=AKB川栄、入山が退院 腕にはタオル|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-26|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/26/0006995189.shtml|accessdate=2014-09-13}}</ref>。川栄と入山については27日の昼ごろに退院する予定であったが、AKB48の運営側によると、医師から退院の許可が出たため、急遽退院を決定したという<ref name="sponichi20140527">{{Cite news|title=川栄&入山 急きょ前倒し退院 車椅子も用意されていた|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-27|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/27/kiji/K20140527008241080.html|accessdate=2014-09-13}}</ref>。川栄は痛み止めと薬の影響で足元がふらついており、車椅子での退院が考えられたが、これを用いずに退院することができた<ref name="daily20140526" />。2人は右手にギプスを装着していた。退院時、救急センターにはおよそ60人の取材陣が詰めかけており、2人は取材陣に簡単なあいさつをしたあと、運営側が用意した車両に乗って東京へと戻った<ref name="sponichi20140527" />。 |
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== 犯人について == |
== 犯人について == |
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川栄、入山、男性スタッフを切りつけて逮捕されたのは、[[青森県]][[十和田市]]の男であり、当時24歳であった<ref>{{Cite news|title=AKB川栄ら襲った24歳のこぎり男逮捕|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-25|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140525-1306866.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。 |
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逮捕された24歳の男は[[青森県]][[十和田市]]の出身で、祖父と母との3人暮らしだった。[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]系の[[情報番組]]『[[スッキリ!!]]』の取材によると、中学時代は[[陸上部]]に所属、青森県大会の800メートル走で2位になるなど、俊足で鳴らしていた。しかし、高校に進学してから[[いじめ]]に遭うようになり、母親に「学校を辞めたい」とこぼすようになる。結局、2年生の夏に退学し、[[高等学校通信教育|通信制高校]]に入学し直す。在学中からアルバイトで働き、給料も全て家に入れていた。高校卒業後は地元・十和田市内で働いたのち[[大阪府|大阪]]へ移り、警備会社に住み込みで勤務。給料は3万円を残して全て母親に仕送りしていたという。しかし、大阪で精神的に不安定となり、体調を崩して自ら[[精神科]]を受診。そこで、「対人関係が上手くいかず、環境に馴染めない」傾向のあることが分かり、[[発達障害]]と診断される。2013年に実家へ戻り、青森県から[[精神障害者保健福祉手帳]]二級の交付を受けている。その後、青森で再び警備員として就職し、障害者手帳を市役所に返却するも、仕事は長く続かず、2014年1月からは仕事を探すこともしなくなり、[[引きこもり]]に近い生活を送っていた<ref name="j-cast">{{Cite news |title=AKB襲撃のxx「発達障害」の診断! 母親「私に楽させようとコツコツ仕送り」 |newspaper=[[J-CASTニュース]] |date=2014-05-28 |author= |url=http://www.j-cast.com/tv/2014/05/28205936.html?p=all |accessdate=2014-08-24}}</ref>。 |
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=== 犯人の過去 === |
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この事件について、AKB48グループ総監督を務める[[高橋みなみ]]は、「ファンの皆さんとメンバーで作り上げてきたAKB48。ファンでもなかった1人の身勝手な行動で壊したくないです」「(誰でもよかった、という犯行動機について)そんなことあってもいいのでしょうか? 私たちはこんなやつのためにこんな事が起こるために握手をしてるわけじゃなかったはずです。」「ファンのみんなと築いてきた絆とメンバーの思いをなめないでほしい」と犯人の男を厳しく非難するコメントを出した<ref>{{Cite news|date=2014-05-28|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140528-1308322.html|title=高橋みなみ「なめないでほしい」|newspaper=nikkansports.com|publisher=日刊スポーツ新聞社|accessdate=2014-06-24}}</ref>。その他のメンバー・元メンバーからも犯人を非難するコメントや握手会の存続を危ぶむコメントが出されており<ref>{{Cite web |date=2014-05-28 |url=http://ameblo.jp/asuka-kuramochi-we/archive1-201405.html |title=現実。 |publisher=倉持明日香オフィシャルブログ『Dear』 |accessdate=2014-08-24}}</ref><ref>{{Cite news |title=AKB襲撃 OGも心配&憤り 小野恵令奈「心の傷は治らない」 |newspaper=[[スポーツニッポン|Sponichi Annex]] |date=2014-05-26 |author= |url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/26/kiji/K20140526008238370.html |accessdate=2014-08-24}}</ref><ref>{{Cite web |date=2014-05-27 |url=http://ameblo.jp/akimotoo0726/entry-11863364602.html |title=無題 |publisher=秋元才加オフィシャルブログ『ブキヨウマッスグ。』 |accessdate=2014-08-24}}</ref><ref>{{Cite web |date=2014-05-28 |url=http://mdpr.jp/news/detail/1368001 |title=板野友美が怒り「本当に許せません」 |publisher=[[モデルプレス]] |accessdate=2014-08-24}}</ref>、[[#影響|下記]]の通り他のアイドルグループや音楽グループの活動にも多大な影響を及ぼした<ref>{{Cite web |date=2014-06-04 |url=http://www.entamenext.com/news/detail/id=611 |title=AKB48の握手会襲撃事件が芸能界全体におよぼす影響 |publisher=エンタメNEXT |accessdate=2014-08-29}}</ref>。 |
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男は中学時代、陸上部に所属しており、青森県大会の800メートル走で2位になるなどの実績を残し、地元で知られている人物であった。その後、男は地元の高校に入学して陸上部に入った。しかし、入学後1週間で学校をやめたいと言った。男の母親によると、男は先輩などから言葉による[[いじめ]]を受けていたという。男は高校を2年生の夏に退学し、[[通信制]]の学校に転校した。男は体の弱い母親を助けたいという気持ちが強く、アルバイトをして給料をすべて家庭に入れていたという<ref name="j-cast20140528">{{Cite news|title=AKB襲撃のXX「発達障害」の診断!母親「私に楽させようとコツコツ仕送り」|author=ヤンヤン|newspaper=J-CASTニュース|date=2014-05-28|url=http://www.j-cast.com/tv/2014/05/28205936.html?p=all|accessdate=2014-11-16}}</ref>。 |
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事件の2年前の2012年、仕事の給料が高いという理由で男は[[大阪府]]へ引っ越した<ref name="j-cast20140528" />。男は[[吹田市]]の[[人材派遣]]会社に登録して、同年12月中旬から翌2013年3月末にかけて建設現場で交通整理の警備員をし、同市の社員寮で暮らしていた<ref>{{Cite news|title=容疑者母「AKBの話、聞いたことない」 握手会襲撃|newspaper=朝日新聞デジタル|date=2014-05-26|url=http://www.asahi.com/articles/ASG5V3F5PG5VUTIL00D.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。そこでも給料のほとんどを家庭に入れるという生活をしていたものの、男は精神的に不安定な状態となり、体調を崩して[[精神科]]を受診した際、[[発達障害]]と診断された。2013年5月になると男は実家へ戻り、青森県から[[精神障害者保健福祉手帳]]2級の交付を受けた。その後、[[警備会社]]の仕事を見つけたものの、この仕事は長く続かなかった<ref name="j-cast20140528" />。初公判における検察の冒頭陳述によると、男は2014年1月に警備会社を解雇されていた<ref name="nikkan20141105">{{Cite news|title=AKB襲撃犯、初公判で超身勝手な動機|author=森本隆|newspaper=nikkansports.com|date=2014-11-05|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20141105-1392037.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。 |
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=== 犯行までの経緯・動機 === |
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凶器は自宅にあった折り畳み式の鋸で、刃の反対側には[[カッターナイフ#折る刃式カッターナイフ|カッターナイフ]]の替え刃が取り付けられており、殺傷力を高めるような改造が施されていた<ref>{{Cite news |title=AKB襲撃の容疑者、ノコギリ刃の逆側にカッター刃装着 |newspaper=[[朝日新聞デジタル]] |date=2014-05-28 |author= |url=http://www.asahi.com/articles/ASG5X6D20G5XUJUB014.html |accessdate=2014-08-24}}</ref>。これを折り畳んで手提げ袋に入れて、会場に持ち込んでいる。男は握手会前日の5月24日早朝、母親に「眠れないから散歩に行く」と告げ、自転車で外出。母親によると、外出してから行方が分からなくなったという。逮捕後の取り調べでは、自宅のある十和田市から会場のある滝沢市まで、およそ116kmを[[自転車]]で向かったと供述している<ref>{{Cite news |title=AKB襲撃の容疑者 自転車で116キロ移動か? |newspaper=[[スポーツニッポン|Sponichi Annex]] |date=2014-05-26 |author= |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140526/crm14052617290023-n1.htm |accessdate=2014-08-24}}</ref>。 |
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男の母親によると、男は普段、食事と散歩をするとき以外は部屋に引きこもっていたという<ref name="sponichi20140527">{{Cite news|title=AKB襲撃容疑者 母校の中学校長「無口でおとなしい子」|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-27|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/27/kiji/K20140527008243640.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。 |
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犯行動機について当初は「人の集まるところで人を殺そうと思ってやった。誰でもよかった」と供述。事件当日は、AKB48グループのCDに封入されている「握手券」で会場に入ったとみられるが、家族によれば、自宅にはAKB48関連のグッズ等は無く、普段の話などからも熱狂的なファンとの印象はなかったという。また、負傷させた川栄と入山については「メンバーの名前は知らなかった」と話している<ref>{{Cite news |title=「誰でもよかった」とxx容疑者「殺そうと思った」 |newspaper=[[産経新聞|MSN産経ニュース]] |date=2014-05-26 |author= |url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/28/kiji/K20140528008249290.html |accessdate=2014-08-24}}</ref><ref>{{Cite news |title=ノコギリ男「AKBなら誰でもよかった」 |newspaper=[[日刊スポーツ|nikkansports.com]] |date=2014-05-28 |author= |url=http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20140528-1308071.html |accessdate=2014-08-24}}</ref>。 |
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=== 動機と犯行までの経緯 === |
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逮捕直後の男の供述や、11月4日に行われた事件の初公判における検察の冒頭陳述により、犯行動機や犯行までの経緯が明らかにされている。 |
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当初は無差別殺傷だったことを示唆していたが、供述が二転三転したり、負傷させた川栄・入山ら3人に対する謝罪や反省の態度も見られないことから、[[盛岡地方検察庁]]は[[責任能力]]の存在を裏付ける目的で[[盛岡簡易裁判所]]に[[精神鑑定]]を申請、6月5日に受理され、男は6月6日から7月29日までの予定で鑑定留置されている |
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<ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140606/crm14060618190009-n1.htm XX容疑者に精神鑑定実施へ 責任能力裏付ける狙いか] 産経新聞 2014年6月6日<br />記事タイトルにある容疑者の苗字は「XX」で伏せている。</ref>。盛岡簡裁は男に対する鑑定留置について7月29日に9月2日までの延長を認めた。 |
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犯行の動機は、AKB48に対する男の一方的な逆恨みであった<ref name="nikkan20141104">{{Cite news|title=一方的な逆恨み…AKB襲撃犯容疑認める|newspaper=nikkansports.com|date=2014-11-04|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20141104-1391811.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。男は2014年1月に警備会社を解雇され、再就職にも失敗した。仕事も収入もない状態に陥った男は、テレビでAKB48を見て「多額の収入があるAKBは、収入も職もない、つまらない自分と正反対」と思い、不満を抱いた。そして、不満を解消するために犯行を思い立った<ref name="nikkan20141105" />。男は3月末、岩手県滝沢市で握手会が行われるということを自宅の近くにある図書館のパソコンから知り、4月上旬に握手券が付属しているAKB48のCDを2枚購入した<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃 不満晴らそうと犯行|newspaper=河北新報オンラインニュース|date=2014-11-05|url=http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201411/20141105_33027.html|archivedate=2014-11-05|archiveurl=http://web.archive.org/web/20141105022702/http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201411/20141105_33027.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。 |
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盛岡地検は9月11日、男を[[傷害罪]]と[[銃刀法]]違反で起訴した。鑑定留置の結果刑事責任を問うことは可能と判断し、殺意については十分な立証ができなかったことから殺人未遂から傷害罪に切り替えての起訴となった<ref>{{cite web|url=http://www.yomiuri.co.jp/national/20140911-OYT1T50135.html|title=AKB48襲撃、傷害罪などで24歳男を起訴|publisher=読売新聞|date=2014-09-12|accessdate=2014-09-13}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.asahi.com/articles/ASG9C6422G9CUJUB016.html|title=AKB切りつけ事件、容疑者を傷害罪で起訴 盛岡地検|publisher=朝日新聞|date=2014-09-11|accessdate=2014-09-13}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140911/k10014540721000.html|title=AKB握手会切りつけ 傷害などで起訴|publisher=NHK|date=2014-09-11|accessdate=2014-09-13}}</ref>。 |
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犯行にあたって、男はAKB48のメンバーを攻撃するための凶器を用意した。用意されたのは、もともと男の自宅にあったのこぎりである<ref name="sponichi20140529">{{Cite news|title=のこぎりの背にカッターの刃…XX容疑者「自宅で貼り付けた」|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-29|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/29/kiji/K20140529008256550.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。2つ折りにするタイプののこぎりであり、伸ばしたときの全長は約50cmとなる<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃容疑者「人の集まるところで人を殺そうと…」 |newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-27|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/27/kiji/K20140527008243680.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。刃渡りはおよそ20.6cmである<ref name="iwate20140912">{{Cite news|title=傷害罪などで容疑者を起訴 滝沢・AKB切りつけ事件|newspaper=岩手日報|date=2014-09-12|url=http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20140912_2|accessdate=2014-11-16}}{{リンク切れ|date=2014年11月}}</ref>。男はこののこぎりにひとつの手を加えた。それは、接着剤を用いてのこぎりにカッターナイフの刃を4枚貼り付けるという改造であった<ref name="hochi20141105">{{Cite news|title=AKB襲撃男「メンバーの高収入に不満」厳戒初公判で傷害罪認める|newspaper=スポーツ報知|date=2014-11-05|url=http://www.hochi.co.jp/topics/20141104-OHT1T50219.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。カッターナイフの刃はそれぞれ刃渡りおよそ12.6cmであり、男はこれらをのこぎりの刃体の両面に貼り付けた<ref name="iwate20140912" />。そして、男は実際にダンボールを切ってみることにより、改造を施したこの凶器の切れ味を確かめていた<ref name="nikkan20141105" />。 |
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事件前日になり、男は自宅を出て握手会会場へ向かった。男の家族によると、男は5月24日の午前4時30分ごろに「眠れないから散歩に行く」と言って自転車で家を出ており、この際、手提げ袋を持っていたという<ref name="sponichi20140526">{{Cite news|title=AKB襲撃 「殺そうと思った。誰でもよかった」容疑者が供述|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-26|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/26/kiji/K20140526008239750.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。その後、男はバスや電車を乗り継ぎ、5月25日、AKB48の握手会会場に到着した<ref name="nikkan20141105" />。同日13時、イベントが始まった時刻から男はファンの列に並んでいた<ref name="sanspo20140526 shujutsu p3" />。十和田市にある男の自宅から滝沢市にある握手会会場までは、およそ116kmある<ref name="sponichi20140528">{{Cite news|title=AKB襲撃のXX容疑者 自転車で116キロ移動か?|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-28|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/28/kiji/K20140528008249290.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。 |
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その後始まった握手会において、男は犯行に及んだ。男は攻撃を加える対象について「メンバーなら誰でも良かった」と考えていた<ref name="hochi20141105" />。はじめに、持っていた2枚の握手会参加券のうちの1枚を用いてレーンを下見した。下見を終えた男は、ファンの列が短いレーンのほうがすぐに犯行に及べると考え、列が短かったひとつのレーンを犯行の場所として選んだ。このレーンが、事件の被害者となる川栄と入山のいたレーンであった<ref name="nikkan20141105" />。男はレーンに入ると、2人を襲った。凶器は手提げ袋の中に隠し持っていた<ref name="nikkan20141104" />。男はこの凶器でレーンの手前側にいた川栄を襲い、川栄がしゃがみ込んだ際、標的を入山に変えた<ref name="nikkan20141105" />。男は2人の頭部に向かって凶器を振り下ろしており<ref name="hochi20141105" />、頭部を守ろうとした川栄と入山の手を負傷させた<ref name="nikkan20141105" />。 |
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=== 逮捕以降 === |
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犯行に及んだ男は[[#事件の発生|前述]]のとおり、その場でスタッフに取り押さえられ、[[殺人未遂]]の容疑により握手会会場で現行犯逮捕された。事件現場の床では、こぼれ落ちたと思われるカッターナイフの刃のかけらがいくつか見つかっており、男の自宅からは、AKB48のシングルCD「ハート・エレキ」および「前しか向かねえ」が押収された<ref name="sponichi20140529" />。 |
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逮捕直後、男は容疑を認めた<ref>{{Cite news|title=AKB襲った容疑者「私がやりました」|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-25|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140525-1306953.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。さらに、殺意があったことを認めた<ref>{{Cite news|title=川栄&入山 27日にも退院へ…容疑者は「殺意」認める|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-26|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/26/kiji/K20140526008238820.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。犯行動機について、男は「人の集まるところで人を殺そうと思ってやった。誰でもよかった」<ref name="sponichi20140526" />「最近イライラしていた」<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃動機は「最近イライラしていた」から…容疑者が供述|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-27|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/27/kiji/K20140527008245220.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>「人が集まるところを探してAKBの握手会場にした。会場に入ってからAKBを狙った」<ref>{{Cite news|title=ノコギリ男「AKBなら誰でもよかった」|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-28|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20140528-1308071.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>などと供述しており、川栄と入山について「2人を狙ったわけではない。AKBなら誰でもよかった」「名前は知らなかった」と話した<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃 XX容疑者「AKBなら誰でもよかった 2人の名前は知らない」|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-27|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/27/kiji/K20140527008246070.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。5月27日14時20分ごろ、男は[[盛岡地方検察庁]]へ送検された<ref name="sponichi20140528" />。 |
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男はその後、刑事[[責任能力]]を問えるかどうか判断するため[[精神鑑定]]が行われた。「人が大勢いる所で騒ぎたかった」という供述や、意味不明な言動があったことから、盛岡地方検察庁は男の精神鑑定を行うことを予定した<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃男「人が大勢いる所で騒ぎたかった」27日に送検へ|newspaper=SANSPO.COM|page=2|date=2014-05-27|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140527/tro14052705040006-n2.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。そして[[盛岡簡易裁判所]]に[[法律上の身柄拘束処分の一覧#特殊な手続による身柄拘束|鑑定留置]]を請求し、6月5日付でこれが認められた。当初、[[留置]]期間は6月6日から7月29日までと予定された<ref>{{Cite news|title=XX容疑者の鑑定留置認められる…具体的動機はいまだ不明|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-06-07|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/06/07/kiji/K20140607008313080.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。その後、盛岡地方検察庁は留置期間の延長を請求し、7月28日付で認められた。これにより、男の留置期間は9月2日までとなった<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃犯 責任能力の有無は?鑑定留置を9月2日まで延長|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-07-30|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/30/kiji/K20140730008653520.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。鑑定留置の結果、男は刑事責任能力を問えると判断された。そして9月11日、盛岡地方検察庁は男を[[傷害罪]]および[[銃砲刀剣類所持等取締法]]違反罪で[[盛岡地方裁判所]]へ起訴した。当初の容疑であった殺人未遂罪を適用しなかったことについて、次席検事の南智樹は「人が死亡する危険のある行為だと認識して行ったかを慎重に捜査したが、立証は十分でなかった。(凶器の形状など)全ての要素を総合的に判断し、殺人未遂罪の適用を見送った」と述べている<ref name="iwate20140912" />。 |
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11月4日、男の初公判が行われた。この初公判には、28席の[[傍聴]]席に対し132人の傍聴希望者が集まり、席の抽選が行われた(倍率約4.7倍)<ref>{{Cite news|title=AKB傷害、被告が起訴内容認める 盛岡地裁で初公判|newspaper=岩手日報|date=2014-11-05|url=http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20141105_2|accessdate=2014-11-16}}</ref>。また、この公判は厳戒態勢のもとで行われた。法廷の前にはゲート型の[[金属探知機]]が設置され<ref name="nikkan20141105" />、傍聴人がこれによって検査された<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃犯、裁判長に「そうっすね」 「多額収入」メンバーに不満|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-11-05|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/11/05/kiji/K20141105009228830.html|accessdate=2014-11-16}}</ref>。金属探知機の設置理由について、地方裁判所の職員は「万が一、(被告が)報復される可能性も否定できない」と述べた<ref name="nikkan20141105" />。また、傍聴席は複数の警察官による警備が入った<ref name="nikkan20141105" />。 |
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== 報道 == |
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握手会でメンバーが襲われたというこの事件は、日本国内のマスメディアにおいて長時間を割いて報道された。テレビ番組の調査などを行う会社「エム・データ」調べによる、5月26日から31日までの期間における芸能ニュースランキング([[日本放送協会|NHK]]、[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]、[[TBSテレビ|TBS]]、[[フジテレビジョン|フジテレビ]]、[[テレビ朝日]]の5局で午前10時30分までに放送されたワイドショーおよびニュース番組における芸能の話題を、取り上げられた時間の合計でランキング化したもの)において、この事件に関連する話題が1位を獲得した。放送時間は合計10時間23分31秒におよび、期間内の芸能ニュースの大半をこの事件が占めた<ref>{{Cite news|title=芸能ニュースランキング : 1位はAKB48襲撃 2位ASKA再逮捕、3位国立競技場|newspaper=まんたんウェブ|date=2014-06-04|url=http://mantan-web.jp/2014/06/04/20140603dog00m200030000c.html|accessdate=2014-11-09}}</ref>。また、同じくエム・データ調べによる、2014年上半期のワイドショーで報道された話題に関連している人物を放送時間でランキング化した「2014年上半期のワイドショーを賑わせた有名人ランキング」においては、事件で負傷した川栄と入山がそれぞれ5位(放送時間は21時間7分14秒)、6位(放送時間は19時間49分33秒)にランクインする結果となった<ref>{{Cite news|title=ワイドショーを賑わせた有名人ランキング 2014年上半期 写真・画像|newspaper=RBB TODAY|date=2014-07-15|url=http://www.rbbtoday.com/article/img/2014/07/15/121692/414049.html|accessdate=2014-11-09}}</ref>。また、世間においても注目を集めた。[[Gunosy]]が提供している情報配信アプリ「グノシー」での記事閲覧実績をもとに集計された「グノシーニュースランキング」においては、この事件は2014年5月の集計で2位となり、同年上半期の集計では10位となった<ref>{{Cite news|title=Gunosy「2014上半期ニュースランキングTOP50」発表! 最も関心集めたのは「STAP細胞」|newspaper=MarkeZine|date=2014-07-04|url=http://markezine.jp/article/detail/20428|accessdate=2014-11-09}}</ref>。 |
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事件は日本国外においても報道された。[[中華民国|台湾]]では、[[聯合報]]と[[自由時報]]が事件を1面トップで報じた。[[スポニチアネックス]]の記事は「台湾では日本の芸能関連情報が日常的に報じられているが、大手紙が1面トップで伝えるのは珍しい」と記している<ref>{{Cite news|title=台湾大手紙も1面トップで報道 AKBメンバー襲撃|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-26|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/26/kiji/K20140526008238780.html|accessdate=2014-11-09}}</ref>。[[中華人民共和国|中国]]では、複数のメディアが事件を報道した<ref>{{Cite news|title=中国でも高い関心 AKB切りつけ|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-25|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140525-1306985.html|accessdate=2014-11-09}}</ref>。このほか、事件はアジアだけでなく欧米でも取り上げられており、アメリカ版[[Googleニュース]]のエンタテインメントカテゴリでホットトピックスに入るほど多くの報道がされた<ref>{{Cite news|title=海外メディアが伝えたAKB48襲撃事件——銃社会でなかったことが不幸中の幸い|author=岩崎昌子|newspaper=GQ JAPAN|date=2014-05-27|url=http://gqjapan.jp/entertainment/news/20140527/akb48-attacked|accessdate=2014-11-09}}</ref>。 |
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事件に関係する各種メディアの報道においては、AKB48の握手会自体に関する説明や、握手会の参加券をCDに封入する「AKB商法」とよばれる販売方法についても取り上げられた。こうしたことを取り上げた一部の報道に対して賛否が起こった。NHKの報道では、握手会に関する説明のほか、過去に握手会で発生したトラブルについても言及しており<ref>{{Cite news|title=AKB握手会 メンバーら3人切りつけられけが 岩手|newspaper=NHKニュース|date=2014-05-25|url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140525/k10014712271000.html|archivedate=2014-05-25|archiveurl=http://web.archive.org/web/20140525213442/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140525/k10014712271000.html|accessdate=2014-11-09}}</ref>、この報道について、評論家の[[宇野常寛]]は自身のTwitterにおいて「悪質」と批判し、「恣意的に選んだ過去のトラブルをピックアップすることで、AKBファン=異常という印象捜査を行っている」<small>(原文ママ)</small>と指摘している<ref>{{Twitter status|wakusei2nd|470671551851802624|宇野常寛のTwitter 2014年5月25日のツイート}} 2014年11月9日閲覧。</ref>。これに対し、評論家の[[栗原裕一郎]]は、リアルサウンドの記事において、事件を受けてAKB48やその他のアイドルによるファンと接触するイベントが中止となっていること(本記事では[[#影響|影響]]の節で解説する)を指摘したうえで「“接触”が問題の焦点になっている以上、いわゆる『AKB商法』が議論の俎上にあげられているのは、まあ、自然な流れというべきだろう」と指摘しており、宇野のコメントについて「過剰な反応」と述べ、「AKB商法とそれに付随する問題に触れないほうがむしろ不自然というものだ」と記している<ref name="realsound20140528 p1">{{Cite web|title=栗原裕一郎緊急寄稿 過去のアイドル襲撃例から考えるAKB48襲撃事件|author=栗原裕一郎|work=リアルサウンド|page=1|date=2014-05-28|url=http://realsound.jp/2014/05/post-619.html|accessdate=2014-11-18}}</ref>。[[Techinsight]]の記事は、事件に関する一連の報道について「今後の握手会などイベントについて、手荷物検査のやり方など課題は多いが、そこに“AKB商法”が絡んできて『握手会の意義』としてビジネスのイメージが強調された感がある」と指摘しており、「特にテレビや新聞などお茶の間に届くメディアには、AKB48の握手会についてビジネス面を強調するばかりでなく“握手会の真意”を考えるきっかけとなる報道を期待したい」と批判的に記している<ref>{{Cite news|title=【エンタがビタミン♪】AKB48傷害事件で問われる“握手会の真意”。メンバーが証言「心と心が繋がるのが分かる」|author=真紀和泉|newspaper=Techinsight|date=2014-05-28|url=http://japan.techinsight.jp/2014/05/akb48jiken-akusyukainosinni-umeda20140528.html|accessdate=2014-11-09}}</ref>。大衆から批判が起こった報道もある。5月26日に放送されたテレビ朝日系列の報道番組『[[報道ステーション]]』では、事件に関する報道において、握手会の参加券などの入手を目的にAKB48のCDを大量に購入しているファンについて長時間を割いて取り上げた。夕刊アメーバニュースの記事は、一部視聴者の間で「握手会そのものが襲撃事件の要因の一つになったかのように報じている」という解釈があったと推測しており、Twitterや[[2ちゃんねる]]においてこの報道についての批判が起こったことを報じている<ref>{{Cite news|title=報ステの「握手会報道」にAKBファンから批判が殺到|newspaper=夕刊アメーバニュース|date=2014-05-27|url=http://yukan-news.ameba.jp/20140527-164/|accessdate=2014-11-09}}</ref>。 |
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また、日本テレビ系列の情報番組『[[スッキリ!!]]』における出演者の一部コメントが批判の対象となった。[[ジェイ・キャスト#J-CASTニュース|J-CASTニュース]]の記事は、番組司会者の[[加藤浩次]]およびキャスターの[[テリー伊藤]]が、犯人の発達障害に起因する対人関係などの諸問題について「それと犯行とはまったく違うと思う」(加藤)、「いいわけにならない」(テリー)と発言したことについて批判しており、両者のコメントについて「それは健康な人の話だろう」「それ(発達障害)がどんなに重大なことかがわかっていない」と指摘している<ref name="j-cast20140528" />。テリーは同番組において、インタビューを受けていた男性が「[[おたく]]」を自称したことと関連づけて「なかなか普段街に出ないような子が、AKBの握手会があるから出ていくっていうのも、ひとつのこれ、いいことなんだよね」とコメントした。このコメントについて、インターネット上において「おたくは実際には活動的である」という旨の反論が相次いだ<ref>{{Cite news|title=AKB握手会は引きこもり「オタク」が出かける大切な機会 テリー伊藤発言、ネットで「実はアクティブ」と反論くらう|newspaper=[[J-CASTニュース]]|date=2014-05-26|url=http://www.j-cast.com/2014/05/26205776.html?p=all|accessdate=2014-11-09}}</ref>。[[ジャーナリスト]]の[[池上正樹]]は、事件をきっかけに「『引きこもり=犯罪者予備軍』という誤解を招くようなネガティブイメージ」が流布していると指摘しており<ref name="diamond20140529 p1">{{Cite web|date=2014-05-29|url=http://diamond.jp/articles/-/53761|title=AKB襲撃事件でまるで“犯罪者予備軍”扱い!? 「大人のひきこもり」への偏見に警鐘を鳴らす|author=池上正樹|publisher=[[ダイヤモンド社|ダイヤモンド・オンライン]]|page=1|accessdate=2014-11-09}}</ref>、テリーのコメントについて「もちろん両方の要素を持つ人もいるだろうが、好きなことに没頭するため一生懸命に働くことも厭わない人たちと、社会から撤退してあきらめの境地に立たされている人たちとが、どうも混同されているようだ」と指摘している<ref>{{Cite web|date=2014-05-29|url=http://diamond.jp/articles/-/53761?page=2|title=AKB襲撃事件でまるで“犯罪者予備軍”扱い!? 「大人のひきこもり」への偏見に警鐘を鳴らす|author=池上正樹|publisher=ダイヤモンド・オンライン|page=2|accessdate=2014-11-09}}</ref>。 |
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このほか、報道関係で批判を受けたものとしてフジテレビ系列の情報番組『[[めざましテレビ]]』の公式Twitterアカウントがある。事件当日、このアカウントで「みんな気になる情報が入ってきたよ!」「AKB48のメンバーが負傷した事件のため明日の放送予定が変更になるかも!」「メンバーの具合が心配だなぁ?大丈夫かなぁ?」といった投稿がなされた。事件に関するこの軽い調子の投稿は批判を浴び、その後同アカウントは当該投稿を削除し、謝罪した<ref>{{Cite news|title=めざましテレビがAKB事件で謝罪|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-26|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140526-1307284.html|accessdate=2014-11-13}}</ref>。 |
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== 事件に関する議論、分析 == |
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事件を受けて、握手会における警備体制の件や、握手会の存続についてなどさまざまな点で議論を呼んだ。社会学者および批評家の[[濱野智史]]は、「この事件をめぐっては、マスメディア/ソーシャルメディアを問わず、大きな議論が巻き起こった」と述べている<ref name="president20140610">{{Cite web|title=なぜ「AKB48」には握手会が必要なのか|author=濱野智史|work=PRESIDENT Online|page=1|date=2014-06-10|url=http://president.jp/articles/-/12754|accessdate=2014-11-13}}</ref>。 |
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まず、握手会会場における警備体制に関して、インターネット上などにおいて不満の声が上がった。キングレコードは事件当日、マスコミ各社に向けて公式のコメントを発表しており、このコメントにおいて警備体制に関する説明があったのは、こうした不満があったことを受けてのものである<ref>{{Cite news|title=AKB側「卑劣行為」と糾弾 警備強調|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-25|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/25/0006993057.shtml|accessdate=2014-11-13}}</ref>。ジャーナリストの[[安倍宏行]]も、握手会における警備体制の甘さを指摘しており、「ランダムな荷物検査と、握手前に手のひらを広げさせての目視チェック、『剥がし』と呼ばれる握手時間を管理するスタッフ配置のみでは、こうした事件を防ぐことは難しいだろう」と記している<ref>{{Cite web|title=<AKB48握手会襲撃事件>警備体制の見直しによるコスト増が握手会ビジネスを失速させる|author=安倍宏行|work=Japan In-depth|url=http://japan-indepth.jp/?p=6466|accessdate=2014-11-13}}</ref>。 |
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握手会についても議論が起こった。一部からは握手会それ自体に対して厳しい目が向けられた<ref>{{Cite web|title=握手会自粛ムードで芸能界全体を取り巻く危機|author=安藤雄一|work=THE PAGE|page=1|date=2014-05-27|url=http://thepage.jp/detail/20140527-00000009-wordleaf?pattern=1&utm_expid=72375470-20.R0Pqy_MbRfeXQAc6SF7PFQ.1&page=1&utm_referrer=http%3A%2F%2Fthepage.jp%2Fdetail%2F20140527-00000009-wordleaf%3Fpattern%3D1%26page%3D2|accessdate=2014-11-13}}</ref>。インターネット上では握手会について賛否が上がり、握手会を廃止すべきという意見も出た一方、安全対策の上で実施すべきという意見も出た<ref>{{Cite web|title=どうなるアイドルの接触イベント……AKB48握手会の実施に賛否|work=RBB TODAY|date=2014-05-27|url=http://www.rbbtoday.com/article/2014/05/27/120183.html|accessdate=2014-11-13}}</ref>。濱野智史は、「『AKB商法』の限界が来た」「アイドルの女の子を危険に晒すことになる握手会は廃止すべきだ」といった批判に対して「的外れだと言わざるをえない」と反論しており、「必要なことはセキュリティ対策の向上に尽きる」と記している<ref name="president20140610" />。 |
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この事件ではアイドルが被害者となっているが、複数の批評家によると、この事件はアイドル特有の事例ではなく有名人全体に関わる事例である。濱野智史は「切りつけたメンバーの名前は知らない」という犯人の供述から、この事件について「これまで何度も繰り返されてきた芸能人や著名人を狙った事件の一つに過ぎない」と指摘している<ref name="president20140610" />。リアルサウンドのライターの北濱信哉も同様に、「AKBには興味がなかった」という犯人の供述から「アイドルとファンのトラブルというよりも、有名人をめぐるセキュリティ管理の問題と捉えたほうが適切であろう」と指摘している<ref>{{Cite web|title=海外におけるミュージシャン/セレブのセキュリティ問題 トラブルの事例と回避方法は?|author=北濱信哉|work=リアルサウンド|page=1|date=2014-05-27|url=http://realsound.jp/2014/05/post-610.html|accessdate=2014-11-13}}</ref>。アイドル専門ライターの岡島紳士もまた、リアルサウンドの記事において、犯人が「相手は誰でも良かった」と供述したことから「今回の事件はアイドルとファンの間に固有の事件というよりも、有名人すべてが持っている危険性を改めて知らしめた事件であるといえそうです」とコメントしている<ref>{{Cite web|title=AKB48メンバー襲撃事件をどう考えるか 岡島紳士が語る“接触系”アイドルの課題と今後|work=リアルサウンド|page=1|date=2014-05-26|url=http://realsound.jp/2014/05/post-608.html|accessdate=2014-11-13}}</ref>。 |
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評論家の栗原裕一郎は、リアルサウンドの記事において、この事件を芸能人が襲撃された過去の事例と比較して分析している。栗原は本事件について「いかれた奴がアイドルを襲ったという現象だけを取り上げれてみれば、今回の事件もまたありふれた一件にすぎない」(原文ママ)とコメントしているが、本事件に特有の事情として「ありふれている一方で、現況のアイドル・ブームと、それを支えるビジネス・モデルを揺るがしかねない影響が危惧されるという、過去には例のない事態に広がってもいる」と指摘している<ref name="realsound20140528 p1" />。また栗原は、過去のいくつかの事例のうち、1984年に発生した、[[倉沢淳美]]がサイン会において男に突然ナイフで切りつけられたという事件が本事件に最も似ているという旨のコメントをしている<ref>{{Cite web|title=栗原裕一郎緊急寄稿 過去のアイドル襲撃例から考えるAKB48襲撃事件|author=栗原裕一郎|work=リアルサウンド|page=3|date=2014-05-28|url=http://realsound.jp/2014/05/post-619_3.html|accessdate=2014-11-13}}</ref>。 |
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== 事件後の川栄、入山の活動 == |
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事件で負傷したAKB48メンバーの川栄李奈と入山杏奈については、しばらくの間、療養により活動への影響が生じることになった。活動復帰は番組への電話出演、公の場への登場、番組スタジオへの復帰、パフォーマンスへの復帰と段階的であった。2人とも公の場へ復帰したときにはまだ包帯やギプスがとれておらず、その後もギプスをつけた状態でいくつかの活動を行っている。 |
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岩手県高度救命救急センターを退院した2人は、その後検査入院となった<ref>{{Cite news|title=川栄、検査入院の病院から生声出演|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-05-28|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/28/1p_0007000287.shtml|accessdate=2014-09-20}}</ref><ref>{{Cite news|title=AKB入山、ラジオに電話出演「早く皆さんに会えるように頑張りたい」|newspaper=SANSPO,COM|date=2014-05-29|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140529/akb14052905030006-n1.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。川栄は事件後、朝5時まで眠れない日々が続いたという<ref name="hochi20140608">{{Cite news|title=【AKB選抜総選挙】川栄、会場来た!初選抜16位「何があっても負けない」|newspaper=スポーツ報知|date=2014-06-08|url=http://www.hochi.co.jp/entertainment/feature/TO000219/20140608-OHT1T50028.html?from=related|accessdate=2014-09-20}}</ref>。入山は5月27日、自身の初主演となった映画『[[青鬼 (ゲーム)#映画|青鬼]]』に関する取材を受ける予定になっていたが中止となった<ref>{{Cite news|title=川栄と入山、帽子姿で退院「ご心配をおかけしました」…AKB襲撃事件|newspaper=スポーツ報知|date=2014-05-27|url=http://www.hochi.co.jp/entertainment/20140526-OHT1T50308.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。また、入山は翌28日に行われた、AKB48メンバーがダーツに挑戦する『DARTSLIVE×AKB48』プロジェクトの発表会にも出席予定であったが、欠席した<ref name="oricon20140528 event">{{Cite news|title=【動画】AKB、厳戒態勢で事件後初イベント 警備員ら複数配置|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-29|url=http://www.oricon.co.jp/news/video/2037930/full/|accessdate=2014-11-18}}</ref>。しかし、2人はすぐに電話を通して番組への出演を果たした。川栄は[[フジテレビジョン|フジテレビ]]系列で平日に放送されている情報バラエティ番組『[[バイキング (テレビ番組)|バイキング]]』の水曜日のレギュラー出演者であり、5月28日(水曜日)の同番組の放送において、検査入院していた病院から電話を通して出演した<ref>{{Cite news|title=川栄、検査入院の病院から生声出演|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-28|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/28/0007000287.shtml|accessdate=2014-09-20}}</ref>。入山は同日深夜(日付上は翌29日)に放送されたニッポン放送のラジオ番組『[[AKB48のオールナイトニッポン]]』に電話で出演した<ref>{{Cite news|title=入山杏奈、ANNに電話で生出演「みんなが思っているより100倍元気」|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-05-29|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140529/akb14052901580001-n1.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。なお、川栄は翌週6月4日の『バイキング』においても電話で出演した。この日の放送では、川栄の電話出演は予定されていなかったが、川栄側から番組サイドへ電話したことにより出演が実現した<ref>{{Cite news|title=川栄「バイキング」に押し掛け電話出演|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-06-04|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/04/0007021349.shtml|accessdate=2014-09-20}}</ref>。 |
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事件から13日後となる6月7日、川栄が公の場へと復帰した。この日、AKB48は[[東京都]][[調布市]]の[[東京スタジアム (多目的スタジアム)|味の素スタジアム]]において、シングル曲の歌唱メンバーをファンからの投票で決める企画「[[AKB48 37thシングル選抜総選挙]]」の開票イベントを開催した。当日朝にはスポーツ報知により、川栄と入山のイベント参加が実現する旨の報道がなされたものの<ref>{{Cite news|title=川栄、入山が総選挙で復帰へ|newspaper=スポーツ報知|date=2014-06-07|url=http://www.hochi.co.jp/entertainment/20140606-OHT1T50295.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>、イベントの第2部において、2人とも欠席した旨がアナウンスされた<ref>{{Cite news|title=AKB48川栄李奈&入山杏奈、選抜総選挙イベントも欠席|newspaper=モデルプレス|date=2014-06-07|url=http://mdpr.jp/news/detail/1372834|accessdate=2014-09-20}}</ref>。しかし、川栄は遅れて会場に来場しており<ref>{{Cite news|title=【AKB選抜総選挙】16位川栄、選抜入り「私は負けません。元気です」|newspaper=スポーツ報知|date=2014-06-07|url=http://www.hochi.co.jp/entertainment/20140607-OHT1T50193.html?from=related|accessdate=2014-09-20}}</ref>、会場の裏で順位発表を聞いていた<ref name="hochi20140608" />。川栄は投票の結果16位にランクインしており、その旨がアナウンスされた際、サプライズとしてステージに登場した<ref>{{Cite news|title=【第6回AKB総選挙】1〜80位の全順位発表 まゆゆが悲願の初女王に! さしこは連覇ならず|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-07|url=http://www.oricon.co.jp/news/2038346/full/|accessdate=2014-09-20}}</ref>。川栄は私服にレインコート姿で(イベント当日は雨天であった)、負傷した右手には包帯が巻かれていた<ref>{{Cite news|title=川栄李奈16位初選抜、速報45位から一気|author=瀬津真也|newspaper=nikkansports.com|date=2014-06-08|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140608-1314212.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。ステージ上でのコメントで、川栄は事件について「速報が45位で、正直その日から毎日くよくよして毎晩泣いていて、この1年自分は何をやってきたんだろうと思っていた時に、今回のことが起きて、私は神様がくよくよしている自分に喝をいれてくれたんだと思いました。そしたらこんなところでは立ち止まっていられないなと思いました。」と発言している<ref>{{Cite news|title=<速報>第6回AKB48選抜総選挙1〜16位「選抜メンバー」コメント全文|newspaper=モデルプレス|date=2014-06-07|url=http://mdpr.jp/news/detail/1372386|accessdate=2014-09-20}}</ref>。なお、速報とは事件4日前の5月21日に発表された投票の途中経過のことであり、川栄の速報での順位は前年の最終結果25位から20ランクダウンとなった<ref>{{Cite news|title=負傷の川栄16位 急きょ会場で涙の挨拶|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-06-07|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/07/1p_0007031650.shtml|accessdate=2014-09-20}}</ref>。このサプライズ復帰は、川栄本人がスタッフに志願したことで実現したものである<ref name="sponichi20140611">{{Cite news|title=川栄 右手包帯も笑顔の復帰!イジり催促、手荒い祝福にも大喜び|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-06-11|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/06/11/kiji/K20140611008344040.html|accessdate=2014-11-18}}</ref>。一方、入山は20位にランクインしており、会場に姿を見せることはなかったものの、電話を通してランクインに対するコメントを述べた<ref>{{Cite news|title=【第6回AKB総選挙】“速報77位”入山杏奈、急浮上で20位入り|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-07|url=http://www.oricon.co.jp/news/2038371/full/|accessdate=2014-09-20}}</ref>。 |
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選抜総選挙開票イベントの翌日となる6月8日、川栄と入山は、[[大島優子]]のAKB48卒業にあたって開催されたコンサートを会場で観覧した<ref>{{Cite news|title=入山杏奈も来た! 先輩・大島優子の卒業に川栄と声援|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-06-09|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/06/09/kiji/K20140609008331860.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。6月11日、川栄は『バイキング』のスタジオに復帰した<ref name="daily20140611">{{Cite news|title=川栄が番組復帰 無視され挨拶を催促|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-06-11|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/11/0007042620.shtml|accessdate=2014-09-20}}</ref>。このとき右手の手のひらから親指にかけて包帯とギプスが巻かれており<ref name="daily20140611" />、左手の甲には点滴の跡と思われる絆創膏が貼られていた<ref name="sponichi20140611" />。事件以降、川栄の生放送番組への出演はこれが初である<ref name="daily20140611" />。 |
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川栄が選抜総選挙で姿を見せてから23日後、入山も公の場に登場した。事件から36日後となる6月30日、AKB48が公演を行っている[[AKB48劇場]]に入山が姿を見せた。この日行われた公演は、AKB48内で入山が所属している「チームA」による公演であり、公演が始まる前に入山がサプライズでステージに登場し、ファンに対してあいさつした<ref>{{Cite news|title=AKB入山杏奈、事件後初の劇場登壇 ギプス姿も笑顔であいさつ|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-30|url=http://www.oricon.co.jp/news/2039253/full/|accessdate=2014-09-20}}</ref>。入山はまだ肘から指先までギプスをつけている状態であり、この日はギプスを隠すようにピンク色のストールを巻いていた<ref>{{Cite news|title=AKB入山 ギプス姿で事件後初登場|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-06-30|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/30/0007102144.shtml|accessdate=2014-09-20}}</ref>。歌やダンスには参加しなかった<ref>{{Cite news|title=AKB入山 ギプス姿で事件後初登場|newspaper=デイリースポーツ|page=3|date=2014-06-30|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/30/2p_0007102144.shtml|accessdate=2014-09-20}}</ref>。入山が公の場に立つのは、事件以降初である<ref>{{Cite news|title=AKB48入山杏奈 : 劇場公演前にギプス姿で登場 事件後初の公の場|newspaper=まんたんウェブ|date=2014-06-30|url=http://mantan-web.jp/2014/06/30/20140630dog00m200051000c.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。 |
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入山はその後、事件直後に取材が中止になった自身初主演の映画『青鬼』の公開を記念した舞台あいさつに出席した。舞台あいさつは、事件から42日を経た7月6日に実施され、入山は右手にギプスをしたまま出席した<ref>{{Cite news|title=AKB48入山杏奈 : 主演ホラー映画の舞台あいさつにギプス姿で登場 大きな声援に笑顔|newspaper=まんたんウェブ|date=2014-07-06|url=http://mantan-web.jp/2014/07/06/20140706dog00m200011000c.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。映画の関係者によると、舞台あいさつは事件を受けて予定が一時なくなってしまったが、入山の「ファンに会いたい」という強い要望により実現したという<ref name="musicvoice20140706">{{Cite news|title=AKB48入山杏奈が本格復帰、ギプス姿で映画舞台挨拶「この場に来れて嬉しい」|newspaper=MusicVoice|date=2014-07-06|url=http://www.musicvoice.jp/news/20140706015828/|accessdate=2014-09-20}}</ref>。一部メディア<ref name="musicvoice20140706" /><ref name="jcast20140706">{{Cite news|title=笑顔で「本格復帰」のAKB入山さん 主演映画あいさつで「ボケ」をかます|newspaper=J-CASTニュース|date=2014-07-06|url=http://www.j-cast.com/2014/07/06209717.html?p=all|accessdate=2014-09-20}}</ref>はこの舞台あいさつへの出席を入山の本格的な復帰ととらえている。J-CASTニュースの記事は、入山の「本格復帰」が舞台あいさつとなった理由について、「握手会は拘束時間が長いため、入山さんの体調を考慮して拘束時間の短い主演映画の舞台あいさつを本格復帰の場に選んだようだ」と推測している。なお、AKB48はこの舞台あいさつの前日に事件後初となる握手会イベントを開催しており、入山は川栄とともにこの握手会を欠席している<ref name="jcast20140706" />。 |
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事件から48日が経過した7月12日、川栄がAKB48のライブ・パフォーマンスに復帰した。事件以降、けがの影響が考慮され、パフォーマンスへの復帰はなされずにいたが、この日放送された日本テレビ『[[THE MUSIC DAY 音楽のちから]]』において実現した。この番組にはAKB48が出演し、先の「選抜総選挙」において歌唱メンバーが決定された楽曲「[[心のプラカード]]」をテレビ初披露した。川栄はこのときのパフォーマンスに参加した<ref name="sponichi20140713">{{Cite news|title=川栄ステージ復帰!新選抜16人勢ぞろい AKB真の再出発|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-07-13|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/13/kiji/K20140713008554180.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。右手親指には、まだギプスが残っていた<ref>{{Cite news|title=AKB川栄がステージ復帰「うれしい」|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-07-13|url=http://www.daily.co.jp/gossip/2014/07/13/0007139331.shtml|accessdate=2014-09-20}}</ref>。川栄がライブ・パフォーマンスに参加したのは、事件発生直前に握手会イベントで開催されていたミニライブ以来である。スポニチアネックスの記事は、川栄のこの復帰タイミングについて「総選挙の選抜メンバーによる歌は、6月下旬から7月中旬に初披露されることが恒例化してきただけに、川栄のステージ復帰もこのタイミングに合わせたとみられる」と推測している<ref name="sponichi20140713" />。 |
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川栄はパフォーマンス復帰から4日後、ギプスを外した姿を見せた。7月16日、事件から52日が経過し、川栄は自身のgoogle+でギプスが取れた旨を報告した<ref>{{Cite news|title=AKB川栄李奈「ギブスが取れましたぁ」|newspaper=nikkansports.com|date=2014-07-16|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140716-1335474.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。この日は水曜日であり、川栄はギプスなしの姿で『バイキング』に出演した。なおこのとき、ギプスのあった場所にはテーピングのようなものが貼られていた<ref>{{Cite news|title=AKB48川栄李奈「ギプスが取れました」バイキング生出演前に報告|newspaper=MusicVoice|date=2014-07-17|url=http://www.musicvoice.jp/news/20140717016221/|accessdate=2014-09-20}}</ref>。 |
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同じく7月16日の深夜(日付上は翌17日)、入山がラジオ番組でスタジオ復帰を果たした。出演した番組は『AKB48のオールナイトニッポン』である。入山は事件直後、電話でこの番組に出演していたが、番組スタジオへの復帰はこれが初である<ref>{{Cite news|title=AKB入山「テンション上々」復帰後初のANNスタジオ生出演|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-07-17|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/16/kiji/K20140716008578480.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。なお、この番組では1週間前の7月9日深夜の放送において、[[嚢胞性腎疾患|腎嚢胞]]の発症により活動を休止していたAKB48の[[峯岸みなみ]]が復帰しており、入山のスタジオ復帰により、AKB48メンバーの復帰が2週連続で見られることとなった。この経緯により、番組には事件以降出演していなかった川栄について、出演を希望する意見が殺到した<ref>{{Cite news|title=川栄李奈 事件後初、23日深夜ANN登場へ 出演希望殺到受け|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-07-23|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/22/kiji/K20140722008615170.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。川栄の番組出演は、入山が復帰した翌週、7月23日深夜の放送で実現した<ref>{{Cite news|title=川栄李奈 事件後初ANN生出演でらしさ全開「復帰!ただいま」|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-07-24|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/23/kiji/K20140723008620030.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。 |
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事件から85日が経った8月18日、先に復帰していた川栄に続き、入山がライブ・パフォーマンスへの復帰を果たした。この日、AKB48は[[東京ドーム]]でコンサートを開催した。本編最後の楽曲「アリガトウ」の曲紹介時に、入山がステージに登場してあいさつをした。その後、同楽曲をAKB48の全メンバーとともに歌唱した。右手にはまだ包帯とギプスが残っていた<ref>{{Cite news|title=AKB入山、襲撃事件以来85日ぶりに復帰|newspaper=nikkansports.com|date=2014-08-18|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140818-1352959.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。入山のライブへの参加は、事件発生直前に握手会イベントで開催されていたミニライブ以来である<ref>{{Cite news|title=AKB入山杏奈、事件後初ライブ 1曲出演も「すっごくうれしい」|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-08-18|url=http://www.oricon.co.jp/news/2041104/full/|accessdate=2014-09-20}}</ref>。コンサートは8月20日まで3日間にわたり開催されたが、入山が参加したのは初日のみで、残る2日は欠席した<ref>{{Cite news|title=AKB川栄、衣装の番号に込めた思い|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-08-21|url=http://www.oricon.co.jp/news/2041192/full/|accessdate=2014-09-20}}</ref>。 |
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また、入山はギプスをつけたまま、月刊誌『SWITCH』2014年9月号([[スイッチ・パブリッシング]])のグラビア撮影を行った。この雑誌は8月20日に発売された<ref>{{Cite news|title=入山杏奈、ギプス姿で復帰後初グラビア ミニワンピで“凛”と|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-08-14|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/08/14/kiji/K20140814008742470.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。 |
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その後、川栄はAKB48劇場での公演へ復帰を果たした。関係者によると、9月中旬、医師から川栄に対して激しい運動をしてもよいという許可が出たという<ref>{{Cite news|title=川栄 AKB劇場143日ぶり復帰|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-10-08|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/10/08/0007402149.shtml|accessdate=2014-11-14}}</ref>。そしてこの時期から川栄の劇場公演への復帰のタイミングが探られており、復帰が実現したのは10月8日、事件から136日後に行われた公演であった。事件前に川栄が出演した最後の公演は5月18日のものであり、川栄が劇場公演でパフォーマンスをしたのは143日ぶりとなった<ref>{{Cite news|title=AKB川栄、元気に劇場公演復帰「長い休みはもういい」|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-10-08|url=http://www.oricon.co.jp/news/2043100/full/|accessdate=2014-11-14}}</ref>。 |
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番組やイベント、ライブ・パフォーマンスにはすでに復帰した川栄と入山であるが、事件現場となった握手会イベントへの復帰は2014年10月時点では実現せずにいる。AKB48が8月にリリースしたシングル「心のプラカード」の個別握手会についても、復帰予定はないとされている<ref>{{Cite news|title=AKB川栄&入山 握手会はまだ…ケガの静養のため30日欠席|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-08-29|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/08/29/kiji/K20140829008833930.html|accessdate=2014-09-20}}</ref>。握手会に関して川栄は9月20日、トークライブアプリの755において、ファンから復帰時期を質問され「やらないと思いますすいません」と回答している。なお、このように握手会をやらないと表明したことに関して、一部の人間が川栄を非難するという騒動が発生した<ref>{{Cite news|title=川栄李奈、握手会不参加を非難されSNS退会......秋元康氏は「怒りを覚えます」|newspaper=トレンドニュース|author=原田美紗@HEW|date=2014-09-22|url=http://trendnews.yahoo.co.jp/archives/369442/|accessdate=2014-11-14}}</ref>。 |
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== 影響 == |
== 影響 == |
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=== AKB48グループの活動 === |
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事件当日の握手会は打ち切りとなり<ref name=asahi />、その後予定されていた個別握手会や全国握手会も延期とした<ref>{{Cite news |date=2014-06-04 |url=http://mainichi.jp/select/news/20140605k0000m040039000c.html |title=AKB48襲撃:キングレコード、6月の握手会を延期 |publisher=毎日新聞 |accessdate=2014-07-01}}</ref>。[[警視庁]][[万世橋警察署]]は、同日、AKB48グループの運営管理会社[[AKS]]に対し、ステージと客席との距離を広げること、警備員の増強、[[金属探知機]]などの導入、公演後の客とのハイタッチの自粛を要請した<ref>{{Cite news |title=アイドル握手会どうなる? AKB襲撃事件受け警備強化 |newspaper=朝日新聞デジタル |date=2014-05-27 |url=http://www.asahi.com/articles/ASG5V5JVBG5VUTIL02W.html?iref=com_alist_6_02 |accessdate=2014-05-27}}</ref><ref>[http://www.sanspo.com/geino/news/20140526/tro14052620080012-n1.html AKBの運営会社に警視庁が警備強化要請 AKS「検討する」] サンケイスポーツ 2014年5月26日閲覧。</ref>。 |
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事件は負傷した川栄と入山だけでなく、握手会を開いていたAKB48や、その姉妹グループである[[SKE48]]、[[NMB48]]、[[HKT48]]の活動にも影響を残すことになった。AKB48とこれら姉妹グループを合わせて「AKB48グループ」とよぶ。 |
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==== 事件当日 ==== |
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事件当日である5月25日にはAKB48のほかに、SKE48が[[愛知県]][[名古屋市]]の[[名古屋市国際展示場|ポートメッセなごや]]でシングル「[[未来とは?]]」のリリースに伴う個別握手会を開催していたが<ref>{{Cite web|title=2014.05.25 14thシングル「未来とは?」(劇場盤)個別握手会@ポートメッセなごや|work=SKE48 オフィシャルウェブサイト|url=http://www.ske48.co.jp/schedule/?id=1392814769&y=2014&m=05|accessdate=2014-10-13}}</ref>、グループは事件を受けて握手会を途中で中止とした<ref>{{Cite news|title=AKB姉妹グループ、握手会&ハイタッチ会を相次ぎ中止|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-05-26|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140526/akb14052605010005-n1.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。NMB48およびHKT48は握手会を行っていなかった<ref name="nikkan20140526 nokogiri" />。 |
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事件を受けて、同日に開催されていた[[SKE48]]の個別握手会が途中打ち切りとなったほか、AKB48劇場・[[NMB48劇場]]で実施されている公演後のハイタッチ会も中止となり、ファンや報道陣が殺到しパトカーが出動する騒ぎとなった<ref>{{Cite news |date=2014-05-25 |url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/25/0006993260.shtml |title=ハイタッチ会続々中止 AKB劇場に警察|publisher=デイリースポーツ |accessdate=2014-05-25}}</ref>。 |
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この日、事件現場となったAKB48の握手会は中止となった一方、[[AKB48劇場]]での劇場公演は18時から通常通り開催された<ref>{{Cite news|title=秋葉原のファンにも衝撃「金属探知機などでチェックした方がいい」|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-05-26|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140526/akb14052605040004-n1.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。劇場には事件を受け、AKB48のファンや報道陣が殺到し、パトカーが出動するに至った<ref>{{Cite news|title=ハイタッチ会続々中止 AKB劇場に警察|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-25|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/25/0006993260.shtml|accessdate=2014-10-13}}</ref>。また、従来は公演が終わった際にグループメンバーとファンがハイタッチを行っていたが、中止になった。関係者はこれについて「メンバーが大きなショックを受けていることを考慮した」と説明した<ref name="sponichi20140526 akushukai">{{Cite news|title=AKB握手会消滅も 秋葉原で、大阪でハイタッチ中止|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-26|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/26/kiji/K20140526008236980.html|accessdate=2014-11-19}}</ref>。AKB48グループではこのほか、NMB48が[[NMB48劇場]]で18時から公演を開催したが、AKB48と同様にハイタッチを中止とした<ref>{{Cite news|title=AKB握手会事件余波 ハイタッチ会中止|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-25|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/25/0006992726.shtml|accessdate=2014-10-13}}</ref>。 |
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また、事件翌日の5月26日に予定されていた「[[NMB48]] feat.[[吉本新喜劇]]Vol.9」が延期され、AKB48劇場での公演も取り止めとなった<ref name=AKBtheater_closed>[http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140526-1307308.html AKB劇場の公演中止] 日刊スポーツ 2014年5月26日配信、同日閲覧</ref>。同日、AKB48劇場での公演は5月31日まで中止されることが発表され<ref>[http://ameblo.jp/akihabara48/entry-11862252241.html AKB48劇場休館のお知らせ] 公式ブログ 2014年5月26日配信、同日閲覧</ref>、さらに5月31日に[[ナゴヤドーム]]、6月1日に[[幕張メッセ]]で予定されていた握手会イベントの中止も発表された<ref>[http://www.kingrecords.co.jp/cs/pages/20140531_0601akb48.aspx 開催延期のお詫びとお知らせ] キング・レコードOFFICIAL SITE 2014年5月26日配信、同日閲覧</ref>。 |
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==== 警察からの要請 ==== |
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6月7日に[[東京スタジアム (多目的スタジアム)|味の素スタジアム]]で開催を控えていた「[[AKB48 37thシングル選抜総選挙]]」開票イベントと、6月8日に同スタジアムで開催される「[[大島優子]] 卒業コンサート」については予定通り実施されたが、総勢106人の手荷物検査員を配置、計122台のハンディータイプの金属探知機を導入し厳重な検査を行ったため<ref name="Sanspo20140608">{{Cite news|date=2014-06-08|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140608/akb14060805010002-n1.html|title=味スタ大雨厳戒…手荷物検査員106人、金属探知機122台|newspaper=SANSPO.COM|publisher=SANKEI DIGITAL INC.|accessdate=2014-06-08}}</ref>、各イベントにおける会場への入場開始時間を当初予定より1時間前倒ししたにも関わらず<ref>{{Cite news|date=2014-06-04|url=http://www.akb48.co.jp/sousenkyo/37thsingle/news_detail.php?id=16391|title=【重要なお知らせ】選抜総選挙 開票イベント開場時間変更に関して |publisher=AKB48公式サイト|accessdate=2014-06-08}}</ref>、7日のイベントについては観客の入場が遅れ、開票前のライブが予定から45分遅れでスタートする結果となった<ref name="Sanspo20140608"/>。また両日とも、入場時の検査に加え、[[調布警察署]]の警察官を、同スタジアムでの[[日本プロサッカーリーグ|Jリーグ]]試合開催時の倍以上に相当する50人配備したほか、ファン有志も警備に協力した<ref>{{Cite news|date=2014-06-07|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/07/1p_0007030899.shtml|title=AKB総選挙 大雨…45分遅れで開演|newspaper=DAILY SPORTS ONLINE|publisher=デイリースポーツ|accessdate=2014-06-08}}</ref>。 |
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事件の発生により、AKB48の運営会社には警察から警備強化などの要請が入るに至った。事件翌日の26日、AKB48劇場がある[[秋葉原]]エリアを管轄する[[警視庁]][[万世橋警察署]]は、AKB48の運営会社に対し、劇場公演における警備強化や安全対策を行うよう要請した<ref>{{Cite news|title=AKB劇場公演中止 入山主演ドラマも…|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-05-27|url=http://www.daily.co.jp/gossip/2014/05/27/1p_0006996462.shtml|accessdate=2014-10-13}}</ref>。具体的な手段として、客席の最前列の空席化、[[金属探知機]]などの導入、警備員の増員、公演後のハイタッチの自粛を求めた<ref>{{Cite news|title=アイドル握手会どうなる? AKB襲撃事件受け警備強化|newspaper=朝日新聞デジタル|date=2014-05-27 |url=http://www.asahi.com/articles/ASG5V5JVBG5VUTIL02W.html?iref=com_alist_6_02|accessdate=2014-10-13}}</ref>。同署は握手会イベントについても、警備の強化および刃物などの持ち込みを防ぐ対策が行われるまで中止するよう要請した<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃事件受け握手会延期|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-26|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/26/0006995278.shtml|accessdate=2014-10-13}}</ref>。 |
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==== 劇場公演 ==== |
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事件を受け、AKB48は劇場での公演をしばらくの間休止することになった。警察からの要請が入った5月26日、グループはAKB48劇場でこの日行う予定であった公演を休止し、劇場を休館とすることを発表した<ref>{{Cite news|title=AKB48劇場、公演中止・休館を発表「明日以降は決まり次第ご報告」|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-26|url=http://www.oricon.co.jp/news/2037826/full/|accessdate=2014-10-13}}</ref>。この発表と同日、AKB48劇場を5月31日まで休館とすることが発表された<ref>{{Cite news|title=AKB48劇場、31日まで休館へ 握手会も延期|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-26|url=http://www.oricon.co.jp/news/2037873/full/|accessdate=2014-10-13}}</ref>。26日から31日までの6日間で7つの公演が予定されていたが、すべて中止となった<ref name="oricon20140602">{{Cite news|title=AKB劇場、8日ぶり公演再開 検査・警備強化も混乱なく|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-02|url=http://www.oricon.co.jp/news/2038137/full/|accessdate=2014-11-18}}</ref>。6月1日はもともと休館日であり<ref>{{Cite news|title=川栄、入山にエール AKB公演2日再開|newspaper=nikkansports.com|date=2014-06-01|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140601-1310433.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>、AKB48劇場では7日間にわたり公演が行われない日が続くことになった。一方、姉妹グループはそれぞれの劇場において26日の公演を通常通り行った。しかし、公演の開催にあたっては厳戒態勢が敷かれた。各劇場では客席の最前列をすべて空席としたほか、金属探知機を導入し、これを用いたファンの荷物検査を行った。警備員の増員もなされた。前日のAKB48およびNMB48の公演と同様、終了後のハイタッチはなされなかった<ref>{{Cite news|title=AKB月内公演中止 SKEらは厳戒開催|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-27|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140527-1307618.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。なおこの日、NMB48の公演において、同グループメンバーの[[梅田彩佳]]により事件についてのコメントがなされた。AKB48グループのメンバーが公の場で事件についてコメントしたのはこれが初である<ref>{{Cite news|title=AKBから移籍の梅田彩佳悲痛肉声|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-26|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/26/0006995630.shtml|accessdate=2014-10-13}}</ref>。また、26日の公演に際して用いられた金属探知機はハンディタイプのものであり、翌27日には3つの姉妹グループの劇場すべてにゲート型の金属探知機が設けられた<ref>{{Cite news|title=AKB襲撃事件で姉妹グループ劇場にゲート型金属探知機を導入|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-05-28|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140528/akb14052805040004-n1.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。 |
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7日間にわたり休館されたAKB48劇場においては、公演の再開に向け、安全対策の準備が進められた。万世橋警察署は5月31日までに、AKB48劇場における安全対策を確認した<ref>{{Cite news|title=AKB劇場公演2日から再開!金属探知機設置へ|newspaper=スポーツ報知|date=2014-06-01|url=http://www.hochi.co.jp/entertainment/20140531-OHT1T50298.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。そして6月2日、事件発生日以来8日ぶりとなる劇場公演が行われた<ref>{{Cite news|title=AKB劇場再開「皆さんの声が力」|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-06-02|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/02/0007016233.shtml|accessdate=2014-10-13}}</ref>。この日の劇場公演は厳戒態勢が敷かれた。まず、250席ある客席のうち、最前列にある21席はすべて使用不可とされ、使用可能な客席は229席となった。これによりステージと使用可能な客席の距離が2mとなり、従来の1.5mから広がった<ref>{{Cite news|title=AKB厳戒態勢で再スタート!客席1列目を使用不可にし鉄柵設置|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-06-03|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140603/akb14060305040002-n1.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。ステージ左右の花道も使用不可となった<ref>{{Cite news|title=AKB「超」厳重警備で劇場公演再開|author=森本隆|newspaper=nikkansports.com|date=2014-06-03|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140603-1311456.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。また、客席のベンチ間の通路に鉄柵が設けられ<ref>{{Cite news|title=厳戒態勢で行われたAKB48劇場公演|newspaper=リアルライブ|date=2014-06-03|url=http://npn.co.jp/article/detail/87251845/|accessdate=2014-10-13}}</ref>、通路の前方にも高さ70cmの柵が設けられた<ref>{{Cite news|title=たかみな再出発の誓い…劇場公演再開|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-06-03|url=http://www.daily.co.jp/gossip/2014/06/03/1p_0007016890.shtml|accessdate=2014-10-13}}</ref>。そして、劇場の入り口に設置された2台のゲート型金属探知機により、入場者に対し検査が行われた。金属探知機は[[空港]]に設置されているものと同じレベル設定であった。探知機が反応した入場者については、警備員によりボディチェックが行われた<ref name="oricon20140602" />。警備員やスタッフの増員も行われた。警備員は従来の2人から8人増となる10人、会場整理スタッフは従来の6人から1人増の7人となり、両者の合計は8人から9人増の17人となった<ref name="oricon20140602" />。私服警官も3人配置された<ref>{{Cite news|title=AKB劇場再開「皆さんの声が力」|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-06-02|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/02/1p_0007016233.shtml|accessdate=2014-10-13}}</ref>。公演開始前には、万世橋警察署の警察官6人が安全対策の確認を実施した<ref>{{Cite news|title=AKB劇場が公演再開 金属探知機などで厳戒警備|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-06-02|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/06/02/kiji/K20140602008287690.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。厳戒態勢は公演の開始時刻に影響した。金属探知機による入場者の検査に時間が費やされ、開始時刻が遅れることとなった。関係者によると、従来の入場にかかった時間は10分から15分ほどであるが、検査の影響でその2倍近くの時間がかかったという。18時15分過ぎから行われた入場はおよそ25分を要し、18時40分過ぎに終了した。公演は、定刻の18時30分からおよそ20分遅れて開始された<ref>{{Cite news|title=たかみな「皆さんの声が力」厳戒AKB劇場8日ぶり再開|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-06-03|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/06/03/kiji/K20140603008289410.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。また、ロビーでのモニター観覧および公演終了後のハイタッチは当面中止となった<ref name="oricon20140602" />。 |
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AKB48にはグループ内に「チーム」とよばれるいくつかの小グループがあり、6月2日に再開された公演は「チームA」によるものであった。チームAはAKB48の歴史上最も早く結成されたチームであり、事件で負傷した川栄と入山が所属している。当初、この日は「チームK」による公演が行われる予定であったが、チームAによる公演に変更された<ref>{{Cite news|title=たかみな、劇場公演再開に涙ぐむ「新しい一歩」|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-02|url=http://www.oricon.co.jp/news/2038149/full/|accessdate=2014-10-13}}</ref>。関係者によると、この変更がなされた理由は「再出発にはAKBの原点、チームAがふさわしい」と判断されたためであり、AKB48のメンバーからも同じような意見が出たという<ref>{{Cite news|title=AKB劇場公演再開!襲撃事件から1週間…チームAから新たな一歩|newspaper=SANSPO.COM|page=2|date=2014-06-01|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140601/akb14060105040002-n2.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。一方、チームAのメンバーである[[高橋みなみ]]は、公演冒頭のあいさつで「なぜ今日チームAなのかと言うと、川栄、入山がいるチームだからです」とコメントしている<ref>{{Cite news|title=AKB高橋みなみ「今日は新しい一歩」|newspaper=nikkansports.com|date=2014-06-02|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140602-1311362.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。 |
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AKB48劇場で公演が再開されたという旨は、朝のワイドショー番組などで大きく取り上げられた。テレビ番組の調査などを行う会社「エム・データ」調べによる、6月2日から7日までの期間における芸能ニュースランキング([[日本放送協会|NHK]]、日本テレビ、[[TBSテレビ|TBS]]、フジテレビ、[[テレビ朝日]]の5局で午前10時30分までに放送されたワイドショーおよびニュース番組における芸能の話題を、取り上げられた時間の合計でランキング化したもの)において、AKB48劇場で公演が再開されたという話題が1位を獲得した。放送時間は合計1時間31分5秒であった<ref>{{Cite news|title=芸能ニュースランキング : 1位はAKB48 2位はふなっしー 3位はマック鈴木&小原正子結婚|newspaper=まんたんウェブ|date=2014-06-11|url=http://mantan-web.jp/2014/06/11/20140611dog00m200043000c.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。 |
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なお、6月2日にもともと予定されていたチームKによる公演は、翌3日に行われた。2日の公演は開演時間がおよそ20分遅れたが、この日の公演では遅れがおよそ5分に短縮された<ref>{{Cite news|title=HKT“なこみく”自己紹介間違えファン歓声「かわいい〜!」|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-06-04|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140604/akb14060405020002-n1.html|accessdate=2014-10-13}}</ref>。3日はもともと、休館日の予定であった<ref>{{Cite news|title=AKB劇場6月2日から再開の公式発表|newspaper=デイリースポーツ|date=2014-05-31|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/31/0007009822.shtml|accessdate=2014-10-13}}</ref>。 |
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事件からおよそ2か月が経過した7月下旬、AKB48および各姉妹グループの劇場において、空席にするという措置がとられていた最前列の座席の使用が再開された<ref>[https://plus.google.com/114007873084322574127/posts/4vVbem3MHD6 荒井広希のgoogle+ 2014年7月26日の投稿] 2014年10月24日閲覧。</ref><ref>[https://plus.google.com/109823086254169095183/posts/dTFaM7vo37Q 北野瑠華のgoogle+ 2014年7月28日の投稿] 2014年10月24日閲覧。</ref><ref>{{Cite web|title=チームB2 川上千尋☆最前列。|author=川上千尋|work=NMB48 オフィシャルブログ|date=2014-07-31|url=http://ameblo.jp/nmb48/entry-11902885378.html|accessdate=2014-10-24}}</ref><ref>[https://plus.google.com/113498563179644571221/posts/GggXU83JXVY 朝長美桜のgoogle+ 2014年7月27日の投稿] 2014年10月24日閲覧。</ref>。また、従来行われていたハイタッチに代わり、AKB48劇場では10月15日から公演終了後にメンバーによる観客の「お見送り」を行っている<ref>{{Cite news|title=AKB48 終演後「お見送り」開始へ|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-10-15|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/10/15/0007419595.shtml|accessdate=2014-11-18}}</ref>。SKE48劇場でも同様に10月15日から<ref name="imamura20141014">[https://plus.google.com/115109729498498047140/posts/X2artvZGBts 今村悦朗のgoogle+ 2014年10月14日の投稿] 2014年10月23日閲覧。</ref>、NMB48劇場では10月17日からお見送りが開始された<ref>[https://plus.google.com/103350333579457321452/posts/CG9UkHmm5GS 金子剛のgoogle+ 2014年10月17日の投稿] 2014年11月18日閲覧。</ref>。お見送りの実施理由について、SKE48劇場支配人の今村悦朗は「メンバーからのご挨拶も、以前にようになるべく早く復活させなければならないと我々は考えていました」<small>(原文ママ)</small>とコメントしている<ref name="imamura20141014" />。 |
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==== 各種イベント ==== |
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===== 握手会などの延期 ===== |
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事件を受けて、予定されていた各種のイベントは、次々と延期になった。5月26日、AKB48は[[石川県]][[金沢市]]で握手会イベントを予定していたが、延期となった。なお、この握手会イベントは全国握手会や個別握手会とは別に、シングル「[[鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの|鈴懸の木の道で……]]」(タイトル略)の[[カルチュア・コンビニエンス・クラブ|TSUTAYA]]での購入者を対象にしたものであった<ref>{{Cite news|title=AKB48、石川握手会は延期「今後の開催は協議中」|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-26|url=http://www.oricon.co.jp/news/2037824/full/|accessdate=2014-10-18}}</ref>。またこの日、NMB48の一部メンバーが出演し、[[なんばグランド花月]]で行われる予定であった「NMB48 feat. 吉本新喜劇」第9回公演が同じく延期となった。NMB48の運営事務局によると、改めて警備体制の構築およびチェックを行ったものの「万全を期すため」という理由で延期を決めた<ref>{{Cite news|title=NMB&吉本新喜劇公演が延期に「万全期すため」|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-26|url=http://www.oricon.co.jp/news/2037819/full/|accessdate=2014-10-18}}</ref>。同所での公演が警備上の理由で延期されるのは初である<ref>{{Cite news|title=NMB劇場公演開催 メンバーは冷静|newspaper=デイリースポーツ|page=3|date=2014-05-26|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/26/2p_0006995028.shtml|accessdate=2014-10-18}}</ref>。5月28日には、[[広島県]][[福山市]]でAKB48のメンバーである[[岩佐美咲]]のイベントが開催される予定であったが、福山市と事務所側が「警備面で安全性を確保できない」と判断したため、延期となった<ref>{{Cite news|title=AKB岩佐美咲の広島でのイベントも延期|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-27|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140527-1307941.html|accessdate=2014-10-18}}</ref>。5月29日および30日に[[青森県]]で開催が予定されていた握手会イベント(5月26日のものと同じく「鈴懸の木の道で……」のTSUTAYAでの購入者を対象としたもの<ref>{{Cite web|title=TSUTAYA30周年 冬の生誕大感謝祭!|work=TSUTAYA|url=http://www.tsutaya.co.jp/cp/30th/akb/|accessdate=2014-10-18}}</ref>)も延期となった<ref>{{Cite news|title=AKB握手会 青森会場の開催延期…負傷の川栄李奈が参加予定|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-29|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/29/kiji/K20140529008259170.html|accessdate=2014-10-18}}</ref>。 |
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これ以降も事件の影響は続き、以下に示す各グループの握手会および写真会は延期となった。 |
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!予定日!!AKB48!!SKE48!!NMB48!!HKT48 |
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|5月31日||シングル「ハート・エレキ」「前しか向かねえ」<br />全国握手会<ref name="oricon20140526">{{Cite news|title=AKB48、愛知&千葉の握手会延期「運営・警備体制見直す」|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-26|url=http://www.oricon.co.jp/news/2037858/full/|accessdate=2014-10-18}}</ref>||シングル「未来とは?」<br />個別握手会<ref name="daily20140527">{{Cite news|title=AKBグループのイベント、続々延期に|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-27|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/27/0006998500.shtml|accessdate=2014-10-18}}</ref>||シングル「[[高嶺の林檎]]」<br />個別握手会<ref name="daily20140527" />|| |
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|6月1日||シングル「[[ラブラドール・レトリバー]]」<br />個別握手会<ref name="oricon20140526" />||||シングル「高嶺の林檎」<br />なんば式写メ会<ref name="daily20140527" />|| |
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|6月14日||シングル「ラブラドール・レトリバー」<br />全国握手会<ref name="oricon20140604">{{Cite news|title=AKB48、握手会6月も延期に 7月以降は協議中|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-04|url=http://www.oricon.co.jp/news/2038223/full/|accessdate=2014-10-18}}</ref>|||||| |
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|6月15日||アルバム『[[次の足跡]]』<br />劇場盤発売記念大写真会<ref name="oricon20140604" />|||||| |
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|6月21日||||シングル「[[賛成カワイイ!]]」<br />全国握手会(NMB48と合同)<ref name="20140621 ske/nmb">{{Cite web|title=【6/21(土)全国握手会 開催延期に関しまして(お詫びとお知らせ)】|work=SKE48 オフィシャルウェブサイト|url=http://www.ske48.co.jp/news/?id=1402482438|accessdate=2014-10-18}}</ref>||シングル「高嶺の林檎」<br />全国握手会(SKE48と合同)<ref name="20140621 ske/nmb" />||シングル「[[桜、みんなで食べた]]」<br />劇場盤発売記念ペア握手会<ref>{{Cite web|title=6月21日(土)ペア握手会6月22日(日)合同全国握手会開催延期のお詫びとお知らせ|work=HKT48 オフィシャルウェブサイト|date=2014-06-11|url=http://www.hkt48.jp/news/2014/06/010233.html|accessdate=2014-10-18}}</ref> |
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|6月22日||||シングル「未来とは?」<br />全国握手会(HKT48と合同)<ref name="20140622 ske/hkt">{{Cite web|title=【6/22(日)全国握手会 開催延期に関しまして(お詫びとお知らせ)】|work=SKE48 オフィシャルウェブサイト|url=http://www.ske48.co.jp/news/?id=1402482507|accessdate=2014-10-18}}</ref>||||シングル「桜、みんなで食べた」<br />全国握手会(SKE48と合同)<ref name="20140622 ske/hkt" /> |
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|6月29日||アルバム『次の足跡』<br />劇場盤発売記念大写真会<ref name="oricon20140604" />|||||| |
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===== 警備の強化 ===== |
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握手会を中心にイベントの延期が続く中、いくつかのイベントは警備を強化して行われた。事件から3日後の5月28日、AKB48のメンバーがダーツに挑戦する『DARTSLIVE×AKB48』プロジェクトの発表会イベントが行われ、AKB48のメンバーが事件後初めてイベントに出席した<ref>{{Cite news|title=AKB48「また一緒にお仕事したい」 警備員配備の厳戒態勢で記者発表会|newspaper=モデルプレス|date=2014-05-29|url=http://mdpr.jp/news/detail/1368164|accessdate=2014-10-19}}</ref>。イベントでは事件を受けて警備の強化が行われた。ステージの両端では制服の警備員4人が警備にあたった<ref>{{Cite news|title=AKB厳戒態勢で襲撃事件後初イベント|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-29|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140529-1308589.html|accessdate=2014-10-19}}</ref>。このほかに「警備」の腕章をつけたスタッフおよそ10人が出入りしていた<ref name="oricon20140528 event" />。このイベントは報道陣のみを対象としたものであった。まんたんウェブの記事によると、報道陣向けのイベントでこのような警備態勢が敷かれるのは「異例の措置」であり、警備強化の理由について関係者からのコメントはなかったが、同記事では「事件を受けた対応とみられる」と推測している<ref>{{Cite news|title=AKB48 : 厳戒態勢で事件後初イベント メンバーが頭下げ「今できること一生懸命に」|newspaper=まんたんウェブ|date=2014-05-29|url=http://mantan-web.jp/2014/05/29/20140528dog00m200053000c.html|accessdate=2014-10-19}}</ref>。なおこの日は映画『美しい絵の崩壊』のトークイベントも行われ、当時AKB48メンバーであった[[塚本まり子]]が出席した。このイベントにおいても、会場となった劇場のスクリーンの両脇に警備員が配置され、ロビーでの報道陣による取材の際も塚本の左右に警備員が配置されるといった警備の強化が見られた<ref>{{Cite news|title=“大人AKB”塚本まり子、年下男性との禁断の恋にドキドキ!?|newspaper=cinemacafe.net|date=2014-05-28|url=http://www.cinemacafe.net/article/2014/05/28/23708.html|accessdate=2014-10-19}}</ref>。 |
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これ以降、AKB48グループに関連するいくつかのイベントにおいて、警備の強化がなされ、あるいは予定されていた一部の内容が中止されることになった。5月29日に行われた「AKB48選抜総選挙ミュージアム」オープニングセレモニーでは、2人の警備スタッフによる警備が行われたほか、予定されていた囲み取材が事件を受けて中止になった<ref>{{Cite news|title=高橋みなみ「少しずつ前をむいて」|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-29|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140529-1308886.html|accessdate=2014-10-19}}</ref>。同じく5月29日に行われた、HKT48のメンバーである[[指原莉乃]]が主演を務めている映画『薔薇色のブー子』の公開前夜祭イベントでは、警備員の人数が通常通りの9人であり、出演者に対する厳重な警備は行われなかったが、指原ら出演者が客席でファンと行う予定であった写真撮影は警備上の都合で中止となり、入場時にはスタッフ4人による手荷物検査が行われた<ref>{{Cite news|title=さしこ、ファンとの写真撮影中止!事件後初イベントも“のこぎり余波”|newspaper=スポーツ報知|date=2014-05-30|url=http://www.hochi.co.jp/entertainment/20140529-OHT1T50329.html|accessdate=2014-10-19}}</ref>。5月30日に開幕した展覧会「AKB48選抜総選挙ミュージアム」では、前年の2倍以上となる30人以上の警備員および警備スタッフが配置され、入場者に対する手荷物検査や金属探知機による検査がなされた<ref>{{Cite news|title=AKBミュージアム開幕!HKT7人がサプライズ来場!!|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-05-31|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140531/akb14053105030002-n1.html|accessdate=2014-10-19}}</ref>。6月2日に開催された、AKB48のメンバーである[[岩田華怜]]が出席した「笹かまの日大使」の任命式イベントでは、警備員が配置されたほか手荷物検査がなされた<ref>{{Cite news|title=岩田華怜、笹かまの日大使就任 故郷の味アピール|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-02|url=http://www.oricon.co.jp/news/2038121/full/|accessdate=2014-10-19}}</ref>。6月7日に開催された「選抜総選挙」の開票イベントおよび翌8日に開催された大島優子の卒業コンサートについても警備が強化されているが、これらについての詳細は後述する。 |
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一方、5月30日に行われた、フジテレビの番組『AKB48 第6回選抜総選挙 生放送SP』に関連する特別企画「戦国アドトラック出陣式」においては、屋外で行われたイベントであったが警備員の配置はなされなかった<ref>{{Cite news|title=握手会事件から5日… AKB、会見イベントの厳戒態勢緩和|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-30|url=http://www.oricon.co.jp/news/2038043/full/|accessdate=2014-10-19}}</ref>。 |
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警備の強化は、事件後に日本国外で行われたイベントにも及んだ。SKE48が7月15日に[[台湾]]・[[台北市]]で開催し、メンバー3人が出席したファンミーティングにおいては、安全対策としてファンに対する手荷物検査や金属探知機による検査が行われた<ref name="focus20140716">{{Cite news|title=SKE48メンバーが台湾訪問 握手なくても安全対策強化|author=王靖怡|newspaper=フォーカス台湾|date=2014-07-16|url=http://japan.cna.com.tw/news/aart/201407160002.aspx|accessdate=2014-10-19}}</ref>。持ち込みできるかばんはひとつだけという条件がつけられ、その中身もチェックされたほか<ref name="recordchina20140716">{{Cite news|title=SKE48の宮澤佐江・二村春香・岩永亞美がファンイベント、台湾でも厳重警備―台北市|newspaper=Record China|date=2014-07-16|url=http://www.recordchina.co.jp/a91225.html|accessdate=2014-10-19}}</ref>、飲料は試飲による確認がなされた<ref>{{Cite news|title=SKE48の3人が来台、安全検査は厳しく握手もできず―台湾紙|newspaper=XINHUA.JP|date=2014-07-16|url=http://www.xinhua.jp/socioeconomy/economic_exchange/389186/|accessdate=2014-10-19}}</ref>。警備員は70人が動員された<ref name="recordchina20140716" />。このイベントではミニライブや質疑応答が行われたのみで、握手などはなされなかった<ref name="focus20140716" />。HKT48が8月25日に同じく台北市で開催し、メンバー3人が出席したファンイベントでは握手会が行われたが、このイベントでも金属探知機の導入などの安全対策がなされた<ref>{{Cite news|title=HKT48の穴井千尋・兒玉遥・森保まどか、年末の台湾コンサートをPR―台北市|newspaper=Record China|date=2014-08-26|url=http://www.recordchina.co.jp/a93201.html|accessdate=2014-10-19}}</ref>。 |
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===== 選抜総選挙 ===== |
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AKB48は、一部のシングル曲において、その歌唱メンバーをファンからの投票で決定する「選抜総選挙」とよばれる企画を行っている。事件が発生したのは「[[AKB48 37thシングル選抜総選挙]]」の投票期間中であり、結果の開票を6月7日に控えているときであった<ref>{{Cite news|title=1位は渡辺麻友か AKB総選挙をデータで予測|author=小林直樹|newspaper=日本経済新聞|page=1|date=2014-06-05|url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0401D_U4A600C1000000/|accessdate=2014-10-18}}</ref>。事件発生以降、予定されていた握手会の延期が決まる中、選抜総選挙の開票を行うイベント「AKB48 37thシングル 選抜総選挙 夢の現在地〜ライバルはどこだ?〜」がどうなるかについて、ファンの間で話題になっていた<ref name="reallive20140529">{{Cite news|title=AKB48 総選挙、大島優子卒業ライブは予定通り開催を発表|newspaper=リアルライブ|date=2014-05-29|url=http://npn.co.jp/article/detail/20655266/|accessdate=2014-10-18}}</ref>。中止になるのではないかと考えるファンもいたが<ref>{{Cite news|title=AKBファン「総選挙中止に…」|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-05-26|url=http://www.daily.co.jp/gossip/2014/05/26/1p_0006993675.shtml|accessdate=2014-10-18}}</ref>、5月28日、AKB48の公式ブログが更新され、予定通り開催するという旨が明らかになった<ref name="oricon20140528 yoteidoori">{{Cite news|title=AKB、総選挙&大島卒業式予定どおり開催 警備は強化|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-28|url=http://www.oricon.co.jp/news/2037967/full/|accessdate=2014-10-18}}</ref>。この発表に先立ち、27日、イベントの主催者である[[AKS]]と警視庁[[調布警察署]]が、金属探知機による手荷物検査の実施などにより警備の強化を図るということで合意していた<ref name="nikkan20140608">{{Cite news|title=味スタ厳戒、AKB総選挙45分遅れ開幕|newspaper=nikkansports.com|date=2014-06-08|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140608-1314225.html|accessdate=2014-10-18}}</ref>。イベントの実施にあたり、入場時間を予定より1時間早めることになった。これについてMusicVoiceの記事は、6月2日のAKB48劇場での公演において厳戒態勢が公演開始時刻に影響したことを踏んだものであると推測している<ref name="musicvoice20140605">{{Cite news|title=AKB総選挙・優子卒業イベント開場時間前倒し、金属探知機設置も|newspaper=MusicVoice|date=2014-06-05|url=http://www.musicvoice.jp/news/20140605014871/|accessdate=2014-10-18}}</ref>。 |
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6月7日、東京都調布市の[[東京スタジアム (多目的スタジアム)|味の素スタジアム]]において、予定通り選抜総選挙の開票イベントが開催された。入場は当初の予定より1時間早い11時30分から行われた<ref>{{Cite news|title=AKBグループ、厳戒&大雨ライブ始まる 45分遅れでスタート|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-07|url=http://www.oricon.co.jp/news/2038338/full/|accessdate=2014-10-18}}</ref>。入場者に対しては、金属探知機による厳重な検査が行われた。検査の対象は7万人にのぼる観客だけでなく、取材関係者やスタッフにも及んだ。はじめに荷物検査を行ったうえで金属探知機による検査を行うという検査方法が取られ、6つの入場ゲートすべてで検査が行われた。荷物検査にあたっては106人のスタッフが動員され、ハンディタイプの金属探知機は122台用意された<ref name="nikkan20140608" />。金属探知機は性能がよく、現場ではつねに警報音が鳴ることとなり、このことについてデイリースポーツの記事は「異様な雰囲気となった」と報じている<ref name="daily20140607 p1">{{Cite news|title=AKB総選挙 大雨…45分遅れで開演|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-06-07|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/07/0007030899.shtml|accessdate=2014-10-18}}</ref>。日刊スポーツの記事は、イベントなどにおいて万単位の人間に対して金属探知機による検査を行うことについて「前代未聞」と報じている<ref>{{Cite news|title=厳戒AKB総選挙 7万人金属探知機検査|newspaper=nikkansports.com|date=2014-06-04|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140604-1311941.html|accessdate=2014-10-18}}</ref>。7万人に対する検査には時間がかかり、入場時間が1時間早められていたにもかかわらず、イベントは予定開始時刻から45分遅れて15時15分に開始された<ref name="nikkan20140608" />。デイリースポーツの記事は、厳重な警備が行われたことに加え、この日激しく雨が降っていたことも開始時間に影響したと推測している<ref name="daily20140607 p1" />。 |
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イベントでは、調布警察署の警察官50人が警備を行った。調布警察署によると、当初はこれより少ない人数での警備を予定していたが、AKB48サイドからの要望もあり増員したという<ref name="daily20140607 p2">{{Cite news|title=AKB総選挙 大雨…45分遅れで開演|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-06-07|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/07/1p_0007030899.shtml|accessdate=2014-10-18}}</ref>。同署の幹部は、増員理由を「手荷物検査などで警備員に協力するため」と説明している<ref name="nikkan20140608" />。警察官のほか、ファンの有志も警備にあたった<ref name="daily20140607 p2" />。 |
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このイベントは2部制がとられており、第1部ではAKB48グループによるライブ、第2部では開票が行われた<ref name="daily20140607 p1" />。第2部においては[[#事件後の川栄、入山の活動|前述]]のとおり、事件で負傷した川栄が公の場へ復帰した。また、開票時にはランクインした各メンバーがステージにのぼってコメントを残した。エキサイトレビューのライターである近藤正高は、このステージ上でのメンバーのコメントについて「事件に直接言及するしないにかかわらず、その影響をうかがわせる言葉が多々あった」と指摘している。たとえば、最終結果で10位となったSKE48の[[須田亜香里]]が雨天にもかかわらずステージの屋根がかかった箇所より前に出てコメントを行ったことについて、近藤は「そうした事態(事件を受けて劇場で最前列が使用不可となるなど、メンバーと観客を遠ざける処置がとられているという事態のこと)を踏まえて、あえてファンとの距離を縮めて語りかけようと思ったのだろう」と指摘している<ref>{{Cite news|title=AKB48選抜総選挙を徹底解析「予定調和で終わらない」という予定調和を崩した|author=近藤正高|newspaper=エキサイトレビュー|page=2|date=2014-06-08|url=http://www.excite.co.jp/News/reviewmusic/20140608/E1402190143347.html?_p=2|accessdate=2014-10-18}}</ref>。なお、事件の影響を受けたコメントとしてAKB48の[[小嶋陽菜]]によるものがあるが、これについては[[#卒業発表の中止|後述]]する。 |
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====== 開票結果への影響 ====== |
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事件発生前の5月21日、投票の途中経過を示す「速報」が発表された。事件で負傷した川栄の速報結果は4057票で45位にランクインした。同じく負傷した入山については2871票で77位であった<ref>{{Cite web|title=「AKB48 37thシングル 選抜総選挙」速報結果|work=AKB48 オフィシャルブログ|date=2014-05-21|url=http://ameblo.jp/akihabara48/entry-11857309760.html|accessdate=2014-10-18}}</ref>。 |
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その後、事件が発生したことで、事件が選抜総選挙の結果にどのような影響をもたらすかが注目された。アイドル評論家の西幸男は、この点をZAKZAKの記事において注目ポイントのひとつとして挙げた。記事では、川栄と入山の順位について「お見舞い票も入って順位はかなり上がりそうだ」と予想された<ref>{{Cite news|title=AKB選抜総選挙大予想! 注目は「卒業組」30万票の行方|newspaper=ZAKZAK|date=2014-06-06|url=http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20140606/enn1406061532016-n1.htm|accessdate=2014-10-18}}</ref>。一方、[[鳥取大学]]教授の石井晃は、各メンバーに関するファンのブログなどの書き込み数やその推移、広告宣伝効果、口コミをもとに選抜総選挙の結果を予想しており、「二人を心配したり、事件そのものへの書き込みが多いが、現時点では大幅に得票を伸ばしそうな推移はない」と分析した<ref>{{Cite news|title=さしこVSまゆゆ 一騎打ち AKB48総選挙 数式で予測|author=藤浪繁雄|newspaper=東京新聞|date=2014-06-01|url=http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2014060102000156.html|archivedate=2014-06-05|archiveurl=http://web.archive.org/web/20140605162549/http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2014060102000156.html|accessdate=2014-10-18}}</ref>。毎日新聞デジタルが調査会社「マクロミル」の協力により投票の動向を独自にアンケート調査した結果では、川栄と入山の得票率の順位はそれぞれ6位、12位と高順位をつけた。2人を選んだ回答者からは、「襲撃されかわいそう」「けがを負わされかわいそうだ。応援したい」「今回の事件から立ち直ってほしい」といった事件に関連したコメントが多く寄せられた<ref>{{Cite news|title=AKB48総選挙 : 川栄&入山に温かい声……独自調査結果|newspaper=まんたんウェブ|date=2014-06-02|url=http://mantan-web.jp/2014/06/02/20140602dog00m200035000c.html|accessdate=2014-10-18}}</ref>。 |
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6月7日に発表された最終結果においては、川栄は39120票で16位、入山は34002票で20位となった<ref>{{Cite web|title=「AKB48 37thシングル 選抜総選挙」開票結果|work=AKB48 オフィシャルブログ|date=2014-06-07|url=http://ameblo.jp/akihabara48/entry-11873269522.html|accessdate=2014-10-18}}</ref>。2人の順位はそれぞれ速報から29ランク、57ランク上昇していた。物語評論家のさやわかは、リアルサウンドの記事において、2人が速報から大きく順位を上げたことについて「川栄李奈と入山杏奈が20位以内にランクインしたことにより、握手会によるマイナスイメージは多少は払拭できたかもしれません」とコメントしている<ref name="realsound20140608">{{Cite news|title=まゆゆ総選挙1位でAKB48は原点回帰へ? 評論家2氏がグループの今後を予測|newspaper=リアルサウンド|page=2|date=2014-06-08|url=http://realsound.jp/2014/06/post-672_2.html|accessdate=2014-11-18}}</ref>。 |
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===== 大島優子卒業コンサート ===== |
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事件が発生した際、AKB48は選抜総選挙のほかにもうひとつイベントを控えていた。そのイベントは選抜総選挙開票イベントの翌日である6月8日に開催が予定されていた、当時AKB48のメンバーであった[[大島優子]]の卒業コンサートである。選抜総選挙と同様、事件を受けてこのコンサートがどうなるかファンの間で話題になり<ref name="reallive20140529" />、5月28日、AKB48の公式ブログで予定通り開催するという旨が明らかになった<ref name="oricon20140528 yoteidoori" />。このコンサートは選抜総選挙と同様、味の素スタジアムで開催され、観客動員数も同じく7万人であった。警備体制も選抜総選挙と同様であり、7万人の観客に対して金属探知機による検査が行われた<ref name="sanspo20140609">{{Cite news|title=厳戒態勢も入場スムーズ、2日連続で7万人にカッパ無料配布|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-06-09|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140609/akb14060905030006-n1.html|accessdate=2014-10-18}}</ref>。入場時間も予定より1時間早められ、14時からの入場となった<ref name="musicvoice20140605" />。入場はスムーズに行われ<ref name="sanspo20140609" />、コンサートは定刻から10分遅れの17時10分に開始された<ref>{{Cite news|title=大島優子、AKBは「人生の宝物」|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-08|url=http://www.oricon.co.jp/news/2038407/full/|accessdate=2014-10-18}}</ref>。 |
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===== 握手会の再開 ===== |
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AKB48の握手会を主催する[[キングレコード]]は、事件発生以降、6月に予定されていた握手会や写真会をすべて延期とし、事件の再発防止のため、警備会社であるJSSの監修のもとで握手会会場における厳重な警備体制について検証を重ねた<ref>{{Cite news|title=AKB、41日ぶり握手会再開へ 襲撃事件後初|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-30|url=http://www.oricon.co.jp/news/2039255/full/|accessdate=2014-10-25}}</ref>。そして、安全に開催する準備が整ったため、握手会の再開が決まった。6月30日、同社のホームページ上で握手会の再開が発表された<ref>{{Cite news|title=AKB48握手会 7・5再開!荷物制限など警備強化も発表|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-06-30|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/06/30/kiji/K20140630008477060.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。事件後初の握手会は、7月5日に[[東京ビッグサイト]]で開催されたシングル「前しか向かねえ」の個別握手会であった<ref>{{Cite news|title=AKB握手会、7・5ビッグサイトで再開|newspaper=nikkansports.com|date=2014-06-30|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140630-1326546.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。 |
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握手会の開催に先立ち、AKB48グループカスタマーセンター長の戸賀崎智信は、AKB48グループのすべてのメンバーおよび握手会関係者に対し、今後の握手会における変更点を説明し、今後どのようにすべきか話し合った。話し合いの結果、事件の影響で未だ悩んでいるメンバーがいることが明確になった<ref>{{Cite news|title=AKB事件後初握手会は「選択」制|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-07-03|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/07/03/0007112432.shtml|accessdate=2014-10-25}}</ref>。そうしたメンバーのことを考慮し、7月5日の握手会について、これに参加するかどうかをメンバー個人個人に一任する「選択制」をとることにした<ref>{{Cite news|title=AKB事件後初握手会は「選択」制|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-07-03|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/07/03/1p_0007112432.shtml|accessdate=2014-10-25}}</ref>。この「選択制」について、ファンからは賛否両論が寄せられた<ref>{{Cite news|title=AKB握手会 選択制にファン賛否|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-07-03|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/07/03/0007112585.shtml|accessdate=2014-10-25}}</ref>。 |
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7月5日、事件から41日が経ち握手会が再開された。この日の握手会は選択制の結果、AKB48グループのメンバー250人が参加した<ref name="oricon20140705">{{Cite news|title=厳戒AKB、41日ぶり握手会再開 “柵越し”も「会えてよかった」|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-07-05|url=http://www.oricon.co.jp/news/2039464/full/|accessdate=2014-10-25}}</ref>。事件で負傷した川栄と入山をはじめとするメンバー10人については事前に欠席することが発表されていたが<ref name="oricon20140705" />、AKB48の運営側によると、精神上の理由で欠席を申し出たメンバーはいなかったという<ref name="sponichi20140706">{{Cite news|title=AKB握手会41日ぶり再開 厳戒も高橋みなみ「会えてよかった」|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-07-06|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/06/kiji/K20140706008509580.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。会場への入場は当初の予定より30分早い午前8時からとなり、握手会は午前9時から開催された<ref name="daily20140705">{{Cite news|title=AKB柵越し握手会 事件後初開催|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-07-05|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/07/05/0007117559.shtml|accessdate=2014-10-25}}</ref>。入場が早められた理由は、ファンに対して行う検査に時間が掛かることを想定したためである<ref>{{Cite news|title=警備会社“監修”超厳戒態勢で…AKB握手会5日再開|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-07-01|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/01/kiji/K20140701008479310.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。入場者に対しては手荷物検査が行われた。まず、持ち込み可能な荷物はひとつで、その大きさについても縦、横、高さの合計が90cm以内のものと条件がつけられた<ref name="daily20140705" />。そして、かばんの中にある袋類も確認がなされ、傘についても開閉によるチェックが行われたほか、飲み物についても警備員の前での試飲による検査がされた<ref>{{Cite news|title=AKB48握手会、警備体制強化して本日再開|newspaper=音楽ナタリー|date=2014-07-05|url=http://natalie.mu/music/news/120578|accessdate=2014-10-25}}</ref>。また、握手会には50台の金属探知機が導入され、これによるボディチェックも行われた<ref name="sponichi20140705">{{Cite news|title=AKB握手会41日ぶりに再開 警備スタッフ7倍の厳戒態勢|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-07-05|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/05/kiji/K20140705008507320.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。金属探知機による検査はファンだけでなくスタッフや報道陣にも及んだ<ref name="hochi20140706">{{Cite news|title=AKB厳戒握手会 警備員密着で襲撃事件から41日ぶり復活|newspaper=スポーツ報知|date=2014-07-06|url=http://www.hochi.co.jp/entertainment/20140706-OHT1T50015.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。握手会に関わるスタッフも増員された。警備スタッフは従来50人であったが、この握手会ではその7倍となる350人となり、会場整理スタッフは700人が動員された<ref name="oricon20140705" />。警視庁の腕章を巻いた私服警官も警備に加わった<ref>{{Cite news|title=AKB握手会 柵越し握手混乱なく終了|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-07-05|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/07/05/0007118658.shtml|accessdate=2014-10-25}}</ref>。 |
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実際にファンとメンバーが握手を行うレーンにも変更が及び、握手も厳重な警備と安全対策のもとで行われた。従来の握手会では各レーンがカーテンでおおわれていたのに対し、レーン間の仕切りがパーティションのみとなり、見通しの良い状態に変更された<ref name="oricon20140705" />。各レーンに待機するメンバー1人に対し、従来の2倍となる4人のスタッフが配置された<ref name="sponichi20140706" />。レーンのスタッフのうち1人はメンバーを警備する警備員であり、ほかの3人は手荷物の管理、参加券の確認、握手時間の管理をそれぞれ担当した<ref name="oricon20140705" />。メンバーの後ろにはおよそ8mの退避スペースが設けられ、このスペースも警備員が巡回した<ref name="hochi20140706" />。握手にあたり、ファンは手荷物をすべて預け、スタッフに手のひらの確認を受けた<ref>{{Cite news|title=AKB48、握手会を再開 警備強化、5月の事件後初|author=河村能宏|newspaper=朝日新聞デジタル|date=2014-07-05|url=http://www.asahi.com/articles/ASG7553TPG75UCVL003.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。この際、結婚指輪以外の指輪を外すよう求められた<ref name="sankei20140705">{{Cite news|title=「お久しぶり!」AKB握手会再開 フェンス1メートル、結婚指輪以外は×…警備強化|newspaper=産経ニュース|date=2014-07-05|url=http://www.sankei.com/life/news/140705/lif1407050004-n1.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。ファンとメンバーの間には、従来は長机が配置されているのみであったが<ref>{{Cite news|title=AKB握手会厳重警備で再開…ファン粛々|newspaper=nikkansports.com|date=2014-07-05|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140705-1329181.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>、高さ1m10cmのプラスチック製の柵が設けられ、握手はこの柵越しに行われた<ref name="sponichi20140706" />。握手をする時のファンの行動にも制限が加えられた。身を乗り出しての握手は禁止され<ref name="sankei20140705" />、両手での握手も原則として禁じられた<ref name="sponichi20140705" />。メンバー側の行動にも一部影響が出ており、SKE48の古畑奈和が行っていたファンを迎えるときに飛び跳ねる「古畑ジャンプ」とよばれるパフォーマンスは、レーンの構造上の理由で不可能になった<ref>{{Cite news|title=松井珠理奈らが握手会の再開を喜ぶ|newspaper=nikkansports.com|date=2014-07-07|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140707-1330268.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。握手を終えたファンが通るルートも変更になり、従来はレーンをそのまま通過することになっていたのに対し、通過せずにUターンをして戻るという形になった<ref name="hochi20140706" />。 |
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厳戒態勢で行われた握手会であったが、会場においては物々しさを解消しようとする工夫がみられていた。メンバーとファンの間に設けられた柵は、グループのロゴが入った薄緑色の幕で隠された。この幕は、握手会直前の2日間で関係者が用意したものであり、参加したメンバー全員分が揃えられた。レーンの間のパーティションには、オフショットを含むメンバーの写真が貼られた<ref name="nikkan20140706">{{Cite news|title=AKB握手会再開も川栄、入山は欠席|author=大友陽平|newspaper=nikkansports.com|date=2014-07-06|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140706-1329484.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。 |
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この握手会における警備費について、イベント関係者は「これほどの規模なら1000万円以上掛かってるのでは」と語っている<ref name="sponichi20140706" />。経済学者の[[田中秀臣]]は、警備体制について「従来の売り出し方と安全面を判断し、警備態勢についてはかなり高いハードルを設定したといえるのでは」と分析し、「そこまでして再開したのは、握手会がAKB人気の核心であり、そこが崩れるとファンが大きく減ってしまうから」「中核メンバーが卒業していく中、一番の特色を失いたくなかったのだろう」とコメントしている<ref>{{Cite news|title=譲れぬAKBの「核心」…握手会、模索した早期再開と安全の両立|newspaper=産経ニュース|date=2014-07-05|url=http://www.sankei.com/entertainments/news/140705/ent1407050001-n1.html|accessdate=2014-11-20}}</ref>。また、この握手会でなされた柵の設置などの安全対策は、AKB48の公式ライバルグループである[[乃木坂46]]が事件後初めて行った握手会でのそれと同様のものになっており<ref>{{Cite news|title=AKBも柵はさみ握手会 5日再開|newspaper=nikkansports.com|date=2014-07-04|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140704-1328295.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>、この握手会の開催前にはAKB48と乃木坂46による意見交換が行われていた<ref name="nikkan20140706" />。 |
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個別握手会に続いて、事件が発生した全国握手会も再開された。全国握手会は、AKB48のものより先に姉妹グループのNMB48のものが開催されることとなった。個別握手会が再開された翌日の7月6日、NMB48は[[大阪府]][[大阪市]]の[[大阪国際見本市会場|インテックス大阪]]でシングル「高嶺の林檎」の全国握手会を行った<ref>{{Cite news|title=NMBが握手会を再開 警備は7倍に強化|newspaper=nikkansports.com|date=2014-07-06|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140706-1329959.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。この握手会でも、金属探知機による検査や柵越しでの握手が行われ、従来の7倍の警備員が動員されるといった厳戒態勢が敷かれた<ref>{{Cite news|title=NMB握手会再開 AKB同様7倍警備|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-07-06|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/07/06/0007120199.shtml|accessdate=2014-10-25}}</ref>。握手会の前に行われていたミニライブは、事件の再発防止対策に万全を期するため中止となった<ref>{{Cite news|title=NMB握手会再開 AKB同様7倍警備|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-07-06|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/07/06/1p_0007120199.shtml|accessdate=2014-10-25}}</ref>。この1週間後となる7月13日、AKB48の全国握手会が再開された。AKB48にとって事件後初となる全国握手会は、事件が発生した握手会と同じくシングル「ハート・エレキ」および「前しか向かねえ」のリリースに伴うものであり、[[北海道]][[札幌市]]の[[真駒内屋内競技場|真駒内セキスイハイムアイスアリーナ]]で開催された<ref>{{Cite news|title=AKB、13日から全国握手会も再開|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-07-07|url=http://www.oricon.co.jp/news/2039539/full/|accessdate=2014-10-25}}</ref>。この握手会でもステージでのイベントは行われない予定であったが、メンバー側からライブを開催したいという希望があり、それを受けてミニライブが開催された<ref>{{Cite news|title=AKB「全国握手会」襲撃事件以来の再開|newspaper=nikkansports.com|date=2014-07-13|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140713-1333942.html|accessdate=2014-10-25}}</ref>。 |
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===== 新たな交流イベント ===== |
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厳戒態勢による握手会の再開が実現した一方で、事件が発生して以降、AKB48の運営スタッフとメンバーは、ファンとの新たな交流方法を探っていた。グループが結成された当初は、メンバーとファンが遊園地で遊ぶなど、握手以外の形で直接交流するイベントが存在しており、新たな交流方法として浮かんだ案はグループの原点回帰を意識した「夏祭り」のイベントであった<ref name="nikkan20140809">{{Cite news|title=AKB夏祭り、ファンと「遊ぶ」新企画|author=大友陽平|newspaper=nikkansports.com|date=2014-08-09|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140809-1348002.html|accessdate=2014-10-26}}</ref>。このイベントは8月8日から10日にかけて、[[千葉県]][[千葉市]]の[[幕張メッセ]]において「AKB48グループ夏祭り」のタイトルで開催され、AKB48だけでなく姉妹グループのメンバーも参加した<ref>{{Cite news|title=AKBグループ初の夏祭り賑わう ライブ・出し物・対決企画も|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-08-09|url=http://www.oricon.co.jp/news/2040758/full/|accessdate=2014-10-26}}</ref>。イベント会場には[[夏祭り]]というタイトルどおり、盆踊りのやぐらや屋台などが設けられた。メンバーは会場の様々な場所に登場し、一緒にゲームをする、糸電話で会話をするなどの形でファンと交流した<ref name="nikkan20140809" />。なお、3日ともイベントは握手会と同時に開催され、このうち8月8日に開催された握手会は、事件発生を受けて延期されていた握手会イベントのうちのひとつで6月14日に開催予定であったシングル「ラブラドール・レトリバー」の全国握手会であった<ref>{{Cite news|title=AKB48襲撃事件で延期の全国握手会、「グループ夏祭り」として8・8幕張で代替開催|newspaper=MusicVoice|date=2014-08-01|url=http://www.musicvoice.jp/news/20140801016663/|accessdate=2014-10-26}}</ref>。 |
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==== 音楽作品のリリース ==== |
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事件発生直前の5月22日、NMB48はイベント「NMB48 リクエストアワー セットリスト ベスト50」において楽曲「[[イビサガール]]」をグループ10作目のシングルとしてリリースすることを発表していた<ref>{{Cite news|title=さや姉 選抜総選挙速報7位も「道のりが遠すぎてくじけそう」|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-23|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/23/kiji/K20140523008215160.html|accessdate=2014-10-29}}</ref>。しかし、その後事件を経て6月18日、グループは2作目のアルバムをリリースすることを発表し、これに伴い「イビサガール」がシングル曲からアルバム曲に変更されて配信でリリースされることになった<ref>{{Cite news|title=NMB48、“選抜水着姿”披露 山田菜々「プルッといろいろ…」|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-06-19|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140619/akb14061911420002-n1.html|accessdate=2014-10-29}}</ref>。関係者によると、この変更は事件の影響でなされたものではないというが<ref>{{Cite news|title=NMB2ndアルバムをサプライズ発表|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-06-18|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/18/1p_0007065673.shtml|accessdate=2014-10-29}}</ref>、変更理由について公式に告知されることはなかった<ref name="realsound20140822">{{Cite web|author=宇野維正|title=中森明菜のベスト盤が“想定外”の大ヒット中 本格的な復活へとつながるか?|work=リアルサウンド|page=1|date=2014-08-22|url=http://realsound.jp/2014/08/post-1142.html|accessdate=2014-10-29}}</ref>。一方、音楽・映画ジャーナリストの宇野維正は、「イビサガール」のリリース形態の変更が事件によりAKB48グループの全国握手会ができなくなっていた影響を受けたものであると見られていることを指摘しており、アルバムのリリースについても「CD発売中止を受けて、急遽前倒しになったものだとも」と記している<ref name="realsound20140822" />。 |
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==== 精神面でのフォロー ==== |
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事件の発生を目撃していたメンバーたちは、精神的にショックを受けていた。AKB48グループ総支配人の茅野しのぶは当時の状況について「事件後、隣の人が急に立ち上がっただけでビクビクしてたり、夜眠れないメンバー達を見ていると、正直、握手会どころか普段生活を送るのも難しいじゃないかと思う時もありました」と語っている<ref>{{Cite news|title=AKB総支配人、心の傷を憂慮 ファンに意見交換求める|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-07-02|url=http://www.oricon.co.jp/news/2039314/full/|accessdate=2014-10-30}}</ref>。スタッフはそうしたメンバーのために様々な行動を起こした。茅野は事件後多くのメンバーと話し、メンバーの保護者に対してもフォローを依頼した<ref>{{Cite news|title=AKB総支配人 メンバーや親と面談|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-27|url=http://daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/27/0006997084.shtml|accessdate=2014-10-30}}</ref>。HKT48では5月26日、すべてのメンバーおよびその保護者が集められ、当時の状況やそれ以降のことに関する説明会がなされた<ref>{{Cite news|title=HKT48は事件についてメンバーと保護者に説明会を開催|newspaper=リアルライブ|date=2014-05-28|url=http://npn.co.jp/article/detail/96529523/|accessdate=2014-10-30}}</ref>。このほか、精神的な問題に対応する専門医も増やされた<ref>{{Cite news|title=AKB48、劇場再開も心のケア続く|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-06-03|url=http://www.oricon.co.jp/news/2038152/full/|accessdate=2014-10-30}}</ref>。 |
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==== メンバーの個々の活動 ==== |
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===== SNSの自粛 ===== |
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AKB48グループのメンバーは、[[google+]]などの[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]への書き込みにより情報発信を行っているが、事件直後はこれらの書き込みがほとんどなされない時間が続いた。 |
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事件が発生した5月25日には、当時AKB48メンバーの大島優子がgoogle+にて「こんな事態になるなんて…」「とにかく二人とも無事で良かった」といった事件に関する書き込みを行ったが、すぐにこれらの書き込みを削除している(なお大島は5月25日、[[両国国技館]]で[[大相撲]]夏場所の千秋楽を観戦しており、握手会には参加していなかった)。スポニチアネックスの記事はこの削除の理由を「事態の大きさを考慮したためか」と推測しており、一連の流れをAKB48側の「混乱ぶり」として報じている<ref>{{Cite news|title=大島優子「こんな事態になるなんて」 交流サイトにコメントも削除|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-26|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/26/kiji/K20140526008236890.html|accessdate=2014-10-30}}</ref>。通常、google+にはAKB48グループのメンバーによる多くの書き込みが見られるが、事件翌日の26日からは、当時AKB48からの卒業を控えていた[[片山陽加]]によるものを除き、一切の書き込みが見られなかった<ref>{{Cite news|title=小林よしのり氏、AKBの“自粛”批判|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-05-27|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/27/1p_0006998230.shtml|accessdate=2014-10-30}}</ref>。書き込みが見られなかったのは、メンバーたちが書き込みを自粛していたことによる<ref name="daily20140527 nishino">{{Cite news|title=AKB西野 隣のレーンで「怖かった」|newspaper=デイリースポーツ|date=2014-05-27|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/27/0006998804.shtml|accessdate=2014-10-30}}</ref>。自粛に至った理由についてRBB TODAYの記事は「負傷した川栄や入山を気遣ってか」と推測している<ref>{{Cite news|title=「AKBぐぐたすの自粛をやめろ!」……小林よしのり氏、メンバーに“明るい笑顔”求む|newspaper=RBB TODAY|date=2014-05-27|url=http://www.rbbtoday.com/article/2014/05/27/120203.html|accessdate=2014-10-30}}</ref>。 |
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AKB48グループのメンバーによる書き込みは、google+以外のSNSにおいても自粛されていた。この状況が続く中、HKT48のメンバーである[[指原莉乃]]はファンが不安に思い始めていることを察し、AKB48グループ総合プロデューサーの[[秋元康]]に対して「私たちからコメントを発信していってもよろしいですか?」というメールを送った。秋元はこれに対し、「そもそも自粛させているつもりはないが、本当に皆が更新しにくい状況ならば、指原が思うようにやればいいよ」とアドバイスした。指原は5月27日、AKB48グループのメンバーの中で初めて、事件を受けてのコメントを[[Twitter]]に書き込んだ。日刊スポーツはこれについて「AKB48過去最大の危機に突破口を切り開いた」と記している<ref>{{Cite news|title=陥落さしこ「すごくすごくすごく悔しい」|author=大友陽平|newspaper=nikkansports.com|date=2014-06-08|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140608-1314215.html|accessdate=2014-10-30}}</ref>。 |
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指原によるTwitterへの書き込みがあった27日、事件で負傷した川栄と入山を含め、メンバーたちが次々とgoogle+への書き込みを始めた<ref name="daily20140527 nishino" />。28日には、AKB48グループ総監督を務める[[高橋みなみ]]がgoogle+において「ファンの皆さんとメンバーで作り上げてきたAKB48。ファンでもなかった1人の身勝手な行動で壊したくないです」「(誰でもよかった、という犯行動機について)そんなことあってもいいのでしょうか? 私たちはこんなやつのためにこんな事が起こるために握手をしてるわけじゃなかったはずです。」「ファンのみんなと築いてきた絆とメンバーの思いをなめないでほしい」と犯人の男を厳しく非難するコメントを出した<ref>{{Cite news|date=2014-05-28|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140528-1308322.html|title=高橋みなみ「なめないでほしい」|newspaper=nikkansports.com|accessdate=2014-06-24}}</ref>。 |
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なお27日、Twitterにおいて入山になりすました人物による書き込みがなされ、その後サンケイスポーツおよびスポーツ報知がこの書き込みを入山本人のものとして報じるという誤報があった。スポーツ新聞だけでなく、フジテレビ系列のテレビ番組『[[めざましテレビ]]』においてもスポーツ報知の記事を紹介するという形で同様の報道がなされた(その後番組内で訂正が入った)<ref>{{Cite news|title=AKB入山「なりすましツイッター」にマスコミ釣られる! サンスポ、報知…フジテレビ「めざまし」までも|newspaper=J-CASTニュース|date=2014-05-28|url=http://www.j-cast.com/2014/05/28205958.html?p=all|accessdate=2014-10-30}}</ref>。 |
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===== 卒業発表の中止 ===== |
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事件が発生したのは[[#選抜総選挙|前述]]のとおり選抜総選挙の開票イベントを控えていたときであり、AKB48のメンバーである[[小嶋陽菜]]は、開票イベントにおいてグループから卒業することを発表するつもりでいた。しかし、小嶋はその後開票イベントでの卒業発表をしないことを決断した。その理由のひとつが事件の発生であり、小嶋は開票イベントでのコメントでこの一連の考えの変化について「今回の総選挙はファンの方々と思い出を作るために出たので、卒業を発表しようと決めていました。でも先日AKBにとっていろいろなことが起きました。それを受けて私はもうちょっとだけここにいて、私にできることをやろうと思いました。」と発言している<ref>{{Cite news|title=小嶋陽菜「卒業を発表しようと決めていました」<コメント全文/第6回AKB48選抜総選挙>|newspaper=モデルプレス|date=2014-06-07|url=http://mdpr.jp/news/detail/1372824|accessdate=2014-10-30}}</ref>。なお、小嶋は卒業発表をしないと決めた代わりに、開票イベントのコメントとしてあたかも卒業発表をするかのように思わせる「ドッキリ」を用意することにし、それに向けて練習などをしたという<ref>{{Cite news|title=高橋みなみ、AKBドキュメンタリーでの“傷害事件”シーンに言及|newspaper=cinemacafe.net|date=2014-07-03|url=http://www.cinemacafe.net/article/2014/07/03/24439.html|accessdate=2014-10-30}}</ref>。物語評論家のさやわかは、リアルサウンドの記事において「今後も同グループを継続させていくためには様々な面での努力が必要かと思います」とした上で、「チームの中で保護者的なポジションにある」小嶋によるドッキリコメントについて「冗談を交えながらAKB48を続けることを宣言したのは、ファンにとっても後輩世代にとっても非常に心強かったのではないでしょうか」とコメントしている<ref name="realsound20140608" />。 |
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=== 乃木坂46 === |
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AKB48の関連グループとして、「AKB48グループ」に含まれる姉妹グループのほかに「公式ライバルグループ」として活動している[[乃木坂46]]がある。事件の影響はこのグループにも及んだ。 |
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乃木坂46は事件5日後の5月30日に劇場公演『16人のプリンシパル trois』の開演を控えており、グループの運営スタッフは事件翌日の26日に同公演における警備を強化することを決めた。30日、厳戒態勢のもとで公演が行われた。まず、入場時にはおよそ1300人の観客に対して荷物検査と金属探知機による検査が行われた。金属探知機は5台用意された。持ち込み可能な手荷物は、縦と横の長さがそれぞれ40cm以内、かつ幅が20cm以内のものという制限が加えられた。会場に設置されているコインロッカーは、その使用が禁じられた。警備員も増員され、前年に行われた公演のおよそ2倍となる約50人(うち10人はボディーガード)が動員された<ref>{{Cite news|title=乃木坂46舞台初日 金属探知機で厳戒入場検査|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-31|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/31/kiji/K20140531008268880.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>。入場に時間がかかるという理由で、開場時間は予定より15分早められた<ref>{{Cite news|title=乃木坂46は警備2倍増強で舞台開幕|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-31|url=http://www.daily.co.jp/gossip/2014/05/31/0007008532.shtml|accessdate=2014-11-02}}</ref>。 |
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握手会については、AKB48グループより先に実施される運びとなった。乃木坂46の運営委員会は、事件の発生を受け、握手会について協議を進めた結果「ファンの皆様から握手会開催を切望するご意見を尊重したい」と判断し、事件から27日後となる6月21日に[[横浜国際平和会議場|パシフィコ横浜]]で予定されていたシングル「[[気づいたら片想い]]」の個別握手会を開催することを決定した。開催にあたっては警備強化を行うこととし、検査などに時間がかかることから入場時間を早めることになった<ref>{{Cite news|title=乃木坂46、厳戒態勢の下で握手会実施へ 警備員増員や金属探知機導入|newspaper=MusicVoice|date=2014-06-15|url=http://www.musicvoice.jp/news/20140615015180/|accessdate=2014-11-02}}</ref>。当日の握手会は、厳戒態勢の下で開催された。入場時には手荷物検査および金属探知機による検査が行われたほか、警備員についても増員がなされた<ref name="nikkan20140622">{{Cite news|title=乃木坂、厳戒態勢も握手会再開1番乗り|author=横山慧|newspaper=nikkansports.com|date=2014-06-22|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/p-et-tp0-20140622-1321853.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>。手荷物検査においてはポケットの中やベルトとズボンの間などの確認、ペットボトルの飲料の試飲などの厳重な検査がなされ、ファンからは「まるで空港の検査。やりすぎだ」という意見も出た。主催者側のスタッフも「これまでは、ここまで細かい検査はしていなかった」と語っている<ref>{{Cite news|title=乃木坂46 厳重警備の中握手会「まるで空港の警備 やりすぎだ」の声も|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-06-21|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/06/21/kiji/K20140621008414800.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>。握手を行うにあたっては手荷物をすべて預け、握手は柵越しに行われた<ref name="nikkan20140622" />。なお[[#握手会の再開|前述]]のとおり、乃木坂46はAKB48サイドとの意見交換を行っており、この握手会における警備体制は、のちに再開されることになるAKB48の握手会へと受け継がれている。 |
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その後、全国握手会も開催された。当初、乃木坂46はシングル「[[夏のFree&Easy]]」の全国握手会を「お話し会」と題されたイベントに変更することを発表していた。「お話し会」は、ファンとメンバーによる会話のみが可能であるイベントで、握手はできないという予定であった。また、ミニライブは従来どおり開催される予定であった<ref name="nikkansports20140625">{{Cite news|title=乃木坂46、握手会から「お話し会」に変更|newspaper=nikkansports.com|date=2014-06-25|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140625-1323323.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>。しかし7月14日、グループは「運営委員会で協議を重ねた結果、安全面での確認ができたため」という理由で、お話し会ではなく全国握手会を実施することを決定した。全国握手会は7月19日に開催された。予定されていたミニライブは、イベント運営の都合により中止が決定した<ref>{{Cite news|title=乃木坂46、「お話し会」から「全国握手会」実施へ|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-07-14|url=http://www.oricon.co.jp/news/2039821/full/|accessdate=2014-11-02}}</ref>。なお、日刊スポーツの記事は、「お話し会」への変更が全国握手会に限って予定されたのは個別握手会と全国握手会のシステムに差があること(個別握手会は事前の申し込みが必要だが全国握手会は握手券を持ってさえいれば誰でも参加できる)および事件が全国握手会で発生したことを踏まえたためであると推測している<ref name="nikkansports20140625" />。 |
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また、シングル「夏のFree&Easy」は、事件前にリリースされた前作「[[気づいたら片想い]]」と比較して売り上げが下がっており、リアルサウンドのライターであるポップスは、売り上げが伸びなかった理由のひとつが事件の発生であると推測している<ref>{{Cite news|title=乃木坂46、切り札投入で紅白出場&AKB48越えなるか? 生田絵梨花センター抜擢の10th選抜を分析|author=ポップス|newspaper=リアルサウンド|page=2|date=2014-08-05|url=http://realsound.jp/2014/08/post-1023_2.html|accessdate=2014-11-03}}</ref>。 |
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=== メディア === |
=== メディア === |
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事件 |
事件を受けて、AKB48に関連するいくつかの番組において、放送の延期などの措置がとられた。事件翌日の5月26日深夜(日付上は翌27日)から[[NOTTV]]で放送が予定されていた、入山が主演を務めたオムニバスドラマ『結婚させてください!!』のエピソード3が事件を受けて放送を見送られ、この時間の放送が同ドラマの別エピソードに差し替えられた。Techinsightの記事は、差し替えの理由について「彼女自身やファンの心境を配慮して放送内容が変更されたもようだ」と推測している<ref>{{Cite news|title=【エンタがビタミン♪】AKB48・入山杏奈の初主演ドラマ『愛とトマト』が予定変更。壇蜜主演回を再放送へ。|author=真紀和泉|newspaper=Techinsight|date=2014-05-26|url=http://japan.techinsight.jp/2014/05/akb48iriyama-syuendrama-henko20140526.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>。このドラマは事件から3か月以上が経過した9月1日深夜(日付上は翌2日)から放送された<ref>{{Cite news|title=入山杏奈「AKB48なのに大丈夫かな」 事件で延期の主演ドラマ放送決定|newspaper=モデルプレス|date=2014-08-25|url=http://mdpr.jp/news/detail/1408659|accessdate=2014-11-02}}</ref>。5月30日深夜(日付上は翌31日)に放送が予定されていた、川栄が主演のうちのひとりであるテレビ東京系列のドラマ『[[セーラーゾンビ]]』の第7話についても延期となった。番組側は延期とした理由を「先般の事件を受け、総合的に判断した結果」と説明している<ref>{{Cite news|title=AKB川栄ら主演セーラーゾンビ放送延期|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-28|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140528-1308256.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>。こちらは延期から1週間後となる6月6日深夜(日付上は翌7日)に放送された。テレビ東京はこの放送再開について「川栄さんの体調も回復に向かっていると聞き、視聴者から再開を望む声もあった」と説明している<ref>{{Cite news|title=川栄主演ドラマ「セーラーゾンビ」 6日深夜放送再開|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-06-04|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/06/04/kiji/K20140604008294420.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>。このほか、NOTTVで放送されている番組『[[AKB48のあんた、誰?]]』においては、5月26日の生放送の公開観覧が中止となった<ref>{{Cite news|title=刃物切り付けでAKBイベント続々中止…握手会は「抜本的な改革」へ|author=西村重人|newspaper=シネマトゥデイ|date=2014-05-26|url=http://www.cinematoday.jp/page/N0063285|accessdate=2014-11-02}}</ref>。同番組における公開観覧は2か月近くにわたり中止となった。7月14日から再開されたが、参加できる人数は従来の50人から30人に減り、入場時には金属探知機による検査が追加された<ref>{{Cite news|title=「AKB48のあんた、誰?」14日から番組公開観覧再開へ|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-07-11|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/11/kiji/K20140711008544780.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>。 |
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一方、事件の影響を受けなかった番組もある。TBSは『[[有吉AKB共和国]]』などAKB48に関連する番組を放送しており、5月28日の定例社長会見において、同局の番組における放送延期などの影響はないという旨を発表した<ref>{{Cite news|title=TBS AKB関連番組変更なし|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-28|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/28/0007000697.shtml|accessdate=2014-11-02}}</ref>。また、フジテレビは5月31日の『[[めちゃ×2イケてるッ!]]』において、事件前に収録され、川栄が出演した企画「めちゃ日本女子プロレス」を放送した。この放送はインターネット上で反響を呼んだ。放送が始まる前には「自粛しろ」「不謹慎だろ」などという批判が上がっていたものの、放送後は「りっちゃん(川栄)の元気な姿が見られてよかった」「自粛しなかった勇気」など賞賛の声が上がった<ref>{{Cite news|title=AKB48メンバー出演の「めちゃ日本女子プロレス」平均視聴率10%|newspaper=リアルライブ|date=2014-06-03|url=http://npn.co.jp/article/detail/29035095/|accessdate=2014-11-02}}</ref>。 |
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一部のCMについても、放送の中止などに関する検討がなされることとなった。川栄は当時[[ユーキャン]]とAKB48のコラボレーション企画「AKBチャレンジユーキャン!2014」において[[薬膳]]コーディネーターの資格の取得を目指しており、これに関連したテレビCMに出演していたが<ref>{{Cite news|title=川栄 ユーキャン資格挑戦企画継続「引き続き頑張ります!!」 |newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-30|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/30/kiji/K20140530008266220.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>、ユーキャンは5月26日、事件を受けて川栄が出演していたCMの放送を見合わせることを決めた<ref>{{Cite news|title=川栄出演のCM見合わせ ユーキャン「当面、様子を見たい」|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-26|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/26/kiji/K20140526008240860.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>。CMだけでなく企画の継続自体もユーキャンと関係各社により協議された。しかし、川栄から資格への挑戦に前向きな言葉を受けたことで、企画の継続が決定するとともに<ref>{{Cite news|title=川栄ユーキャンCM継続決定 30日から|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-05-30|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/30/1p_0007007153.shtml|accessdate=2014-11-02}}</ref>、5月30日、CMの放送が決定した<ref>{{Cite news|title=川栄ユーキャンCM継続決定 30日から|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-30|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/30/0007007153.shtml|accessdate=2014-11-02}}</ref>。このほか、5月27日から放送が予定されていた、AKB48のメンバーが出演する[[アサヒ飲料]]の缶コーヒー「[[WONDA#現行製品|WONDA 金のラテ]]」のCMについても、事件を受けて放送の自粛が検討されたが<ref>{{Cite news|title=AKB48 : CMも自粛検討|newspaper=まんたんウェブ|date=2014-05-26|url=http://mantan-web.jp/2014/05/26/20140526dog00m200011000c.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>、5月27日から予定通り放送されることとなった<ref>{{Cite news|title=AKB48 : ワンダCMは予定通り27日放送へ|newspaper=まんたんウェブ|date=2014-05-26|url=http://mantan-web.jp/2014/05/26/20140526dog00m200025000c.html|accessdate=2014-11-02}}</ref>。 |
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=== その他各種イベント === |
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事件の影響を受けたのは、AKB48の関連グループにとどまらなかった。事件が発生したのはアイドルブームの最中であり、AKB48以外のアイドルも様々な形でファンとの直接交流を行っていた<ref name="sponichi20140526 akushukai" />。事件を受けて、アイドルグループなどが次々とイベントの中止、内容変更といった措置を取った。 |
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女性アイドルグループの[[アイドリング!!! (グループ)|アイドリング!!!]]は、5月28日に行う予定であったシングル「[[キュピ|キュピ{{JIS2004フォント|♥}}]]」の発売記念イベントを「警察当局の指導」により中止とし、翌29日以降のイベントは会場内への手荷物の持ち込みなどを禁止する措置をとった<ref>{{Cite news|title=アイドリング!!!、あすの握手会中止「警察の指導」|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-27|url=http://www.oricon.co.jp/news/2037912/full/|accessdate=2014-11-08}}</ref>。女性音楽グループの[[Happiness (グループ)|Happiness]]は、5月29日から6月1日にかけて行う予定であったシングル「[[JUICY LOVE (Happinessの曲)|JUICY LOVE]]」の発売記念イベントを中止とした<ref>{{Cite news|title=AKB握手会事件で余波… Happinessもイベント中止|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-26|url=http://www.oricon.co.jp/news/2037870/full/|accessdate=2014-11-08}}</ref>。女性アイドルグループの[[私立恵比寿中学]]は、5月31日のラジオ公開イベントにおいて、イベント後に行う予定であった握手会を中止とした<ref>{{Cite news|title=アイドルイベント続々延期・中止… 各人気グループの対応は?|newspaper=ORICON STYLE|date=2014-05-27|url=http://www.oricon.co.jp/news/2037915/full/|accessdate=2014-11-08}}</ref>。女性歌手の[[鈴木このみ]]は、5月31日実施のシングル「[[This game]]」の発売記念イベントにおいて、内容を変更した。イベントの一環として当初予定していた握手会を中止としたほか、イベント会場で持ち物検査およびボディーチェックを行う措置を取った<ref>{{Cite news|title=AKB事件余波アニソン歌手の握手会中止|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-29|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20140529-1308586.html|accessdate=2014-11-08}}</ref>。女性音楽グループの[[9nine]]は、アルバム『[[MAGI9 PLAYLAND]]』の発売記念イベントにおいて、内容を変更した。イベントの一環として5月31日に行う予定であった私物サイン会、および6月1日にミニライブとともに行う予定であったハイタッチ会をともに中止とした<ref>{{Cite news|title=9nine 私物サイン会&ハイタッチ会中止、ミニライブは実施へ|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-29|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/29/kiji/K20140529008261760.html|accessdate=2014-11-08}}</ref>。男性アイドルの[[中山優馬]]は、5月31日および6月1日に予定していたハイタッチを含むイベント「優馬とHigh Five」を延期とした<ref>{{Cite news|title=AKB握手会事件余波でイベント続々延期・中止 Happiness、エビ中、ジャニーズ、アイドリング…|newspaper=J-CASTニュース|date=2014-05-28|url=http://www.j-cast.com/2014/05/28206035.html?p=all|accessdate=2014-11-08}}</ref>。プロ野球球団[[オリックス・バファローズ]]のダンス・ボーカルユニットである[[BsGirls]]は、5月31日に予定していたものをはじめ、不定期に行っていたサイン会を当面の間見合わせた<ref>{{Cite news|title=Bs Girlsのサイン会を一旦中止|newspaper=nikkansports.com|date=2014-05-31|url=http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20140531-1309848.html|accessdate=2014-11-08}}</ref>。AKB48の元メンバーである歌手の[[板野友美]]は、6月1日実施のアルバム『[[S×W×A×G]]』の発売記念イベントにおいて、予定していた握手会を中止とし、代わりに板野の直筆によるサインが入ったポストカードを渡すイベントを行った<ref>{{Cite news|title=板野友美も握手会中止、本人立合いの特典会に ライブは実施|newspaper=MusicVoice|date=2014-05-29|url=http://www.musicvoice.jp/news/20140529014674/|accessdate=2014-11-08}}</ref>。 |
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一方、警備強化などの対策をとった上でイベントを実施したケースをある。[[モーニング娘。]]などの女性アイドルグループの活動を運営する[[ハロー!プロジェクト]]は、事件について「厳粛に受け止め」たうえで、「楽しみに待って頂いているファンの皆さまのためにも」という理由で握手会などのイベントを予定通り実施することを決定したが<ref>{{Cite news|title=ハロプロ イベントは予定通り実施へ|newspaper=デイリースポーツ|page=1|date=2014-05-27|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/27/0006998228.shtml|accessdate=2014-11-08}}</ref>、警備については安全を確保するために従来より強化することとした<ref>{{Cite news|title=ハロプロ イベントは予定通り実施へ|newspaper=デイリースポーツ|page=2|date=2014-05-27|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/05/27/1p_0006998228.shtml|accessdate=2014-11-08}}</ref>。女性アイドルグループの[[でんぱ組.inc]]は5月29日、2ショット撮影会を開催したが、実施にあたり警備員やスタッフを増員し、イベントに参加するファンに対して手荷物を事前に預けることを要請するなど警備体制を強化した<ref>{{Cite news|title=自粛ムードの中…でんぱ組.incがイベント「これからもやっていきたい」|newspaper=スポニチアネックス|date=2014-05-29|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/29/kiji/K20140529008260130.html|accessdate=2014-11-08}}</ref>。 |
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=== AKB48グループ以外 === |
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* [[Happiness (グループ)|Happiness]] - 5月26日、同月29日から6月1日にかけて開催される予定であったシングル「[[JUICY LOVE]]」の発売イベントを全て中止。振り替えも行わないことを決定<ref name="JCAST20140528">{{Cite news|date=2014-05-28|url=http://www.j-cast.com/2014/05/28206035.html?p=all|title=AKB握手会事件余波でイベント続々延期・中止 Happiness、エビ中、ジャニーズ、アイドリング…|newspaper=J-CASTニュース|publisher=J-CAST, Inc.|accessdate=2014-05-30}}</ref>。 |
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* [[ジャニーズ事務所]] - 5月27日、[[中山優馬]]が同月31日に[[仙台市]]、6月1日に[[広島市]]で予定していたハイタッチを含むイベント「優馬とHigh Five」を無期延期にすることを発表<ref name="JCAST20140528"/>。 |
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* [[アイドリング!!!]] - 5月27日、同月28日に[[ラゾーナ川崎プラザ]]で予定していたイベントを「[[警察]]当局の指導により」中止し、延期しないことも決定。同月29日から6月1日に[[神奈川県]]・[[福岡県]]・[[愛知県]]・[[宮城県]]・[[大阪府]]・[[兵庫県]]・東京都で予定していた握手会を含むイベントについては予定通り開催するものの、手荷物の持ち込み、および従来許容されていたメンバーに直接ファンレターや[[贈り物|プレゼント]]を手渡しする行為を禁止するなどの措置を講じた<ref name="JCAST20140528"/>。 |
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* [[私立恵比寿中学]] - 5月27日、同月31日に[[三重県]][[桑名市]]・[[ナガシマスパーランド]]でのイベント終了後に予定していた握手会を中止すると発表<ref name="JCAST20140528"/>。 |
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* [[乃木坂46]] - 6月21日、[[横浜市]]で予定通り個別握手会<ref>{{Cite news|date=2014-06-13|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/06/13/kiji/K20140613008358120.html|title=乃木坂 6・21握手会は予定通り開催 ファン意見尊重、厳戒態勢で|newspaper=Sponichi Annex|accessdate=2014-06-25}}</ref>が開催されたが、メンバーとファンの間に柵を設置しての握手となった<ref>{{Cite news|date=2014-06-21|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/06/21/kiji/K20140621008414800.html|title=乃木坂46 厳重警備の中握手会「まるで空港の警備 やりすぎだ」の声も|newspaper=Sponichi Annex|accessdate=2014-06-25}}</ref>。同月25日には、9枚目シングル「[[夏のFree&Easy]]」の全国握手会を、握手をしない「お話し会」に変更すると発表された<ref>{{Cite news|date=2014-06-25|url=http://www.oricon.co.jp/news/2039025/full/|title=乃木坂46、全国握手会を「お話し会」に変更|newspaper=ORICON STYLE|accessdate=2014-06-25}}</ref>。 |
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一部映画の関連イベントにおいても安全対策の強化がなされた。5月26日に行われた映画『[[Qシリーズ (小説)#映画『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』|万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-]]』の関連イベントでは、事件を受けて急遽劇場の入り口に手荷物検査所が設けられた<ref>{{Cite news|title=綾瀬はるかが鑑定された、もっとも向いている職業とは|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-05-26|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140526/oth14052620160022-n1.html|accessdate=2014-11-08}}</ref>。同じ日に行われた映画『[[ポンペイ (映画)|ポンペイ]]』のジャパン・プレミアイベントにおいても同様に、事件を受けて急遽手荷物検査が実施された<ref>{{Cite news|title=映画「ポンペイ」プレミアで荷物検査|newspaper=デイリースポーツ|date=2014-05-27|url=http://www.daily.co.jp/gossip/2014/05/27/0006996447.shtml|accessdate=2014-11-08}}</ref>。5月27日に行われた映画『[[X-MEN: フューチャー&パスト]]』のジャパン・プレミアイベントでは警備が強化されており、関係者によると通常の2倍である40人の警備員が配置されたほか手荷物検査も行われた<ref>{{Cite news|title=ヒュー・ジャックマンが太鼓判、剛力彩芽ハリウッド進出!?|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-05-28|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140528/oth14052805030001-n1.html|accessdate=2014-11-08}}</ref>。 |
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== 握手会の再開 == |
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事件の影響により、6月末までに予定されていた握手会および写真会は延期されていたが<ref>{{Cite web|url=http://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t4997/|title=6月14日(土)全国握手会イベント(横浜スタジアム) 6月15日(日)・6月29日(日)パシフィコ横浜 大写真会 開催延期のお詫びとお知らせ|publisher=キングレコード株式会社|accessdate=2014-06-05}}</ref>、警備体制の見直しを行い2014年7月5日に[[東京国際展示場|東京ビッグサイト]]で開催された「[[前しか向かねえ]]」の個別握手会から再開した<ref>{{Cite news |date=2014-06-30 |url=http://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/Cfettp01406300053.html |title=〈速報〉AKB握手会、7・5ビッグサイトで再開 |publisher=朝日新聞 |accessdate=2014-07-01}}</ref>。当日は警備員を従来の握手会の7倍にあたる350人に増員、イベントに関わるスタッフ数も従来の700人程度から1000人以上に増やし、[[警視庁]]の腕章を巻いた[[私服警官]]も警備にあたる厳戒態勢の中、50箇所の入場口で金属探知機によるボディーチェックを行い、持ち込みの荷物を大きさが縦・横・高さの合計90センチ以内のもの1個に制限、入場者は警備員に手のひらを見せた上アクセサリー類も結婚指輪以外は外すよう求められ、さらに各メンバーの背後に従来の倍の4人の警備員を配置、かつ従来メンバーがいるレーンごとに設置していたパーティションやカーテンなどの仕切りを減らし密室状態を回避、警備員やスタッフからメンバー全員が見渡せるスタイルへ変更した上で、高さ1.1メートルのプラスチック製の柵越しでの握手という形となった。また、事件の被害者である入山、川栄両名については同握手会不参加であった<ref>{{Cite news |date=2014-07-05 |url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/07/05/0007117559.shtml |title=AKB柵越し握手会 事件後初開催 |publisher=デイリースポーツ |accessdate=2014-07-06}}</ref><ref>{{Cite news |date=2014-07-06|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/06/kiji/K20140706008509580.html |title=AKB握手会41日ぶり再開 厳戒も高橋みなみ「会えてよかった」 |newspaper=Sponichi Annex|publisher=スポーツニッポン新聞社 |accessdate=2014-07-06}}</ref>。同月13日には本件のあった全国握手会イベントも再開。ステージでのイベントは見送られたが、メンバーからライブ開催を希望する声を受け、急きょスタンドでのミニライブも行われた<ref>{{Cite news|date=2014-07-13|url=http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/f-et-tp0-20140713-1333942.html|title=AKB「全国握手会」襲撃事件以来の再開|newspaper=nikkansports.com|publisher=日刊スポーツ|accessdate=2014-07-13}}</ref>。 |
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== 事件を扱った映画 == |
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== 報道における問題 == |
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事件は、AKB48の活動を映したドキュメンタリー映画『[[DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?]]』において取り上げられている。この映画の監督である[[高橋栄樹]]は、映画で事件を扱うことについて「僕はいろんな難題や課題が降り掛かってきても、決して逃げない彼女たち(AKB48メンバー)をリスペクトしています。だからこそ、デリケートな問題でも、今回起きてしまった握手会での事件にも触れざるを得ないと思っています」と発言している<ref>{{Cite news|title=AKB48ドキュメンタリー監督、今回の見どころは?“優子の卒業”と“周りのメンバーの人間模様”|author=くれい響|newspaper=シネマトゥデイ|date=2014-06-17|url=http://www.cinematoday.jp/page/N0063814|accessdate=2014-11-11}}</ref>。高橋は悩んだ末に事件について映画で扱うことを決めており<ref>{{Cite news|title=高橋栄樹監督&本広克行監督が語る「DOCUMENTARY of AKB48」の裏側|newspaper=映画.com|date=2014-07-19|url=http://eiga.com/news/20140719/6/|accessdate=2014-11-11}}</ref>、映画監督の[[本広克行]]からは「AKB48の歴史はアイドルの歴史なので、あれは嫌な事件だけどちゃんと向き合わないといけない、入れるべきです」という意見を受けていた<ref name="cinematoday20140719">{{Cite news|title=「踊る大捜査線」本広監督、AKBドキュメンタリーの“傷害事件”に言及|author=中村好伸|newspaper=シネマトゥデイ|date=2014-07-19|url=http://www.cinematoday.jp/page/N0064715|accessdate=2014-11-11}}</ref>。高橋は実際に事件を扱うにあたり、デリケートな題材であることからその取り上げ方に苦心したという。また、事件が扱われたことで映画の構成に影響が出た。この映画は予告編において「2度の総選挙の裏側を描く」という紹介がされていたが、事件が扱われたことで、選抜総選挙に関する時間が短くなった<ref name="cinematoday20140719" />。事件に関する内容は、映画の後半部分で扱われている<ref>{{Cite news|title=AKB映画、襲撃事件も題材!ぱるる&さや姉が握手会への思いを激白|newspaper=SANSPO.COM|date=2014-06-30|page=3|url=http://www.sanspo.com/geino/news/20140630/akb14063005050002-n3.html|accessdate=2014-11-11}}</ref>。 |
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[[J-CAST]]の執筆者は、[[#犯人について|前述]]の日本テレビ系情報番組『スッキリ!!』において、出演者が発達障害に関し軽率なコメントをした点を指摘しており、「それ(犯人への非難)は健康な人の話だろう。同じようにコメントをするのか。精神障害の手帳まで交付された人の話だ。司会者は最後に軽くフォローしたが、どんなに重大なことか分かっていない」などと不快感を示している<ref name="j-cast" />。また、同番組コメンテーターで、テレビ[[演出家]]の[[テリー伊藤]]が、事件に関連してインタビューを受けていた若者らが「[[おたく]]」だったことから、「なかなか普段街に出ないような子が、AKBの握手会があるから出ていくっていうのも、ひとつのこれ、いいことなんだよね」などとおたくを引きこもりと結びつけ、ネット上などで反発を買った。既報通り、犯人とおたくとは関係が無い<ref>{{Cite news |title=AKB握手会は引きこもり「オタク」が出かける大切な機会 テリー伊藤発言、ネットで「実はアクティブ」と反論くらう |newspaper=[[J-CASTニュース]] |date=2014-05-26 |author= |url=http://www.j-cast.com/2014/05/26205776.html?p=all |accessdate=2014-08-24}}</ref>。同様に、[[ジャーナリスト]]の[[池上正樹]]もテリー伊藤の見解を疑問視している<ref>{{Cite web |date=2014-05-29 |url=http://diamond.jp/articles/-/53761?page=2 |title=AKB襲撃事件でまるで“犯罪者予備軍”扱い!? 「大人のひきこもり」への偏見に警鐘を鳴らす(2) |publisher=[[ダイヤモンド社|ダイヤモンド・オンライン]] |accessdate=2014-08-24}}</ref>。 |
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== 応援活動 == |
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引きこもり・ニートの問題を取材しているジャーナリストの池上正樹は、本件に関するマスコミ報道が「引きこもり=犯罪者予備軍」という誤解を招きかねないネガティブなイメージを流布していると危惧する。池上が過去に取材した40代の当事者の話では、「今回は、AKBという大人気のグループが襲撃されたことで、インパクトが大きい。引きこもりって報じられているけど、2ヵ月くらいですよ。」「僕らは、何年、何十年単位で引きこもっている。せっかく最近、いろいろな取り組みで誤解が少しずつ解けていたのに、またイメージが悪くなりそうで…」「引きこもりの人は、怒りの矛先が他人に向くわけないんですよね。人目が怖くて、目立つことを嫌うのに…。」と述べており、池上も「今後の捜査や取材等で新たな事実が出てくる可能性はあるものの、背景などから推測する限り、やはり『引きこもり』とは直接、関係なさそうである。」と結んでいる<ref>{{Cite web |date=2014-05-29 |url=http://diamond.jp/articles/-/53761 |title=AKB襲撃事件でまるで“犯罪者予備軍”扱い!? 「大人のひきこもり」への偏見に警鐘を鳴らす(1)〜(4) |publisher=[[ダイヤモンド社|ダイヤモンド・オンライン]] |accessdate=2014-08-24}}</ref>。 |
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事件を受けて、岩手県[[奥州市]]のファン有志「AKB48グループ絆SUPPORTER」がAKB48を応援する「応援幕」を作成した<ref name="hochi20140617">{{Cite news|title=AKB北原里英「うれしい」岩手ファンが勇気の応援幕|newspaper=スポーツ報知|date=2014-06-17|url=http://www.hochi.co.jp/entertainment/20140617-OHT1T50000.html|accessdate=2014-11-17}}</ref>。この応援幕は、負傷した川栄と入山をはじめとするAKB48のメンバーを応援するため、およびAKB48による[[東日本大震災]]の復興支援活動に対して恩返しをするために作成された<ref>{{Cite news|title=AKB励ませ 岩手のファンから応援幕|newspaper=デイリースポーツ|date=2014-06-16|url=http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/06/16/0007058816.shtml|accessdate=2014-11-17}}</ref>。幕には寄せ書きがされており、縦110cm、横150cmの布12枚におよそ800人がメッセージを書き込んだ。この応援幕は6月16日、AKB48劇場に掲示された<ref name="hochi20140617" />。 |
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== 脚注・出典 == |
== 脚注・出典 == |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* [http://www.akb48.co.jp/ AKB48公式サイト] |
* [http://www.akb48.co.jp/ AKB48公式サイト] |
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* [http://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t4939/ 【ご報告】2014年5月25日開催 AKB48 岩手握手会について] キングレコード(リンク切れ) |
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* [http://48g.jp/ 握手会まとめ(仮)] |
* [http://48g.jp/ 握手会まとめ(仮)] |
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2014年12月6日 (土) 12:20時点における版
AKB48握手会傷害事件 | |
---|---|
場所 |
日本 岩手県滝沢市砂込389-20 岩手産業文化センター |
座標 | |
標的 | AKB48のメンバー |
日付 |
2014年5月25日 16時55分頃 |
概要 | 握手会会場において男がAKB48メンバーらを切りつけた |
攻撃側人数 | 1人 |
武器 | 改造した折りたたみ式のこぎり |
死亡者 | なし |
負傷者 | 入山杏奈、川栄李奈、スタッフの男性1名 |
損害 | 握手会の打ち切り |
犯人 | 青森県の24歳の男 |
対処 |
犯人は現行犯逮捕 AKB48劇場での公演およびイベントの一時中止 |
AKB48握手会傷害事件(エーケービーフォーティエイト あくしゅかいしょうがいじけん)は、2014年5月25日、日本の女性アイドルグループ・AKB48が岩手県滝沢市の岩手産業文化センター(アピオ)で開催していた握手会のイベントにおいて、のこぎりを持った男がグループのメンバー2人とスタッフ1人を切りつけ、負傷させた事件である。AKB48握手会襲撃事件とも呼ばれる[1][2]。
事件が発生したのは、AKB48のCDに封入されている参加券があれば誰でも参加できる「全国握手会」とよばれるイベントである。グループのメンバーとファンが握手を行う区画(レーン)のひとつに男が入り、のこぎりを取り出してメンバーの川栄李奈と入山杏奈、および2人を守ろうとした男性スタッフを切りつけた。男は周囲にいたスタッフに取り押さえられ、警察に殺人未遂の容疑で現行犯逮捕された。切りつけられた3人は骨折や裂傷を負い、病院へ搬送されてただちに縫合手術を受けた。3人は事件翌日に退院した。
犯人は青森県十和田市に住む当時24歳の男で、発達障害をもっている。2014年1月に仕事を失っており、犯行動機はテレビでAKB48を見て「収入が多い」「自分とは正反対」などと不満に思ったことであった。5月に岩手県でAKB48の握手会が行われることを知った男は、その参加券を入手し、自宅ののこぎりにカッターナイフの刃を貼りつけるという改造を加えた。こののこぎりを持って握手会に参加し、参加者の列が短かったレーンを狙って犯行に及んだ。男は逮捕後、精神鑑定が行われた。その結果責任能力が問えると判断され、傷害罪および銃刀法違反罪で起訴された。
事件は日本のワイドショーなどで合計10時間以上を割いて報道されたほか、日本国外でも多くの報道がされた。事件に関する報道の中には、AKB48の握手会そのものや、握手会の参加券をCDに封入するAKB48の販売手法を事件とからめて扱うものがあり、こうした報道の一部に対する批判や、その批判を過剰だとする意見が出たほか、インターネット上で大衆から批判が出た報道もある。事件については様々な議論や分析がなされ、握手会における警備体制に関する批判がなされたほか、握手会それ自体についても賛否が出た。この事件はアイドルに特有の事例ではなく、有名人を標的にした事件のひとつであると複数の批評家により指摘されている。
事件の影響は多方面に及んだ。切りつけられた川栄と入山は療養を要し、事件後段階的に活動復帰を果たしたものの、しばらくの間負傷部位をギプスで固定したまま芸能活動を行うことになった。AKB48の運営会社には、各種イベントにおける警備強化、安全対策を行うよう警察から要請が入り、その後AKB48劇場での公演は厳戒態勢のもとで行われることになった。6月7日実施のイベントおよび6月8日実施のコンサートにおいては、7万人を金属探知機で検査するという措置が取られた。握手会イベントは、6月末までに実施が予定されていたものが延期となり、7月から厳戒態勢のもとで再開された。このほかにも、事件直後にメンバーがSNSを自粛するなどの影響もあった。AKB48の姉妹グループや、AKB48のライバルとして活動するグループにも影響が及んだほか、それ以外のアイドルなども、事件直後に予定されていた各種イベントを中止としたり、内容を変更したりする措置をとった。一部の映画関係のイベントでも警備強化がなされた。また、事件直後、AKB48に関連するいくつかのテレビ番組が放送を延期するなどの措置をとり、一部のCMも放送の自粛が検討された。事件はAKB48のドキュメンタリー映画でも扱われた。
背景
AKB48は、シングルCDのリリースに際して握手会のイベントを行っている。握手会は全国握手会、個別握手会の2種類に分けられる[3]。全国握手会はシングルCDのうち初回盤に付属している握手券で参加することができるイベントである。イベント開始時にはミニライブが行われ、その後、握手が行われる。イベントに参加するAKB48メンバーは30人から50人ほどである[4]。握手をする時、テントを用いた「レーン」とよばれるいくつかの区画が設けられ、メンバーはそれぞれ決められたレーンに待機しており、ファンはレーンを選んで好きなメンバーと握手することができる。それぞれのレーンには1人から複数人のメンバーが待機している[5]。全国握手会は、握手券を所持していれば誰でも参加することができる[3]。一方、個別握手会はシングルCDのうち劇場盤に付属している握手券で参加できるイベントである。劇場盤はインターネットの特定のサイトを通してのみ購入できる[5]。個別握手会に参加するにあたっては事前の申し込みが必要であり、その際に自分の個人情報などを入力したうえで握手したいメンバーを選ぶ必要がある[3]。全国握手会とは異なり、どの参加メンバーとも1対1で握手することができる[5]。
握手会においては、参加メンバーの安全確保のために警備などが行われている。従来の握手会においては、レーンごとに10人前後の警備員と整理スタッフが配置され、スタッフはファンに対し、両手を広げたり、手の装飾品を外したりするよう指示を出していたが、ファンが持っている荷物については、時間短縮のため通常は検査が行われていなかった[6]。
2014年5月25日、AKB48は岩手県滝沢市の岩手産業文化センターにおいて握手会イベントを開催していた[7]。この日の握手会イベントは、グループのシングル「ハート・エレキ」および「前しか向かねえ」のリリースに伴って行われたものであり、握手会の種類は全国握手会であった。参加したメンバーは47人で、レーンの数は10であった[8]。13時からミニライブが行われ、その後握手会が開始された。終了時刻は21時の予定であった[9]。入場したファンは約5000人であった[10]。このイベントにおける警備体制について、主催者であるキングレコードは「制服警備員、会場整理スタッフ約100名が警備にあたっており、握手前には両手を広げていただくチェック体制をとっておりました」と説明している[11]。手荷物検査について、キングレコードによると「トラブルがあると、今後のイベント継続が難しくなる」という理由で行っていなかったという一方[6]、AKB48の事務所によるとランダムで行っていたという[12]。
事件の発生
事件は握手会イベント中の16時55分に発生した[13]。発生場所は第6レーンのテントであった。第6レーンには5人のAKB48メンバーが待機しており、入口側から川栄李奈、入山杏奈、大島涼花、倉持明日香、高城亜樹の順に並んでいた。このレーンのテントにのこぎりを持った男が入り、川栄李奈、入山杏奈、および男性スタッフの3人を負傷させた[14]。AKB48グループカスタマーセンター長の戸賀崎智信によると、男は手荷物を何も持たずにテントに入った。そしてジャンパーの内側から凶器を取り出し、川栄および入山を切りつけた。そばにいた男性スタッフは、男の凶器を素手でつかみ、AKB48メンバーを守ろうとしたものの、男に振り払われたという[15]。なお岩手県警によると、事件発生時に叫び声などは上がっていなかったということであり、男はテントに入って無言でメンバーに襲いかかったとみられている[16]。男はその後、周囲のスタッフにより取り押さえられた[17]。関係者によると、男性スタッフがメンバーを守ろうと動いたことにより、周囲のスタッフたちは事件発生に気付くことができたという[18]。事件のあった一角はすぐに暗幕で覆われ、会場にいたある男性ファンによると、会場で流れていたBGMも止まったという[19]。16時59分、警察への通報があった[20]。17時08分[21]、男は駆け付けた盛岡西警察署の署員により殺人未遂容疑で現行犯逮捕された[9]。AKB48の握手会においては、ファン同士によるトラブルなどが過去にあったものの、グループのメンバーが傷害を受ける刑事事件が発生したのは初めてである[14]。なお、負傷した男性スタッフは東北地方のコンサートの制作やプロモートに関わるイベント制作会社「ニュース・プロモーション」のアルバイトスタッフであり、この日の握手会イベントで会場整理を担当していた[18]。
事件の発生により、握手会イベントは途中で中止された[22]。負傷した3人は、盛岡市にある岩手県高度救命救急センターへと救急搬送された[23]。川栄のけがは右手親指の骨折および裂傷であり、入山のけがは右手小指の骨折および裂傷、ならびに頭部の裂傷であった[24]。2人は救急センターにおいて、21時から翌26日0時まで3時間にわたる裂傷の縫合手術を受けた[23]。男性スタッフのけがは左手の骨折であり[25]、25日夜に2 - 3時間の手術を受けた[18]。一方、握手会に参加していたほかのAKB48メンバーは、スタッフに付き添われつつ20時40分ごろ東日本旅客鉄道(JR東日本)盛岡駅に到着し[26]、同駅20時50分発の新幹線で東京へ戻った[23]。東京駅および上野駅には報道陣が詰めかけていたが、新幹線の乗客などによると、混乱を避けるためか、AKB48メンバーは手前の大宮駅で降車したという[26]。
負傷した3人は26日、岩手県高度救命救急センターを退院した。まずは午前中に男性スタッフが退院した[18]。18時30分、川栄と入山も退院した[27]。川栄と入山については27日の昼ごろに退院する予定であったが、AKB48の運営側によると、医師から退院の許可が出たため、急遽退院を決定したという[28]。川栄は痛み止めと薬の影響で足元がふらついており、車椅子での退院が考えられたが、これを用いずに退院することができた[27]。2人は右手にギプスを装着していた。退院時、救急センターにはおよそ60人の取材陣が詰めかけており、2人は取材陣に簡単なあいさつをしたあと、運営側が用意した車両に乗って東京へと戻った[28]。
犯人について
川栄、入山、男性スタッフを切りつけて逮捕されたのは、青森県十和田市の男であり、当時24歳であった[29]。
犯人の過去
男は中学時代、陸上部に所属しており、青森県大会の800メートル走で2位になるなどの実績を残し、地元で知られている人物であった。その後、男は地元の高校に入学して陸上部に入った。しかし、入学後1週間で学校をやめたいと言った。男の母親によると、男は先輩などから言葉によるいじめを受けていたという。男は高校を2年生の夏に退学し、通信制の学校に転校した。男は体の弱い母親を助けたいという気持ちが強く、アルバイトをして給料をすべて家庭に入れていたという[30]。
事件の2年前の2012年、仕事の給料が高いという理由で男は大阪府へ引っ越した[30]。男は吹田市の人材派遣会社に登録して、同年12月中旬から翌2013年3月末にかけて建設現場で交通整理の警備員をし、同市の社員寮で暮らしていた[31]。そこでも給料のほとんどを家庭に入れるという生活をしていたものの、男は精神的に不安定な状態となり、体調を崩して精神科を受診した際、発達障害と診断された。2013年5月になると男は実家へ戻り、青森県から精神障害者保健福祉手帳2級の交付を受けた。その後、警備会社の仕事を見つけたものの、この仕事は長く続かなかった[30]。初公判における検察の冒頭陳述によると、男は2014年1月に警備会社を解雇されていた[32]。
男の母親によると、男は普段、食事と散歩をするとき以外は部屋に引きこもっていたという[28]。
動機と犯行までの経緯
逮捕直後の男の供述や、11月4日に行われた事件の初公判における検察の冒頭陳述により、犯行動機や犯行までの経緯が明らかにされている。
犯行の動機は、AKB48に対する男の一方的な逆恨みであった[33]。男は2014年1月に警備会社を解雇され、再就職にも失敗した。仕事も収入もない状態に陥った男は、テレビでAKB48を見て「多額の収入があるAKBは、収入も職もない、つまらない自分と正反対」と思い、不満を抱いた。そして、不満を解消するために犯行を思い立った[32]。男は3月末、岩手県滝沢市で握手会が行われるということを自宅の近くにある図書館のパソコンから知り、4月上旬に握手券が付属しているAKB48のCDを2枚購入した[34]。
犯行にあたって、男はAKB48のメンバーを攻撃するための凶器を用意した。用意されたのは、もともと男の自宅にあったのこぎりである[35]。2つ折りにするタイプののこぎりであり、伸ばしたときの全長は約50cmとなる[36]。刃渡りはおよそ20.6cmである[37]。男はこののこぎりにひとつの手を加えた。それは、接着剤を用いてのこぎりにカッターナイフの刃を4枚貼り付けるという改造であった[38]。カッターナイフの刃はそれぞれ刃渡りおよそ12.6cmであり、男はこれらをのこぎりの刃体の両面に貼り付けた[37]。そして、男は実際にダンボールを切ってみることにより、改造を施したこの凶器の切れ味を確かめていた[32]。
事件前日になり、男は自宅を出て握手会会場へ向かった。男の家族によると、男は5月24日の午前4時30分ごろに「眠れないから散歩に行く」と言って自転車で家を出ており、この際、手提げ袋を持っていたという[39]。その後、男はバスや電車を乗り継ぎ、5月25日、AKB48の握手会会場に到着した[32]。同日13時、イベントが始まった時刻から男はファンの列に並んでいた[9]。十和田市にある男の自宅から滝沢市にある握手会会場までは、およそ116kmある[40]。
その後始まった握手会において、男は犯行に及んだ。男は攻撃を加える対象について「メンバーなら誰でも良かった」と考えていた[38]。はじめに、持っていた2枚の握手会参加券のうちの1枚を用いてレーンを下見した。下見を終えた男は、ファンの列が短いレーンのほうがすぐに犯行に及べると考え、列が短かったひとつのレーンを犯行の場所として選んだ。このレーンが、事件の被害者となる川栄と入山のいたレーンであった[32]。男はレーンに入ると、2人を襲った。凶器は手提げ袋の中に隠し持っていた[33]。男はこの凶器でレーンの手前側にいた川栄を襲い、川栄がしゃがみ込んだ際、標的を入山に変えた[32]。男は2人の頭部に向かって凶器を振り下ろしており[38]、頭部を守ろうとした川栄と入山の手を負傷させた[32]。
逮捕以降
犯行に及んだ男は前述のとおり、その場でスタッフに取り押さえられ、殺人未遂の容疑により握手会会場で現行犯逮捕された。事件現場の床では、こぼれ落ちたと思われるカッターナイフの刃のかけらがいくつか見つかっており、男の自宅からは、AKB48のシングルCD「ハート・エレキ」および「前しか向かねえ」が押収された[35]。
逮捕直後、男は容疑を認めた[41]。さらに、殺意があったことを認めた[42]。犯行動機について、男は「人の集まるところで人を殺そうと思ってやった。誰でもよかった」[39]「最近イライラしていた」[43]「人が集まるところを探してAKBの握手会場にした。会場に入ってからAKBを狙った」[44]などと供述しており、川栄と入山について「2人を狙ったわけではない。AKBなら誰でもよかった」「名前は知らなかった」と話した[45]。5月27日14時20分ごろ、男は盛岡地方検察庁へ送検された[40]。
男はその後、刑事責任能力を問えるかどうか判断するため精神鑑定が行われた。「人が大勢いる所で騒ぎたかった」という供述や、意味不明な言動があったことから、盛岡地方検察庁は男の精神鑑定を行うことを予定した[46]。そして盛岡簡易裁判所に鑑定留置を請求し、6月5日付でこれが認められた。当初、留置期間は6月6日から7月29日までと予定された[47]。その後、盛岡地方検察庁は留置期間の延長を請求し、7月28日付で認められた。これにより、男の留置期間は9月2日までとなった[48]。鑑定留置の結果、男は刑事責任能力を問えると判断された。そして9月11日、盛岡地方検察庁は男を傷害罪および銃砲刀剣類所持等取締法違反罪で盛岡地方裁判所へ起訴した。当初の容疑であった殺人未遂罪を適用しなかったことについて、次席検事の南智樹は「人が死亡する危険のある行為だと認識して行ったかを慎重に捜査したが、立証は十分でなかった。(凶器の形状など)全ての要素を総合的に判断し、殺人未遂罪の適用を見送った」と述べている[37]。
11月4日、男の初公判が行われた。この初公判には、28席の傍聴席に対し132人の傍聴希望者が集まり、席の抽選が行われた(倍率約4.7倍)[49]。また、この公判は厳戒態勢のもとで行われた。法廷の前にはゲート型の金属探知機が設置され[32]、傍聴人がこれによって検査された[50]。金属探知機の設置理由について、地方裁判所の職員は「万が一、(被告が)報復される可能性も否定できない」と述べた[32]。また、傍聴席は複数の警察官による警備が入った[32]。
報道
握手会でメンバーが襲われたというこの事件は、日本国内のマスメディアにおいて長時間を割いて報道された。テレビ番組の調査などを行う会社「エム・データ」調べによる、5月26日から31日までの期間における芸能ニュースランキング(NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日の5局で午前10時30分までに放送されたワイドショーおよびニュース番組における芸能の話題を、取り上げられた時間の合計でランキング化したもの)において、この事件に関連する話題が1位を獲得した。放送時間は合計10時間23分31秒におよび、期間内の芸能ニュースの大半をこの事件が占めた[51]。また、同じくエム・データ調べによる、2014年上半期のワイドショーで報道された話題に関連している人物を放送時間でランキング化した「2014年上半期のワイドショーを賑わせた有名人ランキング」においては、事件で負傷した川栄と入山がそれぞれ5位(放送時間は21時間7分14秒)、6位(放送時間は19時間49分33秒)にランクインする結果となった[52]。また、世間においても注目を集めた。Gunosyが提供している情報配信アプリ「グノシー」での記事閲覧実績をもとに集計された「グノシーニュースランキング」においては、この事件は2014年5月の集計で2位となり、同年上半期の集計では10位となった[53]。
事件は日本国外においても報道された。台湾では、聯合報と自由時報が事件を1面トップで報じた。スポニチアネックスの記事は「台湾では日本の芸能関連情報が日常的に報じられているが、大手紙が1面トップで伝えるのは珍しい」と記している[54]。中国では、複数のメディアが事件を報道した[55]。このほか、事件はアジアだけでなく欧米でも取り上げられており、アメリカ版Googleニュースのエンタテインメントカテゴリでホットトピックスに入るほど多くの報道がされた[56]。
事件に関係する各種メディアの報道においては、AKB48の握手会自体に関する説明や、握手会の参加券をCDに封入する「AKB商法」とよばれる販売方法についても取り上げられた。こうしたことを取り上げた一部の報道に対して賛否が起こった。NHKの報道では、握手会に関する説明のほか、過去に握手会で発生したトラブルについても言及しており[57]、この報道について、評論家の宇野常寛は自身のTwitterにおいて「悪質」と批判し、「恣意的に選んだ過去のトラブルをピックアップすることで、AKBファン=異常という印象捜査を行っている」(原文ママ)と指摘している[58]。これに対し、評論家の栗原裕一郎は、リアルサウンドの記事において、事件を受けてAKB48やその他のアイドルによるファンと接触するイベントが中止となっていること(本記事では影響の節で解説する)を指摘したうえで「“接触”が問題の焦点になっている以上、いわゆる『AKB商法』が議論の俎上にあげられているのは、まあ、自然な流れというべきだろう」と指摘しており、宇野のコメントについて「過剰な反応」と述べ、「AKB商法とそれに付随する問題に触れないほうがむしろ不自然というものだ」と記している[59]。Techinsightの記事は、事件に関する一連の報道について「今後の握手会などイベントについて、手荷物検査のやり方など課題は多いが、そこに“AKB商法”が絡んできて『握手会の意義』としてビジネスのイメージが強調された感がある」と指摘しており、「特にテレビや新聞などお茶の間に届くメディアには、AKB48の握手会についてビジネス面を強調するばかりでなく“握手会の真意”を考えるきっかけとなる報道を期待したい」と批判的に記している[60]。大衆から批判が起こった報道もある。5月26日に放送されたテレビ朝日系列の報道番組『報道ステーション』では、事件に関する報道において、握手会の参加券などの入手を目的にAKB48のCDを大量に購入しているファンについて長時間を割いて取り上げた。夕刊アメーバニュースの記事は、一部視聴者の間で「握手会そのものが襲撃事件の要因の一つになったかのように報じている」という解釈があったと推測しており、Twitterや2ちゃんねるにおいてこの報道についての批判が起こったことを報じている[61]。
また、日本テレビ系列の情報番組『スッキリ!!』における出演者の一部コメントが批判の対象となった。J-CASTニュースの記事は、番組司会者の加藤浩次およびキャスターのテリー伊藤が、犯人の発達障害に起因する対人関係などの諸問題について「それと犯行とはまったく違うと思う」(加藤)、「いいわけにならない」(テリー)と発言したことについて批判しており、両者のコメントについて「それは健康な人の話だろう」「それ(発達障害)がどんなに重大なことかがわかっていない」と指摘している[30]。テリーは同番組において、インタビューを受けていた男性が「おたく」を自称したことと関連づけて「なかなか普段街に出ないような子が、AKBの握手会があるから出ていくっていうのも、ひとつのこれ、いいことなんだよね」とコメントした。このコメントについて、インターネット上において「おたくは実際には活動的である」という旨の反論が相次いだ[62]。ジャーナリストの池上正樹は、事件をきっかけに「『引きこもり=犯罪者予備軍』という誤解を招くようなネガティブイメージ」が流布していると指摘しており[63]、テリーのコメントについて「もちろん両方の要素を持つ人もいるだろうが、好きなことに没頭するため一生懸命に働くことも厭わない人たちと、社会から撤退してあきらめの境地に立たされている人たちとが、どうも混同されているようだ」と指摘している[64]。
このほか、報道関係で批判を受けたものとしてフジテレビ系列の情報番組『めざましテレビ』の公式Twitterアカウントがある。事件当日、このアカウントで「みんな気になる情報が入ってきたよ!」「AKB48のメンバーが負傷した事件のため明日の放送予定が変更になるかも!」「メンバーの具合が心配だなぁ?大丈夫かなぁ?」といった投稿がなされた。事件に関するこの軽い調子の投稿は批判を浴び、その後同アカウントは当該投稿を削除し、謝罪した[65]。
事件に関する議論、分析
事件を受けて、握手会における警備体制の件や、握手会の存続についてなどさまざまな点で議論を呼んだ。社会学者および批評家の濱野智史は、「この事件をめぐっては、マスメディア/ソーシャルメディアを問わず、大きな議論が巻き起こった」と述べている[66]。
まず、握手会会場における警備体制に関して、インターネット上などにおいて不満の声が上がった。キングレコードは事件当日、マスコミ各社に向けて公式のコメントを発表しており、このコメントにおいて警備体制に関する説明があったのは、こうした不満があったことを受けてのものである[67]。ジャーナリストの安倍宏行も、握手会における警備体制の甘さを指摘しており、「ランダムな荷物検査と、握手前に手のひらを広げさせての目視チェック、『剥がし』と呼ばれる握手時間を管理するスタッフ配置のみでは、こうした事件を防ぐことは難しいだろう」と記している[68]。
握手会についても議論が起こった。一部からは握手会それ自体に対して厳しい目が向けられた[69]。インターネット上では握手会について賛否が上がり、握手会を廃止すべきという意見も出た一方、安全対策の上で実施すべきという意見も出た[70]。濱野智史は、「『AKB商法』の限界が来た」「アイドルの女の子を危険に晒すことになる握手会は廃止すべきだ」といった批判に対して「的外れだと言わざるをえない」と反論しており、「必要なことはセキュリティ対策の向上に尽きる」と記している[66]。
この事件ではアイドルが被害者となっているが、複数の批評家によると、この事件はアイドル特有の事例ではなく有名人全体に関わる事例である。濱野智史は「切りつけたメンバーの名前は知らない」という犯人の供述から、この事件について「これまで何度も繰り返されてきた芸能人や著名人を狙った事件の一つに過ぎない」と指摘している[66]。リアルサウンドのライターの北濱信哉も同様に、「AKBには興味がなかった」という犯人の供述から「アイドルとファンのトラブルというよりも、有名人をめぐるセキュリティ管理の問題と捉えたほうが適切であろう」と指摘している[71]。アイドル専門ライターの岡島紳士もまた、リアルサウンドの記事において、犯人が「相手は誰でも良かった」と供述したことから「今回の事件はアイドルとファンの間に固有の事件というよりも、有名人すべてが持っている危険性を改めて知らしめた事件であるといえそうです」とコメントしている[72]。
評論家の栗原裕一郎は、リアルサウンドの記事において、この事件を芸能人が襲撃された過去の事例と比較して分析している。栗原は本事件について「いかれた奴がアイドルを襲ったという現象だけを取り上げれてみれば、今回の事件もまたありふれた一件にすぎない」(原文ママ)とコメントしているが、本事件に特有の事情として「ありふれている一方で、現況のアイドル・ブームと、それを支えるビジネス・モデルを揺るがしかねない影響が危惧されるという、過去には例のない事態に広がってもいる」と指摘している[59]。また栗原は、過去のいくつかの事例のうち、1984年に発生した、倉沢淳美がサイン会において男に突然ナイフで切りつけられたという事件が本事件に最も似ているという旨のコメントをしている[73]。
事件後の川栄、入山の活動
事件で負傷したAKB48メンバーの川栄李奈と入山杏奈については、しばらくの間、療養により活動への影響が生じることになった。活動復帰は番組への電話出演、公の場への登場、番組スタジオへの復帰、パフォーマンスへの復帰と段階的であった。2人とも公の場へ復帰したときにはまだ包帯やギプスがとれておらず、その後もギプスをつけた状態でいくつかの活動を行っている。
岩手県高度救命救急センターを退院した2人は、その後検査入院となった[74][75]。川栄は事件後、朝5時まで眠れない日々が続いたという[76]。入山は5月27日、自身の初主演となった映画『青鬼』に関する取材を受ける予定になっていたが中止となった[77]。また、入山は翌28日に行われた、AKB48メンバーがダーツに挑戦する『DARTSLIVE×AKB48』プロジェクトの発表会にも出席予定であったが、欠席した[78]。しかし、2人はすぐに電話を通して番組への出演を果たした。川栄はフジテレビ系列で平日に放送されている情報バラエティ番組『バイキング』の水曜日のレギュラー出演者であり、5月28日(水曜日)の同番組の放送において、検査入院していた病院から電話を通して出演した[79]。入山は同日深夜(日付上は翌29日)に放送されたニッポン放送のラジオ番組『AKB48のオールナイトニッポン』に電話で出演した[80]。なお、川栄は翌週6月4日の『バイキング』においても電話で出演した。この日の放送では、川栄の電話出演は予定されていなかったが、川栄側から番組サイドへ電話したことにより出演が実現した[81]。
事件から13日後となる6月7日、川栄が公の場へと復帰した。この日、AKB48は東京都調布市の味の素スタジアムにおいて、シングル曲の歌唱メンバーをファンからの投票で決める企画「AKB48 37thシングル選抜総選挙」の開票イベントを開催した。当日朝にはスポーツ報知により、川栄と入山のイベント参加が実現する旨の報道がなされたものの[82]、イベントの第2部において、2人とも欠席した旨がアナウンスされた[83]。しかし、川栄は遅れて会場に来場しており[84]、会場の裏で順位発表を聞いていた[76]。川栄は投票の結果16位にランクインしており、その旨がアナウンスされた際、サプライズとしてステージに登場した[85]。川栄は私服にレインコート姿で(イベント当日は雨天であった)、負傷した右手には包帯が巻かれていた[86]。ステージ上でのコメントで、川栄は事件について「速報が45位で、正直その日から毎日くよくよして毎晩泣いていて、この1年自分は何をやってきたんだろうと思っていた時に、今回のことが起きて、私は神様がくよくよしている自分に喝をいれてくれたんだと思いました。そしたらこんなところでは立ち止まっていられないなと思いました。」と発言している[87]。なお、速報とは事件4日前の5月21日に発表された投票の途中経過のことであり、川栄の速報での順位は前年の最終結果25位から20ランクダウンとなった[88]。このサプライズ復帰は、川栄本人がスタッフに志願したことで実現したものである[89]。一方、入山は20位にランクインしており、会場に姿を見せることはなかったものの、電話を通してランクインに対するコメントを述べた[90]。
選抜総選挙開票イベントの翌日となる6月8日、川栄と入山は、大島優子のAKB48卒業にあたって開催されたコンサートを会場で観覧した[91]。6月11日、川栄は『バイキング』のスタジオに復帰した[92]。このとき右手の手のひらから親指にかけて包帯とギプスが巻かれており[92]、左手の甲には点滴の跡と思われる絆創膏が貼られていた[89]。事件以降、川栄の生放送番組への出演はこれが初である[92]。
川栄が選抜総選挙で姿を見せてから23日後、入山も公の場に登場した。事件から36日後となる6月30日、AKB48が公演を行っているAKB48劇場に入山が姿を見せた。この日行われた公演は、AKB48内で入山が所属している「チームA」による公演であり、公演が始まる前に入山がサプライズでステージに登場し、ファンに対してあいさつした[93]。入山はまだ肘から指先までギプスをつけている状態であり、この日はギプスを隠すようにピンク色のストールを巻いていた[94]。歌やダンスには参加しなかった[95]。入山が公の場に立つのは、事件以降初である[96]。
入山はその後、事件直後に取材が中止になった自身初主演の映画『青鬼』の公開を記念した舞台あいさつに出席した。舞台あいさつは、事件から42日を経た7月6日に実施され、入山は右手にギプスをしたまま出席した[97]。映画の関係者によると、舞台あいさつは事件を受けて予定が一時なくなってしまったが、入山の「ファンに会いたい」という強い要望により実現したという[98]。一部メディア[98][99]はこの舞台あいさつへの出席を入山の本格的な復帰ととらえている。J-CASTニュースの記事は、入山の「本格復帰」が舞台あいさつとなった理由について、「握手会は拘束時間が長いため、入山さんの体調を考慮して拘束時間の短い主演映画の舞台あいさつを本格復帰の場に選んだようだ」と推測している。なお、AKB48はこの舞台あいさつの前日に事件後初となる握手会イベントを開催しており、入山は川栄とともにこの握手会を欠席している[99]。
事件から48日が経過した7月12日、川栄がAKB48のライブ・パフォーマンスに復帰した。事件以降、けがの影響が考慮され、パフォーマンスへの復帰はなされずにいたが、この日放送された日本テレビ『THE MUSIC DAY 音楽のちから』において実現した。この番組にはAKB48が出演し、先の「選抜総選挙」において歌唱メンバーが決定された楽曲「心のプラカード」をテレビ初披露した。川栄はこのときのパフォーマンスに参加した[100]。右手親指には、まだギプスが残っていた[101]。川栄がライブ・パフォーマンスに参加したのは、事件発生直前に握手会イベントで開催されていたミニライブ以来である。スポニチアネックスの記事は、川栄のこの復帰タイミングについて「総選挙の選抜メンバーによる歌は、6月下旬から7月中旬に初披露されることが恒例化してきただけに、川栄のステージ復帰もこのタイミングに合わせたとみられる」と推測している[100]。
川栄はパフォーマンス復帰から4日後、ギプスを外した姿を見せた。7月16日、事件から52日が経過し、川栄は自身のgoogle+でギプスが取れた旨を報告した[102]。この日は水曜日であり、川栄はギプスなしの姿で『バイキング』に出演した。なおこのとき、ギプスのあった場所にはテーピングのようなものが貼られていた[103]。
同じく7月16日の深夜(日付上は翌17日)、入山がラジオ番組でスタジオ復帰を果たした。出演した番組は『AKB48のオールナイトニッポン』である。入山は事件直後、電話でこの番組に出演していたが、番組スタジオへの復帰はこれが初である[104]。なお、この番組では1週間前の7月9日深夜の放送において、腎嚢胞の発症により活動を休止していたAKB48の峯岸みなみが復帰しており、入山のスタジオ復帰により、AKB48メンバーの復帰が2週連続で見られることとなった。この経緯により、番組には事件以降出演していなかった川栄について、出演を希望する意見が殺到した[105]。川栄の番組出演は、入山が復帰した翌週、7月23日深夜の放送で実現した[106]。
事件から85日が経った8月18日、先に復帰していた川栄に続き、入山がライブ・パフォーマンスへの復帰を果たした。この日、AKB48は東京ドームでコンサートを開催した。本編最後の楽曲「アリガトウ」の曲紹介時に、入山がステージに登場してあいさつをした。その後、同楽曲をAKB48の全メンバーとともに歌唱した。右手にはまだ包帯とギプスが残っていた[107]。入山のライブへの参加は、事件発生直前に握手会イベントで開催されていたミニライブ以来である[108]。コンサートは8月20日まで3日間にわたり開催されたが、入山が参加したのは初日のみで、残る2日は欠席した[109]。
また、入山はギプスをつけたまま、月刊誌『SWITCH』2014年9月号(スイッチ・パブリッシング)のグラビア撮影を行った。この雑誌は8月20日に発売された[110]。
その後、川栄はAKB48劇場での公演へ復帰を果たした。関係者によると、9月中旬、医師から川栄に対して激しい運動をしてもよいという許可が出たという[111]。そしてこの時期から川栄の劇場公演への復帰のタイミングが探られており、復帰が実現したのは10月8日、事件から136日後に行われた公演であった。事件前に川栄が出演した最後の公演は5月18日のものであり、川栄が劇場公演でパフォーマンスをしたのは143日ぶりとなった[112]。
番組やイベント、ライブ・パフォーマンスにはすでに復帰した川栄と入山であるが、事件現場となった握手会イベントへの復帰は2014年10月時点では実現せずにいる。AKB48が8月にリリースしたシングル「心のプラカード」の個別握手会についても、復帰予定はないとされている[113]。握手会に関して川栄は9月20日、トークライブアプリの755において、ファンから復帰時期を質問され「やらないと思いますすいません」と回答している。なお、このように握手会をやらないと表明したことに関して、一部の人間が川栄を非難するという騒動が発生した[114]。
影響
AKB48グループの活動
事件は負傷した川栄と入山だけでなく、握手会を開いていたAKB48や、その姉妹グループであるSKE48、NMB48、HKT48の活動にも影響を残すことになった。AKB48とこれら姉妹グループを合わせて「AKB48グループ」とよぶ。
事件当日
事件当日である5月25日にはAKB48のほかに、SKE48が愛知県名古屋市のポートメッセなごやでシングル「未来とは?」のリリースに伴う個別握手会を開催していたが[115]、グループは事件を受けて握手会を途中で中止とした[116]。NMB48およびHKT48は握手会を行っていなかった[19]。
この日、事件現場となったAKB48の握手会は中止となった一方、AKB48劇場での劇場公演は18時から通常通り開催された[117]。劇場には事件を受け、AKB48のファンや報道陣が殺到し、パトカーが出動するに至った[118]。また、従来は公演が終わった際にグループメンバーとファンがハイタッチを行っていたが、中止になった。関係者はこれについて「メンバーが大きなショックを受けていることを考慮した」と説明した[119]。AKB48グループではこのほか、NMB48がNMB48劇場で18時から公演を開催したが、AKB48と同様にハイタッチを中止とした[120]。
警察からの要請
事件の発生により、AKB48の運営会社には警察から警備強化などの要請が入るに至った。事件翌日の26日、AKB48劇場がある秋葉原エリアを管轄する警視庁万世橋警察署は、AKB48の運営会社に対し、劇場公演における警備強化や安全対策を行うよう要請した[121]。具体的な手段として、客席の最前列の空席化、金属探知機などの導入、警備員の増員、公演後のハイタッチの自粛を求めた[122]。同署は握手会イベントについても、警備の強化および刃物などの持ち込みを防ぐ対策が行われるまで中止するよう要請した[123]。
劇場公演
事件を受け、AKB48は劇場での公演をしばらくの間休止することになった。警察からの要請が入った5月26日、グループはAKB48劇場でこの日行う予定であった公演を休止し、劇場を休館とすることを発表した[124]。この発表と同日、AKB48劇場を5月31日まで休館とすることが発表された[125]。26日から31日までの6日間で7つの公演が予定されていたが、すべて中止となった[126]。6月1日はもともと休館日であり[127]、AKB48劇場では7日間にわたり公演が行われない日が続くことになった。一方、姉妹グループはそれぞれの劇場において26日の公演を通常通り行った。しかし、公演の開催にあたっては厳戒態勢が敷かれた。各劇場では客席の最前列をすべて空席としたほか、金属探知機を導入し、これを用いたファンの荷物検査を行った。警備員の増員もなされた。前日のAKB48およびNMB48の公演と同様、終了後のハイタッチはなされなかった[128]。なおこの日、NMB48の公演において、同グループメンバーの梅田彩佳により事件についてのコメントがなされた。AKB48グループのメンバーが公の場で事件についてコメントしたのはこれが初である[129]。また、26日の公演に際して用いられた金属探知機はハンディタイプのものであり、翌27日には3つの姉妹グループの劇場すべてにゲート型の金属探知機が設けられた[130]。
7日間にわたり休館されたAKB48劇場においては、公演の再開に向け、安全対策の準備が進められた。万世橋警察署は5月31日までに、AKB48劇場における安全対策を確認した[131]。そして6月2日、事件発生日以来8日ぶりとなる劇場公演が行われた[132]。この日の劇場公演は厳戒態勢が敷かれた。まず、250席ある客席のうち、最前列にある21席はすべて使用不可とされ、使用可能な客席は229席となった。これによりステージと使用可能な客席の距離が2mとなり、従来の1.5mから広がった[133]。ステージ左右の花道も使用不可となった[134]。また、客席のベンチ間の通路に鉄柵が設けられ[135]、通路の前方にも高さ70cmの柵が設けられた[136]。そして、劇場の入り口に設置された2台のゲート型金属探知機により、入場者に対し検査が行われた。金属探知機は空港に設置されているものと同じレベル設定であった。探知機が反応した入場者については、警備員によりボディチェックが行われた[126]。警備員やスタッフの増員も行われた。警備員は従来の2人から8人増となる10人、会場整理スタッフは従来の6人から1人増の7人となり、両者の合計は8人から9人増の17人となった[126]。私服警官も3人配置された[137]。公演開始前には、万世橋警察署の警察官6人が安全対策の確認を実施した[138]。厳戒態勢は公演の開始時刻に影響した。金属探知機による入場者の検査に時間が費やされ、開始時刻が遅れることとなった。関係者によると、従来の入場にかかった時間は10分から15分ほどであるが、検査の影響でその2倍近くの時間がかかったという。18時15分過ぎから行われた入場はおよそ25分を要し、18時40分過ぎに終了した。公演は、定刻の18時30分からおよそ20分遅れて開始された[139]。また、ロビーでのモニター観覧および公演終了後のハイタッチは当面中止となった[126]。
AKB48にはグループ内に「チーム」とよばれるいくつかの小グループがあり、6月2日に再開された公演は「チームA」によるものであった。チームAはAKB48の歴史上最も早く結成されたチームであり、事件で負傷した川栄と入山が所属している。当初、この日は「チームK」による公演が行われる予定であったが、チームAによる公演に変更された[140]。関係者によると、この変更がなされた理由は「再出発にはAKBの原点、チームAがふさわしい」と判断されたためであり、AKB48のメンバーからも同じような意見が出たという[141]。一方、チームAのメンバーである高橋みなみは、公演冒頭のあいさつで「なぜ今日チームAなのかと言うと、川栄、入山がいるチームだからです」とコメントしている[142]。
AKB48劇場で公演が再開されたという旨は、朝のワイドショー番組などで大きく取り上げられた。テレビ番組の調査などを行う会社「エム・データ」調べによる、6月2日から7日までの期間における芸能ニュースランキング(NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日の5局で午前10時30分までに放送されたワイドショーおよびニュース番組における芸能の話題を、取り上げられた時間の合計でランキング化したもの)において、AKB48劇場で公演が再開されたという話題が1位を獲得した。放送時間は合計1時間31分5秒であった[143]。
なお、6月2日にもともと予定されていたチームKによる公演は、翌3日に行われた。2日の公演は開演時間がおよそ20分遅れたが、この日の公演では遅れがおよそ5分に短縮された[144]。3日はもともと、休館日の予定であった[145]。
事件からおよそ2か月が経過した7月下旬、AKB48および各姉妹グループの劇場において、空席にするという措置がとられていた最前列の座席の使用が再開された[146][147][148][149]。また、従来行われていたハイタッチに代わり、AKB48劇場では10月15日から公演終了後にメンバーによる観客の「お見送り」を行っている[150]。SKE48劇場でも同様に10月15日から[151]、NMB48劇場では10月17日からお見送りが開始された[152]。お見送りの実施理由について、SKE48劇場支配人の今村悦朗は「メンバーからのご挨拶も、以前にようになるべく早く復活させなければならないと我々は考えていました」(原文ママ)とコメントしている[151]。
各種イベント
握手会などの延期
事件を受けて、予定されていた各種のイベントは、次々と延期になった。5月26日、AKB48は石川県金沢市で握手会イベントを予定していたが、延期となった。なお、この握手会イベントは全国握手会や個別握手会とは別に、シングル「鈴懸の木の道で……」(タイトル略)のTSUTAYAでの購入者を対象にしたものであった[153]。またこの日、NMB48の一部メンバーが出演し、なんばグランド花月で行われる予定であった「NMB48 feat. 吉本新喜劇」第9回公演が同じく延期となった。NMB48の運営事務局によると、改めて警備体制の構築およびチェックを行ったものの「万全を期すため」という理由で延期を決めた[154]。同所での公演が警備上の理由で延期されるのは初である[155]。5月28日には、広島県福山市でAKB48のメンバーである岩佐美咲のイベントが開催される予定であったが、福山市と事務所側が「警備面で安全性を確保できない」と判断したため、延期となった[156]。5月29日および30日に青森県で開催が予定されていた握手会イベント(5月26日のものと同じく「鈴懸の木の道で……」のTSUTAYAでの購入者を対象としたもの[157])も延期となった[158]。
これ以降も事件の影響は続き、以下に示す各グループの握手会および写真会は延期となった。
予定日 | AKB48 | SKE48 | NMB48 | HKT48 |
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5月31日 | シングル「ハート・エレキ」「前しか向かねえ」 全国握手会[159] |
シングル「未来とは?」 個別握手会[160] |
シングル「高嶺の林檎」 個別握手会[160] |
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6月1日 | シングル「ラブラドール・レトリバー」 個別握手会[159] |
シングル「高嶺の林檎」 なんば式写メ会[160] |
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6月14日 | シングル「ラブラドール・レトリバー」 全国握手会[161] |
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6月15日 | アルバム『次の足跡』 劇場盤発売記念大写真会[161] |
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6月21日 | シングル「賛成カワイイ!」 全国握手会(NMB48と合同)[162] |
シングル「高嶺の林檎」 全国握手会(SKE48と合同)[162] |
シングル「桜、みんなで食べた」 劇場盤発売記念ペア握手会[163] | |
6月22日 | シングル「未来とは?」 全国握手会(HKT48と合同)[164] |
シングル「桜、みんなで食べた」 全国握手会(SKE48と合同)[164] | ||
6月29日 | アルバム『次の足跡』 劇場盤発売記念大写真会[161] |
警備の強化
握手会を中心にイベントの延期が続く中、いくつかのイベントは警備を強化して行われた。事件から3日後の5月28日、AKB48のメンバーがダーツに挑戦する『DARTSLIVE×AKB48』プロジェクトの発表会イベントが行われ、AKB48のメンバーが事件後初めてイベントに出席した[165]。イベントでは事件を受けて警備の強化が行われた。ステージの両端では制服の警備員4人が警備にあたった[166]。このほかに「警備」の腕章をつけたスタッフおよそ10人が出入りしていた[78]。このイベントは報道陣のみを対象としたものであった。まんたんウェブの記事によると、報道陣向けのイベントでこのような警備態勢が敷かれるのは「異例の措置」であり、警備強化の理由について関係者からのコメントはなかったが、同記事では「事件を受けた対応とみられる」と推測している[167]。なおこの日は映画『美しい絵の崩壊』のトークイベントも行われ、当時AKB48メンバーであった塚本まり子が出席した。このイベントにおいても、会場となった劇場のスクリーンの両脇に警備員が配置され、ロビーでの報道陣による取材の際も塚本の左右に警備員が配置されるといった警備の強化が見られた[168]。
これ以降、AKB48グループに関連するいくつかのイベントにおいて、警備の強化がなされ、あるいは予定されていた一部の内容が中止されることになった。5月29日に行われた「AKB48選抜総選挙ミュージアム」オープニングセレモニーでは、2人の警備スタッフによる警備が行われたほか、予定されていた囲み取材が事件を受けて中止になった[169]。同じく5月29日に行われた、HKT48のメンバーである指原莉乃が主演を務めている映画『薔薇色のブー子』の公開前夜祭イベントでは、警備員の人数が通常通りの9人であり、出演者に対する厳重な警備は行われなかったが、指原ら出演者が客席でファンと行う予定であった写真撮影は警備上の都合で中止となり、入場時にはスタッフ4人による手荷物検査が行われた[170]。5月30日に開幕した展覧会「AKB48選抜総選挙ミュージアム」では、前年の2倍以上となる30人以上の警備員および警備スタッフが配置され、入場者に対する手荷物検査や金属探知機による検査がなされた[171]。6月2日に開催された、AKB48のメンバーである岩田華怜が出席した「笹かまの日大使」の任命式イベントでは、警備員が配置されたほか手荷物検査がなされた[172]。6月7日に開催された「選抜総選挙」の開票イベントおよび翌8日に開催された大島優子の卒業コンサートについても警備が強化されているが、これらについての詳細は後述する。
一方、5月30日に行われた、フジテレビの番組『AKB48 第6回選抜総選挙 生放送SP』に関連する特別企画「戦国アドトラック出陣式」においては、屋外で行われたイベントであったが警備員の配置はなされなかった[173]。
警備の強化は、事件後に日本国外で行われたイベントにも及んだ。SKE48が7月15日に台湾・台北市で開催し、メンバー3人が出席したファンミーティングにおいては、安全対策としてファンに対する手荷物検査や金属探知機による検査が行われた[174]。持ち込みできるかばんはひとつだけという条件がつけられ、その中身もチェックされたほか[175]、飲料は試飲による確認がなされた[176]。警備員は70人が動員された[175]。このイベントではミニライブや質疑応答が行われたのみで、握手などはなされなかった[174]。HKT48が8月25日に同じく台北市で開催し、メンバー3人が出席したファンイベントでは握手会が行われたが、このイベントでも金属探知機の導入などの安全対策がなされた[177]。
選抜総選挙
AKB48は、一部のシングル曲において、その歌唱メンバーをファンからの投票で決定する「選抜総選挙」とよばれる企画を行っている。事件が発生したのは「AKB48 37thシングル選抜総選挙」の投票期間中であり、結果の開票を6月7日に控えているときであった[178]。事件発生以降、予定されていた握手会の延期が決まる中、選抜総選挙の開票を行うイベント「AKB48 37thシングル 選抜総選挙 夢の現在地〜ライバルはどこだ?〜」がどうなるかについて、ファンの間で話題になっていた[179]。中止になるのではないかと考えるファンもいたが[180]、5月28日、AKB48の公式ブログが更新され、予定通り開催するという旨が明らかになった[181]。この発表に先立ち、27日、イベントの主催者であるAKSと警視庁調布警察署が、金属探知機による手荷物検査の実施などにより警備の強化を図るということで合意していた[182]。イベントの実施にあたり、入場時間を予定より1時間早めることになった。これについてMusicVoiceの記事は、6月2日のAKB48劇場での公演において厳戒態勢が公演開始時刻に影響したことを踏んだものであると推測している[183]。
6月7日、東京都調布市の味の素スタジアムにおいて、予定通り選抜総選挙の開票イベントが開催された。入場は当初の予定より1時間早い11時30分から行われた[184]。入場者に対しては、金属探知機による厳重な検査が行われた。検査の対象は7万人にのぼる観客だけでなく、取材関係者やスタッフにも及んだ。はじめに荷物検査を行ったうえで金属探知機による検査を行うという検査方法が取られ、6つの入場ゲートすべてで検査が行われた。荷物検査にあたっては106人のスタッフが動員され、ハンディタイプの金属探知機は122台用意された[182]。金属探知機は性能がよく、現場ではつねに警報音が鳴ることとなり、このことについてデイリースポーツの記事は「異様な雰囲気となった」と報じている[185]。日刊スポーツの記事は、イベントなどにおいて万単位の人間に対して金属探知機による検査を行うことについて「前代未聞」と報じている[186]。7万人に対する検査には時間がかかり、入場時間が1時間早められていたにもかかわらず、イベントは予定開始時刻から45分遅れて15時15分に開始された[182]。デイリースポーツの記事は、厳重な警備が行われたことに加え、この日激しく雨が降っていたことも開始時間に影響したと推測している[185]。
イベントでは、調布警察署の警察官50人が警備を行った。調布警察署によると、当初はこれより少ない人数での警備を予定していたが、AKB48サイドからの要望もあり増員したという[187]。同署の幹部は、増員理由を「手荷物検査などで警備員に協力するため」と説明している[182]。警察官のほか、ファンの有志も警備にあたった[187]。
このイベントは2部制がとられており、第1部ではAKB48グループによるライブ、第2部では開票が行われた[185]。第2部においては前述のとおり、事件で負傷した川栄が公の場へ復帰した。また、開票時にはランクインした各メンバーがステージにのぼってコメントを残した。エキサイトレビューのライターである近藤正高は、このステージ上でのメンバーのコメントについて「事件に直接言及するしないにかかわらず、その影響をうかがわせる言葉が多々あった」と指摘している。たとえば、最終結果で10位となったSKE48の須田亜香里が雨天にもかかわらずステージの屋根がかかった箇所より前に出てコメントを行ったことについて、近藤は「そうした事態(事件を受けて劇場で最前列が使用不可となるなど、メンバーと観客を遠ざける処置がとられているという事態のこと)を踏まえて、あえてファンとの距離を縮めて語りかけようと思ったのだろう」と指摘している[188]。なお、事件の影響を受けたコメントとしてAKB48の小嶋陽菜によるものがあるが、これについては後述する。
開票結果への影響
事件発生前の5月21日、投票の途中経過を示す「速報」が発表された。事件で負傷した川栄の速報結果は4057票で45位にランクインした。同じく負傷した入山については2871票で77位であった[189]。
その後、事件が発生したことで、事件が選抜総選挙の結果にどのような影響をもたらすかが注目された。アイドル評論家の西幸男は、この点をZAKZAKの記事において注目ポイントのひとつとして挙げた。記事では、川栄と入山の順位について「お見舞い票も入って順位はかなり上がりそうだ」と予想された[190]。一方、鳥取大学教授の石井晃は、各メンバーに関するファンのブログなどの書き込み数やその推移、広告宣伝効果、口コミをもとに選抜総選挙の結果を予想しており、「二人を心配したり、事件そのものへの書き込みが多いが、現時点では大幅に得票を伸ばしそうな推移はない」と分析した[191]。毎日新聞デジタルが調査会社「マクロミル」の協力により投票の動向を独自にアンケート調査した結果では、川栄と入山の得票率の順位はそれぞれ6位、12位と高順位をつけた。2人を選んだ回答者からは、「襲撃されかわいそう」「けがを負わされかわいそうだ。応援したい」「今回の事件から立ち直ってほしい」といった事件に関連したコメントが多く寄せられた[192]。
6月7日に発表された最終結果においては、川栄は39120票で16位、入山は34002票で20位となった[193]。2人の順位はそれぞれ速報から29ランク、57ランク上昇していた。物語評論家のさやわかは、リアルサウンドの記事において、2人が速報から大きく順位を上げたことについて「川栄李奈と入山杏奈が20位以内にランクインしたことにより、握手会によるマイナスイメージは多少は払拭できたかもしれません」とコメントしている[194]。
大島優子卒業コンサート
事件が発生した際、AKB48は選抜総選挙のほかにもうひとつイベントを控えていた。そのイベントは選抜総選挙開票イベントの翌日である6月8日に開催が予定されていた、当時AKB48のメンバーであった大島優子の卒業コンサートである。選抜総選挙と同様、事件を受けてこのコンサートがどうなるかファンの間で話題になり[179]、5月28日、AKB48の公式ブログで予定通り開催するという旨が明らかになった[181]。このコンサートは選抜総選挙と同様、味の素スタジアムで開催され、観客動員数も同じく7万人であった。警備体制も選抜総選挙と同様であり、7万人の観客に対して金属探知機による検査が行われた[195]。入場時間も予定より1時間早められ、14時からの入場となった[183]。入場はスムーズに行われ[195]、コンサートは定刻から10分遅れの17時10分に開始された[196]。
握手会の再開
AKB48の握手会を主催するキングレコードは、事件発生以降、6月に予定されていた握手会や写真会をすべて延期とし、事件の再発防止のため、警備会社であるJSSの監修のもとで握手会会場における厳重な警備体制について検証を重ねた[197]。そして、安全に開催する準備が整ったため、握手会の再開が決まった。6月30日、同社のホームページ上で握手会の再開が発表された[198]。事件後初の握手会は、7月5日に東京ビッグサイトで開催されたシングル「前しか向かねえ」の個別握手会であった[199]。
握手会の開催に先立ち、AKB48グループカスタマーセンター長の戸賀崎智信は、AKB48グループのすべてのメンバーおよび握手会関係者に対し、今後の握手会における変更点を説明し、今後どのようにすべきか話し合った。話し合いの結果、事件の影響で未だ悩んでいるメンバーがいることが明確になった[200]。そうしたメンバーのことを考慮し、7月5日の握手会について、これに参加するかどうかをメンバー個人個人に一任する「選択制」をとることにした[201]。この「選択制」について、ファンからは賛否両論が寄せられた[202]。
7月5日、事件から41日が経ち握手会が再開された。この日の握手会は選択制の結果、AKB48グループのメンバー250人が参加した[203]。事件で負傷した川栄と入山をはじめとするメンバー10人については事前に欠席することが発表されていたが[203]、AKB48の運営側によると、精神上の理由で欠席を申し出たメンバーはいなかったという[204]。会場への入場は当初の予定より30分早い午前8時からとなり、握手会は午前9時から開催された[205]。入場が早められた理由は、ファンに対して行う検査に時間が掛かることを想定したためである[206]。入場者に対しては手荷物検査が行われた。まず、持ち込み可能な荷物はひとつで、その大きさについても縦、横、高さの合計が90cm以内のものと条件がつけられた[205]。そして、かばんの中にある袋類も確認がなされ、傘についても開閉によるチェックが行われたほか、飲み物についても警備員の前での試飲による検査がされた[207]。また、握手会には50台の金属探知機が導入され、これによるボディチェックも行われた[208]。金属探知機による検査はファンだけでなくスタッフや報道陣にも及んだ[209]。握手会に関わるスタッフも増員された。警備スタッフは従来50人であったが、この握手会ではその7倍となる350人となり、会場整理スタッフは700人が動員された[203]。警視庁の腕章を巻いた私服警官も警備に加わった[210]。
実際にファンとメンバーが握手を行うレーンにも変更が及び、握手も厳重な警備と安全対策のもとで行われた。従来の握手会では各レーンがカーテンでおおわれていたのに対し、レーン間の仕切りがパーティションのみとなり、見通しの良い状態に変更された[203]。各レーンに待機するメンバー1人に対し、従来の2倍となる4人のスタッフが配置された[204]。レーンのスタッフのうち1人はメンバーを警備する警備員であり、ほかの3人は手荷物の管理、参加券の確認、握手時間の管理をそれぞれ担当した[203]。メンバーの後ろにはおよそ8mの退避スペースが設けられ、このスペースも警備員が巡回した[209]。握手にあたり、ファンは手荷物をすべて預け、スタッフに手のひらの確認を受けた[211]。この際、結婚指輪以外の指輪を外すよう求められた[212]。ファンとメンバーの間には、従来は長机が配置されているのみであったが[213]、高さ1m10cmのプラスチック製の柵が設けられ、握手はこの柵越しに行われた[204]。握手をする時のファンの行動にも制限が加えられた。身を乗り出しての握手は禁止され[212]、両手での握手も原則として禁じられた[208]。メンバー側の行動にも一部影響が出ており、SKE48の古畑奈和が行っていたファンを迎えるときに飛び跳ねる「古畑ジャンプ」とよばれるパフォーマンスは、レーンの構造上の理由で不可能になった[214]。握手を終えたファンが通るルートも変更になり、従来はレーンをそのまま通過することになっていたのに対し、通過せずにUターンをして戻るという形になった[209]。
厳戒態勢で行われた握手会であったが、会場においては物々しさを解消しようとする工夫がみられていた。メンバーとファンの間に設けられた柵は、グループのロゴが入った薄緑色の幕で隠された。この幕は、握手会直前の2日間で関係者が用意したものであり、参加したメンバー全員分が揃えられた。レーンの間のパーティションには、オフショットを含むメンバーの写真が貼られた[215]。
この握手会における警備費について、イベント関係者は「これほどの規模なら1000万円以上掛かってるのでは」と語っている[204]。経済学者の田中秀臣は、警備体制について「従来の売り出し方と安全面を判断し、警備態勢についてはかなり高いハードルを設定したといえるのでは」と分析し、「そこまでして再開したのは、握手会がAKB人気の核心であり、そこが崩れるとファンが大きく減ってしまうから」「中核メンバーが卒業していく中、一番の特色を失いたくなかったのだろう」とコメントしている[216]。また、この握手会でなされた柵の設置などの安全対策は、AKB48の公式ライバルグループである乃木坂46が事件後初めて行った握手会でのそれと同様のものになっており[217]、この握手会の開催前にはAKB48と乃木坂46による意見交換が行われていた[215]。
個別握手会に続いて、事件が発生した全国握手会も再開された。全国握手会は、AKB48のものより先に姉妹グループのNMB48のものが開催されることとなった。個別握手会が再開された翌日の7月6日、NMB48は大阪府大阪市のインテックス大阪でシングル「高嶺の林檎」の全国握手会を行った[218]。この握手会でも、金属探知機による検査や柵越しでの握手が行われ、従来の7倍の警備員が動員されるといった厳戒態勢が敷かれた[219]。握手会の前に行われていたミニライブは、事件の再発防止対策に万全を期するため中止となった[220]。この1週間後となる7月13日、AKB48の全国握手会が再開された。AKB48にとって事件後初となる全国握手会は、事件が発生した握手会と同じくシングル「ハート・エレキ」および「前しか向かねえ」のリリースに伴うものであり、北海道札幌市の真駒内セキスイハイムアイスアリーナで開催された[221]。この握手会でもステージでのイベントは行われない予定であったが、メンバー側からライブを開催したいという希望があり、それを受けてミニライブが開催された[222]。
新たな交流イベント
厳戒態勢による握手会の再開が実現した一方で、事件が発生して以降、AKB48の運営スタッフとメンバーは、ファンとの新たな交流方法を探っていた。グループが結成された当初は、メンバーとファンが遊園地で遊ぶなど、握手以外の形で直接交流するイベントが存在しており、新たな交流方法として浮かんだ案はグループの原点回帰を意識した「夏祭り」のイベントであった[223]。このイベントは8月8日から10日にかけて、千葉県千葉市の幕張メッセにおいて「AKB48グループ夏祭り」のタイトルで開催され、AKB48だけでなく姉妹グループのメンバーも参加した[224]。イベント会場には夏祭りというタイトルどおり、盆踊りのやぐらや屋台などが設けられた。メンバーは会場の様々な場所に登場し、一緒にゲームをする、糸電話で会話をするなどの形でファンと交流した[223]。なお、3日ともイベントは握手会と同時に開催され、このうち8月8日に開催された握手会は、事件発生を受けて延期されていた握手会イベントのうちのひとつで6月14日に開催予定であったシングル「ラブラドール・レトリバー」の全国握手会であった[225]。
音楽作品のリリース
事件発生直前の5月22日、NMB48はイベント「NMB48 リクエストアワー セットリスト ベスト50」において楽曲「イビサガール」をグループ10作目のシングルとしてリリースすることを発表していた[226]。しかし、その後事件を経て6月18日、グループは2作目のアルバムをリリースすることを発表し、これに伴い「イビサガール」がシングル曲からアルバム曲に変更されて配信でリリースされることになった[227]。関係者によると、この変更は事件の影響でなされたものではないというが[228]、変更理由について公式に告知されることはなかった[229]。一方、音楽・映画ジャーナリストの宇野維正は、「イビサガール」のリリース形態の変更が事件によりAKB48グループの全国握手会ができなくなっていた影響を受けたものであると見られていることを指摘しており、アルバムのリリースについても「CD発売中止を受けて、急遽前倒しになったものだとも」と記している[229]。
精神面でのフォロー
事件の発生を目撃していたメンバーたちは、精神的にショックを受けていた。AKB48グループ総支配人の茅野しのぶは当時の状況について「事件後、隣の人が急に立ち上がっただけでビクビクしてたり、夜眠れないメンバー達を見ていると、正直、握手会どころか普段生活を送るのも難しいじゃないかと思う時もありました」と語っている[230]。スタッフはそうしたメンバーのために様々な行動を起こした。茅野は事件後多くのメンバーと話し、メンバーの保護者に対してもフォローを依頼した[231]。HKT48では5月26日、すべてのメンバーおよびその保護者が集められ、当時の状況やそれ以降のことに関する説明会がなされた[232]。このほか、精神的な問題に対応する専門医も増やされた[233]。
メンバーの個々の活動
SNSの自粛
AKB48グループのメンバーは、google+などのSNSへの書き込みにより情報発信を行っているが、事件直後はこれらの書き込みがほとんどなされない時間が続いた。
事件が発生した5月25日には、当時AKB48メンバーの大島優子がgoogle+にて「こんな事態になるなんて…」「とにかく二人とも無事で良かった」といった事件に関する書き込みを行ったが、すぐにこれらの書き込みを削除している(なお大島は5月25日、両国国技館で大相撲夏場所の千秋楽を観戦しており、握手会には参加していなかった)。スポニチアネックスの記事はこの削除の理由を「事態の大きさを考慮したためか」と推測しており、一連の流れをAKB48側の「混乱ぶり」として報じている[234]。通常、google+にはAKB48グループのメンバーによる多くの書き込みが見られるが、事件翌日の26日からは、当時AKB48からの卒業を控えていた片山陽加によるものを除き、一切の書き込みが見られなかった[235]。書き込みが見られなかったのは、メンバーたちが書き込みを自粛していたことによる[236]。自粛に至った理由についてRBB TODAYの記事は「負傷した川栄や入山を気遣ってか」と推測している[237]。
AKB48グループのメンバーによる書き込みは、google+以外のSNSにおいても自粛されていた。この状況が続く中、HKT48のメンバーである指原莉乃はファンが不安に思い始めていることを察し、AKB48グループ総合プロデューサーの秋元康に対して「私たちからコメントを発信していってもよろしいですか?」というメールを送った。秋元はこれに対し、「そもそも自粛させているつもりはないが、本当に皆が更新しにくい状況ならば、指原が思うようにやればいいよ」とアドバイスした。指原は5月27日、AKB48グループのメンバーの中で初めて、事件を受けてのコメントをTwitterに書き込んだ。日刊スポーツはこれについて「AKB48過去最大の危機に突破口を切り開いた」と記している[238]。
指原によるTwitterへの書き込みがあった27日、事件で負傷した川栄と入山を含め、メンバーたちが次々とgoogle+への書き込みを始めた[236]。28日には、AKB48グループ総監督を務める高橋みなみがgoogle+において「ファンの皆さんとメンバーで作り上げてきたAKB48。ファンでもなかった1人の身勝手な行動で壊したくないです」「(誰でもよかった、という犯行動機について)そんなことあってもいいのでしょうか? 私たちはこんなやつのためにこんな事が起こるために握手をしてるわけじゃなかったはずです。」「ファンのみんなと築いてきた絆とメンバーの思いをなめないでほしい」と犯人の男を厳しく非難するコメントを出した[239]。
なお27日、Twitterにおいて入山になりすました人物による書き込みがなされ、その後サンケイスポーツおよびスポーツ報知がこの書き込みを入山本人のものとして報じるという誤報があった。スポーツ新聞だけでなく、フジテレビ系列のテレビ番組『めざましテレビ』においてもスポーツ報知の記事を紹介するという形で同様の報道がなされた(その後番組内で訂正が入った)[240]。
卒業発表の中止
事件が発生したのは前述のとおり選抜総選挙の開票イベントを控えていたときであり、AKB48のメンバーである小嶋陽菜は、開票イベントにおいてグループから卒業することを発表するつもりでいた。しかし、小嶋はその後開票イベントでの卒業発表をしないことを決断した。その理由のひとつが事件の発生であり、小嶋は開票イベントでのコメントでこの一連の考えの変化について「今回の総選挙はファンの方々と思い出を作るために出たので、卒業を発表しようと決めていました。でも先日AKBにとっていろいろなことが起きました。それを受けて私はもうちょっとだけここにいて、私にできることをやろうと思いました。」と発言している[241]。なお、小嶋は卒業発表をしないと決めた代わりに、開票イベントのコメントとしてあたかも卒業発表をするかのように思わせる「ドッキリ」を用意することにし、それに向けて練習などをしたという[242]。物語評論家のさやわかは、リアルサウンドの記事において「今後も同グループを継続させていくためには様々な面での努力が必要かと思います」とした上で、「チームの中で保護者的なポジションにある」小嶋によるドッキリコメントについて「冗談を交えながらAKB48を続けることを宣言したのは、ファンにとっても後輩世代にとっても非常に心強かったのではないでしょうか」とコメントしている[194]。
乃木坂46
AKB48の関連グループとして、「AKB48グループ」に含まれる姉妹グループのほかに「公式ライバルグループ」として活動している乃木坂46がある。事件の影響はこのグループにも及んだ。
乃木坂46は事件5日後の5月30日に劇場公演『16人のプリンシパル trois』の開演を控えており、グループの運営スタッフは事件翌日の26日に同公演における警備を強化することを決めた。30日、厳戒態勢のもとで公演が行われた。まず、入場時にはおよそ1300人の観客に対して荷物検査と金属探知機による検査が行われた。金属探知機は5台用意された。持ち込み可能な手荷物は、縦と横の長さがそれぞれ40cm以内、かつ幅が20cm以内のものという制限が加えられた。会場に設置されているコインロッカーは、その使用が禁じられた。警備員も増員され、前年に行われた公演のおよそ2倍となる約50人(うち10人はボディーガード)が動員された[243]。入場に時間がかかるという理由で、開場時間は予定より15分早められた[244]。
握手会については、AKB48グループより先に実施される運びとなった。乃木坂46の運営委員会は、事件の発生を受け、握手会について協議を進めた結果「ファンの皆様から握手会開催を切望するご意見を尊重したい」と判断し、事件から27日後となる6月21日にパシフィコ横浜で予定されていたシングル「気づいたら片想い」の個別握手会を開催することを決定した。開催にあたっては警備強化を行うこととし、検査などに時間がかかることから入場時間を早めることになった[245]。当日の握手会は、厳戒態勢の下で開催された。入場時には手荷物検査および金属探知機による検査が行われたほか、警備員についても増員がなされた[246]。手荷物検査においてはポケットの中やベルトとズボンの間などの確認、ペットボトルの飲料の試飲などの厳重な検査がなされ、ファンからは「まるで空港の検査。やりすぎだ」という意見も出た。主催者側のスタッフも「これまでは、ここまで細かい検査はしていなかった」と語っている[247]。握手を行うにあたっては手荷物をすべて預け、握手は柵越しに行われた[246]。なお前述のとおり、乃木坂46はAKB48サイドとの意見交換を行っており、この握手会における警備体制は、のちに再開されることになるAKB48の握手会へと受け継がれている。
その後、全国握手会も開催された。当初、乃木坂46はシングル「夏のFree&Easy」の全国握手会を「お話し会」と題されたイベントに変更することを発表していた。「お話し会」は、ファンとメンバーによる会話のみが可能であるイベントで、握手はできないという予定であった。また、ミニライブは従来どおり開催される予定であった[248]。しかし7月14日、グループは「運営委員会で協議を重ねた結果、安全面での確認ができたため」という理由で、お話し会ではなく全国握手会を実施することを決定した。全国握手会は7月19日に開催された。予定されていたミニライブは、イベント運営の都合により中止が決定した[249]。なお、日刊スポーツの記事は、「お話し会」への変更が全国握手会に限って予定されたのは個別握手会と全国握手会のシステムに差があること(個別握手会は事前の申し込みが必要だが全国握手会は握手券を持ってさえいれば誰でも参加できる)および事件が全国握手会で発生したことを踏まえたためであると推測している[248]。
また、シングル「夏のFree&Easy」は、事件前にリリースされた前作「気づいたら片想い」と比較して売り上げが下がっており、リアルサウンドのライターであるポップスは、売り上げが伸びなかった理由のひとつが事件の発生であると推測している[250]。
メディア
事件を受けて、AKB48に関連するいくつかの番組において、放送の延期などの措置がとられた。事件翌日の5月26日深夜(日付上は翌27日)からNOTTVで放送が予定されていた、入山が主演を務めたオムニバスドラマ『結婚させてください!!』のエピソード3が事件を受けて放送を見送られ、この時間の放送が同ドラマの別エピソードに差し替えられた。Techinsightの記事は、差し替えの理由について「彼女自身やファンの心境を配慮して放送内容が変更されたもようだ」と推測している[251]。このドラマは事件から3か月以上が経過した9月1日深夜(日付上は翌2日)から放送された[252]。5月30日深夜(日付上は翌31日)に放送が予定されていた、川栄が主演のうちのひとりであるテレビ東京系列のドラマ『セーラーゾンビ』の第7話についても延期となった。番組側は延期とした理由を「先般の事件を受け、総合的に判断した結果」と説明している[253]。こちらは延期から1週間後となる6月6日深夜(日付上は翌7日)に放送された。テレビ東京はこの放送再開について「川栄さんの体調も回復に向かっていると聞き、視聴者から再開を望む声もあった」と説明している[254]。このほか、NOTTVで放送されている番組『AKB48のあんた、誰?』においては、5月26日の生放送の公開観覧が中止となった[255]。同番組における公開観覧は2か月近くにわたり中止となった。7月14日から再開されたが、参加できる人数は従来の50人から30人に減り、入場時には金属探知機による検査が追加された[256]。
一方、事件の影響を受けなかった番組もある。TBSは『有吉AKB共和国』などAKB48に関連する番組を放送しており、5月28日の定例社長会見において、同局の番組における放送延期などの影響はないという旨を発表した[257]。また、フジテレビは5月31日の『めちゃ×2イケてるッ!』において、事件前に収録され、川栄が出演した企画「めちゃ日本女子プロレス」を放送した。この放送はインターネット上で反響を呼んだ。放送が始まる前には「自粛しろ」「不謹慎だろ」などという批判が上がっていたものの、放送後は「りっちゃん(川栄)の元気な姿が見られてよかった」「自粛しなかった勇気」など賞賛の声が上がった[258]。
一部のCMについても、放送の中止などに関する検討がなされることとなった。川栄は当時ユーキャンとAKB48のコラボレーション企画「AKBチャレンジユーキャン!2014」において薬膳コーディネーターの資格の取得を目指しており、これに関連したテレビCMに出演していたが[259]、ユーキャンは5月26日、事件を受けて川栄が出演していたCMの放送を見合わせることを決めた[260]。CMだけでなく企画の継続自体もユーキャンと関係各社により協議された。しかし、川栄から資格への挑戦に前向きな言葉を受けたことで、企画の継続が決定するとともに[261]、5月30日、CMの放送が決定した[262]。このほか、5月27日から放送が予定されていた、AKB48のメンバーが出演するアサヒ飲料の缶コーヒー「WONDA 金のラテ」のCMについても、事件を受けて放送の自粛が検討されたが[263]、5月27日から予定通り放送されることとなった[264]。
その他各種イベント
事件の影響を受けたのは、AKB48の関連グループにとどまらなかった。事件が発生したのはアイドルブームの最中であり、AKB48以外のアイドルも様々な形でファンとの直接交流を行っていた[119]。事件を受けて、アイドルグループなどが次々とイベントの中止、内容変更といった措置を取った。
女性アイドルグループのアイドリング!!!は、5月28日に行う予定であったシングル「キュピ♥」の発売記念イベントを「警察当局の指導」により中止とし、翌29日以降のイベントは会場内への手荷物の持ち込みなどを禁止する措置をとった[265]。女性音楽グループのHappinessは、5月29日から6月1日にかけて行う予定であったシングル「JUICY LOVE」の発売記念イベントを中止とした[266]。女性アイドルグループの私立恵比寿中学は、5月31日のラジオ公開イベントにおいて、イベント後に行う予定であった握手会を中止とした[267]。女性歌手の鈴木このみは、5月31日実施のシングル「This game」の発売記念イベントにおいて、内容を変更した。イベントの一環として当初予定していた握手会を中止としたほか、イベント会場で持ち物検査およびボディーチェックを行う措置を取った[268]。女性音楽グループの9nineは、アルバム『MAGI9 PLAYLAND』の発売記念イベントにおいて、内容を変更した。イベントの一環として5月31日に行う予定であった私物サイン会、および6月1日にミニライブとともに行う予定であったハイタッチ会をともに中止とした[269]。男性アイドルの中山優馬は、5月31日および6月1日に予定していたハイタッチを含むイベント「優馬とHigh Five」を延期とした[270]。プロ野球球団オリックス・バファローズのダンス・ボーカルユニットであるBsGirlsは、5月31日に予定していたものをはじめ、不定期に行っていたサイン会を当面の間見合わせた[271]。AKB48の元メンバーである歌手の板野友美は、6月1日実施のアルバム『S×W×A×G』の発売記念イベントにおいて、予定していた握手会を中止とし、代わりに板野の直筆によるサインが入ったポストカードを渡すイベントを行った[272]。
一方、警備強化などの対策をとった上でイベントを実施したケースをある。モーニング娘。などの女性アイドルグループの活動を運営するハロー!プロジェクトは、事件について「厳粛に受け止め」たうえで、「楽しみに待って頂いているファンの皆さまのためにも」という理由で握手会などのイベントを予定通り実施することを決定したが[273]、警備については安全を確保するために従来より強化することとした[274]。女性アイドルグループのでんぱ組.incは5月29日、2ショット撮影会を開催したが、実施にあたり警備員やスタッフを増員し、イベントに参加するファンに対して手荷物を事前に預けることを要請するなど警備体制を強化した[275]。
一部映画の関連イベントにおいても安全対策の強化がなされた。5月26日に行われた映画『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』の関連イベントでは、事件を受けて急遽劇場の入り口に手荷物検査所が設けられた[276]。同じ日に行われた映画『ポンペイ』のジャパン・プレミアイベントにおいても同様に、事件を受けて急遽手荷物検査が実施された[277]。5月27日に行われた映画『X-MEN: フューチャー&パスト』のジャパン・プレミアイベントでは警備が強化されており、関係者によると通常の2倍である40人の警備員が配置されたほか手荷物検査も行われた[278]。
事件を扱った映画
事件は、AKB48の活動を映したドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』において取り上げられている。この映画の監督である高橋栄樹は、映画で事件を扱うことについて「僕はいろんな難題や課題が降り掛かってきても、決して逃げない彼女たち(AKB48メンバー)をリスペクトしています。だからこそ、デリケートな問題でも、今回起きてしまった握手会での事件にも触れざるを得ないと思っています」と発言している[279]。高橋は悩んだ末に事件について映画で扱うことを決めており[280]、映画監督の本広克行からは「AKB48の歴史はアイドルの歴史なので、あれは嫌な事件だけどちゃんと向き合わないといけない、入れるべきです」という意見を受けていた[281]。高橋は実際に事件を扱うにあたり、デリケートな題材であることからその取り上げ方に苦心したという。また、事件が扱われたことで映画の構成に影響が出た。この映画は予告編において「2度の総選挙の裏側を描く」という紹介がされていたが、事件が扱われたことで、選抜総選挙に関する時間が短くなった[281]。事件に関する内容は、映画の後半部分で扱われている[282]。
応援活動
事件を受けて、岩手県奥州市のファン有志「AKB48グループ絆SUPPORTER」がAKB48を応援する「応援幕」を作成した[283]。この応援幕は、負傷した川栄と入山をはじめとするAKB48のメンバーを応援するため、およびAKB48による東日本大震災の復興支援活動に対して恩返しをするために作成された[284]。幕には寄せ書きがされており、縦110cm、横150cmの布12枚におよそ800人がメッセージを書き込んだ。この応援幕は6月16日、AKB48劇場に掲示された[283]。
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