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2017年2月27日 (月) 15:34時点における版
語族の一覧(ごぞくのいちらん)は、世界の語族の一覧である。
概要
語族は諸言語に共通性を見出し、祖語があるのではとの意識が学究的動機に発展して成立した分類体型である。分類の規模や階層に応じて「語派」「語圏」「語群」「諸語」「大語族」などを冠する分類名もあるが、言語によっては研究がまだ浅薄であったり、語族を含めて見解に相違が残っていたりなどで、定義があいまいである。なおこの分類は、人類を人種で分類することの弊害からこれに代替して用いられることがあり、歴史学などにおいてそれぞれの「~語族」が広義に「~人」、比較的小集団であれば「~族」と表現される。しかしこれには言語以外の宗教など文化的側面や、地域や時間的経過、その他の要素による集団分類を適用できることから、通史的に適用できる概念ではないことには注意を要する[1]。
次節以降の表では主に自然言語について語族をベースとして分類した。「 ? 」は分類が確定したものでないことを表す。また†は比較言語学の記号で、記号が付属している言語は現在の死語を意味する。自然言語以外はその他とし、リンク先等を参照のこと。
比較的研究されている語族の一覧
音韻・文法などの強い共通性で括られたグループ。さらにこれらを上位の超語族(大語族)に分類する試みもあるがまだ仮説の段階である。
インド・ヨーロッパ語族(印欧語族)
印欧祖語に起源を求め、インド・ヨーロッパ語族と呼ばれる。
- イタリック語派
- オスク・ウンブリア語群
- ラテン・ファリスク語群
- ファリスク語
- ラテン語
- ロマンス諸語
- イタロ・ロマンス語群
- レト・ロマンス語群
- ガロ・ロマンス語群
- オクシタニア・ロマンス語群
- イベロ・ロマンス語群
- カスティーリア語(スペイン語)
- ガリシア・ポルトガル語
- アストゥリアス・レオン語
- アラゴン語
- モサラベ語
- カタルーニャ語(オクシタニア・ロマンス語群に分類する場合あり)
- バルカン・ロマンス語群
- ルーマニア語(ダキア・ルーマニア語)
- アルーマニア語(マケドニア・ルーマニア語)
- イストリア・ルーマニア語
- メグレノ・ルーマニア語
- ロマンス諸語
- アルバニア語派(単独語派)
- アルメニア語派
コーカサス諸語
黒海とカスピ海との間のコーカサス山脈北部を中心に話される約40言語の諸語。コーカサス南東部のアゼルバイジャンではアルタイ諸語、南央部のアルメニアは主に印欧語派に属する。ロシア帝政の北カフカス占領時にオスマン帝国に逃れた人々が拡散し、西に接するトルコ、その南のシリアなど中東の周辺諸国にも話者がいる。
アフロ・アジア語族
アフリカ北部のナイル川周辺を除く地域で話される。
ニジェール・コンゴ語族
ニジェール・コルドファン語族とも呼ばれる。サハラ以南のアフリカ南部の大部分で話される。分類によっては言語数が最も多い語族である。
ナイル・サハラ語族
ナイル・サハラ語族はアフリカ北部の主にナイル川、シャリ川流域の語族。
コイサン諸語
コイサン諸語はアフリカ南部のカラハリ砂漠を中心とした地域の言語群。
ウラル語族
ウラル語族 ※ユカギール語との同系説がある。インド・ヨーロッパ語族と共に、インド・ウラル語族を形成するという説もある。
アルタイ諸語
アルタイ諸語
※ウラル語族と共に、かつてはウラル・アルタイ語族を形成するという説もあったが、現在は否定されている。
トハラ語†は古テュルク語†に吸収されて消滅したとする説がある。
- テュルク語族
シナ・チベット語族
- チベット・ビルマ語派(チベット・ミャンマー語派)
タイ・カダイ語族
タイ・カダイ語族 - オーストロアジア語族またはシナ・チベット語族に含める説もある。
モン・ミエン語族
ミャオ・ヤオ語族とも
オーストロアジア語族
ドラヴィダ語族
ドラヴィダ語族 - 主に南インドからスリランカ一帯、およびパキスタンの一部
- 中部支派
オーストロネシア語族
オーストロネシア語族 - 台湾、東南アジア島嶼部、太平洋諸島、およびマダガスカル
研究途上の諸語の一覧
音韻・文法などの弱い共通性で括られたグループ。各々の言語に対し系統分類は研究途上であり、一部をのぞき不明あるいは未確認。現段階ではきわめて多数の語族が提唱され、議論も多い。そのため便宜的に地理的な分類のみを行い諸語としている。 また、これまでに系統分類の努力がなされているにもかかわらずいまだ系統不明である孤立した言語も記載する。これらの多くの場合はメジャーな言語集団に取り込まれなかった前言語集団の末裔とみられている。
バスク語
- バスク語 - スペイン・フランス国境山岳のバスク地方のみで話される言語。インド・ヨーロッパ語族以前の言語と考えられ系統不明。
エトルリア語
シュメール語・エラム語
現在の言語系統への接続が確認されていない。
フルリ・ウラルトゥ語族
ブルシャスキー語
- ブルシャスキー語 - パキスタン北部 カラコルム山脈およびヒンドゥークシュ山脈の一部。エニセイ語族ケット語と共通性を指摘する説がある。
アンダマン諸語
- アンダマン諸語 - ミャンマー南方ベンガル湾上のアンダマン諸島で話される。
- オンガン語族 - オーストロネシア語族に含まれるとするなど諸説ある。
- 大アンダマン語族 - インド・太平洋大語族に含まれるとする仮説がある。
- センチネル語 - 未研究
朝鮮語族
日本語族
日本語族 - 系統未確認。クレオール言語(混合言語)の1種であるとする説がある。
- 日本語派
オーストラリア諸語
オーストラリア諸語(オーストラリア原住民諸語とも) - オーストラリア大陸及びその周辺のメルヴィル島・グルートアイランド島・ウェルズリー諸島・トレス海峡諸島 - 約15の語族と多数の孤立した言語を含む約200の言語の総称。かつては600から750もの言語が知られていたという。
- パマ・ニュンガン語族
- タスマニア諸語†- すでに消滅。オーストラリア諸語との関係は明らかでない。
パプア諸語
パプア諸語(パプア・北ハルマヘラ諸語とも) - 主にパプアニューギニア島、ティモール島。約23の語族と多数の孤立した言語を含む。
- トランスニューギニア語族 - 以下の4言語で10万人の話者がいる。
- セピク語族
- トリチェリ語族
- その他
古シベリア諸語
古シベリア諸語(古アジア諸語、オホーツク諸語とも) - シベリアおよびその周辺地域。
アメリカ先住民諸語
アメリカ先住民諸語は、約100の語族と多数の孤立した言語を含む。系統は一部をのぞき不明あるいは未確認。
- エスキモー・アレウト語族(エスキモー・アリュート語族) - 北極海沿岸、アラスカ、アリューシャン列島に分布。
- アルゴンキン・ウォキャシ大語族 - 五大湖を中心とした北米東部の大部分に分布。
- ウォキャシ語族
- クーナテイ語
- ホカ大語族 - カリフォルニア半島、メキシコ湾に面した一部地域に分布、※マクロ・スー大語族と併せてホカ・スー大語族とする場合もある
- ペヌート大語族 - カリフォルニア州、メキシコ東部、グアテマラ、ベリーズ。南米大陸のいくつかの言語を含む説がある
- アズテック・タノア大語族 - ネバダ州、ユタ州、メキシコ西部に分布
- タラスコ語 - メキシコ南西中央部
- マクロ・チブチャ大語族 - ホンジュラスからパナマ地峡にかけての地域。南米大陸の一部の言語を含む
- アンデス・赤道大語族 - アンデス山脈、アマゾン川流域など
- ゲ・トゥピ・カリブ大語族 - ギアナ地方、ブラジル南部、パラグアイ、アルゼンチン東部など
- マクロ・ゲ語群
- トゥピ・グアラニー語族 ※アンデス・赤道大語族に含める場合もある[1]
- トゥピ語
- リンガ・ジェラール・パウリスタ†(南トゥピ語)
- ニェエンガトゥ語(アマゾン一般言語)
- グアラニー語 - ボリビア、パラグアイの公用語の一つ
- トゥピ語
- マクロ・パノア大語族
- カリブ語族
その他の言語
接触言語
ピジン・クレオール言語
異なる言語同士が接触し、意思疎通を目的として生まれた言語。
混合言語
異なる言語同士が接触し、双方の特徴を保ったまま複雑に混合した言語。
視覚言語
手話
手話は自然言語であるが、視覚言語でもある。また、聾教育の国際的伝播と、その後の国ごとの独自の発展の経緯によって、ある程度語彙に共通性をもつ語族を形成する。なお、手話にも人工言語が存在する。
- 日本手話語族
- イギリス手話語族
- フランス手話語族
- 日本語対応手話 - 日本語文法に則した手話。中途失聴者などが使用。日本手話とは文法が全く異なる人工言語。
- 他の手話や言語から隔絶した環境で生まれた手話
- 国際手話 - 欧米の手話をベースとした人工言語。アジア・アフリカの手話者には習得が難しいとされる。
- 欧州統一手話 - 現在、ヨーロッパ経済圏を中心に自然発生的に生まれつつある手話。クレオール言語とも言える。
人工言語
注釈
- ^ イタリック語派に属する人々を「イタリック人」と歴史的に呼ぶことはない(通史的にはローマ人と呼ばれる)。またここから派生したラテン語のみを話す語族は現存せずラテン人は使われない(その代わり分化や気質を表すラテン系は使われる)。バチカンはラテン語を公用語としているがこれは公文書での使用に限られ、会話などでラテン語のみを使用するわけではない。
関連項目
- 言語のグループの一覧
- 公用語の一覧 - 各国の公用語の一覧
- 母語話者の数が多い言語の一覧 - 消滅危機言語の一覧