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| name = つがる
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| cultivar = '''‘つがる’''' (‘Tsugaru’)<ref>{{Cite journal|author=Bessho, H., Wada, M., Kudo, K., Inomata, Y., Iwanami, H., Abe, K., ... & Suzuki, A.|year=2009|title=Selection of Crabapple pollinizers for 'Fuji' and 'Tsugaru' apple|journal=Journal of the American Pomological Society|volume=63|issue=1|pages=2–13|doi=}}</ref>
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}}
}}
'''‘つがる’'''([[英語|英]]: ‘Tsugaru’)は、[[青森県]]苹果試験場(現 青森県産業技術センターりんご研究所)で育成された[[リンゴ]](セイヨウリンゴ)の[[栽培品種]]である。1930年に‘[[ゴールデンデリシャス]]’と‘[[紅玉 (リンゴ)|紅玉]]’を交配してその[[実生]]から選抜され、1975年に‘つがる’として品種登録された。日本における代表的なリンゴの早生品種であり、収穫期は8–9月である。果皮は赤くなり、果肉は緻密で果汁豊富、甘みに対して酸味が少ない。日本では、‘[[ふじ (リンゴ)|ふじ]]’に次いで生産量が多い品種である(2023年時点)。


== 特徴 ==
'''つがる'''とは、[[リンゴ]]の[[栽培品種]]のひとつである。[[青森県]]りんご試験場が1930年に、[[ゴールデンデリシャス]]と[[紅玉 (リンゴ)|紅玉]]を交配したことで誕生し、1970年に'''青り2号'''として仮に命名され、1975年に品種登録された。
[[自家不和合性 (植物)|自家不和合性]]に関わるS遺伝子型はS<sub>3</sub>S<sub>7</sub>である<ref name="阿部2015">{{cite book|author=阿部和幸 & 荒川修|year=2015|chapter=リンゴ|editor=金浜耕基|title=果樹園芸学|publisher=文永堂出版|isbn=978-4830041297|pages=59–90}}</ref>。‘つがる’は早生系の品種であり、豊産性、日本における収穫期は8月中旬から9月下旬である<ref name="JA全農" /><ref name="阿部2015" /><ref name="りんご大学つがる" /><ref name="青森りんご品種" />。後期落果(収穫前落果)が発生しやすい品種であり、「咳払いすると落ちる」とも言われた<ref name="りんご大学つがる" /><ref name="阿部2015" /><ref name="一木14" />。後期落果は、果実が生成する[[エチレン]]によって果柄に離層が形成されるためであると考えられており、合成[[オーキシン]]剤(2,4-DPやMCPP)を散布することで抑えられる<ref name="阿部2015" />{{sfn|杉山芬|2005|page=109}}。ただし、オーキシンは果実成熟を促進し貯蔵性を低下させるため、その散布量や時期は適正に行う必要がある<ref name="阿部2015" />。


[[果実]]は円形、重さ300[[グラム]]ほどで早生品種としては大きい{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}<ref name="りんご大学つがる">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/tu/tugaru.html|title=つがる|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref><ref name="青森りんご品種">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.aomori-ringo.or.jp/variety/|title=りんごの品種|website=青森りんご|publisher=一般社団法人青森県りんご対策協議会|accessdate=2024-10-16}}</ref>。果皮は紅色、縞状に濃紅色に色づく<ref name="りんご大学つがる" /><ref name="青森りんご品種" />。果皮着色期に気温が高いと、着色しにくくなる<ref name="阿部2015" />。
==特徴==
着色を良くするために果実に一時的に袋をかける有袋栽培を行うこともあり、有袋栽培のものを狭義の「つがる」、無袋栽培のものを「サンつがる」とよぶこともある<ref name="りんご大学つがる" /><ref name="JA全農長野" />。ただし、2024年時点では有袋栽培は減少し、多くは無袋栽培になっている<ref name="りんご大学つがる" />。無袋栽培の方が、糖度が高く果汁が多い傾向がある<ref name="JA全農長野">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.nn.zennoh.or.jp/products/fruits/more/apple/post-16.php|title=つがる・サンつがる|website=|publisher=JA全農長野|accessdate=2024-10-18}}</ref>。また、着色しやすい‘つがる’の枝変わり品種([[#枝変わり|下記参照]])も利用されている{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}<ref name="阿部2015" />。果肉は緻密で中位、果汁に富み、糖度は12–13.5%、酸度は0.2–0.3%、甘みは中程度だが酸味が少ない{{sfn|富士田金輔|2012|page=149}}{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}<ref name="りんご大学つがる" /><ref name="青森りんご品種" /><ref name="阿部2015" /><ref name="JA全農">{{Cite web|author=|date=|url=https://vegemart.net/apple/kind/14_tg.html|title=つがる|website=|publisher=JA全農|accessdate=2024-10-18}}</ref>。貯蔵性は低く、常温で2週間、普通冷蔵で1ヶ月程度である<ref name="りんご大学つがる" />。
早生品種であり、9月ごろに収穫期を迎える。形状は円形から楕円形で大きさは約300グラム{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}、色味は紅で縞模様が入る<ref name ="applevuniv">{{Cite web|和書| title = つがる・あおり2号|りんご大学| url = https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/tu/tugaru.html | accessdate = 2022-01-29}}</ref>。肉質は緻密で{{sfn|富士田金輔|2012|page=149}}、豊富な汁と甘みを引き立てる弱い酸味、13.5%パーセント程度の糖度の甘みを備える{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}。一方で、栽培初期は「咳払いすると落ちる」とまで言われた落果のしやすさ{{sfn|杉山芬|2005|page=109}}や、色むらに弱点があったが{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}、前者は栽培技術の進歩によって{{sfn|杉山芬|2005|page=109}}、後者は芳名つがる等の着色系枝変わりによって改善されており{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}、2006年時点で[[ふじ (リンゴ)|ふじ]]に次いで日本で2位の生産量を占める品種であり、世界の生産量においても2002年に21位の品種となっている{{sfn|富士田金輔|2012|page=149}}。


==歴史==
== 生産 ==
‘つがる’は、日本における代表的なリンゴの早生品種である<ref name="一木14">{{Cite web|author=一木茂|date=2019-08-29|url=https://www.ringodaigaku.com/play/ichiki/index_14.html|title=第14回 早生品種のエース「つがる」|website=一木先生のリンゴ学講座|publisher=|accessdate=2024-10-18}}</ref>。2023年度、日本における‘つがる’の生産量は65,800[[トン]]であり、リンゴ総生産(603,800トン)の約11[[パーセント]]、‘[[ふじ (リンゴ)|ふじ]]’(全体5割を占める)に次いで日本で2番目に生産量が多い品種である<ref name="2023リンゴ生産">{{Cite web|author=|date=2024-05-17|url=https://www.maff.go.jp/j/tokei/kekka_gaiyou/sakumotu/sakkyou_kajyu/ringo/r5/index.html|title=令和5年産りんごの結果樹面積、収穫量及び出荷量|website=|publisher=農林水産省|accessdate=2024-10-05}}</ref>。各道県の生産量は、[[青森県]](36,700トン)、[[長野県]](17,400トン)、[[山形県]](3,390トン)、[[岩手県]](3,000トン)、[[北海道]](1,680トン)、[[福島県]](1,260トン)の順となっている<ref name="2023リンゴ生産" />。
日本における遺伝学研究の第一人者であった[[東北帝国大学]]の[[星野勇三]]のもとで学んだ[[須佐寅三郎]]は、2回に渡るアメリカ留学を経て、1928年に青森県立農事試験場に主任技師として着任し、[[紅玉 (リンゴ)|紅玉]]等既存の品種を超えるリンゴの育種を志した{{sfn|富士田金輔|2012|page=129}}。つがるは須佐によって[[陸奥 (リンゴ)|陸奥]]と同じく日本で最初の交雑試験となった1931年に交配が行われたが{{sfn|富士田金輔|2012|page=149}}、品種ラベルの紛失によって長らく花粉親が不明の状態が続いていた{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}。前述の落果の多さという不満点はあったものの、早生の良品種として徐々に注目を集めるようになり、1970年に青り2号という仮名がつけられたのち、1973年につがるの名が与えられ、1975年に品種登録された{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}。なお、長らく不明であった花粉親については1990年に遺伝子検査が行われ、紅玉であることが特定されている{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}。


世界の生産量においても、2002年に‘つがる’は21位の[[栽培品種|品種]]となっている{{sfn|富士田金輔|2012|page=149}}。2015年の世界(中国を除く)の生産量においても‘つがる’は21位で0.41%を占めていた<ref name="一木2">{{Cite web|author=一木茂|date=2017-12-25|url=https://www.ringodaigaku.com/play/ichiki/index_2.html|title=第2回 世界のリンゴ品種|website=一木先生のリンゴ学講座|publisher=|accessdate=2024-10-18}}</ref>。
==脚注==
{{reflist|2}}


==参考文献==
== 歴史 ==
‘つがる’は、青森県苹果試験場(1950年に青森県りんご試験場に改称、2009年以降は青森県産業技術センターりんご研究所)で育成された<ref name="一木14" /><ref name="りんご研究所">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.aomori-itc.or.jp/soshiki/nourin_ringo/gaiyou/enkaku.html|title=沿革|website=りんご研究所|publisher=青森県産業技術センター|accessdate=2024-10-30}}</ref>。1930年に、‘[[ゴールデンデリシャス]]’にある品種の花粉を交配し、1943年に生じた実生から選抜された<ref name="一木14" />{{sfn|富士田金輔|2012|page=149}}。その後、1970年に‘青り2号’と仮命名され、1975年に‘つがる’として登録された<ref name="一木14" />{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}。‘つがる’の花粉親は不明であったが、1990年に[[DNA]]の解析から‘[[紅玉 (リンゴ)|紅玉]]’であることが示されている<ref name="一木14" />{{sfn|杉山芬|2005|page=107}}。

当初、食味はよいが、収穫前の落果が多いこと、普通倉庫に貯蔵すると果実表面に油が浮くこと、着色がよくないなどの理由により、[[青森県]]の生産者はあまり注目していなかった<ref name="一木14" />。しかし早生系であり、地域によっては8月に収穫できることから注目され、特に[[長野県]]では盛んに栽培されるようになった<ref name="一木14" />。また落果防止剤の使用や冷蔵貯蔵の一般化、着色のよい枝変わり品種の利用により、前記の欠点は克服され、広く栽培されるようになった<ref name="一木14" />。

=== 名称 ===
‘つがる’は、当初は「ゴールデン不明」、「不明7号」、「紅林」([[岩手県]])、「高月」([[群馬県]])、「早生ふじ」([[長野県]])などともよばれていた<ref name="一木14" />。その後1970年に‘青り2号’と仮命名され、青森県りんご試験場で正式品種名が募集され、‘つがる’の名が選ばれた<ref name="一木14" />。もともと‘津軽’という漢字表記の同名品種が1926年にリンゴワタムシ抵抗性品種として命名されていたが、青森県りんご試験場はこの名を育種家から譲ってもらい、1973年に‘つがる’として出願、1975年に登録された<ref name="一木14" />。この品種名に対しては、この品種を積極的に利用していた長野県からクレーム(品種名がローカルすぎる)がついたが、青森県内の果物店や多くの種苗業者ですでにこの名が使われていたことから、変更はされなかった<ref name="一木14" />。

== 派生品種 ==
=== 枝変わり ===
[[リンゴ]]は[[接ぎ木]]によって増やすため、同じ[[栽培品種|品種]]は遺伝的に同一な[[クローン]]であるが、まれに突然変異が起こって枝など木の一部が他と異なる性質を示すことがあり、「[[枝変わり]]」とよばれる<ref name="りんご大学つがる枝変わり">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/tu/tugaru_eda.html|title=つがる(枝変わり)|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>。‘つがる’の枝変わりに由来する果実の着色がよい品種として、‘芳明つがる’<ref name="りんご大学つがる枝変わり" />、‘ひらかつがる’<ref name="りんご大学ひらかつがる">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/hi/hirakatugaru.html|title=ひらかつがる(枝変わり)|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘つがる姫’<ref name="りんご大学つがる姫">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/tu/tugaruhime.html|title=つがる姫(つがるひめ)|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>。‘みすずつがるNo.8’<ref name="りんご大学みすずつがるNo.8">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/mi/misuzutugaru.html|title=みすずつがるNo.8|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>などがある。

=== 交配 ===
‘つがる’を交配親とする[[栽培品種|品種]]も多く作出されている。‘つがる’を種子親とする品種として‘北の幸’(花粉親は‘[[祝 (リンゴ)|祝]]’)<ref name="りんご大学北の幸">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/ki/kitanosati.html|title=北の幸(きたのさち)|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘シナノレッド’(花粉親は‘ビスタベラ’)<ref name="りんご大学シナノレッド">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/si/sinanored.html|title=シナノレッド|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘富香’(花粉親は‘[[王林 (リンゴ)|王林]]’)<ref name="りんご大学富香">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/to/tomika.html|title=富香(とみか)|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘紅はつみ’(花粉親は‘さんさ’)<ref name="りんご大学紅はつみ">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/he/benihatumi.html|title=紅はつみ(べにはつみ)|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘もりのかがやき’(花粉親は‘[[ガラ (リンゴ)|ガラ]]’)<ref name="りんご大学もりのかがやき">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/mo/forestshine.html|title=もりのかがやき|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、はやて(はやてつがる; 花粉親は不明)<ref name="りんご大学はやて">{{Cite web|author=|date=2023-09-20|url=https://www.ringodaigaku.com/ringo_blog/blog/2023/09/20/13509.html|title=りんごパラダイス vol.5『りんご「はやて」を食べてみました』|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>などがある。また、‘つがる’を花粉親とする品種として、‘シナノスイート’(種子親は‘[[ふじ (リンゴ)|ふじ]]’)<ref name="りんご大学シナノスイート">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/si/sinanosweet.html|title=シナノスイート|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘ハックナイン’(種子親は‘ふじ’)<ref name="りんご大学ハックナイン">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/ha/hakkunain.html|title=ハックナイン(HAC-9)|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘秋映’(種子親は‘千秋’)<ref name="りんご大学秋映">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/a/akibae.html|title=秋映(あきばえ)|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘かんき’(種子親は‘千秋’)<ref name="りんご大学かんき">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/ka/kanki.html|title=かんき|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘キュート’(種子親は‘千秋’)<ref name="りんご大学キュート">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/ki/cute.html|title=キュート|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘スイートメロディー’(種子親は‘千秋’)<ref name="りんご大学スイートメロディー">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/su/sweetmelody.html|title=スイートメロディー|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘未希ライフ’(種子親は‘千秋’)<ref name="りんご大学未希ライフ">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/mi/mikilife.html|title=未希ライフ(みきらいふ)|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘北紅’(種子親は‘リチャードデリシャス’)<ref name="りんご大学北紅">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/ki/kitakurenai.html|title=北紅(きたくれない)・あおり13|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘おいらせ’(種子親は‘[[スターキング デリシャス|スターキングデリシャス]]’)<ref name="りんご大学おいらせ">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/o/oirase.html|title=おいらせ|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘ファーストレディ’(種子親は‘さんさ’)<ref name="りんご大学ファーストレディ">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/hu/firstlady.html|title=ファーストレディ|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>、‘みちのく’(種子親は‘きたかみ’)<ref name="りんご大学みちのく">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/mi/mitinoku.html|title=みちのく|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}</ref>などがある。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<!--=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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== 参考文献 ==
*{{Cite book |和書 |author = 杉山芬 | author2 = 杉山雍 |year=2005 |title=青森県のりんご 市販の品種とりんごの話題|publisher=北の街社 |ISBN = 4-87373-141-0 | ref=harv}}
*{{Cite book |和書 |author = 杉山芬 | author2 = 杉山雍 |year=2005 |title=青森県のりんご 市販の品種とりんごの話題|publisher=北の街社 |ISBN = 4-87373-141-0 | ref=harv}}
*{{Cite book |和書 |author = 富士田金輔 |year=2012 |title=リンゴの歩んだ道 明治から現代へ、世界の“ふじ”が生まれるまで|publisher=農山漁村文化協会 |ISBN = 978-4-540-12215-6 | ref=harv}}
*{{Cite book |和書 |author = 富士田金輔 |year=2012 |title=リンゴの歩んだ道 明治から現代へ、世界の“ふじ”が生まれるまで|publisher=農山漁村文化協会 |ISBN = 978-4-540-12215-6 | ref=harv}}


== 外部リンク ==
{{Commonscat}}
* {{Cite web|author=一木茂|date=2019-08-29|url=https://www.ringodaigaku.com/play/ichiki/index_14.html|title=第14回 早生品種のエース「つがる」|website=一木先生のリンゴ学講座|publisher=|accessdate=2024-10-18}}
* {{Cite web|author=|date=|url=https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/tu/tugaru.html|title=つがる|website=|publisher=りんご大学|accessdate=2024-10-18}}


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[[Category:リンゴの品種]]
[[Category:リンゴの品種]]
[[Category:青森県の農業]]

2024年11月8日 (金) 13:00時点における版

‘つがる’
1. 果実
リンゴ属 Malus
セイヨウリンゴ M. domestica
交配ゴールデンデリシャス’ (‘Golden Delicious’) × ‘紅玉’ (‘Jonathan’)
品種 ‘つがる’ (‘Tsugaru’)[1]
開発 日本の旗 日本 青森県黒石市(青森県りんご試験場)、1975年
テンプレートを表示

‘つがる’: ‘Tsugaru’)は、青森県苹果試験場(現 青森県産業技術センターりんご研究所)で育成されたリンゴ(セイヨウリンゴ)の栽培品種である。1930年に‘ゴールデンデリシャス’と‘紅玉’を交配してその実生から選抜され、1975年に‘つがる’として品種登録された。日本における代表的なリンゴの早生品種であり、収穫期は8–9月である。果皮は赤くなり、果肉は緻密で果汁豊富、甘みに対して酸味が少ない。日本では、‘ふじ’に次いで生産量が多い品種である(2023年時点)。

特徴

自家不和合性に関わるS遺伝子型はS3S7である[2]。‘つがる’は早生系の品種であり、豊産性、日本における収穫期は8月中旬から9月下旬である[3][2][4][5]。後期落果(収穫前落果)が発生しやすい品種であり、「咳払いすると落ちる」とも言われた[4][2][6]。後期落果は、果実が生成するエチレンによって果柄に離層が形成されるためであると考えられており、合成オーキシン剤(2,4-DPやMCPP)を散布することで抑えられる[2][7]。ただし、オーキシンは果実成熟を促進し貯蔵性を低下させるため、その散布量や時期は適正に行う必要がある[2]

果実は円形、重さ300グラムほどで早生品種としては大きい[8][4][5]。果皮は紅色、縞状に濃紅色に色づく[4][5]。果皮着色期に気温が高いと、着色しにくくなる[2]。 着色を良くするために果実に一時的に袋をかける有袋栽培を行うこともあり、有袋栽培のものを狭義の「つがる」、無袋栽培のものを「サンつがる」とよぶこともある[4][9]。ただし、2024年時点では有袋栽培は減少し、多くは無袋栽培になっている[4]。無袋栽培の方が、糖度が高く果汁が多い傾向がある[9]。また、着色しやすい‘つがる’の枝変わり品種(下記参照)も利用されている[8][2]。果肉は緻密で中位、果汁に富み、糖度は12–13.5%、酸度は0.2–0.3%、甘みは中程度だが酸味が少ない[10][8][4][5][2][3]。貯蔵性は低く、常温で2週間、普通冷蔵で1ヶ月程度である[4]

生産

‘つがる’は、日本における代表的なリンゴの早生品種である[6]。2023年度、日本における‘つがる’の生産量は65,800トンであり、リンゴ総生産(603,800トン)の約11パーセント、‘ふじ’(全体5割を占める)に次いで日本で2番目に生産量が多い品種である[11]。各道県の生産量は、青森県(36,700トン)、長野県(17,400トン)、山形県(3,390トン)、岩手県(3,000トン)、北海道(1,680トン)、福島県(1,260トン)の順となっている[11]

世界の生産量においても、2002年に‘つがる’は21位の品種となっている[10]。2015年の世界(中国を除く)の生産量においても‘つがる’は21位で0.41%を占めていた[12]

歴史

‘つがる’は、青森県苹果試験場(1950年に青森県りんご試験場に改称、2009年以降は青森県産業技術センターりんご研究所)で育成された[6][13]。1930年に、‘ゴールデンデリシャス’にある品種の花粉を交配し、1943年に生じた実生から選抜された[6][10]。その後、1970年に‘青り2号’と仮命名され、1975年に‘つがる’として登録された[6][8]。‘つがる’の花粉親は不明であったが、1990年にDNAの解析から‘紅玉’であることが示されている[6][8]

当初、食味はよいが、収穫前の落果が多いこと、普通倉庫に貯蔵すると果実表面に油が浮くこと、着色がよくないなどの理由により、青森県の生産者はあまり注目していなかった[6]。しかし早生系であり、地域によっては8月に収穫できることから注目され、特に長野県では盛んに栽培されるようになった[6]。また落果防止剤の使用や冷蔵貯蔵の一般化、着色のよい枝変わり品種の利用により、前記の欠点は克服され、広く栽培されるようになった[6]

名称

‘つがる’は、当初は「ゴールデン不明」、「不明7号」、「紅林」(岩手県)、「高月」(群馬県)、「早生ふじ」(長野県)などともよばれていた[6]。その後1970年に‘青り2号’と仮命名され、青森県りんご試験場で正式品種名が募集され、‘つがる’の名が選ばれた[6]。もともと‘津軽’という漢字表記の同名品種が1926年にリンゴワタムシ抵抗性品種として命名されていたが、青森県りんご試験場はこの名を育種家から譲ってもらい、1973年に‘つがる’として出願、1975年に登録された[6]。この品種名に対しては、この品種を積極的に利用していた長野県からクレーム(品種名がローカルすぎる)がついたが、青森県内の果物店や多くの種苗業者ですでにこの名が使われていたことから、変更はされなかった[6]

派生品種

枝変わり

リンゴ接ぎ木によって増やすため、同じ品種は遺伝的に同一なクローンであるが、まれに突然変異が起こって枝など木の一部が他と異なる性質を示すことがあり、「枝変わり」とよばれる[14]。‘つがる’の枝変わりに由来する果実の着色がよい品種として、‘芳明つがる’[14]、‘ひらかつがる’[15]、‘つがる姫’[16]。‘みすずつがるNo.8’[17]などがある。

交配

‘つがる’を交配親とする品種も多く作出されている。‘つがる’を種子親とする品種として‘北の幸’(花粉親は‘’)[18]、‘シナノレッド’(花粉親は‘ビスタベラ’)[19]、‘富香’(花粉親は‘王林’)[20]、‘紅はつみ’(花粉親は‘さんさ’)[21]、‘もりのかがやき’(花粉親は‘ガラ’)[22]、はやて(はやてつがる; 花粉親は不明)[23]などがある。また、‘つがる’を花粉親とする品種として、‘シナノスイート’(種子親は‘ふじ’)[24]、‘ハックナイン’(種子親は‘ふじ’)[25]、‘秋映’(種子親は‘千秋’)[26]、‘かんき’(種子親は‘千秋’)[27]、‘キュート’(種子親は‘千秋’)[28]、‘スイートメロディー’(種子親は‘千秋’)[29]、‘未希ライフ’(種子親は‘千秋’)[30]、‘北紅’(種子親は‘リチャードデリシャス’)[31]、‘おいらせ’(種子親は‘スターキングデリシャス’)[32]、‘ファーストレディ’(種子親は‘さんさ’)[33]、‘みちのく’(種子親は‘きたかみ’)[34]などがある。

脚注

出典

  1. ^ Bessho, H., Wada, M., Kudo, K., Inomata, Y., Iwanami, H., Abe, K., ... & Suzuki, A. (2009). “Selection of Crabapple pollinizers for 'Fuji' and 'Tsugaru' apple”. Journal of the American Pomological Society 63 (1): 2–13. 
  2. ^ a b c d e f g h 阿部和幸 & 荒川修 (2015). “リンゴ”. In 金浜耕基. 果樹園芸学. 文永堂出版. pp. 59–90. ISBN 978-4830041297 
  3. ^ a b つがる”. JA全農. 2024年10月18日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h つがる”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  5. ^ a b c d りんごの品種”. 青森りんご. 一般社団法人青森県りんご対策協議会. 2024年10月16日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m 一木茂 (2019年8月29日). “第14回 早生品種のエース「つがる」”. 一木先生のリンゴ学講座. 2024年10月18日閲覧。
  7. ^ 杉山芬 2005, p. 109.
  8. ^ a b c d e 杉山芬 2005, p. 107.
  9. ^ a b つがる・サンつがる”. JA全農長野. 2024年10月18日閲覧。
  10. ^ a b c 富士田金輔 2012, p. 149.
  11. ^ a b 令和5年産りんごの結果樹面積、収穫量及び出荷量”. 農林水産省 (2024年5月17日). 2024年10月5日閲覧。
  12. ^ 一木茂 (2017年12月25日). “第2回 世界のリンゴ品種”. 一木先生のリンゴ学講座. 2024年10月18日閲覧。
  13. ^ 沿革”. りんご研究所. 青森県産業技術センター. 2024年10月30日閲覧。
  14. ^ a b つがる(枝変わり)”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  15. ^ ひらかつがる(枝変わり)”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  16. ^ つがる姫(つがるひめ)”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  17. ^ みすずつがるNo.8”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  18. ^ 北の幸(きたのさち)”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  19. ^ シナノレッド”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  20. ^ 富香(とみか)”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  21. ^ 紅はつみ(べにはつみ)”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  22. ^ もりのかがやき”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  23. ^ りんごパラダイス vol.5『りんご「はやて」を食べてみました』”. りんご大学 (2023年9月20日). 2024年10月18日閲覧。
  24. ^ シナノスイート”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  25. ^ ハックナイン(HAC-9)”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  26. ^ 秋映(あきばえ)”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  27. ^ かんき”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  28. ^ キュート”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  29. ^ スイートメロディー”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  30. ^ 未希ライフ(みきらいふ)”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  31. ^ 北紅(きたくれない)・あおり13”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  32. ^ おいらせ”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  33. ^ ファーストレディ”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。
  34. ^ みちのく”. りんご大学. 2024年10月18日閲覧。

参考文献

  • 杉山芬、杉山雍『青森県のりんご 市販の品種とりんごの話題』北の街社、2005年。ISBN 4-87373-141-0 
  • 富士田金輔『リンゴの歩んだ道 明治から現代へ、世界の“ふじ”が生まれるまで』農山漁村文化協会、2012年。ISBN 978-4-540-12215-6 

外部リンク