ダークナイト
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ダークナイト | |
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The Dark Knight | |
監督 | クリストファー・ノーラン |
脚本 |
クリストファー・ノーラン ジョナサン・ノーラン |
原案 |
デヴィッド・S・ゴイヤー クリストファー・ノーラン |
原作 |
ボブ・ケイン ビル・フィンガー 『バットマン』 |
製作 |
クリストファー・ノーラン チャールズ・ローヴェン エマ・トーマス |
製作総指揮 |
ベンジャミン・メルニカー マイケル・E・ウスラン ケビン・デ・ラ・ノイ トーマス・タル |
出演者 |
クリスチャン・ベール マイケル・ケイン ヒース・レジャー ゲイリー・オールドマン アーロン・エッカート マギー・ジレンホール モーガン・フリーマン |
音楽 |
ハンス・ジマー ジェームズ・ニュートン・ハワード |
撮影 | ウォーリー・フィスター |
編集 | リー・スミス |
製作会社 |
ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ レジェンダリー・エンターテインメント シンコピー・フィルムズ |
配給 | ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ |
公開 |
2008年7月18日 2008年8月9日 2020年7月10日 (再上映) |
上映時間 | 152分 |
製作国 |
アメリカ合衆国 イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | $185,000,000[1] |
興行収入 |
$1,005,973,645[1] $533,345,358[1] 16億円[2][注 1] |
前作 | バットマン ビギンズ |
次作 | ダークナイト ライジング |
『ダークナイト』(原題: The Dark Knight)は、2008年公開のアメリカ合衆国とイギリス合作のスーパーヒーロー映画。前作『バットマン ビギンズ』の続編で、『ダークナイト・トリロジー』(Dark Knight Trilogy)三部作の第2作目である。クリストファー・ノーランおよびデヴィッド・S・ゴイヤーの原案のもと、ノーランおよびジョナサン・ノーランによる脚本で、監督はノーランが務めた。
DCコミックスの出版するアメリカン・コミック『バットマン』を原作とした実写映画作品。主演はクリスチャン・ベール。
第81回アカデミー賞において8部門(助演男優賞、撮影賞、美術賞、メイクアップ賞、視覚効果賞、音響編集賞、編集賞、録音賞)にノミネートされ、2部門(助演男優賞、音響編集賞)を受賞した。
概要
[編集]DCコミックスの出版するアメリカン・コミック『バットマン』を原作とした実写映画作品。『バットマン ビギンズ』に続く「ダークナイト・トリロジー」の第2作目。バットマンの実写映画作品としては累計で第6作品目となる。
次のような古典的なコミックブックの物語からインスピレーションを得た。“Batman” #1(1940年)、『バットマン: キリングジョーク』(1988年)、『バットマン: ロングハロウィーン』(1996年)。また、ニックネームの"the Dark Knight"(ダークナイト)はビル・フィンガーによって描かれた“Batman” #1で初めて使用された[3][4]。
監督はクリストファー・ノーラン、主演はクリスチャン・ベール。「ジョーカー」役のヒース・レジャーは公開前に死去した。親交のある俳優のジョニー・デップ、コリン・ファレル、ジュード・ロウが代役で出演して完成させたテリー・ギリアム監督作『Dr.パルナサスの鏡』を除けば、ヒース・レジャーの遺作となった。
興行的に大成功を収めただけでなく批評家からも絶賛されたにも関わらず、第81回アカデミー賞において作品賞にノミネートされなかった時には大きな波紋を広げた。後に「ダークナイト・トリロジー」の完結編として『ダークナイト ライジング』が制作された。
あらすじ
[編集]素性不明の犯罪者ジョーカーに雇われた、道化師のマスクを被った男たちがゴッサム・シティの銀行を襲う。それぞれの役目を終えた男たちは仲間から殺され、最後に一人だけが残った。マスクを外した男はジョーカー本人で、銀行に預けられていたマフィアの資金を奪って逃走する。
ゴッサム市警のジム・ゴードン警部補は、謎の男バットマンと共に組織犯罪撲滅に尽力していたが、これに新任の地方検事ハービー・デントが協力を申し出る。バットマンの正体である大富豪のブルース・ウェインはハービーとの対話で彼の高潔さに感銘を受け、彼の選挙支援を申し出る[注 2]。ブルースは堂々と悪と戦うハービーこそがゴッサムの求める真のヒーローであると考え、バットマンの引退を考えていた。ブルースは幼なじみでハービーの同僚であるレイチェル・ドーズに想いを寄せているが、レイチェルの気持ちはブルースとハービーの間で揺れていた。
ジョーカーの犯行からマフィアの隠し資金が警察に露見し、各マフィアのボスが集まって対策を練る中、問題の張本人であるジョーカーが現れる。ジョーカーはマフィア弱体化の原因であるバットマンの殺害を提案し、報酬として全資金の半分を要求して去る。ボスの一人ギャンボルはジョーカーに腹を立てて懸賞金を掛けたが、死体の振りをして運び込まれたジョーカーに切り殺されてしまい、ジョーカーは彼の組織を乗っ取る。ブルースは秘密裏に香港に潜入すると、マフィアの金庫番である中国人実業家ラウを拘束してゴードンに引き渡す。司法取引に応じたラウの供述からゴッサム市警は多くのマフィア構成員を逮捕する。
これがバットマンの力によるものだと悟ったマフィアはジョーカーの提案を受け入れる。ジョーカーはバットマンの真似をしていた男を殺し、バットマンが正体を明かすまで市民を殺し続けると宣言。更にローブ市警本部長、サリロ判事、ハービーの殺害を示唆し、仕掛けた罠でサリロが爆殺、ローブが毒殺される。
続いてジョーカーはブルースが開いたパーティーにハービーを狙って乱入するが、バットマンに阻止される。後日、ジョーカーは「ハービー」と「デント」という別の市民を射殺し、更にゴッサム市長ガルシアの殺害を予告する。ローブ本部長の葬儀式典で警官に扮したジョーカー一味は市長を狙撃するが、市長を庇ったゴードンが凶弾に倒れる。
レイチェルも狙われ、追い詰められたブルースはハービーに後を託して正体を明かそうとするが、翌日の記者会見でハービーは自分がバットマンだと発表する。逮捕されて拘置所に護送されるハービーの車列をジョーカーの乗ったトレーラートラックが襲撃するが、タンブラーで駆けつけたバットマンとの戦闘で襲撃は失敗し、生きていたゴードンによりジョーカーは逮捕される。そしてゴードンは本部長への昇進が決まる。
しかしその晩、ハービーが行方不明となる。バットマンはジョーカーを尋問するが、彼からレイチェルとハービーの二人が誘拐されて別々の場所で窮地に陥っていると聞かされる。ハービー救出をゴードンに任せ、バットマンはレイチェルの監禁場所に急行するが、ジョーカーが教えた監禁場所は逆であり、そこに捕らわれていたのはハービーだった。バットマンはハービーを連れて辛くも建物から脱出するが、直後に建物が爆発し、ハービーは顔の左半分に大火傷を負う。一方レイチェル救出に向かったゴードンは間に合わず、彼女は助からなかった。ジョーカーは一緒に逮捕された部下の腹に埋め込んであった爆弾を爆発させ、警察署は壊滅。ジョーカーは留置場のラウを連れて逃亡する。レイチェルを失い絶望したハービーは顔面への皮膚移植を拒否し、かつての渾名「トゥーフェイス」を具現化した様な姿になっていた。
ジョーカーはマフィアから礼金を受け取っていたが、もともと金に興味の無かったジョーカーはその札束の山にラウを載せたままガソリンを掛けて火を着け、自分がボスであると宣言する。同時刻、バットマンの正体に気付いていたウェイン産業の顧問弁護士リースは、これを公表するためテレビに出演していたが、バットマンがいないと退屈になるとしてジョーカーは発表を止めさせ、病院を爆破されたくなければ60分以内にリースを殺すよう市民に促す。
ゴードンはゴッサムのすべての病院の避難を命じ、テレビ局に集まった群衆からリースを保護する。リースはなおも命を狙われるが、ゴードンと駆けつけたブルースの手で助けられる。ハービーのいる病院では避難の混乱に紛れて看護婦姿のジョーカーが病室に侵入し、ハービーに復讐を焚き付ける[注 3]。病院から出たジョーカーはその病院を爆破し、人質を乗せたバスで逃亡する。
病院から脱出したハービーはレイチェルの死に関わった人間への復讐を始める。相手を処刑するか否かは、レイチェルの形見となってしまった「幸運のコイン」を使ったコイントスの結果次第。始めに自分の誘拐に加担した刑事ワーツを射殺。ワーツに指示を出したマフィアのボス、マローニは撃たれなかったものの、再度コイントスを行ったハービーはマローニの乗っていた車のドライバーを撃ち、車は道路脇に突っ込んだ。レイチェルの誘拐を手引きした女刑事ラミレスはハービーに脅されてゴードンの家族を呼び出すが、命は助かった。
ジョーカーはテレビを通じてゴッサムの支配を宣言し、従わない市民へ退去を命じるが、橋とトンネルへの「サプライズ」をほのめかし、残りの道は渋滞で脱出はままならない。ゴードンは1隻のフェリーを確保して囚人の移送を図るが、出港後、市民を満載したもう1隻と共に航行不能になる。ジョーカーは両方の船に爆弾を仕掛けた上で、互いの船の起爆装置を残しており、午前0時までに片方が爆破されればもう一方は助けると宣言する。
ジョーカーの通話を傍受したバットマンは潜伏先のビルを特定し、ゴードンに伝えて急行する。ビルの中では病院から行方不明になっていた医師らが人質となっていた。警察に先駆けて突入したバットマンは銃を持ったピエロの正体が縛られている医師であり、ギャングが医師に化けている事に気付く。しかしSWATの突入が始まり、バットマンは人質を守るためにSWATへの応戦を余儀なくされる。やがてSWATもジョーカーの罠に気づき、遂にバットマンはジョーカーを追い詰める。格闘の末ジョーカーがバットマンを組み伏せている状態で0時を迎えるが、フェリーの市民と囚人たちは互いを殺す事を拒否し、爆発は起こらなかった。ジョーカーは失望しつつも自らフェリーの爆破を試みるが、間一髪でバットマンが起爆装置とジョーカーを弾き飛ばす。ビルから落下したジョーカーはバットマンに釣り上げられて助かるが、ジョーカーはハービーこそがゴッサムを絶望させるための切り札だと告げ、駆けつけた警察に引き渡される。
その頃ハービーに呼び出されたゴードンはレイチェルが死んだ建物にいた。ハービーは忠告を受けていながらも部下の内通を放置していたゴードンを許さず、自分と同じ目に会わせるべくゴードンの息子ジミーに銃を向ける。現れたバットマンに対してもハービーは「共に戦った3人のうち自分だけが愛する者を失った不公平さ」を嘆く。”公平な”裁きとして自分たちの命運をコインに委ね、裏が出たバットマンは腹を撃たれて倒れる。ハービーは表を出し、最後にゴードンのコインを投げた時、起き上がったバットマンがハービーに飛び掛かる。バットマンは窓から転落するジミーを助けたが、ハービーは落下し息絶えてしまう。
ゴードンは市民の希望であったハービーが復讐鬼と化した事が知られればジョーカーの狙い通り市民は絶望すると嘆くが、バットマンはその罪を被る事を決める。かくしてハービーはヒーローとして見送られ、バットマンは殺人犯として警察から追われる身となった。
逃げてゆくバットマンを見たジミーが理由を問うと、ゴードンは、今はそうしなければならないと伝え、「彼はヒーローじゃない。沈黙の守護者、我々を見守る監視者。”暗黒の騎士”(ダークナイト)だ」[5]と告げて物語は終わる。
登場人物
[編集]- ブルース・ウェイン / バットマン
- 演 - クリスチャン・ベール
- ゴッサムシティに現れる謎のヒーロー。正体はゴッサムシティの大富豪。レイチェルに恋心を抱いている。
- ジョーカー
- 演 - ヒース・レジャー
- 指紋やDNAの情報がデータベースにない、顔にピエロのメイクを施した素性不明の犯罪者。手段を選ばない冷酷な性格の用意周到な計画を練る知能犯。銃器の扱いにも長けている。序盤で銀行を襲い、マフィアの金を奪い取る。そして、そのマフィアたちと手を組む。口元に切り裂かれたような傷跡があるが理由は不明。
- ハービー・デント / トゥーフェイス
- 演 - アーロン・エッカート
- 新任の地方検事。悪と戦う姿勢に感銘を受けるものが多く、ゴッサムのヒーローとしての名声が高い。ブルースも感銘を受けていた。物事を裏表のコインによるトスで決めるパフォーマンスが特徴だが、実は両面が表のダミーコインで結果はいつも決まっている、しかしそのコインは火災により片面が焼けただれ、後のトゥーフェイスの一番のアイテムとなる。唐突に銃を突きつけられても返り討ちにする胆力と腕力を持つ。バットマンへの理解を示している。ジョーカーに捕えられ、倉庫に閉じ込められる。その際に転んで火薬代わりのガソリンを顔の左半分に被り、倉庫が爆発した際に引火し焼けただれてしまう。
- レイチェル・ドーズ
- 演 - マギー・ジレンホール
- ブルースの幼馴染。検事。ハービーに思いを寄せる。ジョーカーに攻撃をするなど気が強い。ジョーカーの策略により死亡してしまう。
- アルフレッド・ペニーワース
- 演 - マイケル・ケイン
- ウェイン家の執事。一言多いが、本当に人が困っているときには余計なことを言わない善良な人物。
- ジェームズ・“ジム”・ゴードン
- 演 - ゲイリー・オールドマン
- ゴッサム市警の警部補。自分の身を挺して他人を守る正義感の持ち主。ジョーカーを捕まえた功績で本部長に昇進する。
- ルーシャス・フォックス
- 演 - モーガン・フリーマン
- バットマンのテクノロジーを全面的にサポートする研究開発者。
- バーバラ・ゴードン
- 演 - メリンダ・マックグロウ
- ジムの妻。
- ジェームズ・“ジミー”・ゴードン・Jr
- 演 - ネイサン・ギャンブル
- ジムとバーバラの息子。
- アンソニー・ガルシア
- 演 - ネスター・カーボネル
- ゴッサム市の市長。
- ギリアン・B・ローブ
- 演 - コリン・マクファーレン
- 市警本部長。ジョーカーにより毒を入れられた飲み物を飲んでしまい死亡。
- サリロ
- 演 - ニディア・ロドリゲス・テラチナ
- 判事。ジョーカーに乗用車ごと爆破されて殺害される。
- アンナ・ラミレス
- 演 - モニーク・ガブリエラ・カーネン
- 刑事。入院中の母がいる。バットマンに良い印象を抱いていない。
- ジェラルド・スティーブンズ
- 演 - キース・ザラバッカ
- 刑事。
- マイケル・ワーツ
- 演 - ロン・ディーン
- 刑事。ハービーの誘拐に加担したことで後にハービーに殺害される。
- ギャンボル
- 演 - マイケル・ジェイ・ホワイト
- マフィアのボス。後にジョーカーによって殺害される。
- ドーピー
- 演 - マイケル・ストヤノフ
- 物語冒頭で銀行を襲った強盗団の一人。計画の一環で仲間に裏切られて殺される。
- グランピー
- 演 - ダニー・ゴールドリング
- 物語冒頭で銀行を襲った強盗団の一人。計画の一環で仲間に裏切られて殺される。
- ハッピー
- 演 - ウィリアム・スマイリー
- 物語冒頭で銀行を襲った強盗団の一人。計画の一環で仲間に裏切られて殺される。
- チャクルズ
- 演 - マシュー・オニール
- 物語冒頭で銀行を襲った強盗団の一人。計画の一環で仲間に裏切られて殺される。
- 銀行支店長
- 演 - ウィリアム・フィクナー
- 銀行強盗に立ち向かう果敢な人物。しかし返り討ちにあう。マフィアとのつながりが示唆されている。
- フリール
- 演 - パトリック・クリア
- 裁判長。
- サルバトーレ・マローニ
- 演 - エリック・ロバーツ
- ギャングのボス。後にハービーに殺害される。
- ラウ
- 演 - チン・ハン
- 中国企業のスポンサー。マフィアとのつななりもある。後にジョーカーに焼死させられる。
- ナターシャ
- 演 - ベアトリス・ローゼン
- ボリショイバレエ団のプリマドンナ。ブルースとデートをしたことがある。
- ブライアン
- バットマンの真似をしていた男。
- トーマス・シフ
- 演 - デヴィッド・ダストマルチャン
- アーカム病院の元患者。
- マイク・エンゲル
- 演 - アンソニー・マイケル・ホール
- コメンテーター。
- コールマン・リース
- 演 - ジョシュア・ハート
- ウェイン産業の顧問弁護士。
キャスト
[編集]地上波放送履歴
[編集]回数 | 放送日時 | 放送局 | 番組名 | 放送時間 | 備考・吹替版 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2012年6月24日 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 21:00〜23:24 | テレビ朝日版 |
2 | 2016年11月19日 | フジテレビ | ミッドナイトアートシアター | 2:50〜4:50 | 字幕版 |
3 | 2019年9月28日 | 土曜プレミアム | 21:00〜23:30 | テレビ朝日版 |
ガジェット
[編集]本作より初登場した物を挙げる。
- バットスーツ
- チタンを編み込んだケブラーのトライウィーブとケブラー板で出来た新しいバットスーツ。
- 動きを阻害しないためにプレートを分割したため防刃・防弾効果は以前に比べ低下しているが、軽量化により敏捷性が高まった。頭部のマスクは首が回せるようになり、携帯電話から発信される信号を高周波ジェネレーター経由でリアルタイムで映像に変換して映すレンズが内蔵されている。
- 前腕部防具の籠手に備えられた刃は、三枚刃から六枚刃に増設され、手裏剣のように回転させながら射出できる。
- スティッキーボム・ガン
- 粘着する小型爆弾スティッキーボムを撃ち出す。スティッキーボム・ガンはベルトの背部に分割して装着出来る。
- ニューマチックマングラー
- 腕力補助強化装置。銃の銃身を片手で捻じ曲げた。
- バットポッド
- タンブラーの前輪部分をベースに分離変形するオートバイ型脱出用ユニット。エンジンをタイヤに内蔵しており、車軸ごと回転して真横へスライドするなど通常のオートバイには不可能な機動を行える。
- 前輪部分には80mmブラスト砲、マシンガン、ワイヤー付きロケットアンカーなどを備える。
作品解説
[編集]監督のノーランはマイケル・マン監督作『ヒート』を参考にしたと語っている。また、『ヒート』で重要な役を演じたウィリアム・フィクナーがカメオ出演している。ウィリアム・フィクナーは当初ハービー・デント / トゥーフェイスを演じることになっていた。
特殊効果(フィジカル・エフェクト)を指揮したのはクリス・コーボールド。80年代から007シリーズでも知られる特技監督。
IMAX
[編集]152分の映画のうち、約30分のシーンがIMAXカメラで撮影された。これは劇映画では初の使用となる[7]。そのためIMAXシアターで公開されたバージョンではシーンによって画面アスペクト比が異なり、通常のシネマスコープサイズに加えて正方形に近いIMAXフォーマットの映像が混在する形で上映された。
Blu-ray Discソフトではシネマスコープサイズと16:9の映像が混在して収録されており、IMAX撮影のシーンは16:9に切り替わる[8]。DVD版では通常の劇場公開版と同様となり、全編シネマスコープサイズに統一されている(IMAX撮影シーンは上下がマスクされ、アスペクト比は変化しない)。
興行収入
[編集]アメリカでは2008年7月18日に4366館で公開された。『スパイダーマン3』のオープニング興収を越え、1億5830万ドル(約169億円)で初登場1位を記録[9]。また、『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』の公開16日目で3億ドル突破の記録を公開10日間で破り[10]、『シュレック2』の公開43日で4億ドル突破を18日目で更新した[11]。
その後も興行収入ランキング上位を保ち、6週間で5億ドルを突破[12]。最終的に、全米での興行収入は5億3334万ドルを記録し、公開時は『タイタニック』に次ぐ、全米興行収入歴代2位を記録した[1]。
日本では2008年8月2日、3日に先行上映を行った後、8月9日から本公開された。週末動員数ランキングでは『崖の上のポニョ』に次いで初登場2位[13]。最終的な興行収入は16億円を記録した[2]。
世界興行収入は最終的に10億192万ドルとなり、公開当時は『タイタニック』、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』、『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』に次ぐ歴代4位を記録した。
評価
[編集]本作は批評家からも絶賛されている。映画批評サイトのRotten Tomatoesは、324件のレビューに基づいて94%の高い支持率を示し、評価の平均点は10点満点中8.6点である。また批評家の総意を「ダークで複雑で忘れられないダークナイトは、エンターテインメントのコミック映画というだけでなく、スリリングなクライムサーガ(犯罪物語)として成功した」としている[14]。
Metacriticには39件のレビューがあり、加重平均値は82/100となっている[15]。レビューのなかには、何事もトスで決めるハービーが簡単に悪役となる理由が希薄で、バッドマンを撃ったりゴードンを恨んでジミーを殺そうとする理由も希薄という意見があった。また悪事を尽くしたジョーカーの落下を助けるのに基本的には善人だったハービーをあっさり落下殺人するのは不公平であり、それこそジョーカーの思うツボではないかとの意見があった。またアメリカ映画では悪役は必ず簡単に脱獄できるという安易な設定を踏襲しているとの意見もあった。
著名な批評家のロジャー・イーバートは、4つ星満点中最高の4つ星をつけた[16]。イーバートは「"バットマン"はもはや漫画本ではない。クリストファー・ノーランの"ダークナイト"は、その起源を越えて飛躍し、夢中になれる悲惨な内容の映画です」としている。またジョーカーについて「"ダークナイト"は、善悪の単純な物語ではありません。ジョーカーは悪役以上の人物で、彼は敵対者の道徳的ジレンマを引き起こす魔法のように設計されたメフィストフェレス[注 4]です」としている。また、ヒース・レジャーについて「映画のキーパーソンは、亡きヒース・レジャー演じるジョーカーです。彼はピーター・フィンチ以来の最初の死後のオスカーの勝者になるだろうか? 」と語っている[16][注 5]。
上述の通り、第81回アカデミー賞において2部門を受賞したが、観客・批評家双方からの評価が高かった本作が作品賞にノミネートされなかったことは大きな批判を集めた。そのことが、翌年からの作品部門の候補枠をそれまでの5作品から最大10作品まで拡大することにつながった。
受賞
[編集]- スクリーム賞:作品賞、スーパーヒーロー賞、ファンタジー男優賞、悪役賞、助演賞、監督賞
- クリティクス・チョイス・アワード:助演男優賞、アクション映画賞
- ピープルズ・チョイス・アワード:作品賞、アクション映画賞、キャスト賞、スーパー・ヒーロー賞
- オースティン映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、脚本賞、作曲賞
- セントラル・オハイオ映画批評家協会賞:助演男優賞、アンサンブル演技賞、撮影賞
- シカゴ映画批評家協会賞:助演男優賞、撮影賞
- デトロイト映画批評家協会賞:助演男優賞
- ダラス・フォートワース映画批評家協会賞:助演男優賞、撮影賞
- フロリダ映画批評家協会賞:助演男優賞、撮影賞
- ヒューストン映画批評家協会賞:助演男優賞
- カンザスシティ映画批評家協会賞:助演男優賞
- オンライン映画批評家協会賞:監督賞、助演男優賞、撮影賞
- フェニックス映画批評家協会賞:助演男優賞、プロダクションデザイン賞、スタント賞
- ロサンゼルス映画批評家協会賞:助演男優賞
- サンディエゴ映画批評家協会賞:助演男優賞
- サンフランシスコ映画批評家協会賞:助演男優賞、撮影賞
- サウスイースタン映画批評家協会賞:助演男優賞
- セント・ルイス映画批評家協会賞:助演男優賞
- トロント映画協会賞:助演男優賞
- ユタ映画批評家協会賞:作品賞、助演男優賞
- ワシントンD.C.映画批評家協会賞:助演男優賞
- 第66回ゴールデングローブ賞:助演男優賞
- 全米映画俳優組合賞:助演男優賞、スタント・アンサンブル賞
- 英国アカデミー賞:助演男優賞
- 全米美術監督組合賞:美術賞(ファンタジー映画部門)
- 全米衣装デザイナー組合賞:衣装デザイン賞(ファンタジー映画部門)
- 第32回日本アカデミー賞:外国作品賞
- 第81回アカデミー賞:助演男優賞、音響編集賞
- 映画館大賞「映画館スタッフが選ぶ、2008年に最もスクリーンで輝いた映画」第1位
- 第35回サターン賞:アクション/アドベンチャー/スリラー映画賞、助演男優賞、脚本賞、音楽賞、特殊効果賞
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d “The Dark Knight (2008)”. Box Office Mojo. 2010年3月5日閲覧。
- ^ a b 2008年(平成20年)興収10億円以上番組
- ^ Marc Tyler Nobleman (2012). Bill the Boy Wonder:The Secret Co-Creator of Batman. Charlesbridge Publishing, U.S. ISBN 978-1580892896
- ^ “Noblemania”. 2016年11月12日閲覧。
- ^ レンタルDVD日本語字幕
- ^ “日曜洋画劇場 アフレコの現場から(2012/06/24放送 「ダークナイト」) (2012年11月27日時点でのアーカイブ)”. テレビ朝日. 2024年2月28日閲覧。
- ^ http://proportal.system5.jp/news/archives/202
- ^ “買っとけ! Blu-ray 第254回:『ダークナイト』IMAXカメラによる圧倒的な映像の迫力!バットマンに迫る最大の敵!”. AV Watch (Impress Watch). (2008年12月17日) 2012年10月12日閲覧。
- ^ 『ダークナイト』歴代オープニング記録更新 『スパイダーマン3』破る3日間1億5830万ドル
- ^ 史上最短3億ドル突破『ダークナイト』新記録連発
- ^ 『ダークナイト』史上最速で4億ドル突破
- ^ 『ダークナイト』全米興収5億ドル突破
- ^ 全国週末興行成績:2008年8月9日〜2008年8月10日 (全国動員集計)興行通信社提供
- ^ The Dark Knight (2008) - Rotten Tomatoes(2017年7月25日閲覧)
- ^ The Dark Knight Reviews - Metacritic(2017年7月25日閲覧)
- ^ a b The Dark Knight Movie Review & Film Summary (2008) - ロジャー・イーバート(2017年7月25日閲覧)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- 公式ウェブサイト [リンク切れ]
- Why so serious (ジョーカーが運営しているという設定のサイト)
- Movie Review Query Engine: Dark Knight, The (2008)
- ダークナイト - allcinema
- ダークナイト - KINENOTE
- The Dark Knight - オールムービー
- The Dark Knight - IMDb
- バットマンの映画作品
- 2008年の映画
- 2000年代の特撮作品
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