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立山黒部貫光無軌条電車線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
立山トンネルから転送)
無軌条電車線
立山トンネルトロリーバスの車両
立山トンネルトロリーバスの車両
基本情報
通称 立山トンネルトロリーバス
日本の旗 日本
所在地 富山県
種類 無軌条電車[1]
起点 室堂駅
終点 大観峰駅
駅数 2駅
開業 1971年4月25日 (1971-04-25)[2]
(専用道経由の路線バスとして)
無軌条電車化 1996年4月23日[3]
所有者 立山黒部貫光
運営者 立山黒部貫光
使用車両車両」の節を参照
路線諸元
路線距離 3.7 km[4]
電化方式 直流600 V 架空電車線方式
高低差 134 m (440 ft)
最高速度 40 km/h[5]
テンプレートを表示

無軌条電車線(むきじょうでんしゃせん)は、富山県中新川郡立山町芦峅寺において、立山黒部貫光により運行されている無軌条電車線(トロリーバス)である。室堂駅から大観峰駅までの3.7キロメートルを結んでいる[4]立山黒部アルペンルートを構成する交通機関の一つで、室堂駅で立山高原バスと、大観峰駅で立山ロープウェイと連絡している[6]。通称は立山トンネルトロリーバスで、全区間が立山直下の立山トンネル内を通り、その天井にある架線から電力を供給されて走っている[7]

立山黒部アルペンルートの長野県側と結んでいた関電トンネルトロリーバス2018年の運行を最後に電気バスに転換して以降は日本国内唯一のトロリーバス路線であったが、修理用部品の調達が難しくなり、立山トンネルトロリーバスも2024年12月1日を以って廃止され、翌2025年4月に電気バスへ転換される予定である[7][1]

概要

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駅の標高は、室堂駅が2450メートル、大観峰駅が2316メートル[7]。室堂駅は立山黒部アルペンルートの最高地点[7]であり、日本の鉄道駅としては最も高所にある[6]

1971年の開業当初はディーゼルバスにより運行されていたが[8]、観光客の増加による増便に伴ってトンネル内に排気ガスが滞留するようになり、換気装置を設置しても大した効果が見られなかったため、環境保護のため1996年にトロリーバスへ転換した[3][8][9]

2018年12月に同じく立山黒部アルペンルートを構成する交通機関である関電トンネルトロリーバス(扇沢駅 - 黒部ダム駅)が鉄道事業を廃止し、2019年4月に関電トンネル電気バスとして電気バスへ転換されたことにより[10]、現存する日本で唯一のトロリーバス路線となった[11]

2023年5月31日、立山黒部貫光は2025年を目途に立山トンネルトロリーバスを電気バスへ転換することを表明した[12]。トロリーバス導入から30年近く経過し、保守部品の調達が年々難しくなっているうえ、トロリーバスには鉄道車両に設置が義務付けられるデッドマン装置の搭載が難しい[13]ことも重なり、電気バスへの転換を決断した。11月30日には立山黒部貫光が国土交通省北陸信越運輸局へ立山トンネルの無軌条電車(トロリーバス)事業を2024年12月1日(予定)に廃止する旨を届出[1]。運行形態転換により日本におけるトロリーバスは全廃される見通しとなった[14]

路線データ

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  • 路線距離(営業キロ):3.7 km[9][11][4]
  • 駅数:2駅(起終点駅含む、中間点に信号場あり)[11]
  • 複線区間:全線単線[4]
  • 電化方式:直流600 V
  • 閉塞方式:自動信号式(到着台数をチェックして区間開通を確認)
    • 続行運転が行われ、また鉄道線のように軌道回路を設けることができないので、出発時には一定時間進行信号を現示してその間に出発させ、台数をカウントする。
  • 最高速度:40 km/h[5]
立山トンネル中央にある交換所。鉄道用の信号機がある。

運行形態

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停車場・施設・接続路線
AETRAM
立山ロープウェイ
utSTR+l
utSTR+r
0.0 大観峰駅
utSTRl utSTRq utABZg+r
uetABZg+l uextSTRq
雷殿駅出入口通路
uetHST
0.6 雷殿駅 -2013
utBS2+l utBS2+r
utBS2l utBS2r
utSTR+l utSTRq utABZgr
utSTRl utBHFq utSTRr
3.7 室堂駅
BUS
立山高原バス美女平方面)

大観峰 - 室堂間の所要時間は10分[9][7]。概ね30分間隔で運行(正午時間帯は60分ない)。冬期は運休する。

車両

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ディーゼルバス時代はいすゞ自動車製の大型バス(車体は富士重工業製)を使用していて、途中1984年頃に更新され、トロリーバス化される1996年まで使用されていた。

歴史

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  • 1965年昭和40年)
  • 1971年(昭和46年)
  • 1996年平成8年)
    • 4月23日:トロリーバス化[2][9]。ディーゼルバスからの転換とはいえ観光用トロリーバスとしては日本で2路線目で[9]、トロリーバスの新規路線開設は32年ぶり。
    • 8月20日運輸省が鉄道室堂・大観峰間につき鉄道財団拡張を登録[18]
  • 1998年(平成10年)8月10日:雷殿駅に繋がる登山道が崩壊したため[11]、雷殿駅を休止。
  • 2013年(平成25年):雷殿駅を廃止[11][19]
  • 2022年(令和4年)12月16日:運賃改定実施を発表[20](2022年のシーズンは終了しているため、2023年のシーズンから適用)。立山トンネルトロリーバスは片道運賃は2200円に据置き、往復運賃は往復割引率を25 %引きから10 %引きに改定し3960円とする。
  • 2023年(令和5年)5月31日:2025年以降に、トロリーバスを電気バスに置き換えることを発表[12]
  • 2024年(令和6年)12月1日:この日を以ってトロリーバス路線としては廃止予定[1]
  • 2025年(令和7年)4月:後継の電気バスを運行開始予定[1]

駅一覧

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駅名 営業キロ 接続路線
室堂駅 0.0 立山黒部貫光立山高原バス
大観峰駅 3.7 立山黒部貫光:立山ロープウェイ

脚注

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  1. ^ a b c d e 立山トンネルにおける無軌条電車(トロリーバス)事業廃止の届出及び電気バスへの変更計画について 立山黒部貫光(2023年12月11日)2023年12月12日閲覧
  2. ^ a b c 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』 30号 モノレール・新交通システム・鋼索鉄道、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2011年10月16日、18頁。 
  3. ^ a b 梅原 2019, p. 62.
  4. ^ a b c d 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』平成28年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会、p.213
  5. ^ a b 寺田裕一『改訂新版 データブック日本の私鉄』(ネコ・パブリッシング[要ページ番号]
  6. ^ a b 駅・ターミナル案内:室堂(むろどう) 立山黒部アルペンルート公式サイト
  7. ^ a b c d e トロリーバス 来年12月廃止へ/立山黒部アルペンルート」『朝日新聞』朝刊2023年12月12日(社会・総合面)同日閲覧
  8. ^ a b アルペンルート関電トンネルのトロリーバス廃止…2019年から電気バスに”. レスポンス. イード (2017年8月28日). 2021年4月29日閲覧。
  9. ^ a b c d e 川島 2010, p. 91.
  10. ^ 関電トンネルにおけるトロリーバスの電気バスへの変更について』(プレスリリース)関西電力、2017年8月28日https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2017/0828_2j.html2021年4月29日閲覧 
  11. ^ a b c d e 梅原 2019, p. 63.
  12. ^ a b 立山黒部貫光、トロリーバス廃止検討 25年度以降、電気バスに”. 北日本新聞webunプラス (2023年6月1日). 2023年8月30日閲覧。
  13. ^ トロバス消滅の危機 立山黒部貫光、EV化方針」『北国新聞』2023年6月13日
  14. ^ 国内唯一のトロリーバス消滅へ 立山黒部貫光、EV転換日本経済新聞ニュースサイト(2023年5月31日)2023年12月12日閲覧
  15. ^ 1965年(昭和40年)7月16日運輸省告示第242号「専用自動車道の工事施工を認可した件」
  16. ^ a b c 地鉄 1979, p. 181.
  17. ^ a b 『立山黒部貫光30年史』(1995年10月30日、立山黒部貫光発行)140頁
  18. ^ 官報』第1966号12ページ「鉄道財団拡張の公告」 - 運輸省、1996年(平成8年)8月28日
  19. ^ 立山黒部アルペンルート 2014安全報告書 (PDF) 』p.5
  20. ^ アルペンルート運賃値上げ 立山黒部貫光 エネルギー価格高騰”. 富山新聞 (2022年12月10日). 2023年8月30日閲覧。

参考文献

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  • 『写真でつづる富山地方鉄道50年の歩み』富山地方鉄道、1979年7月17日。 
  • 川島令三『【図説】日本の鉄道中部ライン全線・全駅・全配線 第7巻 富山・糸魚川・黒部エリア』講談社、2010年10月20日。ISBN 978-4-06-270067-2 
  • 梅原淳『ワクワク!!ローカル鉄道路線 北陸・信越・中部編』ゆまに書房、2019年1月15日。ISBN 978-4-8433-5332-5 

関連項目

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外部リンク

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