コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

西院駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
西院駅
さいいん / さい
Saiin / Sai
地図西は阪急電鉄の西院(さいいん)駅
東は京福電気鉄道の西院(さい)駅
所在地 京都府京都市右京区(阪急電鉄)
同市中京区 (京福電気鉄道)
所属事業者 阪急電鉄駅詳細
京福電気鉄道駅詳細
テンプレートを表示

西院駅(さいいんえき、さいえき)は、京都府京都市右京区中京区にある阪急電鉄および京福電気鉄道停留場

駅名の漢字による表記は同じだが、阪急が「さいいん」、京福が「さい」と読む。

概要

[編集]

阪急京都本線京福電気鉄道嵐山本線の2路線が乗り入れている。阪急の駅は地下にあり、その地上付近に京福の停留場がある[1]

利用可能な鉄道路線

[編集]

駅名

[編集]

かつて所在地一帯は淳和院が置かれていた地域だが、淳和院の別称である西院が地名となり、駅名に採用されている。現在の地名の読みは「さいいん」である。

小沢嘉三『西院の歴史』(西院の歴史編集委員会、1983年)によると、元来は「さいいん」と読み、平安時代から鎌倉時代(12 - 13世紀頃)の文書では「さいゐん」であり、弘安10年(1287年)の文書に初めて「さゐ」の呼称が出現しており、なまって「さい」と呼ぶようになったのではないかと考察されている[2]江戸時代のこの一帯の名は「西院(さい)村」。戦国時代に記された上杉本洛中洛外図屏風にも、この付近にあった西院城(西院小泉城)が「さい(こいずみ)のしろ」と明記されている。また近代に入っても、地元の発音は依然として「さい」が使われていた[2]

近代に入り、地元民の呼称とは別に、当時の自治体名(西院村)の読み方は「さいいん」で[3]、軍隊では点呼の際に「さいいん」と呼ぶことが厳命されるなど、公称としては「さいいん」が優位になり、1934年に京都府の告示により正式に「さいいん」が公称化された[2][注 1]。また、公的文書による裏付けはないものの、京福の駅名は当初「さいん」であったものが1933年(昭和8年)頃に「さい」に変更した、という地元在住者による証言を収録した書籍もある[5]

歴史

[編集]

京福電気鉄道

[編集]

阪急電鉄

[編集]
  • 1928年昭和3年)11月1日:新京阪鉄道が高槻町駅(現:高槻市駅)から延伸し、その終着として京都西院駅として開業[1]
  • 1930年(昭和5年)9月15日:会社合併により京阪電気鉄道新京阪線の駅となる[1]
  • 1931年(昭和6年)3月31日:地下化され、同時に西院駅に改称。同時に新京阪線が京阪京都駅(現:大宮駅)まで延伸し、中間駅となる[1]
  • 1943年(昭和18年)10月1日:会社合併により京阪神急行電鉄(現:阪急電鉄)の駅となる[1]
  • 1949年(昭和24年)12月1日:京阪神急行電鉄から京阪電気鉄道が分離。新京阪線は京阪神急行電鉄(現:阪急電鉄)の路線となり京都本線に改称[1]、当駅もその所属となる。
  • 1972年(昭和47年)10月1日:特急、急行の8両化に伴い、列車が8両の場合最後尾車両のドアカットを開始。
  • 1973年(昭和48年)4月1日:社名変更により阪急電鉄の駅となる[1]
  • 1986年(昭和61年)7月1日:10両編成対応のホーム延伸が完成し、ドアカット運用を取りやめる。
  • 2013年平成25年)12月21日駅番号を導入する[1]
  • 2017年(平成29年)3月25日:北・南改札の供用を開始[7]
  • 2019年令和元年)6月1日:西改札を地下1階に移設。

駅構造

[編集]

阪急電鉄

[編集]
阪急 西院駅
駅舎(2023年8月)
さいいん
Saiin
HK-82 西京極 (1.8 km)
(1.4 km) 大宮 HK-84
京都府京都市右京区西院高山寺町38番地1[8]
北緯35度0分12.61秒 東経135度43分54.82秒 / 北緯35.0035028度 東経135.7318944度 / 35.0035028; 135.7318944 (阪急西院駅)座標: 北緯35度0分12.61秒 東経135度43分54.82秒 / 北緯35.0035028度 東経135.7318944度 / 35.0035028; 135.7318944 (阪急西院駅)
駅番号 HK83
所属事業者 阪急電鉄
所属路線 京都本線
キロ程 41.9 km(十三起点)
大阪梅田から44.3 km
駅構造 地下駅
ホーム 2面2線
乗降人員
-統計年度-
42,566人/日
-2022年-
乗降人員
-統計年次-
(通年平均)33,247人/日
-2022年-
開業年月日 1928年昭和3年)11月1日
* 1931年に京都西院駅から改称
テンプレートを表示
配線図[9]

相対式2面2線のホームを有する地下駅分岐器絶対信号機を持たないため、停留所に分類される。

地上の西大路四条交差点の南西角には駅舎と西改札口が設けられている。トイレも西改札口側にある。そのほか、東側には、2017年に下記の経緯により建設された改札口として、京都河原町方面ホームと接続する北改札口と、大阪梅田方面ホームと接続する南改札口がある。

現在の駅舎を建設する際、大阪梅田方面ホーム東端付近(地下)から京福西院駅前(地上)までの地下通路と改札口が新たに計画され整備されていたが、地元商店街の反対により使用中止となった経緯がある。そのため、地下通路へ通じる出入口は閉鎖されていた。2019年現在では四条通の東側に避難用の階段が設置(改修工事中の一時期は平日7:20 - 9:00の間、出口専用階段とされていた)されている。しかし、2013年に直結する計画が再浮上し、駅ビル建て替えと同時に西側にしか無かった改札口を東側に2ヶ所新設した[10][11](詳細は下記)。

京都本線は当駅のすぐ西で地下に潜り、当駅以東は四条通の直下を走る。地下線は関西では初の歴史のあるもので、土木学会選奨土木遺産に指定されており、坑口上の額には、当時の京阪電気鉄道社長太田光熈が揮毫した「天人併其功」の扁額が掲げられている[8]。地下路線建設時につくられた鷲のレリーフが、運行の安全を見守っているとされている。

トンネル坑口付近の勾配は10と緩いが、十三寄りに曲線があるため、通過列車は75km/h以下(京都河原町行きは60km/h以下)まで減速する。

開業当初は新京阪鉄道の暫定的なターミナル駅としての位置付けで、櫛形ホーム地上駅だった。暫定的なターミナル駅として開業した背景には、1928年に京都で執り行われる昭和天皇の即位の礼に間に合わせるために開業を急いだという事情がある[8]京阪電気鉄道と合併後の1931年に京阪京都駅(現在の大宮駅)まで延伸された際に地下化された。

1986年6月まではホームの有効長が7両分しかなかったため、8両編成の列車は上り・下り共に進行方向最後尾1両のみドアカットをおこなっていた。

のりば

[編集]
号線 路線 方向 行先
1 京都本線 上り 京都河原町方面
2 下り 高槻市大阪梅田天下茶屋北千里方面

京福電気鉄道

[編集]
京福電気鉄道 西院駅
嵐山方面ホーム(2017年11月)
さい
Sai
A1 四条大宮 (1.4 km)
(0.6 km) 西大路三条 A3
京都府京都市中京区壬生仙念町16番地
駅番号 A2
所属事業者 京福電気鉄道
所属路線 嵐山本線
キロ程 1.4 km(四条大宮起点)
駅構造 地上駅停留場
ホーム 2面2線
乗降人員
-統計年度-
5,999人/日
-2022年-
開業年月日 1910年明治43年)3月25日
テンプレートを表示

相対式2面2線のホームを有する地上停留場。嵐山・帷子ノ辻方面のりばは阪急の北改札口に、四条大宮行きのりばは阪急の南改札口に直結している。従来の乗り継ぎは、元々あった西改札口から四条通を北に約260メートル歩くなどして約5分ほどかかっていた[10]。トイレは設置されていない。

当停留場より北に50メートル程進んだところには車庫があり、早朝・深夜を中心に当停留場を始発・終着とする列車が設定されている。

停留場近くの四条通と交差する踏切第3種に分類されるもので、遮断機がなかった(京阪神地区で唯一現存しているタイプ)が4月1日より遮断機が追加設置された。警報機も電鐘式であり現存する。

のりば

[編集]
のりば 路線 方向 行先
(北側) 嵐山本線 下り 帷子ノ辻嵐山方面
(南側) 上り 四条大宮方面

駅改良工事

[編集]

地上で京福が通る部分の地下に阪急の北・南改札口を新設し、京福の四条大宮方面ホームを直結させ、さらに新設の改札付近に京福の嵐山方面ホームを移設し直結させる計画と、既存の阪急改札口を改修して新たに駅ビルを設置する計画が発表された[11]

工事は国土交通省の鉄道駅総合改善事業における「形成計画事業[12]」として行われ、事業主体は京都市・阪急・京福らの法定協議会『西院駅周辺地域整備協議会』となり[13]、2015年度に着工され2017年3月25日に使用開始した[10]。これと同時に阪急側も車内放送にて「嵐電・京福線はお乗り換え下さい。」と案内するようになった。(東隣の大宮駅も嵐電との接続駅だが、乗り換えの放送はない。)

利用状況

[編集]
  • 阪急電鉄 - 2022年の通年平均の乗降人員33,247人である[14]
    阪急電鉄全駅では、第21位。
  • 京福電気鉄道 - 2022年の1日平均乗降人員は5,999人(年間2,190千人、京都市統計書より推定)である。

近年の1日平均乗降人員・乗車人員は下記の通り[15][16]

年度 阪急電鉄 京福電気鉄道
乗降人員 乗車人員 乗降人員 乗車人員
1995年 25,158 1,090
1996年 39,156 1,145
1997年 50,090 25,227 1,136
1998年 48,619 22,539 1,063
1999年 49,474 24,128 994
2000年 48,079 23,126 923
2001年 45,395 22,068 893
2002年 43,808 21,558 865
2003年 43,625 21,367 873
2004年 42,801 20,901 947
2005年 43,115 21,246 1,208
2006年 42,419 21,071 1,210
2007年 43,315 21,739 -
2008年 45,620 22,997 1,676
2009年 43,008 20,695 1,613
2010年 42,126 20,873 1,531
2011年 42,175 20,808 3,283 1,642
2012年 42,448 21,005 3,409 1,704
2013年 43,938 21,789 3,439 1,719
2014年 41,940 20,751 3,569 1,785
2015年 43,953 21,839 4,573 2,286
2016年 45,971 22,767 4,116 2,058
2017年 47,803 23,811 5,507 2,753
2018年 48,592 23,956 5,655 2,827
2019年 49,350 24,464 5,705 2,852
2020年 36,644 18,085 3,855 1,927
2021年 35,081 17,469 4,234 2,117
2022年 42,566 21,015 5,999 2,999

駅周辺

[編集]

バス路線

[編集]

阪急西院駅の西改札口前に西大路四条(阪急・嵐電西院駅)停留所が設けられており、京都市営バス京都バス京阪京都交通が乗り入れている。

京都市営バス(のりば案内図
  • Cのりば
    • 13号系統 : 西大路通・久世橋 久世工業団地 行き
    • 特13号系統 : 西大路通・久世橋 久我石原町 行き
    • 臨13号系統 : 西大路通・吉祥院長田町 上鳥羽馬廻 行き
  • Fのりば
    • 11号系統 : 嵯峨・嵐山・山越中町 行き
    • 26号系統 : 西大路通 御室・山越中町 行き
    • 27号系統・特27系統 : 馬塚町 太秦天神川駅・京都外大前 行き
    • 75号系統 : 映画村・山越中町 行き
    • 91号系統 : 丸太町通・映画村 大覚寺 行き
京都バス(時刻表
  • 72系統 : 帷子辻・阪急嵐山駅 清滝 行き
  • 73系統 : 帷子辻・阪急嵐山駅 苔寺すず虫寺 行き
  • 75系統 : 帷子辻 有栖川 行き
  • 76系統 : 帷子辻 阪急嵐山駅 行き
  • 77系統 : 帷子辻 嵯峨小学校前 行き
  • 72・73・75・76・77系統 : 四条烏丸 京都駅 行き

隣の駅

[編集]
阪急電鉄
京都本線
快速特急・特急
通過
通勤特急・準特急(いずれも当駅から大宮方の各駅に停車)
桂駅 (HK-81) - 西院駅 (HK-83) - 大宮駅 (HK-84)
急行 (下りは平日のみ)・準急・普通
西京極駅 (HK-82) - 西院駅 (HK-83) - 大宮駅 (HK-84)
京福電気鉄道(嵐電)
嵐山本線
四条大宮駅 (A1) - 西院駅 (A2) - 西大路三条駅 (A3)
  • 1971年(昭和46年)7月11日までは、四条大宮駅と当駅の間に壬生駅が設置されていた。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 鉄道アナリストの川島令三は、「『西院の河原』と呼ばれた葬儀の場所だったが、縁起が悪いので新住民が『さいいん』と呼んでいた」と記述している[4]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h 生田誠『阪急京都線・千里線 街と駅の1世紀』彩流社〈懐かしい沿線写真で訪ねる〉、2013年、4-6,44-45頁。ISBN 978-4-7791-1726-8 
  2. ^ a b c 小沢嘉三『西院の歴史』西院の歴史編集委員会、1983年、pp.5 - 6
  3. ^ 市町村自治研究会(監修)・日本加除出版編集部(編)『全訂 全国市町村名変更総覧』日本加除出版、2006年、p.817
  4. ^ 全国鉄道事情大研究 京都・滋賀篇草思社、1992年[要ページ番号]
  5. ^ 『西院昭和風土記』西院昭和風土記刊行委員会、1990年、p.51
  6. ^ a b c 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』 4号 京福電気鉄道・叡山電鉄・嵯峨野観光鉄道・京都市交通局、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2011年4月3日、8-9頁。 
  7. ^ a b 嵐電西院駅 嵐山方面行きホームを移設するとともに 阪急西院駅 北・南改札口を新設し、3月25日(土)より供用を開始します 〜エレベーターの新設等により、段差なく円滑な移動が可能となります〜』(PDF)(プレスリリース)京福電気鉄道/阪急電鉄、2017年2月24日。オリジナルの2020年8月3日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20200803130349/https://www.hankyu.co.jp/company/news/pdf/4848.pdf2020年8月3日閲覧 
  8. ^ a b c 『阪急ステーション 写真で見る阪急全駅の今・昔』阪急電鉄株式会社コミュニケーション事業部〈阪急ワールド全集 4〉、2001年、110頁。ISBN 4-89485-051-6 
  9. ^ オフィスJ.B、旭和則『都市鉄道完全ガイド 関西私鉄・地下鉄 2022-2023年版』双葉社、2022年8月31日、7頁。
  10. ^ a b c “嵐電と阪急西院駅直結、乗り継ぎ便利に 京都”. 京都新聞. (2017年3月25日). オリジナルの2017年3月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170326051329/http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20170325000067 2017年3月25日閲覧。 
  11. ^ a b “阪急・嵐電の西院駅直結へ 改札口新設計画、駅ビルも刷新”. 京都新聞. (2013年8月29日). オリジナルの2014年2月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140222155735/http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20130829000020 2024年2月27日閲覧。 
  12. ^ 鉄道・運輸機構 第三者委員会 平成26年度第2回委員会資料 1.鉄道助成業務に関する動向(報告事項) (PDF) - 平成26年11月19日より『連携計画事業』から呼称が変更された。
  13. ^ 平成26年度予算に係る鉄道関係公共事業の事業評価結果および概要について (PDF) 16-18P - 国土交通省鉄道局
  14. ^ 駅別乗降人員 - 阪急電鉄
  15. ^ 京都市統計書 第8章 都市施設 07 私鉄市内駅乗降客数(JRを除く)
  16. ^ 京都府統計書 第10章 運輸・情報通信・観光 10-1.鉄道乗車人員から各年の乗車人員を年度日数で除して算出。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]