魔界
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魔界(まかい、まがい)とは、悪魔の世界のこと。仏教においては「仏界の反対概念」であり、「欲界の上四天」のことを指す場合もある[1]。同義語の魔境(まきょう)は、「神秘的で恐しい場所」[2]、あるいは遊里などの「人を誘惑する所」[2]といった意味で使用されることもある。
→禅での用法については「魔境」を参照
一休宗純は「仏界易入 魔界難入(仏界入り易く、魔界入り難し)」という書を遺しており、川端康成がこの言葉を好んでいた。川端は1950年(昭和25年)に発表した小説『舞姫』の作中において初めて一休の書に触れ、「魔界」というものを作品主題にした[3][4][5]。
→詳細は川端康成と「魔界」を参照
比喩としては、怨霊や妖怪、呪術などにまつわる伝説が残されている土地を魔界と表現する場合がある。特に京都や東京については、そうした側面を紹介する書籍のタイトルに「魔界」を用いたものが複数発表されている[6]。
ファンタジー・伝奇を中心とするフィクションにおいては、多くの場合、悪魔や妖怪、怪物、魔族などが住む異世界として描かれる。定義や設定は作品によって異なるが、「人間界(人界)」「天界」「霊界」といった別の世界との対立構造を描いた作品がいくつも存在する。
脚注
[編集]- ^ 中村元『広説佛教語大辞典 下巻』東京書籍、2001年、1561頁、ISBN 4-487-73178-X。
- ^ a b 新村出編『広辞苑』岩波書店。
- ^ 黒崎峰孝『川端康成における「魔界」思想「仏界易入 魔界難入」を手掛かりとして』明治大学日本文学、1979年9月。
- ^ 今村潤子『川端康成研究』審美社、1988年。
- ^ 原善『川端康成の魔界』有精堂、1984年。
- ^ 京都の例としては志村有弘編著『京都魔界紀行』(勉誠出版、2000年、ISBN 978-4585090663)、小松和彦著『京都魔界案内 出かけよう、「発見の旅」へ』(光文社、2002年、ISBN 978-4334781439)、など。東京の例としては三善里沙子著『東京魔界案内 見つけよう、「隠された魅力」を』(光文社、2003年、ISBN 978-4334781972)などがある。