2014年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ
2014年のレッドブル・エアレース世界選手権 | |||
前年: | 2010 | 翌年: | 2015 |
2014年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズでは、2010年を最後に中断され、2014年に再開された通算9回目のレッドブル・エアレース・ワールドシリーズについて述べる[1]。
参戦して7年目のナイジェル・ラムがシリーズを通じて堅実なフライトを貫き、初めて総合優勝を果たした。ラムは初戦と第2戦ではそれぞれ5位と8位で計5ポイントしか獲得できなかったが、マレーシア・プトラジャヤで行われた第3戦で初優勝、残りの5大会では全て2位という成績を収め、総合ポイントで前チャンピオンのハンネス・アルヒより9ポイント、ポール・ボノムより11ポイント上回った。アルヒは第2戦クロアチア・ロヴィニと第4戦ポーランド・グディニャで、ボノムは初戦UAE・アブダビと第5戦イギリス・アスコットでそれぞれ2度ずつ優勝した。ニコラス・イワノフは第6戦アメリカ・フォートワースとオーストリア・シュピールベルクのレッドブル・リンクで行われた第8戦(最終戦)で優勝したほか、ピート・マクロードが第7戦アメリカ・ラスベガスで優勝した。
本シリーズより、若手パイロットのスキル養成も兼ねて、チャレンジャー・カップが導入された。チャレンジャークラスでは、選手は少なくとも3大会に出場し、第7戦ラスベガス大会までの通算成績の上位6名が、オーストリアのレッドブル・リンクで行われる最終戦に参加できた。チェコのペトル・コプシュタインが2位のハリム・オスマン(マレーシア)に1.1秒の差を付けて優勝し、初代チャンピオンとなった。
パイロットと使用機
[編集]マスタークラス
[編集]No. | パイロット | 使用機 | ラウンド |
---|---|---|---|
22 | ハンネス・アルヒ[2] | ジブコ エッジ540 | 全戦 |
91 | ピーター・ベゼネイ[2] | Corvus Racer 540 | 全戦 |
55 | ポール・ボノム[2] | ジブコ エッジ540 | 全戦 |
10 | カービー・チャンブリス[2] | ジブコ エッジ540 | 全戦 |
21 | マティアス・ドルダラー[2] | ジブコ エッジ540 | 全戦 |
95 | マット・ホール[2] | MX Aircraft MXS | 全戦 |
27 | ニコラス・イワノフ[2] | ジブコ エッジ540 | 全戦 |
9 | ナイジェル・ラム[2] | MX Aircraft MXS | 全戦 |
84 | ピート・マクロード[2] | ジブコ エッジ540 | 全戦 |
99 | マイケル・グーリアン[2] | ジブコ エッジ540 | 全戦 |
8 | マルティン・ソンカ[2] | ジブコ エッジ540 | 全戦 |
31 | 室屋義秀[2] | ジブコ エッジ540 | 全戦 |
チャレンジャークラス
[編集]チャレンジャークラスのパイロットは全員、Extra E-330LXを使用する[3]。ボルトン、ツェピエラ、オスマンの3名が、スロベニアのムルスカ・ソボタで行われたレースの予選キャンプで厳しいトレーニングとテストに合格し、2014年4月5日より初参戦することが決定した[4]。
No. | パイロット | ラウンド |
---|---|---|
7 | トム・ベネット[3] | 1–2, 4–5, 8 |
5 | クリスチャン・ボルトン[4] | 4–6 |
11 | ミカエル・ブラジョー[3] | 1–2, 6–8 |
6 | ルーク・チェピエラ[4] | 2, 4–5, 7 |
18 | ペトル・コプシュタイン[3] | 1, 3–4, 7–8 |
35 | フランソワ・ルボット[3] | 1–3, 7–8 |
88 | ハリム・オスマン[4] | 3, 5, 7–8 |
25 | ピーター・ポドランセック[3] | 2–3, 5–6 |
17 | ダニエル・リファ[3] | 1, 3–4, 6, 8 |
23 | クラディウス・スピーゲル[3] | 2, 4–5 |
26 | フアン・ベラルデ[3] | 1, 3, 6–7 |
レース日程と結果
[編集]2014年は全8戦が行われた[5]。7月15日に、中国・北京で開催予定だったレースが、オーストリア・シュピールベルクのレッドブル・リンクで代替開催されることが発表された[6]。
ラウンド | 国 | 地域 | 開催日 | 予選第1位 | 優勝者 (MC) | 優勝者の使用機 | 優勝者 (CC) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | アラブ首長国連邦 | アブダビ | 2月28日・3月1日 | ピート・マクロード[7] | ポール・ボノム[8] | ジブコ エッジ540 | フランソワ・ルボット[9] |
2 | クロアチア | ロヴィニ | 4月12日・13日 | ハンネス・アルヒ[10] | ハンネス・アルヒ[11] | ジブコ エッジ540 | フランソワ・ルボット[12] |
3 | マレーシア | プトラジャヤ(プトラジャヤ湖) | 5月17日・18日 | ハンネス・アルヒ[13] | ナイジェル・ラム[14] | MX Aircraft MXS | フランソワ・ルボット[15] |
4 | ポーランド | グディニャ | 7月26日・27日 | ポール・ボノム[16] | ハンネス・アルヒ[17] | ジブコ エッジ540 | クラディウス・スピーゲル[18] |
5 | イギリス | アスコット(アスコット競馬場) | 8月16日・17日 | ピート・マクロード[19] | ポール・ボノム[20] | ジブコ エッジ540 | ハリム・オスマン[21] |
6 | アメリカ合衆国 | フォートワース(テキサス・モーター・スピードウェイ) | 9月6日・7日 | ピート・マクロード | ニコラス・イワノフ[22] | ジブコ エッジ540 | ミカエル・ブラジョー[23] |
7 | アメリカ合衆国 | ラスベガス(ラスベガス・モーター・スピードウェイ) | 10月11日・12日 | ピート・マクロード[24] | ピート・マクロード[注 1][25] | ジブコ エッジ540 | ハリム・オスマン[26] |
8 | オーストリア | シュピールベルク(レッドブル・リンク) | 10月25日・26日 | ハンネス・アルヒ[27] | ニコラス・イワノフ[28] | ジブコ エッジ540 | ペトル・コプシュタイン[29] |
得点及び順位
[編集]マスタークラス
[編集]- マスタークラスのスコア・システム
順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9–12位 ポイント 12 9 7 5 4 3 2 1 0
|
太字は、予選第1位であったことを示す。 |
チャレンジャークラス
[編集]チャレンジャークラスのパイロットは、シーズンを通じて少なくとも3大会に出場し、出場した試合の内、最も良かった3大会のスコアをチャレンジャー・カップのランキングに計上でき、ランキング上位6名のパイロットがレッドブル・リンクで行われる最終レースへの参加権を得る。
ランキング
[編集]- チャレンジャークラスのスコア・システム
順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 ポイント 10 8 6 4 2 0
順位 | パイロット | 第1戦 |
第2戦 |
第3戦 |
第4戦 |
第5戦 |
第6戦 |
第7戦 |
ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | フランソワ・ルボット | 1 | 1 | 1 | 6 | 30 | |||
2 | ダニエル・リファ | 2 | 3 | 2 | 3 | 22 | |||
3 | トム・ベネット | 5 | 2 | 3 | 2 | 22 | |||
4 | ハリム・オスマン | 6 | 1 | 1 | 20 | ||||
5 | ミカエル・ブラジョー | 6 | 4 | 1 | 3 | 20 | |||
6 | ペトル・コプシュタイン | 4 | 2 | 4 | 2 | 20 | |||
7 | クラディウス・スピーゲル | 6 | 1 | 3 | 16 | ||||
8 | フアン・ベラルデ | 3 | 4 | DSQ | 4 | 14 | |||
9 | ピーター・ポドランセック | 3 | 5 | 5 | 4 | 12 | |||
10 | クリスチャン・ボルトン | 6 | 6 | 2 | 8 | ||||
11 | ルーク・チェピエラ | 5 | 5 | 4 | 5 | 8 | |||
順位 | パイロット | 第1戦 |
第2戦 |
第3戦 |
第4戦 |
第5戦 |
第6戦 |
第7戦 |
ポイント |
最終戦
[編集]オーストリアで開催されたシーズン最終戦では、ポイント・ランキング上位6名がチャレンジャー・カップの最終的なランキングを決定するためにレースに臨んだ。
順位 | パイロット | タイム |
---|---|---|
1 | ペトル・コプシュタイン | 1:05.799 |
2 | ハリム・オスマン | 1:06.900 |
3 | ミカエル・ブラジョー | 1:08.112 |
4 | フランソワ・ルボット | 1:08.132 |
5 | ダニエル・リファ | 1:15.180 |
6 | トム・ベネット | DNS |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 荒天のため12日の決勝レースは中止となり、予選の順位がそのまま結果となった。
出典
[編集]- ^ “Top pilots buckle up for 2014”. RedBullAirRace.com. (2013年10月7日) 2014年2月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l “pilots”. RedBullAirRace.com 2014年2月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “New Challenger Cup ready to take off in 2014”. RedBullAirRace.com. (2014年1月23日) 2014年2月22日閲覧。
- ^ a b c d “Three New Pilots Earn Race Wings”. RedBullAirRace.com. (2014年4月5日) 2014年4月7日閲覧。
- ^ “RACES”. RedBullAirRace.com 2014年2月20日閲覧。
- ^ “Austria to Host Red Bull Air Race Season Final”. RedBullAirRace.com. (2014年7月15日) 2014年7月17日閲覧。
- ^ “Official Results: Qualifying”. Red Bull Air Race (2014年2月28日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Final 4 Results – Abu Dhabi”. Red Bull Air Race (2014年3月1日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Challenger Cup Abu Dhabi”. Red Bull Air Race (2014年2月28日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Rovinj: Qualifying Result”. Red Bull Air Race (2014年4月12日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Rovinj: Electrifying win for Arch”. Red Bull Air Race (2014年4月14日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Rovinj: Challenger Cup Results”. Red Bull Air Race (2014年4月12日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Overall Qualifying Results”. Red Bull Air Race (2014年5月17日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Putrajaya: Final Results”. Red Bull Air Race (2014年5月18日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Triple for Le Vot in Putrajaya”. Red Bull Air Race (2014年5月17日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Masters Qualifying results”. Red Bull Air Race (2014年7月26日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Final 4 results – Arch claims victory”. Red Bull Air Race (2014年7月27日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Tough conditions deliver top result for Spiegel”. Red Bull Air Race (2014年7月26日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “McLeod back on top at the close of Qualifying”. Red Bull Air Race (2014年8月16日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Brits reign supreme at Ascot - Final 4 results”. Red Bull Air Race (2014年8月17日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Othman charges to the front of the pack”. Red Bull Air Race (2014年8月16日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Fort Worth Final 4 Results”. Red Bull Air Race (2014年9月7日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Mika Brageot takes first Challenger Cup win in his last 2014 race”. Red Bull Air Race (2014年9月7日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “McLeod back to maxpower with Qualifying top spot”. Red Bull Air Race (2014年10月12日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “McLeod hits jackpot in Las Vegas”. Red Bull Air Race (2014年10月12日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Othman aces Las Vegas racetrack”. Red Bull Air Race (2014年10月11日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Pilots react to Qualifying”. Red Bull Air Race (2014年10月25日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Ivanoff secures second win of 2014 with stunning comeback”. Red Bull Air Race (2014年10月26日). 2016年10月4日閲覧。
- ^ “Kopfstein takes first ever Challenger Cup win in Spielberg”. Red Bull Air Race (2014年10月25日). 2016年10月4日閲覧。