2010年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ
2010年のレッドブル・エアレース世界選手権 | |||
前年: | 2009 | 翌年: | 2014 |
2010年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズでは、2010年に開催された通算8回目のレッドブル・エアレース・ワールドシリーズについて述べる。
ポール・ボノムが2度の優勝を含む、6戦全てで3位以内という好成績を修め、前年に続き総合優勝、2連覇を果たした。ハンネス・アルヒは他の4戦で優勝したが、アブダビで行われたシーズン初戦での11位という結果が響き、ボノムより4ポイント下回った。ナイジェル・ラムは3度ずつ2位と4位にランクインした。
シーズン最終戦で、大会を主催するオーストリアの現地法人、レッドブル・エアレースGmbHは、シリーズの改革と強化、商業面での発展のために、2011年の大会を中止することを発表した[1]。
パイロットと使用機
[編集]No. | パイロット | 使用機 | ラウンド |
---|---|---|---|
4 | カービー・チャンブリス | エッジ 540 | 全戦 |
5 | ピーター・ベゼネイ | MXS-R | 全戦 |
7 | アジウソン・キンドルマン[2] | MXS-R | 1 |
8 | マルティン・ソンカ | エッジ 540 | 全戦 |
9 | ナイジェル・ラム | MXS-R | 全戦 |
18 | セルゲイ・ラクマニン | MXS-R | 全戦 |
21 | マティアス・ドルダラー | エッジ 540 | 全戦 |
27 | ニコラス・イワノフ | エッジ 540 | 全戦 |
28 | ハンネス・アルヒ | エッジ 540 | 全戦 |
31 | 室屋義秀 | エッジ 540 | 1–4, 6 |
36 | アレハンドロ・マクレアン | MXS-R | 全戦 |
55 | ポール・ボノム | エッジ 540 | 全戦 |
84 | ピート・マクロード | エッジ 540 | 全戦 |
95 | マット・ホール | MXS-R | 1–4, 6 |
99 | マイケル・グーリアン | エッジ 540 | 全戦 |
本年より、引退したマイク・マンゴールドとグレン・デルに代わって、チェコのマルティン・ソンカとブラジルのアジウソン・キンドルマンが新たに参加することとなった。
レース日程と結果
[編集]ラウンド | 国 | 地域 | 開催日 | 予選第1位 | 優勝者 | 使用機 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | アラブ首長国連邦 | アブダビ | 3月26日・27日 | ハンネス・アルヒ | ポール・ボノム | エッジ 540 |
2 | オーストラリア | パース(スワン川) | 4月17日・18日 | ポール・ボノム | ハンネス・アルヒ | エッジ 540 |
3 | ブラジル | リオデジャネイロ(フラメンゴ・ビーチ) | 5月8日・9日 | ハンネス・アルヒ | ハンネス・アルヒ | エッジ 540 |
4 | カナダ | オンタリオ州ウィンザー | 6月5日・6日 | ナイジェル・ラム | ハンネス・アルヒ | エッジ 540 |
5 | アメリカ合衆国 | ニューヨーク | 6月19日・20日 | ハンネス・アルヒ | ポール・ボノム | エッジ 540 |
6 | ドイツ | ユーロスピードウェイ・ラウジッツ | 8月7日・8日 | ポール・ボノム | ハンネス・アルヒ | エッジ 540 |
7 | ハンガリー | ブダペスト(ドナウ川) | 中止[3] | |||
8 | ポルトガル | リスボン | 中止[4] |
順位及び得点
[編集]順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 11位 | 12位-15位 | 予選1位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ポイント | 12 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 |
(*) マークは、予選第1位による追加ポイントがあったことを示す。
順位 | パイロット | 第1戦 |
第2戦 |
第3戦 |
第4戦 |
第5戦 |
第6戦 |
総得点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ポール・ボノム | 1 | 3* | 3 | 2 | 1 | 2* | 64 |
2 | ハンネス・アルヒ | 11* | 1 | 1* | 1 | 4* | 1 | 60 |
3 | ナイジェル・ラム | 2 | 4 | 2 | 4* | 2 | 4 | 55 |
4 | カービー・チャンブリス | 6 | 8 | 5 | 3 | 3 | 6 | 41 |
5 | ピート・マクロード | 5 | 5 | 7 | 9 | 5 | 8 | 33 |
6 | ニコラス・イワノフ | 9 | 6 | 6 | 7 | 6 | 5 | 33 |
7 | マット・ホール | 8 | 2 | 4 | DSQ | DSQ | 3 | 31 |
8 | マティアス・ドルダラー | 7 | 7 | 10 | 5 | 10 | 7 | 26 |
9 | マイケル・グーリアン | 4 | 11 | 8 | 6 | 7 | 13 | 24 |
10 | ピーター・ベゼネイ | 3 | 10 | 11 | 10 | 8 | 9 | 21 |
11 | アレハンドロ・マクレアン | 12 | 13 | 9 | 11 | 9 | 10 | 9 |
12 | 室屋義秀 | 10 | 9 | 12 | DNS | DNS | 12 | 5 |
13 | セルゲイ・ラクマニン | 15 | 12 | 14 | 8 | 12 | 14 | 4 |
14 | マルティン・ソンカ | 13 | 14 | 13 | 12 | 11 | 11 | 2 |
15 | アジウソン・キンドルマン | 14 | EX | EX | EX | EX | EX | 0 |
順位 | パイロット | 第1戦 |
第2戦 |
第3戦 |
第4戦 |
第5戦 |
第6戦 |
総得点 |
事故
[編集]2010年4月15日現地時間午前11時50分(3時50分〈UTC〉)頃、第2戦が行われるオーストラリア・パースのスワン川に、練習中だったブラジルのパイロット、アジウソン・キンドルマンのMXS-Rが墜落した[5]。救急隊が駆けつけたのが早かったため、ロイヤル・パース・ホスピタルへ搬送されたが、重傷ではないと診断された[2]。前日の14日に、パイロットたちは水難訓練を受けていた。
キンドルマンはブラジル国内の曲技飛行の大会のアンリミテッド・カテゴリで3度の優勝経験があり、南米から初めてエアレースに参戦した選手だった。レッドブル・エアレースの公式サイトによると、キンドルマンの曲技飛行の経験は18年、総フライト時間は11000時間以上で、曲技飛行だけでも1200時間に上り、ブラジル国内で300回以上航空ショーをこなしていた[6][7]。
カナダのウィンザーでは、予選に臨んでいたマット・ホールが危うくデトロイト川に墜落しそうになった[8]。ターン時にかかる高いGの連続で揚力を失い、再加速する前に両翼と車輪が水面につき、重大な墜落事故になりかけた[9]。ホールの機体は大きなダメージを受け本選失格となり、ニューヨークで行われる次戦も欠場した。
2010年8月17日、スペインのトレド県カサルビオス・デル・モンテで練習中だったスペインのパイロット、アレハンドロ・マクレアンが地面に墜落して死亡した[10]。
出典
[編集]- ^ World Championship confirms one-year break in 2011
- ^ a b “Red Bull Plane Crashes into River”. TheWest.com.au (2010年4月15日). 2010年4月15日閲覧。
- ^ “Champion to be crowned in Germany following Budapest cancellation”. RedBullAirRace.com (2010年7月13日). 2010年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年7月14日閲覧。
- ^ “Final round of the World Championship 2010 in Portugal Cancelled”. RedBullAirRace.com (2010年7月7日). 2010年7月14日閲覧。
- ^ "MX Aircraft News ", MX Aircraft, 2010年2月11日, 2010年4月15日閲覧
- ^ "Profile-Adilson Kindlemann ", レッドブル・エアレース, 2010年4月15日閲覧
- ^ “Air-race plane crashes into river ”, ジ・エイジ, 2010年4月15日, 2010年4月15日閲覧
- ^ Detroit Free Press: Pilot Matt Hall tells how he avoided crash into Detroit River
- ^ Australia's Race Pilot, Matt Hall will not compete in New York
- ^ “Red Bull Air Race pilot killed during stunt flight”. thenational.ae. 2010年8月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月17日閲覧。