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YMS-1級掃海艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
YMS-1級掃海艇
基本情報
種別 補助内燃機掃海艇→沿岸掃海艇
(YMS)→AMS→MSC(O)→MSCO
建造所 35ヶ所の造船所[1]
運用者 運用国一覧を参照
就役期間 1942年 - 1957年 (アメリカ海軍)
建造数 481隻[1]
次級 ブルーバード級掃海艇
要目
排水量 270トン
全長 136 ft (41 m)
最大幅 24 ft 6 in (7.47 m)
吃水 24 ft 6 in (7.47 m)
主機 ゼネラルモーターズ製GM8-268Aディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 880馬力
速力 15ノット (28 km/h)
乗員 32人
兵装 3インチ砲×1基
20ミリ機銃×2基
爆雷投射機×2基
掃海具
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YMS-1級掃海艇(YMS-1きゅうそうかいてい、英語: YMS-1-class minesweeper)は、アメリカ海軍が運用していた補助内燃機掃海艇YMS)の艦級である。

合計481隻が建造され、 アメリカ海軍のほか日本を含む西側諸国で運用された。複数のサブクラスが存在するほか、 レンドリース法によりイギリスに提供する目的で、本級を基にしたBYMS級掃海艇英語版が建造されている。

1947年に現役だった艇は艦種記号をAMSに改められ、固有の名前が与えられた。この際、新たにAMS-1の記号が与えられた「アルバトロス英語版」をネームシップと見做し、「アルバトロス級掃海艇」とも呼ばれる[1][2]

概要

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本級の基本設計は排水量270トン、全長136フィート (41 m)、全幅24 ft 6 in (7.47 m)、喫水8 ft (2.4 m)であった。機関はゼネラルモーターズ(クリーブランド)製8-268A 2気筒ディーゼルエンジン(440 shp (330 kW))を2基搭載し、2軸推進の構成で最大速力15ノット (28 km/h; 17 mph)を発揮した。艇体は木製を採用している。

乗員数は32名を標準とした。艇によって差異はあるものの、艇体に比べて武装は比較的強力で、一般的に3インチ砲×1基、20ミリ機銃×2基、爆雷投射機×2基を装備した。

YMS-1級は同時代のアメリカ海軍艦艇では比較的小型であった。そのため一部の乗員は、YMSは窮屈で、安定性に欠けているという印象を持った。明らかに誇張されてはいるものの、これらの問題点を指摘して、他の乗員がYMSに転属しないように警告する内容の詩が残されている。

人はYMSで生きているのではない
彼らはただ緊張とストレスにさらされながら
穏やかなる海に浮かんだ船の中で
豆の鞘のように振り回されているだけなのだ

よみ人しらず、"A Plug for a Distinguished Nervuos Cross"[1]

各級

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本級には、外観上の違いにより大きく分けて2つのサブクラスが存在しており、それぞれ独立した艦級として扱われることもある。

YMS-135級

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基本的な構成は同一だが、煙突が2本ではなく1本しかない。「YMS-135」から「YMS-445」、「YMS-480」、「YMS-481」が該当する。

YMS-446級

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基本的な構成は同一だが、煙突が廃止されて舷側排気に変更されている。「YMS-446」から「YMS-479」が該当する。

アメリカ海軍以外での運用

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BYMS級掃海艇

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レンドリース法の下でイギリスへ提供するため、YMS-1級と同型の掃海艇80隻が、BYMS級掃海艇英語版として米国の造船所に発注された。これに加えて、アメリカ海軍向けに建造されたYMS-1級の一部である53隻(「YMS-137」から「YMS-284」)が、追加のBYMSとして移管された。後に17隻が追加納入されている。

その他国外での運用

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フランスは、第二次世界大戦中に31隻のYMS級掃海艇を受領した。このうち、1944年に1隻(D202、旧YMS-77)を触雷により喪失している。フランス海軍は戦後もYMS級を使用し続け[3]、1962年時点でも7隻が就役していた。これらは掃海艇のほか、海軍兵学校の練習艦や試験艦としても使用された。3隻は1954年にフランスから南ベトナムに譲渡され、1961年には1隻がマダガスカルへ移管されている[4]

1947年、ポーランド海軍は3隻のYMSを購入した[5]。「ORPデルフィンポーランド語版」(旧YMS-211、BYMS-2211)、「ORPフォカポーランド語版」(旧YMS-257、BYMS-2257)、「ORPモルス英語版」(旧YMS-282、BYMS-2282)の3隻はソ連製の85ミリ砲12.7ミリ機銃4門で再武装され、1950年代半ばまで運用された。このうち「ORPデルフィン」はプツク湾英語版で自沈処分され、ダイビングスポットになっている。さらに、ポーランドでは1隻のYMSが水路測量船として運用された。

YMS-328英語版」のように、軍を退役後、民間に払い下げられてヨットなどに改造された艇も存在する。海洋学者ジャック=イヴ・クストー海洋調査船カリプソ号」は、「BYMS-2026」を改造したものであった。

日本での運用

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1955年(昭和30年)、日米艦艇貸与協定に基づき7隻が日本の海上自衛隊に貸与され、「うじしま型掃海艇」と称した。1959年(昭和34年)には、日米相互防衛援助協定に基づき2隻が追加供与された。この2隻は「にのしま型掃海艇」として区別されることもある[6]

各艇には仕様上の差異がいくつかあり、大半は煙突が1本のYMS-135級だったが、「ゆげしま」のみ煙突がないYMS-446級だった。また、最初に貸与された7隻はアメリカ海軍の現役艇を提供されたが、「にのしま型」の2隻はモスボール保管されていた艇を供与されている。兵装の面でも違いがあり、砲熕兵装は前者が艇首に40ミリ単装機銃、両舷に20ミリ連装機銃だったが、後者は40ミリ単装機銃を欠いており20ミリ連装機銃だけだった[2]

1966年(昭和41)3月31日に7隻が支援船(特務船YAS)に区分変更され、「うじしま」は除籍されて部品取りとして使用。練習船(YTE)に区分された「やくしま」は海上自衛隊第1術科学校で教育訓練に使用された後、1969年(昭和44年)除籍された[6]

同型艇一覧[6]
 アメリカ海軍  海上自衛隊
旧名 建造所 竣工 艇番号 艦名 供与 区分変更 除籍
YMS-192
AMS-5
コンドル
グリーンボート・ベースン建設英語版 1943年
6月13日
MSC-655 うじしま英語版 1955年
3月18日
N/A 1966年
3月31日
YMS-231
AMS-10
ファイアクレスト
フランク・L・サンプル・ジュニア社 1943年
8月6日
MSC-656 えたじま英語版 1955年
3月15日
1966年
3月31日
特務船(YAS-37)
1966年
11月30日
YMS-369
AMS-18
ヘロン
ホイーラー造船 1943年
9月9日
MSC-657 ぬわじま英語版 1955年
3月21日
1966年
3月31日
特務船(YAS-38)
1967年
3月31日
YMS-422
AMS-28
オスプレイ
アストリア海事建設英語版 1944年
9月27日
MSC-658 やくしま 1955年
2月22日
1966年
3月31日
練習船(YTE-10)
1969年
3月31日
YMS-441
AMS-32
ペリカン
ロバート・ジェイコブ社 1945年
2月20日
MSC-659 おぎしま英語版 1955年
4月16日
1966年
3月31日
特務船(YAS-39)
1968年
3月31日
YMS-461
AMS-36
スワロー
スタディアム・ヨット・ベースン社 1944年
6月21日
MSC-660 ゆげしま英語版 1955年
4月16日
1966年
3月31日
特務船(YAS-40)
1968年
3月31日
YMS-415
AMS-40
シャッタレア
スタディアム・ヨット・ベースン社 1944年
10月1日
MSC-661 ゆりしま英語版 1955年
4月16日
1966年
3月31日
特務船(YAS-41)
1968年
3月31日
YMS-372
AMS-20
ハマー
ウィーバー造船所英語版 1944年
3月28日
MSC-662 にのしま英語版 1959年
3月16日
1966年
3月31日
特務船(YAS-42)
1968年
3月31日
YMS-376
AMS-23
ラーク
グリーンボート・ベースン建設 1943年
8月9日
MSC-663 もろしま英語版 1959年
3月16日
1966年
3月31日
特務船(YAS-43)
1968年
3月31日

運用国一覧

[編集]

脚注

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  1. ^ a b c d Priolo, Gary P. (2006年). “Auxiliary Motor Minesweeper (YMS), British Motor Minesweeper (BYMS) Index”. NavSource Online. NavSource Naval History. 2024年12月25日閲覧。
  2. ^ a b 梅野和夫 他「海上自衛隊艦艇シリーズ 機雷艦艇I」『スペシャル』第72号、潮書房、1983年2月、42-47頁。 
  3. ^ Masson 1969, pp. 59, 61–53.
  4. ^ Blackman 1962, p. 94.
  5. ^ Twardowski, Marek (June 2001). “Trałowce typu BYMS w polskiej służbie [BYMS minesweepers in Polish service]” (Polish). Morza, Statki i Okręty VI (31). ISSN 1426-529X. 
  6. ^ a b c 高田泰光 他「掃海艇 「うじしま」型」『世界の艦船 11月号増刊 『海上自衛隊全艦艇史』』第869号、海人社、2017年10月、45頁、ASIN B075YP4PHS 

参考文献

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