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アローキャリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アローキャリー[1]
欧字表記 Arrow Carry[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 1999年3月1日[1]
死没 2006年1月5日(7歳没)[2]
ラストタイクーン[1]
アロールーシー[1]
母の父 サンキリコ[1]
生国 日本の旗 日本北海道静内町[1]
生産者 矢野牧場[1]
馬主 矢野秀春[1]
調教師 北川數男(北海道[3]
山内研二栗東[1]
競走成績
生涯成績 16戦3勝[1]
獲得賞金 1億6970万5000円[1]
勝ち鞍
GI 桜花賞 2002年
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アローキャリー(欧字名:Arrow Carry1999年3月1日 - 2006年1月5日)は、日本競走馬繁殖牝馬[1]

主な勝ち鞍は、2002年桜花賞GI)。

生涯

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デビューまで

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母アロールーシーは、1991年に北海道静内町の矢野牧場で生産されたサンキリコの産駒[4]美浦トレーニングセンターの新関力厩舎にて競走馬デビューし、桐花賞(500万円以下)など5戦2勝を挙げた[4]。引退後は、生まれ故郷の矢野牧場で繁殖牝馬となり、1996年に初仔を生産[5]。1999年、4年目の種付けでは、矢野牧場主である矢野秀春が主導するジェイエスが仲介を担当し、リース種牡馬として日本に来ていたラストタイクーンと交配した[6]

1999年3月1日、アロールーシーの3番仔として鹿毛の牝馬(後のアローキャリー)が誕生[1]。牧場での仔は、矢野によれば「当歳の頃の印象といっても、特に記憶に残るようなことはなかったなあ[6]」と振り返っている。仔は、ラストタイクーンに内国産馬の牝系、そして牝馬であるために、セリに出場させても買い手がつかないと考えて、矢野自身が所有した[6]。芝向きの血統ゆえに、将来的に芝の多い日本中央競馬会(JRA)の競走に出走させたかったが[6]、まずは、ホッカイドウ競馬の北川數男厩舎に入厩。当時存続の危機にあったホッカイドウ競馬の救援や、JRAよりも劣る相手のために楽に勝ち上がれると考えたためであった[6]

競走馬時代

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2001年5月9日、札幌競馬場のフレッシュチャレンジでデビューし2着。2戦目のフレッシュチャレンジで初勝利を挙げJRA認定馬となる。その後札幌、旭川競馬場での2戦は、いずれも3着敗退[7]。続いてホッカイドウ所属の身で、JRA開催の札幌競馬場・2歳500万円以下(芝1000メートル)に出走。後方に3馬身半差をつけて2勝目、走破タイム57.2秒は、札幌芝1000mの2歳コースレコードであった[8][9]。旭川競馬場の重賞・フローラルカップは1番人気に支持されるも13着敗退、再びJRAに参戦したすずらん賞では、初めてJRA所属馬と戦い3着となった[9]

その後は、JRAに移籍し、栗東トレーニングセンター山内研二厩舎に転厩[9]。12月2日、阪神ジュベナイルフィリーズGI)に参戦。短期免許で来日中のキーレン・ファロンが騎乗した。逃げたが、直線でタムロチェリーに半馬身かわされ2着となった[10]。そこから中1週で出走したフェアリーステークスGIII)では1番人気に推されたが、4着[10]

3歳となった2002年は、エルフィンステークス(OP)から始動し2着したが、続くアネモネステークス(OP)は8着に敗れた[7]

4月7日、桜花賞(GI)に出走、山内は、レース1週間前に池添謙一に騎乗依頼を行った[11]。同じ山内厩舎からは、フィリーズレビューGII)を制したサクセスビューティが出走しており、山内は池添に対し、これまでの逃げ作戦ではなく「サクセスビューティの後ろについていけ[9]」と指示。当日は、サクセスビューティが単勝3番人気、アローキャリーは13番人気だった[9]

映像外部リンク
2002年 桜花賞
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

スタートからサクセスビューティが逃げ、アローキャリーは指示通りその直後に位置した[11]。直線では、サクセスビューティの脚が鈍って後退、9番人気のヘルスウォールが一時先頭に代わったが、アローキャリーがサクセスビューティの背後から外に持ち出して追い上げた[9]。坂の終わりで先頭に立ち、大外から脚を伸ばした後続に1馬身4分の1差をつけて先頭で入線した[9]重賞およびGI初勝利、地方競馬出身馬としては1994年のオグリローマン以来史上2頭目の勝利であった[9]。また、池添、矢野秀春、矢野牧場にとっても初のGIタイトルであった[9]。池添は、入線後にガッツポーズを繰り返し、引き揚げて下馬する際には「涙で目が真っ赤に腫れていたほどの感激ぶり[9]」(優駿編集部)であった。同厩舎の人気薄の勝利に山内は「なんとも言えない気持ちですね。まさか、という感じで....[9]」としている。2着は単勝7番人気ブルーリッジリバーが入り、馬番連勝は、85番人気の3万4440円という万馬券になった[9]

山内は、適性はマイルにあるとして、優駿牝馬(オークス)(GI)には出走せずに放牧[12]。フロンティアスタッド、カタオカステーブルで夏休みを過ごし、秋は秋華賞を目標としていた[13]ローズステークスGII)で再始動し最下位。それから秋華賞には出走せず、ほか4戦するもいずれも下位、マイルチャンピオンシップGI)出走を最後に引退し、競走馬登録を抹消した[7]

繁殖牝馬時代

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引退後は、故郷の矢野牧場に戻り繁殖牝馬となった[14]。初年度はブライアンズタイム、2年目はシンボリクリスエスの仔を生産[14]。3年目にはダンスインザダークの仔を出産する予定であったが、2006年1月5日心臓麻痺により、7歳で死亡した[2]

競走成績

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以下の内容は、netkeiba.com[15]およびJBISサーチ [7]の情報に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)

オッズ

(人気)

着順 タイム

(上がり3F)

着差 騎手 斤量

[kg]

1着馬(2着馬) 馬体重

[kg]

2001. 05. 09 札幌(地) フレッシュチャレンジ ダ1000m(良) 11 2 2 0000--(5人) 02着 1.02.9 0.1 斉藤正弘 53 ミサトシェイヴ 460
05. 17 札幌(地) フレッシュチャレンジ ダ1000m(良) 11 2 2 000--0(3人) 01着 1.01.9 0.2 井上俊彦 53 (ラヴァリージェニオ) 454
06. 12 札幌(地) オープン ダ1000m(良) 11 3 3 000--0(2人) 03着 1.01.9 0.3 井上俊彦 53 ウィンメッセージ 458
07. 19 旭川 サマーチャレンジ1 ダ1000m(稍) 12 7 9 000--0(2人) 03着 1.02.1 0.3 千葉津代士 53 ツギタテギャル 462
08. 11 札幌 500万下 芝1000m(良) 13 3 3 005.00(3人) 01着 R0057.2(34.3) 0.6 井上俊彦 53 (ラヴァリープローブ) 452
09. 06 旭川 フローラルカップ H3 ダ1600m(良) 14 2 2 000--0(1人) 13着 1.51.4 3.7 井上俊彦 53 トヤママズル 466
09. 23 札幌 すずらん賞 OP 芝1600m(良) 13 3 3 006.20(4人) 03着 01.10.2 (36.1) 0.1 井上俊彦 54 キタサンヒボタン 452
12. 02 阪神 阪神ジュベナイルF GI 芝1600m(良) 18 1 2 042.90(9人) 02着 01.35.2 (35.8) 0.1 K.ファロン 54 タムロチェリー 450
12. 16 中山 フェアリーS GIII 芝1200m(良) 16 6 11 004.10(1人) 04着 01.08.4 (35.7) 0.6 蛯名正義 54 サーガノヴェル 446
2002. 02. 02 京都 エルフィンS OP 芝1600m(良) 12 6 7 003.00(2人) 02着 01.35.6 (35.8) ハナ 藤田伸二 54 チャペルコンサート 444
03. 09 中山 アネモネS OP 芝1600m(良) 15 7 12 002.30(1人) 08着 01.35.5 (38.5) 1.1 O.ペリエ 54 サンターナズソング 442
04. 07 阪神 桜花賞 GI 芝1600m(良) 18 7 15 042.9(13人) 01着 01.34.3 (35.6) 0.2 池添謙一 55 (ブルーリッジリバー) 442
09. 15 阪神 ローズS GII 芝2000m(良) 16 8 16 022.90(5人) 16着 02.03.6 (38.2) 3.5 四位洋文 54 ファインモーション 454
09. 28 阪神 ポートアイランドS OP 芝1600m(良) 10 1 1 012.20(3人) 07着 01.34.1 (36.0) 0.9 村本善之 54 モノポライザー 450
10. 26 京都 スワンS GII 芝1400m(良) 18 7 14 077.3(12人) 08着 01.21.2 (34.6) 1.4 池添謙一 55 ショウナンカンプ 454
11. 17 京都 マイルチャンピオンS GI 芝1600m(良) 18 8 17 122.0(18人) 18着 01.36.3 (38.2) 3.5 熊沢重文 54 トウカイポイント 456

繁殖成績

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生年 馬名 毛色 戦績 主な成績 供用 出典
初仔 2004年 アロープラネット 青鹿毛 ブライアンズタイム 9戦1勝 繁殖牝馬 [16]
2番仔 2005年 ランチボックス 鹿毛 シンボリクリスエス 35戦3勝 2007年:すずらん賞(OP)3着

2010年:斑鳩ステークス(1600万円以下)1着

抹消 [17]
2006年 母体内死亡 ダンスインザダーク [14]

血統表

[編集]
アローキャリー血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ノーザンダンサー系
[§ 2]

*ラストタイクーン
Last Tycoon
1983 鹿毛
父の父
*トライマイベスト
Try My Best
1975 鹿毛
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Sex Appeal Buckpasser
Best in Show
父の母
Mill Princess
1977 鹿毛
Mill Reef Never Bend
Milan Mill
Irish Lass Sayajirao
Scollata

アロールーシー
1991 鹿毛
*サンキリコ
Sanquirico
1985 黒鹿毛
*リイフォー
Lypheor
Lyphard
Klaizia
Nell's Briquette Lanyon
Double's Nell
母の母
ソーミュール
1981 黒鹿毛
アローエクスプレス *スパニッシュイクスプレス
*ソーダストリーム
マーキュリーアロー *ミンシオ
ストレートアロー
母系(F-No.) ストレイトビツド(IRE) 系(FN:21-a) [§ 3]
5代内の近親交配 Northern Dancer 3x5=15.63%、Nearco 5・5(父内)=6.25% [§ 4]
出典
  1. ^ [18]
  2. ^ [19]
  3. ^ [18]
  4. ^ [19]


脚注

[編集]

注釈

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出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q アローキャリー”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年8月20日閲覧。
  2. ^ a b 桜花賞馬アローキャリー、心臓麻痺で死亡”. netkeiba.com. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年8月4日閲覧。
  3. ^ 5R フレッシュCh(中央認定)|2001年5月9日(水)2回札幌2日”. JBISサーチ. 2021年10月6日閲覧。
  4. ^ a b アロールーシー”. JBISサーチ. 2021年10月6日閲覧。
  5. ^ 繁殖牝馬情報:牝系情報|アロールーシー”. JBISサーチ. 2021年10月6日閲覧。
  6. ^ a b c d e 『優駿』2002年7月号 44-47頁
  7. ^ a b c d アローキャリー 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年8月20日閲覧。
  8. ^ 【札幌5R・2歳新馬】カイカノキセキがレコードV 鮫島克駿騎手「いいスピードがある」」『スポーツ報知』2021年6月12日。2021年10月6日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i j k l 『優駿』2002年5月号 16-21頁
  10. ^ a b 『優駿』2002年2月号 47-49頁
  11. ^ a b 『優駿』2002年5月号 66-69頁
  12. ^ 『優駿』2002年5月号 22頁
  13. ^ 『優駿』2002年9月号 27頁
  14. ^ a b c 繁殖牝馬情報:牝系情報|アローキャリー”. JBISサーチ. 2021年10月5日閲覧。
  15. ^ アローキャリーの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年8月20日閲覧。
  16. ^ アロープラネット”. JBISサーチ. 2021年10月5日閲覧。
  17. ^ ランチボックス”. JBISサーチ. 2021年10月5日閲覧。
  18. ^ a b 血統情報:5代血統表|アローキャリー”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2017年8月30日閲覧。
  19. ^ a b アローキャリーの血統表”. netkeiba.com. 2017年8月30日閲覧。

参考文献

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  • 優駿』(日本中央競馬会
    • 2002年2月号
      • 山本尊「【Play-back the Grade-I Races 2001】第53回阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)」
    • 2002年5月号
      • 優駿編集部「【Play-back the Grade-I Races 2002】第62回桜花賞(GI) アローキャリー」
      • 石田敏徳「【第63回オークス(GI)展望】桜花賞馬に不出走の可能性が。そこで注目したいのが、この馬たちだ!」
      • 優駿編集部「【杉本清の競馬談義 205】池添謙一騎手」
    • 2002年7月号
      • 阿部珠樹「【2002年春GI勝ち馬の故郷】矢野牧場 時代に調和した競馬人」
    • 2002年9月号
      • 石田敏徳「【充電完了! いざ闘いの舞台へ】3歳牝馬編 アローキャリー」

外部リンク

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