タウン情報誌
タウン情報誌(タウンじょうほうし)は、ひとつの都市、あるいは隣接する複数の都市からなる地域に重点を置いて、その地域に根ざした情報を扱う情報誌である。タウン誌(タウンし)、また新聞・フリーペーパー形態のものはタウン紙(タウンし)とも呼ばれる。地方の中小出版社が発行することが多い。
概要
[編集]地方の中小出版社が発行する刊行物型タウン誌は「タウン情報 全国ネットワーク (TJN) [1]」に加盟している場合が多い。長らくその地域でタウン誌を発行してきたTJN加盟誌の場合、交通の発達や低廉化、モータリゼーションによる移動の自由の拡大、都市圏や経済圏の拡大など、読者層の行動範囲の拡大に同期して、取材対象範囲は1つの都市から道府県全体、あるいは隣県にまで拡大し「地域圏情報誌」の形態となっている場合も多くみられる。
そこに、元々取材範囲が広い旅行雑誌の出版社や大手出版社が、「大都市圏全域」「地方単位」「大都市圏内の都市単位」など、地域の実情やターゲット読者層に合わせた様々な対象地域で参入してきた。例えば、角川書店の『ウォーカー』シリーズは、首都圏と京阪神で「大都市圏全域」と「大都市圏内の都市(県)単位」の2つの範囲を設定して各々のタウン誌を発行し、北海道地方・東海地方・九州地方では「地方単位」のタウン誌を発行している。
一方で業界大手のリクルートでは、旅の情報誌『じゃらん』シリーズを首都圏と関西、東海、中国・四国、九州、東北、北海道の7エリアで発行。高年齢層向けには『おとなのいい旅』シリーズを北海道、九州、東日本版の3版を発行している。
大手出版社のこのような動きに対し、地方の出版社では、年代別・ライフスタイル別のタウン誌を発行するようになった。例えば、20代 - 30代(M1・F1[注釈 1])の子育て世代を対象とした「子育て関連タウン誌」、10代 - 20代(Tと1)を対象としたインディーズ音楽・ストリートファッションなどを掲載する「地域限定ファッション誌」、20代後半以降(1と2)を主な読者層とし、より広い地域を対象地域として、小旅行やグルメなどのちょっとリッチな生活をするための「高級タウン誌」、50代以降(M3・F3)の富裕層を読者層とし、海外も含めたさらに広い地域でのライフスタイル提案をする「富裕層タウン誌」も発行されている。
ここ数年の間に[いつからいつまでの間に?]、無料配布されるフリーペーパー型のタウン情報誌の進出が目立つようになった。チラシのようなものからタブロイド版、冊子型など様々なスタイルがあり、各戸に無料配布されるなど入手しやすいところから、新たなタウン情報ツールとして幅広い年代層に支持されている。それにともないタウン情報誌を紹介するポータルサイトも見られるようになった。『タウン誌ネットワークU-nyo!』をはじめ、様々なウェブサイトで全国のタウン誌の情報を紹介している。
発行形態
[編集]内容
[編集]刊行物型のタウン誌では、雑誌・情報誌一般と同様、300-500円程度の価格に抑えるために広告記事(記事の形式を採った広告)と広告のページが多くを占めるが、地方出版社も大手出版社の多くも、編集部をその地域の中心都市に置いてきめ細かい取材を行い、偏りの少ない誌面構成や記事内容を作っている。そのため、その街に住む人たちに愛読され、また、遠方からの旅行客にとっては旅行ガイドとともに地域の穴場情報を得る手段として活用されている。
一方、フリーペーパー型・新聞折込型・ウェブ雑誌型の場合は、無料化したために誌面の大半が広告となるわけだが、広告記事(記事の形式を採った広告)など見せ方を工夫している。
一般のタウン誌
[編集]一般のタウン情報誌の読者層は、大学生年代から30代後半程度であるため、飲食店関連・ファッション関連・ドライブ旅行関連・結婚式関連を中心としている。あからさまに広告となる業種については別冊化して雑誌に挟まれたり、印刷や大きさを変えて綴じ込みにする場合もある。
一般的な刊行物型のタウン誌の主な内容は次の通り。
- 特集
- 店舗情報(新規オープン、既存店)
- 飲食店
- ファッション店
- 美容室
- 結婚式関連
- イベント情報
- コンサート・ライブ情報
- 祭り、地域イベント
- 文化・スポーツイベント
- 映画館上映スケジュール
- 周辺観光情報
- テレビ・ラジオ欄
- 求人情報
- 読者の投稿欄
- その他
別冊
[編集]タウン情報誌の内容とリンクした様々な別冊が多数発行されている。 ラーメン、レストラン、美容室、旅行、結婚式場などをまとめた別冊が多くみられる。
全国のタウン情報誌
[編集]※印の付いたものは「タウン情報全国ネットワーク」加盟誌。
北海道地方
[編集]広域タウン情報誌
[編集]- 北海道内
- 北海道内「poroco」(えんれいしゃ【北海道空港グループ】)※(月刊誌)
- 北海道内「HO」(ぶらんとマガジン社)(月刊誌)
- 北海道内「O.tone」(あるた出版)(月刊誌)
- 北海道内「北海道じゃらん」(リクルート北海道じゃらん)(月刊誌)
- 北海道内「すすきのTOWN情報」(休刊)
- 北海道内「おとなのいい旅北海道」(休刊)
- 北海道内「北海道ウォーカー」(休刊)
市町村域タウン情報誌
[編集]- 北海道
東北地方
[編集]広域タウン情報誌
[編集]県域タウン情報誌
[編集]- 青森県
- 青森市「ふぃ〜らあ」(フィーラー倶楽部)※(隔月刊誌)
- 八戸市「八戸マガジンUKIPAL」(企業組合ユキパル)(月刊誌)
- 八戸市「月刊はちのへ情報 Amuse」(有限会社アミューズ)(月刊誌)
- 秋田県
- 岩手県
- 宮城県
- 山形県
- 山形市「ZERO★23」(アサヒマーケティング)※(月刊誌)
- 「山形タウン情報誌 Waiwai」(フリーペーパー)
- 福島県
関東地方
[編集]広域タウン情報誌
[編集]- 首都圏
- 神奈川県・東京多摩地域
- 「タウンニュース」(フリーペーパー、ウェブマガジン)
- 八王子市・日野市、町田市・相模原市
- 足利市・両毛5市、栃木県南部
- 「渡良瀬通信」(有限会社みにむ)(月刊誌)
- 山梨県・甲府市近郊、中西部
- 「ParuPi (パルピー) 」(月刊フリーペーパー誌)
県域タウン情報誌
[編集]- 栃木県
- 宇都宮市「タウン情報 もんみや (MONMIYA) 」(株式会社新朝プレス)※(月刊誌)
- 「月刊 fooga」(コンパス・ポイント)(廃刊)
- 足利市「足利漫我人(あしかがまがじん)」(廃刊)
- 千葉県
- 東京都
- 神奈川県
- 「横浜ウォーカー」(休刊)
- 「横浜タウン情報誌 アーバン」(アーバン企画)(折込版)
- 「フレヴァン」(フリーマガジン)
中部地方
[編集]広域タウン情報誌
[編集]県域タウン情報誌
[編集]- 新潟県
- 新潟市「月刊にいがた」(ジョイフルタウン)※(月刊誌)
- 「月刊 新潟こまち」(ニューズ・ライン)(月刊誌)
- 「Pas Magazine」(ジョイフルタウン)(廃刊)
- 「新潟WEEK!」(ニューズ・ライン)(廃刊)
- 富山県
- 富山県内「Takt」(シー・エー・ピー)※(月刊誌)
- 富山県全域「月刊タウン情報とやま」(シー・エー・ピー)(休刊)
- 石川県
- 福井県
- 長野県
- 長野県全域「長野Komachi」(株式会社長野こまち)(月刊誌)(女性誌)
- 長野県全域「NaO」(休刊) - 2008年4月号を以て休刊、ウェブマガジン化[7]。
- 長野県全域「KURA」(まちなみカントリープレス)(廃刊) - 2001年11月創刊、5万部販売。誌名は歴史のある蔵から[8]。軽井沢・安曇野といった各地域ごとにクローズアップした「KURA別冊」(不定期刊)もある[9]。
- 長野県全域「日和」(まちなみカントリープレス)(廃刊) - 若者向けに2005年3月創刊、10万部販売[10]。
- 長野市「ながの情報」(月刊フリーペーパー)
- 軽井沢町「軽井沢ニュース」(月刊フリーペーパー)
- 軽井沢町「軽井沢新聞」(月刊フリーペーパー)
- 軽井沢町「軽井沢ヴィネット」(春と夏に発行)
- 静岡県
- 愛知県
- 「KELLy」(株式会社ゲイン)※(隔月刊誌)
- 「Cheek」(株式会社流行発信)
- 名古屋市「フリーマガジンKILALA」(フリーペーパー)
- 西三河・知多「t×wang(ティーワン)」(廃刊)
- 岡崎市・三河「RARE(旧名称リバーシブル)」(フリーペーパー・月刊誌)(廃刊)
- 岐阜県
- 三重県
- 伊勢市「月刊 Simple(しんぷる)」(株式会社ゼロ)(月刊誌)旅チャンネルとのコラボ番組「タウン誌の旅」第1話に登場
- 伊勢市「伊勢人」(伊勢文化舎)(不定期刊誌)
- 伊賀地方「伊賀タウン情報YOU」(フリーペーパー)
- 三重県内「ワイヤーママ(三重版)」(廃刊)
- 四日市市「Kujira」(くじら編集室)(廃刊)
関西地方
[編集]広域タウン情報誌
[編集]- 関西地方
- 「プレイガイドジャーナル」(プレイガイドジャーナル社)(廃刊)
- 「関西・中国・四国じゃらん(旧関西じゃらん)」(リクルート)(隔月刊誌)
- 「おとなのいい旅中部・西日本版」(リクルート)(廃刊)
- 「関西ウォーカー」(定期雑誌休刊→ムック)
- 「KANSAI1週間」(廃刊)
- 京阪神
- 「SAVVY」(京阪神エルマガジン社)(月刊誌)
- 「Meets Regional」(京阪神エルマガジン社)(月刊誌)
- 「Lmagazine(エルマガジン)」(京阪神エルマガジン社)(休刊)
- 「Richer」(リシェ)(京阪神エルマガジン社)(休刊)
- 「スパイマスター関西版(SpyMaster)」(株式会社流行発信)(廃刊)
- 「関西スパイガール セレクト(SpyGirl)」(やまの出版)(廃刊)
- 京滋
- 「Leaf (タウン情報誌)」(リーフ・パブリケーションズ)(定期刊行終了)
県域タウン情報誌
[編集]- 滋賀県
- 京都府
- 「月刊京都」(白川書院)(月刊誌)
- 「京都CF!」(休刊)
- 「京都の情報誌 ゴ・バーン」(フリーペーパー)
- 「京都 ガンバル女性の応援マガジン サクラ咲く(フリーペーパー)」
- 大阪府
- 「月刊せんば」(チャネラー)(廃刊)
- 「大阪人」(休刊)
- 兵庫県
- 奈良県
- 「月刊大和路ならら」(一般社団法人なら文化交流機構)
- 奈良市「タウン情報 ぱーぷる」(エヌ・アイ・プランニング)(休刊)
- 桜井市「やまとびと」(やまとびと株式会社【旧共栄印刷】)(フリーペーパー→2016年会員制季刊誌)
- 和歌山県
- 和歌山市「和歌山タウン情報アガサス(agasus)」(アガサス)(廃刊) 旅チャンネルとのコラボ番組「タウン誌の旅」第2話に登場
中国地方
[編集]広域タウン情報誌
[編集]- 中国地方
- 「じゃらん中国・四国」(休刊、関西版に統合)
- 山陰地方(島根県・鳥取県)
- 松江市「タウン情報 Lazuda」(株式会社メリット)※(月刊誌→フリーペーパー)
- 「さんいんキラリ」(有限会社グリーンフィールズ)
- 「山陰WINK」(三和印刷)(廃刊)
県域タウン情報誌
[編集]- 岡山県
- 岡山市「月刊タウン情報おかやま」(株式会社ビザビ)※(月刊誌)(情報源は県内全域が対象。読者層は、全年齢・性別問わずが対象だが、概ね30代までの女性が好むような記事が多い)
- 岡山市「Osera(オセラ)」(株式会社ビザビ)(隔月刊)(情報源は県内全域と近県)(タウン情報おかやまではもの足りなくなった中高年齢層以上向け)
- 津山市「岡山県北タウン情報 JAKEN」(株式会社スタジオ ア・ビアント)(月刊誌)(情報源は県北部地域が対象)
- 津山市「岡山県北(津山・真庭・美作周辺)の情報誌アットタウン」(AFWアットタウン)(フリーペーパー)(情報源は県北部地域が対象)
- 広島県
- 山口県
- 周南市「山口県タウン情報 トライアングル」(ふじたプリント社)(月刊誌)(情報源は県内全域ではあるが、周南地区を中心とした紙面)
四国地方
[編集]広域タウン情報誌
[編集]- 四国地方
- 「じゃらん中国・四国」(休刊、関西版に統合)
- 徳島県
- 「月刊タウン情報トクシマ」(メディコム)(月刊誌)
- 「月刊タウン情報CU*」(メディコム)(月刊誌)(20-30代向け)
- 徳島市「あわわ」(あわわ【セーラー広告傘下】)(月刊誌→フリーマガジン)
- 「ワイヤー(旧ワイヤーママ)」(あわわ)(フリーマガジン)(育児雑誌)
- 「月刊 Geen」(あわわ)(廃刊)
- 「ASA」(あわわ)(廃刊)(20-30代向け) 旅チャンネルとのコラボ番組「タウン誌の旅」第3話に登場
- 「050」(あわわ)(廃刊)(40-50代向け)
- 香川県
- 愛媛県
- 松山市「タウン情報 まつやま」(株式会社エス・ピー・シー【セキ株式会社傘下】)※(月刊誌)
- 「月刊 愛媛こまち」(アイクコーポレーション)(月刊誌)
- 高知県
九州地方
[編集]広域タウン情報誌
[編集]県域タウン情報誌
[編集]- 福岡県
- 佐賀県
- 佐賀市「月刊タウン情報 さが」(廃刊) 旅チャンネルとのコラボ番組「タウン誌の旅」第3話に登場
- 長崎県
- 熊本県
- 熊本市「月刊タウン情報 クマモト」(ウルトラハウス)(休刊)
- 熊本市「mocos(モコス)」(廃刊)女性誌
- 人吉市「どぅぎゃん」(月刊誌)
- 大分県
- 大分市「月刊シティ情報 おおいた」(おおいたインフォメーションハウス【大分合同新聞社グループ】)※(月刊誌)
- 大分市「月刊セーノ!」(おおいたインフォメーションハウス)(月刊誌)
- 大分市「CONKA」(休刊)
- 大分市・別府市「イーヤン」(フリーペーパー)
- 別府市・中津市「フリーマガジン Smile」(フリーペーパー)
- 宮崎県
- 「月刊情報タウン みやざき」(鉱脈社)※(月刊誌)
- 「月刊パームス」(フリーペーパー)
- 鹿児島県
- 鹿児島県内、宮崎県の一部「月刊タウン情報誌 TJカゴシマ」(斯文堂)※(月刊誌)
- 鹿児島県内、宮崎県の一部「Leap」(南日本出版【映広グループ】)(休刊[12])
沖縄地方
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ タウン情報 全国ネットワーク
- ^ “タウン誌「あっぷる」廃刊 秋田の情報伝え33年「感謝」”. 読売新聞オンライン (2024年3月10日). 2024年3月12日閲覧。
- ^ 老舗フリーペーパー「ショッパー」休刊 50年で2400回発行 相模原町田経済新聞、2021年3月1日
- ^ ショッパー復刊のお知らせ ショッパー公式Twitter、2021年6月25日
- ^ “北信越5タウン誌が連携 北陸新幹線1周年で季刊誌”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2016年2月19日) 2018年7月29日閲覧。
- ^ “Rural”. まちなみカントリープレス. 2018年7月29日閲覧。
- ^ “情報誌は役割終えたか”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2008年11月15日) 2018年7月29日閲覧。
- ^ “KURA”. まちなみカントリープレス. 2018年7月29日閲覧。
- ^ “KURA別冊”. まちなみカントリープレス. 2018年7月29日閲覧。
- ^ “日和”. まちなみカントリープレス. 2018年7月29日閲覧。
- ^ “hitomi”. まちなみカントリープレス. 2018年7月29日閲覧。
- ^ “情報誌「LEAP」休刊へ 1990年創刊、ウェブメディアに移行 鹿児島のグルメ・話題の店発信”. 南日本新聞 | 373news.com. 2023年8月26日閲覧。
- ^ “情報誌「おきなわ倶楽部」が30日発売で休刊 コロナの影響も”. 琉球新報デジタル. 2023年6月11日閲覧。