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ライディーン (YMOの曲)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「ライディーン」
YMOシングル
初出アルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー
B面 コズミック・サーフィン
リリース
規格 7インチレコード
ジャンル テクノポップ
時間
レーベル アルファレコード
作曲 高橋幸宏
プロデュース 細野晴臣
チャート最高順位
YMO シングル 年表
テクノポリス
(1979年)
ライディーン
(1980年)
タイトゥン・アップ
(1980年)
ミュージックビデオ
「RYDEEN」(HD Remaster・Short ver.) - YouTube
「Rydeen」(Official Music Video) - YouTube
ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー 収録曲
A面
  1. 「TECHNOPOLIS」
  2. 「ABSOLUTE EGO DANCE」
  3. RYDEEN
  4. 「CASTALIA」
B面
  1. 「BEHIND THE MASK」
  2. 「DAY TRIPPER」
  3. 「INSOMNIA」
  4. 「SOLID STATE SURVIVOR」
テンプレートを表示

ライディーン』(雷電、RYDEEN)は、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の2枚目のシングル曲。1980年6月21日アルファレコードから発売された。

テクノポリス」と並ぶYMOの代表曲として挙げられる[1]

制作

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元々のタイトルは江戸後期の伝説的な力士雷電爲右エ門」から『雷電』と表記された。坂本龍一は「『雷電』には東海道五十三次のような浮世絵のイメージがあり、浮世絵が世界に影響を与えたように、自分達の音楽も世界に影響を与えることと重ね合わせた」と発言している。また、映画『スター・ウォーズ』を黒澤明監督が撮ったらどうなるか、が発想の起点だった。その為、途中で戦闘ゲームや時代劇風の馬が走る音が入る。このことは作曲者の高橋幸宏が著作で明かしている[2]。その後、細野晴臣が「アメリカで今『勇者ライディーン』っていうアニメがヒットしているので、『ライディーン』にしちゃおう」という発言で「ライディーン」となった[3]。ただし『勇者ライディーン』の英語表記は『RAIDEEN』であり、綴りは若干異なる。

無機的な表現とするためあえて抑制したつくりだった「テクノポリス」に対して、「ライディーン」は逆に盛り上がるように作られている。また、細野は「遊びながら、当時の自分達では作れるとは思っていなかったサウンドができ、非常に楽しいレコーディングだった」と回想している[3]

イントロコードは、高橋幸宏がすでにキーボードで考えていたもので、続きの部分は坂本が聞き取ったものである。坂本はその光景をはっきりと覚えているが、高橋は覚えていないという[3]

メロディは、バーで高橋が鼻歌で歌っていたところを、坂本がメモに書き起こして作られたとされているが[4]、YMOの初代マネージャーであった日笠雅水は、高橋が家でキーボードで作ってスタジオに持ってきたと明かしている[5][6][注 1]。高橋によると、翌日アルファのスタジオのピアノでメロディを弾きながら坂本は「こんな音楽成立しない」という態度を全身から漂わせていたといい、坂本自身も「ドーレーミーで始まる曲などあり得ない」と考えていたとのこと[8]

録音

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Aメロの音色は長年、アープ・オデッセイを使用して坂本が手弾きしたと言われていたが、藤井丈司の著書にて松武秀樹との対談においてトラックシートの表記やビブラートが掛かるタイミングと深さが同じことから、moogIIICでディレイ・ビブラートを設定し演奏していたと判明した[9]。イントロから終始、右チャンネルから鳴っている馬の蹄はmoog IIIcにフランジャーをかけたものである。リボンコントローラー英語版が使用されていおり、フィルインなどで音高が変わる[9]。左チャンネルの「チッチキ チッチキ ...」というパーカッションには、ピンクノイズが使われている。

Cメロで聞かれる馬の蹄は細野が得意としていたサウンド・エフェクトで、コルグ PS-3100を使用している。

間奏のサウンド・エフェクトで聴かれる「ホワァー」という音は細野によるPS-3100、「ピュンピューン」という音は坂本によるアープ・オデッセイの音が使われている[10]。この部分は、立体音になっている。 ドラムの飛び跳ねるようなフィルは、高橋が影響を受けたビートルズリンゴ・スターの叩き方をまねている。

リリース

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1980年6月21日アルファレコードより7インチレコードでリリースされた。B面の「コズミック・サーフィン」はアルバム『イエロー・マジック・オーケストラ』収録曲で、ライブ・アルバム『パブリック・プレッシャー』(1980年)からのライブテイクを収録しているが、司会者のMCを丸ごとカットして演奏開始2秒前(演奏は3秒から始まる)の歓声からフェードインで始まっている。

ミュージック・ビデオ

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本作のミュージック・ビデオはメンバー3人が演奏する姿と、キーボードを弾く手元のみを写すシーン、キーボードにエフェクトを掛けた映像、3人が銃撃戦を行うシーンとで構成されている。ミュージック・ビデオ集『COMPUTER GAME』(1983年)にVHSで初収録され、『YMO Giga Clips』(1998年)にて初DVD化された[11][12][13]

メディアでの使用

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カバー

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  • 1988年、インディーズユニットであった空手バカボンが「来たるべき世界」というタイトルで事実上のカバー[14]。しかし当時ナゴムレコードから発売された『バカボンの頭脳改革 -残酷お子供地獄-』『空手バカボン ベスト』のクレジットでは作詞・大槻KENZI(大槻ケンヂ)、作曲・空手バカボンというクレジットになっている。2005年に発売された『空手バカボン ナゴムコレクション』には、著作権者からの使用許可が下りなかったため収録されていない[15]
  • 1991年、森丘祥子がアルバム『夢で逢えたら』で歌詞をつけてカバー(作詞は小西康陽)。
  • 1991年、松武秀樹ロジック・システムのアルバム「To・Gen・Kyo」にて中国語歌詞付きでカバー。
  • 1997年、Balanescu Quartetがアルバム『East meets East』でカバー。
  • 2000年、THE HONG KONG KNIFEがシングル『LOVE ME』の4曲目でロックアレンジでカバーしている。
  • 2004年、『TRIBUTE TO YMO』でLOW IQ 01がカバーした。
  • 2004年、清心がアルバム『清心』で「RYDEEN(マンドリン&ヴォーカルバージョン)」として歌詞をつけてカバー。
  • 2005年、aminが「雷電」というタイトルで歌詞をつけてカバーしている。
  • 2007年キリン ラガービールのCMにて、この曲のセルフカバーに当たる「RYDEEN 79/07」が新たに録音された。当初ネット配信のみで、ネット配信時の名義は「YMO」の略称ではなくカタカナ表記の「イエロー・マジック・オーケストラ」だった。2007年8月22日にYellow Magic Orchestra名義でCD化された。カップリングはHASYMO名義の『RESCUE』。
  • 2010年、monobrightがシングル『雨にうたえば(初回版)』でカバーしている。
  • 2010年、yes, mama ok?がアルバム『CEO -10th Anniversary Deluxe Edition-』のDisc 2でドラム叩き語りカバーしている。
  • 2011年、渡辺香津美がアルバム『TRICOROLL』でカバーしている。
  • 2013年、Sensationがアルバム『Sensation II』でカバー。
  • 2014年、E-girlsのアルバム『COLORFUL POP』にリード曲として、同曲をサンプリングし歌詞とボーカルをつけた「RYDEEN 〜Dance All Night〜」が収録。
  • 2015年、フレッシュマン・ウインド・アンサンブル(洗足学園音楽大学の1年生で編成されたバンド)がテレビアニメ響け!ユーフォニアム』の劇中曲としてカバー[注 3]。同作のサウンドトラック・アルバムに収録[注 4]
  • 2016年、竜馬四重奏がアルバム『Neo Zipang』(7月27日リリース)のDisc2でカバーしている。
  • 2023年、『D4DJ Groovy Mix』収録曲としてカバー[注 5]

シングル収録曲

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全編曲: イエロー・マジック・オーケストラ。
#タイトル作詞作曲時間
1.「ライディーン」(RYDEEN) 高橋ユキヒロ
2.「コズミック・サーフィン」(COSMIC SURFIN') 細野晴臣

リリース履歴

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No. 日付 国名 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 1980年6月21日 日本 アルファレコード 7インチ ALR-701 15位
2 1982年 イギリス アルファレコード 7インチ ALFA 2145
3 1993年7月21日 日本 アルファレコード 7インチ ALKA-2 - 『YMO ANALOG SINGLE BOX』収録
4 1993年9月21日 日本 アルファレコード CD ALDA-92 - CUBIC - YMO CD Single BOX』収録
5 2003年 日本 アルファレコード CD AR-GO13 - タイムスリップグリコ「青春のメロディー」付録
「ライディーン」1曲のみ収録

収録アルバム

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  • オムニバスアルバム
    • クライマック80’sYELLOW (2008年)

脚注

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注釈

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  1. ^ 高橋の記憶では、スタジオでキーを完成させていたとしており、齟齬が発生している[7]
  2. ^ なお、ヤクルトに入団した2019年からの1年間は「テクノポリス」を登場曲として使用していた。
  3. ^ 編曲 - 和田直也[18]
  4. ^ 劇場版でも使われているが、そちらのサウンドトラック・アルバムには未収録。
  5. ^ 編曲 - 森野智広(伯林青)

出典

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  1. ^ “YMOの「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」、41年前と同じ“透明イエロー盤”で再販”. くらテク ~生活を変えるテクノロジー by ITmedia NEWS (ITmedia). (2020年7月29日). https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2007/29/news048.html 2023年4月5日閲覧。 
  2. ^ 安藤健二 (2023年1月16日). “高橋幸宏さん死去。YMOの名曲「ライディーン」の元ネタは『スターウォーズ』だった”. ハフポスト. 2023年1月17日閲覧。
    高橋幸宏『心に訊く音楽、心に効く音楽 私的名曲ガイドブック』PHP研究所、東京〈PHP新書〉、2012年8月11日、[要ページ番号]頁。ISBN 978-4-569-80640-2OCLC 808339005 
  3. ^ a b c 『Yellow Magic Orchestra』 2007, p. [要ページ番号].
  4. ^ 坂本龍一 (2011年5月2日). “【忘れないうちに集団記憶とするため】ライディーンは、録音が終わったある夜、幸宏と西麻布の裏のバーに飲みに行き、幸宏が鼻歌で歌ったものを、ぼくが紙ナプキンに書き取り「明日、これ録音しよう!」と盛り上がったのでした。そのバーはもうとっくになくなり、名前も覚えていません。”. Twitter. 2014年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月7日閲覧。
  5. ^ 日笠雅水 [@maaco3] (2011年3月3日). "ライディーンは幸宏さんがお家でキーボードで作ってスタジオに持ってきました。アレンジしたあと「こんな普通の曲を僕が手を入れるとこんなふうになる」と少し自慢なさいました". X(旧Twitter)より2023年1月18日閲覧
  6. ^ 【追悼】高橋幸宏さん YMO『ライディーン』巨額の印税を生んだドコモ携帯着信音への採用”. Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]. 光文社 (2023年1月16日). 2023年1月18日閲覧。
  7. ^ 高橋幸宏 (2011年3月3日). “@skmt09 ライディーンはいつも教授がそう言うんだけれど、アルファのスタジオであそこのピアノに向かって初め、Am,Fmaj7っていうキーで考えた記憶があるんだよね。教授が書きとめてくれたのは、中国女じゃない?か、ライディーンのBの部分じゃなかった?バーは、青山です。名前?”. Twitter. 2016年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月5日閲覧。
  8. ^ 細野晴臣高橋幸宏坂本龍一 著、後藤繁雄 編『TECHNODON(テクノドン)』小学館、1993年6月1日。ISBN 978-4-0936-3171-6OCLC 673859945 
  9. ^ a b 藤井 2019, p. 114.
  10. ^ 『キーボード・スペシャル』1999年11月号
  11. ^ YMO『COMPUTER GAME』(VHS)ビクターエンタテインメント、1983年3月5日。ASIN B000064VVI 
  12. ^ YMO『Giga Clips』(DVD)東芝デジタルフロンティア、1998年8月22日。EAN 4947127500111 
  13. ^ YMO『Giga Capsule〜20th ANNIVERSARY King of Techno〜』(DVD)東芝デジタルフロンティア、1999年1月25日。EAN 4947127500319 
  14. ^ 大槻ケンヂ“死ぬまでハードロック?” 「筋肉少女帯」再結成10周年の心境を語る (2016年11月23日)”. エキサイトニュース. TOKYO FM+ (2016年11月23日). 2019年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月11日閲覧。
  15. ^ 空手バカボン ナゴムコレクション”. ナゴム再生委員会 (2005年7月16日). 2021年7月11日閲覧。 ただし、サイト上の曲名表記は「来るべき世界」であることに注意。
  16. ^ 【ライブレポート】<WORLD HAPPINESS 2015>、全8時間全13アクトに歴史と未来”. BARKS (2015年8月27日). 2021年7月11日閲覧。
  17. ^ 【詳細レポ】<WORLD HAPPINESS 2015>、真の意味での“YMOフェス”へ”. BARKS (2015年9月14日). 2021年7月11日閲覧。
  18. ^ RYDEEN”. ウィンズスコア. 2021年7月11日閲覧。

参考書籍

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関連項目

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