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大樹町

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
たいきちょう ウィキデータを編集
大樹町
大樹町旗 大樹町章
1950年2月23日制定
日本の旗 日本
地方 北海道地方
都道府県 北海道十勝総合振興局
広尾郡
市町村コード 01641-1
法人番号 3000020016411 ウィキデータを編集
面積 815.67km2
総人口 5,277[編集]
住民基本台帳人口、2024年11月30日)
人口密度 6.47人/km2
隣接自治体 河西郡中札内村更別村中川郡幕別町豊頃町広尾郡広尾町日高郡新ひだか町浦河郡浦河町
町の木 かしわ
町の花 コスモス
町の鳥 ひばり
大樹町役場
町長 黒川豊
所在地 089-2195
北海道広尾郡大樹町東本通33番地
北緯42度29分51秒 東経143度16分44秒 / 北緯42.49753度 東経143.27889度 / 42.49753; 143.27889座標: 北緯42度29分51秒 東経143度16分44秒 / 北緯42.49753度 東経143.27889度 / 42.49753; 143.27889
外部リンク 公式ウェブサイト

大樹町位置図

― 政令指定都市 / ― 市 / ― 町・村

ウィキプロジェクト
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大樹町(たいきちょう)は、北海道十勝総合振興局南部にある帯広市の南約60kmに位置する[1]

「宇宙のまちづくり」を標榜し、航空宇宙分野での実験や飛行試験を積極的に誘致し、主に大樹町多目的航空公園JAXAや大学などの研究機関が実験を行う。カントリーサイン滑走路を背景とした宇宙往還機らしきものとなっている。ミニバレー発祥の地。

地理

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歴舟川

西部は日高山脈に由来する山岳地帯日高山脈襟裳十勝国立公園に属しており、東部は平地太平洋に接する。町内を流れる歴舟川は日高山脈の源流から太平洋まで大樹町1町だけを流れる河川で、環境庁(当時)の公共用水域水質測定で1987年から2000年まで6回日本一の清流に指定され、国土庁(当時)の「水の郷百選」にも認定された[2]沿岸部にはいくつかのが点在し、十勝海岸湖沼群が、環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」(重要湿地)に選定されている[3]

気候

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太平洋に面しているものの、季は非常に寒冷で1月の平均気温は氷点下9度前後、連日氷点下20℃以下の冷え込みが続く。歴舟川ではしばしばダイヤモンドダストが見られる。厳冬期には短時間での気温の変動差が非常に大きい。最高気温極値は35.8℃(2015年8月5日2023年8月26日)、最低気温極値は-29.8℃(2019年2月8日)である。なお、10分値の計測では2001年2月12日6時40分に-30.4℃を観測している[4]

大樹町
雨温図説明
123456789101112
 
 
38
 
-2
-17
 
 
26
 
-1
-17
 
 
53
 
3
-10
 
 
69
 
10
-2
 
 
104
 
15
4
 
 
103
 
18
9
 
 
132
 
21
13
 
 
177
 
23
15
 
 
198
 
21
11
 
 
118
 
15
3
 
 
82
 
8
3
 
 
44
 
1
-12
気温(°C
総降水量(mm)
出典:[1]
インペリアル換算
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1.5
 
28
2
 
 
1
 
30
2
 
 
2.1
 
37
14
 
 
2.7
 
50
29
 
 
4.1
 
60
38
 
 
4.1
 
64
47
 
 
5.2
 
70
56
 
 
7
 
74
59
 
 
7.8
 
69
51
 
 
4.6
 
60
38
 
 
3.2
 
47
38
 
 
1.7
 
34
11
気温(°F
総降水量(in)
大樹(1991年 - 2020年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 9.0
(48.2)
15.5
(59.9)
17.0
(62.6)
29.1
(84.4)
32.7
(90.9)
35.2
(95.4)
34.9
(94.8)
35.8
(96.4)
33.4
(92.1)
28.6
(83.5)
21.5
(70.7)
16.3
(61.3)
35.8
(96.4)
平均最高気温 °C°F −1.8
(28.8)
−1.0
(30.2)
3.3
(37.9)
10.1
(50.2)
15.8
(60.4)
18.3
(64.9)
21.7
(71.1)
23.3
(73.9)
20.8
(69.4)
15.4
(59.7)
8.5
(47.3)
1.0
(33.8)
11.3
(52.3)
日平均気温 °C°F −8.8
(16.2)
−7.8
(18)
−2.2
(28)
4.5
(40.1)
9.9
(49.8)
13.4
(56.1)
17.3
(63.1)
18.8
(65.8)
15.7
(60.3)
9.4
(48.9)
2.7
(36.9)
−5.3
(22.5)
5.6
(42.1)
平均最低気温 °C°F −16.8
(1.8)
−16.8
(1.8)
−9.4
(15.1)
−1.8
(28.8)
3.8
(38.8)
8.8
(47.8)
13.6
(56.5)
15.0
(59)
10.9
(51.6)
3.4
(38.1)
−3.4
(25.9)
−12.3
(9.9)
−0.4
(31.3)
最低気温記録 °C°F −29.1
(−20.4)
−29.8
(−21.6)
−26.2
(−15.2)
−16.0
(3.2)
−5.2
(22.6)
−1.0
(30.2)
4.5
(40.1)
6.2
(43.2)
−1.1
(30)
−6.6
(20.1)
−17.5
(0.5)
−28.1
(−18.6)
−29.8
(−21.6)
降水量 mm (inch) 33.7
(1.327)
26.9
(1.059)
49.2
(1.937)
71.2
(2.803)
107.1
(4.217)
109.0
(4.291)
132.9
(5.232)
166.2
(6.543)
202.2
(7.961)
128.5
(5.059)
72.9
(2.87)
46.3
(1.823)
1,146
(45.118)
降雪量 cm (inch) 162
(63.8)
139
(54.7)
130
(51.2)
44
(17.3)
3
(1.2)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
25
(9.8)
123
(48.4)
627
(246.9)
平均降水日数 (≥1.0 mm) 5.7 5.0 7.2 8.6 9.4 8.6 10.6 11.5 11.1 9.6 8.6 6.5 102.4
平均月間日照時間 162.6 157.9 187.2 177.6 174.8 137.9 116.1 122.7 136.2 163.0 154.8 154.0 1,844.8
出典1:Japan Meteorological Agency
出典2:気象庁[5]

隣接している自治体

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人口

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大樹町と全国の年齢別人口分布(2005年) 大樹町の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 大樹町
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性
大樹町(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年) 8,814人
1975年(昭和50年) 8,434人
1980年(昭和55年) 8,356人
1985年(昭和60年) 8,118人
1990年(平成2年) 7,483人
1995年(平成7年) 7,075人
2000年(平成12年) 6,711人
2005年(平成17年) 6,407人
2010年(平成22年) 5,982人
2015年(平成27年) 5,738人
2020年(令和2年) 5,420人
総務省統計局 国勢調査より


町名の由来

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アイヌ語の「タイキウイ(tayki-us-i)」(ノミ・多い・ところ)から[6]。由来について1973年(昭和48年)に国鉄北海道総局が発行した『北海道 駅名の起源』では次のように紹介している[7]

この町を貫流している日方川(引用注:歴舟川の別名)の河原は、むかしよく野宿した所であるが、どうしたわけか川原の砂の中にノミが多くいたのでこう名づけたといわれている。

また、アイヌの間では次のような伝説が伝わっている。以下は葛野辰次郎(葛野エカシ)によるものである[6]

昔、十勝アイヌの村に盗賊団がやってきたとき、ひとりのおばあさんが、ノミの神様に助けて下さいとお祈りしたところ、ノミたちが盗賊達にたかって、盗賊団はみんな逃げ出してしまった。それ以来その村にはノミという名が付いた。

このほか、「大木が群生するところを意味する『タイキウシ』が由来」とするものもあるが、文法上誤りであり疑わしい。

歴史

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開拓史

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1883年(明治16年)に「大樹農業の先駆者」と呼ばれる依田勉三らが入植し開拓がはじまった[1]

一方で江戸時代にはアイボシマ地区で砂金が発見されており、1635年(寛永11年)頃から砂金堀が始まり、やがて砂金堀師たちによって集落が形成された[2]。1900年以降になると砂金堀師たちの数は200人を超えゴールドラッシュとなった[2]

年表

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旧大樹町役場(2013年)
  • 縄文時代より栄える。装飾、石器などが発見されている。
  • 1630年寛永6年) - 十勝神社の戸賀知明神社の創建。
  • 1636年(寛永12年) - アイボシマ付近の採金がはじまる。
  • 1822年文政4年)- 松前藩領へ
  • 1859年安政6年) - トカチ陣屋が作られる。
  • 1928年昭和3年)10月1日 - 広尾郡広尾村(現広尾町)から大樹村、歴舟村、当縁村の3大字が分村、広尾郡大樹村成立。
  • 1930年(昭和5年)10月10日 - 国鉄広尾線延伸、大樹駅開業。
  • 1936年(昭和11年)9月30日 - 昭和天皇が村内を巡幸。北海道拓殖実習場、拓北集落に行幸[8]
  • 1949年(昭和24年)8月20日 - 大字当縁村の一部(上当縁、下当縁各地区)を以って、広尾郡忠類村が分村
  • 1951年(昭和26年)4月1日 - 町制施行、大樹町
  • 1955年(昭和30年)4月1日 - 十勝郡大津村の一部(大字当縁村の一部)を編入
  • 1956年(昭和31年)- 町内の3大字を以下の各町・字に再編。
    • 大樹村 → 東本通、南通、新通、北通、仲通、柏木町、双葉町、1条~3条通、萌和、下大樹、大樹、尾田、拓進、日方、振別、光地園、大全、幸徳、相川
    • 歴舟村 → 東本通、西本通、松山町、1条~3条通、高校通、寿通、栄通、緑町、幸町、鏡町、暁町、浜大樹、美成、萌和、下大樹、大樹、芽武、拓進、旭浜、中島、日方、石坂、振別、開進、光地園、大全、相川
    • 当縁村 → 浜大樹、美成、芽武、萌和、大樹、尾田、晩成、生花苗太字は旧大津村の区域)
  • 1980年(昭和55年)晩成温泉開湯。
  • 1987年(昭和62年)4月1日 - 広尾線廃止。
  • 1991年平成3年) - カムイコタン公園キャンプ場オープン。
  • 2019年令和元年)5月4日 - 町内の実験場から打ち上げられた小型観測ロケットMOMO(モモ)」3号機が、日本国内の民間単独開発ロケットとしては初めて宇宙空間に到達した。
  • 2022年(令和4年)5月6日 - 大樹町役場新庁舎供用開始[9]

経済

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基幹産業酪農漁業である。

雪印乳業(現・雪印メグミルク)大樹工場が置かれている。なお、2000年雪印集団食中毒事件はこの大樹工場で発生した。

日本政策投資銀行の試算によれば、新たなロケットの発射場が大樹町に整備された場合、設備投資や観光客の増加などで道内全体に年間267億円の経済効果が及ぶと試算される[10]

立地企業

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協同組合組織

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金融機関

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郵便局

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  • 大樹郵便局(集配局)
  • 尾田郵便局
  • 石坂郵便局
  • 旭浜簡易郵便局
  • 大樹駅前簡易郵便局
  • 生花簡易郵便局(生花郵便局廃止に伴い、2021年4月9日開局。[11])

官公署

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自衛隊

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北海道の機関

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  • 北海道十勝総合振興局
    • 帯広建設管理部大樹出張所
    • 森林室大樹事務所
    • 産業振興部十勝農業改良普及センター十勝南部支所

独立行政法人

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公共機関

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警察

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消防

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姉妹都市・提携都市

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教育

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交通

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空港

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鉄道

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かつては広尾線が通っていたが、1987年(昭和62年)2月2日廃止されている。町内には十勝東和駅大樹駅石坂駅が設置されていた。

バス

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道路

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ショッピングセンターコスモール(道の駅コスモール大樹)
歴舟川と大樹町

PR活動

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  • 1998年(平成10年)に名前に「大樹」がつく人に対して特別住民票を発行した。
  • コスモスの「コスピー」というイメージキャラクターが、大樹町のホームページに登場している。

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

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文化財

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  • 大樹遺跡出土の遺物(北海道指定有形文化財)(大樹町図書館蔵)
  • 十勝ホロカヤントー竪穴群(北海道指定史跡)
  • 大樹町トーチカ[15]

観光

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祭り

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  • 歴舟川清流鯉のぼり(4月最終日曜から5月5日)
  • 歴舟川清流まつり(8月第1日曜日)
  • 柏林公園まつり(9月第3日曜日)
  • カムイコタン公園まつり(10月第1日曜日)

人物

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出身有名人

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ゆかりのある人物

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  • 堀江貴文(宇宙事業の拠点として、2015年12月に住民票を移すが、2020年4月27日に大樹町民をやめるとTwitterで表明したため、現在町民であるかは不明)

寒冷地研究

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2011年に東京都江東区にあるLIXIL住生活財団(住宅・建材産業に関する調査・研究や人材育成等の事業に対し助成・支援する公益財団法人。理事長・潮田洋一郎)により、町内の芽武地区にあった競走馬の牧場(旧「大樹ファーム」跡地)を利用して、次世代住宅の研究を大学などの団体と共同で進める研究施設「メム メドウズ(Memu Meadows)」が設立された。大樹町は-30度にもなる寒冷地であり、2016年現在、6棟の寒冷地用実験住宅が敷地内に建てられている[16]

2018年11月、施設内の実験住宅や牧場を継承するリノベーション建築をホテルへとコンバージョンする「MEMU EARTH HOTEL(メム アースホテル)」が誕生した[17]

脚注

[編集]
  1. ^ a b 大樹町の事例 十勝南部の大規模酪農・農業の拠点の町”. 一般社団法人北海道地域農業研究所. 2024年11月30日閲覧。
  2. ^ a b c 前田 拓弥. “大樹町”. 北海道教育大学. 2024年11月30日閲覧。
  3. ^ https://www.env.go.jp/nature/important_wetland/wetland/w040.html
  4. ^ 大樹 2001年2月12日(10分ごとの値)気象庁
  5. ^ 大樹 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月28日閲覧。
  6. ^ a b アイヌ語地名リスト セッ~ツキガ P71-80”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2018年6月9日閲覧。
  7. ^ 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日。ASIN B000J9RBUY 
  8. ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、78頁。ISBN 978-4-10-320523-4 
  9. ^ 広報たいき 2022年5月号”. 大樹町. 2024年8月26日閲覧。
  10. ^ 民間宇宙ロケット エンジンを緊急停止 宇宙空間に到達せず, (7月30日 20時47分), http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170730/k10011080801000.html 
  11. ^ https://www.post.japanpost.jp/newsrelease/storeinformation/detail/index.php?id=4906 開局:生花簡易郵便局 日本郵便2021年2月19日
  12. ^ 日本の自治体と台湾の姉妹(友好)都市交流等一覧”. 日本台湾交流協会 (2016年11月2日). 2023年2月6日閲覧。
  13. ^ 各営業所、案内所”. 十勝バス. 2018年6月11日閲覧。
  14. ^ 大樹町ふれあいバス”. 大樹町. 2018年6月11日閲覧。
  15. ^ 大樹町の文化財 大樹町トーチカ”. 大樹町. 2020年10月19日閲覧。
  16. ^ 実験住宅公益財団法人LIXIL住生活財団
  17. ^ MEMU EARTH HOTEL/メムアースホテル 先進的な建築と十勝の無垢なる自然を原体験できる一棟貸しホテル”. Discover Japan. 2024年11月30日閲覧。

外部リンク

[編集]