大相撲令和2年7月場所
大相撲令和2年7月場所 | |
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会場の国技館(両国国技館) | |
基本情報 | |
会場 | 国技館(両国国技館) |
番付発表 | 2020年4月27日 |
開催期間 | 2020年7月19日 - 8月2日(15日間) |
各段優勝・三賞 | |
幕内最高優勝 | 照ノ富士春雄(13勝2敗) |
十両優勝 | 明生力(10勝5敗) |
幕下優勝 | 千代の国憲輝(7戦全勝) |
三段目優勝 | 深井拓斗(7戦全勝) |
序二段優勝 | 竹岡勇人(7戦全勝) |
序ノ口優勝 | 北青鵬治(7戦全勝) |
殊勲賞 |
御嶽海久司(6回目) 大栄翔勇人 (2回目) 照ノ富士春雄(2回目) |
敢闘賞 | 正代直也(5回目) |
技能賞 | 照ノ富士春雄(初受賞) |
< 先場所 翌場所 > |
大相撲令和2年7月場所(おおずもうれいわ2ねん7がつばしょ)は、2020年7月19日から8月2日まで東京都墨田区の国技館(両国国技館)で開催された大相撲本場所である[1]。主催は日本相撲協会・中日新聞社(中日新聞社東京本社)。
概要
[編集]新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行に伴い、4月3日の時点で5月場所(夏場所)共々2週間の延期が発表され(5月場所は5月24日初日が想定された)、本場所の開催自体も「新型コロナウィルス感染拡大の状況を踏まえて検討する」とされた[2]が、その後複数の力士・相撲関係者の罹患や、政府の緊急事態宣言の延長の動き等も勘案し[3]、本場所の開催について以下の取扱とすることが発表された[1][4]。
- 5月場所(夏場所)は興業自体を中止(本場所の中止は大相撲八百長問題の影響で中止となった平成23年春場所以来)
- 7月場所(名古屋場所)は感染リスクを考慮し大人数での移動を避けるため、開催会場を愛知県名古屋市の愛知県体育館から国技館に移した上で、無観客開催を目指す(その後有観客での興業に変更、後述)。
なお、5月場所の番付が発表済みだったため、そのまま7月場所の番付に持ち越すこととなった。
こういった経緯から、通常「名古屋場所」の通称を用いているメディアでも、本場所は「大相撲7月場所」と称した。一方で、例年7月場所の主催(勧進元)となっていた中日新聞社は、中日新聞社東京本社名義で主催者に加わっている。また、5月場所が中止となり、7月場所が東京開催となった事から森永賞もインターネットでの投票形式にて実施された[5]。場所後半では東京都庁による新型コロナウイルス感染防止の懸賞旗風告知旗も登場した[6]。
この場所では協会の徹底した感染防止策と墨田区保健所の万全なサポートにより、新型コロナウイルス感染者0人が達成された[7]。
場所後の8月28日に当時首相の安倍晋三が辞意を示し、9月16日に退任したため、安倍晋三名義での内閣総理大臣杯の最後の場所となった。
時系列(すべて2020年)
- 4月3日 - 5月場所、7月場所の2週間延期が発表された。
- 4月7日 - 政府が緊急事態宣言を発出。
- 4月10日 - 勝武士幹士(高田川部屋・西三段目82枚目)の新型コロナウイルス感染確認。勝武士は5月13日に現役のまま逝去した。
- 4月13日 - 協会が各部屋に、接触を伴うぶつかり稽古などの自粛を通達した。
- 4月25日 - 高田川と白鷹山、力士養成員ら4名の感染と入院が発表された。
- 5月4日 - 緊急事態宣言の延長により5月場所の中止と7月場所の開催方法変更を発表。
- 6月10日 - 日本相撲協会が6月22日に予定していた番付発表を実施しないことを発表[8]。
- 7月13日 - 7月場所について、当初想定されていた「無観客興業」ではなく、定員の25%程度(約2500人)を上限とする有観客興業とすることを発表[9]。
- 7月17日 - この日午後5時30分時点、新型コロナウイルス感染拡大の影響で15日間全てにおいてマス席・イス席が売れ残っていることが報道された[10]。
優勝争い
[編集]幕内最高優勝争い
[編集]1月場所(初場所)以来半年ぶりとなる「2横綱2大関揃い踏み」の今場所であるが、場所前の稽古で右肘を痛めていた横綱鶴竜が初日の遠藤戦で悪化させ(腰砕けで敗戦)、2日目から休場[11]。中日を終わって全勝は横綱白鵬と新大関の朝乃山の2名で、これを1敗で関脇の正代と御嶽海、さらに元大関で返り入幕の照ノ富士の3名が追う展開となった[12]。
10日目、朝乃山が御嶽海に敗れて初黒星となり、全勝の白鵬が単独トップに立つが、続く11日目から小結大栄翔と御嶽海に連敗、さらに御嶽海との取り組みで古傷の右膝を悪化させ、13日目から休場[13]。これにより、優勝争いは1敗の朝乃山と照ノ富士がトップで並ぶが、13日目に両者の対戦が組まれ、照ノ富士が寄り切って朝乃山を下し単独トップに立つ。14日目に両者黒星を喫し、千秋楽の結果次第では結びの一番で対戦する3敗同士の朝乃山 - 正代の勝者と照ノ富士・御嶽海による巴戦の可能性もあった[14]が、結び前の一番で照ノ富士が御嶽海を寄り切って2敗を守り、30場所ぶり(琴錦の43場所に次いで2番目に長い間隔)2度目の優勝を果たした[15]。幕尻での幕内最高優勝は令和2年1月場所(初場所)の德勝龍以来3人目で[16]、再入幕即優勝も徳勝龍以来[17]2人目[要出典]。さらに、大関経験者が大関陥落後に優勝するのは、昭和以降では昭和51年9月場所(秋場所)の魁傑以来2人目で[16]、幕内経験者が序二段まで陥落後再入幕して優勝するのは史上初であった[17]。
なお、この場所終了時点で大関の優勝無しが連続20場所となった[18]。これまでにも1977年7月場所から1981年5月場所まで24場所連続で大関の優勝がなかった時期はあるが、うち23場所は横綱が優勝していた[18]。20場所も大関の優勝無しかつ関脇以下の優勝が半数近い8回を占めるという事態は優勝制度発足以降前例がない[18]。
十両優勝争い
[編集]千秋楽の本割が終わった時点で、明生・旭大星・豊昇龍・千代ノ皇・天空海・水戸龍の6人が10勝5敗で並ぶ結果となり、優勝決定戦1回戦で3人に絞った上で巴戦を実施。1回戦で千代ノ皇を下し、巴戦で豊昇龍・天空海に二連勝した明生が混戦を制した。十両で6人による優勝決定戦は1972年秋場所以来48年ぶり[19]。
番付・星取表
[編集]幕内
東 | 番付 | 西 | ||||
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備考 | 成績 | 力士名 | 力士名 | 成績 | 備考 | |
10勝3敗2休 | 白鵬 | 横綱 | 鶴竜 | 2敗13休 | ||
カド番 | 8勝4敗3休 | 貴景勝 | 大関 | 朝乃山 | 12勝3敗 | 新大関 優勝次点 |
敢闘賞 | 11勝4敗 | 正代 | 関脇 | 御嶽海 | 11勝4敗 | 再関脇 殊勲賞 |
再小結 殊勲賞 |
11勝4敗 | 大栄翔 | 小結 | 隠岐の海 | 9勝6敗 | 再小結 |
8勝7敗 | 遠藤 | 前頭1 | 豊山 | 5勝10敗 | ||
8勝7敗 | 隆の勝 | 前頭2 | 阿武咲 | 2勝13敗 | ||
5勝10敗 | 宝富士 | 前頭3 | 霧馬山 | 6勝9敗 | ||
5勝10敗 | 輝 | 前頭4 | 碧山 | 5勝10敗 | ||
3勝4敗8休 | 阿炎 | 前頭5 | 北勝富士 | 9勝6敗 | ||
5勝10敗 | 炎鵬 | 前頭6 | 竜電 | 7勝8敗 | ||
8勝7敗 | 照強 | 前頭7 | 德勝龍 | 7勝8敗 | ||
4勝11敗 | 石浦 | 前頭8 | 千代大龍 | 6勝9敗 | ||
10勝5敗 | 玉鷲 | 前頭9 | 勢 | 3勝12敗 | ||
6勝9敗 | 魁聖 | 前頭10 | 妙義龍 | 10勝5敗 | ||
5勝10敗 | 志摩ノ海 | 前頭11 | 栃ノ心 | 10勝5敗 | ||
8勝7敗 | 佐田の海 | 前頭12 | 松鳳山 | 5勝10敗 | ||
10勝5敗 | 髙安 | 前頭13 | 琴ノ若 | 4勝6敗5休 | ||
8勝7敗 | 琴奨菊 | 前頭14 | 若隆景 | 10勝5敗 | 再入幕 | |
新入幕 | 8勝7敗 | 琴勝峰 | 前頭15 | 千代丸 | 4勝11敗 | |
6勝9敗 | 錦木 | 前頭16 | 琴恵光 | 10勝5敗 | 再入幕 | |
再入幕 幕内最高優勝 殊勲賞 技能賞 |
13勝2敗 | 照ノ富士 | 前頭17 | 琴勇輝 | 6勝8敗1休 | 再入幕 |
十両
東 | 番付 | 西 | ||||
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備考 | 成績 | 力士名 | 力士名 | 成績 | 備考 | |
十両優勝 | 10勝5敗 | 明生 | 十両1 | 千代翔馬 | 6勝9敗 | |
9勝6敗 | 翔猿 | 十両2 | 栃煌山 | - | 引退 | |
5勝10敗 | 東龍 | 十両3 | 旭秀鵬 | 6勝9敗 | ||
7勝8敗 | 大奄美 | 十両4 | 英乃海 | 5勝10敗 | ||
優勝同点 | 10勝5敗 | 旭大星 | 十両5 | 逸ノ城 | 9勝6敗 | |
優勝同点 | 10勝5敗 | 豊昇龍 | 十両6 | 白鷹山 | 5勝10敗 | |
8勝7敗 | 大翔丸 | 十両7 | 剣翔 | 7勝8敗 | ||
9勝6敗 | 若元春 | 十両8 | 千代鳳 | 7勝8敗 | ||
7勝8敗 | 明瀬山 | 十両9 | 美ノ海 | 8勝7敗 | ||
6勝9敗 | 大翔鵬 | 十両10 | 朝弁慶 | 3勝12敗 | 再十両 | |
再十両 | 6勝9敗 | 富士東 | 十両11 | 木﨑海 | 7勝8敗 | |
8勝7敗 | 翠富士 | 十両12 | 千代ノ皇 | 10勝5敗 | 再十両 優勝同点 | |
6勝9敗 | 貴源治 | 十両13 | 天空海 | 10勝5敗 | 優勝同点 | |
6勝9敗 | 千代の海 | 十両14 | 水戸龍 | 10勝5敗 | 優勝同点 |
(西十両2枚目栃煌山は7月場所前に引退発表)
※ 赤文字は優勝力士の成績。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b 『公益財団法人日本相撲協会 理事会発表事項』(プレスリリース)日本相撲協会、2020年5月4日 。2020年5月16日閲覧。
- ^ 『大相撲五月場所・大相撲七月場所 日程変更について』(プレスリリース)日本相撲協会、2020年4月3日 。2020年8月5日閲覧。
- ^ “大相撲夏場所、中止へ 複数の感染者で困難と判断か 新型コロナ”. 毎日新聞. (2020年5月3日) 2020年5月16日閲覧。
- ^ “大相撲 夏場所は中止 7月の名古屋場所は国技館開催へ”. NHK. (2020年5月4日) 2020年5月16日閲覧。
- ^ “70年続く大相撲名物がコロナ禍で変革 「森永賞」に反響”. 毎日新聞. (2020年7月29日) 2020年9月18日閲覧。
- ^ “大相撲に「NO!3密」告知旗 懸賞旗風に土俵くるくる”. 朝日新聞 (2020年7月31日). 2020年9月18日閲覧。
- ^ コロナ感染者0の7月場所 保健所のサポートで実現 日刊スポーツ 2020年8月28日10時2分 (2020年8月28日閲覧)
- ^ 「7月場所の番付発表せず、中止の夏場所の番付通りに」『日刊スポーツ』2020年6月10日。2020年6月22日閲覧。
- ^ 『大相撲七月場所「開催手法の変更」について』(プレスリリース)日本相撲協会、2020年7月13日 。2020年8月5日閲覧。
- ^ 7月場所チケット売れ残り…販売方法限定が理由か 日刊スポーツ 2020年7月17日18時12分(2020年7月20日閲覧)
- ^ “横綱鶴竜が休場 大相撲7月場所”. 時事通信. (2020年7月20日) 2020年8月18日閲覧。
- ^ “【相撲編集部が選ぶ7月場所8日目の一番】正代(突き落とし)御嶽海”. ベースボールマガジン 相撲 (2020年7月26日). 2020年8月18日閲覧。
- ^ “白鵬休場、右膝が悪化 7月場所は横綱不在に”. 日本経済新聞. (2020年7月31日) 2020年8月18日閲覧。
- ^ “7月場所大混戦!御嶽海、執念の3連勝で初の関脇以下3度目Vへ「最後は笑いたい」”. スポーツニッポン. (2020年8月2日) 2020年8月18日閲覧。
- ^ “照ノ富士が30場所ぶりV 7月場所、殊勲・技能賞も獲得”. 日本経済新聞. (2020年8月2日) 2020年8月18日閲覧。
- ^ a b “元大関・照ノ富士が復活優勝 幕尻Vは史上3人目の快挙”. 朝日新聞デジタル. (2020年8月2日) 2020年9月27日閲覧。
- ^ a b “照ノ富士 30場所ぶり復活V!序二段から這い上がり、再入幕場所で幕尻優勝”. スポーツニッポン. (2020年8月2日) 2020年9月27日閲覧。
- ^ a b c 番付が泣く「黒歴史」 大関の優勝、20場所なし 下克上阻止できるか 会員限定有料記事 毎日新聞2020年8月29日 11時00分(最終更新 8月29日 15時02分、2020年9月7日閲覧)
- ^ “明生が決定戦制し十両優勝 7月場所、三段目は深井がV”. 日本経済新聞. (2020年8月2日) 2020年8月29日閲覧。