金泉尚武FC
金泉尚武FC | |||
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原語表記 | 김천 상무 FC | ||
愛称 | 不死鳥 | ||
クラブカラー |
赤 紺 金 | ||
創設年 | 2021年 | ||
所属リーグ | Kリーグ1 | ||
ホームタウン | 慶尚北道金泉市 | ||
ホームスタジアム | 金泉総合運動場 | ||
収容人数 | 25,000 | ||
運営法人 | 社団法人金泉市民プロサッカー団 | ||
代表者 | 金忠燮(金泉市長) | ||
監督 | 鄭正溶 | ||
公式サイト | 公式サイト | ||
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■テンプレート(■ノート)■サッカークラブPJ |
金泉尚武FC(キムチョン・サンムFC、韓国語: 김천 상무 FC、英語: Gimcheon Sangmu Football Club)は、韓国の慶尚北道金泉市を縁故地(ホームタウン)とするプロサッカークラブである。Kリーグ1に所属している。大韓民国国軍のスポーツ部門である国軍体育部隊と金泉市との縁故地契約に基づいて設立した社団法人金泉市民プロサッカー団がクラブの運営法人となっており、金泉市長が同法人の代表者となっている。
2021年に設立されたクラブだが、前身となる尚武FC(尚武サッカー団)は1984年に設立されている。「尚武」とは国軍体育部隊の別名である。尚武の選手は徴兵制に基づき2年間の兵役義務に就いている韓国人プロサッカー選手によって構成されている。毎シーズン初めに15人の選手が加わり、元の所属クラブへ復帰するまでおよそ2年間プレーする。兵役服務中の選手のためのクラブという性格のため外国人選手との契約は認められていない。
本稿では金泉尚武FCの他に、前身である尚武FC、光州尚武FC、尚州尚武FCについても記述する。ただし、これらは法的には全て別個のサッカークラブとなる。
概要・歴史
[編集]通称「尚武」と呼ばれる国軍体育部隊第1競技隊のサッカー部として部隊創設とともに存在してきた(アマチュア時代及びK2リーグ時代は、単に「尚武」と名乗っていた)。兵役服務中の選手が在籍するというチームの性格上、本来はアマチュアの選手だけに入隊を許可していたが、オリンピックにプロ選手の参加が認められるようになってからはプロの選手も入隊できるようになった。選手は兵役期間である2年間しか在籍せず、外国人選手の在籍も認められていないためチーム力は劣るが、曺宰溱や趙源熙のように他クラブで出場機会のない若手選手などは経験を積むことができるという面もある。また、入団のためにはKリーグの選手である必要があるため、海外クラブに在籍している選手は金聖吉や金正友のように一度他のKリーグのクラブへ移籍してから入団する形をとる。
尚武FC時代(1984年〜2002年)
[編集]1984年、尚武FC(韓国語: 상무 축구단、英語: Sangmu Football Club)設立。
光州尚武FC時代(2002年〜2010年)
[編集]尚武FCの本拠地は京畿道城南市であったが、光州広域市と縁故地契約を締結し、2002年4月に同市に光州尚武FC(クワンジュ・サンムFC、韓国語: 광주 상무 축구단、英語: Gwangju Sangmu Football Club)を設立した。法的には新設クラブであるが実質的に移転である。これ以降も、尚武は移転にあたって現クラブを解散するとともに他自治体と縁故地契約を結んでクラブを新設するスキームを採用することとなる。
2003年よりKリーグに参加し、日韓W杯のため建設された光州ワールドカップ競技場をホームスタジアムとしてきた。光州広域市との縁故地契約は2010年で満了し、尚武は2011年より慶尚北道尚州市でサッカークラブを新設することになり、光州広域市は後継となる市民クラブ光州FCを設立した。
尚州尚武FC時代(2011年〜2020年)
[編集]尚武は慶尚北道尚州市と縁故地契約を締結し、2011年に同市に尚州尚武FC(サンジュ・サンムFC、韓国語: 상주 상무 축구단、英語: Sangju Sangmu Football Club)を設立した。ちなみに当初の計画では安養市に移転する予定であったが、諸事情により断念している。この移転に合わせ、これまでのユニフォームカラーを「オレンジ・黒」から「赤・白・黒」に変更している。また、2012年まではクラブエンブレムに描かれた鳳凰にちなんで「尚州尚武フェニックス」の愛称をもっていた。
アジアサッカー連盟 (AFC) からは「プロ選手によるクラブチーム」とみなされていないこともあり、現状ではAFCチャンピオンズリーグへの出場資格を満たす成績を挙げても参加できない。このことから、2012年9月11日、韓国サッカー連盟は、尚州尚武の2部降格を決めた[1]。ただこの段階では降格先のカテゴリーが「(プロのみの1・2部制導入の場合の)Kリーグの2部」なのか、Nリーグ(現在の2部相当に当たるアマチュアリーグ)なのかは未定だったが、これに反発する形で体育部隊は2日後の9月13日、尚武のKリーグの残りシーズン全試合のボイコットと2013年以降のKリーグ脱退・アマチュアチームへの移行を発表[2]。その後連盟とクラブとの交渉の結果、クラブを軍から独立させることを条件に2部リーグのKリーグチャレンジに参加することとなった[3]。これに伴い尚武の愛称である「フェニックス」の名が外された。
2013年、Kリーグチャレンジで優勝し、江原FCとの入れ替え戦に出場。2戦合計4-2で勝利し、2014年のKリーグクラシックに昇格。しかし2014年の同リーグで最下位となり、1年で再びKリーグチャレンジに降格。2015年のKリーグチャレンジで再び優勝し、再々昇格を果たした。
2020年シーズンはKリーグ1で過去最高の4位という好成績を収めたが、縁故地契約の終了により2021年から尚武は慶尚北道金泉市にサッカークラブを設立することになったため、Kリーグの規定により新クラブはKリーグ2へ降格となった。
金泉尚武FC時代(2021年〜2025年)
[編集]尚武は新たに慶尚北道金泉市と縁故地契約を締結し[4]、2021年より同市に金泉尚武FC(キムチョン・サンムFC、韓国語: 김천 상무 FC、英語: Gimcheon Sangmu Football Club)を設立した。実質的に移転とはいえ法的には新規クラブ設立とKリーグ新規入会となるため、Kリーグの規定によりKリーグ2からのスタートになった。
しかし、2021年シーズンは2022 FIFAワールドカップ・アジア3次予選の代表メンバーにKリーグのクラブから最多となる4名(具聖潤、鄭昇炫、朴志洙、曺圭成)が選ばれる[5] など強力なスカッドを擁し、10月17日にアウェーの富川FC 1995戦に1-0で勝利したことでKリーグ2優勝を早々と決めて、1年でのKリーグ1復帰を果たした[6][7]。
2024年シーズンはKリーグ1で尚武史上最高となる3位でシーズンを終えた。
なお、尚武と金泉市の縁故地契約は2025年までとなっている。
不祥事
[編集]尚州移転後の2011年7月9日、FCソウル戦で4人中3人のゴールキーパーが八百長問題(Kリーグ八百長事件)で検察に呼ばれ、残りの1人は出場停止となったため、ディフェンダー登録の選手がゴールキーパーとして出場することとなった[8]。ゴールキーパー登録以外の選手がゴールキーパーで出場するのはKリーグ初となった。この日、尚武の監督李壽澈は、八百長問題の緊急会議のためにベンチ入りできなかったが2日後の11日、李が八百長に関与した選手の父母から金をゆすり取ったとして逮捕された[9]。2011年10月18日、李が自殺した[10]。
タイトル
[編集]国内タイトル
[編集]- 大統領杯:1回
- 1984年
- 全国サッカー選手権大会:1回
- 1996年
過去の成績
[編集]シーズン | ディビジョン | 韓国FAカップ | チャンピオンシップ | ||||||||
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リーグ | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 得 | 失 | 点 | 順位 | |||
2003 | Kリーグ | 44 | 13 | 7 | 24 | 41 | 60 | 46 | 10位 | ベスト16 | 資格なし |
2004 | Kリーグ | 24 | 6 | 11 | 7 | 18 | 20 | 29 | 8位 | 準々決勝敗退 | 資格なし |
2005 | Kリーグ | 24 | 4 | 5 | 15 | 23 | 38 | 17 | 13位 | ベスト16 | 資格なし |
2006 | Kリーグ | 26 | 5 | 8 | 13 | 17 | 29 | 23 | 14位 | ベスト16 | 資格なし |
2007 | Kリーグ | 26 | 2 | 6 | 18 | 14 | 44 | 12 | 14位 | ベスト16 | 資格なし |
2008 | Kリーグ | 26 | 3 | 7 | 16 | 22 | 46 | 16 | 14位 | 準々決勝敗退 | 資格なし |
2009 | Kリーグ | 28 | 9 | 3 | 16 | 33 | 40 | 30 | 11位 | ベスト16 | 資格なし |
2010 | Kリーグ | 28 | 3 | 10 | 15 | 17 | 43 | 19 | 14位 | 準々決勝敗退 | 資格なし |
2011 | Kリーグ | 30 | 7 | 8 | 15 | 36 | 53 | 29 | 14位 | ベスト16 | 資格なし |
2012 | Kリーグ | 44 | 7 | 6 | 31 | 29 | 74 | 27 | 16位 | ベスト16 | 大会なし |
2013 | Kチャレンジ | 35 | 23 | 8 | 4 | 65 | 30 | 77 | 1位 | ベスト16 | |
2014 | Kクラシック | 38 | 7 | 13 | 18 | 39 | 62 | 34 | 12位 | 準決勝敗退 | |
2015 | Kチャレンジ | 40 | 20 | 7 | 13 | 77 | 57 | 67 | 1位 | 3回戦敗退 | |
2016 | Kクラシック | 38 | 12 | 7 | 19 | 54 | 65 | 43 | 6位 | ベスト32 | |
2017 | Kクラシック | 38 | 8 | 11 | 19 | 41 | 66 | 35 | 11位 | 準々決勝敗退 | |
2018 | Kリーグ1 | 38 | 10 | 10 | 18 | 41 | 52 | 40 | 10位 | ベスト32 | |
2019 | Kリーグ1 | 38 | 16 | 7 | 15 | 49 | 53 | 55 | 7位 | 準決勝敗退 | |
2020 | Kリーグ1 | 27 | 13 | 5 | 9 | 34 | 36 | 44 | 4位 | ベスト16 | |
2021 | Kリーグ2 |
現所属メンバー
[編集]注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルールに基づく。
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歴代監督
[編集]- 金永培 1984
- チャン・ジョンデ 1985.1-7
- 金永培 1985.7-1989
- 李康助 1990-2010.10
- 李壽澈 2010.10-2011.7
- 金泰完 2011.7-12(代行)
- 朴恒緒 2012-2015
- 趙眞浩 2016
- 金泰完 2017-2022
- ソン・ハンス 2022(代行)
- 鄭正溶 2023-
歴代所属選手
[編集]
脚注
[編集]- ^ “Kリーグ:尚州尚武、来年から2部リーグでプレー”. 朝鮮日報. (2012年9月12日). オリジナルの2012年9月13日時点におけるアーカイブ。 2024年3月15日閲覧。
- ^ “Kリーグ:軍人チームの尚武、アマチュアに転向へ”. 朝鮮日報. (2012年9月14日). オリジナルの2012年9月16日時点におけるアーカイブ。 2024年3月15日閲覧。
- ^ “Kリーグ:尚武一転「来年は2部リーグで」”. 朝鮮日報. (2012年9月25日). オリジナルの2012年9月25日時点におけるアーカイブ。 2024年3月15日閲覧。
- ^ ユ・ジホ (2020年6月30日). “Gimcheon city seeks to host military football club”. 聯合ニュース. 2021年1月15日閲覧。
- ^ “Kリーグの“ミリタリークラブ”金泉尚武から韓国代表に最多4名が選出”. Goal.com. (2021年9月3日) 2021年10月24日閲覧。
- ^ “元札幌ク・ソンユンらも活躍!韓国の軍隊チーム「金泉尚武」が2部優勝、1年で1部復帰決定”. スポーツソウル (2021年10月18日). 2021年10月24日閲覧。
- ^ “1部昇格禁止を求める声も…韓国Kリーグの軍隊チーム「金泉尚武」2部優勝をめぐる“明”と“暗””. スポーツソウル (2021年10月20日). 2021年10月24日閲覧。
- ^ “急造キーパーで公式戦=八百長捜査でGK不在に―韓国サッカー”. 時事通信. (2011年7月9日) 2011年7月13日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “選手の親を恐喝、監督逮捕=八百長ネタに―韓国サッカー”. 時事通信. (2011年7月11日) 2011年7月13日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “Korean military team's ex-coach found dead”. ロイター. (2011年10月19日). オリジナルの2011年10月26日時点におけるアーカイブ。 2024年3月15日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- 金泉尚武FC (gimcheonsangmu) - Facebook
- 金泉尚武FC (@SANGJUSANGMU) - X(旧Twitter)
- 金泉尚武FC (@gimcheonfc) - Instagram
- 金泉尚武FC - YouTubeチャンネル