広小路通 (名古屋市)
広小路通(ひろこうじどおり)は、名古屋市内にある大通りの一つで、中村区名駅南の笹島交差点から千種区東山通の東山公園前交差点(名古屋市営地下鉄東山線の東山公園駅)まで市内を東西に横断する道路(愛知県道60号名古屋長久手線の名古屋市内中心部区間)であり、名古屋を代表するメインストリートである[注釈 1]。
一部区間では、沿線の町名にちなんで「覚王山通」や「末盛通」と呼ばれることがある。東山公園前交差点より東側は「東山通」と呼ばれ[注釈 2]、東名高速道路名古屋インターチェンジなどを経て長久手市との境界に至る。起点から千種区池下までは名古屋市道錦通が北側に並行している。錦通との並行区間には地下鉄の駅(伏見駅・栄駅・今池駅・池下駅のみ)出入口があるが、この道路の下を地下鉄は通っていない[注釈 3]。一方で本路線の東山丘陵を通る区間でもある東山線覚王山駅から東山公園駅まではこの道路の下を通る[注釈 4]。
由来
[編集]名古屋のメインストリート広小路通は、もともと清洲越しの際に碁盤割南端に敷設され、当初は堀切筋と呼ばれていた。また、当初は東西で久屋町 - 長者町間しかなかった。その後、1660年(万治3年)正月、名古屋城下の半分を焼き尽くした万治の大火(左義長火事)が起き、これを機に、道幅が3間(約5.5m)から約15間(約27.27m)に広げられた。これにより、広小路と呼ばれるようになった。この際に広小路の中央部を掘って堀川と繋ぐ運河の計画が立てられたが、実行には移されなかった[1]。
現在では名古屋市中心部と名古屋市の東の玄関口である東名高速道路の名古屋インターチェンジを[注釈 5]、そしてさらに東のグリーンロード[注釈 6]を経由して日進市北部や瀬戸市南部、豊田市北部[注釈 7]方面などを繋ぐ東西の大動脈として機能する目抜き通りとなっている。
名称
[編集]広小路通は場所によって様々な呼び名がある。
西端 | 東端 | 呼称 |
---|---|---|
名古屋駅 | 池下駅周辺 | 広小路通(名古屋市中村区・中区・千種区) |
池下駅周辺 | 覚王山駅周辺 | 覚王山通(名古屋市千種区) |
覚王山駅周辺 | 本山駅周辺 | 末盛通(名古屋市千種区) |
東山公園駅周辺 | 「大久田東」交差点[注釈 8] | 東山通(名古屋市千種区・名東区・長久手市) |
東山通から県道名古屋長久手線に変わる場所は市民の間で一定せず、星ヶ丘駅周辺・上社駅または本郷駅周辺・長久手市内などまちまちである。また、上記を使わず全体(あるいは名古屋駅より東側)を「広小路通」及び「東山通」と呼ぶことも多い[注釈 9]。また「東山通」の呼称を使わずに「広小路通」「グリーンロード」と呼ぶ事例も主に名東区や長久手市で見られる[注釈 10]。ごく稀に、名古屋市中心部 - 長久手市を東西に貫く大通りの総称として、長久手市の杁ヶ池交差点より東の愛知県道6号力石名古屋線も含めて「広小路通」と呼ぶことがある。
別称としては名東区東部(特に名古屋ICより東)や長久手市付近では主に豊田市・足助方面に向かう東向き車線を「グリーンロード」と呼称する住民もいる(名古屋ICより東を「グリーンロード」と呼んでいる例)。
交差する道路
[編集]交差する道路 | 交差する場所 | ||
---|---|---|---|
津島方面 | |||
愛知県道68号名古屋津島線(太閤通) | 中村区 | 名駅南 | 笹島交差点 |
名古屋市道愛知名駅南線(名駅通)[注釈 11] | |||
名古屋市道江川線(江川線) | 柳橋交差点 | ||
国道19号・22号(伏見通) | 中区 | 栄 | 広小路伏見交差点 |
名古屋市道本町線(本町通) | 広小路本町交差点 | ||
大津通 | 栄交差点 | ||
久屋大通 | 広小路久屋西交差点 広小路久屋東交差点 | ||
名古屋市道堀田高岳線(空港線) | 新栄 | 東新町交差点 | |
国道153号(葵町線) | 広小路葵交差点 | ||
名古屋市道赤萩町線 | 千郷町交差点 | ||
名古屋市道名古屋環状線(環状線) | 千種区 | 今池 | 今池交差点 |
愛知県道30号関田名古屋線 | 末盛通 | 末盛通交差点 | |
山手グリーンロード | 本山 | 本山交差点 | |
愛知県道60号名古屋長久手線(東山通) | 東山通 | 東山公園口西交差点 | |
長久手方面 |
交通量
[編集]- 名古屋市千種区東山通二丁目:44,073台(2005年度)[WEB 2]
備考
[編集]明治時代、日露戦争戦勝記念として現在の広小路本町交差点付近に広小路凱旋門が建設された[WEB 3]。
名古屋まつりの郷土英傑行列及び、中日ドラゴンズの優勝パレードは名駅前の笹島交差点から栄の広小路久屋東交差点までの区間を通行する。
1989年開催の世界デザイン博覧会を契機に、電線類地中化がなされた[WEB 4][注釈 12]。
大正から昭和初期にかけて、広小路通の納屋橋付近を散策することを銀ブラになぞらえて広ブラと称していたが、高度経済成長期に沿道に数多く存在した屋台が姿を消したのに伴って死語となった。しかし近年、沿道の商店街を中心に行政が協力し、その復活に向けた取り組みが行われている。
2007年8月26日の中日新聞朝刊によると、広小路伏見交差点(伏見通(国道19号)との交差点)より栄交差点(大津通との交差点)まで約800メートル区間を現行の車道4車線から2車線削り、遊歩道を増幅するという市の計画案が掲載された。増幅部には人工河川を流しヒートアイランド現象を防ぐ効果が期待されるが、年中混雑の激しい地域なだけに、近隣道路への影響が懸念されており、現在の計画は凍結状態のままである。
毎年10月下旬前後 - 翌年1月中旬前後にかけて、中村区の笹島交差点 - 中区の広小路葵交差点の区間が[注釈 13]、イルミネーションで彩られる[WEB 5]。
本路線のうち、中村区の笹島交差点 - 柳橋交差点と、中区の広小路本町交差点 - 東新町交差点は、名古屋市に4ヶ所ある[注釈 14]路上禁煙地区に指定されている[WEB 6]。
沿線の主な施設
[編集]中村区
[編集]中区
[編集]千種区
[編集]※ 名古屋市営地下鉄東山線 東山公園駅より東は東山通を参照。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ただし名古屋市道路認定図によれば、納屋橋 - 東新町交差点は市道広小路通との重複区間とされている。
- ^ 紛らわしいが、地名としての東山通は「東山公園前」交差点(ガスト東山公園店のあるあたり)より東を除いて広小路通沿いである。
- ^ ただし伏見・栄・今池では、それぞれ鶴舞線・名城線・桜通線が広小路通と交差する。
- ^ 厳密には同じ県道60号の「東山通」と呼ばれる区間の一社駅まで。
- ^ 実際東名ハイウェイバスの停留所のうち、名古屋インター・星ヶ丘・本山・千種駅前は広小路通(東山通)にバス停がある。
- ^ グリーンロードと呼ばれる区間のうち、長久手市の「杁ヶ池」交差点より西側は愛知県道60号、東側は愛知県道6号である。
- ^ 豊田市北部には、2005年に豊田市に吸収合併された旧藤岡町・小原村・足助町・旭町・稲武町をも含む。さらに猿投グリーンロードの終点である力石インターチェンジから国道153号(飯田街道)を経由した場合、奥三河や長野県南信地方の南信州地域とも結ばれる。
- ^ 交差点の北側は名東区宝が丘・照が丘、南側は長久手市熊田
- ^ この例のように名古屋ICより西を「広小路通」と呼ぶこともあるが、概ね名東区の一社駅付近より西で「広小路通」と呼ばれることが多くなる(この例以外にも多数あり)。
- ^ 名古屋市発行のパンフレットでも「広小路通」の名称を使うことがある[WEB 1]。
- ^ ただし笹島交差点の西行から名駅通へは右折出来ないため、広小路通の西行から名古屋駅前まで行く場合は、柳橋交差点を右折して江川線を北に少し走った後に錦通や桜通に入る必要がある。
- ^ 広小路通のみならず、愛知県道60号はグリーンロードと呼ばれる区間の長久手市の杁ヶ池交差点まで電線の地中化がなされている(名東区の本郷交差点 - 姫若交差点の東行を除く)。
- ^ なお同区間は、片側2車線の区間でもある。本路線は、広小路葵交差点より東は片側3車線になる(名東区の東名名古屋ICまで)。
- ^ 名駅・栄・金山・藤が丘
- ^ 同じ広小路通沿いの千種区東山通の地下鉄東山公園駅の真上にある東山ビルA棟は、かつてヤマハ東山ビルと呼ばれていた。東山ビルA棟に入居しているトクラス(旧・ヤマハリビングテック)ショールームが、かつてここにヤマハの拠点があったことを物語っている。
- ^ なお、星ヶ丘三越も同じく愛知県道60号(東山通)沿いにある。
出典
[編集]WEB
[編集]- ^ 例:いたかの森の案内[1] (PDF)
- ^ 平日24時間交通量(平成17年度道路交通センサス)
- ^ “明治時代の名古屋「広小路凱旋門」”. Network2010. 2015年2月16日閲覧。
- ^ “広小路通の歴史”. メイエキドットコム. 2015年2月16日閲覧。
- ^ 【愛知】近づく冬、街に輝き 名古屋の広小路通でイルミネーション点灯式
- ^ “路上禁煙地区”. 名古屋市. 2020年8月6日閲覧。
書籍
[編集]- ^ 名古屋市博物館 2010, p. 25.
参考文献
[編集]関連文献
[編集]関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 広小路ルネサンス(名古屋市公式サイト)