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戦慄の王女

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『戦慄の王女』
クイーンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1971年12月1972年6月-11月
デ・レーン・リー・スタジオ、トライデント・スタジオ
ジャンル ハードロック[1][2]
プログレッシブ・ロック[2]
ヘヴィメタル[2]
時間
レーベル イギリスの旗EMI(オリジナル盤)
パーロフォン(リイシュー盤)
アメリカ合衆国の旗エレクトラ・レコード(オリジナル盤)
キャピトル・レコードハリウッド・レコード(リイシュー盤)
日本の旗ワーナー・パイオニアエレクトラ(オリジナル盤)
東芝EMIユニバーサルミュージック(リイシュー盤)
プロデュース ジョン・アンソニー英語版ロイ・トーマス・ベイカー&クイーン
ルイ・オースティン(「ザ・ナイト・カムズ・ダウン」のみ)
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 全英 24位(ミュージック・ウィーク)
  • 全米 83位(ビルボード
  • 日本 52位(オリコン
  • ゴールドディスク
  • ゴールド(イギリス、アメリカ)
  • クイーン アルバム 年表
    戦慄の王女
    (1973年)
    クイーン II
    (1974年)
    『戦慄の王女』収録のシングル
    1. 炎のロックン・ロール
      リリース: 1973年7月6日
    2. ライアー
      リリース: 1974年2月14日(アメリカ)
    テンプレートを表示
    LPのA面

    戦慄の王女』 (Queen) は、イギリスロックバンド、クイーンのデビュー・アルバム。全英24位[3]、全米83位[4]を記録。

    本来なら「QUEEN」は「女王」と訳されるべきだが、本作の邦題では「王女」となっている。これについては当時のレコード会社の担当者が「雰囲気で『女王』の使用を避けた」ためと語っている[5]

    解説

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    1971年2月、ジョン・ディーコンが加入したことでメンバーが固まったバンドは、9月にデ・レーン・リー・スタジオ英語版の導入機材のテストを担当することと引き換えに、無料でデモテープを製作する権利を得る。ルイ・オースティンのプロデュースの元レコーディングが進められ、ここで「炎のロックンロール」、「グレイト・キング・ラット」、「ザ・ナイト・カムズ・ダウン」、「ライアー」、「ジーザス」が録音された。その後、バンドはマネージメント会社・トライデントと契約を結び、1972年夏頃からトライデント・スタジオにて、ジョン・アンソニーおよびロイ・トーマス・ベイカーのプロデュースの元、本格的なアルバム製作に取り掛かる。同スタジオではデヴィッド・ボウイローリング・ストーンズも作業しており、クイーンは空き時間にしかスタジオを使えなかったが、それでも1973年1月までにはほぼ完成した。本作に収録された楽曲は「ザ・ナイト・カムズ・ダウン」を除き、すべてトライデント・スタジオで録音されたものである。[6]

    何重にもオーバーダブされたコーラスやギター・オーケストレーションクラシック音楽を基調としたメロディ・ラインやドラマチックな曲展開など、クイーンのオリジナリティはこの時点ですでに備わっていたと言える。アルバムに「...and nobody played synthesizer(誰もシンセサイザーを演奏していない)」と明記されているのも、彼らのサウンドへの強い自負の表れとも言えるが、この緻密な音造りは、プロデューサーのベイカーの影響が強い。[6]また、ディーコンの名前の表記が「ディーコン・ジョン」になっているが、これはクレジットミスではなく、メンバーの意図によるものである。だがディーコン本人が「俺の名前はジョン・ディーコンだ! 直してくれ!」と激怒したため、次作の『クイーン II』では「ジョン・ディーコン」に戻されている[6]

    ジャケット

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    ジャケット・デザインはフレディ・マーキュリーブライアン・メイ、そしてジャケット写真を撮影したダグラス・パディフットによる。表ジャケットのバンドのロゴはマーキュリーがデザインした[7]。ジャケットのデザインは基本的に全世界共通だが、国によっては色合いやバンドのロゴの位置が異なるものもあった[8]CD時代になってからは全てイギリス版のデザインに統一されている。

    評価

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    イギリスではリリースされた1973年のうちにはチャート・インすることはなく、次作『クイーンII』のヒットに乗る形で1974年3月30日付で47位に初ランクイン、1976年2月7日付および2月21日付の24位が最高位である[3]。アメリカではイギリスよりも早くチャート・インしたが83位に留まった(1974年2月2日付)[4]

    リリース当初のイギリスでは、複雑な曲構成やふんだんに使用されたエフェクトが批評家筋から嫌われ、中には「こんなものが売れたら帽子でも何でも食ってやる」と叩く批評家もいたが、アメリカではおおむね高評価を受けた。ローリング・ストーン誌は「このファンキーでエネルギッシュなイギリスの4人組は、レッド・ツェッペリンが放棄したヘヴィメタルの王座を狙えるだけのツールがあり、ロック界に大きな影響を与える勢力になることは疑いようがない」と賞賛し[9]、ウィニペグ・フリープレスも「彼らは一番新しいイギリスのスーパースター候補である。彼らが大きな成功を収めても驚かない」とバンドを称えた[10]

    メンバーの自己評価はあまり高くなく、メイは「製作に時間がかかりすぎ、アルバムを出す頃には音楽シーンが大きく変わってしまった。ちょっと期待外れだったね」[11]と語り、ロジャー・テイラーも「気に入らない点はたくさんあるよ…ドラムの音とかね」[12]と不満を漏らしている。

    リイシュー

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    1994年パーロフォンよりデジタルリマスター版が、2001年には日本限定で24ビットデジタルリマスター版がリリースされた。2011年ハリウッド・レコードより最新リマスター版を発表。リミテッド・エディションのボーナスEPには、これまで未発表だった1971年にデ・レーン・リー・スタジオで録音されたデモ音源が収録された。

    収録曲

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    特記を除き、リード・ボーカルはフレディ・マーキュリーが担当。

    アナログA面
    #タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
    1.炎のロックンロール(Keep Yourself Alive)ブライアン・メイ 
    2.ドゥーイング・オール・ライト(Doing All Right)メイ、ティム・スタッフェル 
    3.「グレイト・キング・ラット」(Great King Rat)フレディ・マーキュリー 
    4.マイ・フェアリー・キング(My Fairy King)マーキュリー 
    アナログB面
    #タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
    1.ライアー(Liar)マーキュリー 
    2.「ザ・ナイト・カムズ・ダウン」(The Night Comes Down)メイ 
    3.「モダン・タイムス・ロックン・ロール」(Modern Times Rock'n'Roll)ロジャー・テイラーテイラー
    4.「サン・アンド・ドーター」(Son and Daughter)メイ 
    5.「ジーザス」(Jesus)マーキュリー 
    6.輝ける7つの海(インストゥルメンタル)」(Seven Seas of Rhye...)マーキュリー 
    ボーナストラック (1991 ハリウッド・レコード)
    #タイトル作詞・作曲時間
    7.マッド・ザ・スワイン(Mad the Swine)マーキュリー
    8.「炎のロックンロール (ロング・ロスト・リテイク)」(Keep Yourself Alive (long lost re-take))メイ
    9.「ライアー (1991 ボーナス・リミックス)」(Liar (1991 Bonus Remix))マーキュリー
    2011 ボーナスEP
    #タイトル作詞・作曲時間
    1.「炎のロックンロール(デ・レーン・リー・スタジオ・デモ 1971/12)」(Keep Yourself Alive (De Lane Lea Demo, December 1971))メイ
    2.「ザ・ナイト・カムズ・ダウン(デ・レーン・リー・スタジオ・デモ 1971/12)」(The Night Comes Down (De Lane Lea Demo, December 1971))メイ
    3.「グレイト・キング・ラット(デ・レーン・リー・スタジオ・デモ 1971/12)」(Great King Rat (De Lane Lea Demo, December 1971))マーキュリー
    4.「ジーザス(デ・レーン・リー・スタジオ・デモ 1971/12)」(Jesus (De Lane Lea Demo, December 1971))マーキュリー
    5.「ライアー(デ・レーン・リー・スタジオ・デモ 1971/12)」(Liar (De Lane Lea Demo, December 1971))マーキュリー
    6.「マッド・ザ・スワイン」(Mad the Swine (June 1972))マーキュリー

    パーソネル

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    ※特記なき限り、アルバム記載のクレジットに準拠

    クイーン

    スタッフ

    出典

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    1. ^ Erlewine, Stephen Thomas. AllMusic review. 2019年1月3日閲覧
    2. ^ a b c McPadden, Mike (2014年12月14日). “Was Hard Rock’s Class of 1973 The Greatest Of All Time?”. VH1. http://www.vh1.com/news/54294/hard-rocks-class-of-1973/ 2019年1月3日閲覧. "Queen’s first is a burly, brawling cauldron of prog rock and heavy metal" 
    3. ^ a b Queen | full Official Chart History | Official Charts Company
    4. ^ a b Queen Chart History | Billboard
    5. ^ 別冊宝島987号「クイーンを聴け!」. 宝島社. (2004-02-29). ISBN 978-4796639897 
    6. ^ a b c 2001年版リイシューCDの吉田俊宏による解説より。
    7. ^ QueenOnline.com - Music
    8. ^ Queen - Queen (Vinyl, LP, Album) at Discogs 2018年4月18日閲覧
    9. ^ Queen - Rolling Stone 2018年4月18日閲覧
    10. ^ Queen Interviews - Queen - 01-05-1974 - Queen - Winnipeg Free Press - Queen Archives: Freddie Mercury, Brian May, Roger Taylor, John Deacon, Interviews, Articles, Reviews 2018年4月18日閲覧
    11. ^ Queen Interviews - Brian May - 08-XX-1973 - Guitar Magazine - Queen Archives: Freddie Mercury, Brian May, Roger Taylor, John Deacon, Interviews, Articles, Reviews 2018年4月18日閲覧
    12. ^ Queen Interviews - Roger Taylor - 12-XX-1974 - Sounds - Queen Archives: Freddie Mercury, Brian May, Roger Taylor, John Deacon, Interviews, Articles, Reviews 2018年4月18日閲覧
    13. ^ ノン・クレジット。

    外部リンク

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