日テレ系リアルタイム配信
日テレ系リアルタイム配信は日本の放送法による「放送局」ではないため、「放送する」のような言い回しの使用はせず、「配信する」のような言い回しを使用するようにしてください。(2022年4月) |
日テレ系リアルタイム配信(ニッテレケイリアルタイムハイシン)は、日本テレビ放送網(日テレ)による常時同時配信・見逃し番組配信サービスの名称である[1]。
2020年10月3日19時から同年12月30日21時まで讀賣テレビ放送(ytv)、中京テレビ放送(CTV)の3社が共同でトライアルサービスを行い、2021年10月2日19時から日本テレビ単独で正式サービスを開始した[1][2][3][4]。
本項目では、トライアルサービス時並びに2021年10月2日から2022年3月31日までのサービス名称であった『日テレ系ライブ配信』(ニッテレケイライブハイシン)についても併せて述べる[1][2]。
概要
[編集]イギリス・英国放送協会(BBC)とITVが2008年からテレビ放送の同時配信サービスを開始したのを皮切りとして、世界各国の放送局が相次いで同時配信サービスを開始したが、日本では著作権法や採算上の問題、系列局(地方局)への配慮などから、日本テレビを始めとする、民放各社はこれまでテレビ番組のインターネット同時配信に慎重であった[5][6]。
しかし、テレビ離れが急速に進んでいることや2020年3月に日本放送協会(NHK)がNHKプラスのサービスを開始させることを受けて、日本テレビなどの在京民放5社でも同年秋にインターネット同時配信を始める方針で関係各所と調整していることが同年2月に報じられた[5][6]。
トライアルサービス
[編集]日本テレビは2020年7月27日に行われた定例記者会見において、同年10月から同局にて放送している番組をインターネットでも試行的に同時配信する予定であることを同局社長の小杉善信が発表した[7][8]。
2020年9月17日、日本テレビと系列局の読売テレビ、中京テレビは2020年10月3日から3か月間、日本テレビ(地上波)放送番組のネット同時配信試験サービスを実施することを発表した[2]。日本テレビなどの民放各社が共同で運営している動画配信サービス「TVer」にて、ゴールデン・プライムタイムにレギュラー放送されている32番組のライブ配信を行うことを発表した[9][10]。また、TVerでこれらの番組の見逃し配信も提供することを合わせて発表した[注 1][2]。
同時配信の対象は当初発表の時点では19時台から22時台としていたが[8]、後に月曜日-金曜日は23・24時台、土曜日と日曜日は23時台の番組も対象になった[12]。また、配信番組にはジャニーズ事務所所属タレントがレギュラー出演している番組(『I LOVE みんなのどうぶつ園』・『嵐にしやがれ』・『ザ!鉄腕!DASH!!』など)や、系列局の読売テレビと中京テレビが制作している番組(『プラチナイト』[注 2]・『秘密のケンミンSHOW極』・『ダウンタウンDX』)も含まれていた[12]。
一方、当該時間帯の番組でも一部の特別番組や権利処理が難しい番組(『世界まる見え!テレビ特捜部』・『金曜ロードSHOW!』・『おしゃれイズム』など)、一部のプロ野球中継[注 3]、一部のローカルセールス枠の番組(『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』・『新・日本男児と中居』・『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』)、ミニ番組(『心に刻む風景』・『ワーズハウスへようこそ』・『夢の通り道』など)については同時配信の対象外となる[12]。
2020年12月28日、日本テレビとTVerは同年12月30日21時に本トライアルサービスを終わらせる事を発表し、同日にて予定通り終了した[注 4][4]。今後、本トライアルサービスにて得られたデータの分析やフィードバックを行った上で、2021年以降に本格運用するかどうかを判断するとしていた[14][15]。なお、トライアルサービス終了後も全国高等学校サッカー選手権大会などのスポーツ中継や、読売テレビ制作の関西ローカル番組『ytv漫才新人賞』で同時配信を実施している[16][17]。
正式サービス
[編集]日本テレビは2021年10月2日19時から正式サービスを開始することを発表した。トライアルサービス時とは異なる点もあり、配信対象外となっていた『世界まる見え!テレビ特捜部』と『博士は今日も嫉妬する 人生が楽しくなる最新テクノロジー』[注 5]、『おしゃれクリップ』[注 6]が新たに配信対象番組に追加される一方、サービス開始時は月曜日-金曜日の23・24時台に放送している番組(『news zero』[注 7]・『プラチナイト』・『MUSIC BLOOD』[注 8])が配信対象外となった[1]。また、ローカルセールス枠の番組(『ニノさん』・『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』)も引き続き配信対象外となる[1][注 9]。なお、中京テレビ制作の番組である『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』[注 10]や読売テレビ制作の番組(『秘密のケンミンSHOW極』・『ダウンタウンDX』)も正式サービス開始当初は配信対象外であったが、『オモウマい店』は2021年12月7日放送回より、読売テレビ制作2番組は2022年4月14日放送回から配信対象番組に追加された[1][20][21]。
2022年4月1日からサービス名称を「日テレ系リアルタイム配信」に変更することを同年3月31日に発表した[21]。
特徴
[編集]配信画面
[編集]日テレ系リアルタイム配信のみ、当初は透かし(ウォーターマーク)が挿入されていなかったが、2022年5月9日頃より右上に「日テレ系リアルタイム配信」と透かし(ウォーターマーク)が挿入されている。
待機画面
[編集]待機画面ではかつて日本テレビの局名告知として放送していた「鳩の休日」に登場する鳩が表示されている[15]。
差し替え
[編集]地上波にてCMが放送されていたり、同時配信においての権利が得られなかった映像を配信する場合は、別の映像に差し替えたり、権利上の問題で配信できない旨のメッセージ(ふたかぶせ)が表示される[3][22]。
システム
[編集]映像差し替えなどの処理は日本電気(NEC)が開発した「地上波ライブ配信エンコーダソリューション」やPLAYが開発したCloud Playout(AWS)「PLAY KRONOS」によって行われていた[22][23]。
対象機器
[編集]トライアルサービス・正式サービス時共にスマートフォン・タブレット・PCに対応。なお、TVerのテレビアプリやAmazon Fire TV・Chromecastを介した視聴は出来ない[1][2]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 一部番組を除く。また、有料動画配信サービスであるHuluにて見逃し配信を行う番組もある。見逃し配信の対象となる番組は日本テレビの番組表にて確認できる[11]。
- ^ 『それって!?実際どうなの課』(中京テレビ制作)・『「任意同行」願えますか?』(読売テレビ制作)が該当。
- ^ 2020年の日本シリーズが該当。なお、公式戦については本サービス開始前の2019年8月から読売ジャイアンツ主催の一部試合において、ライブ配信をTVerにて実施している[13]。
- ^ 2020年12月31日(大晦日)のゴールデン・プライムタイムは配信対象外番組である『ガキの使い!大晦日年越しSP 絶対に笑ってはいけない大貧民GoToラスベガス24時!』を放送するため。
- ^ 2021年4月からレギュラー放送を開始。この番組のみ18時台に放送されているが、同時配信の対象となる。なお、トライアルサービス実施時に放送されていた前番組の『POWERフレーズ』は同時配信していなかった。
- ^ 2021年10月からレギュラー放送を開始。『おしゃれイズム』の後継番組。
- ^ ただし、2021年10月31日に行われた第49回衆議院議員総選挙並びに2022年7月10日に行われた第26回参議院議員通常選挙の開票特別番組として放送された『news zero』の特番である『zero選挙』は『Going!Sports&News』短縮版の部分を除く全編が例外として本サービスでも配信された[18][19]。
- ^ 2021年4月からレギュラー放送を開始。トライアルサービス実施時に同時配信されていた『アナザースカイII』の放送枠における次番組。
- ^ さらに、通常は同時配信されている『沸騰ワード10』(金曜夜)についても、19:00開始の2時間スペシャルとなる場合は一部地域でそれが19:56から日本テレビからの裏送り送出による約1時間の編集短縮版で放送されることに配慮して同時配信が行われない(放送終了後の見逃し配信は通常通り実施)。一方、逆に通常は同時配信されていない『金曜ロードショー』についても、不定期に同枠でスペシャルドラマが放送される際は臨時に同時配信の対象番組となる場合がある。
- ^ 2021年4月からレギュラー放送を開始。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g “日本テレビはTVerで、地上波プライムタイムを中心に日テレ系ライブ配信を開始します。”. 日本テレビ放送網株式会社 (2021年9月17日). 2021年9月17日閲覧。
- ^ a b c d e “【日本テレビ・読売テレビ・中京テレビ】TVerで地上波プライムタイムのライブ配信にトライアル10月3日(土)よる7時スタート!”. 日本テレビ放送網株式会社・讀賣テレビ放送株式会社・中京テレビ放送株式会社 (2020年9月17日). 2020年9月20日閲覧。
- ^ a b “日本テレビ系、「同時配信」のテスト開始 プライム帯を中心に”. 産経新聞 (2020年10月3日). 2020年10月4日閲覧。
- ^ a b “日テレ系ライブは12/30(水)21時で終了いたします。”. 民放公式テレビポータル「TVer」 (2020年12月28日). 2020年12月28日閲覧。
- ^ a b “民放キー5局 今秋ネット同時配信へ 若者のテレビ離れ対応”. 東京新聞 (2020年2月2日). 2020年9月20日閲覧。
- ^ a b “日テレ同時配信開始で聞こえる電波返上の足音”. 東洋経済新報 (2020年9月17日). 2020年9月21日閲覧。
- ^ “2020年7月27日 日本テレビ 定例記者会見”. 日本テレビ放送網株式会社. p. 2 (2020年7月27日). 2020年9月20日閲覧。
- ^ a b “日テレ、10月からネット同時配信を試行へ”. 産経新聞 (2020年7月27日). 2020年9月20日閲覧。
- ^ “TVerで「有吉の壁」など32番組無料ライブ配信”. 日刊スポーツ (2020年9月17日). 2020年9月20日閲覧。
- ^ “2020年9月28日 日本テレビ 定例記者会見”. 日本テレビ放送網株式会社 (2020年9月28日). 2020年10月2日閲覧。
- ^ “番組表”. 日本テレビ. 2020年10月10日閲覧。
- ^ a b c “日テレ系プライムタイム番組が「TVer」でライブ配信 10・3から3ヶ月トライアル実施”. ORICON NEWS (2020年9月17日). 2020年9月21日閲覧。
- ^ “日テレがプロ野球中継を「TVer」で初生配信 8・10巨人VSヤクルトなど4試合”. デイリースポーツ (2019年8月9日). 2021年2月20日閲覧。
- ^ “2020年11月30日 日本テレビ 定例記者会見”. 日本テレビ放送網株式会社. p. 2 (2020年11月30日). 2020年12月31日閲覧。
- ^ a b “民放で日テレだけが地上波プライムタイムの番組をネット同時配信する狙い”. 週刊新潮 (2020年10月13日). 2020年10月13日閲覧。
- ^ “高校サッカー地区決勝と全国大会をTVer無料配信”. 日刊スポーツ (2020年10月31日). 2021年9月18日閲覧。
- ^ “「漫才Loversスペシャル 第10回ytv漫才新人賞決定戦」 ライブ配信トライアルについて”. フロムYTV (2021年2月17日). 2021年9月18日閲覧。
- ^ “日テレ系配信【公式】@ntv_streamのツイート”. Twitter (2021年10月31日). 2021年11月1日閲覧。
- ^ “民放各局系列の参議院議員選挙特番をTVerでリアルタイム配信”. TVerPLUS (2022年7月10日). 2022年7月11日閲覧。
- ^ “『ヒューマングルメンタリーオモウマい店』12月7日(火)よる7時よりTVerでリアルタイム配信スタート”. 中京テレビ放送株式会社 (2021年12月3日). 2021年12月19日閲覧。
- ^ a b “『秘密のケンミンSHOW極』『ダウンタウンDX』4月14日(木)よる9時よりTVerで新たにリアルタイム配信スタート”. 日本テレビ放送網株式会社 (2022年3月31日). 2022年3月31日閲覧。
- ^ a b “NEC、日本テレビに「地上波ライブ配信エンコーダソリューション」を納入”. 日本電気株式会社 (2020年9月17日). 2020年10月4日閲覧。
- ^ “日本テレビ放送網株式会社、日テレ系ライブ配信トライアルにおいてAWSを利用したCloud Playoutを実現”. Amazon Web Services (2021年1月18日). 2021年2月3日閲覧。