気管支ブロッカー
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気管支ブロッカー(きかんしブロッカー、英: bronchial blockerまたは英: endobronchial blocker)とは、気管挿管後に気管チューブに挿入し、肺の右主気管支または左主気管支を閉塞させることで、胸部手術において肺の片側だけの換気(分離換気)をできるようにする器具である。閉塞部より遠位の手術側の肺組織が萎むため、術野が確保でき、胸腔内の臓器の手術操作が容易になる。
気管支ブロッカーは、ダブルルーメン気管支チューブ(DLT)の代替として、分離換気のために使用される。小児や小柄な患者では、最小のDLTでも太すぎる可能性があるために選択される[1]。
→「ダブルルーメン気管支チューブ」も参照
分類
[編集]ユニベントチューブ
[編集]富士システムズ社(東京)製のこの気管チューブは、気管支ブロッカーと一体となっている[2]。ブロッカー単体も独立して販売されている[1]。
アーント(Arndt)気管支ブロッカー
[編集]米国ブルーミントンのクック・クリティカル・ケア社が製造するこのカテーテルは、先端にバルーンと吸引用のルーメンを持ち、気管支ファイバーに装着して目標気管支に誘導できるよう、柔軟なワイヤーを内蔵している[1]。
コーエン気管支ブロッカー
[編集]クック・クリティカル・ケア社製のこのブロッカーは、遠位側の柔らかい先端にバルーンを備えたカテーテルであり、気管支のどちらかにデバイスを誘導するために先端を90°まで曲げることができる[1]。
クーデック気管支ブロッカー
[編集]目標とする気管支への留置を容易にするため、ブロッカーの遠位先端部にあらかじめ角度がつけてある[3][4]。
EZブロッカー
[編集]米国テレフレックス社製、Y字型の気管支ブロッカーで、気管分岐部を跨ぐように設置され、2つのバルーンで左右どちらかの気管支を遮断できる[5]。
関連項目
[編集]脚注
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出典
[編集]- ^ a b c d Brodsky, J. B. (11 December 2009). “Lung separation and the difficult airway”. British Journal of Anaesthesia 103 (Supplement 1): i66–i75. doi:10.1093/bja/aep262. PMID 20007992.
- ^ 志賀隆、林寛之『必勝!気道管理術 ABCははずさない』学研メディカル秀潤、2015年、265頁。
- ^ Venkataraju, A; Rozario, C; Saravanan, P (April 2010). “Accidental fracture of the tip of the Coopdech bronchial blocker during insertion for one lung ventilation.”. Canadian Journal of Anesthesia 57 (4): 350–4. doi:10.1007/s12630-009-9261-0. PMID 20049575.
- ^ Ozaki, M; Murashima, K; Koga, K; Sata, T (April 2010). “Use of the Coopdech Bronchial Blocker as a tracheal tube introducer in a patient with difficult laryngoscopy”. Journal of Anesthesia 24 (2): 319–20. doi:10.1007/s00540-010-0890-9. PMID 20204422.
- ^ Mourisse, J.; Liesveld, J.; Verhagen, A.; van Rooij, G.; van der Heide, S.; Schuurbiers-Siebers, O.; Van der Heijden, E. (March 2013). “Efficiency, efficacy, and safety of EZ-blocker compared with left-sided double-lumen tube for one-lung ventilation”. Anesthesiology 118 (3): 550–61. doi:10.1097/ALN.0b013e3182834f2d. PMID 23299364.