ブチロフェノン
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ブチロフェノン | |
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1-Phenylbutan-1-one | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 495-40-9 |
PubChem | 10315 |
ChemSpider | 9893 |
UNII | 186I11WB5B |
ChEMBL | CHEMBL193524 |
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特性 | |
化学式 | C10H12O |
モル質量 | 148.20 g/mol |
外観 | 透明な液状 |
融点 |
12 °C, 285 K, 54 °F |
沸点 |
229 °C, 502 K, 444 °F |
水への溶解度 | poor |
危険性 | |
NFPA 704 | |
引火点 | 99 °C (210 °F; 372 K) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ブチロフェノン(Butyrophenone)は、化学物質である[1]。誘導体のいくつか(総称してブチロフェノン系と呼ばれる)は、制吐薬として用いられるとともに統合失調症等の精神疾患の治療に用いられる[2]。
ブチロフェノン系の薬には、以下のようなものが含まれる。
- アザペロン - 獣医学用に用いられる。
- トリペリドール[3][4] - 強い抗精神病薬である(クロルプロマジンの200倍強い)[5]。
- ドロペリドール[6] - 制吐剤、局所麻酔や全身麻酔の補助薬として用いられる[7]。
- ドンペリドン[8] - ブチロフェノンに由来するドーパミンアンタゴニストの制吐薬である(これ自体はブチロフェノン系ではない)。
- ハロペリドール[9] - ブチロフェノン系で最も広く使われている抗精神病薬である[2]。
- ベンペリドール - よく利用される抗精神病薬で最も強い(クロルプロマジンの200倍強い)[2]。
- メルペロン[10] - 弱い抗精神病薬である。ヨーロッパでは、不眠症、精神錯乱[注釈 1]、精神運動性激越、せん妄等の症状で、特に老齢の患者の治療によく用いられる。
- レンペロン[12]
- ルマテペロン - 2020年2月アメリカで販売開始。
非定型抗精神病薬のリスペリドン[13]はブチロフェノン系ではないが、ベンペリドールとケタンセリンの構造を元に開発された[要出典]。
出典脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ ドレ & ドニケル 1965, pp. 202–213
- ^ a b c Parker et al. 2006 : ISBN 0071422803
- ^ 深井 2008, p. 44 トリペリドール糖衣錠(吉富)
- ^ “トリフルペリドール | McN-JR-2498 | Trifluperidol | 4′-Fluoro-γ-[4-hydroxy-4-(α,α,α-trifluoro-m-tolyl)piperidinobutyrophenone | トリペリドール | Triperidol | サイコペリドール | P-459 R-2498 | Psicoperidol | プシコペリドール]”. jglobal.jst.go.jp. 化学物質情報. J-GLOBAL. 2024年6月8日閲覧。
- ^ 山本 et al. 1977, pp. 45–49
- ^ 深井 2008, p. 4
- ^ “麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3版 III 静脈関連薬”. 日本麻酔科学会. p. 90. 2024年7月7日閲覧。
- ^ 深井 2008, p. 171
- ^ 深井, p. 44 デカン酸ハロペリドール / ハロペリドール
- ^ “メルペロン | メチルペロン | Melperon | Melperone | Methylperone | 1-(4-Fluorophenyl)-4-(4-methylpiperidin-1-yl)-1-butanone”. jglobal.jst.go.jp. 化学物質情報. J-GLOBAL. 2024年6月8日閲覧。
- ^ ウィクショナリー「混乱#4」
- ^ “Lenperone | レンペロン | 4′-Fluoro-γ-[4-(p-fluorobenzoyl)piperidinobutyrophenone | 1-(4-Fluorophenyl)-4-[4-(4-fluorobenzoyl)piperidino]-1-butanone]”. jglobal.jst.go.jp. Chemical Substance Information. J-GLOBAL. 2024年6月8日閲覧。
- ^ 深井 2008, p. 48
参考文献
[編集]主な執筆者、編者の順。
- ジャン・ドレ 、ピエール・ドニケル「第5章 新しい神経安定薬§神経安定薬の新しい群:ブチロフェノン類:ハロペリドール,ハロアニゾン,トリペリドール」『臨床精神薬理学』、紀伊国屋書店、1965年、202-213頁、doi:10.11501/1380882。国立国会図書館書誌ID:1068760。Delay, Jean。Deniker, Pierre。
- Parker, Keith; Brunton, Laurence; Goodman, Louis Sanford; Lazo, John S.; Gilman, Alfred (2006). Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (11 ed. ed.). New York: McGraw-Hill ISBN 0071422803
- 『グッドマン・ギルマン薬理書 : 薬物治療の基礎と臨床』 上、橋本敬太郎、赤池昭紀、石井邦雄、川西徹 監訳(第13)、廣川書店、2022年1月。ISBN 978-4-567-49802-9、国立国会図書館書誌ID:032150248。原題『Goodman & Gilman's the pharmacological basis of therapeutics』13th edition、編者:Laurence L. Brunton, Randa Hilal-Dandan, Björn C. Knollmann。
- 『グッドマン・ギルマン薬理書 : 薬物治療の基礎と臨床』 下、橋本敬太郎、赤池昭紀、石井邦雄、川西徹 監訳(第13)、廣川書店、2022年1月。ISBN 978-4-567-49803-6、国立国会図書館書誌ID:032150247。
- 深井三郎 (2008-01). 近代医薬品の変遷史 : 薬効・系統・年次別. 新生出版ISBN 978-4-86128-240-9、国立国会図書館書誌ID:000009232087
- 山本覚次、本田範行、才野恂子、上野信也、錦織敏治、上野英高、平田潤一郎「向精神薬ブチロフェノン系薬物トリペリドールによると思われる白内障について」『眼科臨床医報』71巻第4号、眼科臨床医報会、1977年4月、45-49頁、doi:10.11501/3354459。、国立国会図書館書誌ID:4297-d3354459。