法称
表示
法称(ほっしょう、dharmakīrti 〈ダルマキールティ〉)は、7世紀中葉のインド仏教最大の知識論の学問僧。唯識派に分類される。デカン地方の出身とされるが、生没年は不詳である。活動期は、インドに留学した玄奘と義浄との中間にあたる。
履歴
[編集]イーシュヴァラセーナの弟子で、ナーランダー僧院で活動。[1]
著書
[編集]主要な著作は認識論・論理学にかかわるもので、「法称の七論」と称せられている。
- 『知識論評釈』Pramāṇavārttikaと第Ⅰ章に対する自注Pramāṇavārttikasvavṛtti
- 『知識論決択』Pramāṇaviniścaya
- 『正理一滴』Nyāyabindu
- 『証因一滴』Hetubindu
- 『論議の理論』Vādanyāya
- 『関係の考察』Sambandhaparīkṣā
- 『他人の存在の論証』Santānāntarasiddhi
業績
[編集]法称は陳那(ディグナーガ、480年-540年ころ)の知識論を継承し、さらにそれを発展させ、より確実な理論に高めた。法称以降の仏教およびインド哲学諸派の認識論と論理学(因明)に重大な影響を与えた。
たとえば、知覚と推理の区別を厳密に規定し、推論式の証因(しょういん、媒名辞〔ばいめいじ〕)の備えるべき3条件の理論を厳密化し、論理的に必然的な関係を同一性と因果性の2種に限定し、否定的推理の理論を完成し、陳那の唯名論的概念論をより発展させ、主辞(しゅじ)と賓辞(ひんじ)との遍充(へんじゅう)関係の相違に基づいて肯定命題を3種に分かつなど、画期的な業績をあげた。
脚注
[編集]- ^ 小野基「ダルマキールティ」、廣松渉・子安宣邦・三島憲一・宮本久雄・佐々木力・野家啓一・末木文美士編(1998)『岩波哲学・思想事典』岩波書店、p. 1044r
参考文献
[編集]この節の加筆が望まれています。 |
関連項目
[編集]- 唯識派
- 陳那
- 因明
- ラトナーカラシャーンティ(Ratnākaraśānti) - アティーシャの師の一人としても知られる
- プラジュニャーカラグプタ(Prajñākaragupta)
- ニヤーヤ学派
- 独我論
- ジョン・スチュアート・ミル
- モーシェ・ベン=マイモーン