すずらん (列車)
すずらん | |
---|---|
概要 | |
国 | 日本 |
種類 |
特急列車(東室蘭 - 札幌) 普通列車(室蘭 - 東室蘭) |
現況 | 運行中 |
地域 | 北海道 |
運行開始 | 1992年7月1日 |
運営者 | 北海道旅客鉄道(JR北海道) |
路線 | |
起点 | 室蘭駅・東室蘭駅 |
終点 | 札幌駅 |
使用路線 | 室蘭本線・千歳線・函館本線 |
技術 | |
車両 |
785系電車(札幌運転所) 789系1000番台電車(札幌運転所) |
軌間 | 1,067 mm |
電化 | 交流20,000 V・50 Hz |
最高速度 | 120 km/h |
すずらんとは、北海道旅客鉄道(JR北海道)が室蘭駅・東室蘭駅 - 札幌駅間を室蘭本線・千歳線・函館本線経由で運行する特別急行列車。室蘭駅 - 東室蘭駅間は各駅に停車し、この区間は普通列車として運行されている。
運行概況
函館駅 - 札幌駅間を結ぶ特急「北斗」・「スーパー北斗」と東室蘭駅 - 札幌駅間で運行経路が重複するが、本列車は「北斗」系統を補完して道央・道南地区の都市間輸送に重点を置いた性格となっており、「北斗」系統と比較して停車駅が多くなっている。
室蘭駅 - 東室蘭駅間は普通列車扱いとなり、各駅に停車する。これは、本列車のルーツであり、1992年6月30日まで同区間で運転されていた急行「ちとせ」・特急「ライラック」の運転系統を踏襲したものである。
定期列車は1日6往復が運行されており、東室蘭駅 - 札幌駅間を最高速度120km/h[1]、約1時間半で結ぶ。
停車駅
(室蘭駅 - 母恋駅 - 御崎駅 - 輪西駅) - 東室蘭駅 - 鷲別駅 - 幌別駅 - 登別駅 - 白老駅 - 苫小牧駅 - 沼ノ端駅 - 南千歳駅 - 千歳駅 - 新札幌駅 - 札幌駅
- 室蘭駅 - 東室蘭駅は普通列車として運行され、各駅に停車する[注 1]。この区間は全車自由席で、乗車券のみで乗車できる。
- 2016年3月26日のダイヤ改正で東室蘭駅 - 札幌駅のすずらんが1往復設定されている。
列車名/駅名 | 室蘭 | 母恋 | 御崎 | 輪西 | 東室蘭 | 鷲別 | 幌別 | 登別 | 白老 | 苫小牧 | 沼ノ端 | 南千歳 | 千歳 | 新札幌 | 札幌 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
すずらん 室蘭 - 札幌 (室蘭 - 東室蘭間普通) |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
すずらん(2号・5号) 東室蘭 - 札幌 |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
使用車両・編成
表・編・話・歴・PJR・PJRN・C | ||||||||||
すずらん | ||||||||||
← 室蘭 札幌 →
| ||||||||||
| ||||||||||
|
札幌運転所に所属する785系電車および789系電車(1000番台)の2系列が区別なく共通運用されている。いずれも5両編成で、4号車が指定席「uシート」、その他の4両は自由席となる。
なお、側面行先表示器の表示は、LED式の789系電車の場合、室蘭発は終着まで「特急すずらん」の表示。一方、札幌発は東室蘭駅まで「特急すずらん」、東室蘭駅で「普通 全車自由席」の表示に変わる。字幕式の785系電車では始発から終着まで「特急すずらん」の表示で、行先駅名表示の下に「東室蘭-室蘭間普通」の表示である。
- 過去の使用車両については下記「#運行系統の沿革」を参照。
臨時列車の設定
臨時列車として、土・日・祝日の夜21時台に札幌発の「すずらん」82号が設定されているが、2015年度春ダイヤでは設定されていない。
室蘭駅に近い室蘭市入江運動公園陸上競技場でJリーグ・北海道コンサドーレ札幌の試合が行われるのに合わせ、「すずらん」に準ずる運行形態で、臨時列車「コンサドーレ号」が運行される場合がある[2][3]。
沿革
列車名の沿革
- 1956年(昭和31年)11月19日:函館駅 - 札幌駅間を函館本線・千歳線・室蘭本線で結ぶ客車急行列車として「すずらん」が設定される。
- 1960年(昭和35年)4月1日:「すずらん」一等車2両を含むキハ55系気動車による編成に変更。運転時分は、蒸気機関車牽引の客車列車時代に比べ、約1時間の短縮となる。
- 同年10月1日:冬季の寒さ対策として「すずらん」の二等車をキハ22形気動車に置き換える。
- 1961年(昭和36年)日付不詳:上記の暫定的な措置がキハ56系の増備に伴い解消され、一、二等車共に北海道用の急行形気動車となる[4]。
- 1968年(昭和43年)10月1日:このときのダイヤ改正に伴い「すずらん」が6往復へと増発。
- 1980年(昭和55年)10月1日:「すずらん」は定期列車の運転を終了。臨時列車のみとなったが、夜行列車(8217・8218列車)は使用車両を14系客車とし、運転期間を繁忙期に限りながらも夜行快速「ミッドナイト」が運転開始される1988年(昭和63年)まで存続した。
- 1992年(平成4年)7月1日:「すずらん」が室蘭駅 - 札幌駅間のエル特急として名称復活。以下は「運行系統の沿革」を参照。
運行系統の沿革
ここでは、室蘭駅 - 札幌駅間の系統を含め、室蘭本線・千歳線を経由する列車で函館駅までの直通がないものを述べる。なお、函館駅までの直通系統については「北斗」の項目を、循環急行「いぶり」(札幌駅 - 伊達紋別駅 - (胆振線) - 倶知安駅 - 札幌駅)は「胆振線」を参照されたい。
国鉄時代
- 1950年(昭和25年)10月1日:室蘭駅 - 札幌駅間を運行する準急列車が設定される。この列車には翌1951年(昭和26年)に「エルム」の名称が与えられる。
- 1953年(昭和28年)5月16日:虻田駅(現在の洞爺駅) - 札幌間に準急列車が運行開始。後の準急「たるまえ」の前身に相当する。
- 1956年(昭和31年)11月19日:「エルム」に長万部駅発着編成を連結。なお、長万部駅 - 東室蘭駅間は普通列車として運行された。
- 1958年(昭和33年)10月1日:虻田駅 - 小樽駅に臨時準急列車「たるまえ」新設。
- 1959年(昭和34年)
- 1960年(昭和35年)4月22日:札幌駅 - 様似駅間を運行する準急列車として「日高」(ひだか)運転開始。
- 1961年(昭和36年)10月1日:このときのダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
- 1963年(昭和38年)6月1日:臨時準急「えりも」が定期化される。
- 1965年(昭和40年)10月1日:豊浦駅・洞爺駅 - 札幌駅間に準急列車として「とうや」新設。
- 1966年(昭和41年)
- 1972年(昭和47年)3月15日:「とうや」を「ちとせ」に統合。また、「えりも」下り3号・上り1号の静内駅 - 様似駅間を普通列車に格下げ。「えりも」は全列車が2両編成となる。
- 1980年(昭和55年)10月1日:室蘭駅 - 白石駅間電化完成および千歳空港駅(現在の南千歳駅)新設に伴うダイヤ改正により、室蘭駅 - 札幌駅 - 旭川駅間に781系電車による電車エル特急「ライラック」を新設。
- 1982年(昭和57年)11月15日:「ライラック」・「ちとせ」・「えりも」が新札幌駅に停車。
- 1985年(昭和60年)3月14日:「ライラック」の東室蘭駅 - 室蘭駅間を各駅停車の普通列車に格下げ。
- 1986年(昭和61年)
民営化後
- 1990年(平成2年)9月1日:「ちとせ」を「ライラック」に統合。「ちとせ」廃止。
-
キハ183系特急形気動車の代走 すずらん(1992年 長都駅付近にて)
2000年代の動き
- 2000年(平成12年)
- 2004年(平成16年)3月13日:「すずらん」全車禁煙化[7]。
- 2007年(平成19年)10月1日:「すずらん」の全列車を785系電車に置き換え、札幌駅 - 南千歳駅間の最高速度を130km/hに引き上げ[8][9]。また、「すずらん」全列車が沼ノ端駅に停車[9]。
2010年代の動き
- 2010年(平成22年)12月4日:10号の運転時刻を繰り上げる。同時に土休日やイベント開催時に運行される臨時列車1本(82号・改正前のすずらん10号の時間帯)が増発される[10]。「スーパーカムイ」などに使われていた789系1000番台が臨時列車として運用される。
- 2012年(平成24年)10月27日:「すずらん」1号の運転時刻を繰り下げる[11]。
- 2013年(平成25年)11月1日:ダイヤ改正により以下のように変更[1][12]。
- 2014年(平成26年)
- 2016年(平成28年)
- 2017年(平成29年)
列車愛称の由来
五十音順による
- 「エルム」:ニレ科の植物の総称。
- 「えりも」:襟裳岬から。
- 「すずらん」:北海道に多く見られる花のスズランから。
- 「たるまえ」:通過地付近にある樽前山から
- 「ちとせ」:通過地である千歳市・千歳線にちなむ。
- 「洞爺」・「とうや」:洞爺湖から。
- 「日高」(ひだか):日高支庁・日高本線から。
脚注
注釈
- ^ 「すずらん」は鷲別駅と幌別駅に停車するため、実質的には室蘭駅 - 幌別駅間が各駅停車となる。
出典
- ^ a b c "安全性向上に向けた輸送サービス抑制へのご理解について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 4 September 2013. 2013年9月5日閲覧。
- ^ "■「特急コンサドーレ号」の運転とお得な観戦ツアーの発売" (Press release). 北海道旅客鉄道. 20 February 2001. 2011年5月31日閲覧。
- ^ "6月12日「コンサドーレ札幌」の室蘭でのゲームに合わせ「臨時特急コンサドーレ号」を運転します!" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 10 May 2011. 2011年5月31日閲覧。
- ^ 急行「すずらん」 - 室蘭本線の華 北海道初の気動車急行 - Tetsudo.com(2015年10月20日閲覧)
- ^ その後「エルム」の列車愛称は、1969年(昭和44年)から1971年(昭和46年)までの函館 - 札幌間の気動車特急と、1989年(平成元年)2006年(平成18年)までの上野 - 札幌間の臨時寝台特急列車にそれぞれ使われている。
- ^ 『鉄道ジャーナル』第21巻第1号、鉄道ジャーナル社、1987年1月、49頁。
- ^ "平成16年3月ダイヤ改正について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 26 December 2003. 2014年7月5日閲覧。
- ^ "平成19年10月ダイヤ改正について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 11 July 2007. 2014年7月5日閲覧。
- ^ a b “「スーパーカムイ」デビュー”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (2007年10月2日)
- ^ "平成22年12月ダイヤ改正について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 24 September 2010. 2014年6月19日閲覧。
- ^ "平成24年10月ダイヤ改正について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 3 August 2012. 2014年7月5日閲覧。
- ^ "11月以降のダイヤについて" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 20 September 2013. 2014年7月5日閲覧。
- ^ "平成26年3月ダイヤ改正について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 20 December 2013. 2014年7月5日閲覧。
- ^ "平成26年8月ダイヤ改正について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 4 July 2014. 2014年7月5日閲覧。
- ^ 平成28年3月のダイヤ改正について
- ^ “平成29年3月ダイヤ改正について” (PDF). 北海道旅客鉄道 (2016年12月16日). 2016年12月16日閲覧。
関連項目
外部リンク
- “列車ガイド 特急すずらん”. 北海道旅客鉄道. 2018年8月15日閲覧。