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中央最低賃金審議会の目安に関する小委員会の議論では、経営者側が「中小企業の経営は厳しい」と連続での大幅引き上げに反対した一方、生活水準を底上げしたい労働者側は引き上げを強く要求。最終的に引き上げ率は、政権の意向に沿った形となり、2018年度にも全国で3%の賃上げが決まり、全国平均は874円に引き上げられた<ref>{{Cite news |url=http://news.naver.com/main/ranking/read.nhn?mid=etc&sid1=111&rankingType=popular_day&oid=055&aid=0000550659&date=20170720&type=1&rankingSeq=2&rankingSectionId=104|title=[월드리포트] 일본 알바생들이 최저임금과 함께 받는 것?|date =2017-07-20|accessdate=2017-07-26}}</ref><ref>{{Cite news |url=https://www.asahi.com/articles/ASL7R4FM1L7RULFA016.html|title=最低賃金、3年連続3%上げ 平均26円増の874円|newspaper = [[朝日新聞]]|date =2018-07-25|accessdate = 2018-12-05}}</ref>。2019年は、2016年以降、年率3%程度を目途として引き上げられてきたことを踏まえ、景気や物価動向を見つつ、中小・小規模事業者が賃上げしやすい環境整備の取組とあいまって、より早期に全国加重平均が1000円になることを目指すことを明記した<ref>{{Cite report|author=内閣府|date=2019-06-21|title=「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society 5.0』への挑戦~」(骨太方針2019) 概要(2ページ)|url=https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/summary_ja.pdf|format=PDF|accessdate=2019-06-22}}</ref>。
中央最低賃金審議会の目安に関する小委員会の議論では、経営者側が「中小企業の経営は厳しい」と連続での大幅引き上げに反対した一方、生活水準を底上げしたい労働者側は引き上げを強く要求。最終的に引き上げ率は、政権の意向に沿った形となり、2018年度にも全国で3%の賃上げが決まり、全国平均は874円に引き上げられた<ref>{{Cite news |url=http://news.naver.com/main/ranking/read.nhn?mid=etc&sid1=111&rankingType=popular_day&oid=055&aid=0000550659&date=20170720&type=1&rankingSeq=2&rankingSectionId=104|title=[월드리포트] 일본 알바생들이 최저임금과 함께 받는 것?|date =2017-07-20|accessdate=2017-07-26}}</ref><ref>{{Cite news |url=https://www.asahi.com/articles/ASL7R4FM1L7RULFA016.html|title=最低賃金、3年連続3%上げ 平均26円増の874円|newspaper = [[朝日新聞]]|date =2018-07-25|accessdate = 2018-12-05}}</ref>。2019年は、2016年以降、年率3%程度を目途として引き上げられてきたことを踏まえ、景気や物価動向を見つつ、中小・小規模事業者が賃上げしやすい環境整備の取組とあいまって、より早期に全国加重平均が1000円になることを目指すことを明記した<ref>{{Cite report|author=内閣府|date=2019-06-21|title=「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society 5.0』への挑戦~」(骨太方針2019) 概要(2ページ)|url=https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/summary_ja.pdf|format=PDF|accessdate=2019-06-22}}</ref>。


また、首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)のアルバイト平均時給は、2019年5月時点で、リクルートジョブスの調べでは1,092円(販売・サービス系は1,078円、フード系は1,060円)<ref>{{Cite web|author=[[リクルート|株式会社リクルートジョブズ]]|title=2019年5月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査|url=https://www.recruitjobs.co.jp/press/pr20190613_1107.html|date=2019-06-13|accessdate=2019-06-22 }}</ref>であり、全国の場合は、パソナキャリア調べで、1,028円(販売系は956円、サービス系は1,056円、フード系は995円)<ref>{{Cite web|last=[[パーソルキャリア|パーソルキャリア株式会社]]|title=アルバイト求人情報サービス「an」調べ 2019年5月 アルバイト平均時給 全国平均1,028円 ~米中貿易摩擦の影響をうけ、「技能・労務系」の平均時給が減少傾向に~|url=https://www.persol-career.co.jp/pressroom/news/research/2019/20190613_02/|date=2019-06-13|accessdate=2019-06-22 }}</ref>であった。首都圏を対象としたリクルートジョブスの方は、東京の最低賃金985円を上回っているが、全国で傾向を見ているパソナキャリアの方は、販売系・フード系が下回っている。
また、首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)のアルバイト平均時給は、2019年5月時点で、リクルートジョブスの調べでは1,092円(販売・サービス系は1,078円、フード系は1,060円)<ref>{{Cite web|author=[[リクルートホールディングス|株式会社リクルートジョブズ]]|title=2019年5月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査|url=https://www.recruitjobs.co.jp/press/pr20190613_1107.html|date=2019-06-13|accessdate=2019-06-22 }}</ref>であり、全国の場合は、パソナキャリア調べで、1,028円(販売系は956円、サービス系は1,056円、フード系は995円)<ref>{{Cite web|last=[[パーソルキャリア|パーソルキャリア株式会社]]|title=アルバイト求人情報サービス「an」調べ 2019年5月 アルバイト平均時給 全国平均1,028円 ~米中貿易摩擦の影響をうけ、「技能・労務系」の平均時給が減少傾向に~|url=https://www.persol-career.co.jp/pressroom/news/research/2019/20190613_02/|date=2019-06-13|accessdate=2019-06-22 }}</ref>であった。首都圏を対象としたリクルートジョブスの方は、東京の最低賃金985円を上回っているが、全国で傾向を見ているパソナキャリアの方は、販売系・フード系が下回っている。


また、2019年7月の中央最低賃金審議会の資料より、[[ハローワーク]]で受理した求人票のパートタイム労働者(雇用契約において雇用期間の定めがないか、または4か月以上の雇用期間が定められている、季節労働を除くもの)の1求人票あたりの募集賃金平均額は2018年平均で1,037円であり、2019年5月時点で1,049円であった。都道府県別にみると2018年平均で、最も高いのが神奈川県の1,169円であり、次いで東京都が1,165円であった。逆に最も低かったのが[[青森県]]の880円であり、次いで[[秋田県]]の894円であった。更に、求人票の賃金額で低い額(例えば、求人票に記載された賃金額が、18~24万円なら、18万円)の平均額は、2018年平均で982円であり、2019年5月時点で994円であった。都道府県別にみると2018年平均で、最も高いのが神奈川県の1,105円であり、次いで東京都が1,100円であった。逆に最も低かったのが青森県の847円であり、次いで[[鹿児島県]]の858円であった<ref name="求人票 賃金">{{Cite conference|first=厚生労働省|last=中央最低賃金審議会目安に関する小委員会|title=参考資料 第1回目安に関する小委員会における 委員からの追加要望資料|conference=令和元年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第2回)|pages=3-4|date=2019-07-22|url=https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000529795.pdf|accessdate=2019-07-25}}</ref>。
また、2019年7月の中央最低賃金審議会の資料より、[[ハローワーク]]で受理した求人票のパートタイム労働者(雇用契約において雇用期間の定めがないか、または4か月以上の雇用期間が定められている、季節労働を除くもの)の1求人票あたりの募集賃金平均額は2018年平均で1,037円であり、2019年5月時点で1,049円であった。都道府県別にみると2018年平均で、最も高いのが神奈川県の1,169円であり、次いで東京都が1,165円であった。逆に最も低かったのが[[青森県]]の880円であり、次いで[[秋田県]]の894円であった。更に、求人票の賃金額で低い額(例えば、求人票に記載された賃金額が、18~24万円なら、18万円)の平均額は、2018年平均で982円であり、2019年5月時点で994円であった。都道府県別にみると2018年平均で、最も高いのが神奈川県の1,105円であり、次いで東京都が1,100円であった。逆に最も低かったのが青森県の847円であり、次いで[[鹿児島県]]の858円であった<ref name="求人票 賃金">{{Cite conference|first=厚生労働省|last=中央最低賃金審議会目安に関する小委員会|title=参考資料 第1回目安に関する小委員会における 委員からの追加要望資料|conference=令和元年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第2回)|pages=3-4|date=2019-07-22|url=https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000529795.pdf|accessdate=2019-07-25}}</ref>。

2019年9月13日 (金) 06:08時点における版

最低賃金(さいていちんぎん)とは、労働市場セーフティー・ネットとして、最低限支払わなければならない賃金の下限額を定め、使用者に強制する制度のこと。[1]最賃(さいちん)とも略される(法律上は略称として定義されていないが、新聞記事の見出しや労働組合等では用いられている)。ナショナル・ミニマムのひとつ。

概要

労働基本権に基づくもの。多くの国では労働者の基本的な権利として広く適用されているが、必ずしも全ての労働者に適用されるものではなく、外国人労働者は対象外とするような特定の層に対して減額や、適用除外が行われることがある。シンガポールのように清掃業と警備業、造園業を除き最低賃金制度は存在せず、賃金は労働力の需要と供給のバランスで決定される国家もある[2]

傾向としては、発展途上国フランス語圏の国では、広範に最低賃金が適用されている[3]

歴史

[4]

世界で初めて導入されたきっかけは、1890年ニュージーランドで起きた港湾労働争議である。この56日間に渡る争議は、ニュージーランドの社会に多大なる影響を与えた。しかしながら、当時としては、法律のシステムでは解決できなかったため、その解決手段として、1894年強制仲裁法を制定されたのである。[5]

また、1907年オーストラリアの連邦調停仲裁裁判所のヒギンズ判事による最低賃金の取り決め、のちに基本賃金と呼ばれたものに関する判決があった。

この裁判は、ビクトリア州の製造業者マカイHugh Victor McKayが、彼の会社が製造した農機具への1906年物品関税法の適用除外を求める請求を求めたものである。何故なら、「公平かつ妥当な」賃金を支払っていると認めない限り、製造業者は物品税の形で関税を支払わねばならない旨を定めていたからである。その時、担当した判事は、企業の収益性より労働者保護の点に注目し、請求を却下する判決を下した。後に連邦最高裁から違憲が出るが、彼の示した原則は最低「生活賃金」living wageへの強力な論拠として受け容れられていった[6]

この判決が出る前、生活賃金の構想は存在していた。1776年に出版されたアダム・スミスの『国富論』では、最低でも家族を養うための十分な賃金が必要であり、賃金上昇なくして、国の経済は発展しないことを述べており、生活賃金を支持するような考えが伺われる(出所 :AdamSmith, Wealth of Nations, I .viii.36[7])。しかし、その理論体系の成熟化は、20世紀末から21世紀初頭にかけての時期になってなされている。[8]

1894年、イギリスの経済誌 The Economic Journal(Vol.4, No.14)に「A Living Wage(生活賃金)」[9]という名で論文が発表され、冒頭で生活賃金を「労働者が労働効率を最高の状態に維持し、市民権義務を果たすために必要な余暇を提供するのに十分な年間賃金総額である。[* 1]」として、明確に定義した。[8]

その後、イギリスの大蔵大臣だったPhilip Snowdenは、生活賃金の立法化を試みようとしていた。そして、アメリカの生活賃金運動の先駆者であるAugustine Ryan氏は、1906年 に『A Living Wage: Its Ethical and Economic Aspects』という著書を出版し、経済学の視点から生活賃金の正当性を唱えた。Ryan氏はこの著書の中で、資産の無い成人男性が、家族を十分に養える収入として「公平な賃金」(Just Price)を雇用主に求める権利があることを主張した。[8]

そして、最低賃金の方面では、1909年にイギリスで産業委員会法が制定され、1911年に低賃金業種で働く労働者に対して、強制的に賃金を決定する機関として賃金委員会が設置された。[10]

翌年、アメリカ国内の州で、初めて制定された。その州はマサチューセッツ州で、女性および若年者の労働保護を目的として制定された。[11]更に、1915年にフランスで初めて、衣料関連の家内労働者を対象に、最低賃金制度ができた。[12]

1928年6月16日には、ILOによって、ILO条約の第26号が採択された[13][14]

日本の場合は、1947年(昭和22年)に制定された労働基準法において、行政官庁が最低賃金審議会の意見を聞いて最低賃金を定めることができるという旨の規定が置かれた。その後、1959年(昭和34年)に、最低賃金法(昭和34年4月15日法律137号)によって、最低賃金制度が導入された。[15]

1970年6月22日には、発展途上国を念頭に置いたILO条約の第131号が採択された。同時に135号も採択された[16][17]

主な決定方式

最低賃金法は第1条で 「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定労働力の質的向上及び事業の公正競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」 [18]と謳っている。

最低賃金制度に関するILO条約 (第26号) も最低賃金率の適用や低賃金労働者に対する所得保障、労使両方参加による協議の内容となっており、この条約を批准している諸国ではほぼ共通している[19]

しかし、目的は同じでも、国によって、最低賃金の改定や決定の方法が異なっている。一般には4つに分かれており、殆どの国は上記の3つの方式によって、運用されている。しかしながら、同じ国でも、業種や地域によって異なり、決定方式が並立している場合がある。以下は、大橋勇雄の「特集:最低賃金 日本の最低賃金制度について 欧米の実態と議論を踏まえて[15]」を転載した内容である。

  • 審議会方式
労働側と使用者側をそれぞれ代表する同数の委員と中立委員から構成される審議会が最低賃金を決定するが、形式的にも実質的にも賃金委員会と呼ばれる審議会が決定権をもつ場合と、実質的には審議会が決定権をもつが形式的には決定権限をもつ者の諮問機関として機能する場合とがある。
現在、前者の方式をとる国として、ベルギーやある特定業種に賃金審議会を設置したかってのイギリス (1993年に廃止) などがある。
他方、現在のイギリスやフランスドイツスペインなどの多くのEU諸国、及び日本では、後者の審議会方式がとられている。また、労使のみの代表で構成される審議会で最低賃金が決定される場合、それはさながら団体交渉に近くなり、ベルギーは団体交渉の結果として最低賃金が決まる国と分類されている。
他に、イギリスではサッチャー政権下で規制緩和策が推進され、その一環として賃金審議会法が廃止された。しかしその後、1998年の最低賃金法により低賃金委員会が設置され、その推薦に基づいて政府が最低賃金を決定するという方式がとられている。そして、ドイツではかつては決定方式が労働協約方式のみであったが、2016年以降は、フランスとスペイン同様、審議会方式と労働協約方式が並立した国となっている。
  • 法定方式
法律によって最低賃金を決定する方式であるために、その改定は一般の法改正と同じ手続きで行う必要がある。その例として、アメリカの連邦最低賃金は上院下院での議会審議という立法過程を経て決められ、公正労働基準法1938年制定)にその額が直接規定される。
またアメリカの各州には州法に基づいて州最低賃金制が存在するが、州によって様々であり、法定方式を中心に審議会方式や両者の併用などもみられる。州によっては、産業別・職種別の最低賃金も存在する。2009年以降は連邦最低賃金の改定がなく、物価上昇による実質的な最低賃金の低下を避けるため、及びFight for $15(最低時給15ドルへ引き上げるために闘う)運動による影響により、それを上回って最低賃金の水準を決める州が少なくない。
ただし、州によっては、最低賃金額は連邦のそれより同額、または低く決められる。これは適用労働者がほとんどの州で、州内のすべての労働者とされるのに対して、連邦最低賃金の場合、州際商業 (州相互間、または1州とその領域外の場所との取引輸送通信など) に関連した仕事に従事しているとか、一定の規模以上の企業で雇用されている、などの範囲が決められているからである。
  • 労働協約方式
この方式は、労働組合と使用者との間の団体交渉で締結された労働協約上の賃金の最低額を、拡張適用法のもとに、協約の締結当事者 (組合員)以外の外部の労働者に対しても強制的に適用しようとするものである。ただし、元になる労働協約が、一定の地域内の特定の産業または職種の労働者のかなりの部分、すなわち法で決められた一定比率以上の者に適用されていなければならない。
この方式をとる国として、ドイツ、イタリアオーストリアデンマークスウェーデンノルウェーなどがある。
こうした各部門別の協約賃金の拡張適用の結果、経済全体で協約最低賃金によってカバーされる雇用者割合は、ドイツが56.0%(2016年)、イタリアが80.0%(2016)、オーストリアが98.0%(2017)、デンマークが82.0%(2016)、ノルウェーが72.5%(2014)となっている[20]
オランダは団体交渉で締結された賃金を援用して政府が決めるとされているが、実質的には労働協約方式に分類できる。フランスでも労働協約方式が特定の業種で存在し、審議会方式による全国全産業の労働者に一律に適用される 「発展のための全職業最低賃金」(SMIC) と並存している。SMICを上回って特定業種の協約最低賃金が決められた場合、その拡張適用によって最低賃金が決められるという形である。これは基本的にスペインも同様である。
日本でも労働協約の拡張適用が法制化され、広島県滋賀県塗装製造業関係で実施されていたが、日本の労使関係にマッチしていないとして2007年の最低賃金法の改正により労働協約に基づく地域的最低賃金は廃止されることになった。
  • 労働裁判所方式
オーストラリアやニュージーランドで採用されているもので、労働裁判所や労働委員会などの労使関係を調整する機関が労使の意見を聴きながら審議し、最低賃金を裁定したり、決定したりするものである。

減額・適用除外について

以下の状況では、最低賃金の減額や、適用除外が行われることがある[3]

  1. 労働生産性が低く、適用範囲から外れても危険が生じない状況においては最低賃金を払うことが困難な層
    • 例:若年者、学生、障害者、見習生
  2. そもそも高い所得や手厚い加護を受けており、最低賃金の保護が必要のない層 (ホワイトカラーエグゼンプション)
  3. 雇用関係が特殊なため、最低賃金を適用しないことが正当化される層
    • 例:管理職、専門職、家事手伝、歩合給の者、チップをもらっている者
  4. 公的部門の被用者
    • 例:日本・フランスの政府一般職員

他には、事業所人数が10人未満のところは除外(バングラデシュスーダンミャンマーなど)、農業は除外(カナダパキスタンなど)といった国もある。

減額と適用除外とでは、減額とする国が一般的である[3]。また、かつては女性に対する減額も一般的に行われていた[3]

若年者への適用について

若年者に対しては、大多数の国が減額を適用していないが[3]、一部の国では企業の負担が軽減されることにより労働需要が生まれるとして、減額制度を適用している。

適用に際して、どの程度減額するか、何歳までを最低賃金の適用除外とするかは、国によって異なる。一般的には「18歳または17歳以下の労働者に5%から15%の間の率を減じた率を適用している」[3]より引用(以下本文において若年者に対する減額率は、成人の最低賃金に対するもの)。

  • オランダ
    21歳以上は最低賃金を適用。21歳未満は最低賃金が減額される。減額率は、下表のとおりである。かつては最低賃金の適用年齢が最も高い23歳以上であったが、2018年1月から22歳以上となった。2019年7月以降は21歳以上である。また、変更に伴い、減額率の変更もあった[21]
オランダにおける年齢ごとの最低賃金減額率(%)
年齢 20歳 19歳 18歳 17歳 16歳 15歳
減額率(%) 20.0 40.0 50.0 60.5 65.5 70.0

若年者最低賃金を設定している考え方としては、オランダを例に以下のものがあげられる。

  • 生産性:21歳未満の労働者の生産性は、一般より低い最低賃金を設定できるという考え方。
  • 必要性:若年者は、通常家族と同居することが前提である為、自ら労働をして、賃金を得るという必然性が低い。そのため、所得保障として一般の最低賃金を保証する必要はないという考え方。
  • 就学との関係:若年者は、あくまで就学することが前提であり、一般と同じ最低賃金にすると、学業を怠けるなど悪影響を与えること。

なお、オランダでは2004年5月に制定された法律により年齢差別を禁止してるが、若年者最低賃金に関しては例外として維持している。また、13歳及び14歳の労働について労働時間法(Arbeidstijdenwet - ATW)の規定により、学校の無い日に工業系の仕事でない軽微な仕事が認められている。ただし、学業を専念すべき年齢であるとの考えの基、最低賃金は適用外である。

また、一部の業種では、若年者最低賃金が適用されない、または、減額率が小さくなってしまう年齢になると解雇をしてしまう問題があり、中央労働団体(FNV)は、若年者最低賃金の撤廃と一般最低賃金を18歳から適用することを求めている。その要求に応える形で、一般最低賃金の適用年齢は23歳以上から21歳以上へと引き下げられている。また、オランダの隣国であるベルギー、ルクセンブルグの若年者への一般最低賃金の減額適用に対し、オランダの減額率は大きい[22]

雇用との関係

最低賃金法の雇用に対する影響の良し悪しは論争になっている[23][24]。最低賃金に関する蓄積された諸研究の解釈を巡って、最低賃金が雇用に与える影響が負だという証拠はないという者もいれば、最低賃金の研究についてコンセンサスはないと結論づける者もいる[25]

理論的考察の紹介

完全競争下における最低賃金と雇用の関係[26]
需要独占下における最低賃金と雇用の関係[26]

元来、経済学者達は伝統的な完全競争モデルに基づき、最低賃金法を厳しく批判してきた[27]。一般に経済学では、雇用量と賃金は労働の需要量(求人量)と供給量の一致する点(均衡賃金)で決定するため、失業は存在しないとされている[28]。最低賃金法は社会保障の観点から、均衡賃金より低い場合は、それより高い水準に最低賃金を設定する[28]。したがって、最低賃金を下回る労働生産性しか持たない人は雇用機会を奪われ、失業が発生するとされている[28]。所得格差を是正するはずの最低賃金が、逆に格差を拡大させる可能性を生じさせるとされている[28]

ミクロ経済理論の代表的なものの一つに、最低賃金の存在がかえって低賃金労働者の厚生を引き下げるという命題がある[29]。企業の労働コストを引き上げ、労働需要を減少させる最低賃金制度は、労働者の最低生活保証手段として有効なツールではないこと、労働市場の需給には直接介入せず、低賃金労働者への生活保障は事後的な政府からの所得移転によって行うべきであること、の二つの基本命題は、1990年代以降、主流派経済学者間のコンセンサスであり続けている[29]

しかし2013年現在、労働市場を完全競争だとみなすことの不備が、経済学者自身によって指摘されている[27]。まず賃金の上昇は労働者に一生懸命働くインセンティブを与えるので、生産性が向上し、転職が抑止される。従って雇用者はこうした効果を期待して、均衡水準より高い賃金を労働者に与える傾向がある[* 2]ジョセフ・E・スティグリッツは、最低賃金法による賃金上昇は、こうした効果による賃金上昇により相殺されるため、最低賃金法は予想していたほどの悪影響を与えないかも知れないとしている[30]

また最低賃金法が長期的には雇用によい影響を与えるという意見もある。最低賃金法は短期的には低賃金労働者によって成り立っていた産業を壊滅させるかもしれないが、結果としてそれは労働者への投資を増大させる事に繋がり、長期的には生産性を増大させる可能性があるからである。たとえばスタンフォード大学経済史家であるゲイビン・ライトによれば、最低賃金法は南北戦争から大恐慌の頃までのアメリカ南部での低賃金の解消に決定的役割を演じ、アメリカ南部の労働市場をより高賃金の産業へとシフトさせる上でダイナミックな役割を果たしたとしている[30]

別の指摘としては、労働市場は完全競争ではなく需要独占[* 3]である可能性がある、というものがある。このモデルによれば、企業はその独占的立場を利用し、雇用の不当な縮小と賃金の不当な値下げを行う事ができてしまう。最低賃金法はこうした状況を改善するのに役立つとしている[23]。更に、短期的ではあるが、最低賃金の引き上げが右の図の W'm を超えない範囲においては、雇用が増加していく。但し、長期的には、引き上げによって人件費増加し、利益が減少してしまうため、減少を理由に倒産する 企業が出てくることが考えられ、その場合には雇用への減少圧力が働くことに注意する必要がある。[26]

また、高い水準の最低賃金はワーキング・プアの問題をなくすという利点がある。高い最低賃金は、労働から得られる収入が失業時に生活保護から得られる額よりも高い事を保証し、結果的に失業者に職探しをさせるインセンティブをもたらすとされている[30]

カリフォルニア大学アーバイン校のニューマーク教授とFRBのワッシャーは、最低賃金が雇用へ与える影響を調べる上で、

  1. 賃金引上げの影響は短期ではなく、長期で出てくることが多いこと
  2. 特定の産業の影響だけでなく、低賃金労働者全体の雇用を分析すること
  3. 最低賃金の引き上げは、低賃金労働者の中で雇用の代替を発生させる可能性があること

に注意する必要があるとしている[31]

特定最低賃金(産業別最低賃金)については、理論的には労働集約型産業に適用した場合には、労働者の厚生が高まるという理論的な裏づけがあるが、現実の適用業種は、支払能力が高い業種、産業に適用されており、理論的裏づけとは関係していない[誰?]。また、特定最低賃金には、その産業への新規参入への障壁となる効果もあるため、その産業側の利益という意味合いもある[要出典]

実証

実証的には、最低賃金の雇用の縮小の効果が出るような大幅な最低賃金の上昇をした例がないため、雇用の縮小効果は小さく、好影響・悪影響を判断・確認できるような研究ができていない[30]

1994年9月に「アメリカン・エコノミック・レビュー」に掲載されたデービッド・カードとアラン・クルーガーの論文は、ニュージャージー州ペンシルベニア州東部の410のファーストフードレストランを対象に、最低賃金引き上げによる雇用の影響を調査したが、減少が見られなかった。[32][33]

ビル・クリントン政権であった1996年に最低賃金が引き上げられた際に、失業率の上昇はみられず、低所得者層の給料が増加した[34]

オーストラリアでは、トヨタフォードホールデンなどの撤退が相次いでおり、2017年には自動車の生産拠点が無くなるなど、製造業全体が先細りして雇用が減少しているが、この原因として、経済成長で最低賃金が上昇し、国際的な競争力を失ったためとの意見がある[35][36]

イギリスでは、1999年の全国最低賃金再導入後、最低賃金の引き上げに対して、経済社会にプラスの影響を及ぼしている[37]

何故なら、全国最低賃金だけでなく、税額控除職業訓練などの他の政策も用いて、低所得者対策をしたこと、引上げペースを経済状況に応じて調整したからである[37]

その結果、最低賃金が1999年から2019年までの20年間の間に約2.3倍(1999年:3.60ポンド[22歳以上]→2019年:8.21ポンド[25歳以上])もの引き上げが行われたにもかかわらず、その間の失業率は、2008年のリーマンショックやその後に深刻化した欧州債務危機を除いて、減少している。また、1999年から2018年までの平均経済成長率(名目)は、日本の0.9%を上回る1.9%と高い水準を維持してきている[37]

逆にマイナスの影響を与えた例では、韓国が挙げられる[37]

何故なら、所得分配に偏った政策により、重い企業負担を強いて、企業に経営改善の余地を与えなかったこと、2018年に経済事情を無視した引き上げを行ったことからである。その結果、失業率の上昇という形で実体経済を悪化させた。2019年1月の失業率は、リーマンショックで記録した2010年1月の4.7%に迫る4.4%まで悪化した[37]

また、デービッド・アトキンソン氏によれば、最低賃金額が12%以上の引き上げは、危険な水準であるとされている。韓国の2018年の最低賃金引き上げにおいても、その悪影響が上記のように指摘されている[38]

代替案

いくらかの経済学者は最低賃金に代わる制度を提案している。大竹文雄は「賃金規制という強硬手段で失業という歪みをもたらすのではなく、税・社会保障を用いた所得再配分政策で貧困問題には対応するべきである」と指摘している[39]

また、川口大司によれば、貧困対策の選択肢として給付付き税額控除である勤労所得税額控除(Earned Income Tax Credit)を提案しており、生活保護と比べて、就労意欲を促し、低賃金労働者の就業率を向上させる利点があるとしている。一方で、制度設計を慎重に行わないと、企業の賃上げが行わなくなり、却って労働者の賃金を下げてしまう恐れがあること、そして対象を限定してしまうと、対象外の労働者の就労意欲が無くなってしまう欠点があることを指摘している[40]

『法と立法と自由』を著したフリードリヒ・ハイエクのように労働市場への不介入の原則と法の支配による個人の生存権の保護を両立させるために『ベーシックインカム』を主唱する経済学者もいる[41]

各国の法定最低賃金

以下は、各国の法定最低賃金及びその推移である。なお、デフレート等物価変動の調整は行われていない。

  • ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク - 月2,071.10 ユーロ(18歳以上の熟練工等、一部の労働者は、20%加算され 2,485.32 ユーロ)[2019年1月現在][42]
  • アイルランドの旗 アイルランド - 時給9.80ユーロ(2019年3月現在) ※20歳以上(2018年雇用雑則法より簡素化され、勤続年数や研修中か関係なく年齢のみとなった。20歳未満は減額適用され、19歳は最低賃金額の90%、18歳は80%、18歳未満は70%となっている。)[43]
  • オランダの旗 オランダ - 月1,635.60ユーロ(2019年7月現在)※21歳以上(見習いは除く)[21]
  • ベルギーの旗 ベルギー - 月1,593.81ユーロ(2018年9月現在)※18歳以上。ただし、18歳未満と交互職業訓練からの利益を受けない職務経験の無い18歳以上21歳未満の研修生は若年者減額適用を受ける。また、勤続月数による加算制度があり、19歳~21歳は勤続6ヵ月の時のみ加算され、22歳以上の場合は、36カ月まで6カ月ごとに加算される。22歳以上の労働者は勤続6カ月で月1,636.10ユーロ、勤続12カ月で1,654.90ユーロ。22歳以上で勤続24カ月で月1,670.39ユーロ、勤続36カ月で月1,675.39ユーロ[44][45]ただし、公共部門の雇用者、見習労働者、訓練生は除く。
  • フランスの旗 フランス - 月1,521.22ユーロ、時給10.03ユーロ(2019年1月より)[46]
  • ドイツの旗 ドイツ - 時給9.19ユーロ(2019年1月~2019年12月)、時給9.35ユーロ(2020年1月より)[47]
  • スペインの旗 スペイン -月900ユーロ、年1万2,600ユーロ(賞与2カ月を足した14カ月分)(2019年1月現在)[48][49]
  • オーストラリアの旗 オーストラリア - 週740.80、時給19.49豪ドル(2019年7月-2020年6月)※21歳以上(見習いや研修生は除く)[50][51]
  • ニュージーランドの旗 ニュージーランド - 時給17.70NZドル(2019年4月現在)、時給18.90NZドル(2020年4月より)、時給20.00NZドル(2021年4月より)※16歳以上。ただし研修期間中を除く[52][53]
  • 中華人民共和国の旗 中華人民共和国の場合は地域により、最低賃金が異なる。(最高:上海[月額2,480元]~最低:遼寧省4類[月額1,120元][54][55](2019年6月現在)
  • 香港の旗 香港- 時給37.5香港ドル(2019年5月-2021年4月) [62][63][64][65]また、外国人家政婦の場合は、月給4,520香港ドル(ただし最低月給とは別に、食費手当も1,075香港ドル支給する義務がある。)(2018年9月28日現在)[66][67]
  • 中華民国の旗 中華民国 - 時給158ニュー台湾ドル、月23,800ニュー台湾ドル(2020年1月1日より)[68][69]
  • モンゴル国の旗 モンゴル - 月32万トゥグルク(2019年1月1日-2019年12月31日)、月42万トゥグルク(2020年1月1日より)[70]
  • 大韓民国の旗 大韓民国 - 時給8,350ウォン(2019年1月1日-12月31日)[71][72][73]、時給8,590ウォン(2020年1月1日より)[74][75][76]
  • 朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国 - アメリカ国務省の2018年国別人権報告書[77]によれば、最低賃金制度はない。ただし、開城工業地区では定められていた。
  • インドの旗 インドの場合は、複雑な最低賃金システムを用いており、2014年末時点で、中央政府は45職種、州政府は延べ1,822職種について最低賃金を定め、随時改定している[79]
    • 全国最低賃金水準(National Floor Level Minimum Wage) - 日額176ルピー(2017年6月現在)[79]
    • 中央政府(未熟練農業労働者) - A地区:日額371ルピー B地区:日額339ルピー C地区:日額336ルピー(2019年4月~2019年9月)[80]
    • デリー(未熟練労働者) - 月収14,000ルピー(日額538ルピー)(2018年11月時点)[80]
    • ウッタル・プラデーシュ州(未熟練労働者) - 月収8,012.73ルピー(2019年4月~2019年9月)[81]
    • マハーラーシュトラ州 (未熟練労働者) - A地区:月収10,021ルピー(日額385.42ルピー)、B地区:月収9,425ルピー(日額362.5ルピー)、C地区:月収8,828ルピー(日額339.54ルピー)(2019年7月現在)[82]
    • ビハール州(未熟練労働者) - 日額208ルピー(ただし、線香製造業・清掃作業員・船員は、日額200ルピー。また一部の職種については、出来高給の場合も含めて、別に定められている。)(2019年4月~2019年9月)[80]
    • チャッティースガル州(未熟練労働者) - A地区:日額343.08ルピー B地区:日額333.08ルピー C地区:日額323.08ルピー(ただし、農業は、地区問わず日額239.67ルピー)(2019年4月~2019年9月)[80]
    • ナガランド州 (未熟練労働者)- 日額115ルピー(ただし、荷物の積み込みと積み下ろし作業は重量による出来高制であり、トラックの積み込みは、木材の大きさによる。)(2012年6月現在)[80]
    • ハリヤーナー州 (未熟練労働者)- 月収8827.40ルピー(日額339.51ルピー)(2019年1月現在)[83]
  • バンコク - 月9,750バーツ(2018年4月現在)[84]
  • ホーチミン - 月4,180,000ドン(2019年1月現在)[ただし、職業訓練を受けた労働者に対してはこの最低賃金より少なくとも7%上乗せした給与][85][86][87]
  • マニラ - 月13,425ペソ(2018年11月現在)[88][89][90]
  • ジャカルタ - 月3,940,973ルピア(2019年1月現在)[91]
  • ミャンマーの旗 ミャンマー - 月144,000チャット(2018年5月現在)[92][93]
  • マレーシアの旗 マレーシア - 月1,100リンギ(2019年1月現在)[94]
  • カンボジアの旗 カンボジア - 月182ドル(試用期間中は177ドル)対象は縫製製靴業に従事する労働者のみ[2019年1月現在][95]

各国の法定最低賃金格差

EUでも加盟国間における最低水準の格差が指摘されている。

EU加盟国間の最低賃金格差

GDPの場合

2006年1月時点:約11.7倍(最高:ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク[月額1,503ユーロ] 最低:ラトビアの旗 ラトビア[月額129ユーロ])[96]

2009年1月時点:約13.3倍(最高:ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク[月額1,642ユーロ] 最低:ブルガリアの旗 ブルガリア[月額123ユーロ])[97]

2019年2月時点:約7.2倍(最高:ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク[月額2,071.10ユーロ] 最低:ブルガリアの旗 ブルガリア[月額286.33ユーロ])[98]

購買力平価で換算した場合

2006年1月時点:約5.9倍(最高:ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク[月額1,417ユーロ] 最低:ラトビアの旗 ラトビア[月額240ユーロ])[96]

2009年1月時点:約5.9倍(最高:ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク[月額1,413ユーロ] 最低:ブルガリアの旗 ブルガリア[月額240ユーロ])[97]

2019年1月時点:約2.7倍(最高:ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク[月給1,588.36ユーロ] 最低:ラトビアの旗 ラトビア[月給578.98ユーロ])[99]

フルタイム労働者賃金に対する法定最低賃金の比率(EU)[99]

中央賃金の場合(2017年時点) 最高:フランスの旗 フランス(0.618) 最低:スペインの旗 スペイン(0.402)

平均賃金の場合(2017年時点) 最高:フランスの旗 フランス(0.499) 最低:ギリシャの旗 ギリシャ(0.328)

OECD加盟国間内の最低賃金格差

OECD加盟国間内の実質最低賃金格差(ドル換算)[100] GDP(2018年実質為替レート)の場合

2000年:約24.7倍(最高:オーストラリアの旗 オーストラリア[時給12.09ドル] 最低:メキシコの旗 メキシコ[時給0.49ドル])

2010年:約26.8倍(最高:ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク[時給13.15ドル] 最低:メキシコの旗 メキシコ[時給0.49ドル])

2018年:約24.4倍(最高:オーストラリアの旗 オーストラリア[時給13.90ドル] 最低:メキシコの旗 メキシコ[時給0.57ドル])

購買力平価(2018年)で換算した場合

2000年:約11.7倍(最高:オーストラリアの旗 オーストラリア[時給10.55ドル] 最低:メキシコの旗 メキシコ[時給0.90ドル])

2010年:約12.4倍(最高:ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク[時給11.29ドル] 最低:メキシコの旗 メキシコ[時給0.91ドル])

2018年:約11.6倍(最高:オーストラリアの旗 オーストラリア[時給12.14ドル] 最低:メキシコの旗 メキシコ[時給1.05ドル])

※EUとOECDの加盟国間格差の最低賃金の最高額の国が異なるが、これはEUはEU統計局の統計の原データから、OECDはOECDの統計をそれぞれ異なる機関から引用しているためである。

※メキシコの最低賃金(一般向け)は2019年1月時点で月給3,080.4ペソ(約160.9ドル)、北部国境地域は月給5,301.6ペソ(約276.8ドル)である。2018年は、地域関係なく月給2650.8ペソであり、2019年は2018年に比べて約1.16倍である[101][102]

フルタイム労働者賃金に対する法定最低賃金の比率(OECD)[103]

中央賃金の場合(2017年時点) 最高:チリの旗 チリ(0.71)(18歳以上65歳未満の労働者:月給301,000チリ・ペソ 18歳未満及び65歳以上の労働者:224,704チリ・ペソ [2019年3月現在][104])最低:アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国(0.34)

平均賃金の場合(2017年時点) 最高:ニュージーランドの旗 ニュージーランド(0.52)最低:アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国(0.24)

世界の最低賃金格差(1人当たりGDPに対する比率)

1人当たりGDPに対する法定最低賃金の比率(地下経済並びに失業率の調整あり)[105]

最高:中央アフリカ共和国の旗 中央アフリカ共和国(2.511)(平均最低月給28,000CFAフラン 公務員月給:26,000CFAフラン 農業労働者月給:8,500CFAフラン[2018年時点][106]

最低:ブルンジの旗 ブルンジ(0.003)(ブジュンブラ[未熟練労働者]:非公式最低日給3,000ブルンジフラン 農村部:非公式最低日給2,000ブルンジフラン+昼食[2018年時点][107])

最貧国の一部ではGDPが比較的低いため、最低賃金の比率が高くなることがあることに留意する。また、最低賃金制度や団体交渉に基づく産業別労働協約などで規定された最低賃金が導入されなかったり、特定分野にしか適用されていないため、比率が0となっている国(カンボジアシンガポールトンガ等)は除く。

アメリカ

アメリカ合衆国の最低賃金は、公正労働基準法en:Fair Labor Standards Act, 1938年)によって連邦最低賃金が定められている。この他に、各州が定めている最低賃金もある。州の最低賃金が連邦最低賃金よりも高い場合には、州の最低賃金が適用される。なお、2014年2月にオバマ前大統領により署名された大統領令13658号により、連邦政府契約事業者に対する最低賃金が設けられている。

2009年7月24日に施行されて以降、現在までアメリカ合衆国の連邦最低賃金は7ドル25セントである。アメリカ合衆国にはチップという習慣があり、これが賃金とみなされるため、サービス業で一定額以上(月30ドル以上)のチップを受ける労働者の場合、チップの額と賃金の合計が時給 7.25ドル以上かつ賃金としては時給2.13ドル以上を支払わなければならない。また、連邦政府契約事業者に課せられる最低賃金額は2019年1月時点で時給10.60ドル(チップを受け取る労働者は7.40ドル)である[108]

歴史的経緯

[11][109]

1910年代、1920年代

アメリカの最低賃金は、最初に導入されたのは、連邦ではなく、州であった。最初に導入された州は、マサチューセッツ州であり、1912年に導入された。また、導入した背景には、若年者や女性の労働者の貧困がある。

そして、1923年までにマサチューセッツ州を始めとした13の州で、最低賃金制度が導入されが、対象は若年者や女性であった。しかし、この制度に対して、雇用における契約の自由に反すると憲法違反を訴える訴訟があり、僅差で合憲状態が続いたものの、1923年に、連邦最高裁は、ワシントンDCの最低賃金法を憲法違反であるとの判決を5対3で下された。そして、判決後の数年のうちに7州で、違憲判決が下された。幾つかの州では最低賃金法の表現が修正されて存続したものの、最低賃金法違反をした使用者に対して事件化することはなかった。また、一般の賃金が上昇したにもかかわらず、多くの州では、賃金額改定を控えてしまったため、制度としての存在意義が年々低下してしまった。

世界恐慌から1937年の合憲判決まで

しかし、1929年世界恐慌をきっかけに、風向きが変わる。このアメリカ発の世界不況の影響により、賃金が60%も低下していき、貧困が拡大していった。

そのため、州の方では、1933年ニューヨーク州で最低賃金法が成立し、それに続いて他の5州が制定された。また、制定の際、ワシントンDC控訴裁判所の判決を考慮して、生計費を基準として最低賃金を設定することに加え、労働公正価値も基準に加えた。

そして、連邦の方では、ルーズベルト大統領により1933年に制定された全国産業復興法であった。しかし、この方に対して、連邦最高裁が、1935年全国産業復興法は違憲との判決を下した。違憲理由は、「雇用主は大統領により規定された最低賃金率を守らなければならない」とする内容が盛り込まれたためであり、このため、違憲判決後、この条文は削除された。

しかしながら、世界恐慌をきっかけに新しいタイプの最低賃金法も、恐慌前と同じく訴訟に直面する。ニューヨーク州の最低賃金法も、1936年に違憲判決が出された。また、ワシントン州に対しても、連邦最高裁に上告されてしまった。

世界恐慌に対応した全国産業復興法や最低賃金法を違憲と判断する連邦最高裁に対して、ルーズベルト大統領は業を煮やし、最高裁判事を6名増員すると通告をした。その通告の効果があったかどうかは不明であるが、1937年にワシントン州の最低賃金法に対して、1936年の違憲判決を下したオーウェン・ロバート判事が、合憲判断に変化したこともあり、連邦最高裁はそれまでの判断とは異る合憲判決を下した。その後、ルーズベルト大統領は、連邦最高裁判事の増員通告を撤回した。

1937年の合憲判決後

連邦最高裁の合憲判決を受けて、カンザス州、ミネソタ州などでは州司法長官は、州最低賃金法は合憲であると決定し、ニューヨーク州、ウィスコンシン州などでは最低賃金法を制定した。

そして、連邦の方でも、1938年に公正労働基準法の制定した。その後、同法に対する違憲訴訟が提起されたが、1941年に合憲判断が下されて、連邦最低賃金制度が確立した。

また、連邦最低賃金制度には、それまでの州最低賃金法とは異なる特色がみられた。

  1. 最低賃金の適用を女性、若年者に加えて男性も適用対象としたこと
  2. 時給による最低賃金を法律で規定したこと。それまでの、あるいは当時の州最低賃金法では、我が国のように公労使からなる賃金委員会が最低賃金の決定を行い、それを命令として発出するという仕組みが主流であった。また、時給ではなく日給あるいは週給とするところも少なくなかった。
  3. 年齢や性による賃金差を設定せずに一律としたことである。また、当初の法律には、法定最低賃金よりも高い産業別最低賃金を設定する委員会に関する規定も置かれた。しかしその部分は1949年改正で削除された。

その後、連邦最低賃金制度を受けて、その制度に沿った最低賃金法を制定する州が増えていった。それまで最低賃金法がなかった州で制定されたり、若年者と女性から男性を加えて適用範囲を拡大したり(コネチカット州ロードアイランド州、ニューヨーク州など)、最低時給額の設定を定める州も出始めていた。

1990年代、2000年代

最低賃金は別の面で、1990年代以降アメリカ各地で生活賃金(Living Wage)運動が起こった。生活賃金運動は、行政の委託を受けた企業が生活賃金以上の賃金支払いを義務付ける条例制定を求めた運動である。

この運動の影響により、1994年にはボルティモア市 (メリーランド州) で条例が制定された。翌年にはサンタクララ郡 (カリフォルニア州) で制定されるなど、市や郡などの自治体での生活賃金条例制定の動きは瞬く間に全米に広がった。全米で約140の市や郡で条例が制定されたが、監督監視体制の不備のため、その多くにおいては実質上の強制力がないと言われている。

また、連邦最低賃金の引上げに関しては、オバマ前大統領や民主党議員が連邦最低賃金の引上げを提案していたものの、共和党の反対があったため、2009年以降行われていない[108]1968年の最低賃金額(時給1.6ドル)を基準にインフレを考慮した場合、2018年の貨幣価値では11.79ドルに相当し、現在の水準よりも60%高くなる。つまり、実質の最低賃金は過去50年間で下がる続けたのである[110]

2010年代 Fight for $15(最低時給15ドルへ引き上げる為に闘う)運動

2012年11月ニューヨークで行われたマクドナルドの店員による一日ストをきっかけ[111]に、Fight for $15(最低時給15ドルへ引き上げる為に闘う)運動がファストファッションウォルマートに代表される小売店舗をターゲットにした賃上げ要求運動が開始され、アメリカ国内各地で逮捕者(主に交通の妨害)が出るほどのデモ活動[112][113]が展開された。

この運動の目的は、人間らしい生活ができる最低水準となる貧困ラインを上回る賃金15ドルへと引き上げること、そして、ファーストフードの本体企業に使用者責任を負わせ、労働組合を組織しやすくすることである。

この運動の中心団体は、サービス従業員労働組合( SEIU)である。その中心団体を中核として地域住民の組織、学生、中小企業事業主、宗教団体、NPOやホテルやレストランの従業員を組織する労働組合UNITE-HERE英語版も参加している。

この運動に対して、アメリカ商業会議所や国際フランチャイズ・チェーン協会は、SEIUの支援による運動の影響が大きいことを批判的に指摘している。そして、経営者団体も現役従業員がほとんど参加がなく、労働組合が主導的な立場にあることを理由に批判した[114]

更に、マクドナルド元CEOエド・レンシ英語版は、フォックス・ビジネスチャンネルの朝の番組で、最低時給が連邦最低賃金(7.25ドル)の2倍以上に引き上げれば、より安価なロボットを導入するなどして、ファーストフード企業の使用者側が引上げに対する人件費の上昇を抑えるために、安価なロボットに代替し、ファーストフード店員を解雇するなどの雇用の悪影響を指摘している[115][116]

一方で、中小企業事業主団体が最低賃金引き上げを求めるロビー活動を展開するようになるなど、運動を支持する動きは広がりをみせている[114]

2010年代の最低賃金の動向 州政府と企業の場合

この運動は全米レベルに拡大し各地域で進んでいる州別最低賃金引き上げの原動力となっている[114]。そのため、州で最低賃金の引上げが特に2013年以降活発に行われており、多くの場合で複数年にわたり段階的な引上げが行われている。

2018年においてはデラウェア州とマサチューセッツ州で最低賃金を段階的に引き上げる法案が成立したほか、アーカンソー州及びミズーリ州では住民投票により最低賃金を段階的に引き上げることが決定された[108]。更には、最低時給15ドルへ引き上げる自治体が出てきている[117][118][119][120]

  • カルフォルニア州:カリフォルニア州議会により、低失業率による逼迫した労働市場もあり、2022年までに15ドルへ引き上げる(従業員が25人以下の企業は2023年と1年の猶予)ことが合意された。
また市レベルで、カルフォルニア州内のサンフランシスコ市、エマリービル市は2018年7月1日(エマリービル市の場合は、従業員が56人以上の場合は時給15ドル60セント、55人以下は15ドルに引き上げられる。)に引き上げられ、バークリー市は同年10月1日に引き上げられた。
2019年7月には、パロアルト市サンノゼ市なども、15ドルへ引き上げた[121]。更に、ロサンゼルス郡ロサンゼルス市では、従業員数26人以上の企業については2020年7月1日までに15ドルへ、25人以下は2021年7月1日までに引き上げる予定である。
州内のモンゴメリー郡は、従業員数50人超の企業は2021年7月までに、従業員数50人以下10人越の企業は2023年7月までに、従業員数10人以下の企業は2024年7月までに、最低時給15.00ドルへ引き上げられる予定である[127]
  • マサチューセッツ州:2023年1月には、15ドルへと引き上げる予定である[128]
  • ニュージャージー州:2019年2月に最低時給15ドルへ引き上げる方針を発表した。従業員数6人以上の企業は2024年1月まで引き上げる。従業員6人未満の企業及び季節雇用者は2026年1月までであり、農業雇用者は2027年1月までである[129][130]
  • シアトル市:2018年年初にワシントン州のシアトル市では、従業員500人超の企業については、15ドル45セント(ただし、医療給付制度に拠出しない場合、拠出する場合は15ドル)に引き上げられている。2019年7月には、従業員500人超の企業は、医療給付制度に拠出の有無に関係なく時給16ドルになった。500人以下の企業は、3(ドル/労働1時間)以上の医療給付制度に拠出しない、またはチップ制のない企業の場合は、15ドルに引き上げられた[131]
  • ニューヨーク市:2018年末に従業員数11人以上の企業に対して、15ドル引き上げられた。2019年末には、従業員10人以下の企業も15ドルに引き上げられる予定である。
ニューヨーク州も2020年末に12.5ドルへ引き上げていき、それ以降は消費者物価指数を含む経済指標に基づいて、15ドルになるまで引き上げ続けていく予定である[132]

企業の方でも、時給を引き上げる動きがあった。その背景には、低失業率と2017年末に成立した税制改革法によって減税による収益増の背景もある[117]

ただし、その代わり月次ボーナス株式報酬を廃止した。また、賃上げの背景にはバーニー・サンダース上院議員を始め政治家などからの圧力と、12月の重要な年末商戦を控えており、低失業率の労働市場の中でも、臨時従業員採用で優位に立ちたいためである。
  • 小売業界:
ウォルマート・ストアーズ:2018年1月にアメリカ従業員の初任時給を11ドルに引き上げ[120]。理由は、連邦最低賃金(時給7.25ドル)に対して、同社最高経営責任者(CEO)が「安過ぎる」と感じたことから。
ターゲット:2018年9月に、初任時給を昨年時の11ドルから12ドルに引き上げ。2020年までに、これを15ドルに引き上げる予定[120]
コストコ:2018年3月に15ドルに引き上げ[138]
JPモルガン・チェース:地域の物価水準によって15ドルまたは18ドル
ウェルファーゴ:2017年の税制改革を受け、15ドルに引き上げ
バンク・オブ・アメリカ:2021年までに20ドル引き上げ
米シティグループ:2019年6月に、政治家の圧力や他の大手銀行の決定を受けて最低賃金を時給15ドル引き上げ。更に、未定だが時給20ドルへ引き上げる予定
  • フェイスブック:2015年に時給15ドルへ引き上げた。2019年5月13日に、稼働する複数の場所での引き上げた最低時給が生活費に見合わないことがわかったため、食堂スタッフや管理人などアメリカの契約社員の最低賃金の引き上げを2020年の半ばまでに行うことを発表した[140][141]
発表は、フェイスブックが一部のコンテンツモデレーターによる精神的苦痛を伴う配信動画によって引き起こされた精神障害の責任についての批判に晒されている状況の中で行われた。
以下が、フェイスブックの最低時給額である。
  • サンフランシスコ・ベイエリア、ニューヨーク、ワシントンDCの契約社員:20ドル(コンテンツをチェックするモデレーターの場合、22ドル)
  • シアトルの契約社員:18ドル(コンテンツをチェックするモデレーターの場合、20ドル)
  • 上記の2つ以外の他の大都市圏の契約社員:18ドル
この引き上げに関して、アメリカだけでなく他の国でも同様の基準の策定に取り組むことも述べている。
2010年代の最低賃金の動向 連邦政府の場合

一方、連邦政府の方では、2014年オバマ政権の時、ホワイトハウスが連邦議会に対して最低賃金引上げを促す声明をうけた民主党議員による法案提出、2016年大統領選挙時の民主党予備選挙バーニーサンダース候補による15ドル賃金の政策提言があったが、前述したように連邦政府の定める最低賃金が2009年以降引き上げが行われてない[142]

しかしながら、2014年2月にオバマ前大統領により署名された大統領令13658号に基づき連邦政府契約事業者の制度が開始された。

連邦政府各機関が、2015年1月以降、対象となる契約事業者と新たな契約(更新を含む)を締結する場合、契約金額支払いの条件として、

  1. 労働者に対して連邦政府契約事業者に課せられる最低賃金額を支払うこと
  2. 契約事業者は下請事業者との契約に同旨を盛り込むこと

とした契約条項が盛り込まれることとされた。しかし、デービス・ベーコン法(Davis-Bacon Act)の対象とならない2,000ドル未満の建設に関する契約や、サービス契約法(Service ContractAct)の対象とならない電気・ガス・水道等の供給等は対象外である。

また、2018年5月にトランプ大統領が署名した大統領令13838号により、国有地で提供される季節的娯楽サービス(seasonal recreation service)は対象外とされた。(ただし宿泊・飲食業は国有地で提供される季節的娯楽サービスであっても引き続き対象とされている。)なお、デービス・ベーコン法やサービス契約法など、一定の連邦政府契約事業者について、職種ごとに、労働長官が地域の相場賃金として定める額以上の賃金を支払うことを求める法律が存在する。また、毎年物価スライドにより最低賃金額の改定が行われている[108]

そして2019年1月19日、バージニア州選出下院議員であり、連邦下院議会、教育・賃金委員会委員長のボビー・スコットが賃金引上げ法案「the Raise Wage Act(H.R.582, S.150)」[143]を190人の民主党議員の署名をもって下院議会に提出した。法案は2024年までに段階的に最低賃金を現行の7.25ドルから15ドルに引き上げるとともに、7.25ドルよりも低く抑えられているチップを受け取るレストラン等の労働者の最低賃金を標準的な労働者の最低賃金とそろえることを提案している[142]。2019年7月18日、下院で保守派民主党議員に配慮して、連邦の最低賃金を1年遅らせて2025年まで段階的に時給15ドル(約1600円)に倍増させる法案を民主党などの賛成多数で可決した。しかしながら、上院は、共和党が多数派であり、共和党は最低賃金引き上げに対して反対しているため、法案通過は困難となる[144][145]

また、全米レストラン協会は、家族経営のビジネスを損ない、チップを受けとっている従業員の賃金を実質的に下げることになると反対した。

そして、議会予算局(CBO)が2019年7月に公表した引き上げの影響に関するレポートでは、1,700万人の労働者の賃金が上昇する一方、130万人が失業する可能性があると試算している[110]

なお、マクドナルドは2019年3月、全米レストラン協会に対し、最低賃金引き上げに反対するロビー活動に協力しないことを告げ、全産業の賃金引き上げを支持する姿勢を示した[110]

公正労働基準法の適用対象

1938年に制定された公正労働基準法の適用対象は、州際通商および州際通商のための商品生産に従事する被用者であった。ただし、当初の適用範囲は限定的であり、小売、サー ビス業、漁業、小規模地方電話交換、小規模週刊紙、地方のバス・市街電車、海員、鉄道、トラック、航空、農業、季節的産業が適用除外とされた。その後、適用対象者を拡大する改正が数次にわたり行われ、今日に至っている[11][109]

その経緯を記すと、

  • 1949年改正:航空産業の被用者を適用対象とした。
  • 1961年改正:年間100万ドルを超える売上高の小売企業の被用者を適用対象とした。ただし、当該小売企業の事業所であって年間売上高が25万ドル未満のところは適用除外とした。これにより 小売産業では対象者数が25万人から220万人に増加した。また地域輸送、建設、ガソリン・ステーションを含めた。
  • 1966年改正:適用対象とする小売企業の基準である年間売上高100万ドル以上を年間50万ドル以上に、さらに1969年には年間25万ドル以上に引き下げた。1966年の改正では、公立学校、老人ホーム、クリーニング、建設業の被用者も適用対象とした。また農場に関して、雇用規模が四半期ベースでみてピーク期に500人日以上となる農場を対象とした。
  • 1974年改正:連邦政府、州政府、市町村等自治体の非管理監督職の公務員および多くの家事使用人を適用対象に含めた。その後、1976年に連邦最高裁が州政府、市町村等自治体の公務員を公正労働基準法の適用対象とすることは違憲であるとの判断を下したことにより、対象からは外された。
  • 1981年改正:売上高基準を25万ドルから36.25万ドルと引き上げた。これは物価上昇を反映するためである。
  • 1989年改正:小売事業および非小売事業の双方に、共通の売上高基準を適用することとし、基準額は50万ドルと定められた。
  • 1997年改正:20歳未満の新規雇用者に対して採用から90日間に適用される、準最低賃金(4.25ドル)が設定された。

決定方式

連邦の場合

[11][146]

連邦最低賃金は、公正労働基準法の改正により行われる。改正は、上下院での過半数の獲得と大統領の署名によって発効する。具体的な手続きは以下のようになっている。

  1. 法案提出と法案番号付与
  2. 下院議会委員会での議論、パブリック・ヒアリング、修正、委員による投票
  3. 下院議会での議論と修正、下員議員による投票
  4. 議会予算局((CBO) )による調整
  5. 上院議会委員会での議論、パブリック・ヒアリング、修正、委員による投票
  6. 上院議会での議論と修正、上員議員による投票
  7. 大統領による承認
  8. 公布、施行

しかしながら、他のイギリスややドイツのように毎年ないし数年ごとに改定することを定めておらず、実際に2009年以降改正は無い。また、水準に関しても、消費者物価指数に連動するなどといった明確な基準もない。

今日まで、共和党民主党の政治的な駆け引きによって決められており、他の国のように、労公使3者による審議会などで決められておらず、連邦労働省も関与していない[147]。特に、大統領が強い拒否権をもつことから、たとえ両院議会で最低賃金の改定が可決したとしても最終的な決定にはならない可能性すらある[15]

また、アメリカの最低賃金はG7の中で最低であり、その理由に前述した政治的駆け引きのみで行われているだけでなく、国民間で自由な市場経済を標榜する風潮があることも指摘されている[15]

最低賃金額改定には以下のエピソードがある。

  • 1938年の制度創設当初
1時間当たり25セントに設定されたが、この際には以下のような経緯があったとされる。
最初の原案では時間当たり 40 セントという水準が示されたが、議会での審議の過程で経過的に段階をつけて最低賃金が決められることとなった。創設当初の水準を25セントとし、次の6年間は30セント、満7年を経過した後に40セントとすることになった。
なお、40セントという水準は別にはっきりした根拠があって決められたものではないとする。当時の時間当たり平均賃金が 62.4 セントであったので、だいたい3分の2の水準であった。
民主党クリントン政権下 (1993年1月2001年1月) において、それまでの4.25ドルから1996年4.75ドル、1997年に5.15ドルと引き上げた。しかし共和党のブッシュ政権下になってからは、改定の動きは停止した。民主党議員が度重なり最低賃金の改定法案を議会に提出したが改定は2007年まで実現することがなかった。
ブッシュ政権下の2007年に改定が実現したのは、2006年の秋の中間選挙で被用者や労働組合を支持基盤とする民主党が躍進し、上下両院とも過半数を制したことが大きく影響している。
そして、2007年の引き上げと2008年と2009年に予定されている引き上げは、「2007年米軍整備、退役軍人支援、カトリーナ復興支援、イラク責任予算法」の8102条において、1938年公正労働基準法の規定を改訂する形で行われた。
なお、企業寄りの議員には、最低賃金引き上げによる中小企業の負担緩和策も行うべきという見解が寄せられ、中小企業を対象とした減税策と一緒にした法案に修正された上で審議されることとなった経緯もある。

2009年以降は、オバマ政権では2014年にホワイトハウスが連邦議会に対して最低賃金引上げを促す声明をうけた民主党議員による法案提出、2016年大統領選挙時の民主党予備選挙バーニーサンダース候補による15ドル賃金の政策提言があったが、連邦最低賃金は現在まで変更されていない。

しかし、2019年1月19日、バージニア州選出下院議員であり、連邦下院議会、教育・賃金委員会委員長のボビー・スコットが賃金引上げ法案「the Raise Wage Act(H.R.582, S.150)」[148]を190人の民主党議員の署名をもって下院議会に提出した。法案は2024年までに段階的に最低賃金を現行の7.25ドルから15ドルに引き上げるとともに、7.25ドルよりも低く抑えられているチップを受け取るレストラン等の労働者の最低賃金を標準的な労働者の最低賃金とそろえることを提案している。同年3月6日に連邦下院議会、教育・賃金委員会(Education and Labor Committee)の決定により、下院本会議の審議に移ることになった。連邦下院議会、教育・賃金委員会は賛成多数で法案を下院議会に送ることを可決した[142]

2019年7月18日、下院で連邦の最低賃金を当初法案より1年遅らせた2025年まで段階的に時給15ドル(約1600円)に倍増させる法案が賛成多数で可決された。何故なら、2018年11月の中間選挙の結果を受けて、連邦下院議会および下院議会委員会は、賃金引上げ法を支持する民主党が多数派となったからである。現在は(3)の段階を通過したにすぎない。しかしながら、上院では引き上げに反対の考えを持つ共和党が多数派である為、法案成立の見通しは難しい。

しかしながら、民主党としては2020年の大統領選で主要経済政策の一つとしてアピールをして、有権者の支持拡大による、上院の多数派獲得と、大統領を民主党出身に変えようとしている[145]

州及び市や郡の場合

[149]

州別最低賃金は州法の改正、市や郡の最低賃金は条例の改正もしくは設立による 州の場合は、連邦と同じく州法は州下院、上院で過半数の獲得ののち州知事の署名、市や郡も議会で過半数を獲得したのちに首長の署名によって発効する。

ただし、連邦と違い、州の場合、州法による最低賃金の引き上げは、住民投票によって行われることもある。例として、カリフォルニア州では州議会の採決で決定しており、ワシントン州シータック市では住民投票で決定した。このほか、フロリダ州では労働省が公表した都市被用者消費者物価指数に基づき9月までの1年間の上昇率を算出し、上昇率に応じて翌年1月から改定するとしている。また、州最低賃金を消費者物価の動きに応じて改定する州は10州ある。

そして、米メディアによると、29州とコロンビア特別区(首都ワシントン)は、連邦最低賃金を超える水準に最低賃金を設定している。一方で連邦最低賃金と同じ州も相当数あり、連邦レベルで引き上げが決まれば、こうした州が大きな影響を受ける[145]

減額・適用除外

アメリカでは、以下の場合において最低賃金が適用されない[3][108]

  • 管理職、専門職など
    責任が重く、元々の給与が高いため
  • ただし以下の条件がある。
管理的エグゼンプション」、「運営職エグゼンプション」、「専門職エグゼンプション」、「コンピュータ・技術者エグゼンプション」及び「外商エグゼンプション」の5類型がある。
  • 共通する主たる要件
  1. ブルーカラー労働者でないこと。
  2. 「俸給基準」により週当たり455ドル以上の賃金 支払がなされていること(ただし、これは外商エグゼンプションの要件とはなっていない)。俸給基準とは、実際に労働した日数や時間にかかわらず、あらかじめ定められた金額を支払うことをいう。コンピュータ・技術者エグゼンプションで時給契約の場合は、時給27.63ドル以上の賃金が支払われていることである。
  • 管理職エグゼンプション(Executive Exemption)
次の3つの要件を満たすこと。なお、年間賃金総額 10万ドル以上の者は、1~3の要件のいずれかを満 たせば足りる。
  1. 主たる職務が、当該被用者が雇用されている企業または慣習的に認識された部署またはその下位部門の管理であること
  2. 習慣的かつ定期的(customarily and regularly)に、2人以上のフルタイム被用者相当の労働を指揮管理していること
  3. 被用者を採用若しくは解雇する権限を有する、または他の被用者の採用若しくは解雇、及び昇級、昇進その他処遇上のあらゆる変更に関して、その者の提案及び勧告に対し特別な比重が与えられていること
  • 運営職エグゼンプション(Administrative Exemptions)
次の2つの要件を満たすこと。なお、年間賃金総額10万ドル以上の者は、1または2の要件のいずれかを満たせば足りる。
  1. 主たる職務が、使用者や顧客の管理・事業運営 全般に直接関わる、オフィス業務または非肉体的労働であること
  2. 主たる職務が重要な事項に関する自由裁量及び 独立した判断の行使を含むものであること
  • 専門職エグゼンプション(Professional Exemption)
学識専門職エグゼンプション(法律薬学神学会計工学物理学化学生物学等の専門的な教育を受ける必要があると見なされる職種に適用)、創造業務エグゼンプション(知的創造が必要であると見なされる職種に適用)がある。
  • コンピュータ・技術者エグゼンプション(Computer Employee Exemption)
コンピュータ・システムアナリストプログラマー、ソフトウェア・エンジニア等のコンピュータ 関係の高度技能労働者。
  • 外商エグゼンプション(Outside Sales Exemption)
主な仕事が販売などの営業であり、習慣的(customarily)かつ定期的(regularly)に事業所の所在地とは離れた場所で従事している者。
  • 小規模の新聞社や農業従事者など
    コストの問題で、最低賃金を導入するのが厳しいため
  • 新聞配達員
    主に子供が従事する仕事であり、最低賃金を適用してしまうと費用が高くなり子供が雇われなくなるため
  • 20歳未満の者
    雇用促進の観点から、就業後90日間は最低賃金が減額され時給4.25ドルとなる。ただし、他の労働者に置き換える形で20歳未満の労働者を採用した場合にはこの特例は適用されない。

また、障害者(障害により稼得能力が低下している場合に限る)を雇い入れる場合、フルタイムの学生を雇い入れる場合、職業訓練を行う高校生を受け入れる場合には、労働省賃金時間部(Wage and Hour Division)から認可を 得て通常と異なる最低賃金の適用を受けることができる。

履行保証

[146][150]

連邦の場合

連邦最低賃金については公正労働基準法(FLSA)に基づき、最低賃金制度履行のための調査官をおいている。また、州や市、郡の最低賃金制度はそれぞれの自治体で取り締まる為、連邦としては管轄してない。

公正労働基準法(FLSA)は、最低賃金制度の履行確保における連邦労働省の担当部局、及び監督業務を行う調査監督官の設置と役割について規定している。

連邦労働省は、最低賃金制度について履行を監督する部局として「賃金・労働時間局(Wage and Hour Division)」を設置し(FLSA 4 条(a))、賃金・時間局・局長(Administrator, Wage and Hour Division)に賃金、労働時間その他の労働条件に関するデータ収集及び事業所の調査、臨検の権限を与えている(FLSA 11条(a))。また、調査、臨検の担当者として調査官を設置することを規定している(FLSA11条)。

賃金・労働時間局は全米各地、200箇所に事務所があり、2015年現在で調査官の人数は995人となっている。なお、労働長官は、FLSAに関連した業務について、議会への年次報告書を提出する義務を負っている(FLSA 4 条(d))。

調査官は、以下の方法で、最低賃金法の取り締まりを行っている。

違反の把握

違反の把握方法として2つある。1つが苦情処理受付によるもの、もう1つが連邦労働省が主導しておこなう方法である。

前者は、電話、Eメール、手紙等による苦情受付である。外国人労働者の多いアメリカでは、苦情受付における多言語対応が必要になる。現在、16カ国語での対応が可能である。また、電話で受け付けた苦情は、対応から2分以内に多言語が対応できるシステムを確立している。

後者は、「戦略的執行(Strategic Enforcement)」により、最低賃金違反が多い産業、地域を調査により、特定する方法である。また、最低賃金違反が多い産業は以下の通りである。

  • 飲食 Eating and Drinking, Limited Service(Fast Food), Full Service
  • ホテル Hotel / Motel
  • 住宅建築 Residential construction
  • 清掃 Janitorial services
  • 引越し業 Moving companies, logistics providers
  • 農業製品 Agricultural products, multiple sectors
  • 造園業 Landscaping, horticultural services
  • ヘルスケア Health care services
  • 在宅介護 Home health care services
  • 食料品店 Grocery stores, retail trade
  • 小売 Retail trade, mass merchants, department stores, specialty stores

これらの産業の内、違反件数が多くを占める産業を優先的に取り締まっていく。現在は飲食産業がそれに当たる。こののちに、次の四つの段階を経て進んでいく。

  1. 産業構造を把握し、企業間の元請け下請け関係のマッピング、調査手順の考慮、雇用責任の範囲の確認、他産業との関係に拡大
  2. 産業特性、地域特性に基づく抑止力の行使
  3. 苦情処理に基づく調査から戦略的資源に基づく調査への転換
  4. 継続的な調査

このような手順を踏む背景には、重層的な請負構造が広がっていることが挙げられる。そうすることで、企業個人だけでなく、業界全体の問題を解決する目的もある。また、聞き取り調査により、元請け企業にも責任を追及している。

「戦略的執行」に当たっては、調査官の増員も行われており、2008年の731人から2015年の995人へとおよそ250人増えている。

調査

上述のように、最低賃金法違反の訴えがあった場合、調査監督官は、まず初めに、法の適用や適用除外を決定するための記録の調査(例えば、年間取引高、州際取引をしているかどうかなどが含まれる)、被用者の賃金や労働時間など、雇用条件に関する記録を調べるところからはじまる。

FLSAは、その記録の作成を使用者に義務付けている (FLSA11条(c))。この記録を故意につけていない、もしくは保存していない使用者には刑事罰が課される( FLSA15同条(a)(5)、16条(a) )。

また、使用者だけでなく、使用者と関係する全ての従業員に聞き取り調査もする。

違反した場合の賠償請求と刑罰

調査の結果、違法が認められた場合、未払い賃金の回収が行われる。

その方法は損害賠償請求として、被用者によるもの( FLSA16条(b))と労働長官が行うもの(FLSA16条(c))の2つ がある。被用者は単独以外にも、集団訴訟(Class Action)を行うことができる。未払い賃金には、同額の付加賠償金が課せられる。

違反を行った使用者に対する措置は、行政手続き、民事訴訟、刑事訴追の3つがある。

  • 行政手続き
民事訴訟の代替として行われる。違反を行った使用者に未払い賃金、損害賠償、民事制裁金の支払いの3つが課せられる。なお、民事制裁金は児童労働や故意の違反を繰り返した場合に課せられる。使用者が支払いに応じたところで決着となる。
  • 民事訴訟
被用者と連邦労働省の双方が訴えることができる。その内容は、被用者であれば、未払い賃金と損害賠償、及び裁判費用の支払い、連邦労働省の場合はそれに加えて民事制裁金が加わる。
被用者が訴える場合は、連邦労働省は民事制裁金の部分だけの訴訟となる。連邦労働省がすべての内容を訴える場合は被用者による訴訟は行われない。
  • 刑事訴追
使用者が明らかに故意に違反を行ったと判断された場合には刑事訴追となり、罰金と禁固刑の双方が課せられる

抑止力の行使においては、2014年以降、企業が州を跨いで移動して、賠償請求の追及を逃れるのを防ぐため、労働長官による損害賠償請求を多用している。

また、「戦略的執行」を実施したことにより、未払い賃金の回収をより多く回収できた。2009年以降で160億ドルの未払い賃金を回収しており、2015年度だけでも2億4,600万ドル、24万人分を回収した。その大半が低賃金労働者であり、労働者1人当たりの回収額も増えており、2009年の785ドルが、2015年の1,000ドルとなっている。

FLSAは、最低賃金制度の履行確保のために、違反者に対する措置を定めている。最低賃金、時間外割増賃金違反を禁ずる(FLSA15条(a)(2) )とともに、最低賃金違反を行った使用者には罰金、懲役刑、事業停止などの措置がとられ(FLSA第15条)。罰金の場合は1万ドル以下、禁固刑の場合は6カ月以下となる( FLSA16条(a))。

連邦労働省賃金・時間局以外で取り締まりを行う機関

連邦労働省だけでなく、内国歳入庁(IRS)も最低賃金違反に関する取締りを行う。何故なら、最低賃金より低い人件費で支払った場合、企業は、人件費を削減することが出来るだけでなく、社会保障税や失業保険税への支払いを行わなくて済んでしまうためであり、納税の観点から最低賃金違反の取締りを行っている。場合によっては、賃金・時間局と内国歳入庁は連携して取り締まることがある。

州や市、郡の場合

最低賃金がある州は州法が、市・郡の最低賃金がある場合は市・郡の条例がある。これらの法令に基づき、州政府、市・郡がそれぞれ最低賃金制度履行のための調査官をおいている。

州政府、市・郡は賃金・労働時間に関する担当部局をもち、調査官がその部局にいる場合 もあれば、外局(Agency)に調査官がいる場合もあり、まちまちである。

最低賃金以下及び時給15ドル以下の労働者と生活賃金額に関するデータ

[151]

連邦最低賃金以下の賃金を支給されている労働者は、2018年で16歳以上の全時給労働者の約2.1%(約171.1万人)であり、その内の約75%(約127.6万人)が最低賃金未満である。労働者はフルタイム時給労働者は約1.2%(約74.2万人)、パートタイム時給労働者は約4.8%(約96.5万人)となっている。

男女別では、男性は約1.6%(約63.2万人)、女性は約2.6%(約107.8万人)である。年齢別では、一番高い年齢層が16~19歳で約7.6%(約36.1万人)であり、逆に低い層は55~59歳の約0.9%(約6.6万人)。人種別では白人は約2.0%(約124.2万人)、黒人は約2.6%(約31.3万人)、アジア系は約1.7%(約6.9万人)、ヒスパニックは約1.9%(約32.4万人)である。

学歴別では、一番高いのが高校在学中が約4.4%(約24.2万人)であり、一番低いのが修士卒、専門職学位卒、博士卒の約1.0%(それぞれ、約3.2万人、約0.3万人、約0.4万人)である。

婚姻の有無では、未婚は約3.5%(約114.6万人)、既婚は約1.0%(約36.1万人)、寡婦、離婚及び別居は約1.6%(約20.4万人)であり、16~24歳の未婚女性が約6.6%(約47.4万人)が一番高く、逆に低いのが25歳以上の既婚男性の約0.6%(約10.5万人)である。

職業別では、高い順に、飲食業の約13.6%(約96.8万人)が突出して高く、連邦最低賃金未満労働者の約3分の2がこの職業に従事していた。次いでケアとサービスの約3.3%(約10.8万人)、保安警備の約1.8%(約3.8万人)である。逆に低いのは、建設・採掘の約0.3%(約1.4万人)、管理職、専門職及び関連した職業が約0.5%(約9.0万人)である。産業別で一番高いのがホテル及びレジャー産業の約10.5%(約104.9万人)と突出して高く、連邦最低賃金で働く労働者の約4割と連邦最低賃金未満で働く労働者の約7割近くが、この産業に従事していた。逆に一番低いのは建設業の約0.2%(約1.2万人)である。

州別では、高い順にルイジアナ州(約4.5%[約4.9万人])、サウスカロライナ州(約4.1%[約4.8万人])、コロンビア特別地区(約3.7%[約0.4万人])である。逆に低い順では、ミネソタ州(約0.7%[約1.1万人])、ワシントン州(約0.7%[約1.3万人])、アラスカ州(約0.8%[約0.2万人])、オレゴン州(約0.8%[約0.8万人])である。ただし、多くの州では、連邦最低賃金を上回る州が定めた最低賃金がある点に留意する必要がある。また、高い順の方にあるルイジアナ州とサウスカロライナ州は、州最低賃金を定めていない。コロンビア特別区の場合は。最低賃金は連邦最低賃金を上回る13.25ドル(2019年3月時点)である。

また、2015年時点での時給15ドル以下は全労働者の約43.7%(約5830万人)であり、その内の約71.5%(約4170万人)が時給12ドル以下(連邦政府が提示する4人世帯の貧困ラインをわずかに上回る時給額)である[152]。また、人種別では、白人(15ドル以下:38.3% 12ドル以下:26.7%)、ヒスパニック(15ドル以下:60.0% 12ドル以下:45.0%) 黒人(15ドル以下:53.0% 12ドル以下:38.2%) アジア人(15ドル以下:36.4% 12ドル以下:26.3%)である。また州別では一番高い州はアイダホ州(15ドル以下:62.6% 12ドル以下:47.7%)であり、一番低い州はマサチューセッツ州(15ドル以下:32.4% 12ドル以下:22.0%)である[153]

また、2018年のアメリカ全体平均での生活賃金額は以下の通りである。断りがない限り、大人は年間2,080時間働いている場合の時給額である。また子供は、1人目は4才、3人目は9才、3人目は15歳の場合を想定している[154][155]。大都市圏の中で全米一生活費が高いサンフランシスコ市の場合は、成人1人が生活するには時給18.73ドルを必要とし、子供1人を持つ成人2人(内1人が働いている)の家庭では時給34.41ドルを必要だとしている[156]

アメリカ全体平均での生活賃金(時給)
世帯モデル 時給
大人1人 12.16
大人1人子供1人 24.99
大人1人子供2人 29.56
大人1人子供3人 37.07
大人2人 9.64
大人2人子供1人 13.66
大人2人子供2人 16.14
大人2人子供3人 18.97
大人2人(働いている大人1人) 19.28
大人2人子供1人(働いている大人1人) 23.25
大人2人子供2人(働いている大人1人) 25.86
大人2人子供3人(働いている大人1人) 29.17

経済学者による最低賃金引き上げ論

肯定

  • 2013年、米国大統領であるバラック・オバマが最低賃金を時給9ドルに引き上げる政策を提示しており、クルーグマンはこの政策が以下の理由により低所得者の給与水準を改善するとして、これを歓迎している[160]
    • ここ40年間のインフレの影響で、2013年2月現在の実質的な最低賃金はいかなる合理的水準よりもはるかに低い。従ってオバマが提案している程度の最低賃金の引き上げであれば、伝統的な経済学が予想する最低賃金の悪影響は顕在化しない[160]
    • 同様に米国経済の過去の実証研究も、最低賃金の多少の上昇が悪影響を顕在化させない証拠を数多くあげる事ができる[160]
    • 労働者という財は通常の財と比べてはるかに複雑である事が原因で最低賃金の多少の上昇は労働需要を減らさない[160]
    • 最低賃金の上昇は低賃金労働者を対象とした他の制度、特に勤労所得税額控除に影響を与える。この控除の利益の一部は低賃金労働者ではなく経営者に還元されてしまうが、最低賃金の上昇はその利益を低賃金労働者にある程度戻す[160]
  • 最近[いつ?]の研究が示すように、最低賃金の上昇は低所得者の可処分所得を増加させ、消費が高まることで経済に好影響をあたえることがわかっている[162]。その最低賃金引き上げ法案は the Fair Minimum Wage Act と呼ばれ、アメリカ合衆国議会においてトム・ハーキンらによって提出された。その法案が可決されれば、最低賃金水準で生活する労働者の年収は2014年時の1万5千ドルから2万1千ドルへと上昇し[161]貧困層の3世帯に1世帯が貧困から脱することができると見積られている。
  • アメリカ合衆国大統領府経済諮問委員会(Council of Economic Advisers, CEA)は、2014年2月にオバマ前大統領により署名された大統領令13658号と同日の2014年2月12日に、「最低賃金引上げのための経済的論拠」[163]と題する調査レポートを発表している。
レポートによれば、最低賃金を時給10.10ドルへ引き上げることによる経済的ベネフィットは最低賃金引き上げによる経済的コストを上回ると考えている。最低賃金の上昇は労働者の離職・転職率を減少させ、会社の労働生産性を向上させるとしている。この労働生産性の上昇は、最低賃金引き上げによるビジネスコストの上昇を埋め合わせるとしている。更には、最低賃金引き上げによる雇用への影響はほとんどないとしている。以下にその内容の一部を紹介する[164]
  1. 最低賃金のインフレ調整後の実質価値は、1968年のピーク時と比較して、2013年12月時点で約3分の1目減りしている(1968年の最低賃金の実質価値は11ドルに相当した)。
  2. 最低賃金の平均賃金に対する比率は、2014年1月現在で36%に過ぎず、ピーク時(1968年2月)の54%から大幅に下がっている。
  3. 経済諮問委員会の見積もりによれば、最低賃金の引上げにより、全国の2800万以上の労働者が利益を得る。このうち1900万人が賃上げの直接の対象であり、900万人が波及効果によるものである。また、性別では、女性が対象者の55%を占め、年齢では、20代以下が49%を占める。
  4. 賃金及び勤労者所得控除を考慮した場合、現行の最低賃金のフルタイム労働者1名による4人家族の生活水準は、貧困ラインを17%下回るが、最低賃金を10.10ドルに引き上げることにより、貧困ラインを5%上回ることになる。
  5. 2013年の会期の間に、カリフォルニア州、コネチカット州、ニューヨーク州及びロードアイランド州において、最低賃金を引き上げる法律が成立している。また、ニュージャージー州は、住民投票によって最低賃金の引上げとインフレ率への連動を決定した。これらの改正は、2014年及び2015年のそれぞれ異なる時点で施行される。
  6. 世界各国の実質最低賃金の比較によれば米国の最低賃金は、10.10ドルに引き上げた場合でも他の先進各国よりわずかに低い額にとどまる。
  7. 数十年に及ぶ研究の主要な成果として、最低賃金の引上げは企業にとっても有利であることが報告されている。すなわち、従業員のモチベーションを喚起することにより生産性を向上させ、離職率の低下により新規採用や研修にかかる経費を削減し、また、従業員の欠勤率を低減させるなどである。
  8. 過去の研究によれば、最低賃金引上げと雇用との間の相関関係はほとんど見られず、また、2000年以降に公表された最低賃金に関する研究のメタ分析(2013年)の結果は、最低賃金の適度の引上げによる雇用者数への影響はほとんどないと結論付けている。
  • エイドリアナ・クルーガーは「非常に慎重な調査で通常、就業率に特に影響は出ていないことが明らかにされている」と指摘している[165]。クルーガーは、最低賃金の引き上げは先送りされすぎていると指摘しており、「10.10ドルへの最低賃金の引き上げによって200万人が貧困から抜け出せる」とし、「最低賃金の停滞は賃金分配の最下部で不平等の拡大を招いている」と指摘している[165]
  • アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル誌が2014年2月に48人のエコノミストを対象に行った調査では、54%が最低賃金引き上げは、雇用主の採用意欲を減退させ景気を損なうため実施すべきでないと回答しており、28%が最低賃金引き上げは景気に貢献すると回答、18%が特に有意な影響はないと回答している[165]
  • デイヴィッド・カードとその研究グループの1994年の論文では、アメリカの2州のファースト・フード店における最低賃金の引き上げと雇用実態を分析し、通説とは逆に、最低賃金の引き上げが、むしろ雇用量を増やす効果をもたらしているとしている[29]。最低賃金の引き上げが雇用量の減少をもたらすという事実は観察されないとしている[29]。一方で、カードらの研究に対する有力な反論も出現している[29]
  • アメリカのシンクタンク「経済政策研究センター」(CEPR)は、最低賃金を上げれば、ファストフードの食品加工・レジ係・小売店の販売員などの職種の離職率が下がり、組織の効率性が上がるなど、好循環が生じることで、雇用にはほとんど影響を及ぼさないと結論づけている[166]
  • リベラル系シンクタンク、経済政策研究所(Economic Policy Institute)の「2016年アメリカ賃金状況(The State of American Wage:2016)」によれば、下位10%の労働者の賃金上昇率が、最低賃金の引き上げを行った州が引き上げを行わなかった州と比べて大幅な改善がみられた。
最低賃金の引き上げを行わなかった州では対前年比2.5%の上昇にとどまったのに対して、最低賃金の引き上げを行った州では倍以上の5.2%(女性の場合は6.3%)の上昇だった[167][168]
  • 経済政策研究所(Economic Policy Institute)では、アメリカの連邦最低賃金を15ドルへ引き上げることを賛成している。賛成理由以下の通りである[169]
  1. アメリカの約4分の1に当たる約4,000万の労働者の賃上げになるだけでなく、ワーキングプアの約3分の2の賃金が引き上げることができ、低賃金で働く有色人種労働者の賃上げにもなる。
  2. 最低賃金労働者と中流階級の間の賃金格差を縮小できる。
  3. フードスタンプTANFなどの福祉給付、勤労所得税額控除に頼る世帯が減少するため、1,500億ドル以上の費用が浮く。
  4. 今までの最低賃金上昇で、雇用の減少がみられることなく、賃金上昇と人種間賃金格差を縮小させている。
  5. アメリカでの生活賃金額が15ドルを超える地域があり、子供1人いる片親世帯も生活する為には、控えめに見積もってもその時給額が必要があり、アメリカ全土に普及するためには、最低賃金を15ドルへ引き上げる必要性が出ている。

中立的

  • 明日山陽子は論文「米国最低賃金引き上げをめぐる論争」[26]で「最低賃金制度の目的は、低賃金労働者に最低限の生活を保障しその生活水準を向上させることだといえるだろう」と認めつつも「最低賃金は貧困削減にはあまり有用なツールではないとみなされ、また、最低賃金だけでは、貧困線を下回るまたはぎりぎりの生活しか保障されない。あくまで、最低賃金制度は低賃金労働者の生活水準向上のツールの一つにしかすぎないといえる」と指摘している。
また明日山は、労働市場を需要独占的とみなす需要独占的(Monopsonic)モデルの場合は、最低賃金が適度に引き上げている限りは、雇用の減少は無く、むしろ増加させる場合があると論文で明記している。なお、「需要独占(Monopsony)」とは、市場に買い手が一人しか存在しない状況のことを指すが、需要独占的(Monopsonic)モデルはこの純粋な需要独占のケースに限らない。買い手(この場合、労働の買い手である企業)が多数市場に存在する場合でも、情報の不完全性を理由に、労働者に移動コスト(職探しのコスト)、雇用者に採用コストが発生すると、企業は純粋な需要独占の状況と同様、右上がりの労働の供給曲線に直面することになる。
  • 経済学者のジョセフ・サビアは、最低賃金引き上げはオバマ大統領が考えているような貧困撲滅にはならないと指摘している[165]。サビアは、最低賃金引き上げは高失業率の時期には特に未熟練労働者の雇用に大きな打撃を与えるとしており、「最低賃金引き上げに最適な時期などないが、経済的に不透明な時期や景気後退時は最悪である」と述べている[165]
  • スイスのチューリヒ大学が行った米国の最低賃金と小売価格に関する研究結果(2017年11月発表。2001~2012年の米国における166件の最低賃金上昇[地方自治体・全米]と41州に所在する食料品スーパー2,000店の商品価格への影響を調査)[170]によると、最低賃金上昇により食料品や日用品など生活必需品価格が上昇し、最も圧迫を受けることになるのが最低賃金で働く労働者だという。研究結果の論文の8ページより、家計支出に占める生活必需品の支出比率は、平均11%で、最低所得層では14~15%、最高所得層では9%となり、世帯収入が低いほど比率が高くなる。
また一般的に、最低賃金の引き上げは、賃金格差縮小を目的として行われる。しかし、最低賃金の引き上げ前に、食料品店は値上げを行ってしまうため、最低賃金の引き上げによる恩恵は弱まってしまう[171]
  • 議会予算局(Congressional BudgetOffice, CBO)が、直後の 2014年2月18日に発表したレポート「最低賃金引上げが雇用と家計収入に及ぼす影響」[172]は、かなり異なる調査結果を報告している。
CBO は、最低賃金の引上げは、多くの低賃金労働者の収入を増やし、彼らの家族を貧困ランから引き上げる一方で、一部の労働者にとっては雇用そのものが失われる結果をもたらすとする。
CBO による最低賃金引上げのシミュレーションでは、2つのオプションを想定しており、ひとつは、最低賃金を2016年までに3段階で10.10ドルまで引き上げ、その後、毎年インフレに連動させて調整する案(時給10.10ドルの場合)であり、もうひとつは、2016年までに2段階で9.00ドルに引き上げ、その後のインフレ調整は行わないとする案(時給9.00ドルの場合)である。CBO は、これら2つのオプションのそれぞれについて、以下のとおり最低賃金引上げの影響を予測している[164]
  • 時給10.10ドルの場合
$10.10 オプションが完全に実行された場合、2016年において、約 50万人の規模で雇用の減少が見込まれる。ただし、最終的な影響の予測には幅があり、CBO は、雇用の減少幅がごく少人数から100万人までの間である可能性が約3分の 2であると評価する。
このオプションによる低賃金労働者の名目所得の増加は、CBO の試算によれば、トータルで 310億ドルとなるが、低賃金労働者の多くが必ずしも低収入の家庭に属しているわけではないため、これらの所得の増加のすべてが低収入の家計にもたらされるわけではない。CBOは、310億ドルの配分として、貧困ライン以下の家族の増加分が19%に過ぎないのに対し、貧困ラインの3倍以上の収入の家族の増加分が29%を占めると見積もっている。
さらに、最低賃金の引上げは、失業者に加えて経営者や物価の上昇の影響を受ける消費者の実質所得の減少を伴う。そのため、CBOは、全労働者の所得の増減を考慮に入れた結果、実質所得の増加は、全体として20億ドルであると見積もっている。
これらの結果として、時給10.10ドルのシナリオは、現行の最低賃金で貧困ライン以下の収入となる家族に対して、最終的に50億ドルの実質所得の増加をもたらし、およそ90万人を貧困ラインから上に引き上げる。一方で、貧困ラインの6倍以上の収入を得ている家族にとっては、最終的に170億ドルの実質所得の減少が見込まれるとする。
  • 時給9.00ドルの場合
上記と同様の試算によれば、$9.00 オプションでは、約10万人の規模で雇用の減少が見込まれるが、ごく少人数の雇用の増加から20万人の減少までの間である可能性が3分の2であるとしている。また、貧困ライン以下の収入となる家族に対しては、最終的に10億ドルの実質所得の増加をもたらし、およそ30万人を貧困ラインから引き上げる一方で、貧困ラインの6倍以上の収入の家族にとっては、最終的に40億ドルの実質所得の減少となると見積もっている。
  • 2019年7月にCBOは、2025年までに1時間あたり10ドル、12ドル、15ドルに上昇した場合の、3つの最低賃金額のシナリオで連邦最低賃金上昇の理論的効果を推定した。
15ドルのシナリオでは、2025年に370万人の労働者が失業する可能性がある。また、貧困者の数は130万人減少する(収入の増加による税金の影響がないと仮定した場合)。
CBOの見積もりにおける統計では、2018年基準の購買平価ドルに換算した場合、どのシナリオにおいても最低賃金額は、時間の経過ととももに上昇することが推測されている。CBOは、これらの推定値はインフレ率の上昇と同時に不確実であるため、貧困レベルの変化を推定する際にこれらの政策によるインフレの影響を考慮していないと述べている。加えて、CBOは、最低賃金引き上げに対する雇用の影響についても不可実性を伴う予測であることも述べた。
CBOによる3つのケースは以下の表となっている[173]
シナリオ 時給10ドル 時給12ドル 時給15ドル
賃金上昇が見込める最低賃金以下の労働者数(百万人) 1.5 5 17
賃金上昇が見込める最低賃金超えの労働者数(百万人) 2 6 10
週平均の雇用変化(百万人) -0.05 -0.3~-0.8 -1.3~-3.7
貧困者数の推移(百万) -0.05 -0.4 -1.3
実質年収の変動:貧困基準以下の家族(億ドル[2018年基準]) 0.4 2.3 7.7
実質年収の変化:貧困基準の1~3倍の世帯(億ドル[2018年基準]) 0.3 2.3 14.2
実質年収の変化:貧困基準の3~6倍の世帯(億ドル[2018年基準]) -0.05 -0.3 -2.1
実質年収の変化:貧困基準の6倍越えの世帯(億ドル[2018年基準]) -0.6 -5.1 -28.4
実質年収の変化:全世帯(億ドル[2018年基準]) -0.1 -0.8 -8.7

反対意見

  • アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル誌が2019年4月12日2:16(日本標準時間)の記事によれば、月次エコノミスト調査より米連邦最低賃金の引き上げは比較的小幅であっても雇用に悪影響を及ぼすとの見方が5年前の記事とは逆の見解が示された。エコノミスト全体の約3分の1は、現行7.25ドルの連邦最低時給を7.25ドル超〜10ドル未満の範囲に引き上げれば、雇用喪失につながると回答した。雇用喪失を招く最低時給水準としては、26%前後が10.01〜13.00ドル、12%が13.01〜15.00ドル、28%が15ドル超との見方を示した。最低賃金を支持するエコノミストの間で、適切と考える平均時給水準は10.83ドルだった。全体の3分の1弱は最低賃金自体を設けるべきではないとの考えを示した。回答者の半分弱が最低時給引き上げは可処分所得を増やすことで低所得層を支援するとの見方を示す一方、53%は最低時給引き上げにより雇用が減り、低所得層に打撃を与えると回答した[174]
  • 経済学者のディヴィッド・ニューマークウィリアム・ワッシャーニューマークは、アメリカを中心とした膨大な実証研究を調べた上で、最低賃金は未熟練の雇用を減少させ、最低賃金の変化に直接影響を受ける人々に限れば、そのマイナス効果は明確だと指摘し、雇用への正の効果を示す論文は限られており、数の面では負の影響を示す研究が圧倒的で、最も納得できる実証に限ればその傾向はより鮮明だとしている[175]。彼らの約100本におよぶ最低賃金に関する研究の調査の結果、3分の2ほどの論文は最低賃金が雇用に対して負の効果をもつと示唆していた一方で、100本中10本ほどの論文は最低賃金が雇用に対して正の効果を持つことを示していた[25]。彼らは、信頼のおける分析だと判断した33の論文の内、28本が負の効果を示唆したものであることから、最低賃金の引き上げは雇用に対して悪影響をもつと結論づけている[25]
  • レストランやホテル業界などの雇用者寄りシンクタンク、雇用政策策研究所(Employment Policies Institute)は、最低賃金引き上げに反対の立場を示している。理由は、以下の通りである[176]
  1. 雇用を減少させる。
    また、使用者側は、最低賃金引き上げにより、人件費上昇抑制の為、従業員を雇用せず、ロボットやセルフレジなどを用いて自動化したり、商品価格の値上げなどの対応をする。また、実際の例で2017年12月、ニューヨーク市の最低賃金は11ドルから13ドルに上昇したとき、 レストラン「The Coffee Shop」は、その影響により2018年10月に閉店したため、そこで雇われていた従業員150人を路頭に迷わせることになった。
  2. 貧困問題に対処できない。
    最低賃金引き上げに影響を与える大部分は、収入5万ドル以上の世帯で働く稼ぎ頭以外の人達である。また、貧困状態にいる人たちの60%が仕事を持っていないため、最低賃金引き上げによる恩恵を受けず、貧困問題の解決に貢献しない。なにより、コーネル大学アメリカン大学の経済学者による研究によれば、28の州で、2003年から2007年の間に最低賃金を引き上げたが、貧困の減少が見られなかったとの調査結果がある。
  3. 経済学者の大部分が反対している。
    例えば、15ドル引き上げに対して、約4分の3の経済学者が、若者の雇用減少などを理由に反対した。またリベラルな経済学者もこの規模の連邦賃金引き上げに反対している。そして、支持する党で、容認する最低賃金額が異なり、共和党支持者は現状の最低賃金額(時給7.25ドル)を支持が多いのの対して、民主党支持者は時給10.00~10.50ドルの最低賃金額を支持している。
  4. アメリカ人の60%は、最低賃金引き上げに関賛成しているが、引上げの副作用(未熟練労働者の雇用減少、中小企業の倒産増加)を知ると、反対が50~60%へと変化した。必ずしもアメリカの世論では、無条件で引き上げを支持しているわけではない。
  5. 貧困対策は、最低賃金引き上げではなく、勤労所得税額控除が効果的であること。
    また、控除が1%増加するごとに、州の貧困率が1%低下する調査結果が、サンディエゴ州立大学の経済学者ジョセフ・サビアとジョージア大学のロバート・ニールセンにより、発表されている。
  6. チップ制の労働者の大部分は、最低賃金引き上げに反対であること。

日本

歴史的経緯

1947年(労働基準法制定)~1968年(審議会方式移行)

[15][4][37] 日本において、1947年昭和22年)に労働基準法によって制定された。この当時の定め方は、、労働大臣または都道府県労働基準局が必要に応じて、最低賃金審議会答申または建議に基づいて定めるやり方であった。しかし実際には、戦後の混乱期の最中であり、機能しなかったため、批判が多く出た。

そのため、1959年(昭和34年)に、内閣総理大臣岸信介が成立させた最低賃金法(昭和34年4月15日法律137号)によって、最低賃金制度が導入された[177]

しかし、最低賃金法制定前にも、それに類似した制度があった。それは1956年に静岡県労働基準局長の指導のもとに静岡缶詰協会の会員事業所が缶詰調理工の初任給協定を締結したことから始まった。

この協定は、法的な拘束力もなく、労働側の参加もなかった。使用者間で、他の企業に待遇を理由に転職することを防ぐために決めた初任給協定だったのである。つまり、労なき審議により、最低賃金が決められたわけである。この方法による最低賃金の決め方は、世界に類例を見ない独特の決定方式であった。使用者間で決める方式が普及したのである。

この最低賃金は、制定された最低賃金法には、労働協約や審議会方式を可能にする条項もあったが、旧労働省の積極的な推進により各地で締結され、最低賃金法が制定される1959年の4月までに127件になったとされる。

この業者間協定方式が法制化されることになった背景には、以下の理由がある

  • 国内的には本格的な高度成長期の到来を前に、繊維や金属・機械などの低賃金業種で若年者の初任給が上昇し、それをカルテルにより阻止しようとする意図があったとされる。

しかし、この方式による最低賃金の決め方は、使用者側に有利な決め方であるため、協定最低賃金の水準の低さが問題視されるようになり、更には、業者間や地域間でそれぞれ決めていたため。不均衡が生まれた。

そこで、法成立後に設置された中央最低賃金審議会 (公労使各7名) が1964年に「最低賃金の対象業種および最低賃金額の目安について」の答申を出し、地域別及び業種別 (3地域2業種別)に最低賃金の具体的な目安を示した。

ただし、2年後の1966年には業種区分が廃止され、地域別の目安のみが示されるようになった。

1968年(審議会方式移行)~1978年(目安制度導入)

[15][4][37]

審議会により使用者間による協定方式から審議会方式への移行が主張された結果、1968年には法改正によって審議会方式が基準とされ、業者間協定方式は廃止された。

審議会方式へと移行した背景には、労働者の代表が関与しない業者間協定方式では、労使が平等に参与すべきであると定めた国際労働機関(ILO)第26号条約に反しており、 ILO 条約を批准できないという事情があった。

こうして審議会方式に移行したことで、1971年に最低賃金に関するILO 条約 (第26条及び第131号) の批准が行われた。この年は同時に法第16条「最低賃金審議会の調査審議に基づく最低賃金」のもとで、地域別最低賃金の審議が地方で始まった年でもある。

その後、労働省の「最低賃金の年次推進計画」のもとに県全域の労働者を対象にしてそれは急速に発展した。

他方、法第11条「労働協約に基づく地域的最低賃金」による方式は、企業別組合をベースにする労使関係のもとでは普及せず、むしろ審議会方式による産業別最低賃金が業種を大括りにした形で進展した。

こうして、地域別最低賃金が整備されたものの、都道府県ごとに決めていたため、全国で見た場合、整合性に欠けていた。そのため、全国一律の最低賃金制度が労働側から求められたのである。

実際に、1975年労働4団体(総評全日本労働総同盟中立労働組合連絡会議全国産業別労働組合連合)が「全国一律最低賃金制」を求め、これに応じて野党4党(日本社会党日本共産党公明党民社党)が国会に改正法案を提出した。

この法案は可決されなかったが、1977年に、中央最低賃金審議会より、地域別最低賃金に全国的な整合性をもたせる必要性が認められ、毎年の最低賃金の改定に際し中央最低賃金審議会が改定の目安を作成し地方最低賃金審議会に示すこととした。(いわゆる「目安方式」)[178]

1978年(目安制度導入)以降

[15][4][37]

1978年に目安制度が導入され、現在の日本の最低賃金制度の骨格が出来上がった。また、地域別最低賃金の引き上げ額について中央最低賃金審議会が地方の審議会に対して目安を提示した時期である。都道府県を A, B, C, D の四つのクラスに分類し、それぞれについて引き上げ額の目安を示すというものである。

ただし、公労使の三者が合意できたのは最初の3年間のみで1981年以降は公益見解として引き上げ額が地方に示され、労使はそれぞれの不満を意見書によって表明している。

こうして地域別最低賃金が労働者の間で定着したが、産業別最低賃金の位置付けについて課題が生じた。このため中央最低賃金審議会において、産業別最低賃金のあり方が労使間で長い期間議論がされた。その結果、

  1. 産業別最低賃金は、労使のイニシアティブに基づく制度として、労使団体から申出があった場合に限り、審議会に諮問を行い決定等の手続を開始すること
  2. 産業の範囲を小くくりとし、基幹的労働者に適用することとした(新産別最低賃金)。

また、地域別最低賃金を下回る産業別最低賃金は順次廃止されることとされた。

そして、2007年の最低賃金法改正の内容は次のとおりである。[179]

  • a. 審議会方式による最低賃金制度に関して、地域別最低賃金と産業別最低賃金制度の2つの決定方式を区分して法律上規定した。従来の法律ではこれらは審議会方式の決定方式としてまとめて規定されていた。
  • b. 地域別最低賃金制度の強化が行われた。
まず最低賃金は「地域ごとに決定されなければならない」と定め、地域別最低賃金が必要的設定事項であることを明確化した。
また、従来は 都道府県労働局長の許可により最低賃金を適用除外する制度が設けられていたが、これを廃止し、例外なくすべての労働者に適用されることした。また、罰金額の引上げも行われた。
  • c. 最低賃金が生活保護の水準を下回らないよう、最低賃金の決定に関して、「生活保護との整合性に配慮する」ことが定められた。
  • d. 産業別最低賃金は、「特定最低賃金」として、関係労使の申出がある場合に限り決定する(任意的設定)旨定められた。
産業別は労使の主体的な取組により決定される制度であることを明確化したものである。
  • e.決定実績のほとんどなかった労働協約の拡張による最低賃金(労働協約の拡張による最低賃金は2件決定されているに止まっていた)は、廃止された。
  • f.特定最低賃金の適用範囲が派遣労働者を含めるようになった。

最低賃金水準

地域別においての全国加重平均額は901円。最高額は東京都の1,013円、次いで神奈川県の1,011円、最低額は宮城県・福島県を除く東北地方・鳥取県・島根県・愛媛県・高知県、福岡県を除く九州地方、沖縄県の790円となっている(2019年10月1日~10月6日発効予定)[180]

また、日本の最低賃金はOECDの実質最低賃金の統計[100]より、アメリカ合衆国ドル建て(2018年実質為替レート)にすると2017年時点では、時給7.82ドルであり、OECD加盟国の中で、最低賃金制度のある28か国中11位であり、中位ランクであるが、G7の中では最低賃金制度の無いイタリアを除けば、アメリカ(2017年:7.43ドル)に次いで低い。また購買力平価(2018年)で換算した場合、時給8.08ドルであり、28か国中11位であり、同じく中位ランクであり、G7の中でも同じくアメリカに次いで低い。

フルタイム労働者賃金に対する法定最低賃金の比率は、2017年時点で中央賃金の場合は、0.42でありOECD加盟国の中で、28カ国中23位であり、下位ランクであり、G7の中では最低賃金制度の無いイタリアを除けば、低い方から低い方から2番目である[103]。平均賃金の場合は、0.36でありOECD加盟国の中で、28カ国中22位であり、同じく下位ランクであり、G7の中では最低賃金制度の無いイタリアを除けば、低い方から2番目である[103]。また、1人当たりGDPに対しての比率は、地下経済並びに失業率を考慮した場合、2017年時点では0.305であり、151カ国中52位であり、中の上ランクである。G7の中では低い方から3番目である[105]

最低賃金制度

最低賃金制度の在り方について労働政策審議会の意見の提出があったときは、日本国政府は速やかに必要な措置を講ずるものとされている(昭和43年法律第90号附則第8項)。なお最低賃金法における労働者使用者賃金の定義は労働基準法と同一である(法第2条)。

法の目的は、「賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」とされ(法第1条)、全ての労働者を守るための安全網としての役割がもっとも重要であり、公正な賃金設定という役割は、あくまで補助的なものである[181]

使用者は最低額以上の金額を賃金として労働者に支払わなければならない。最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす(法第4条)。これは全ての賃金に対して適用されるため、正社員やパート・アルバイトといった勤務形態の違いにかかわらず、最低賃金以上の賃金を支払わなければならない。

ここで言う最低賃金は、基本的な賃金の額であり、例えば時間外割増賃金(いわゆる残業代)や通勤手当(いわゆる交通費)、精皆勤手当、家族手当は含まれない(住宅手当は含まれる)。

最低賃金には地域別最低賃金(法第2節)と特定最低賃金(法第3節)とが設けられている。その額の決定、変更については、中央最低賃金審議会厚生労働省)が厚生労働大臣へ引き上げ(引き下げ)の答申を行い、その答申を元に、各都道府県の地方最低賃金審議会都道府県労働局)がそれぞれの最低賃金を審議・答申し、都道府県労働局長が定める形式となっている(法第10条、第15条)。

地域別最低賃金

地域別最低賃金は、あまねく全国各地域について決定されなければならないとされ(法第9条1項)、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められている。

地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならず、また労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする(法第9条2項,3項)。

2007年(平成19年)11月28日の法改正により、ワーキングプア解消を目指し最低賃金を決める際、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」ことを明記し「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」との文言も加えられた。最低賃金未満で働かせた企業への罰則も、「2万円以下」から「50万円以下」の罰金に引き上げられた(法第40条)[182]

特定最低賃金

特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業について、関係労使が基幹的労働者を対象として、労使の申出に基づき、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めるものについて設定されていて(法第15条)、平成 19年(2007年)の最低賃金法改正により、旧来の産業別最低賃金[* 4][1][183]を発展的に解消したものである。

2019年(平成29年)3月末現在、全国で229件の最低賃金が定められており、適用労働者数は約289万人である。また、特定最低賃金全国加重平均額は、2018年(平成30年)時点で887円となっている[184]

特定最低賃金は、地域別最低賃金において定める最低賃金額を上回るものでなければならない(法第16条)とされているが、特定最低賃金と地域別最低賃金の双方が適用される労働者については、そのいずれか高いほうが適用されることになる。

派遣者における最低賃金

派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第44条1項に規定する派遣中の労働者をいう)における最低賃金は、地域別最低賃金・特定最低賃金とも、派遣ではなく、派遣の都道府県における最低賃金が適用される(法第18条)。

減額・適用除外

上記の様に最低賃金は全ての賃金に対して適用されるが、以下のいずれかに該当する者について、都道府県労働局長の許可を得た場合は、厚生労働省令で定める率を減額した額を最低賃金額とすることができる(法第7条)。

  1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者[* 5]
  2. 試用期間中の者
  3. 職業能力開発促進法第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であつて厚生労働省令で定めるもの
  4. 軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者(断続的労働に従事する者。施行規則3条2項)

2008年(平成20年)7月の改正法施行により、それまでの「適用除外」から「減額特例」へと変更された。最低賃金のセーフティネットとしての機能を強化する観点から、最低賃金の適用対象をなるべく広範囲とすることが望ましく、減額措置が可能であるならば、適用除外とするよりも減額した最低賃金を適用した方が、労働者保護に資することから改正されたものである。また減額事由から「所定労働時間の特に短い者」が法文から削除された。

改正前の適用除外許可及び改正後の減額特例許可の件数の推移は、中央最低賃金審議会の資料に示されていて、改正前の許可が失効し切り替えが多数行われた2009年度(平成21年度)を除き、おおむね改正後も改正前と同水準で許可が行われている[* 6]

決定方式

中央最低賃金審議会

[179][37]

日本では「春闘」が行われる。春闘ではまず大手企業で賃金交渉が行われ、その結果を踏まえて、中小企業の交渉が行われる。この中小企業の交渉による賃上げ状況の結果を踏まえて、最低賃金額が定められる。そのため、最低賃金の審議は、中小企業の賃上げ状況が明らかになる時期を見計らって、6月下旬から7月初旬に開始される。つまり、最低賃金近傍で働く人々の生活保障よりも、中小企業の賃金支払い能力に応じて引き上げられてきたのが実情であった[185]

ただし、2016年以降は、内閣総理大臣 安倍晋三の意向により、これよりも上回る3%の引き上げを行っている。

まず、中央最低賃議会において目安の審議が行われる。この審議は、例年6月下旬から7月初旬に、厚生労働大臣から審議会に、目安審議の諮問がなされることより開始される。審議会は、例年7月末か8月初旬に、目安についての答申を行う。具体的な目安額の審議は、審議会に設置される「目安小委員会」において行われる。

最低賃金審議会において、賃金の実態調査結果など各種統計資料を十分参考にしながら審議が行われ、

  1. 労働者の生計費
  2. 労働者の賃金
  3. 通常の事業の賃金支払能力

の3要素を考慮して決定または改定されることとなっている。特に1は、2007年の改正により、生活保護と整合性をもつことになっており、生活保護を上回るように配慮されている[186]。なお、審議会に使用される各種統計資料の中で賃金改定状況調査の賃金上昇率を重要な参考資料としている[187]

目安額については例年労使の意見の隔たりが大きく、1981年以降は、審議会の公益委員の考え方が「公益委員会見解」として各地方最低賃金審議会に提示されている。目安に関する公益委員見解は、都道府県をA、B、C、Dの4つのランクに分けて、引上げ額を提示する。

なお、目安の引き上げ率でこれまでの最高は、1980年の7%である。他方、最低は、2003年 の0.0%、2002年、2004年、2009年は、「現行水準の維持を基本として引上げ額の目安は示さないことが適当」とされた。

そして、都道府県のランク分けは5年に1度見直しが行われている。

見直しは、所得・消費に関する指標 (5指標)、給与に関する指標 (9指標)、企業経営に関する指標 (5指標) を指標化し、各指標を平均して総合指標を計算する。その総合指標が大きいものから並べて、ランク間の移動・ランクごとの変動をおさえ、各ランクにおける総合指数の分散の度合いを小さくすることを考慮して、ランク分けが決定される[188]

また、具体的な指標は以下の通りである[187][189]

  • 所得・消費に関する指標
  1. 1人当たりの県民所得 「県民経済計算年報」内閣府
  2. 雇用者1人当たりの雇用者報酬 「県民経済計算年報」内閣府
  3. 1世帯1月当たりの消費支出(単身世帯) 「全国消費実態調査」総務省
  4. 消費者物価地域差指数 「小売物価統計調査」総務省
  5. 1人当たり家計最終消費支出 「県民経済計算年報」内閣府
  • 給与に関する指標
  1. 1人1時間当たり所定内給与額(5人以上) 「賃金構造基本統計調査」厚生労働省
  2. 常用労働者1人1時間当たり所定内給与額(5人以上) 「毎月勤労統計調査 - 地方調査」厚生労働省
  3. 常用労働者1人1時間当たり所定内給与額(中位数)(1~29人(製造業99人)) 「最低賃金に関する基礎調査」厚生労働省
  4. 短時間労働者1人1時間当たり所定内給与額(5人以上)「賃金構造基本統計調査」厚生労働省
  5. 1人1時間当たり所定内給与における第1・十分位数(5人以上) 「賃金構造基本統計調査」厚生労働省
  6. 短時間労働者1人1時間当たり所定内給与における第1・十分位数(5人以上) 「賃金構造基本統計調査」厚生労働省
  7. 常用労働者1人1時間当たり所定内給与における第1・十分位数(1~ 29人(製造業99人)) 「最低賃金に関する基礎調査」厚生労働省
  8. 新規高校学卒者の初任給(10人以上) 「賃金構造基本統計調査」厚生労働省
  9. 地域別最低賃金額 厚生労働省
  • 企業経営に関する指標
  1. 1事業従事者当たり付加価値額(製造業) 「経済センサス - 活動調査」総務省
  2. 1事業従事者当たり付加価値額(建設業) 「経済センサス - 活動調査」総務省
  3. 1事業従事者当たり付加価値額(卸売業、小売業) 「経済センサス - 活動調査」総務省
  4. 1事業従事者当たり付加価値額(飲食サービス業) 「経済センサス - 活動調査」総務省
  5. 1事業従事者当たり付加価値額(サービス業) 「経済センサス - 活動調査」総務省

都道府県の最低賃金審議会

[179][188]

中央最低賃金審議会で目安が示されると、各都道府県の最低賃金審議会が、都道府県労働局長の諮問を受けて調査審議を行い、地域別最低賃金額についての答申が行われ、通例8月中に行われる。

最低賃金審議会は公労使の3者の審議で行われており、例年では公にあたる公益委員会が労働者側と使用者側の間に立って審議が行われる。なお、それぞれ3者の人数はそれぞれ同数となっている。

更に、地方最低賃金審議会において、実際の最低賃金の決定には、各都道府県労働局が実施した『最低賃金に関する基礎調査結果』 などの資料をもとに行う。

この調査結果から、作業実態、賃金実態等を視察、関係労使からの聞き取りから金額を検討するほか、当該地域の生計費、学卒初任給、労使間で協定した企業内の最低賃金、賃金階級別の労働者分布、決定しようとしている最低賃金額未満の賃金を支給されている労働者数などを考慮して結論が出されるとされている。

しかし、前記の調査結果にある統計の内、どの統計が重要視されているかは、分かってない。そして、2007年の改正より、生活保護との整合性を配慮しているが、その際、配慮される基準は、12歳から19歳までの単身の生活扶助基準(第1類+第2類+期末一時扶助費+都道府県の住宅扶助実績値)とされている。

審議の場では、生活保護水準との乖離額を地方最低賃金審議会が定める年数で割って得られる額と、ランクごとの引き上げ額とを比較して、大きい方の額とすることになった。

その後、都道府県最低賃金審議会の答申は公示され、当該都道府県の労働者及び使用者からの異議申立の手続を経て、都道府県労働局長が最低賃金額改定の決定を行い公示する。

このような手続を経て公示後30日後に新しい地域別最低賃金が発効する。発効日は都道府県により異なっている。遅くとも11月初旬までには発効されるが、たいていの場合、10月初旬には行われている。

なお、中央最低賃金審議会目安小委員会「目安制度の在り方に関する全員協議会」により、「目安」に対して、度々議論が行われてきた。

履行保証

最低賃金違反の疑い等がある場合、労働基準監督官が、事業場(工場や事務所など)に立ち入り、事業主に対して改善命令等を文書で行い、その是正を指導する。それでも法令違反が是正されなかったり、法令違反の内容が重大または悪質な場合、労働基準監督官は、特別司法警察職員(司法警察員)として犯罪捜査と被疑者の逮捕、送検を行う権限を行使する[190]。2016年度(平成28年度)時点での全国の労働基準監督官数は2,923人である[191]

日本では近年、最低賃金違反、残業代の未払い長時間労働などが常態化した企業が問題となっている。フリーダム・ハウスのレポートの中でも、少なくとも長時間労働に関して指摘されている[192]

また、10月の地域別最低賃金の改定発効を受けて、翌年1月~3月に実施される実施最低賃金重点監督では、使用者を労働基準監督署に呼び、労働基準監督官が賃金台帳等を調査する。2019年度(平成31年度)では、監督件数15,671件のうち違反件数が2,145件であり、違反率は約13.7%であった。そして、監督実施事業場の全労働者数19万8,108人の内、7,213人が最低賃金未満であり、全労働者数の約3.6%を占めた[193]

なお、重点監督における監督指導の対象となる事業場については、各労働基準監督署において、最低賃金未満の労働者割合が高い業種や過去の違反率が高い業種、法違反の疑いのある事業場情報等を踏まえ、監督指導が効果的・効率的に行われるよう選定される[194]

更に、2018年(平成30年)に外国人技能実習制度の実習実施者に対して7,334件の監督指導を実施し、その70.4%に当たる5,160件で労働基準関係法令違反が認められた。なお、違反は実習実施者に認められたものであり、日本人労働者に関する違反も含まれる。そして、最低賃金法違反も含めて、外国人技能実習生の実習実施者に対して監督指導を行ったのは、178件であった。更に、 労働基準監督機関から出入国管理機関・外国人技能実習機構へ通報した件数は389件、出入国管理機関・外国人技能実習機構から労働基準監督機関へ通報された件数は43件である。[195]

また、2016年度(平成28年度)に最低賃金法4条違反による送検件数は、13件であった[191]

地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められている。。

なお、最低賃金法第40条より、地域別最低賃金等について、最低賃金を下回る賃金が支払われた場合は、50万円以下の罰金が科せられる。更に、労働基準法第120条より特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、30万円以下の罰金が科せられる。

最低賃金未満及び最低賃金近傍の労働者

最低賃金未満の労働者の比率は、2018年度(平成30年度)では、事業所規模30人未満(製造業等は100人未満)の中小企業を対象にした場合、約1.9%であった。都道府県別にみると、一番高かったのが岩手県の約3.6%、次いで、東京都沖縄県の約3.3%であった。2018年(平成30年)の非農林水産業の事業所規模5人以上の民営事業所(5~9人の事業所については企業規模が5~9人の事業所に限る。ただし、教育や医療などの一部の法人は含まれていない)を対象の賃金構造基本統計調査特別集計によれば約1.6%であった。都道府県別にみると、一番高かったのが、大阪府が約2.8%、次いで北海道が約2.7%、神奈川県が約2.4%であった[196]

更に、2014年(平成26年)時点であるが、賃金構造基本統計調査を基に推計した最低賃金額の1.15倍未満の労働者の比率は、13.38%(約415.4万人)である[197][198]。以下、具体的な内訳は、

都道府県:一番高いのが沖縄県(21.71%)であり、一番低いのが香川県(6.79%)である。
性別:地域別最低賃金額未満の比率を性別にみると、男性1.15%、女性2.88%と、女性の方がわずかに高い。地域別最低賃金額1.15倍未満の労働者の割合は男性6.45%、女性22.51%であり、女性労働者のうち約2割の労働者の賃金は最低賃金から100円~130円程度高い水準未満にある。
雇用形態・期間の定めの有無:正社員・正規の職員であり、かつ期間の定めがない労働者の場合、地域別最低賃金額1.15倍未満の労働者の割合は 2.96%(男性:1.92% 女性:5.40%)であり、他の属性に比べて少ない。未満率が最も高いのは、無期の契約社員などを含む「正社員・正職員以外×期間の定めのない労働者」であり、地域別最低賃金額1.15倍未満の労働者は、40.00%(男性:28.33% 女性:45.13%)である。有期のパートタイム労働者などを含む「正社員・正職員以外×期間の定めがある労働者」は、27.99%(男性:20.71% 女性:31.83%)であり、非正規の中では、期間の定めのない労働者の方に低賃金労働者が多いという特徴がある。
就業形態:一般労働者(1日当たり5時間以上働く常勤労働者)の最低賃金額1.15倍未満の労働者の割合は4.66%(男性:2.89% 女性:8.30%)であるのに対し、パートタイム労働者(1か月の所定内実労働時間が1日以上で、1日当たりの所定内実労働時間が1時間以上9時間未満の労働者)は39.17%(男性:33.46% 女性:41.20%)である。
年齢階層:最低賃金額1.15倍未満の労働者の割合をみると、15~19歳の若年層で54.39%(男性:47.65% 女性:60.53%)と最も高い。逆に一番低い層は30~39歳で7.97%(男性:3.01% 女性:15.49%)である。
勤続年数:最低賃金額1.15倍未満の労働者の割合は勤続年数が短いほど高く、勤続0年(1年未満)では 28.90%(男性:20.60% 女性:35.89%)であるところ、勤続20年以上では2.76%(男性:0.92% 女性:9.16%)である。
学歴:賃金構造基本統計調査は、パートタイム労働者の学歴を調査していないため、ここでは一般労働者ついて学歴別の未満率を示している。最低賃金1.15倍未満の者の割合は一番多いのが中学校卒で12.26%(男性:7.71% 女性:28.87%)であり、女性が突出して高い。逆に一番低いのが、大学・大学院卒の1.36%(男性:1.15% 女性:2.04%)である。
企業規模階層:最低賃金1.15倍未満の者の割合は、企業規模が小さいほど高く、5~9 人規模で19.40%(男性:8.51% 女性:31.75%)である。逆に低いのが100~999人規模で10.90%(男性:5.29% 女性:18.33%)である。
産業別(産業大分類):最低賃金1.15倍未満の者の割合は宿泊業、飲食サービス業(39.95%)、生活関連サービス業(23.05%)、卸売業、小売業(22.71%) が高く、電気・ガス・熱供給・水道業(0.61%)、情報通信業(1.38%)で低い。
産業別(産業中分類):最低賃金1.15倍未満の者の割合が高いのは、持ち帰り・配達飲食サービス業(45.46%)、飲食料品小売業(45.37%)、飲食店 (43.28%)である。製造業の中では、繊維工業(36.63%)で高い。

また、「最低賃金1500円がつくる仕事と暮らし」(2018年10月15日、大月書店出版)の17ページ[199]より、5人以上の企業で働く労働者における最低賃金(全国加重平均額)付近労働者の割合は、以下のようになっている。また、最低賃金(全国加重平均額)5割増しの賃金水準未満で働く労働者の割合は、2001年には20.3%であったが、2017年には40.5%に激増している。

最低賃金時給額に対する労働者の割合(2017年)[200]
最低賃金額に対する割合 全労働者に対する割合(%)
最低賃金未満(848円未満) 6.2
最低賃金1割増し未満(932円未満) 13.9
最低賃金2割増し未満(1,017円未満) 21.6
最低賃金3割増し未満(1,102円未満) 28.5
最低賃金4割増し未満(1,187円未満) 34.6
最低賃金5割増し未満(1,272円未満) 40.5

生活賃金

日本において、最低賃金に関する議論はあるものの、アメリカやイギリスのように生活賃金に関する議論は盛んではない。日本でも、労働組合や一部の研究者による生活賃金の試算が2000年代以降に行われている。以下の表にその試算額が、世帯構成別に算出されている。

代表的な生活賃金額のデータは、2003年以降に数年ごとにされている「連合リビングウェイジ」であり、日本労働組合総連合会がさいたま市に居住している場合を想定して、独自に推計したものである。この「連合リビングウェイジ」は春闘の交渉材料に使われているが、世間一般の認知度は低く、遵守する企業は、現時点で皆無に近い。アメリカでは、1990年代の生活賃金運動により、生活賃金に関する独自の条例を設ける自治体があるが、日本ではない[8]

生活賃金時給額(税・社会保険料含む)
単身世帯 夫婦世帯 ひとり親世帯 ふたり親世帯
子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども1人 子ども2人 子ども3人
国民生活基礎調査 貧困線(2015) 767 1,084 1,084 1,328 1,533 1,328 1,533 1,714
<参考>最低賃金(2019年全国平均加重) 901 901 901 901 901 901 901 901
人事院 生活標準費(2019) 906 1,035 1,035 1,333 1,630 1,333 1,630 1,928
<参考>生活保護(2019) 937[* 7] 1,299[* 8] 1,519[* 9] 1,932[* 10] 2,128[* 11] 1,667[* 12] 1,931[* 13] 2,112[* 14]
連合リビングウェッジ(2017) 995[* 15] 1,437[* 16] 1,287[* 17] 1,639[* 18] - 1,705[* 19] 1,972[* 20] -
周燕飛BNB(2013-2015) 1,158 2,321 1,584 - - 2,216 2,292 2,395
三鷹MIS(2010-2012) 1,550[* 21] - 2,367[* 22] - - 3,569[* 23] - -
    • 生活賃金受給額は、年間労働時間2080時間の場合である。
    • 国民生活基礎調査、人事院、生活保護、三鷹MISの数値は、産労総合研究所(2015)[201]を参考に、生計費に負担修正係数(0.307)を乗じたものである[8]
    • 国民生活基礎調査は、2015年における貧困線の値である。
    • 最低賃金は、2019年10月改定の全国平均加重(時給額)
    • 人事院の標準生活費は、一般的な生活水準を求めるため、総務省の「家計調査」等で求めた2019年の値である。
    • 生活保護は、2018年10月に改定された生活扶助基準額であり、2019年にさいたま市で受給した場合を想定している。なお、家賃は、住宅扶助基準額の最大額で試算している。
    • 連合リビング・ウェッジは、さいたま市在住の場合を想定した2017年6月時点における生活費である。
    • 周燕飛BNB(2013-2015)は、単身世帯は、ゆうちょ財団「くらしと生活設計に関する調査 2013、2014」[202][203]により、それ以外の世帯はゆうちょ財団「家計と貯蓄に関する調査 2013、2015」[204][205]より算出した生活費である。
    • 三鷹MISは、三鷹市に在住している場合を想定し、単身者と子供は2010年10月~2011年2月の間、親は2011年8月~2012年3月に間における生活費である[206]
  • 出典
    • 国民生活基礎調査 貧困線(2015)[207]
    • 最低賃金(2019年全国平均加重)[208]
    • 人事院 生活標準費(2019)[209]
    • 生活保護(2019)[210][211]
    • 連合リビングウェッジ(2017)[212]
    • 周燕飛BNB(2013-2015)[8]
    • 三鷹MIS(2010-2012)[213]

また、上記の表にある試算額は、単身者だけでも、767~1,550円と約2倍の差が出ている。これは、主に試算する方式による違いである。「貧困線基準」では 767円、人事院「標準生計費基準」では882円となっている。マーケット・バスケット方式で試算した連合リビングウェッジは995円、必需品予算(BNB)基準によって試算した周燕飛BNBは1,158円となり、MIS方式を取る三鷹MISの試算額がもっとも高く1,550円であった。 それぞれの方式には、以下のような違いがある[8]

  • 貧困線基準
「貧困線基準」は、シンプルで、恣意的な解釈の余地の少ない基準である。
国民生活基礎調査の場合、等価可処分所得(「実収入」から「非消費支出」を差し引いた額で、いわゆる手取り収入。賃金などの就労所得、資産運用や貯蓄利子などの財産所得、親族や知人などからの仕送り等。公的年金、生活保護、失業給付金、児童扶養手当てなどその他の現金給付を算入する。更に、世帯人員の平方根で割って調整している)の中央値の半分の値である[214]
人事院標準生活費の場合、算出のベースは、実態生計費である「家計調査」の最も多い階層の生活水準を基準としている。
そのため、両方の貧困線基準が、健康で文化的な生活水準であるか否かの検証は全く行われていない[215]
更に、「貧困線基準」で算出される生活賃金は、概ね控えめの金額となっており、標準的な消費水準を賄える保証がないので、生活賃金の運動家や研究者の間では、批判的な意見が多い。
  • 必需品予算(BNB)基準
「貧困線基準」に対する上記の批判を意識して、Renwick and Bergmann(1993)が「必需品予算(BNB)基準」を提案している。「BNB 基準」の下では、一般家庭の標準的な消費額を調べた上で、生活賃金の水準が設定されている。
具体的にはアメリカの例であるが、まず、労働統計局の調査を元に、食費や住居費などの生活にかかる費用を集計する。次に、低所得世帯向けの公的福祉給付(住宅補助、フードスタンプ等)の評価額を調整した上、税金・社会保険料を含んだ生活賃金額を算出する。
  • マーケット・バスケット方式(自給自足基準)
マーケット・バスケット方式には、「全ての生活費を、福祉や貯金、私的な不労所得で賄わず、労働によって得られた賃金のみで賄う」という前提が置かれている。
具体的には、一般家庭に最低限必要な物やサービスを、消費する量を仮定して、それぞれの市場価格を調べる。それらを合計した生活費(月額または年額)を「生活賃金」の算定ベースとする。
この方式により算出された生活賃金額は、算定基準や費目の設定範囲に大きく左右される側面がある。そのため、「マーケット・バスケット方式」では、「貧困線基準」と「BNB基準」での推計値よりも高くなる傾向がある。
  • MIS(Minimum Income Standard:最低所得水準)[216]
最低生活に必要なモノ・経費をひとつひとつ積み上げる方式は、基本的にはマーケット・バスケット方式同じであるが、最低生活の中身について、専門家ではなく(属性が近い)一般市民に決断を委ねる。
最低限必要な物・サービスを普及率など一般市民の行動を参照するのではなく、一般市民により議論して合意形成して決めていく。議論を複数回行うことにより一般市民の常識(common sense)に近づけることができる。

生活賃金の推計値は、決定方式の違いや考え方により大きな差が出来てしまい、もはや一種の「政治的判断」となっている。「連合リビングウェイジ 2017」では、最も低く、かつ現状の最低賃金額に最も近い単身世帯の推定最低生活費を用いて、都道府県別生活賃金額を提示している。もし単身世帯よりも高い推定最低生活費を提示してしまえば、最低賃金額と、世帯によっては2倍以上差のある推定生活賃金額の乖離が大きく、企業側は、その高さを理由に拒否される可能性が高いため、企業との賃金交渉に使いやすい単身世帯の推計値が用いられたと考えられる。なお、アメリカでは、共働きの4人世帯を前提とした生活賃金を用いて労働問題を提起する[8]

また、前述には、最低賃金は生活保護に係る施策との整合性に配慮するようになっているが、上記の生活保護の方が高くなっている。これは、住宅扶助が、上記の表では最大額であるのにたいして、厚生労働省の方では前年度の実績値で生活保護と最低賃金との差について試算していること、そして、税・社会保険料を考慮した可処分所得の総所得に対する比率が、産労総合研究所の値では、0.765に対して、厚生労働省の方では0.824として試算しているからである。そのため、住宅扶助の実績値と税・社会保険料を考慮した可処分所得の総所得に対する比率0.824で試算することで、どの都道府県も最低賃金よりも生活保護の方が下回るようになっている[217]

最低賃金引上げの動向

地方自治体の中には、発注する公共工事などを請け負う会社に対して、日本国政府の規定最低賃金を上回る賃金を下限として支払わせることを目的としている公契約条例が制定されている例もある[218]

2013年(平成25年)の最低賃金引き上げでも、5都道県で生活保護問題で指摘されている逆転現象が残っていた。2013年度の引き上げ前の時点で生活保護費との開きが2014年(平成26年)の引き上げで逆転が解消された[219][220]

安倍晋三内閣総理大臣に再登板した2013年以降は、最低賃金が毎年引き上げられている。最低賃金の全国平均が2013年には745円だったのが、2019年には901円となり7年間で20%程度上昇させた。アルバイトは人手不足のために最低賃金を大きく上回る時給を示したり、月に2、3万円の交通費は企業が負担して募集している売り手市場になっている。

企業の収益増加と賃上げで、景気浮揚を狙う安倍内閣は「1億総活躍プラン」として毎年3%引き上げていくことで、最低賃金の全国平均を1,000円に上げる[221][222]とし、2017年3月28日に決定した「働き方改革実行計画」でも同じ方針を確認した[223]

こうした意向を背景に、2016、2017年度は25円ずつ引き上げられ、それぞれ引き上げ率3%を確保してきた。2018年も安倍内閣は、6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)で同様の方針を盛り込み[224]、引き上げ額の目安を決める審議会にも理解を求めてきた。

中央最低賃金審議会の目安に関する小委員会の議論では、経営者側が「中小企業の経営は厳しい」と連続での大幅引き上げに反対した一方、生活水準を底上げしたい労働者側は引き上げを強く要求。最終的に引き上げ率は、政権の意向に沿った形となり、2018年度にも全国で3%の賃上げが決まり、全国平均は874円に引き上げられた[225][226]。2019年は、2016年以降、年率3%程度を目途として引き上げられてきたことを踏まえ、景気や物価動向を見つつ、中小・小規模事業者が賃上げしやすい環境整備の取組とあいまって、より早期に全国加重平均が1000円になることを目指すことを明記した[227]

また、首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)のアルバイト平均時給は、2019年5月時点で、リクルートジョブスの調べでは1,092円(販売・サービス系は1,078円、フード系は1,060円)[228]であり、全国の場合は、パソナキャリア調べで、1,028円(販売系は956円、サービス系は1,056円、フード系は995円)[229]であった。首都圏を対象としたリクルートジョブスの方は、東京の最低賃金985円を上回っているが、全国で傾向を見ているパソナキャリアの方は、販売系・フード系が下回っている。

また、2019年7月の中央最低賃金審議会の資料より、ハローワークで受理した求人票のパートタイム労働者(雇用契約において雇用期間の定めがないか、または4か月以上の雇用期間が定められている、季節労働を除くもの)の1求人票あたりの募集賃金平均額は2018年平均で1,037円であり、2019年5月時点で1,049円であった。都道府県別にみると2018年平均で、最も高いのが神奈川県の1,169円であり、次いで東京都が1,165円であった。逆に最も低かったのが青森県の880円であり、次いで秋田県の894円であった。更に、求人票の賃金額で低い額(例えば、求人票に記載された賃金額が、18~24万円なら、18万円)の平均額は、2018年平均で982円であり、2019年5月時点で994円であった。都道府県別にみると2018年平均で、最も高いのが神奈川県の1,105円であり、次いで東京都が1,100円であった。逆に最も低かったのが青森県の847円であり、次いで鹿児島県の858円であった[230]

日本共産党は、最低賃金を全国一律にし、時給をすぐにでも1,000円に引き上げ、最終的に1,500円を目指すことを主張している。また、中小企業に対する引き上げに伴う影響を少なくするために、賃上げ支援予算を1000倍の7,000億円に増額し、社会保険料の事業主負担分を減免するなどして対応することも併せて主張した[231]。だが中小企業にとって、そのような大幅な引き上げは、緩和策があれど商品や、サービスに値上げという形で転化させることが、低コストの途上国にある企業と競争している国境がない現代では、海外移転や委託による依頼の喪失を招いて、日本の企業が収益どころか雇用を維持できなくなる。

結局は、賃上げされても最低賃金で働いている「資格」や「特殊技能」の人に対して付加価値がない労働者を解雇して、飲食店なら機械導入によるオートメーション化で労働力を確保することになるため、雇用減と産業の空洞化を招くだけと指摘されている[232]。実際に企業の損益分岐点無視の最低賃金引き上げに対して、受付の販売従業員はなくして、タッチパネル方式の顧客対応ロボットに置き換える予定であり、今後はコストに合わない人材は失業者になるとだろうと述べられている[233]

諸議論

最低賃金を巡る議論をいくつか挙げる。

  • 産業別賃金のあり方
    産業別賃金を廃止も含めて検討すべきという意見が、「最低賃金制度のあり方に関する研究会」報告書で出されている。
経済学者の鶴光太郎は、日本の各種大規模なミクロデータを使った分析において、
  1. 最低賃金の影響を受けやすい10代の労働者に限れば、最低賃金上昇の雇用への負の効果は明確である
  2. 最低賃金の企業収益への負の効果も明確である
  3. 最低賃金引き上げは、比較的裕福な世帯主以外の労働者にも恩恵があるという意味では、貧困対策として漏れがある
としている[234]
  • 最低賃金の雇用への影響と貧困対策
  • 大竹文雄は「労働市場が買い手独占であれば、最低賃金の引き上げは、雇用も賃金も増やす可能性がある。日本国外での実証研究の多くは、最低賃金引き上げで雇用が減少するという報告が多いが、最低賃金が雇用に影響を与えないという研究結果も存在する。
日本では、1990年代終わり頃から、最低賃金が雇用にマイナスの影響を与えているというものが多い。最低賃金の引き上げは、短期的には財政支出を伴わない政策であるため、貧困対策として政治的に好まれるが、最低賃金水準で働いている労働者の多くは、500万円以上の世帯所得がある世帯における世帯主以外の労働者であり、最低賃金は、貧困対策としては、あまり有効ではない政策である」と指摘している[235]
  • 大竹は「実証分析によれば、日本において最低賃金引き上げで雇用が失われるという意味で被害を受けてきたのは、新規学卒者・子育てを終えて労働市場に再参入しようとしている既婚女性・低学歴層といった生産性が低い人たちである。貧困対策として最低賃金を引き上げても、職を維持できた人たちは所得が上がるかもしれないが、失業した人たちは貧困になってしまう。最低賃金引き上げで雇用が失われるという実証的な結果は、労働市場が競争的な状況における最低賃金引き上げに関する理論的な予測と対応している。ただし、最低賃金引き上げによって仕事を失うのが、留保賃金が高い労働者から低い労働者という順番であれば、雇用が失われることによる社会的余剰の減少よりも、雇用を維持できた人たちの賃金が上昇する効果による余剰の増加の方が大きくなる可能性がある」と指摘している[236]
  • 経済学者の若田部昌澄は「企業側に最低賃金を引き上げるというインセンティブはないため、デフレで実質賃金が上がっている状態で、最低賃金を引き上げると、企業側は雇用に慎重になる。最低賃金の引き上げは、デフレ不況を解消するほどの需要にはならず、悪い効果を与える可能性が高い」と指摘している[237]
  • 経済学者の田中秀臣は「名目経済成長をないがしろにした最低賃金の引き上げは、地方・若年層の雇用を悪化させる可能性が大きい」と指摘している[238]
  • 2019年5月14日、政府は経済財政諮問会議を開き、民間議員は企業が最低支払わなければならない最低賃金に関し、全国加重平均が時給1000円になることを「より早期に目指すべきだ」と提言。引上げペースの加速を促す[239][240]
しかし一方で、最低賃金引き上げの方針に対して、日本商工会議所では、2018年の最低賃金引き上げの際、約4割の中小企業が引き上げの影響があったこと、中小企業の賃上げ率(2018年:1.4%)より高い最低賃金引き上げ率(3.0%)は、設備投資の抑制など中小企業の経営を直撃し、事業の存続を危うくすることから、反対する要望書を厚生労働省・自民党に2019年5月28日に提出した。また、業務改善助成金[241]の助成対象の強化拡充や交付申請の簡素化、最低賃金改定を年初めまたは年度初めにすること、特定最低賃金の廃止の検討も要望書により要望した[242][243]
  • 2019年5月14日に開催された経済財政諮問会議で触れられているが、「平成29年度年次経済財政報告」より全労働者の中央値以下の賃金階級に属する労働者の時給について、最低賃金引上げの影響を受けると考えられ、試算によれば最低賃金が1%引き上げられることで、第1十分位(全労働者の賃金が低い方から数えて10%に属する層)で0.6%、第4十分位(全労働者の賃金が低い方から数えて30%超40%以下に属する層)で0.4%の引上げとなる。
実際に2010年と2015年のパートタイム労働者の時給を比較すると、中央値よりも低い第1十分位から第4十分位の各階級において、平均的に35~45円ずつ引き上げられた結果となっており、貧困率低下に寄与したと考えられる[244]
  • 内閣府の経済財政政策関係公表資料である経済財政分析ディスカッション・ペーパー・シリーズDP/17-2より、2012~16年度の最低賃金の引上げ(全国平均で累積74円、約10%)は、パートタイム労働者の平均賃金を52円程度押し上げたと推計され、その結果、マクロの賃金増加額は0.81兆円程度になると見込まれた。また、都道府県別に最低賃金がパートタイム労働者の平均賃金を押し上げた程度の割合は、2005年から2015年の間にかけては、最大の北海道で11%、最小の岐阜県では7%程度であると推定された。ただし、最低賃金以外の要因寄与も大きいことに留意する必要がある[245]
  • 労働政策研究・研修機構の高橋陽子による平成26年度版賃金構造基本統計調査を基づいた分析では、2008年以降の最低賃金の引き上げは、一般の労働者の賃金に大きな影響は与えなかったが、パートタイム労働者の賃金に対して大きな影響を与えている。
特に、目安制度におけるランクがAランクの都道府県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府)は、パートタイム労働者の賃金分布に、今まで見られなかったスパイク(最低賃金額かそれより少し高い水準に集まっている状況)が確認された。そして、低賃金労働者の賃金を底上げし、日本全体の賃金格差を縮小する効果も持っていることが確認された[246]
  • 日本総合研究所の山田久は、最低賃金引き上げに対して、以下の肯定的理由と反対理由から、地方における最低賃金の影響について述べた[185]
最低賃金引き上げの肯定的理由
  1. 地方の賃金の低さゆえに、賃金の高い東京都などの都会へと流出してしまい、労働者不足に陥っているため、引き上げることにより、流出の度合いを減少させる。
  2. 需要独占の状況下では、引上げは、労働者の手取りを増やすことが出来る。更には、労働供給が増える可能性もある。
  3. 地域での低価格・低賃金競争を防ぐ。
最低賃金引き上げの反対理由
  1. 引き上げによる人件費上昇により、利益がなくなり、倒産・廃業する企業が増え、却って雇用が減ってしまう。そして、地域の産業を衰退させる可能性がある。
  • 最低賃金の引き上げのあり方
  • ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次と鈴木智也によれば、最低賃金の引き上げを加速するためには、「経済実勢に見合わない引き上げをしないこと」「企業に生産性の向上を迫ること」「雇用の安全網を整備すること」の3つを留意していくことが必要だと指摘している[37]
  • 日本総合研究所の山田久は、最低賃金引き上げに対して、以下のことを提言・指摘している[185]
  1. 3%程度の引き上げペースは妥当であること
  2. 地域格差は是正する必要性があるが、現状の引上げペースで行うのが妥当であること
  3. 最低賃金改定後に最低賃金額を下回ることになる労働者の割合を示す「影響率」が2007年以降増加していること
  4. 国全体の所得を増加させるための政策が必要であること
  5. 最低賃金に関して調査分析をし提言をする委員会の設置。委員会は、専門家で構成されていること
  6. 最低賃金引き上げを促すためのポリシーミックスを決める「官民協議体」を地域別に設置する。

賃金水準について

経済学者の川口大司は、最低賃金の水準については、最低賃金の推移を平均賃金の推移と比較すると、両者は乖離しているとしており、日本における最低賃金が実際は賃金水準の決定に大きな制約となっていない可能性が考えられてきたとしている[25]
  • 雇用との関係
    2000年代の日本においては、2000年の最低賃金は659円[247]、2012年の最低賃金は749円[248]と13%の上昇を示しているが、2000年12月の完全失業率は4.8%、2012年12月の完全失業率は4.3%とむしろ低下している[249]
  • ニッセイ基礎研究所の白波瀨康雄より、最低賃金の引き上げが雇用に与える影響は限定的であったと結論付けている。まず1つ目は、最低賃金は2012年度~2016年度の間、毎年10円超の引き上げが続いている中、失業率は下がり、都道府県間の格差が縮小したことである。次に、求人倍率が一貫して上がり、人手不足が生じており、雇用の量に関する減少が見られないことである。
また、最低賃金近辺の水準で働く労働者が増えており、最低賃金を引き上げたことによる効果がより大きくなっている。引き上げによる所得増加額は、2011年度は9億円に過ぎなかったが、2013年度には103億円、2016年度には316億円と年々増加していった。2016年賃金構造基本統計調査によれば、労働者の給与総額は126.5兆円であり、最低賃金の引き上げによる労働者全体の給与総額に対する押し上げ効果はその0.02%程度に過ぎないものの、年率3%の伸びが続いた場合、引き上げ額は増加していくことから、今後引き上げの影響を受ける労働者数やその所得増加効果は益々増えていくと見込まれる[250]
  • 川口大司、森悠子の2009年の論文では、2002年までのデータで、最低賃金上昇は10代男性、既婚中年女性の雇用に負の影響を与えることを示している[251]。また2010年までのデータで、10%の最低賃金の上昇は10代若年者の就業率(平均17%)を5ポイント程度低下させるという研究成果を報告している[175]。川口大司は「最低賃金の引き上げは、貧困対策としてまったく意味の無いものではないが、必ずしも期待された効果を挙げているわけではない。何故なら、2002年時点で、最低賃金引き上げのターゲット層である年収300万円未満で働いて生活している人は、最低賃金労働者の15%前後にすぎないからである。そして、 最低賃金労働者の半数は中高年の女性が占め、多くは世帯主ではないパート労働者であることから、雇用が失われても家計への影響は大きくない可能性がある」と指摘している[252][251]
  • 日本総合研究所の山田久によると、最低賃金水準近辺で働く人々(月収15万円未満)の属性を以下のように推察している[185]
  1. 約3割が配偶者控除の範囲内で働くパートタイマー主婦であること
  2. 大半は、共働き女性非正規労働者や独身フリーター、年金収入等の少ない高齢非正規労働者など、最低賃金引き上げが貧困対策として効果的な労働層がいること
  3. 正規労働者でも時給が最低賃金近辺で働く人も一定程度存在すること
その為、経済の底上げや消費喚起、配偶者控除の見直しが必要であることを指摘している。
  • 生活保護との関係
    「最低賃金は生活保護基準以下に抑えられており、これは労働者の生活よりも、企業活動を優先しているからだ」という意見は国会をはじめ、各所で取り上げられている。例えば2004年(平成16年)の第159回国会では日本共産党参議院議員、畑野君枝が最低賃金と生活保護基準との関連について質問主意書を出したのに対し、小泉純一郎内閣総理大臣(当時)が答弁書で「両制度はその性格等を異にしており、また生活保護費は住宅費等勘案する要素が多く、最低賃金と生活保護の水準を単純に比較することは適切ではない。しかしながら、中央最低賃金審議会で生活保護も参考にしながら最低賃金の水準を検討している」と答えている[253]
  • 男女差
    川口大司は、男女別に賃金分布を概観すると、女性において最低賃金があることにより賃金分布が大きく歪められており、最低賃金に近い賃金水準で働いている労働者が、相当数存在するとしている[25]。また川口大司は、都道府県別に平均賃金と最低賃金の差をみると、その差は地域によってばらつきがあるとしており(例:青森県は東京都に比べて最低賃金と平均賃金の差が小さい)、地方の女性労働市場においては最低賃金が制約となっている可能性が高いとしている[25]
また、賃金構造基本統計調査を基づいた推計では、2014年(平成26年)は性別にみると、地域別最低賃金額未満の比率を性別にみると、男性1.15%、女性2.88%と、女性の方がわずかに高い。地域別最低賃金額1.15倍未満の労働者の割合は男性6.45%、女性22.51%であり、女性労働者のうち約2割の労働者の賃金は最低賃金から100円~130円程度高い水準未満にある[197][198]。ただし、この調査は、非農林水産業の事業所規模5人以上の民営事業所「5~9人の事業所については企業規模が5~9人の事業所に限る」を対象にしており、教育や医療などの一部の法人は含まれていないことに留意する必要がある。
  • 地域差
    日本共産党では、現行制度では格差が広がるとして、全国一律の最低賃金(1,000円以上)にし、最終的には1500円にすべきと主張している[231]
    地域別最低賃金は、関東、東海、近畿などの都市部では高く、東北、四国、九州などの地方部では低いことが示されている。実際、2019年の地域別最低賃金の全国加重平均は901円であるが、それを上回るのは東京(1,013円)、神奈川(1,011円)、大阪(964円)、埼玉(926円)、愛知(926円)、千葉(923円)、京都(909円)の7都府県だけであり、大部分はその水準に達していない。地域間にある最低賃金の格差は、地方の人口流出や外国人の集住といった問題を引き起こす要因の1つにもなっていると言われている[37]
    NHKのNews Upで発表された2018年10月18日の記事によれば、2018年10月に改訂された最低賃金の額で最も高い東京の985円に対して、最も低い鹿児島は761円と224円の差があった。そのため、同じ仕事でも1日8時間、週休2日で働いて1か月で3万9000円、年間47万円の差が出ることを指摘している。
こうしたことから、最低賃金の低い県から高い県へ越境通勤する事例も見られる。また、最低賃金の低いところほど、人口が流出し、高いところほど人口が流入している傾向が見られた。そのため、これだけが原因ではないが、地方の人口減少を加速させるの一因であると考えられる[254]
賃金構造基本統計調査を基づいた推計では、2014年(平成26年)は都道府県別で、地域別最低賃金額1.15倍未満の労働者の割合が高い順に沖縄県(21.71%)、北海道(20.47%)、神奈川県(19.88%)である。逆に低いのは順に、香川県(6.79%)、徳島県(7.48%)、山梨県(8.63%)である。割合の一番高い県と低い県との差は、約3.2倍の格差がある[197][198]
更に、最低賃金未満の労働者の割合は、平成30年度では、事業所規模30人未満(製造業等は100人未満)の中小企業を対象とした調査では全国で約1.9%であった。都道府県別では、最も高かったのが岩手県(約3.6%)であり、逆に低かったのが富山県(約0.2%)であった。農林水産業の事業所規模5人以上の民営事業所(5~9人の事業所については企業規模が5~9人の事業所に限る。ただし、教育や医療などの一部の法人は含まれていない)が対象の賃金構造基本統計調査特別集計によれば約1.6%であった。都道府県別では、都道府県別では、最も高かったのが大阪府(約2.8%)であり、逆に低かったのが富山県(約0.4%)であった。割合の一番高い都道府県と低い都道府県との差は、前者で約18倍、後者で約7.0倍の格差がある[196]
2019年7月の中央最低賃金審議会の資料より、ハローワークで受理した求人票のパートタイム労働者(雇用契約において雇用期間の定めがないか、または4か月以上の雇用期間が定められている、季節労働を除くもの)の1求人票あたりの募集賃金平均額の最も高い都道府県と最も低い都道府県をみると2018年平均で、最も高いのが神奈川県の1,169円であり、逆に最も低かったのが青森県の880円であり、であった。更に、求人票の賃金額で低い額(例えば、求人票に記載された賃金額が、18~24万円なら、18万円)の平均額は、同じく2018年平均で、最も高いのが神奈川県の1,105円であり、青森県の847円であった。どちらも約1.3倍の差がある[230]
  • 水準に対する労使対立
    傾向として、労働者側は「できるだけ高くしてほしい」と願っているが、使用者(企業)側は「できるだけ低く抑えたい」というものがある[255]。また、日本の最低賃金は必ずしも高くないとされるが、これは、最低賃金変更者の経営使用者側への過度の配慮、最低賃金の引上げは雇用削減になる、高賃金の労働組合員の関心が低い、低賃金者の多くは既婚女性のパートタイマーや若年層である、という事情がある[要出典]
    経済学者の橘木俊詔は「正規労働者が主たる参加者である労働組合は、非労働組合員である非正規労働者との間で同一価値労働・同一賃金の原則を拒否することが多い。身分が保護されている正規労働者は、この原則が導入されれば、非正規労働者の一時間あたり賃金が上がるため、自分たちの賃金を下げられるためである」と指摘している[256]。橘木は「最低賃金の引き上げに関して、労働組合は表面上は賛成するが、実態は無関心である。非労働組合員の最低賃金が引き上げられると、組合員の賃金が下げられかねないと恐れる。労働組合員の権益を守りたいという労働組合の行動原理が存在することは否定できない」と指摘している[257]
  • 2006年12月労働政策審議会答申
    2006年(平成18年)12月27日に、労働政策審議会は以下の内容で答申を行った[258]
    • 低賃金労働者が増加したため、安全網としての役割を十分果たすようにする必要がある
      • →この役割は、地域別最低賃金で行う
    • 社会保障との整合性を取る必要がある
    • 罰則の強化
    • 産業別最低賃金は、労使による届け出によって決めることができ、こちらについては罰則の適用はされない
    • 派遣労働者については、派遣先の最低賃金を適用する
  • 格差是正緊急措置法案
    民主党は2007年3月1日、最低賃金を時給1,000円程度[* 24]とするなどを骨子とした「格差是正のための緊急措置等に関する法律案」を衆議院に提出[259]。低賃金労働者からはほぼ無条件に歓迎されているが、経営者は難色を示している[要出典]
    若田部昌澄は「民主党は賃金を上げると需要が増え景気が良くなると言っているが、最低賃金の引き上げによって景気が改善したという実例は無い」と指摘している[237]
    大竹文雄は「最低賃金を1000円に引き上げによる影響は、
    1. 時間当たりの生産性が1000円を下回る未熟練労働者(アルバイト学生・主婦)は職に就けなくなる
    2. 企業は、生産性が1000円未満の未熟練労働者を雇えないため、中長期的に未熟練労働者の仕事を機械で代替させようとする
    の2つに大別できる。未熟練労働者の失業が増えれば、勤労者世帯の所得は減り、モノは売れなくなり、消費不況の度合いを深めるはずである。最低賃金の引き上げは、貧困・格差対策として逆効果となり、景気に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘している[260]
    飯田泰之は「最低賃金1000円というのは、実質的には大企業に税を課すことと同じになる。大企業ほど『海外に逃げる』という選択肢が大きくなる。また、労働力を機械に置き換えることもありうる。そこを規制するのは論理的に無理である」と指摘している[261]
  • 規制改革会議による提言
    2007年(平成19年)5月21日に、規制改革会議は以下の内容で提言を行った[262]
    • 労働者保護を強くしすぎることによって、正規雇用を抑制する結果を招いている。労働者の権利を強めることが労働者を保護するという考え方は間違い。
    • →この観点から、考えなしに最低賃金を引き上げると、最低賃金に満たない生産性の業種の労働者の失業を招き、かえって失業者を増やす。
  • 国連社会権規約委員会勧告
    国際連合経済社会理事会経済的、社会的及び文化的権利委員会(社会権規約委員会、CESCR)は、第50回会期に行なわれた日本の第3回報告審査の総括所見を2013年5月17日に採択し[263][264]、この中で、日本の最低賃金が最低限の生活水準、生活保護および生活費の増加を下回っているおそれがあるとの懸念を示した。その上で、労働者およびその家族が人並みの生活を営むことを可能とすることを最低賃金の決定要素として加えるべくその見直しを勧告するとともに、次回定期報告書において最低賃金未満の賃金支払いを受けている労働者の比率を報告するよう求めた。

地方最低賃金審議会の公平性について

地方最低賃金審議会では、経営者側の委員は中小企業の経営者等が多いにもかかわらず、労働者側の委員は大企業労働組合の代表が多く、地域別最低賃金により影響を受ける中小零細企業の労組代表がほとんど選任されていない。このことは国会でも取り上げられた。これは主に中小零細企業の労組では、労働者側委員を出せるだけの組織率を有している労組がないことが大きく影響しているといわれている[要出典]

外国人技能実習生の失踪動機

失踪した技能実習生に対して、法務省が2017年(平成29年)に実施した、聞き取り調査の「聴取票」を独自に分析した結果を公表した。全体の約67%にあたる1,939人が最低賃金(時給714円=2016年の沖縄県、宮崎県)未満で、約10%にあたる292人が月の残業時間が「過労死ライン」の80時間を超えていた[265]

聴取票は、失踪後に入管法違反などで摘発された実習生から入国警備官が聞き取って記入するもの。国籍・性別、失踪動機、月給、労働時間などを尋ねる項目がある。法務省は昨年、2,870人を対象に実施。失踪動機(複数回答)の最多は「低賃金」の1,929人(67.2%)で、このうち144人(5.0%)が「契約賃金以下」、22人(0.8%)は「最低賃金以下」だった。月給は「10万円以下」1,627人(56.7%)、「10万円超~15万円以下」1,037人(36.1%)などとなった[265]

調査対象者は2,870人だったが、聴取票は22人分の重複があり、法務省は2,892人分として開示。野党が開示データをもとに算定したところ、月給は平均10万8,000円、光熱費などの名目による控除額は平均3万2,000円だった[265]

2019年(平成31年)3月29日、法務省の発表より、2017年1月~18年9月に不法残留等により入国警備官の聴取を受けて聴取票が作成された失踪技能実習生5,218人のうち、少なくとも759人(延べ937人)に、最低賃金違反など実習先による不正行為の疑いがあった。その内、最低賃金法違反が延べ58人であり、全体の約6.2%を占めていた。また、契約賃金違反や残業未払い、残業時間不適正等の賃金に関する不正行為に関しては、延べ645人であり、約68.8%を占めていた[266]

新興国と日本の最低賃金格差

[267][268][269]

外国人労働者は、介護建設業といった人手不足の業種を中心として、存在感を高めている。特に、単純労働や肉体労働に従事する外国人留学生や技能実習生は近年大きく増加している。

第一生命経済研究所の星野卓也によれば、日本と新興国との間の最低賃金格差は、新興国の経済成長により、縮小している。そのため今後、日本で働く動機となっている賃金の高さが薄まってしまい、外国人労働者に頼ることは、出来なくなる可能性が出てくると指摘している。

具体的には、日本との最低賃金格差は、2005年と2018年(フィリピンは2016年)の値とIMF「World Economic Outlook」の一人当たりGDP を用いて延長推計した2024年(フィリピンは2022年)を比較すると

と、最低賃金格差が縮小していること、そしてこうした傾向は今後も続いていくことが分かる。

また、中国では、日本に渡航して働くことは、渡航費用や語学などの研修費用の負担を差し引いても、割りに合わなくなりつつある。そのため、企業によっては、中国人から日本人へ雇用を切り替えている企業も出ている。

隣国の韓国台湾は、日本と同じく少子高齢化やそれに伴う人手不足を理由に、外国人労働者をすでに積極的に受け入れている。そのため、日本との獲得競争が生じてくることが予想される。

韓国の外国人労働者数は96.2万人(2016年時点、韓国統計局)、台湾の外国人労働者数は70.6万人(2018年時点、台湾労働省)。全人口に占める割合は韓国1.9%、台湾2.9%、日本1.2%である。

3国の中で最低賃金額は、日本が長らくトップに立っていたが、2018年に日本と韓国の水準が逆転し、韓国がすでに優位に立っている。しかしながら、日本では2019年10月には901円(全国平均加重)となり、韓国は、2018年・2019年の急激な引き上げの反動により、上昇率が2.9%に減速して、時給8,590ウォンとなるため、2020年には、日本が優位に立つことになる。

いずれにしろ、「単純・肉体労働の人手不足は外国人に」という発想のみでは、今後は難しくなっていくことが明らかである。人手不足に直面している企業は、いずれ設備投資による省力化、ビジネスモデルの変革、販売価格の引き上げなどによって労働生産性の改善を求められることになる。

最低賃金との比較について

最低賃金を満たしているかどうかの計算式は以下によって求めることが出来る。なお、通勤手当・皆勤手当・家族手当・深夜割増手当・時間外労働または休日労働手当は算入しない。臨時に支払われる手当(結婚手当など)も算入しない。住宅手当は除外賃金に指定されていないので、参入して計算する。除外する賃金は最低賃金の種類ごとに指定できることになっているが、どの最低賃金も同じ手当が除外手当として指定されている。

  • 基本給が月5,000円、住宅手当が月120,000円、職務手当が月25,000円、通勤手当が月8,000円で、1ヶ月の合計が158,000円。年間所定労働日数が250日、1日の所定労働時間が7時間30分。勤務地の最低賃金額が800円とする。
  1. 158,000円(1ヶ月の合計) = 5,000円(基本給) + 120,000円(住宅手当) + 25,000円(職務手当) + 8,000円(通勤手当)
  2. 通勤手当を差し引く。158,000円(1ヶ月の合計) - 8,000円(通勤手当)= 150,000円。
  3. 時間額に換算する。150,000円 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間(250日 × 7.5時間 ÷ 12ヶ月) = 960円
  4. 最低賃金が800円なので、960円 > 800円 となり、正しい賃金体制となっていることが分かる。

以下に挙げるの計算式は簡略したもので、時間額に換算するものである。

  1. 時間給制 - 時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
  2. 日給制 - 日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(日額)
  3. 月給制 - ((月給額 × 12ヶ月)÷(年間総所定労働日数 × 所定労働時間))≧ 最低賃金額(時間額)
    • また、月給 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)という計算方法もある。
  4. 法定労働時間フルタイムで労働時間が曖昧な場合は法定労働時間の算出に月間所定労働時間を用いる(労働基準法第32条に準じる)。365日(1年の日数)÷ 7日(1週間の日数)×40時間(1週間の法定労働時間)=約2085.71時間(1年の推定労働時間)÷12ヶ月=約173.8時間(1カ月の推定月法定労働時間)、この時間以上の労働は法定労働時間外労働として割り増し賃金が付く[270]
  • 法定の労働時間、休憩、休日を守り。変形労働時間制を採用せず。深夜業をしない、36協定を結んでの時間外労働や法定休日労働をしない場合。1日8時間労働、45分間休憩(または労働基準法の最低基準である45分間を超える1時間休憩など)、週の起算日の定め無し(起算日は日曜日となる)、公休として法定休日は日曜日、法定外休日は土曜日、平日祝日の法定外休日無し、週40時間労働の完全週休2日制。1月1日が日曜日から始まる平年。勤務地の最低賃金額が800円、各種手当て無しとする。
    • 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
    • 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
    • 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません[271]
  1. 365日(1年の合計日数)-53日(日曜日)-52日(土曜日)=260日(労働日)
  2. 260日(労働日)×8時間(労働日1日の労働時間)=2080時間(1年の総労働時間)
  3. 最低賃金が800円なので、2080時間(1年の総労働時間)×800円(最低賃金)=1,664,000円(年収)
  4. 1,664,000円(年収)÷12ヶ月=約138,667円(平均月収)
  5. 実際の労働日は。3月、5月、8月は23日で147,200円(月収)。1月、6月、10月、11月は22日で140,800円(月収)。7月、9月、12月は21日で134,400円(月収)。2月、4月は20日で128,000円(月収)。
  6. 800円(最低賃金)÷60分(1時間)=13円33銭3厘3毛…(最低分給)
  7. 8時間(労働日1日の労働時間)×800円(最低賃金)=6,400(1日の日給)
  8. 約2087.20時間(1年の平均法定労働時間)×800円(最低賃金)=約1,669,760円(平均年収)
  9. 約2087.20時間(1年の平均法定労働時間)×800円(最低賃金)×45年(15歳中学卒業、就職~60歳定年)=約75,139,200円(生涯賃金)
  • 時間外、休日及び深夜の割増賃金
    • 1日8時間である法定労働時間以上の時間外労働。もしくは、1週間の合計法定労働時間40時間以上(時間外労働は合算しない)の時間外労働→2割5分以上の割増賃金
      {800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(割増率)以上)=1000円以上(最低賃金+割増賃金)}
残業上限規制の猶予・除外の職業
職業 取扱い
自動車運転の業務 改正法施行5年後に、上限規制を適用します。
(ただし、適用後の上限時間は、年960時間とし、将来的な一般則の適用に
ついては引き続き検討します)
建設事業 改正法施行5年後に、上限規制を適用します。
ただし、適用後の上限時間は、災害時における復旧・復興の事業については、
複数月平均80時間以内・1か月100時間未満の要件は適用しません。
この点についても、将来的な一般則の適用について引き続き検討します。)
医師 改正法施行5年後に、上限規制を適用します。
(具体的な上限時間等については、今後省令で定めることとしています。)
鹿児島県及び沖縄県
における砂糖製造業
改正法施行5年後に、上限規制を適用します。
新技術・新商品等の
研究開発業務
時間外労働の上限規制は適用なし。
ただし、時間外労働1週間当たり40時間を超えて労働した時間が月100時間を
超えた場合には、医師による面接指導を受けさせなければならない。
また、代替休暇の付与等の健康確保措置を設なければならない。
  • 2018年(平成30年)6月に労働基準法が改正され、36協定で定める時間外労働に罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)付きの上限が設けられることとなった。2019年4に月施行された。ただし、中小企業への適用は2020年4月からである。
時間外労働の上限(「限度時間」)は、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることが出来ない。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることは出来ない。また、月45時間を超えることができるのは、年間6か月までである。また、特別条項の有無にかかわらず、1年を通して常に、時間外労働と休日労働の合計は、月100時間未満、2~6か月平均80時間以内にしなければならない。時間外労働が36協定の限度時間を越えたときは、2割5分を超える率に制定する努力義務が発生する[272]
    • 上記の上限規制の施行に当たっては経過措置が設けられており、2019年4月1日(中小企業は2020年4月1日)以後の期間のみを定めた36協定に対して上限規制が適用されます。2019年3月31日を含む期間について定めた36協定については、その協定の初日から1年間は引き続き有効となり、上限規制は適用されません。また、左の表に該当する職業は、猶予・除外となっている。
    • 午後10時から翌日午前5時までの間。もしくは厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域または期間については午後11時から午前6時までに労働する深夜業→2割5分以上の割増賃金{800円+(800円×0.25以上)=1000円以上}
    • 法定休日労働→3割5分以上の割増賃金{800円+(800円×0.35以上)=1080円以上}
      • 法定休日には法定労働時間が存在しないため、時間外労働に対する割増賃金は発生しない。
    • 延長して労働した時間が1箇月について60時間を超えた分(60時間1分以上)の時間外労働→5割以上の割増賃金
      {800円+(800円×0.5以上)=1200円以上}
中小企業該当の有無
業種 (1)資本金の額または出資の総額 (2)常時使用する労働者数(企業全体)
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1 億円以下 100人以下
その他 3 億円以下 300人以下
  • ただし、2023年3月31日までは中小企業への猶予措置がある。また、適応される場合にも60時間を越える時間外労働について5割中、2割5分の割増賃金の代わりに労使協定によって有給の代替休暇をあてる事も出来る。この場合、労働者が実際に有給の休暇を取得しなかった場合には、本来の50%割増賃金を支払う必要がある(例:60分×0.25(割増)以上=15分以上。代替休暇は1日または半日単位で、60時間を超える法定時間外労働があった月の末日の翌日から2ヶ月以内の期間)。

※業種は日本標準産業分類による、左の表「中小企業該当の有無」より、(1)(2)とも該当無しなら大企業[273]

  • 重複して加算する割増賃金
    • 時間外労働が深夜業となった場合→2割5分(時間外労働)+2割5分(深夜業)=合計5割以上の割増賃金
      {800円+(800円×(0.25以上+0.25以上))=1200円以上}
    • 法定休日労働が深夜業となった場合→3割5分(休日労働)+2割5分(深夜業)=6割以上の割増賃金
      {800円+(800×(0.35以上+0.25以上))=1280円以上}
    • 延長して労働した時間が1箇月について60時間を超えた分(60時間1分以上)の時間外労働が深夜業となった場合→5割(60時間超の時間外労働)+2割5分(深夜業)=7割5分以上の割増賃金
      {800円+(800×(0.5以上+0.25以上))=1400円以上}
  • 前出の法定労働時間に加え。1年の内6か月を限度時間を越え過労死ラインである80時間の時間外労働、6か月を1か月の限度時間である45時間の時間外労働をした場合。
  1. 60時間(時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(時間外労働割増率)以上)}+20時間(60時間超時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.5(60時間超時間外労働割増率)以上)}=60,000円以上(時間外労働残業代)+24,000円以上(60時間超時間外労働残業代)=84,000円以上(残業代合計)
    1. 中小企業への猶予措置が適応される場合、80時間(時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(時間外労働割増率)以上)}=80,000円以上(時間外労働残業代)
  2. 45時間(時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(時間外労働割増率)以上)}=45,000円以上(時間外労働残業代)
  3. 84,000円以上(残業代合計)×6か月+45,000円以上(時間外労働残業代)×6か月=504,000円以上+270,000円以上=774,000円以上(年間残業代合計)
    1. 中小企業への猶予措置が適応される場合、80,000円以上(時間外労働残業代)×6か月+45,000円以上(時間外労働残業代)=480,000円以上+270,000円以上=750,000円以上(年間残業代合計)
  4. 1,664,000円(年収)+774,000円以上(年間残業代合計)=2,438,000円以上(時間外労働した場合の年収)
    1. 中小企業への猶予措置が適応される場合、1,664,000円(年収)+750,000円以上(年間残業代合計)=2,414,000円以上(時間外労働した場合の年収)

[274] [275] [276] [277] [278] [279] [280]

イギリス

イギリスの最低賃金は、全国最低賃金法 (National Minimum Wage Act)(1998年)によって定められている。なお、イギリスは判例法(コモン・ロー)が重要な役割を担っており、制定法は補助・追認的な位置づけとなっている。

歴史的経緯

1909年産業委員会法成立以前

[281][10]

労使自治の原則が労使関係に浸透していたイギリスでは、政府による賃金政策は、あくまで労使間の合意による賃金決定を補完するためのシステムとして位置づけられてきた。

最初に形づけられられたのは、1891年に庶民院において設立された「公正賃金決議」 (Fair Wage Resolution)であった。これは政府が民間から財・サービスの調達を行う際に、その調達に参加する企業に対して当該産業における労使合意に基づく賃金水準か、もしその水準がなければ、標準的な賃金相場の順守を求めるものであった。

この決議背景には、、1873年から 1896年にかけての大不況やそれに伴う暴動や労働争議が頻発していたことにある。また、社会主義運動の高まりによって、低所得労働者層における貧困が社会問題として表面化していた。

実際に、1886年からロンドン住民の家計調査を行ったチャールス・ブース(Charles Booth)のロンドン調査(The Life and Labour of the People of London)や1899年にヨ―クの1,500 世帯(人口75,812)の調査を行なったシーボーム・ラウントリー(Seebohm Rowntree)のヨーク調査(『Poverty, A Study of Town Life』)では、約3割の市民が貧困の中、生活していた。後者の調査では、、賃金労働者階級に限ると 43.4%とより高い率となっいた。

この貧困の原因を失業、世帯主の死亡、低賃金、不安定雇用などであって、多くは非熟練労働者・日雇労働者あるいは苦汗労働者、女性労働者などであった。中でもとくに注目されるのは、低賃金、長時間労働、非衛生的労働環境の3つをその特質とする、苦汗産業(sweated trades)の劣悪な労働条件下で働く者がその多くを占めていたことである。

苦汗産業には、ドレス・シャツ・背広などの衣服仕立、レース製造、製靴、紙箱製造、鎖・釘製造等々があった。1900年頃に女性労働者は全労働者の3分の1を占めていたが、その大部分が典型的な苦汗産業である家内工業に従事していた。

これらの調査により、貧困を個人の怠惰などの道徳の欠陥に基づくものではなく、 資本主義経済のつくりだす構造的要因によるものであることを明確にしたのである。

このような社会的状況を背景に、苦汗労働の実態を調査するために、1888年に苦汗労働上院特別委員会(Select Committee of the House of Lords on the Sweating System、保守党の Dunraven卿を委員長として、保守党自由党同数の委員から構成された)が設立され、約16カ月にわたって苦汗労働の証人調査を行った。この調査により、5万ページにのぼる膨大な証言集と5つの報告書が提出された。

同委員会はその報告書において、苦汗労働を、以下の3つの条件を定義して、その実態を明らかにする。

  1. なされた労働に対して不当に低い賃金
  2. 過度の長時間労働
  3. 非衛生的な作業場状態

しかし、同委員会が示した対策は、3の条件に対してのみ行われ、工場法Factory and Workshop Act 1878)と公衆衛生法(Public Health Act 1875)の改定による適用対象の拡大だけにとどまった。

1と2の条件に関しては協同組合(co-operative societies)の拡張や労働者の間における団結の成長によって改善されるということにとどまり、レッセフェールの原則を修正することはなかった。

結局、同委員会の報告書は、「公正賃金決議」を勧告したに過ぎなかった。

そのため、貧困に対する社会問題に対して不十分であると見做された。なにより、オーストラリアに最低賃金制度が導入されたにもかかわらず、イギリスでは導入されてないことも問題視された。

そして、最低賃金制度を設置するため、社会改革論者のウェッブ夫妻を中心としたメンバーで構成された全国反苦汗労働連盟(National Anti-Sweating League:ASL)や女性労働者の労働条件を改善するために作られた婦人労働組合連合(Women’s Trade Union League)などによる市民団体や自由党のDilke 卿を始めとした議員によって、要求された。

1909年産業委員会法~1945年賃金審議会設立まで

[281][10]

1906年の自由党の政権獲得により、再び下院特別委員会が設けられ、ついに1909年チャーチル卿(Sir W. Churchill)が提出した法案により、同年に産業委員会法英語版が制定された。そして1911年、これに基づく産業委員会(Trade Boards:公労使三者構成)が、設置されるに至った。

しかし、最低賃金制度が全ての労働者に適用されたわけでなく、あくまで苦汗産業労働者を対象とするものであった。実際に最初に対象とされたのは、紙箱製造業、レースとネットの製造および修理、鎖製造、既製や卸売オーダーメイド仕立て業の4つの苦汗産業に働く40万人の労働者に限定されていた。

また、産業委員会による賃金決定がうまくいかない場合、使用者側か労働者代表のどちらか一方に賛成する投票がおこなわれ、産業委員会はその投票結果に基づいて経営者に命令を行った。

イギリス労使関係は多くの面において、労使両方から無理な要求がされないような仕組みづくりをして、労使の自主性を重視したのである。

その後、団体交渉が行われていない製造業部門にも拡大し、1920年には23の新しい賃金委員会が設置され、全労働者の15%に相当する300万人の労働者が対象となった。

1945年賃金審議会設立~1993年廃止まで

[281][282]

そして、低賃金業種への労働者の流入を目的とした1945年賃金審議会法により、賃金審議会(Wages Councils)と改称された。

これらの組織は、最低賃金額以外にも有給休暇や手当額の設定に関する提案の機能を新たに付与され、特に低賃金労働者が多い一部の産業について、最低賃金を定めた。

賃金審議会は経営者組織と労働組合から指名された同数の代表と雇用大臣によって任命された3名以内の中立委員によって構成され、中立委員の1人が議長となる。賃金審議会の決定は単なる決定ではなく、裁判所によって強制される権限をもっていた。

さらに1975年雇用保護法によって、審議会自体が「規制命令」を発することが認められるとともに、その命令は労働条件全般を対象とすることができるようになった[283]

賃金審議会は、小売業、ホテル・接客業、縫製業を中心に対象労働者を拡大した。そのため、この3つの業種が、対象労働者の90%以上を占めている。また、大部分の民間サービス業では、労働組合が組織されてないか、あっても団体交渉を行うだけの力をもっていないため、賃金審議会により、産業レベルの賃金規制を行った。

賃金審議会の対象労働者は、1948年には350万人(全労働者の18%)に達し、1960年代までほぼ同水準の高い対象率であった。また、賃金審議会は、団体交渉の代替する機構と考えられた。そのため、団体交渉の確立とともに1950年代後半には一部の賃金審議会は廃止され、また従前に賃金審議会が存在していなかった業種では1956年以降新しく設立されることはなかった。

また、賃金審議会に関して、クレッグ(H.A.Clegg)は、以下を理由に批判していた。

  • 賃金審議会の決める最低賃金額が、その産業の事実上の賃金水準になってしまうこと
  • 最低賃金を遵守していない企業が常態化しており、使用者側に有利な状況であること
  • 審議会が決めるため、労働組合加入のメリットが薄まってしまう。

そして、1970年代のイギリス政府はコーポラティズムと社会的コンセンサスを基本とする政策を展開した。所得分配に関して、政府は低賃金層のために積極的に介入し、賃金上昇が非難されるような高賃金層には制限を行った。

しかし、1978-79年の「不満の冬」によるストライキ急増をきっかけに、労働組合は政府による賃金介入を受け入れなくなった。更には、政府の方も過去20年間おこなってきた所得政策を放棄なければならないと感じていた。

このような状況で政権に就いたサッチャー政府は、規制緩和と市場原理主義により、英国病を克服し、経済再生を促進することを目標とした。 具体的には、以下の政策を行い、コーポラティズムと社会的コンセンサスを拒絶したのである。

  • 公共部門の非国営化
  • 団体交渉と全国的協定の縮小
  • 外国企業への優遇補助による国内投資の増加
  • 労働市場の規制緩和
  • 労働組合の権利を制限する労働立法、組合活動の規制

賃金面では、賃金審議会が、市場原理を阻害要因とみなし、権限と対象を縮小させていった。 具体的に、以下のことを行った。

  1. 1980年から81年にかけて賃金監視官(wage inspector)の数を3分の2に減らす。
  2. 1986年賃金法(Wages Act)を成立させ、賃金審議会の決定は21歳未満労働者の適用除外や権限を基本的な時間給と1つの特別給を設定するだけに限定するなど、権限と対象を縮小させていった。

しかし、このようなことをやっても、不十分とみなされ、1993年労働組合改革・雇用権利法(Trade Union Reform and Employment Rights Act, TURERA)第35条により、イングランドウェールズスコットランドの2つの農業賃金審議会(Agricultural Wages Board)を除く、26の賃金審議会のすべてを廃止した。その結果、全労働者の11%に当たる250万人の低賃金労働者と37万5000の事業所が賃金決定機構を失うこととなった。

また、使用者団体の英国産業連盟(CBI)は、賃金審議会の廃止に反対していた。その理由は、審議会廃止により労使関係が悪化して労働者が過激な組合活動に走ることや、労組側が全国最低賃金法を支持することへの危惧であった[283]

最終的に、保守党政府によって1993年に廃止されるまで、審議会の対象産業・職業分野における最低賃金を決定してきたが、その存在意義や実効性については、前述したクレッグの発言を含めて従来から疑問の声もあった。1つには、最低賃金額と実際の賃金水準と乖離があったこと。この課題に対して、 労働党政府は1974年1979年の制度改革において、賃金審議会から公益委員を除いた「法定合同産業審議会」(Statutory Joint Industrial Council)を設置するなど、労使による団体交渉を通じた賃金決定に移行するための措置を行ったが、普及しなかった。もう1つは、最低賃金違反に対する罰則が無いため、違反をする企業があったことである。

また、保守党側は廃止理由を以下の理由を主張した。

  1. 対象労働者は、副業をして賃金を得る者が大部分である為、必ずしも貧困状態であるとは限らないこと。
  2. 企業の賃金支払い能力を超える最低賃金額に設定した場合、雇用が減少すること
  3. 1900年代初頭に設立された賃金審議会は時代遅れであること

1993年廃止~1999年全国最低賃金法成立まで

[281][282]

最低賃金制度廃止後、低賃金労働者は急増していった。しかし、雇用の増加はなかった。

また、労働組合側は、団体交渉の拡大により最低賃金制度を代替できると考えていたが、サッチャー政権による経済のサービス化や政府による反組合的政策による弱体化と非正規労働者の増加の影響などから1986年に方向転換し、全国的最低賃金の支持を公式に表明、労働党もこれを政策目標に掲げるに至った。

労働党は当初、最低賃金額を「所得の中央値の5割」で固定する方式を採用、1992年の総選挙でもこれを主張したが、失業状況が悪化する中で、保守党の「最賃制度の導入は、雇用に対する悪影響を及ぼす」との主張や、広範な企業からの反対に効果的な反駁ができず、選挙にも敗北を喫した。

当時、労働党の雇用担当広報官だったトニー・ブレア1994年に党首に選出)はこの結果をうけて、労使などのソーシャル・パートナーで構成される低賃金委員会の提案に基づいて最賃額の決定を行うシステムへの方針転換を決めた。TUC などは「中央値の5割」方式にこだわったが、労働党の説得により最終的に支持にまわった。

1997年に総選挙に勝利して、トニー・ブレアを党首とする労働党政権が成立した後、労働側の強い要望を受けて、全国最低賃金制度の導入を目的とした経営者、労働者、学識経験者の三者によって構成される低賃金委員会(Low Pay Commission,LPC)を1997年7月に設置した。

委員会は、19985月末までに最低賃率とその対象範囲について報告書を作成し、その報告書に基づいて、1999年に全国最低賃金法(National Minimum Wage Act)が1998年7月に制定(1999年4月実施)された。この法律により、廃止前まで、対象が限定されていたが、全ての労働者を対象とすることになった。

全国最低賃金法は、委員会の答申通り、最低賃率を以下のように設定した。

  • 22歳以上の労働者:時給3.60ポンド
  • 18歳から21歳までの労働者:時給 3.00ポンド(2000年6月からは3.20ポンド)
  • 18歳未満の労働者と入職1年目の26歳未満の労働者は対象範囲から除外
  • 新規採用者で、採用後6ヶ月間:時給3.20ポンド

そして、最低賃金制度の根拠法にあたる 1998年全国最低賃金法と、制度実施に関する具体的な規則を定める1999年全国最低賃金規則が相次いで成立、これに基づいて、イギリスでは初めて、全国・全産業一律に適用される全国最賃制度が1999年4月より導入されることとなった[284]

また、政府の最低賃金制度導入の意図は、大きく以下の3つにあった。

  • 廃止により、低賃金労働者が増加したこと。更には、賃金格差が拡大したことである。
特に、児童の貧困(child poverty)は悪化しており、1960~1970年代を通じて 、家計所得が平均の 50%未満の家庭の児童の比率は、10%前後で安定していたが、1990年代末には25%と著しく増加し、1990年代までにかけて戦後最悪といわれるほど急速に増加した。当時の財相であったブラウンは、の問題を重視していた。
  • 最低賃金制度を導入することにより、低賃金労働者の賃金が増加し、家族税額控除(Family Credit:一定時間以上の就業を条件に所得補助(税還付)を行う制度)に頼る労働者が減り、社会保障給付費用が削減されること
  • 低賃金労働者の賃金が増加することで、廃止後に低下していた士気を回復させることで生産性を上昇させること。そして、中小企業を中心に行われている賃金の引き下げによる競争に歯止めをかけること

1999年全国最低賃金法成立以後

最低賃金

全国最低賃金法成立後、勤労者の生活水準の向上については、「welfare to work(福祉から就労へ)」を標榜したブレア(Tony Blair)政権の下で給付付き税額控除[* 25][285]が導入されるなど、社会保障政策での対応が図られてきた。従来、最低賃金は生活費用や生活保障と別に考えられ、その額は雇用への影響を考慮することで、決定されてきた[149]

2004年からは、義務教育修了(16-17歳)への最低賃金が定められた。また2010年10月から一般向け額の対象年齢の下限を22歳から21歳に引き下げている[286]

更に2016年4月に全国生活賃金導入の際、既存の全国最低賃金制度から、25歳以上層に適用する加算制度を設けた。全国最低賃金制度導入の際、低賃金委員会への諮問は行われず、財務省により水準が設定された。また従来とは異なり、2020年までに統計上の平均賃金の6割の水準に達するよう改定を行うことが目標として示されている。ただし導入後の改定については、通常の最低賃金額と併せて低賃金委員会に諮問されることとなった[287]

生活賃金

[288]

生活賃金の方面で、2001年にロンドンで労組や宗教団体、非営利組織などが結成した市民団体(現Citizens UK)が中心となって、生活賃金(living wage)キャンペーン運動が開始された。

当時の最低賃金額では、ロンドンでの生活を送るのに不十分な額であることから、最低限必要な生活費を算出し、その算出額を使用者へ自主的に導入を求める取り組みとして広がった。

2005年に当時のロンドン市長が導入を決めて以降、公共部門や非営利組織のほか、医療や金融などの民間企業に導入が拡大している。

また2011年には、ロンドン以外で生活する場合の生活賃金額が設定され、算定方法を定式化させた。

それと同時に、Citizens UK内に設立されたLiving Wage Foundationが、生活賃金を普及させていく役割をを担うこととなる。この団体は、事務局のほか、営利・非営利組織の代表などを含む評議会(Advisory Council)および調査研究を行う外部の研究者等(PolicyGroup)によって構成されている。

2011年に開始された認証制度によってこれまでに認証を受けた雇用主は、同年10月時点で1,774組織を数える。

認証組織には、18歳以上の雇用者及び条件を満たす請負労働者(導入組織の事業所において、週2時間以上、連続8週以上就業する者。清掃等の請負事業者から派遣される労働者(contracted staff)が適用対象に含まれている。なお、インターンアプレンティスは対象外)への生活賃金以上の支払いのほか、生活賃金額の改定から6カ月以内にこれに準じた改定を行うことなどが求められる。

なお、2015年には家具販売業のイケアが新たに認証組織となったほか、大手スーパーマーケットチェーンのリドルが、同業界では初めて生活賃金に準拠した賃金を導入するなど、低賃金労働者を多く抱える業種にも普及しつつある。

イケア社は2016年4月から導入を予定しており、、同社のイギリス国内の従業員9,000人のうち50%以上が賃上げの対象になると述べている。またリドル社は、従業員1万7,000人のうち9,000人を対象に10月からの導入。生活賃金の認証を申請するかは未定だが、清掃その他も期間の定めのない直接雇用であり、条件は満たしているとみられている。

生活賃金の導入により直接的な賃上げの恩恵を受けた労働者数は、2013年時点でおよそ3万4,000人と推計されている(同時点で認証組織に雇用されていた労働者数35万人の1%弱に相当)。

決定方式

最低賃金は、ビジネス・エネルギー・産業戦略省 (2016年7月まではビジネス・イノベーション・技能省])により、公表される[289]

規定では、改定の時期や頻度については規定がなく、低賃金委員会への諮問も義務ではない。しかし、低賃金委員会への諮問の上、ほぼ委員会勧告通りの改定を行い、政令で公布することを毎年行われており、事実上観慣行化している[289]

低賃金委員会は、勧告に当たり、「全国最低賃金法が英国経済全体およ びその競争力に与える影響に配慮し、かつ政府が問題を付託する際に特定した付加的要素について考慮しなければならない」(全国最低賃金法第7条第5項)と規定されている。

この規定により、以下のデータや意見などが考慮される[289]

  • 賃金審議会(1993年廃止)の最低賃金額の影響
  • 他国の法定最低賃金の賃金再分配率のデータ
  • 国内の低賃金産業において実際に支払われた賃金のデータ
  • 最も影響を受ける産業を代表する団体の見解
  • 賃金格差およびマクロ経済への影響に関する経済学者の評価
  • 国家統計局の時間収入年次調査

低賃金委員会

労働者側委員、使用者側委員、有識者委員からなる三者構成の諮問機関。
低賃金委員会は全国最低賃金法に基づいて設置される。
  • 権限として、以下のことが定めることが出来る。(全国最低賃金法5 ~ 6 条)
  1. 1時間当たりの最低賃金額
  2. 参照期間(支払われた賃金が最賃額の水準を満たしているかの算定に用いられる期間。通常は賃金が支払われる間隔を指し、一カ月を上限に、それより短い場合はその期間)の設定
  3. 最低賃金額算定の対象となる賃金の範囲
  4. 適用除外すべき労働者の種類
  5. 1~4以外に大臣が必要と認めて諮問する事項の検討を行うべきこと
  • 人数:委員長及び委員8名の計9名で構成。労使同数の規定はない。
しかしながら、1997年の発足時では委員長を公益委員とし、公益2名と労使各3名で構成されていたが、現在は、委員長が使用者側から任命されている。
なお、廃止前にあった賃金審議会も労使三者構成という点では同様だが、労使間において合意が得られない時は、使用者側の意見が賛同され決定されていた。
現在の委員会は、おしなべて協調関係にある。また、委員はそれぞれの出身組織の利害を主張することを目的とせず、それぞれ公労使を代表する個人として委員会に参加している。
そして、委員会が諮問に定められた期間内に最低賃金額を提案することができない場合、担当大臣が独自にこれを決定することができる(全国最低賃金法7条)[281]

2019年4月現在、時給8.21ポンド(25歳以上)、時給7.70ポンド(21‐24歳以上)、時給 6.15 ポンド(18-20歳)、時給 4.35 ポンド(義務教育を終えた18歳以下)である[290]

減額・適用除外

適用除外[289]

  • 軍隊所属者
  • 分益漁師(漁業に従事し、漁船の利益の配分を受けている漁師)
  • ボランティア労働者
  • 宗教団体の住み込み労働者
  • 受刑者
  • 無報酬労働に従事することで罰金を免除される者
  • 住み込み外国人
  • 家族経営事業に従事する家族
  • 特定の訓練に従事する者

労働者育成の観点から、就業後訓練を行っている間は、最低賃金が減額される。

「これは、16-17歳は完全な労働力というよりは職業生活の準備をしており、労働市場の中で異なる区分を形成しているという我々の見解を反映したもの」[3]より引用

その後、若年労働者を使用者の搾取から守るという観点から制度の改定が行われている。

履行保証

最低賃金制度は、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(Department for Business, Energy and Industrial Strategy:BEIS)が所管ししている。しかしその執行は、財務省外局(non-ministerial department)である歳入関税庁英語版(Her Majesty's Revenue and Customs:HMRC、旧内国歳入庁)に委任され、最低賃金監督官 (National Minimum Wage Compliance Officers) が行う[291]。 権限の法令根拠は、全国最低賃金法14条などによる。

違反の把握

履行確保を所管する歳入関税庁は、国内に16チーム、1チーム5名の計80名の監督官(compliance officer)を設置している。最低賃金法違反の通報や受付は、ヘルプライン(電話)や郵便、ウェブサイトを通じて行う。その後、事業主に対して調査を行う。

調査

事業主には、従業員の労働時間や賃金支払いの記録について最低3年の保持が義務付けられている。(全国最低賃金法9 ~ 11条および最低賃金規則38条)

監督官は立ち入り検査に際して、この記録や必要な情報の開示とコピーの取得、またそれについて説明を求め、これらを実施する必要に応じて事業所内の任意の場所に立ち入るなどの権限を付与されている(全国最低賃金法14条)。なお雇用主に対して、従業員から請求があった場合も同様に記録の開示が義務付けられている[281]

違反した場合の支払い通告と訴訟・刑罰

検査の結果、違法が認められた場合、監督官は事業主に対して履行通告を発行し、最低賃金の支払いと、最長6年分の未払い賃金の支払いを命じる。(全国最低賃金法法19条)

もし、事業主がこの履行通告を守らない場合、監督官は、罰則通告を発行する。この通告が発行された場合、履行通行からの経過日数×2倍の最低賃金額の罰金が科される。

ただし、この通告に事業主が28日以内に雇用審判所(Employment Tribunal)異議申し立てをした場合、雇用審判所は相応の理由があると判断がなされれば、通告を撤回させることができる(全国最低賃金法法22条)[281]

これらの手続きでも事業主が履行しない場合、監督官は雇用審判所もしくは民事の裁判所に訴訟を提起するか、あるいは悪質な雇用主に対して、賃金不払いとして刑事訴追を行うことができる(全国最低賃金法31条)。 また、刑事追訴されるケースは、以下の時である。

  1. 最賃額の支払い拒否もしくは故意の不履行
  2. 労働者に関する記録の保持を怠る
  3. 改ざんされた記録の保持
  4. 改ざんされた記録や情報の提供
  5. 監督官に対する意図的な妨害
  6. 監督官に対する情報提供の拒否もしくは不履行

こららの場合、最高で 5,000ポンドの罰金が科される。

なお、労働者が直接、雇用審判所あるいは裁判所等に訴え出ることもできる。また、イングランドおよびウェールズスコットランド北アイルランドでは、司法制度にかかわる組織名称等が若干異なるが、基本的には同等の手続きによる。 そして、雇用審判所への申し立てに際しては、助言斡旋仲裁局英語版(Advisory, Conciliation and Arbitration Service)がまず斡旋に努めるべきことが定められて いる[281]

いずれの場合においても、違反がないことを証明する責任は雇用主(雇用関係にない場合は発注者)にあることが法律で定められている。

また労働者には、訴訟を理由に不利益な取り扱いを受けない権利が保障されている[281]

HMRCによる2015年度の年間の検査実施件数は2,667件であった。2009年の罰金制度導入以降、年間の罰金額の合計は増加傾向にある。また2015年の罰金額は167万9,240ポンドであった。

一方、違反事業主に対する刑事訴追の件数は、1999年から2016年2月までの間で9件にとどまる。National Audit Office (2016)によれば、BEISとHMRCはともに、制裁措置として起訴を用いるには慎重な立場をとっている。

なぜなら、裁判における手続きをしている間にも、未払い回収を待つことになり、裁判が出した判決により、倒産に追い込まれ、回収できなくなる可能性があるからである[291]

飯田泰之は「最低賃金規制をした場合、企業側はほとんど守らない。工夫をして事実上の最低賃金以下の雇用を行おうとする。表面上は守られているとされる日本の最低賃金の遵守率は、実質はかなり低い。サービス残業などを活用しどこも守っていない」と指摘している[292]

最低賃金以下及び生活賃金未満の労働者に関するデータ

最低賃金以下の労働者

なお2018年時点で、最低賃金以下で働いている16歳以上の労働者の割合は、約1.6%(約44.1万人)であった。具体的な内訳は以下となる[293]

  • 年齢別 16~17歳は約2.2%(0.8万人)、18~20歳は約2.6%(約2.8万人)、21~24歳は約1.8%(約3.6万人)、25歳以上は約1.5%(約36.9万人)
  • 性別 男性は約1.2%(約16.9万人) 女性は約1.9%(約27.2万人)
  • 地域別 イギリス北東部:約2.0%(約2.2万人)が最も高く、北アイルランド:約0.8%(約0.7万人)が最も低い。
  • パートタイムは約2.7%(約21.8万人)(男性:約2.6%[5.5万人] 女性:約2.7%[約16.3万人])、フルタイムは約1.1%(約22.3万人)(男性:約1.0%[約11.4万人] 女性:約1.4%[約10.9万人])
  • 産業別 宿泊・飲食サービス業が約3.7%(約6.3万人)と最も高く、これに続いて、その他サービス業:約3.0%(約1.5万人)、卸売・小売業並びに自動車及びオートバイ修理業が2.5%(約10.5万人)、芸術・娯楽及びレクリエーションが約2.1%(約1.3万人)と続いている。
  • 職種別 運搬・清掃・包装等従事者が約3.5%(約11.5万人)が最も高く、続いて、営業及びカスタマーサービス従事者約3.0%(約7.2万人)、ケア、レジャーおよびその他のサービス職業従事者が約2.8%(約7.6万人)と続いている。

生活賃金未満の労働者

また、2018年時点で、生活賃金(最低限の生活水準の維持に要する生計費から、必要な賃金水準を設定したもの)未満の労働者は、約575万人で、全体の約22%を占める。

そして、生活賃金未満労働者の内訳は以下のようになる。

  • 雇用形態別 フルタイムの場合は約250万人(男性:約130.0万人 女性:約120.0万人)で、フルタイム全体の13%(男性:約11% 女性:約16%)を占めている。それに対して、パートタイムの場合は約320万人(男性:約95.0万人 女性:約230.0万人)で、パートタイム全体の43%(男性:約47% 女性:約41%)を占めている。
  • 年齢別 若年層が多く、18~21歳の約68%(約83.4万人)が生活賃金未満であると推計されている。また、同じ年齢層でも男性は約58%に対して、女性は約71%である。
  • 職種 人数では、販売補助や小売店のレジ係(約75.6万人[約64%])、キッチンスタッフ(42.9万人[約75%])、未熟練の清掃職種(38.7万人[約69%])が多い。比率では、バーのスタッフ(約86%[約13.8万人])、ウェイター・ウェイトレス(約81%[約17.0万人])、クリーニング職(約80%[約1.4万人])が多い[294]
生活賃金額の算定

生活賃金額は、ロンドンとロンドン以外の2種類に設定され、毎年改定される。ロンドンの生活賃金額については大ロンドン市庁(Greater London Authority)の経済部門が、またそれ以外の地域についてはラフバラ大学の社会政策研究センターが、それぞれ算定している[288]

なお、時間当たりの生活賃金の金額は2018年10月末時点で、ロンドンで10.55ポンド、ロンドン以外の地域では9.00ポンドである[295]。ロンドンとそれ以外の地域の差額は、大半が平均的な住宅の賃料の差によるものである[296]。また、2019年4月時点で比較すると、ロンドンの生活賃金が約3割、ロンドン以外が1割、最低賃金額より高い[288]

  • ロンドンの生活賃金額

生活費と平均的所得水準の二つのアプローチにより算定される。

前者は控えめな生活水準かつ必要最低限の生活費で算出する。生活費には、色んなタイプの世帯構成とフルタイムパートタイムをしている場合を想定して、それぞれ世帯タイプで算出される。生活費は、住居費・カウンシル税(地方税に相当)・交通費育児費・その他の5区分で試算される。そして、5ペンス幅で最も近い概数に置き換えたものが、生活費アプローチによる生活賃金額となる[288]

後者の平均所得によるアプローチは、世帯あたりの平均可処分所得(世帯規模・構成により調整したもの)を元に、世帯平均の6割に相当する所得水準を算定する[288]

これらから算出された時間当たり賃金水準を平均し、これに出費が必要に迫られた時を想定して、加算額15%分を増額する。そして、最も近い5ペンス幅に合わせたものが、最終的に生活賃金とされる。2014年の例では、生活費アプローチによる7.65ポンドと、所得分配アプローチによる8.25ポンドの中間、7.95ポンドに15%を加え、9.15ポンドとしている[288]

  • ロンドン以外の生活賃金額

「最低所得水準」(minimum income standard)に基づいて、算出される。

最低所得基準は、まず始めに、市民に必要最低限の生活水準に関する調査を行う。そして、この調査結果に基づいて生活費を計算する。2008年に初めて公表されて以降、毎年改定されている。貧困や社会的疎外などの問題を扱うジョセフ・ローンツリー財団の依頼を受けて、ラフバラ大学の研究者が改定作業を行っている。必要最低限の生活水準に要する財・サービス等の価格上昇が、小売物価指数に基づいて調整される。また、子供のいる世帯は4年に1度、子供のいない世帯は6年に1度、内容の見直しが行われる[288]

生活費を算出する内訳は、食費、住居費、光熱費などである。生きるのに必要最低限の物的条件以外に、贅沢とはいわないが、人々が最低限必要と感じるものを含む。単独世帯などそれぞれの世帯タイプに設定して、最低所得水準を算定し、必要な年年間賃金額を割り出す。そして、成人1人当たりのフルタイム労働時間(週37.5時間)で割り戻し、タイプごとの世帯数で加重平均して求められる金額が、暫定的な生活賃金額となる[288]

ただし、この金額の対前年上昇率が、直近の平均賃金上昇率を大幅に上回る場合は、平均賃金上昇率プラス2%が上昇率の上限となる。これは、雇用主への過度な負荷となることは避けるべきであるとの考え方による。2014年11月の改定では、上記により算出された9.20ポンドの暫定額が、前年の7.65ポンドを大幅に上回っていたため、直近の賃金上昇率0.7%に2%を加えた2.7%の上限が適用され、2014年から2015年にかけての生活賃金額は7.85ポンドとなった[288]

議論

イギリスでは、雇用への影響も実証分析が積み重ねられたが、最低賃金の上昇が緩やかだったこともあり、「明確な影響はない」という研究者のコンセンサスが得られている[175]

ミルコ・ドラカステファン・マヒンジョン・ファンリーネンの2011年の論文では、イギリスで低賃金労働者を雇っている企業の収益率は他の企業に比べより減少していることを示している[175]

ジョナサン・ワーズワースの2009年の論文では、最低賃金労働による消費者サービス価格の上昇は一般消費者物価上昇よりも高いことを示しており、企業の収益・価格への影響は明確となっているとしている[175]

また、ブリストン大学のホール教授、プロッパー教授とロンドン大学のヴァン・リーネン教授は、イギリスの看護師の賃金が、全国率一律で決められていることが、高賃金地域での患者の死亡率を高めていることを明らかにしており、「賃金規制が、死亡率を高めている」と主張している[297]

シンクタンク Resolution Foundation が5月に公表した報告書[298]によれば、近年の最低賃金の引き上げにより、国内の低賃金層の比率は減少したものの、こうした層の賃金水準は持続的に低迷している状況にある。報告書はその要因として、より賃金の高い仕事への移行のしにくさや、少数の企業による寡占、また特に女性労働者において賃金水準が向上しにくい傾向などを挙げている[299]

ドイツ

ドイツでは従来、最低賃金等の基本的な労働条件は産業別・地域別に労働組合と使用者団体が締結する労働協約により決定されてきたため、全国一律の最低賃金は法定されていなかった[149]

しかし、東西ドイツ統一は、労働組合の組織率が低下していることや、使用者団体が締結する労働協約に拘束されることを過大な負担と考える使用者が使用者団体から脱退したり、あるいは新たに設立された企業が労働協約へ拘束されることを嫌って使用者団体へ加入しないという企業があらわれていることから[300]、労働協約により労働条件が決定される労働者が減少しており、低賃金労働者の増加が問題となっていた。そのため、「最低賃金法」[301]の制定により、原則として 2015年1月から時給8.5 ユーロの法定最低賃金が導入された[149]

労働組合を支持基盤とする社会民主党(SPD)では 2007年から全国一律の最低賃金制度の導入を目指していたが、最終的にはCDU/CSU(CDU/CSU)との連立政権時である2014年にCDU/CSU が妥協する形で最低賃金法が成立し、2015年1月から最低賃金が導入されることになった[149]

歴史的経緯

東西ドイツ統一以前

[302]

ドイツはEU参加国のうち最低賃金法を導入していない7つの国の一つであった。

何故なら、ナチス時代に国家が直接労働条件を規制した歴史的経緯から、「賃金政策への国家介入」には、労使ともに強い警戒感がある。

そのため戦後は、労使自治 (Tarifautonomie)」に基づき、産別を中心とした労働協約によって賃金を決定してきた。

このやり方により、労働条件を守ってくれる保護機能を有すると同時に、賃金を切り下げることによる競争を防いでくれる面があった。

東西ドイツ統一後

[302][303]

しかし、東西ドイツ統一後により、状況は急変する。

実勢レートを無視した通貨統合、旧東ドイツ地域再建のための巨額の財政移転、同地域での過剰投資と過剰消費及びそれに伴う輸入増、インフレ抑制のための金利の高め誘導等により雇用情勢が悪化(特に旧東独地域)した。

更に産業構造や労働形態の変化、労働者の個人主義的傾向の高まり等を背景として、1990年代以降の労組の組織率低下と協約締結率低下という形で危機的な状況に陥りつつあった。

実際に、ドイツの労働組合員数はドイツ統一直後の1991年2013年を比べると、以下のように半減していた。

  • 組合員数:1,200万人→633万人
  • 労組組織率:36%→17.7%

この減少を反映する形で、産業別労働協約を適用される労働者も、以下のように減少していった。

  • 西ドイツ地域:69%(1996年)→59%(2005年)
  • 旧東ドイツ地域:56%(1996年)→42%(2005年)

また、2009年春に予定されていた中・東欧諸国8か国の労働者のドイツへの移動の制限の撤廃が、安価な外国人労働者の大量流入を引き起こし、それが賃金の切り下げ競争が起きることにつながると考えられた。

また、2005年に導入されたハルツ第4法英語版手当制度の下では、低賃金部門への就職圧力が高まっていった。

それら複数の要因が重なり、労使だけで賃金の下限を設定し、その協約賃金を労働者全体に行き渡らせることが次第に困難になった。

最低賃金制度導入に関する議論が2000年代前半のシュレーダー中道左派政権期に本格化し、シュレーダー政権末期に法定最低賃金導入の要求が提起された。

提起された背景には、ハルツ4法に対する批判であり、SPD党内では、この批判に対処しなければならいないという考えがあった。ラインラント・プファルツ州首相でもあったクルト・ベックが「ドイツにアメリカのような雇用関係があってはならない」と発言したことは、それを象徴するものであった[303]

しかし、いままで協約自治システムをとっていたため、CDU/CSUとSPD右派は導入を反対した。そのため、SPDは、最低賃金制度導入ではなく、すべての業種において労働協約に基づく最低賃金の導入を目指すとする立場をとり、2005年連邦議会選に臨んだ。

選挙結果により、左翼党民主社会党が躍進し、CDU/CSUがSPDと共に過半数が取れない状況を受け、第1次メルケル大連立政権の下でそれまでの方向性を転換し、「中道」路線を強調し始めた。

その一環として、CDU/CSUは「コンビ賃金(低賃金の雇用と賃金助成を組み合わせた雇用促進策。低賃金労働を受け入れた労働者に対して賃金の一部などを公的に援助することによって、一定の生活を保障しながら、低賃金労働市場の雇用創出を図る政策)」路線を事実上放棄し、派遣労働者も含めた全労働者対象の最低賃金制度導入の方針を受け入れ、導入する動きが広がった。

そして、ドイツ労働総同盟(DGB)と同調して、業種・ 地域ごとの最低賃金だけでなく、統一的な法定最低賃金を導入するという主張を前面に押し出した[303]

2009年連邦議会選挙後には、CDU/CSUと自由民主党(FDP)による第2次メルケル中道右派政権が樹立された。FDPは最低賃金制度導入には反対したが、SPDに対抗し、「社会的公正」への配慮を有権者へ示す為、導入の動きは進んでいくこととなる。

こうして、政権時代に積み残されていた業種レベルでの最低賃金導入がSPDとの交渉の下に実現されるとともに、CDU/CSUは「賃金の下限」という表現で、事実上の導入反対を放棄した。

また、別の方面から、食料・飲料・旅館業労働組合(NGG)により粘り強く要求されてきた[149]。その理由は、

  1. これらの産業では、使用者団体がないか、あっても低賃金交渉を拒否してしまうこと
  2. 仮に労働協約が出来たとしても、低水準の最低賃金しか獲得できないと考えられたこと

であった。

こうして、2013年連邦議会選挙の結果、再び大連立政権が樹立されることになった時、この選挙において議席を失ったFDPを含めて、すべての主要政党は事実上法定最低賃金の導入を支持するか、少なくとも反対を放棄するに至っていた。

最低賃金制度導入後(2014年7月)

その結果、2014年7月、ドイツ下院はドイツ国内の最低賃金を時給8.50ユーロとする法案を可決した[304]。この法律は2015年1月から施行された。下院での採決では法案賛成が圧倒的多数であり[305]、投票数605のうち賛成が535票、反対が5票、棄権が61票という結果だった[306]。この当時の最低賃金水準はフランスの時給9.43ユーロには劣るが、英国の6.31ポンド(換算値約6.50ユーロ相当)や米国の7.25ドル(約4.20ユーロ相当[305])よりも高い。最低賃金導入はアンゲラ・メルケル政権の連立与党である中道左派ドイツ社会民主党の重要課題だった[306]。ドイツ副首相のジグマール・ガブリエルは「これはドイツにとって歴史的な日である」として最低賃金法の立法化を歓迎した[305]

そして、2020年1月から適用除外されていた職業訓練生(Auszubildende, Azubi)」に対して、最低賃金を適用することが決まった。

最低賃金の導入によって、労働協約を締結していない訓練生、あるいは美容飲食などの賃金が低い業種の訓練生、旧東ドイツ地域の小規模・零細事業主のもとで働く訓練生等の待遇改善につながることが期待されている。

ただし、施行予定日の2020年1月1日以前に締結した労働協約は、逸脱が可能で、その場合は最低賃金を下回る設定が出来てしまう[307]

一方、「実習生(Praktikant)」は、企業で研修する者を指し、原則として法定最低賃金の適用対象である。しかし、例外的に一部の大学や校則等で、履修課程の一環で義務として実習を行う場合等は、最低賃金法22条によって、法定最低賃金の適用対象外とされる。

なお、今後導入予定の月額最低賃金が、このように法定最低賃金の適用対象外となっている一部の実習生にも適用されるかについては、政府広報や現地報道等でまだ明らかにされていない[307]

決定方式

一般最低賃金

最低賃金額の決定は、常設の最低賃金委員会が2年ごとに最低賃金額の適切性について決議を行う( 一般的最低賃金法第9条第1項 )(審議は非公開[ 一般的最低賃金法第10条第4項 ])。

決議は単純過半数の賛成により行われる(一般的最低賃金法第10条第2項)。

賛成が過半数に至らない場合、委員長が斡旋の提案を行い、なお賛成が過半数に至らない場合は、委員長が議決権を行使する)。

連邦政府は法規命令により最低賃金委員会により提案された適切な最低賃金を規定する。(一般的最低賃金法第11条第1項 ) [289]


最低賃金委員会:議長1名、常任委員6名(労使各3名ずつ)、諮問委員2名(学術分野からの委員[労使提案]、議決権なし)で構成される。( 一般的最低賃金法第4条第2項 ) [289]常任委員と諮問委員は、各々グループ毎に必ず1名以上の男性及び女性を含めなければならない。そのため、2016年時点の最低賃金委員会の男女構成は、9人のうち3名が女性となっている[302]

決定基準(一般的最低賃金法第9条第2項) [289]

  • 最低賃金委員会は、労働者にとって必要な最低限度の保護に寄与し、公正かつ機能的な競争条件を可能とすること
  • 雇用を悪化させないために、いかなる額の最低賃金が適切かを、総合的に勘案して審査を行うこと
  • 最低賃金委員会は、最低賃金の決定に際し、労働協約上の動向に従うこと

しかし、実際にはそれぞれの労働協約による賃金上昇率を国全体で平均化させた賃金上昇率を最低賃金引き上げ率として、事実上決定されている。

その理由は、最低賃金委員会は2016年6月28日の決議書で、「調整額を勧告するための基礎として、協約賃金の動向は重要である。何故なら、労働協約当事者(労使)は、協約締結時に労働者の利益や企業競争力の維持、さらに雇用確保なども含む、包括的な判断をするからである」と説明しているからである。また、結果として協約当事者による賃金の決定が最低賃金の改定に反映される形になっているとも言える[302]

一方で、この決め方に対して、最低賃金委員会の形骸化を指摘する声もある[302]

最低賃金は以下のように改定されていった。

2017年:時給8. 84ユーロ(引き上げ率4. 0%)

2017年の最低賃金額決定の際、最低賃金導入(2015年1月1日)後から検討時までに締結された労働協約ごとの平均賃金上昇率のデータから、連邦統計局によって最低賃金引き上げ率を算出した。
当初は時給8. 77ユーロ(引き上げ率3. 2%)という改定額が提示された。しかし、その後、2016年4月末に妥結した統一サービス産業労組(Ver.di)の公務分野の協約賃上げ率(4. 75%)も算入し、上記の最低賃金額となった。

2019年: 時給9.19ユーロ、2020年:時給9.35ユーロ

最低賃金委員会は2018年6月26日、最低賃金(時給)を、現在の8.84ユーロから二段階で引き上げるよう政府に勧告した。
今回の改定でも、過去2年の協約賃金全体の動向を踏まえて、9.19ユーロへの引き上げ勧告が想定されていたところ、2018年前半に妥結した金属産業等の協約賃金も最終的に考慮され、9.35ユーロまでの二段階の引き上げ勧告になった[47]

業種別最低賃金

これとは別に、業種別最低賃金が複数の業種で存在する。

これは労働組合と使用者が交渉をして労働協約で定めるもので、連邦労働社会省(BMAS)によって一般的拘束力宣言(労働協約を締結した当事者[労使]以外にも、労働条件やその他の待遇などの規定を拡張して適用することを指す)が行われる。業種別最低賃金は労働協約に拘束されない事業所も含めて、その業種のすべての事業所に適用される。

更に、法定最低賃金を下回ることは現在禁止されているため、いずれの業種も法定最低賃金を上回る額となっている。

業種別最低賃金は、一部であるが、以下のようになっている[308][309]

建物内部・メンテナンス清掃の場合は10.56ユーロ(ドイツ西部)と10.05ユーロ(ドイツ東部)
ガラス・外装清掃の場合は、13.82ユーロ(ドイツ西部)、12.83ユーロ(ドイツ東部)
  • 電気及びIT業 (Elektrohandwerk)(2019年1月1日時点)
11.4ユーロ
9.49ユーロ(ベルリンを含む東部[2019年1月時点])、9.79ユーロ(ドイツ西部[2019年4月時点])

最低賃金制度の運用監視は、連邦財務省所管の税関ZOLL)内にある闇労働税務監督局(Finanzkontrolle Schwarzarbeit, FKS)が担当している。

減額・適用除外

  • 一部の企業実習生(Praktikant):企業研修する者を指し、原則として法定最低賃金の適用対象である。しかし、例外的に一部の大学や校則等で、履修課程の一環で義務として実習を行う場合等は、最低賃金法22条によって、法定最低賃金の適用対象外とされる。例外的に適用対象外になるのは、
    1. 職業訓練規則や各学校(大学を含む)の規定等で義務付けられた職業訓練の一部として実習を行う者
    2. 職業訓練の適性確認期間(オリエンテーション期間)や大学教育開始前に行う3カ月以内の実習
    3. 職業訓練や大学の職業教育に付随する3カ月以内の実習(同一実習生との間で、それ以前に実習関係がない場合に限る)
    4. 社会法典第3編第54a条に基づく導入訓練もしくは職業訓練法68~70条に基づく職業訓練準備の実習

なお、以上の法的関係の指定に関係なく、契約関係の実際の配置や実施(職業訓練法における職業訓練や同等の性質の実践訓練を構成するものではなく)に基づき、一定期間、企業内で具体的な活動を行っている者を実習生とみなす[307]

  • 職業訓練生(Azubi):実務と座学を並行して行う二元的な訓練制度(デュアルシステム)の枠内で学ぶ者が多い。約350ある職業訓練職種のうち、男性は自動車や機械、電気などの技術職種、女性は小売や事務などのホワイトカラー職種を希望する者が多い。
    訓練内容は、企業における実務が週3~4日、職業学校における座学が週1~2日と、実務の比重が大きい。企業と訓練生は「職業訓練契約」を締結し、期間中は訓練手当(月額賃金)が支給され、社会保障の対象にもなる。訓練内容は法律で規定されており、期間は職種や受講生の保有資格によって2年~3年半、最終試験に合格すると訓練修了資格が取得できる。職業訓練は企業・訓練生双方に参加義務はなく、あくまで自主性に基づく制度である。
    また、若者が労働市場に入るための主要経路の一つとなっているが、訓練後の採用保障はなく、長期間にわたり薄給(法定最低賃金の適用対象外)で多くの業務をこなさなければならないため、一部の訓練生から不満の声も上がる。他方で、企業にとっては、数年間の訓練を通じてより良い人材を獲得したいという思惑のほか、当該地域における社会的責任を果たすために、多くの訓練生を雇い、時間や費用をかけて人材育成を行っているという側面もある。
    ただし、2020年から、最低賃金が適用される。2020年の導入当初に月額515ユーロ、2021年に同550ユーロ、2022年に同585ユーロ、2023年に同620ユーロへと、4年かけて段階的に引き上げられる予定である。さらに、訓練年数に応じて、訓練2年目に18%、3年目に35%の上乗せ手当が加算される。ただし、施行予定日の2020年1月1日の時点で締結済みの労働協約の場合は、逸脱が可能で、その場合は最低賃金を下回ることもあり得る[307][310]
  • 名誉職として働く者
  • 1年以上失業していた長期失業者は、雇用後最初の 6ヶ月間

[311]

履行保証

取締機関

[302]

最低賃金制度の運用監視は、連邦財務省所管の税関ZOLL)内にある闇労働税務監督局(Finanzkontrolle Schwarzarbeit, FKS)が担当している。

FKSは、従来から闇労働(Schwarzarbeit)を取締まっていた税務局と、不法就労対策を担当していた労働局の業務が統合され、2004年に誕生した。また、後者の職員はそのままFKS全員異動している。

2017年時点の税関職員総数は 3万9,000人で、そのうち6,700人が闇労働税務監督局(FKS)で勤務している。2015年の法定最低賃金導入により全産業・職場に監視対象が拡大されることを見越して、導入前から増員している。2019年までに1,600人増やして、8,300人体制で、最低賃金を含む闇労働全体の取締り強化を計画している。

全職員のうち、女性職員は25~30%程度で、年々女性の割合は増加している。

最低賃金を取締まる職員は、闇労働税務監督局(FKS)が単独で採用を行い、中級職員は2年、上級職員は3年半の職業訓練を受ける。

訓練内容は、税務管理に関する知識教育、捜査に必要な護身術射撃訓練等である。FKSの職員は、希望すれば他部署で税関職員として働くことも可能だが、全て公募制である。また、職員は、闇労働防止法(SchwarzArbG18) に基づいて任命され、司法警察権を有し、立入調査権や逮捕権などを有する。専門的な知識を習得するために、任命後も継続教育訓練(在職訓練)を節目ごとに受講する。2015年の法定最低賃金導入時には、それまでの業種別最低賃金と法定最低賃金の差違に重点を置いた研修を全員が順に受講した。

闇労働税務監督局(FKS)の事務所は、ドイツ全土に設置されており、41の税関に設置されている。

取締り対象

「闇労働(Schwarzarbeit)」と「不法就労(Illegale Beschäftigung)」は、FKSが以下のように定義し、その両方に対処している[302]

闇労働(Schwarzarbeit) 不法就労(Illegale Beschäftigung)
  1. 社会保険料不払い
  2. 給付の濫用
  3. 営業法・手工業法違反
  4. 脱税
  1. 外国人の不法就労
  2. 最低労働条件違反
  3. 違法な労働者派遣

FKS調査官

FKSは、専門分野E((1)防止・審査・捜査、(2)組織的不法就労)と、専門分野F(処罰)に分かれて取り締まり業務を遂行している[302]

専門分野E

専門分野Eの捜査官は、闇労働撲滅法2条に基づき、審査任務を遂行する。 審査内容は

  1. 社会保険負担義務
  2. 社会保障給付の受給
  3. 労働許可
  4. 労働者送り出し法(AEntG)
  5. 最低賃金法(MiLoG)
  6. 労働者派遣法(AÜG)などの各種法律に基づく労働条件の適合性
  7. 税制上の義務の遵守

であり、これらを総合的に審査する。

捜査権限としては、就労者への聞き取り調査では、以下のことを捜査する。

  1. 事業所や現場で就労する者の労働作業中に立ち入る権限
  2. 当該の場所で就労する者に聞き取りを行う権限
  3. 関連書類の閲覧
  4. 自動車の停車指示権限

業務書類の審査では、以下の業務が出来る。

  1. 使用者/委託者/派遣先の事業所及び現場への営業時間中の立ち入り
  2. 業務関連の全ての書類閲覧
専門分野F

専門分野Fの担当官は、以下の違反に対処する。

  1. 闇労働撲滅法2条1項の規定による審査対象と直接的に関係のある犯罪行為の訴追
  2. 闇労働撲滅法2条1項の規定による審査対象と直接的に関係のある秩序違反

また、闇労働税務監督局(FKS)が秩序違反法36条1項1号の意味における管轄の行政当局である限りにおいて、当該秩序違反の訴追及び処罰が可能である。

違反の把握

主に、違反被害者や近所の人、通報によるものが多い。また、他省庁の職員からの情報提供などもある[302]

現場での取り締まり

[302]

この通報の内容の事実の有無を検証したうえで、実際の労働現場や企業を捜査する。場合によっては、同企業の別の地域の事業所も捜査した方が良いと判断する場合もある。

また、ある特定期間に予防的理由で重点的に特定産業の現場に立ち入ることもある。多いのは、建設業運送業などで、その場合は、全国のFKS職員が一斉に管轄地域の立ち入り調査を実施する。

闇労働税務監督局(FKS)の担当者が現場に入る場合、常に銃を携行して、2人体制で現場に行く。大きい建設現場ともなると100人体制となる。また、FKSにとって危険を伴うと判断した場合は、税関の特殊部隊(ZUZ)に応援を要請する場合があるが、基本現場ではFKSが指揮をとる。

違反企業の呼び出しは基本しないが、場合によっては、違反企業が委託する税理士事務所に入ることもある。

取り締まりの困難さ

[302]

履行確保で難しい点は、実労働時間の把握が非常に難しいことである。 以下の例により、把握を難しくさせている。

  • 法律で労働時間の記録義務が定められているが、労働時間の改ざんをする。
  • 使用者側が労働者との雇用関係を偽り、偽装請負や偽装自営を行い、最低賃金法の枠から外させる。
  • 特に運送業に多いが、待機時間は就労時間であるのに、就労時間とせずに休憩時間とするケースや、回送(荷物を降ろしてトラックを空で運転する場合)を就労時間として扱っていないケースなども多い。

他にも、スーパーで多いのが、自社の商品券や製品を給料として組み込んでしまうケースである。

更に、非常に取り締まりを難しくさせているのは、最低賃金導入により、諸手当が削られ、実質的に賃下げされたケースである。また、実習生(Praktikant)に関わる事案も多い。正式な社員としてではなく、実習生として採用するというパターンがよく見られる。また、FKSの取締りに対して、使用者が反対の主張をした場合、その主張の矛盾点をついて確証しなければならないという難しさがある。

違反した場合の処罰

[302]

法定最低賃金導入当初の半年間は、処罰することよりも、最低賃金制度に関して、説明し、制度を周知させることを重点に置いていた。

ただし、半年たっても改善しない企業は、積極的に取り締まっていた。

従って、ある程度現場に裁量が委ねられており、最低賃金違反を発見した場合、説明(是正指導)のみで終わる場合もあれば、是正せずに放置する悪質なケースについては、書類送検・起訴をして、罰金を科すこともある。

最低賃金に関する違反をした場合、労働時間の記録違反など軽度なものには上限3万ユーロ、意図的な違反など重度のものには上限50万ユーロの罰金を科している。また、違反事業者は、公共委託から排除される(最低賃金法19条)。

FKS以外の取締機関

[302]

最低賃金の監視は、FKSの他に年金運営機関、公共調達に関する州当局、労働安全衛生担当局、営業監督官、連邦雇用エージェンシー(BA)、社会保障給付関連機関なども関連業務として実施している。

ただ、年金運営機関やその他の機関は、「書類審査」のみであるため、実際に現場に赴いて労使へ事情聴取をした上で濫用の有無を判断するFKSとは大きな違いがある。また、いずれの組織も、最低賃金の監視を主目的にしているわけではなく、例えば、雇用エージェンシー(AA)などの職業安定機関は、求職者が失業手当を申請する際に、最低賃金違反を見つければ、場合によってはFKSに通知することがあるが、FKSのように取締まる機能はない。

問題点

最低賃金と片親世帯の生活費

2017年に、最低賃金に関して、左翼党から、批判があった。なぜなら、その額では、子供1人(6歳未満)の片親世帯が生活するには、足りず、この世帯は貧困のリスクが非常に高かったためである。そのため、左翼党のクラウス・エルンスト副総裁は声明の中で、最低時給12ユーロに引き上げ、福祉に頼らない生活を確保していくことを主張した。

この批判に対して、連邦労働社会省(BMAS)は、労働者の生活保障以外にも、「競争力維持」や「雇用確保」の面も考慮する必要があること、最低賃金委員会において2年毎に金額が再評価されること、そして最低賃金の導入で何百万人もの労働者が恩恵を受けた点を強調して、反論した[312]

ミニジョブ

ドイツではパート労働の1種にミニジョブがある。

これは、月収入450ユーロ以下で、所得税と社会保険料の労働者負担分が免除される制度である(ただし、使用者は免除されず、税金、健康保険、年金保険の計30%の負担義務がある。また、年金保険については。2013年以降、原則加入義務対象(総収入の3.9%の保険料負担)となったが、労働者が使用者に文書で適用除外を申請すると免除される)。

しかし、ミニジョブ労働者は、最低賃金制度を設けたにもかかわらず、約半数(2015年:50.4%[5.5ユーロ未満:20.1% 5.5~8.49ユーロ未満:30.3%])が最低賃金未満の時給額で働いている[313]

また、2019年6月時点でのミニジョブ労働者は約759万人であった。このうち、ミニジョブの専業従事者は約465万人で、本業のほかに税負担のない副業としてミニジョブに従事する者は約294万人であった[314]。多くは、小売、飲食、宿泊、保健・医療施設、福祉施設、ビル清掃業などのサービス分野で働いている。

ただし、この人数には、(1)自営で副業を行っている者、(2)月収450ユーロを超えて副業を行っている者は含まれていない[315]

最低賃金未満労働者の存在

ドイツ経済社会研究所(WSI)の最新調査では、2016年時点で、労働者の約220万人が最低賃金を下回る時給で働いていたことが判明した。これは、ドイツで働く約10人に1人が下回る時給で働いたことになる。

最低賃金未満は、以下の傾向がある[316]

  • 性別 男性:4.6% 女性:11.5%
  • 地域 ドイツ西部(7.3%) ドイツ東部(12.6%)
  • 労働協約の有無 労働協約を結んでいる企業:1.8% 結んでいない企業:15.6%

女性が多い理由は、多くの中小企業とミニジョブのあるサービス産業で多くの女性従業員が働いるためである。また、ドイツ西部より東部に多い理由は、連邦州での団体交渉範囲が狭くなったためである。

そのため、政府は今後、履行保証の項目で前述したように、FKSの人数を2019年までに1600人増やし、8300人体制で、最低賃金を含む闇労働全体の取り締りをはかっていく[47]

フランス

フランスの最低賃金は、全業種を対象に法律が定める基準(SMIC)と、業種別に労働協約によって定められた基準とがあり、双方を上回る必要がある。均等待遇の原則(同一労働同一賃金)が根付いているため同種の職種で賃金格差が付きづらいが、職歴の浅い者は最低賃金に近い水準となっている[317]

歴史的経緯

1915年(制度創設)~1950年(SIMG創設)

[318]

フランスで初めて最低賃金制度が出来たのは、1915年であった。ただし対象は、衣料関連の家内労働者に対してのみであった。

そして、1936年労働協約の一般的賃金制度で、地域別・職種・技能別の賃金の最低額 (salaires minima)が設定された。

1950年(SIMG創設)~1970年(SIMC創設)

[318][319][320]

全労働者を対象にした最低賃金制度が出来たのは、1950年であり、SIMICの前身にあたる「全職業最低保証賃金」SMIG(salaire minimum interprofessionnel garanti)が定められた。

この賃金制度は、パロデイ命令(1945年)に基づき行われていた賃金統制を撤廃させる代わりに、導入された。また導入背景には、激しいインフレから労働者の実質賃金水準を守ることと労使の団体交渉能力が限られていたことにある。

このSIMGには、SIMICと異なる特徴があった。

  1. 労使からなる全国労使交渉委員会により最低賃金額を決定させる。
  2. 農業・非農業の区分、地域差(パリのSMIGは他の地域より1~3割高かった)及び年齢差により、最低賃金額が異なっていた。

導入度後、朝鮮戦争による影響により、激しいインフレが起こったため、1952年7月18日の法律により、SMIGを最低4カ月に1度は、物価変動に応じて自動的に調整する仕組みが採用された。それ以降、物価上昇率が5%を超える度に見直された。

その後、SMIG改定によるインフレ効果を和らげるために、1957年6月16日の法律でSMIGの引上げは物価上昇率が2%を超える度に行うと改められた。この法律には、国民所得も考慮に入れるように定めた。

しかしながら、SIMGは、多くの点でパロデイ命令による賃金統制の名残りがあり、制度的にも経験の浅い労働者の標準賃金的なものであったため、その後もSIMGがほとんど上がらなかった。一方、平均賃金は栄光の30年間第二次世界大戦後から1973年までのフランスの経済成長)により上昇し、SIMGと平均賃金の格差は広がるばかりであった。

1968年春のいわゆる「5月革命」の事態鎮静化を図るために締結された政労使による「グルネル協定」によって、SIMGを35%もの異常な引き上げが行われた。それだけでなく、この協定により年齢も地域も関係ない全国一律の最低賃金制度となった。

1970年(SIMC創設)~1998年(オーブリ法制定)

[318][319][320]

SIMGと平均賃金との格差拡大を解決させるため、政府は1970年1月2日の法律でSMIGは新たな最低賃金SMIC(salaire minimum interprofessionnel de croissance) に取って代わられ、導入された。

SIMCとSIMGでは、以下の相違点がった。

  1. SMIGでは地域間の調整はあったが、SMICではなされないこと
  2. SMIG が雇用者の最低限の生活保証のみを目的としていたのに対し、SMICは最低賃金層経済発展による恩恵を受けれるようにすることも目的に含めた。

SIMC導入により、平均賃金との格差は縮小していった。

特に、1972年から1975年にかけてSMICは大幅に引き上げられ、その購買力は 28.6%も上昇した(同時期の平均賃金の購買力の伸びは+17.5%)。その後、1970年代末にはSMICの伸びは抑えられた。

しかし、1981年ミッテラン大統領が就任すると、SMICは直ちに10%引き上げられた。

その後、政府がインフレ抑制へと舵を取ったため、1990年までの SMIC上昇率はかなり低く抑えられた。その為、最低賃金雇用者の購買力は伸び悩んだ。

1990年初めに、SIMC水準の賃金である雇用者に対して社会保険料の使用者負担分軽減措置が取られたことで、SIMCは再び抑えずに上昇できるようになった。

だが、1998年になると、今度はオーブリ法による時短の進行がSMICのメカニズムに支障をきたすことになった。

1998年(オーブリ法制定)以降

[319]

オーブリ法は週39時間労働を、週35時間へと労働時間を減らす法律であったが、賃金は据え置きのままにしたため、SIMICを実質11%上昇させるものであった。

そのため、政府は2002年まで毎年7月1日に月額所得保障(GMR)制度という不規則なシステムを創設した。GMRの水準は時短導入時点の最低賃金額に基づいて計算されるため、オーブリ法以前から存在していたSMICの他に5つの異なるSMICが並存する状況が生じてしまった[321]

2002年のフィヨン法によって、2005年7月1日にすべてのSMICは1時間当たり8.03ユーロへと統一された。

そして、2007年7月1日、サルコジ大統領に代わって初めてのSMIC見直しでは、政府の自由裁量による後押し分はなく、引上げは法定分に限られていた。

2018年12月10日夜、2018年11月17日から発生したフランス全土で燃料税増税や生活費高騰などに反対する暴力的な抗議行動に対して、エマニュエル・マクロン大統領は、国民に向けたテレビスピーチで、抗議活動に対する対応策を発表した。

その対応策の1つに使用者が負担せず、政府が負担する形で、最低賃金を100ユーロ引き上げることであった[322][323]

事実、活動手当2019年1月に月額100ユーロ引き上げている。活動手当は、18歳以上の低所得就労者向けに政府から支給されている給付金であり、世帯構成や収入額に応じて支給されている。平均で月額158ユーロ、子供がいない独身世帯で収入が月額1,550ユーロの場合の支給月額は133ユーロである。ちなみに、フルタイムで週35時間就労した場合の月額最賃は1,522ユーロである[324]

決定方式

SMICの時給額は、以下に挙げる三つによって、決定される。[289][325][326]

  1. 物価スライド制
    消費者物価指数が前回の改定水準より2%以上上昇した場合、指数発表の翌月初日にその上昇分だけ改定される。(労働法 L.141-3条)
    消費者物価指数は、世帯主が労働者である都市部の世帯で、タバコを除く295品目の消費者物価を対象として算出される。
  2. 年次改定
    労働省による3ヶ月ごとの調査によって記録された平均時間給の購買力の上昇分の2分の1を下回ってはならない」(労働法 L.141-5条) 
    「最低賃金の上昇と、一般的経済条件及び国民所得との間の永続的な全ての不均衡を除去しようとするものでなければならない」(労働法 L.141-6条)
    とされる。
    以下の i~iii を踏まえて、政府が全国団体交渉委員会に諮問し、答申を受けて命令(デクレ)により改定
    i. 特殊な世帯(一般労働者のうち、生活水準の下位20%の世帯を抽出した世帯)の物価上昇率
    2013年2月に従来の消費者物価指数の上昇率基準となる世帯主が一般ワーカーまたは事務系労働者である都市部の世帯の上昇率から改められた。
    ii. 生産労働者(一般労働者及び事務系労働者)基本時間給実質上昇率×1/2 以上
    iii. 政府の裁量による上乗せ
  3. 政府裁量
    政府は、年度中あるいは毎年1月1日のSMIC改定の際に、上記1と2のメカニズムから算定される率を超えてSMICを引き上げることができる。
    これは政府による「後押し分(coups de pouce)」と呼ばれるものである。
    政府裁量額は、団体交渉全国委員会の答申後に政府が決定する。
    ただし、2007年7月1日以降は、サルコジ大統領によるSIMC見直しで、「後押し分」の引上げは行われていない。

全国団体交渉委員会:政府代表4名、労使各18名で構成される。同委員会は、以下のことをする。

  • 国家の財政勘定の分析および一般的経済条件についての報告を受け取る。
  • 上記の報告の要素と年度途中の改定を考慮に入れた上で、政府に対して、必要があれば多数派及び少数派の意見も報告書も加えてまとめ、理由付き答申を出す。ただし、答申は労使の合意した意見や見解は無い。
また、団体交渉全国委員会の答申は、下記の専門家委員会の年次報告書重視により、実質的な影響を持っていない。

専門家委員会:SMICの改定について意見を述べる独立機関である。

専門家委員会は、経済社会の領域での能力・経験により選ばれるため、経済・統計の専門家としての性格が強い構成となっている。これらの人選は、雇用労働及び経済担当大臣の提案に基づき、首相によって 5人が任命される。
委員会は、労働市場の発展、生産性の向上、付加価値の分配、企業競争力、比較可能な諸外国の最低賃金の上昇を分析した上で、報告書を提出し、意見を述べる。
また、政府も国家財政分析及び一般的経済状況に関する報告を全国団体交渉委員会に提出する。政府の報告書と専門家委員会の報告書に開きがある場合、政府はその理由を書面で述べる。
専門委員会はサルコジ政権(2007年)下の雇用指針評議会において、賃金構造の硬直化、労働費用が増大していることが指摘された。そのため、雇用の適正な配分を保障するための経済条件に応じたSMICの引上げを可能とするために設置された。
そして、2008年の専門家委員会設置以降、統計データなどが載っている委員会の年次報告書が重視されるようになっている。

2019年現在、フランスの最低賃金は、10.03ユーロとなっている[46]

減額・適用除外

[327]

  • 17歳以下の年少者で、当該業種における職歴が 6か月に満たない者(17歳未満の者は 20%まで、17歳の者は10%まで)
  • 職業訓練生及び若年者向け各種援助措置を受けている者(年齢及び訓練期間に応じて22~75%減額することが認められている)
  • 労働時間の管理に適さない労働者(委託販売外交員)

履行保証

取締機関

[326]

フランスにおいてSMICを運用しているのは、労働・雇用・職業教育・労使対話省(Ministère du Travail, de l’Emploi, de la Formation Professionnelle et du Dialogue social)(以下、労働省)である。

労働省の中で、それぞれが役割分担して、SIMCに関する職務を遂行している。

SIMCの履行監視は官庁に所属する監督官によって行われる。

2014年の時点で、労働監督官の総数は 2,236人である。そのうち労働監督官(inspecteur du travail)が1,060人で、労働監督官補(contrôleur du travail)が1,176人である。労働監督官が1人当たり監督対象とする労働者数は、8,139人である。

労働監督官と労働監督官補の違いは、監督対象の企業規模の大きさである。前者は、50人以上を担当し、後者は50人以下を対象とする。その他、労働組合加入者の解雇に関する案件や、労働時間の例外規定に関する処分の決定権は、労働監督官は認められているが、労働監督官補にはないといった違いもある。

労働監督官及び労働監督官補の採用資格は、以下の基準がある。

  • 高卒以上
  • 職務経験年数が3年以上であることを条件としているが、実際に採用される労働監督官の80%程度は、職業経験が5年以上の者である。

また、これら2つは、労働監督官に業務が集中している現状を踏まえ、遅くとも2020年には、統合される予定である。また、現状の体制や人数に対しては、労働省側は問題ないとしている。

違反の把握と調査

監督先の企業を選ぶ方法は2種類あり、1つは労働者側からの監督要請、もう1つは監督者による任意の選定となっている[150]

調査の方法は、給与支払い明細やタイムカードを調べることによって違反が無いかをチェックする[150]

またフランスでは、全産業を企業規模関係なく監督する方針である。しかし、政労使で協議した結果、日本の労働監督の方針と同様に、特定の業界を優先的に監督する場合もある。例えば輸送業・運送業界がそういった労働監督の優先度の高い業界となっている[326]

違反の処罰と訴訟

違反があった場合には、まず使用者に対し書類によって改善勧告が行われる。勧告によって改善されなかった場合には、刑法手続きが取られるが、手続きに1年半ほどかかるため、その間に改善されることがほとんどであるという[150]

また、フランスには労働裁判所がある。この裁判所は、比較的簡単な手続きで訴訟でき、労使のOBが紛争解決にあたる。そのため、労働全般に関する紛争がSIMCに関することも含めて、年間10万件ほど訴えられており、労働裁判所に訴えて労働問題の解決をすることは日常的なことであると言える[326]

なお、日本の場合は、2017年では6,895件(労働審判:3,369件、労働関係民事通常訴訟:3,526件)である[328]

最低賃金未満の労働者に関するデータ

最低賃金未満で働く者の割合は、2018年1月時点で全労働者のうち11.5%(約198万人)。また、フルタイム労働者では8.1%であるが、パートタイムでは24.9%に跳ね上がる[329]

産業別・業種別にみてみると、電気・ガス・熱供給・水道業で最も低く0.4%(パートタイム:1.6%)である一方、最も高いホテル・レストラン関連業務では34.4%(パートタイム:58.5%)にのぼる[329]

更に企業規模に見ると、500人以上は5.0%(フルタイムは3.5%、パートタイムは12.1%)に対して、10人未満は26.5%(フルタイムは21.7%、パートタイムは37.7%)であり、小規模なほど最低賃金水準で働く労働者の割合が高くなる傾向がある[329]

なお、週39時間制から週35時間制に移行したときには、「オブリ保証」(労働時間の差で生じた賃金差額の補填金)によって、最低賃金を上げた。使用者側に対しては補償措置として、国が60億ユーロ程度のコストを使って、2003年から2006年までの間、法定最低賃金の1.7倍を上限とする低賃金労働者の社会保障費の減免を行った[330][331]

スイス

スイスでは、全国一律の最低賃金は定められていない。2014年5月18日、最低賃金を22スイスフラン(約2500円)という、世界最高額の最低賃金を定めるかどうかの国民投票が行われた。結果は賛成24%、反対76%で否決された。スイスの労働組合は、最低限の生活も維持できない労働者が約33万人に上ると指摘している[332]。スイスの労働者の9割は、すでに時給22スイスフラン以上の賃金を得ているとされるが、スイスの物価を考えると十分ではないとする意見もある[333]

ただし、ヌーシャテル州は、2011年に住民投票で導入を決め、連邦裁判所が雇用者団体の差し止め要求を却下し、2017年夏に時給20フランの最低賃金をスイスで初めて導入した。続いて同年11月にはジュラ州も時給20フランの最低賃金を導入した[334]

韓国

歴史的経緯

1988年以前(最低賃金制度実施前)

[335]

最低賃金制度が導入されたのは1953年であり、「勤労基準法」(日本の労働基準法に相当)が制定されたが、実施は1988年まで実施されなかった。

そして、韓国の経済徐々に発展してきた1980年代に入り、実施を求める声が高まり、1986年に「最低賃金法」が制定された。1987年には、実際に毎年の最低賃金額を決める最低賃金委員会が発足し、1988年から最低賃金額が適用されてきた。

1988年(最低賃金制度実施後)~2001年(全労働者制度適用)

[335]

当初は、10人以上の製造業企業で働く常用雇用労働者(以下、従業員という)のみであった。かつ、低賃金業種と高賃金業種に分け、業種によって、2本立ての最低賃金額のうち、いずれかが適用された。

1990年には、業種が関係なくなり、1999年には5人以上の企業へと適用拡大となり、2001年には、全ての労働者が対象となった。

2001年(全労働者制度適用)以降

[335][336][337]

全労働者が対象となった後も、最低賃金委員会で労使相互にお互い対立しながらも、労働者側に有利な形で、引き上げていった。

実際に、最低賃金の引き上げ率は2002年以降も、リーマン・ショック金融危機の影響があった2009~2011年を除き、1~4%前後で推移している消費者物価の上昇率を大きく上回る6~13%台で推移していた。

2017年5月文在寅大統領が就任すると、低所得層を中心に家計所得を増やす政策を唱え、重要な公約の1つとして2020年までに最低時給を1万ウォンにすることを掲げ、2018年は、昨年(7.3%)よりも2倍以上の引き上げ率(16.4%)で最低賃金が上昇した。16%台で引き上げるのは、2001年(16.6%)以来であり、17年ぶりであった。

この大幅な引き上げの背景には、輸出主導経済の行き詰まりと経済格差、財閥優遇に対する不満による多くの韓国国民の支持があった。そして、それらを問題視した張夏成政策室長洪長杓経済主席秘書官という2人の学者出身者の存在による主導もあった。

張夏成は、経済格差を是正し、特に中小企業で働く従業員の賃金を引き上げるために、最低賃金引き上げと下請けに対する単価の切り下げなど下請けいじめへの規制を主張していた。

しかしながら、本来支持するはずであった中小企業・零細企業経営者からは、最低賃金引き上げに対して、人件費上昇による経営圧迫を理由に反対していた。しかし韓国政府は、事業主からの申請があれば実質的に賃金の補填をおこなう「イルチャリ(働き口)安定基金」を設けた上で、2018年1月から最低賃金の引き上げを強行した。

しかし、引き上げによる経済への悪影響が出てしまった。具体的に、以下のような形で出てしまった。

  • 雇用情勢の悪化
2018年は、アルバイトの解雇や廃業に追い込まれた零細企業・自営業者が多かったことにより、就業者数が減少していった。特に、零細・自営業者の多い飲食・宿泊業などの就業者数は、大きく減少した。
  • 所得格差の増大
所得下位20%(第1分位)と所得下位20~40%(第2分位)の所得が2003年の統計作成開始以降、最大幅の下落を示した。さらに上位20%(第5分位)の第1分位に対する比率を示す5分位比率が5.95倍と、これも史上最大を記録した。

にも関わらず、文在寅大統領はその直後の5月31日に開いた国家財政戦略会議において、引上げに対して肯定的発言をしてしまったたこと、この発言の批判に対して、洪長杓経済主席秘書官が6月3日に記者へ向けて火消しに走ったが、効果はなかった。

結局、引上げの中心的人物であった洪長杓は同月26日に事実上更迭され、新たな経済主席秘書官には経済官僚出身である尹琮源(ユンジョンウォン)OECD大使が任命された。

2019年は、前年より引き上げ率は減ったものの、前年比10.9%増の8,350ウォンにすることを決定してた。一方で、2018年の第4四半期になって急遽公共部門での短期雇用を拡大するなど、雇用対策に追われるようになった。

そうした中で、経済・財政省庁である企画財政部の長官で副総理も兼任する金東兗(キムドンウォン)が、最低賃金の急速な引き上げによる雇用への悪影響を再三指摘するようになった。金東兗副総理と、政策の維持を主張する張夏成政策室長のあいだの対立は激しくなり、2人の関係が修復不可能にまで悪化していることは広く知られるところとなった。ついに2018年11月9日に二人は同時に退陣することになった。

張夏成に代わる新たな政策室長には、社会主席秘書官であった金秀顕(キムスヒョン)が就任した。

就任後に行われた最低賃金委員会の議論で出した2020年の引き上げ率は、使用者側の案を採用し、1988年の制度開始以来3番目に低い約2.9%と一転して抑制に転じた。[338]

抑制に転じた背景の1つに、前述した雇用情勢の悪化と零細・中小企業の経営悪化を大幅な最低賃金引き上げによる負担の押し付けが原因であると指摘する保守勢力の存在が挙げられる。[339]

最低賃金水準

現在の最低賃金額は、2019年の間は、時給8,350ウォン[71][72][73]、2020年1月より時給8,590ウォンである[75][76]

また、韓国の最低賃金はOECDの実質最低賃金の統計[100]より、韓国の最低賃金水準を他国と比較した場合、以下のような水準となる。

2018年時点では、時給6.84ドルであり、OECD加盟国の中で、最低賃金制度のある27か国中13位であり、中位ランクであり、アメリカ(7.25ドル)とスペイン(5.83ドル)の間である。また購買力平価(2018年)で換算した場合、時給7.93ドルであり、28か国中11位であり、同じく中位ランクであり、カナダ(7.93ドル)とスロバキア(7.32ドル)の間である。
  • フルタイム労働者賃金に対する法定最低賃金の比率
2017年時点で中央賃金の場合は、0.53でありOECD加盟国の中で、28カ国中13位であり、中位ランクであり、カナダとほぼ同じである[103]。平均賃金の場合は、0.41でありOECD加盟国の中で、29カ国中10位であり、同じく中の上位ランクであり、イギリスとルクセンブルグとほぼ同じ水準である[103]
  • 1人当たりGDPに対しての比率
地下経済並びに失業率を考慮した場合、2017年時点では0.309であり、151カ国中51位であり、中の上ランクであり、日本(0.305)とほぼ変わらない[105]。これらの値より、他の先進諸国に比べて、最低賃金の金額(ドル換算)は低いものの、労働賃金に対しては、遜色のない水準である。しかしながら日本より高い経済全体に占める地下経済の割合並びに失業率を考慮した場合、1人当たりのGDPに対する比率は日本と変わらなくなる。

決定方式

[335][340]

最低賃金法第4条より、以下の要素を考慮して決定する。

等 そのため、第23条より、勤労者の生計費及び賃金実態等を毎年調査している。

最低賃金を決める例年のスケジュールは以下のようになっている。

毎年4月頃:最低賃金委員会が雇用労働部の諮問を受けて、審議を開始する。
7月頃:最低賃金案を雇用労働部に答申
8月頃:雇用労働部が最低賃金を5日までに決定し、雇用労働部長官が、翌年度に適用される最低賃金額が告示
翌年1月:最低賃金発効

最低賃金委員会:公労使各々9人の計27人で構成される。委員の任期は3年であり再任することができる。(最低賃金法第14条)委員長及び副委員長は、各々1人であり、公益委員のうちから委員会が選出する。(最低賃金法第15条)また、関係行政機関の公務員のうちから3人以内の特別委員を置くことができ、委員会の会議に出席して発言することができる。(最低賃金法第16条)。

例年では、労使の対立が激しく、元々労働者側が強いためか、経済危機の状況や2020年を除き、労働者側に寄った引き上げ率を提示している。

最低賃金決定制度の改編案

[341]

雇用労働部は2019年2月27日、最低賃金決定制度を見直した改編案を発表した。主な改編案の内容は、以下の通りである。

  • 最低賃金決定過程を区間設定委員会と決定委員会に二元化すること

最低賃金の決定過程を「区間設定委員会」と「決定委員会」の2段階に分けることとした。

区間設定委員会:最低賃金引き上げの際、最低賃金の上限額と下限額を決める機関。
9名の専門委員で構成される。公労使が各5名、計15名の候補者を推薦した後、労使が順次各3名を排除する方式を通じて委員を選定する。
区間設定委員会は、新たに追加・補完された決定基準に基づき、統計分析、現場モニタリング(通年)等を実施し、客観的かつ合理的に最低賃金引き上げの上限値と下限値を設定する。
決定委員会:最低賃金額を決定する機関。
労働者、使用者、公益それぞれの代表各7名、計21名の委員で構成される。公益委員には国会が4名、政府が3名をそれぞれ推薦する。現行は政府単独推薦だが、公益委員の多様性を確保するため、推薦権を国会と共有する方式に変更した。
労使委員の選定に関しては、若者、女性、非正規労働者、中小企業、中堅企業及び小商工業者代表を必ず含むよう明文化される。
  • 労働者の生活保障と雇用・経済状況をバランス良く配慮するため最低賃金決定基準を追加・補完すること

現行決定基準に以下の要素も加えられる。

労働者の生活と経済状況をよりバランス良く考慮するよう義務づけるILO最低賃金決定条約(第131号)等を参考にしている。


改編案が発表された背景には、最低賃金決定において、文在寅政権発足後労使対立がより深刻化したことが挙げられる。

そのため、見直しの手続きを進めるため、低賃金決定体系改編試案に関する国民からの意見集約(専門家やそれぞれを代表とする市民が集められ行われた討論会、オンラインアンケート調査)、関係政府機関や政党との協議が行われた。

この改編案で、労使対立の緩和、最低賃金決定の合理性と客観性が高まる効果があることを雇用労働部は期待している。

この改編案に対して、使用者側代表である韓国経営者総協会が条件付きで賛成し、労働者代表である全国民主労働組合総連盟(民主労総)は、反対意見を表明している。

最低賃金制度

[342][343]

定期賞与、現金支給福利厚生費の最低賃金未算入率
年度 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年以降
定期賞与 25% 20% 15% 10% 5% 0%
現金支給
福利厚生費
7% 5% 3% 2% 1% 0%

韓国の最低賃金は全国一律で適用されている[341]

2018年5月に改定された最低賃金法により、毎月1回以上定期的に支給される賃金のうち、賞与と現金で支給される福利厚生費の一部が最低賃金に算入されることとなる。しかし、2月以上の周期で支給する賞与等は最低賃金に算入できない。この比率は右の表のように段階的に縮小され、2024年以降は全額が最低賃金に算入される。

ただし、最低賃金の算入範囲の拡大を理由に、賃金総額を以前よりも引き下げることは違法である。

また、2019年1月1日からの最低賃金10.9%引き上げに伴い、政府は、賞与等を毎月支給に変更すると、最低賃金違反に該当しない企業に限り、猶予期間を与えることとした。賃金制度変更のために就業規則の改正が必要な場合は最長3カ月、団体協約の改正が必要な場合は最長6カ月(3カ月+必要に応じて3カ月追加)、労働基準監督の指示に基づき自律的是正期間(猶予期間)を付与する。

ただし、時給制アルバイトのように、最低賃金額のみを受け取る低賃金労働者に関する最低賃金違反の場合、猶予期間は適用されない。

また、韓国の勤労基準法は、使用者に対し、週15時間以上働く労働者に対して、1週間に平均1回以上の有給休日を保障するよう義務づけている。つまり、週休日に働かなくとも1日分の賃金(週休手当)を受給できる。例えば、1日8時間・週5日勤務の場合、週40時間に週休時間8時間を加えた48時間分の賃金を受け取ることが出来る。

更に一部の大企業においては、法定週休日の他、労使合意に基づき、さらに1日(4時間または8時間)を約定有給休日としており、法定週休日と合わせると、実際の労働時間よりも12~16時間分多い賃金を受給できる。

また2019年の改正施行令により、最低賃金の時給換算の計算の際、法定週休日は含めることはできるが、労使合意に基づいて決めた約定有給休日は、計算に含まれない。その場合、月当たりの最低賃金額は、法定週休時間を加えた209時間を基準とした月額となる。

減額・適用除外

[344]

  • 減額適用
    • 修習使用期間中は最賃額の90%適用の減額措置あり(1年未満の契約労働者除く)。
  • 適用除外
    • 同居する親族のみを使用する事業及び家事使用人
    • 精神又は身体の障害により労働能力が著しく低い者
    • その他最賃適用が適当でないと認められる者

また、韓国軍の徴兵された一般兵士(二等兵)の月給は、30万6100ウォン(2018年1月現在)である。この金額は最低賃金をはるかに下回る。文在寅大統領は2022年までに徴集兵の給料を最低賃金の半分まで増額すると公約していた[345]

履行保証

[346]

低賃金の履行監督は、労働監督官により行われている。

労働監督官は、最低賃金法以外にも、勤労基準法や男女雇用平等法など16種類の労働に関する法令の監督を行っている。

2015年現在、労働監督官数は1,696人。内訳は、労働改善指導官1,256人、産業災害予防指導官392人、雇用労働部本部勤務48人である。

労働監督官の権限

[346]

労働監督官は、以下のことを権限として、行うことが出来る。

  • 事業所、寮その他付属建物の臨検
  • 帳簿、書類の提出の要求
  • 使用者及び労働者に対する尋問

また、医師である労働監督官または労働監督官から委嘱を受けた医師は、就業を禁止させるべき病気に罹患していると疑われる労働者の検診を行うことができる。

この他、労働監督官は、労働関係法令違反の罪に関して司法警察官の職務を遂行する。

すなわち、刑事訴訟法に定められた取締り、逮捕、押収、検証など強制処分を含む全ての職務を執行する。また、監督組織は本部と47の地方官署から成る。

労働監督官の業務

[346]

労働監督官の主たる業務は、以下の3つある。

  • 法定労働条件を保障するための職務
  • 勤労基準法及びその他の労働関係法令違反の罪に対する捜査等司法警察官としての職務
  • 違反事項に対してはこれを摘発し、是正または制裁すること

そして、労働者の基本的な労働条件保護のための権利救済業務として重要な業務である事業所監督には「定期」「特別」「随時」の3つの区分がある。

  • 定期監督:事業所労働監督総合計画により実施する。
  • 特別監督:労働関係法令違反事実を捜査するため実施する。
  • 随時監督:法令の制定・改正、社会的要求により随時実施する。

労働監督官による監督対象の事業所は労働者が1人以上の事業所で、2014年現在、約169万事業所である。対象労働者総数は約1,474万人である。

その他にも、「申告事件の処理」「法令に関する質問の回答」「許認可及び承認」「就業規則の審査」「労働動向の把握」なども労働監督官の業務に含まれる。

取締り及び監督

[346][347] 2014年の処理業務量は、申告事件数336,308件、監督事業所数24,281カ所、許認可及び承認件数18,071件、未払い賃金清算支援人数112,870人であった。

2014年時点で労働監督官1人当りの担当事業所数は1,571カ所、担当労働者数は13,727人、申告事件処理数は353件である。

特に近年、増加した業務のひとつが未払い賃金の処理業務で、2014年の未払い賃金件数は195,783件で、2007年より44,000件増加した。

また、2009年に15,625件だった最低賃金の違反件数は、2015年には1,502件に激減しているが、労働者が申告した最低賃金の違反件数は、2012年の717件から2014年には1,685件までむしろ増加している。

しかしながら、最低賃金の未満率は、後述するように2012年を境に増加している。その状況にも関わらず、最低賃金の違反件数が減少しているのは、最低賃金に対する摘発・監督体制に問題があることを意味する。

更に、最低賃金に違反した企業に対する処罰件数は2015年時点で19件(違反件数の1.3%:司法処理310件、罰金刑9件)にすぎない。このように処罰件数が少ない理由は、最低賃金に違反した企業には「是正命令」を出して、滞納賃金を労働者に払うことで、処罰されずに済むからである。そのため、「運悪く摘発されたら、その際に対応すればいい」という意識を企業に広げた可能性が高い。

監督官の業務状況の変化

[346]

2000年以降、多様な関係法令の適用により、労働監督官の業務が拡大されてきた。

また、労働組合の組織率の低下により、労働者の力が弱まったこともあり、賃金未払いや最低賃金違反等の処理業務等の業務の増加の他、高学歴化、インターネットの普及による労働者の要求の多様化・専門化、更には、違法派遣、社内請負、差別是正といった新たな問題の出現により、監督官業務は量の増加に加え、質的な面でも高度化する傾向にある。

しかしながら、それにもかかわらず2010年以降、労働監督官数はほとんど増えていない。

最低賃金未満の労働者に関するデータ

最低賃金未満の労働者の割合は、2018年は約15.5%(約311.1万人)であった。2012年(約9.5%)を境に増加している。[348]

  • 企業規模別:小さいほど違反率が高まる傾向にある。また、最低賃金未満労働者全体の約4割が、従業員数5人未満の企業に属している。
300人以上:約2.3%(約5.9万人) 100人以上300人未満:約5.5%(約10.7万人) 30人以上100人未満:約7.3%(約28.3万人)
10人以上30人未満:約14.9%(約68.5万人) 5人以上10人未満:約19.6%(約69.6万人) 5人未満:約36.3%(約128.0万人)
  • 雇用形態:非正規と日雇いの方が高い傾向にある。正規:約4.9%(約67.9万人) 非正規:約38.5%(約186.9万人) 日雇い:約40.5%(約56.3万人)
  • 年齢別:最低賃金未満の労働者を年齢別に見ると、労働市場への進出年齢となる25歳未満の若年層と、反対に労働市場から退出する60歳以上の年齢層で多くなる。特に25歳未満の年齢層では、学生アルバイトによる時間制雇用の最低賃金未満比率が高くなる。しかし、人数では、全体の約3分の1が60歳以上である。
20歳未満:約60.9%(約12.4万人) 20~24歳:約27.6%(約33.7万人) 25~29歳:約9.6%(約21.7万人) 30~39歳:約6.8%(約31.9万人)
40~49歳:約8.9%(約44.5万人) 50~54歳:約13.2%(約29.5万人) 55~59歳:約18.0%(約36.2万人) 60歳以上:約41.6%(約101.2万人)
  • 性別 男性より女性の方が高い 男性:約10.5%(約117.7万人) 女性:約21.8%(約193.3万人)
  • 学歴 高卒以下と大卒以上で、最低賃金未満の割合が、約5.2倍の差がある。人数は、高卒以下が約8割を占める。
高卒以下:約25.6%(約251.4万人) 高卒以下:約25.6%(約251.4万人) 新卒(大卒以上):約8.3%(約23.9万人) 大卒以上:約4.9%(約35.8万人)
  • 産業別 産業によって、最低賃金未満労働者の割合が大幅に異なる。一番高い産業の場合、家庭内労働者の約7割が最低賃金未満に対して、鉱業労働者は0%であり、仮にいたとしても最大推定人数8人である。また、宿泊・飲食業は家庭内労働者に次いで高い産業であり、最低賃金未満労働者全体の約18.9%がこの産業に属している。
上位3種  家庭内労働者(シェフ、メイド、家庭教師、ベビーシッター等):約68.3%(約2.7万人) 宿泊・飲食業:43.1%(約58.6万人) 農林漁業:40.4%(約4.6万人) 
下位3種  鉱業:0.0%  電気・ガス・熱供給・水道業:0.5%(約360人)  情報サービス:2.9%(約2.3万人)

韓国の最低賃金未満率は、G7の中で為替ドルベースで最低賃金の最も高いフランス(11.5%,2018年1月時点)に比べても最低賃金に満たない賃金の労働者が多い。このように韓国における未満率が高い理由としては、

  1. 最近の景気低迷により大幅な最低賃金の引き上げに対応できない中小・零細企業が増えていること
  2. 最低賃金法違反の企業に対する摘発・監督や処罰が適正に行われていないこと

などが考えられる。そのため、最低賃金の未満率を下げるためには、より労働問題に対する監督を強化する必要がある[347]

韓国の最低賃金における効果

韓国労働研究院のカン・スンボクによれば、韓国における最低賃金引き上げの影響について以下のように結論付けている。[349]

  • 韓国の最低賃金引き上げは雇用を減少させる効果があるが、その効果は微かなレベルであること。具体的には、最低賃金が10%増加すると雇用率は0.4~0.9%ほど減少する。
  • 最低賃金引き上げに対する雇用減少効果は、若年層では男女差がほとんどみられないが、高年層では男性に比べて女性が大きいこと。これは高年層の場合、女性が男性に比べて解雇されやすいことを意味している。
  • 最低賃金を引き上げると、賃金が上昇するが、物価も上昇すること
具体的には、最低賃金が10%引き上げられた時、賃金全体は全産業ベースで約1%程度上昇し、物価は全体で約0.2~0.4%ほど上昇させる。

一方で、2016年韓国銀行は、前述の最低賃金に対する摘発・監督体制に問題があることを理由に、最低賃金の引き上げびよって、労働者全体に対して、賃金上昇する可能性が大きくないと評価している。更には、平均賃金と最低賃金間の相関関係の分析でも相関係数が0.2に過ぎず、ほとんど相関がないが分かった[350]

脚注

注釈

  1. ^ 原文:yearly wage sufficient to maintain the worker in the hightst state of industrial efficiengy and to afford him adequete leisure to diacharge the duties of citizenship
  2. ^ 、これは労働市場が実際には完全競争ではないことに起因している。雇用者は労働市場の不完全情報性により、労働者の良し悪しを完全には把握できない。したがって労働の良し悪しとは無関係な所でインセンティブを生み出す必要が生じるのである。
  3. ^ 市場に買い手が1人しか存在しない状況のことを指す。しかしながら、情報の不完全性により売り手(労働者)には職探しのコストが掛かり、使用者側の場合、採用活動におけるコストが発生している場合、使用者側は純粋な需要独占の状況と同様、右上がりの労働の供給曲線に直面することになる。
  4. ^ 産業別最低賃金は、全国または一定地域の産業ごとに、関係労働組合の申出によって、中央または地方最低賃金審議会の審議に基づき、地域別最低賃金に上乗せされる形で設定される最低賃金である。 産業別最低賃金の罰則は、特定最低賃金に改正された際に、船員に係るものを除いて廃止された。ただし、「労働基準法」(昭和22年法律第49号)第24条第1項の賃金全額支払違反の罰則(同法第120条第1号)は、引き続き特定最低賃金にも適用される。
  5. ^ しかし、障害者権利条約第27条第1節の(b)においては障害のある人にも、『他の者と平等に』、同一労働同一賃金を含めた公正で好ましい労働条件の保護を締約国に求めている。
  6. ^ 中央最低賃金審議会, 厚生労働省 (18 June 2014). 資料一覧  参考資料1 改正最低賃金法の運用状況について (PDF). 第1回目安制度のあり方に関する全員協議会.
  7. ^ 20~40歳の単身者の場合。
  8. ^ 家族構成は、20~40歳の男女夫婦。
  9. ^ 家族構成は、母親20~40歳、小学生の母子世帯
  10. ^ 家族構成は、母親20~40歳、小学生、中学生の母子世帯
  11. ^ 家族構成は、母親20~40歳、小学生、中学生、高校生の母子世帯
  12. ^ 家族構成は、母親と父親20~40歳、小学生の両親世帯
  13. ^ 家族構成は、母親と父親20~40歳、小学生、中学生の両親世帯
  14. ^ 家族構成は、母親と父親20~40歳、小学生、中学生、高校生の両親世帯
  15. ^ 住居は、1K。
  16. ^ 住居は、1DK。
  17. ^ 家族構成は、父親と男子小学生。住居は、1DK。
  18. ^ 家族構成は、父親と女子中学生、男子小学生。住居は、2DK。
  19. ^ 家族構成は、両親と男子小学生。住居は、2DK。
  20. ^ 家族構成は、父親と男子小学生2人。住居は、3DK。
  21. ^ 32歳男性の場合。住居は、1K。
  22. ^ 家族構成は、母親38歳、女子小学5年生。住居は、2DK。
  23. ^ 家族構成は、父親40歳と母親38歳、女子小学5年生。住居は、2DK。
  24. ^ 解釈によっては「全国での平均額が1,000円程度」とも受け取れる[誰?]。「1,000円程度」を言い換えると、「どの地域・どの職業でも時給が必ず1,000円以上となるとは限らない」ことになり、場合によっては時給が1,000円を下回る可能性も高くなる[誰?]
  25. ^ ブレア政権の下で、「welfare to work(福祉から就労へ)」が掲げられ、社会保障制度と税制の統合が進められた。1999年に、従来の家族控除(Family Credit)を拡充する形で就労世帯税額控除が導入され、2003年に現行制度、すなわち、低所得者の就労促進策(就労要件はあるが有子要件のない就労税額控除。Working Tax Credit: WTC)と、子を有する中低所得世帯の支援(有子要件はあるが就労要件のない児童税額控除。Child Tax Credit: CTC)とで役割分担をする形に移行した。併せて、諸制度に分散していた児童向けの支援が、児童手当を除き、児童税額控除に集約された。

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参考資料

関連項目

外部リンク