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'''石垣島天文台'''(いしがきじまてんもんだい)は、[[沖縄県]][[石垣市]]にある[[天文台]]。[[自然科学研究機構]][[国立天文台]]、[[石垣市]]、石垣市教育委員会、[[特定非営利活動法人]]八重山星の会、沖縄県立石垣青少年の家、[[琉球大学]]の6者で構成する協議会によって運営される天文台である<ref name="y-mainichi_20161105">[http://www.y-mainichi.co.jp/news/30693/ 石垣島天文台が10周年 一般公開から10万人利用] 八重山毎日新聞、2016年11月5日</ref><ref name="ishigaki">[http://www.miz.nao.ac.jp/ishigaki/ 石垣島天文台]</ref>。 |
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2021年5月13日 (木) 21:29時点における版
石垣島天文台(いしがきじまてんもんだい)は、沖縄県石垣市にある天文台。自然科学研究機構国立天文台、石垣市、石垣市教育委員会、特定非営利活動法人八重山星の会、沖縄県立石垣青少年の家、琉球大学の6者で構成する協議会によって運営される天文台である[1][2]。
概要
連携という新しい形態での運営によって、生涯教育や学校教育、さらにはアマチュア観測家との連携も踏まえた活動を推進することを目的に設置された。昼間の見学は自由であり、夜間には天体観望会が行われる(#公開種別参照)。また、緯度が低く、黄道が高いため、一般観望時間以外は、惑星科学や太陽系天体を中心に観測が行われている。
大型の光学赤外線反射望遠鏡が設置・運用される観測研究施設としては、日本最西端かつ最南端に位置している[注 1]。望遠鏡の口径は105cmであり、光学望遠鏡としては九州・沖縄地方で最大である[2]。
石垣島には、当天文台の他に、名蔵地区に国立天文台水沢VLBI観測所の観測点の一つであるVERA石垣島局が設置されており、相対超長基線電波干渉法(VLBI)による観測が行われている。銀河系の精密マップを作成するための観測を中心に、地殻変動等を精密に捉え、日本全体におけるプレート移動等の観測も実施している。
沿革
石垣島における天体観測施設は、20m電波望遠鏡を有する国立天文台VERA石垣島局が設置されたことに始まった。当初のVERAは岩手県奥州市水沢区と石垣島にそれぞれ2-4基の電波望遠鏡を置く計画であったが、1980年代初めに野辺山宇宙電波観測所に45mミリ波電波望遠鏡が完成しJ-Net(日本全土をカバーするVLBI観測網)による観測が始まると、その成果やVLBI関連の技術の進展を取り入れて、現在の4局から成るシステムが構想された。しかし、当初予算で認められたのは、水沢、入来、小笠原の3局のみであり、石垣島局はこれらの3局に1年遅れて、2002年3月に開設された[3][4]。
その後、石垣市民や八重山星の会からの要請を受け[5]、国立天文台は2004年5月に石垣島に光・赤外線望遠鏡を設置することを決定し、公表した[6]。そして、2006年3月、前勢岳の山頂に石垣島天文台が開設され、同年4月1日から一般公開された[1][7]。
同天文台は、開設から約半年後の2006年9月15日から16日にかけて八重山諸島を襲った台風13号により甚大な被害を受けたため、昼間の施設公開と夜間の星空観望会が停止されたが[8]、2007年4月1日に復旧し一般観望を再開した[9]。入館者は、2007年7月8日に1万人を達成し[5]、2010年2月21日に3万人を達成[10]。
2013年には、4D2U(4次元デジタル宇宙)を上映するシステムと口径40cm赤道儀式望遠鏡等を備えた「星空学びの部屋」が増築され、7月4日から一般公開されている[11][12]。
施設
- 8m直径のドームを備えた観測施設
- 観測室
- 研究室
- 望遠鏡ドーム
- 星空学びの部屋
天体望遠鏡
愛称は「むりかぶし」。これは、沖縄方言で「星の群れ」すなわち「すばる」(プレアデス星団)を意味する[13]。
105cm光学・赤外反射望遠鏡(西村製作所製[14])[15]
- 性能
- 光学系:リッチー・クレチアン反射式
- 有効口径:105cm
- 合成口径比:F12
- 焦点系:
- カセグレイン焦点(研究用) - 冷却CCDカメラを搭載し、天体を測光する際に用いられる。
- ナスミス焦点1(観望用) - 観望会等で天体観望を行う際に覗く焦点。
- ナスミス焦点2(研究用) - 分光器などを設置して分光観測を行う焦点。
- 架台:経緯台方式
- 制御:自動制御
- 観測時駆動範囲:高度角 15-88度角、方位角 真南±270度角
- ドーム直径:8m 観測時は望遠鏡に自動追尾
観望用焦点は、通常の接眼部と同じ接眼レンズが取り付けられ、自動制御による観望が可能な設計になっている。研究用焦点には、3色同時測光カメラなどの機器が取り付けられる。
観測所の利用状況
研究観測
一般観測
- 八重山星の会によって、口径を生かした惑星・星雲・星団の肉眼観測。一般観望会の解説も担当。
場所
公開種別
- 施設見学(無料・予約不要。月曜日、火曜日は休館日(ただし、祝日は開館し水曜日に休館)。10:00〜17:00。)[2]
- 4D2U上映会(無料・予約必要。開館日の15:00〜15:30)
- 天体観望会(無料・予約必要。土曜日、日曜日、祝日に実施。事前申し込み30名程度[注 2]の定員制で、2交代制:19:30〜20:00、20:30〜21:00。時間帯は季節毎に変わる。)[2]
- 美ら星ガイドツアー(有料・予約必要。平日に実施。20:30〜21:30。天体観望会及び4D2U鑑賞。)[2]
玄関からドームまでバリアフリーを導入しており、車椅子使用者も望遠鏡まで来て観望できるようになっている。
当天文台及びVERA石垣島局に関連する天体
- むりかぶし (小惑星) - 小惑星番号13989番の小惑星。関勉により発見され、「むりかぶし望遠鏡」にちなみ命名された[18]。
- あやぱに (小惑星) - 2008年に石垣島天文台主催の研究体験会に参加した高校生が発見した小惑星[19]。
- 石垣 (小惑星) - 小林隆男により発見され、国立天文台の提案で、VERA局の所在地であることに因んで名付けられた[20]。
脚注
注釈
- ^ 石垣島天文台よりも西かつ南にある波照間島の波照間島星空観測タワーには、口径20cm屈折式望遠鏡が設置されている。
- ^ 駐車場が限られているため、車の台数が多い場合には30名未満でも受付を中止することがある。
出典
- ^ a b 石垣島天文台が10周年 一般公開から10万人利用 八重山毎日新聞、2016年11月5日
- ^ a b c d e 石垣島天文台
- ^ 石垣島局(国立天文台)-観測局情報 国立天文台
- ^ 国立天文台ニュース No.158 国立天文台望遠鏡名鑑 06 VERA石垣島観測局20m電波望遠鏡 (PDF) 国立天文台
- ^ a b 石垣島天文台見学者が1万人突破 八重山毎日新聞、2007年7月10日
- ^ VERA NEWS 石垣島に光赤外線望遠鏡建設決定 (第23号:2004年6月25日発行) 国立天文台VERA推進室、2004年6月25日
- ^ 石垣島天文台の完成祝う 4月1日から一般公開 八重山毎日新聞、2006年3月14日
- ^ 石垣島天文台も大きな被害 ドームの開閉部吹き飛ぶ 八重山毎日新聞、2006年9月19日
- ^ 石垣島天文台が一般公開を再開 八重山毎日新聞、2007年4月3日
- ^ 入館者3万人を突破 石垣島天文台 八重山毎日新聞、2010年2月22日
- ^ 4D2Uでリアル宇宙旅行 「星空学びの部屋」完成 琉球新報、2013年7月13日
- ^ 宇宙を立体映像で学習 4日から「星空学びの部屋」公開 八重山毎日新聞、2013年7月2日
- ^ 宮地竹史「シリーズ:科学館・公開天文台の最新の活動状況II 南十字星も見える星の島,石垣島の天文台 (PDF) 」 天文月報 2012年3月号(第105巻 第3号)
- ^ 花山秀和他「105cmむりかぶし望遠鏡による太陽系小天体とガンマ線バースト残光の観測 (PDF) 」スペースガード研究 第2号
- ^ むりかぶし望遠鏡(口径105cm光学赤外線望遠鏡) 石垣島天文台
- ^ a b 石垣島天文台について 石垣島天文台
- ^ 石垣島天文台 石垣市観光交流協会
- ^ 93年発見の小惑星に「むりかぶし」と命名 八重山毎日新聞、2007年2月19日
- ^ 「あやぱに」と命名 高校生発見の小惑星 八重山毎日新聞、2015年6月6日
- ^ 宮地竹史「星の聖紫花」 琉球新報、2006年10月26日
関連項目
外部リンク
座標: 北緯24度22分24.9秒 東経124度8分21.8秒 / 北緯24.373583度 東経124.139389度