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[[ファイル:Paprikahuhn.jpg|thumb|パプリカーシュチルケ・ノケドリヴェル(Paprikáscsirke nokedlivel, 鶏肉のパプリカーシュ、ノケドリ添え)]]
[[ファイル:Paprikahuhn.jpg|thumb|パプリカーシュチルケ・ノケドリヴェル(Paprikáscsirke nokedlivel, 鶏肉のパプリカーシュ、ノケドリ添え)]]
ハンガリー料理は、[[マジャル人]]の歴史に影響されてきた。ハンガリーの食における肉の重要性は[[家畜]]の重要性とマジャール人の遊牧民的な生活習慣により明らかであり、グヤーシュのような、火で調理する伝統的な肉料理に反映されている([[マジャル語]]で「gulyás」は「牧夫の(食事)」を意味する)<ref name="ReferenceB"/>。煮込み料理{{仮リンク|ペルケルト|en|Pörkölt}}や辛い川魚のスープ、ハラースレーは、伝統的に屋外で火にかけてボグラーチ(釜)で調理する。[[15世紀]]に、[[マーチャーシュ1世]]<ref>[http://www.hotdog.hu/magazin/magazin_article.hot?m_id=29085&h_id=90500&a_id=455423 A magyar konyha története] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20110719220928/http://www.hotdog.hu/magazin/magazin_article.hot?m_id=29085&h_id=90500&a_id=455423 |date=2011年7月19日 }}</ref><ref>[http://magicafe.hu/news.php?nid=667 Hotdog.magazin] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20091121223811/http://www.magicafe.hu/news.php?nid=667 |date=2009年11月21日 }}</ref>と[[ナポリ]]出身の妃[[ベアトリーチェ・ダラゴーナ|ベアトリクス]]は[[イタリア]]で興隆していた[[ルネサンス]]文化に影響され、ニンニク、[[ショウガ]]、メース、[[サフラン]]およびナツメグやタマネギのような新しい調味料や香辛料<ref>[http://www.gourmandnet.hu/konyha/site.php?tpl=theme&id=71 Gourmandnet ] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20090604050123/http://www.gourmandnet.hu/konyha/site.php?tpl=theme&id=71 |date=2009年6月4日 }}</ref>や、果物を詰め物に用いたり肉と一緒に調理する料理法をハンガリーにもたらした<ref>[http://hungaria.org/hal/culinaria/index.php?halid=2 Hungarian Cuisine, History, Gastronomy, Legend, Memoires, Recipes and Lore]</ref>。これらの香辛料のうち、ショウガやサフランは現在のハンガリー料理ではもはや使われていない<ref>[ http://www.mon.hu/engine.aspx/page/article-detail/cn/boon-news-ed07-20051022-021107/dc/im:all:health-family ]</ref>。これ以降、非常に多数の[[サクソン人]]([[ドイツ]]系民族)、[[アルメニア人]]、[[イタリア人]]、[[ユダヤ人]]、[[セルビア人]]が[[パンノニア平原]]と[[トランシルヴァニア]]に移住した。[[オスマン帝国領ハンガリー]]の時代には、様々な古典的[[トルコ料理]]の要素が取り込まれた。テレクメーズ (''törökméz'') と呼ばれる白い[[ヌガー]]<ref name="Törökméz">[http://www.macibolt.hu/pag/macko_suti.php?suti=m007 Törökméz] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20080706000339/http://www.macibolt.hu/pag/macko_suti.php?suti=m007 |date=2008年7月6日 }}</ref>、[[マルメロ]]の菓子、[[ロクム]]や[[ハルヴァ]]、[[トルココーヒー]]、[[ベイグリ]]{{Enlink|Bejgli}}と呼ばれる[[ケーキ]]、トランシルヴァニアに見られる[[ピラフ]]のような米料理、パドリジャーンシャラータ(''padlizsánsaláta'', [[ナス]]の[[サラダ]]){{Enlink|Eggplant salads and appetizers}}、[[ドルマ]]に影響された[[肉詰めピーマン|テルテット・パプリカ]] (Töltött paprika) やテルテット・カーポスタ(Töltött káposzta, [[ロールキャベツ|具詰めキャベツ]])のような肉と野菜の料理などがこれに当たる。また、[[トウガラシ]]はオスマン帝国時代に伝来した。そしてハンガリー料理は[[オーストリア=ハンガリー帝国]]の下、[[オーストリア料理]]の影響を受けた。料理および調理手法がオーストリア料理から取り入れられ、またグヤーシュのようにハンガリー料理が逆にオーストリア料理に影響を与えた例もある。ハンガリーのケーキと菓子には、ドイツ・オーストリアの強い影響が見られる。現在のハンガリー料理は、古代アジアの要素にドイツ、イタリア、スラヴの要素を統合したものと言われている。ハンガリーの食文化は、[[ユーラシア大陸]]の食文化のるつぼであると考えることができる。
ハンガリー料理は、[[マジャル人]]の歴史に影響されてきた。ハンガリーの食における肉の重要性は[[家畜]]の重要性とマジャール人の遊牧民的な生活習慣により明らかであり、グヤーシュのような、火で調理する伝統的な肉料理に反映されている([[マジャル語]]で「gulyás」は「牧夫の(食事)」を意味する)<ref name="ReferenceB"/>。煮込み料理{{仮リンク|ペルケルト|en|Pörkölt}}や辛い川魚のスープ、ハラースレーは、伝統的に屋外で火にかけてボグラーチ(釜)で調理する。[[15世紀]]に、[[マーチャーシュ1世 (ハンガリー王)|マーチャーシュ1世]]<ref>[http://www.hotdog.hu/magazin/magazin_article.hot?m_id=29085&h_id=90500&a_id=455423 A magyar konyha története] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20110719220928/http://www.hotdog.hu/magazin/magazin_article.hot?m_id=29085&h_id=90500&a_id=455423 |date=2011年7月19日 }}</ref><ref>[http://magicafe.hu/news.php?nid=667 Hotdog.magazin] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20091121223811/http://www.magicafe.hu/news.php?nid=667 |date=2009年11月21日 }}</ref>と[[ナポリ]]出身の妃[[ベアトリーチェ・ダラゴーナ|ベアトリクス]]は[[イタリア]]で興隆していた[[ルネサンス]]文化に影響され、ニンニク、[[ショウガ]]、メース、[[サフラン]]およびナツメグやタマネギのような新しい調味料や香辛料<ref>[http://www.gourmandnet.hu/konyha/site.php?tpl=theme&id=71 Gourmandnet ] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20090604050123/http://www.gourmandnet.hu/konyha/site.php?tpl=theme&id=71 |date=2009年6月4日 }}</ref>や、果物を詰め物に用いたり肉と一緒に調理する料理法をハンガリーにもたらした<ref>[http://hungaria.org/hal/culinaria/index.php?halid=2 Hungarian Cuisine, History, Gastronomy, Legend, Memoires, Recipes and Lore]</ref>。これらの香辛料のうち、ショウガやサフランは現在のハンガリー料理ではもはや使われていない<ref>[ http://www.mon.hu/engine.aspx/page/article-detail/cn/boon-news-ed07-20051022-021107/dc/im:all:health-family ]</ref>。これ以降、非常に多数の[[サクソン人]]([[ドイツ]]系民族)、[[アルメニア人]]、[[イタリア人]]、[[ユダヤ人]]、[[セルビア人]]が[[パンノニア平原]]と[[トランシルヴァニア]]に移住した。[[オスマン帝国領ハンガリー]]の時代には、様々な古典的[[トルコ料理]]の要素が取り込まれた。テレクメーズ (''törökméz'') と呼ばれる白い[[ヌガー]]<ref name="Törökméz">[http://www.macibolt.hu/pag/macko_suti.php?suti=m007 Törökméz] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20080706000339/http://www.macibolt.hu/pag/macko_suti.php?suti=m007 |date=2008年7月6日 }}</ref>、[[マルメロ]]の菓子、[[ロクム]]や[[ハルヴァ]]、[[トルココーヒー]]、[[ベイグリ]]{{Enlink|Bejgli}}と呼ばれる[[ケーキ]]、トランシルヴァニアに見られる[[ピラフ]]のような米料理、パドリジャーンシャラータ(''padlizsánsaláta'', [[ナス]]の[[サラダ]]){{Enlink|Eggplant salads and appetizers}}、[[ドルマ]]に影響された[[肉詰めピーマン|テルテット・パプリカ]] (Töltött paprika) やテルテット・カーポスタ(Töltött káposzta, [[ロールキャベツ|具詰めキャベツ]])のような肉と野菜の料理などがこれに当たる。また、[[トウガラシ]]はオスマン帝国時代に伝来した。そしてハンガリー料理は[[オーストリア=ハンガリー帝国]]の下、[[オーストリア料理]]の影響を受けた。料理および調理手法がオーストリア料理から取り入れられ、またグヤーシュのようにハンガリー料理が逆にオーストリア料理に影響を与えた例もある。ハンガリーのケーキと菓子には、ドイツ・オーストリアの強い影響が見られる。現在のハンガリー料理は、古代アジアの要素にドイツ、イタリア、スラヴの要素を統合したものと言われている。ハンガリーの食文化は、[[ユーラシア大陸]]の食文化のるつぼであると考えることができる。


== ハンガリーの食事 ==
== ハンガリーの食事 ==

2021年5月24日 (月) 22:06時点における版

「グヤーシュ」スープ

ハンガリー料理/マジャル料理(ハンガリーりょうり/マジャルりょうり)は、ハンガリー国内および主要な民族であるマジャル人独自の料理である。伝統的なハンガリー料理は主に、肉、調味した野菜、果物、焼きたてのパンチーズ、および蜂蜜を用いる。ハンガリー料理は、数世紀の歴史を持つ調味法や調理法に基づいている。

特徴

ショプロンで供される塩味の子牛肉入りパンケーキ、「ホルトバージ・パラチンタ (Hortobágyi palacsinta)」

ハンガリー人は特にスープデザートペイストリーと具入りのパラチンタクレープ状の薄いパンケーキ)を愛し、同じ料理についても地方の間に激しい競争意識が見られる。例えば、ハンガリーの辛い川魚のスープ、ハラースレー (Fisherman's soupは、ハンガリーの主要な2つの川、ドナウ川ティサ川沿岸において調理法がそれぞれ異なる。他の有名なハンガリー料理には、ノケドリ(小さなダンプリング)を添えて供されるパプリカーシュサワークリームパプリカのソースで肉を煮込んだシチュー)、グヤーシュ、挽いたクルミを振り掛け、フランベしてからダークチョコレート・ソースを添えて供されるグンデル・パラチンタおよびドボシュ・トルテがある。

ハンガリー料理において、地元では普通とされるものの外国人から驚かれる特有の2つの要素は、フェーゼレーク (főzelék) と呼ばれる野菜のシチュー[1]と、ヒデグ・メッジュレヴェシュ(ハンガリー語: hideg meggylevesスミミザクラのスープ)のような冷たい果物のスープである。

肉のシチューキャセロールステーキローストした豚肉牛肉、家禽、ラム狩猟肉、およびハンガリー風ソーセージコルバース (Kolbász[1])およびテーリサラーミは、ハンガリー料理で主要な位置を占める。一つの料理に異なる種類の肉を混ぜることはハンガリー料理の伝統的な特徴である。グヤーシュ、テルテット・パプリカ(具入りパプリカ)、テルテット・カーポスタ、ファターニェーロシュ(Fatányéros, 木の大皿に乗せて供するハンガリーのミックスグリル[2])には、牛肉と豚肉、あるいは羊肉を組み合わせる。非常に高価な料理では、プラムアンズのような果物が肉、辛いソース、狩猟肉の詰め物、ローストや薄切り冷肉とともに調理される。また、様々な種類のやダンプリング、ジャガイモが副菜として供される。ハンガリー料理では幅広い種類のチーズが使われるが、最も一般的なチーズはトゥーロー (túró) というクヴァルクに似たフレッシュチーズクリームチーズ、ユートゥロー(juhturó, 羊乳チーズ)、オルダ (orda)、エメンタールチーズエダムチーズ、およびハンガリー産のトラッピシュタ英語版パールプスタイ英語版である。

ドゥナーントゥール地方英語版(ドナウ川西岸)は古くからガチョウ飼育が盛んで、フォアグラの大産地でもある。

調味料

セゲドの唐辛子

唐辛子、ラード、および紫タマネギの組み合わせ[3]、およびテイフル (tejföl) と呼ばれる濃いサワークリームの使用がハンガリー料理で一般的である。ハンガリー料理は唐辛子の使用により、辛いものが多く、ハンガリー料理がヨーロッパ生まれの料理で最も辛いともいわれる。唐辛子の他に、辛くないパプリカもまた日常的に使われる。タマネギは生のまま、あるいは煮たり炒めてキャラメル化してから用いる。

このほかに、一般的な風味付けにはニンニクパセリ、挽いた白または黒コショウ、粒黒コショウ、ローリエディルマジョラム、粒または粉に挽いたキャラウェイタイムマスタードタラゴンセイボリーラベージ、クリーピングタイム(ヨウシュイブキジャコウソウ)、チャービルレモンの果汁および果皮アーモンドバニラケシの実およびシナモンが使われる。この他にワインコリアンダーローズマリージュニパーベリーアニスバジルオレガノオールスパイスホースラディッシュクローブメース、およびナツメグが使用される。

歴史

パプリカーシュチルケ・ノケドリヴェル(Paprikáscsirke nokedlivel, 鶏肉のパプリカーシュ、ノケドリ添え)

ハンガリー料理は、マジャル人の歴史に影響されてきた。ハンガリーの食における肉の重要性は家畜の重要性とマジャール人の遊牧民的な生活習慣により明らかであり、グヤーシュのような、火で調理する伝統的な肉料理に反映されている(マジャル語で「gulyás」は「牧夫の(食事)」を意味する)[3]。煮込み料理ペルケルト英語版や辛い川魚のスープ、ハラースレーは、伝統的に屋外で火にかけてボグラーチ(釜)で調理する。15世紀に、マーチャーシュ1世[4][5]ナポリ出身の妃ベアトリクスイタリアで興隆していたルネサンス文化に影響され、ニンニク、ショウガ、メース、サフランおよびナツメグやタマネギのような新しい調味料や香辛料[6]や、果物を詰め物に用いたり肉と一緒に調理する料理法をハンガリーにもたらした[7]。これらの香辛料のうち、ショウガやサフランは現在のハンガリー料理ではもはや使われていない[8]。これ以降、非常に多数のサクソン人ドイツ系民族)、アルメニア人イタリア人ユダヤ人セルビア人パンノニア平原トランシルヴァニアに移住した。オスマン帝国領ハンガリーの時代には、様々な古典的トルコ料理の要素が取り込まれた。テレクメーズ (törökméz) と呼ばれる白いヌガー[9]マルメロの菓子、ロクムハルヴァトルココーヒーベイグリ (Bejgliと呼ばれるケーキ、トランシルヴァニアに見られるピラフのような米料理、パドリジャーンシャラータ(padlizsánsaláta, ナスサラダ (Eggplant salads and appetizersドルマに影響されたテルテット・パプリカ (Töltött paprika) やテルテット・カーポスタ(Töltött káposzta, 具詰めキャベツ)のような肉と野菜の料理などがこれに当たる。また、トウガラシはオスマン帝国時代に伝来した。そしてハンガリー料理はオーストリア=ハンガリー帝国の下、オーストリア料理の影響を受けた。料理および調理手法がオーストリア料理から取り入れられ、またグヤーシュのようにハンガリー料理が逆にオーストリア料理に影響を与えた例もある。ハンガリーのケーキと菓子には、ドイツ・オーストリアの強い影響が見られる。現在のハンガリー料理は、古代アジアの要素にドイツ、イタリア、スラヴの要素を統合したものと言われている。ハンガリーの食文化は、ユーラシア大陸の食文化のるつぼであると考えることができる。

ハンガリーの食事

ヴィルシュリ (Virsli) のマスタード添え
アルマーシュレーテシュ(Almásrétes, リンゴシュトゥルーデル

ハンガリーでは、多量の朝食を摂る。ハンガリーの朝食は、焼きたてのパンまたはトーストバター、チーズや様々なクリームチーズ、トゥーロー (túró) やクルズット(Körözött, リプタウアー)、ハムのような薄切り冷肉、ヴェーレシュ・フルカ(véres hurka, ブラックプディングに似たブラッドソーセージ)、マーイクレーム(májkrém)またはケネーマーヤシュ(kenőmájas)というレバーパテレバーソーセージベーコンサラミ牛タンモルタデッラ、ディスノーシャイト(disznósajt, ヘッドチーズ)、カバノス英語版ブリュー・ヴルスト英語版のようなソーセージや様々なハンガリー風ソーセージ(コルバース、Kolbász)で作るオープンサンドイッチが一般的である[10]。卵料理(目玉焼きスクランブルエッグゆで卵)、ブンダーシュケニェール (bundáskenyér) と呼ばれるフレンチトースト、野菜(唐辛子、ピーマントマトハツカダイコンポロネギキュウリ)もハンガリーの朝食の定番メニューである。牛乳紅茶、またはコーヒーと、菓子パンキフリシュトゥルーデルといったペイストリー[3]ジャムまたは蜂蜜をそえた朝食、またはミューズリーのようなシリアル食品の朝食もある。子供はテイベリジュ(tejberizs, ライスプディング)やテイベグリーズ(tejbegríz, セモリナ)にココア砂糖をかけた朝食を食べることもある。朝食には熱い飲み物が好まれる。

フォークで食べる朝食」を意味するヴィヤーシュレッゲリ (Villásreggeli) は、特別な行事の日や休日に食べる量の多い贅沢な朝食である。しばしば客を招待し、デビルドエッグ(詰め物をしたゆで卵)、冷たいステーキ、冷たいサラダ、サケオムレツ、パンケーキ、クルズット、キャビアフォアグラ、果物のサラダ、コンポート、フルーツヨーグルト、果汁、シャンパンとペイストリー、ケーキ、クッキーが供される。

昼食は1日で最も重要な食事であり、通常複数のコースから成る。魚、卵、あるいはレバーなどの冷製または温製の前菜から始まり[11]、次にスープが供され、主菜が続く。主菜は甘いペイストリーまたは肉料理とサラダで、デザートが続く。最後に果物が出ることもある。ハンガリーではパラチンタ(パンケーキ)は主菜とされ、朝食としては食べない。サラダは常に肉料理と共に供され、レタス、トマト、キュウリとタマネギを合えたものか[11]、またはヴィネグレットソースで和えたキュウリの薄切りである。ロシアサラダポテトサラダは、茹でたジャガイモ[1]、野菜、固ゆで卵、キノコ、肉や魚の揚げ物や茹で物を、ヴィネグレットソースやマヨネーズで和えるか、ゼリーで寄せてアスピックとしたもので、前菜または主菜となる。

一部の人や子供は午後に、ウソンナ (uzsonna) と呼ばれる軽い食事として通常オープンサンドイッチを食べる。夕食は昼食に比べて重要な食事ではなく、朝食に類似しており、オープン・サンドイッチとヨーグルト、またはヴィルシュリ (Virsli) とバンズホットドッグが通常で、食後にデザートとしてケーキやパンケーキ(パラチンタ)を食べることはまれであり、単品の料理で済ませる場合が多い。

行事食

クリスマスには、ハンガリー人はハラースレー(魚のスープ)を食べる。ガチョウシチメンチョウアヒルロースト[12]とテルテット・カーポスタ(ロールキャベツ)を供することもある。クリスマス菓子はクルミや芥子の実を巻いた焼き菓子ベイグリやサロンツコールのようなクリスマスツリーに飾りつけるキャンディーで、後者はクリスマス期間中誰もがツリーから直接取って食べる。シルヴェスター(Szilveszter、大晦日の夜)には、ヴィルシュリとヒラマメのスープを食べて祝う。年が明けると、二日酔いを治すといわれるヒラマメのスープやコルヘイレヴェシュ(korhelyleves、肉とザワークラウトのスープ)[13]を摂る人が多い。フーシュヴェート(Húsvét、復活祭)の食事に特別な料理はほとんどないが、ハンガリー人の中には(特に旧サボルチ県英語版では)、トゥーローと卵から作るシャールガ・トゥーロー(Sárga túró)という黄色く甘いチーズを作る人もいる[14]

主なハンガリー料理

スープ

伝統的なボグラーチ()で作る「釜煮グヤーシュ」
  • グヤーシュレヴェシュ (Gulyásleves) :グヤーシュスープ。ハンガリーのグヤーシュはルーやスメタナでとろみをつけないので、ドイツやオーストリアのグヤーシュ(グーラッシュ)よりもはるかにさらっとしているのが特徴。セーケイグヤーシュ (Székelygulyas) のようなシチュー状のグヤーシュは例外。具を多くするとグヤーシュフーシュ(Gulyáshús,「グヤーシュ肉」)と呼ばれる。
  • ハラースレー (Halászlé) :辛いパプリカで作る、有名な川魚の辛いスープ。コイナマズチョウザメパーチノーザンパイクなどが用いられる。地方によって変異が大きい。
  • フーシュレヴェシュ (Húsleves):透明な肉のスープ。鶏肉または子牛肉で作り、野菜とチペトケ (Csipetkeという薄いダンプリングが入る。
  • ヒデグ・メッジュレヴェシュ (Hideg meggyleves):スミミザクラの冷製スープ
  • ヨーカイ・バブレヴェシュ (Jókai bableves):作家ヨーカイ・モールの名を冠したインゲンマメのスープ
  • ヴァドゴンバレヴェシュ (Vadgombaleves):キノコのスープ
  • ボルレヴェシュ (Borleves):ワインのスープ
  • パローツレヴェシュ (Palócleves):ハンガリー北東部の民族集団、パローツの名を冠したスープ
  • ケメーニィマグレヴェシュ (Köménymagleves):キャラウェイシードのスープ

主菜

テルテット・カーポスタ(具詰めキャベツ)
ナッツを詰めたグンデル (Gundel・パラチンタ、チョコレートソース添え
レチョー (Lecsó(左下の赤い料理)
  • テルテット・カーポスタ (Töltött káposzta):具詰めキャベツ
  • テルテット・パプリカ (Töltött paprika) :具詰めパプリカ。挽き肉、米と香辛料を合わせた具を詰めたもの。
  • テルテット・トヤーシュ (Töltött tojás) :茹で卵を縦半分に切り、黄身を潰して調味し、白身に詰め直した料理。デビルドエッグのように黄身をマヨネーズで和えて冷製とするか、サワークリームで和えてオーブンで焼き、温製で供する。
  • フェーゼレーク (Főzelék) :野菜をルーで煮込んだ料理
  • レチョー (Lecsó) :トマトと青トウガラシ、タマネギを主とした数種の野菜煮込み[15]
  • スーズ・テケルチェク (Szűz tekercsek) (挽き肉を詰めた「乙女のルラード」の意味)
  • ペチェニェ (Pecsenye) :薄い豚肉ステーキのキャベツ添え。またはファターニェーロシュ(fatányéros,「木の皿料理」):ハンガリーの木の大皿で供するミックスグリル[16]
  • ベーチ・セレット (Bécsi szelet):ヴィーナーシュニッツェル
  • シュテファーニア・セレット (Stefánia szelet): 中に固ゆで卵を入れたミートローフ。切り分けると、中央に茹で卵の断面が現れる
  • トゥーローシュ・チュサ  (Túrós csusza) :ガルシュカと呼ばれるダンプリングや他の麺をトゥーローと和え、ベーコンを加えて塩味で、または甘くして供する
  • セーケイグヤーシュ (Székelygulyás):3種類の肉を用いたグヤーシュシチュー
  • ペルケルト (Pörkölt) :ルーを用いた肉のシチュー
  • チルケパプリカーシュ (Csirkepaprikás) :たっぷりの甘口パプリカとクリームまたはテイフル (tejföl) と呼ばれる濃いサワークリームで煮込んだ鶏のシチュー
  • パプリカーシュ・クルンプリ (Paprikás krumpli) :辛いソーセージとジャガイモのパプリカ煮込み
  • ラコット・クルンプリ (Rakott Krumpli):ジャガイモのキャセロール。レシピ(英語)参照
  • ラコット・カーポスタ (Rakott káposzta):キャベツを層状に重ねた料理
  • ショレット (Sólet) :インゲンマメ、オオムギ、パプリカ、牛肉、ガチョウ肉、卵の煮込み料理。卵は殻ごと鍋に入れてゆで卵にし、食べる前に殻を剥いて半分に切り、煮込みと一緒に供する。アシュケナジム由来の料理で、ユダヤ教徒は安息日の始まる金曜日の日没からオーブンまたはパン焼き窯でゆっくりと蒸し焼きにし、土曜日に食べた。チョレントに類似。
  • オロス・フーシュシャラータ (Orosz hússaláta):オリヴィエ・サラダ
  • パラチンタ (Paracsinta):具入りの薄いパンケーキ。フィリングは通常はジャムで、干し葡萄入りの甘いトゥーローや肉の場合もある。
  • ホルトバージ・パラチンタ (Hortobágyi palacsinta) :子牛肉シチューを具としたパラチンタ
  • グンデル・パラチンタ (Gundel palacsinta):グンデル風パラチンタ。具はクルミでチョコレートソースを掛け、フランベすることがある。
  • ラコット・パラチンタ (Rakott palacsinta):甘いカッテージチーズレーズン、ジャム、クルミとパンケーキを層に重ねた料理
  • チャーサールモルジャ (Császármorzsa):小さくちぎった甘いパンケーキ
  • ラーントット・シャイト (Rántott sajt):チーズにパン粉をまぶして揚げた平たいチーズクロケット
  • ゴンボツェン (Gombotzen)、シルヴァーシュゴンボーツ (Szilvásgombóc):甘いプラムをフィリングにしたジャガイモダンプリング。余った生地はニョッキという小さなダンプリングにして加え、炒めた甘いパン粉かシュトロイゼルをまぶす。ドイツのクネーデルに類似。
  • トゥーローゴンボーツ (Túrógombóc):甘いトゥーローを詰めたジャガイモダンプリング

ソーセージと薄切り冷肉

テーリサラーミ

菓子とケーキ

ドボシュ・トルタ
クグロフ
クルミ(左)とケシの実(右)のベイグリ (bejgli

その他

キフリ
  • ラーンゴシュ (Lángos) :揚げパン
  • ポガーチャ (Pogača) :スコーンに似た、丸く膨らんだペイストリー。トゥーロー、キャベツ、豚やガチョウ油かす入りのポガーチャもある。伝統的に直火焼きで作る。
  • ジェムレ (Zsemle):丸く小さいパン。ドイツ・オーストリアのゼンメル (Semmel) に類似。半分に切ってバターを塗り、薄切り冷肉をのせたりジャムを塗って食べる。朝食向け。
  • ファーンク (Fánk) :ジャム入りドーナツ
  • キフリ (Kifli) :三日月型のロールパン。ドイツ・オーストリアのキッフェルンに類似。写真参照
  • ペレツ (Perec):プレッツェル。塩味のカリッとしたペイストリー
  • マーイガルシュカ (Májgaluska) :小さなレバーのダンプリングで、様々なスープの浮き身とする。
  • グリズガルシュカ (Grizgaluska) :セモリナ粉のダンプリングを茹でたクネーデルの一種で、スープの浮き身に用いる。
  • タルホニャ (Tarhonya) :粒の大きいクスクス風のパスタ。副菜として供される
  • リジビジ (Rizi-bizi) :ハンガリー風リゾット。白いご飯をグリーンピースと混ぜ、副菜として供される。
  • リバマーイリゾットー (Libamájrizottó):フォアグラのリゾット
  • ヴィネッタ (Vinetta) またはパドリジャーン・クレーム (padlizsán krém):トランシルヴァニアのナスのペーストサラダ。焼きナスの皮をむき、みじん切りにして作る。
  • ケレゼット (Körözött) またはリプタイ・トゥーロー (Liptai túró) :リプタウアー。甘口のパプリカ粉末と玉ねぎを混ぜたチーズ・スプレッド。
  • リバマーイパーシュテートム (Libamájpástétom):フォアグラパテ
  • ブンダーシュ・ケニェール (Bundás kenyér):「コートを着たパン」または「毛皮を着たパン」を意味するフレンチトーストで、朝食として、またホウレンソウと共に食べる。
  • ケニェール (Kenyér):パン。ハンガリーのパン屋では、その日の朝焼いた新鮮なパンを買うことができる。伝統的な形にはツィポー (cipó) とヴェクニ (Vekni) があり、ツィポーは大きく丸くて皮が堅く厚い。ヴェクニはバゲットに似た長い形のパンで、皮の厚さは様々で、ぱりぱりしている。
  • マーコシュ・グバ (Mákos Guba):スライスしたキフリと芥子の実で作るデザート

飲み物

冷やしたウニクムの瓶

ハンガリーワインの歴史は、ローマ帝国の時代にさかのぼる。その歴史は、スラヴ人ゲルマン人の国の中間という位置に影響されている。最も有名なワインは、トカイの「トカイ」と呼ばれる白いデザートワインバラニャ県ヴィラーニー英語版の赤ワインである。「エゲルの雄牛の血」という意味のエグリ・ビカヴェール英語版も有名で、その名の通り濃い血の色のような赤いワインである。アカスグリワインのようなハンガリーのフルーツワインは、軽く口当たりが良い味である。

ハンガリーワインほど有名ではないが、ハンガリービール英語版にも長い伝統がある。ハンガリーの最も有名な酒は、薬草酒のビターズの一種ウニクムと、様々な果実のブランデーパーリンカサボルチ・アルマパーリンカなど)である。

また注目に値するのは、ハンガリーのミネラルウォーターである。アペンタ英語版やケーックーティ (Kékkúti) など21銘柄があり[18]、爽やかな風味でおいしく、そのいくつかはミラ (Mira) やトランシルヴァニアのボルセーキ (Borszéki) のように、健康に良いとされていることである。

トラウビ英語版またはトラウビショダ (Traubisoda) は、バラトンヴィラーゴシュ英語版で生産されるソフトドリンクである。

脚注

  1. ^ a b c d e June Meyers Authentic Hungarian Heirloom Recipes Cookbook
  2. ^ Famous Hungarian recipes Archived 2013年5月30日, at the Wayback Machine.
  3. ^ a b c Gundel's Hungarian Cookbook, Karoly Gundel.
  4. ^ A magyar konyha története Archived 2011年7月19日, at the Wayback Machine.
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外部リンク