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「Metal (API)」の版間の差分

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'''Metal'''(メタル)は[[Apple]]の[[オペレーティングシステム]]上でサポートされる、[[オーバーヘッド]]の小さいローレベル(low level)な[[コンピュータグラフィックス]][[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]である。Metalでは、[[OpenGL]]と[[OpenCL]]に似た機能を一つのAPIに統合している。Metalは[[クロノス・グループ]]による[[Vulkan (API)|Vulkan]]や、[[マイクロソフト]]による[[Microsoft Windows|Windows]]向けの[[Direct3D|Direct3D 12]]といった、他のプラットフォームにおける類似のAPIによるパフォーマンス上の利点を[[macOS]]/[[iOS (Apple)|iOS]]にもたらしている。
'''Metal'''(メタル)は[[Apple]]の[[オペレーティングシステム]]上でサポートされる、[[オーバーヘッド]]の小さいローレベル(low level)な[[コンピュータグラフィックス]][[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]である。Metalでは、[[OpenGL]]と[[OpenCL]]に似た機能を一つのAPIに統合している。Metalは[[クロノス・グループ]]による[[Vulkan (API)|Vulkan]]や、[[マイクロソフト]]による[[Microsoft Windows|Windows]]向けの[[Direct3D|Direct3D 12]]といった、他のプラットフォームにおける類似のAPIによるパフォーマンス上の利点を[[macOS]]/[[iOS]]にもたらしている。


Metalは[[C++11]]をベースとした新しい[[シェーディング言語]]、'''Metal Shading Language'''(MSL)を利用する。これは[[Clang]]と[[LLVM]]によって実装されている<ref>{{Cite web|url=https://developer.apple.com/library/ios/documentation/Metal/Reference/MetalShadingLanguageGuide/Introduction/Introduction.html|title=Metal Shading Language Guide|date=2014-09-17|publisher=アップル|accessdate=2015-10-28}}</ref>。Metalは[[シェーダー#コンピュートシェーダー|コンピュートシェーダー]]を導入することで[[GPGPU]]プログラミングのしやすさも向上している{{efn2|OpenGL 4.3/OpenGL ES 3.1以降でもコンピュートシェーダーはサポートされるが、Metal登場時にmacOS/iOSはこれらのAPIをサポートしていなかった。}}。
Metalは[[C++11]]をベースとした新しい[[シェーディング言語]]、'''Metal Shading Language'''(MSL)を利用する。これは[[Clang]]と[[LLVM]]によって実装されている<ref>{{Cite web|url=https://developer.apple.com/library/ios/documentation/Metal/Reference/MetalShadingLanguageGuide/Introduction/Introduction.html|title=Metal Shading Language Guide|date=2014-09-17|publisher=アップル|accessdate=2015-10-28}}</ref>。Metalは[[シェーダー#コンピュートシェーダー|コンピュートシェーダー]]を導入することで[[GPGPU]]プログラミングのしやすさも向上している{{efn2|OpenGL 4.3/OpenGL ES 3.1以降でもコンピュートシェーダーはサポートされるが、Metal登場時にmacOS/iOSはこれらのAPIをサポートしていなかった。}}。
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*Mac Pro(Mid 2010 以降)でMetalをサポートするGPU(Nvidia [[NVIDIA GeForce#GeForce 600 Series|Kepler]]以降、ATI [[Graphics Core Next]]以降)を搭載したもの
*Mac Pro(Mid 2010 以降)でMetalをサポートするGPU(Nvidia [[NVIDIA GeForce#GeForce 600 Series|Kepler]]以降、ATI [[Graphics Core Next]]以降)を搭載したもの


Metalは[[Worldwide Developers Conference|WWDC]] 2014にて発表され、[[iOS (Apple)#iOS 8.x|iOS 8]]で初めて導入された<ref>[http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/rt/20140606_652046.html 【西田宗千佳のRandomTracking】WWDC 2014 開発環境編:「機器の外の魅力」で戦う準備を進めるアップル - AV Watch]</ref>。
Metalは[[Worldwide Developers Conference|WWDC]] 2014にて発表され、[[iOS#iOS 8.x|iOS 8]]で初めて導入された<ref>[http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/rt/20140606_652046.html 【西田宗千佳のRandomTracking】WWDC 2014 開発環境編:「機器の外の魅力」で戦う準備を進めるアップル - AV Watch]</ref>。


macOSでのMetalのサポート(Metal for Mac)は[[Worldwide Developers Conference|WWDC]] 2015において発表された。
macOSでのMetalのサポート(Metal for Mac)は[[Worldwide Developers Conference|WWDC]] 2015において発表された。

2021年11月10日 (水) 04:49時点における版

Metal
開発元 Apple
初版 2014年6月 (10年前) (2014-06)
最新版
3 / 2019年6月 (5年前) (2019-06)
プログラミング
言語
シェーディング言語: C++14, ランタイム/API: Objective-C
対応OS iOS, iPadOS, macOS, tvOS
種別 3Dグラフィックス・演算用API
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト developer.apple.com/jp/metal/
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Metal(メタル)はAppleオペレーティングシステム上でサポートされる、オーバーヘッドの小さいローレベル(low level)なコンピュータグラフィックスAPIである。Metalでは、OpenGLOpenCLに似た機能を一つのAPIに統合している。Metalはクロノス・グループによるVulkanや、マイクロソフトによるWindows向けのDirect3D 12といった、他のプラットフォームにおける類似のAPIによるパフォーマンス上の利点をmacOSiOSにもたらしている。

MetalはC++11をベースとした新しいシェーディング言語Metal Shading Language(MSL)を利用する。これはClangLLVMによって実装されている[1]。Metalはコンピュートシェーダーを導入することでGPGPUプログラミングのしやすさも向上している[注 1]

対応環境

MetalはApple A7以降を搭載したiOS機器、およびOS X El Capitan以降が動作する一部のMacコンピュータで利用可能である。OS X El Capitanに対応しているMacであっても、Metalに対応しているとは限らない。

2017年10月時点でのMetal及びMetal2対応Macコンピュータは以下の通り[2]

MetalはWWDC 2014にて発表され、iOS 8で初めて導入された[3]

macOSでのMetalのサポート(Metal for Mac)はWWDC 2015において発表された。

パフォーマンス

Metalの登場以前は、macOSにはOpenGLが、そしてiOSにはOpenGL ESがそれぞれ提供されていたが、いずれも高度にハードウェアが抽象化されていることから性能上のオーバーヘッドが大きい。Metalは以下のような理由から、OpenGLよりも優れたパフォーマンスを期待できる[4]

  • シェーダーの事前コンパイルおよび最適化や、前もって実行されるステートの結合と評価(Validation)
  • GPUCPUの明確な同期
  • GPUとCPUで共有されるメモリ空間
  • より小さくなったドライバのオーバーヘッド

これらのうちいくつかは、GPUでコマンドを実行するために必要になるCPUのタスクを低減する。そのため、他の仕事のためにCPUを使えるようになり、全般的なパフォーマンスの向上につながる。

脚注

注釈

  1. ^ OpenGL 4.3/OpenGL ES 3.1以降でもコンピュートシェーダーはサポートされるが、Metal登場時にmacOS/iOSはこれらのAPIをサポートしていなかった。

出典

  1. ^ Metal Shading Language Guide”. アップル (2014年9月17日). 2015年10月28日閲覧。
  2. ^ Metal に対応している Mac コンピュータの一覧”. アップル (2017年10月10日). 2017年11月14日閲覧。
  3. ^ 【西田宗千佳のRandomTracking】WWDC 2014 開発環境編:「機器の外の魅力」で戦う準備を進めるアップル - AV Watch
  4. ^ Unity - Unity Japan Official Blog – Metal, iOS 8 の新グラフィクス API”. Unity Technologies Japan G.K. (2014年7月4日). 2015年10月28日閲覧。

関連項目

  • Direct3D 12 - DirectX 12において導入されたローレベルAPI
  • Glide - 3dfxによるローレベルAPI
  • Mantle (API) - AMDによるローレベルAPI
  • Vulkan (API) - OpenGLの後継となるクロスプラットフォームなローレベルAPI, MoltenVKによりMetal上で動作するものが開発出来る

外部リンク