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「シュプール号」の版間の差分

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2021年12月12日 (日) 23:31時点における版

2005年度の「シュプール号」(同シーズンを最後に運転を終了)
シュプール信越ヘッドマーク

シュプール号(シュプールごう)は、日本国有鉄道(国鉄)、東日本旅客鉄道(JR東日本)・東海旅客鉄道(JR東海)・西日本旅客鉄道(JR西日本)および九州旅客鉄道(JR九州)が、それぞれスキー客輸送のために運転を行っていた臨時列車の総称である[1]

概要

1986年昭和61年)、国鉄はのスキー客輸送のため、北海道四国を除く全国の主要都市から各地のスキー場へ、従来にないタイプの列車、「シュプール号」の運行を開始した。当時の列車名称は「シュプール○○」(○○には目的スキー場の地域名)であった。

絶頂期

格安で大都市圏とスキー場とを直結するスキーバス(スキー場発着のツアーバス)に対抗すべく、特急形車両を使用し、渋滞知らずをセールスポイントに大々的なPRを行い、列車種別は急行列車としながら運賃込みの格安パッケージ料金を設定し、目的地のからゲレンデまでは「シュプールバス」が接続するなど、それまでの国鉄では考えられないユーザー本位の画期的な試みが功を奏し、運転開始当初から成功を収めた。特に第3次スキーブームが絶頂期に達したバブル経済期(1980年代後半 - 1990年代前半)は、ジョイフルトレインまでもが使用された。基本的には往路は夜行列車、復路は夕刻始発の昼行列車(京阪神方面は一部復路も夜行列車あり)として運転された。

JR西日本の京阪神地区発着列車に関しては、1994年平成6年)は「シュプール白馬・栂池」が北陸本線大糸線(または中央本線)経由で多数設定され、最盛期には和歌山駅姫路駅発着も設定されていた。しかし1995年(平成7年)の7.11水害で大糸線が長期間不通になって以降、中央本線の線路容量の関係上、運転本数が大幅に削減された。1997年(平成9年)以降は北陸本線経由で「シュプール苗場・湯沢」「シュプール雷鳥・信越」など、播但線経由で「シュプール神鍋・鉢伏号」、中央本線経由で「シュプール白馬アルプス」など、7方面に1日最大6往復もの「シュプール号」が運転されていたが、白馬方面は本数の削減を被っていた。また、広島駅 - 三井野原駅間でもジョイフルトレインを使用したスキー客向けの(シュプール号ではない)臨時列車を芸備線経由で走らせていた時期もあった。同社は南野陽子西田ひかるアイドルを起用したシュプール号のCMを1998年(平成10年)頃まで展開し、その後も有名タレント(2005年シーズンは長澤まさみ)を起用した駅貼りポスターやパンフレットの展開を継続していた。

斜陽期

各「シュプール号」ともダイヤが過密な路線における設定であり、さらに新宿駅など主要駅では発着駅の異なるシュプール号相互で乗り換えができるよう発着時間をそろえるといったサービスを図った結果、ダイヤ設定に無理が生ずることとなった。このため、時刻表において見かけ上は首都圏山手貨物線高崎線中央本線沿線)もしくは京阪神近郊の主要駅とスキー場最寄駅間で直結となってはいても、実際は復路の列車を中心に定期特急などの待避や長時間の運転停車、さらには普通列車と殆ど変わらないような運転時分となった列車がほとんどで、安いが遅いというイメージが口コミなどで徐々に浸透し、利用を敬遠する層を生む結果も招くこととなった。

例えば上り「シュプール白馬」2号は定期特急列車の待避が4回もあり「あずさ」と比較すると白馬駅 - 新宿駅間で3時間近くも余計にかかっていた。下り「シュプール白馬」も急行「アルプス」(後の快速「ムーンライト信州」)と近接したダイヤで運行され、定期・臨時あわせて最大で3本もの「アルプス」の待避を行うというダイヤ設定であったため、スキー客が「アルプス」に集中し、結果として「アルプス」の乗車率は満席に近い状態でありながら、「シュプール白馬」・「アルペン」は閑散、という日もあった。

首都圏からの発着では、1991年(平成3年)に東北上越新幹線東京駅延伸により東海道本線中央線快速などからの乗り継ぎの利便性が向上するとともに、JR東日本がガーラ湯沢スキー場を開設したことから、同年から「JR ski ski」キャンペーンを展開。新幹線沿線にスキー場が点在するJR東日本では新幹線によるスキー客輸送強化に傾倒することとなり、やがて「ガーラ日帰りきっぷ」(2011年度で販売終了)など日帰りの往復新幹線とリフト券がセットされた特別企画乗車券も多種発売されるようになった[2]。また、一部のシュプール号は線区によって普通列車扱いのため、期間によっては青春18きっぷの利用ができる夜行快速に取って代わられた。

しかし、こういった鉄道側の原因以上に大きかったのは、スキーブーム絶頂期から終息後の平成不況期にかけて普及したスキーバスツアーバス)の台頭である。旅客にとってはスキー場へ直行するため乗り換えの煩わしさがなく、バス事業者にとっては列車よりも少ない人数で採算が取れる上に同業者間の価格競争によりバス料金(運賃相当)に弾力性があることで、各旅行会社はより多くの集客と利益が期待できるスキーバスとリフト券等をセットにしたパックツアーをこぞって企画するようになり、可処分所得の少ない若者に支持されるようになる。それに反比例するかのようにツアーバスに対して1人当たりの運賃が高く、新幹線よりも送達性に劣るシュプール号を使った旅行商品の取り扱いは減っていった。

スキーの足としての自家用自動車の傾向は、1980年代は「赤いファミリア」に代表されるホットハッチスペシャルティカー、1990年代は、積載性に優れたステーションワゴンや、雪道に強い四輪駆動車を中心としたRVブームの真っ只中であり、国産車メーカーから購買意欲を刺激する商品が相次いで登場したことで、重い荷物を持ち歩く必要もなく、機動性も高い自家用車でスキー場に向かう利用者が増えるようになった(これが酷い渋滞の原因でもあった)。さらに、長野オリンピックに合わせて上信越自動車道など志賀高原妙高方面の高速道路が次々と整備された結果、交通手段が鉄道から相乗りすることで廉価となる自動車へ徐々にシフトするようになった。これに加えてスキーブーム終焉によるスキー人口の減少が続いたこと、シュプール号に使用されていた車輌が老朽化で引退するようになったことから、「シュプール号」の運転本数も削減の一途をたどるようになった。

このような外的環境の変化を受け、JR東日本は2001(平成13)年度を最後に運転を終了。JR東海やJR九州も各種「シュプール号」の運転を取りやめ、JR西日本だけが「シュプール号」の運行を継続したが、2005(平成17)年度シーズンを以て利用客の減少を理由に運転を終了した。なお、北陸新幹線の金沢延伸開業後は新幹線と特急サンダーバードを組み合わせたスキー客輸送の強化に取り組んでいる。

2018年(平成30年)現在でスキー客向けに運転される臨時列車は東武鉄道が運行する「スノーパル23:55」のみである。

主な列車

1987年(昭和62年)の運転状況は以下の通り[3]

列車名 種別・車両 運転区間 備考
シュプール上越1・2号 急行・電車 大船駅 - 小出駅 大船〜(東海道本線)〜品川〜新宿〜大宮→上越地区
大船22:47→小出6:10、小出15:00→大船20:33
シュプール上越3・4号 急行・電車 品川駅 - 小出駅間 品川〜新宿〜大宮→上越地区
品川23:36→小出6:40、小出17:00→品川22:01
シュプール信越1・4号 急行・電車 新宿駅 - 妙高高原駅 高崎線・信越本線経由
新宿23:21→妙高高原6:22、妙高高原17:01→新宿22:10
シュプール信越2号 急行・電車 妙高高原駅 → 上野駅 高崎線・信越本線経由
妙高高原16:18→上野20:58
シュプール信越3号 急行・電車 東京駅 → 妙高高原駅 東京〜(中央本線)〜新宿〜大宮〜(高崎線・信越本線)→信越地区
東京23:33→妙高高原8:06
シュプール白馬1〜4号 急行・電車 千葉駅 - 信濃森上駅 千葉〜秋葉原〜新宿〜(中央本線・篠ノ井線・大糸線)→白馬地区
1号:千葉21:50→信濃森上6:25、2号:信濃森上15:05→千葉22:45、3号:千葉22:30→信濃森上7:53、4号:信濃森上16:15→千葉23:37
シュプール蔵王 急行・電車 横浜駅 - 山形駅 横浜〜(東海道本線)〜品川〜新宿〜大宮→山形地区
横浜22:34→山形6:20、山形15:18→横浜23:02
シュプールユーロ赤倉 急行・客車 名古屋駅 - 妙高高原駅間 中央本線経由
名古屋23:26→妙高高原6:00、妙高高原15:04→名古屋20:32
シュプールつがいけ 急行・電車 名古屋駅 - 信濃森上駅間 中央本線経由
名古屋23:50→信濃森上7:29、信濃森上18:00→名古屋23:10
シュプール妙高・志賀 急行・電車 神戸駅 - 長野駅 湖西線・北陸本線・信越本線経由
神戸20:58→長野8:24、長野18:55→神戸6:10


次に1998年〜1999年シーズンに運転された列車を記載する[4][5]

列車名 種別 運転区間 備考
シュプール蔵王 急行 品川駅山形駅
シュプール上越 急行 上野駅小出駅
大船駅 - 小出駅間
大船発3号・2号は大船駅 - 新前橋駅間は草津・万座号を併結。
シュプール草津・万座 急行 大船駅 - 万座・鹿沢口駅 大船駅 - 新前橋駅間は上越3・2号を併結。
シュプール猪苗代 急行 上野駅 → 会津若松駅
シュプール信越 急行 新宿駅妙高高原駅
シュプール白馬 急行 横浜駅南小谷駅
千葉駅 - 南小谷駅間
シュプールユーロ赤倉・志賀 急行 名古屋駅 - 妙高高原駅
シュプール栂池・八方 急行 大垣駅 - 南小谷駅
シュプール白馬・栂池 急行 神戸駅 - 白馬駅南小谷駅間
姫路駅 - 白馬駅間
シュプール妙高・志賀 急行 姫路駅 - 長野駅

神戸駅 - 黒姫駅間

西明石駅 → 黒姫間

シュプールトワイライト信越 特急 神戸駅 - 黒姫駅間 B寝台車のみの編成
はくたか7号・14号 特急 大阪駅 - 越後湯沢駅 金沢駅 - 越後湯沢駅間は定期列車。
シュプール野沢・苗場 急行 神戸駅 - 越後湯沢駅 北越急行ほくほく線経由
シュプールサンダーバード 特急 黒姫駅 → 西明石間 485系使用時は「シュプール雷鳥信越」で運行
サンダーバード(シュプール) 特急 直江津駅 → 大阪駅 富山駅 → 大阪駅は定期列車「サンダーバード46号」
シュプール神鍋・鉢伏 快速 大阪駅 - 江原駅 播但線経由
シュプール大山 急行 博多駅 - 米子駅間 通常は座席車のみ、繁忙期にB寝台車連結

使用車両

これらの車両にはシュプール号として使用するために大型の荷物が置けるスペースを設置したり、座席をグレードアップするなどの改良をした物が存在した。

【電車】

  • 165系電車 (オリジナルの急行用電車としては唯一、「シュプール上越」に運用。1985 - 86年のみ)
  • 183系電車
  • 185系電車 シュプール上越号、シュプール白馬号での運用実績
  • 189系電車
  • 381系電車 シュプール栂池・八方号をはじめとして、シュプール神鍋・鉢伏号(初年度のみ[6])、シュプール白馬アルプス号(シュプール白馬・栂池号運休時[7])で実績あり
  • 485系電車 「ジョイフルトレインリゾートエクスプレスゆう」(「シュプールゆう蔵王」(1992年のみ)、「シュプールゆう白馬」(1993年〜1997年))
  • 489系電車 
  • 583系電車 シュプール蔵王号、上越号、猪苗代号[8]、野沢・苗場号で運用実績あり。JR西日本「シュプール妙高・志賀」では、定期運用では見られない485系との連結運転がシュプール号にて実現していた。
  • 681系電車 シュプール号では「サンダーバード」とついた列車のほか、シュプール立山号でも運用実績あり[9]


【気動車】


【客車】

  • 12系客車
    • ジョイフルトレイン「ユーロライナー」(「シュプールユーロ赤倉・志賀」[10]
    • JR九州では、アコモ改造を受けた12系客車が「シュプール大山」に運用された。
  • 14系客車
    • ジョイフルトレイン「スーパーエクスプレスレインボー」 (「シュプールレインボー蔵王」・「シュプールレインボー信越」として使用されていた。)
    • JR西日本では、シュプール号専用に改造された、展望室付きの14系客車(現在は廃車となっている)も登場しており、当列車以外にも「ムーンライト九州」などの臨時列車にて使用された。
    • 一時期、寝台特急「あかつき」用のレガートシート車が当列車にて使用されていたこともあった。[11](「シュプール妙高・志賀」)
  • 20系客車
  • 24系客車

JR西日本のシュプール号

スキー人口の減少に伴い利用客が減少したことから、2002(平成14)年度から2005(平成17)年度まで、JR西日本のみが大阪駅 - 黒姫駅間を東海道本線湖西線北陸本線信越本線経由で臨時寝台列車を運転していた。

運行概況

2003(平成15)年度は最大2往復へ縮小、2004(平成16)年度から毎日運転が廃止され、12月23日から3月13日まで、2005(平成17)年度は12月27日から3月12日までの週末を中心に、急行「シュプール」および特急「シュプール雷鳥信越」が運転され、2004年(平成16年)は合計90本[12]と、2005年度は70本[13]運転されていたが、2006(平成18)年度に廃止された。

停車駅

シュプール(米原駅経由)

大阪駅 - 新大阪駅 - 高槻駅 - 京都駅 - 大津駅 - 草津駅 - 米原駅 - 糸魚川駅 - 直江津駅 - 新井駅 - 妙高高原駅 - 黒姫駅

シュプール雷鳥信越(湖西線経由)

黒姫駅 → 妙高高原駅 → 新井駅 → 直江津駅 → 糸魚川駅 → 京都駅 → 新大阪駅 → 大阪駅

使用車両

583系と485系の混色編成によるシュプール号

シュプール号にはJR西日本の京都総合運転所に所属していた583系が専用車両として使用されていた。グリーン車はフリースペースとしていた。485系と583系の併結運転が行われたことがあり、先頭車の貫通扉が使われた。

このほか、「シュプール雷鳥信越」には485系が充当されていた。

また、「シュプール野沢・苗場号」はplaystation・windows専用ソフト「電車でGO プロフェッショナル仕様」にて運転が可能であり、天候は雪。車輌は583系7両編成で区間は、信越本線(直江津〜犀潟)、北越急行ほくほく線(犀潟〜六日町)、そして上越線(六日町〜越後湯沢)を経由し、直江津〜越後湯沢を運転できるダイヤとなっている。

アルペン号

JR東日本は、スポーツ用品販売のアルペンタイアップし、2001年(平成13年)1月 - 3月に運転する列車名を「シュプール○○」から「アルペン○○」に変更して、下り列車のみであるが次の列車が運転された[14]

停車駅

アルペン上越
大船駅 - 横浜駅 - 新宿駅 - 池袋駅 - 大宮駅 - 越後中里駅 - 岩原スキー場前駅 - 越後湯沢駅 - 石打駅 - 上越国際スキー場前駅 - 六日町駅 - 浦佐駅 - 小出駅

脚注

  1. ^ 杉山淳一 (2021年2月3日). “覚えてる?「シュプール号」 スキー場へ直結した国鉄~JRの臨時列車 なぜ消滅したのか”. 乗りものニュース. 2021年2月6日閲覧。
  2. ^ 加えて、車両内にもスキー・荷物置き場が設置されるようになっている。
  3. ^ 『交通公社の時刻表 1986年11月号』日本交通公社
  4. ^ 『JR時刻表 1999年3月号』弘済出版社
  5. ^ 『JTB時刻表 1999年1月号』日本交通公社、1999年。 
  6. ^ 『鉄道ダイヤ情報 1996年1月号(No.141)』弘済出版社、1996年、46頁。 
  7. ^ 『鉄道ダイヤ情報 1996年1月号(No.141)』弘済出版社、1996年、22,23頁。 
  8. ^ 『鉄道ダイヤ情報 1999年1月号(No.177)』弘済出版社、1999年、44頁。 
  9. ^ 『鉄道ダイヤ情報 1996年1月号(No.141)』弘済出版社、1996年、44頁。 
  10. ^ a b 『JR時刻表』第368号、弘済出版社、1993年12月、196・202頁。 
  11. ^ 『鉄道ファン』1996年6月号、交友社、1996年、p.110
  12. ^ 〜JRで行こう、白銀の世界へ〜 スキー商品発売!(時刻表) (PDF)インターネットアーカイブ) - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2004年11月15日
  13. ^ 06シーズン スキー商品の発売(時刻表) (PDF) (インターネット・アーカイブ) - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2005年11月18日
  14. ^ スキー宣伝における「株式会社アルペン」との提携について(インターネット・アーカイブ) - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2000年10月3日

関連項目