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獣脚類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
獣脚亜目から転送)
獣脚類
Theropoda
生息年代: 中生代後期三畳紀新生代完新世, 231.4–0 Ma
様々な獣脚類
様々な獣脚類
地質時代
後期三畳紀 - 完新世
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
階級なし : 真竜盤類 Eusaurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
学名
Theropoda
Marsh, 1881
和名
獣脚類 (じゅうきゃくるい)
下位分類群

獣脚類(じゅうきゃくるい、学名: Theropoda)は、竜盤類に属する恐竜の一群である。

獣脚類の恐竜は二足歩行を行い、ティラノサウルスのような陸生肉食動物史上最大級の体躯を誇る大型肉食恐竜、および、ヴェロキラプトルのような軽快な身体つきをした小型肉食恐竜を含む多様なグループである。食性においては肉食のものが多いが、魚食を主にしたものや雑食植物食になったものなど多様な生態をもった。恐竜の中でもとりわけ多様性に富むグループであり、とりわけローラシア大陸ゴンドワナ大陸では全く異なる進化を遂げて生態系を彩っていた[1]

また、鳥類の祖先も獣脚類に属する原鳥類から進化した(鳥類の起源)。そのため獣脚類は鳥類をも含む分類群でもある。

獣脚類の多くは羽毛を有していたことが近年の中国東北部やモンゴルなどからの羽毛恐竜の相次ぐ発見から分かってきた。初期の羽毛は単純な構造であり、進化の過程により複雑化していったとされる。元々の羽毛の機能は飛翔ではなく、保温やディスプレイ等であったのではないかとされる。

獣脚類は、いわゆる恐竜時代の初期からその終末まで全世界で繁栄し、鳥類を含めるならば、現在に至るまで繁栄を続ける恐竜の分類群である。

鳥類は、古いリンネ式分類英語版では生物学的分類目の鳥 (class Aves) に分類されていた。系統分類英語版では鳥綱を恐竜である獣脚類の系統群に分類している[2]

分類体系

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異論:2017年に発表されたオルニトスケリダ仮説では、獣脚類は竜盤類に属する竜脚形類よりも鳥盤類に近縁であるとして、獣脚類と鳥盤類で構成される分岐群であるオルニトスケリダの存在を提唱している。この仮説では、オルニトスケリダは竜盤類と同位の分岐群であり、恐竜はこの2つの分岐群で構成される上位の分岐群であるとする。また、恥骨が後ろを向くという鳥盤類の特徴は、オルニトスケリダと竜盤類が分岐した後に、オルニトスケリダ内で生じた派生形質であるとしている。

下位系統

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獣脚類

前肢

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肉食性のティラノサウルス上科カルノサウルス類では前肢の力が強く、これは彼らが獲物を腕で拘束していた事を示している。一方で雑食ないし植物食のオルニトミモサウリアの前肢は貧弱だった。しかし全ての雑食および植物食獣脚類の前肢が貧弱だったわけではなく、例えばテリジノサウルス類は強靭な前肢を備えており、これは採食や闘争に使われたと見られている[3]

可動性

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従来、獣脚類の前肢は手をダラリと幽霊のように下げた復元をなされてきた(人間で言えば手の甲が前に向く)。例えば『ジュラシック・パーク』で描かれたヴェロキラプトルは、そうした手でドアノブを器用に回している。 しかし近年の研究により、獣脚類の前肢は、もっぱら“前へ倣え”や拍手に近い並行的な向きに伸びていた事が明らかにされた(手の甲が外側側面に向く)。どうしても手の甲を前へ向けたい場合、肘は外へ突きだす(腕立て伏せに近い)ようになる。このような動きは、おそらく地面から身体を起こす際に用いられたと思われ、実際それを示唆する足跡化石も2009年に報告されている[4]

食性

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少なくないエラフロサウルス科マニラプトル形類は雑食ないし植物食だったものの、獣脚類は概ね広義の肉食性(昆虫食や魚食、死肉食を含む)だった。また古典的な考え方に基づくコエルロサウルス類カルノサウルス類では、前者が敏捷性や知能に長ける小型捕食動物であり、後者は巨体による怪力に長けた大型捕食動物だと考えられてきた。しかし現在では現生のオオトカゲオオカミなどの研究、そしてアルバートサウルスマプサウルスの集団化石(ボーンベッド)を踏まえ、後者にも一定の社会性があった可能性が指摘されている。なお大型獣脚類であっても幼少期は当然のように小型だったため、容易に捕獲できる小動物を主な餌とし、時には死肉をも漁っていた[5]

しばしば大型獣脚類では、その食性がスカベンジャーだったのかハンターだったのか、が議論の的となる。だがそれを確かめるのは容易ではなく、また通常の捕食動物であれば両刀使いとなるのが普通である[6]

習性

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多くの獣脚類、とりわけ大型獣脚類では、他の獣脚類と争った痕跡が頭骨に残されている[7]。この事から、獣脚類は現在のワニのように、互いの頭部を噛み合っていた事がわかる。

脚注

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  1. ^ The interrelationships and evolution of basal theropod dinosaurs(Oliver W M Rauhut:2003)
  2. ^ Livezey, Bradley C.; Zusi, RL (2007-01). “Higher-order phylogeny of modern birds (Theropoda, Aves: Neornithes) based on comparative anatomy. II. Analysis and discussion”. Zoological Journal of the Linnean Society 149 (1): 1–95. doi:10.1111/j.1096-3642.2006.00293.x. PMC 2517308. PMID 18784798. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2517308/. 
  3. ^ A phylogenetic study of the section moduli of the humerus in bipedal theropod dinosaurs https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2016APS..MAR.M1309L/abstract
  4. ^ Getting a Handle on Theropod Arms(Smithsonian Magazine:2009)
  5. ^ Speculations about the Diet and Foraging Behavior of Large Carnivorous Dinosaurs James O. Farlow The American Midland Naturalist Vol. 95, No. 1 (Jan., 1976), pp. 186-191
  6. ^ A recipe for scavenging in vertebrates – the natural history of a behaviour(Adam Kane:2016)
  7. ^ Head-biting behavior in theropod dinosaurs: paleopathological evidence https://www.researchgate.net/profile/Darren_Tanke/publication/40662860_Head-biting_behavior_in_theropod_dinosaurs_Paleopathological_evidence/links/0f31752e93ebbe497e000000.pdf

関連項目

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