興津駅
興津駅 | |
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駅舎(2016年12月) | |
おきつ Okitsu | |
◄CA12 由比 (5.9 km) (4.7 km) 清水 CA14► | |
所在地 | 静岡市清水区興津中町300-14 |
駅番号 | CA 13 |
所属事業者 | 東海旅客鉄道(JR東海) |
所属路線 | ■東海道本線(静岡地区) |
キロ程 | 164.3 km(東京起点) |
電報略号 | オキ←ヲキ |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 2面3線 |
乗車人員 -統計年度- |
1,710人/日(降車客含まず) -2021年- |
開業年月日 | 1889年(明治22年)2月1日 |
備考 |
興津駅(おきつえき)は、静岡県静岡市清水区興津中町にある、東海旅客鉄道(JR東海)東海道本線の駅である。駅番号はCA13。
運行形態の詳細は「東海道線 (静岡地区)」を参照。
歴史
[編集]東西両京を結ぶ鉄道計画で東京~名古屋・岐阜間のルートが中山道経由から東海道経由に変更された際、東海道五十三次17番目の宿場町であった興津宿では、小躍りして喜んだという。そして鉄道のことをよく知ろうと、ジャーナリストや経済・法律の専門家を呼び寄せ、興津の宿の一つで宴会を催したともいわれる。ぜひ興津に駅を設けて欲しいと、隣の清見寺をもつ清見寺町の住民も巻き込んで熱心な誘致運動を展開し、それが功を奏して路線の開業とともに「興津駅」は誕生した。
その際、清見寺では境内の一部が鉄道敷地として召し上げられ、それによって風致が損なわれた事に対する補償金が支払われたが、寺の住職はそれを献納したといわれる。現在でもその名残で、東京側から見ると興津駅を過ぎた先で、清見寺の総門と本堂の間を東海道本線が横切っているのを見る事ができる。この清見寺は、明治天皇、大正天皇の休息所として使われ、大正天皇は特に興津を気に入り、興津が避寒地として注目されるようになった。
明治から大正期にかけての政治家、井上馨が晩年を過ごした別荘である「長者荘」や、最後の元老としても知られる西園寺公望が晩年を過ごした別荘「坐漁荘」の最寄り駅としても知られる。興津を気に入っていた井上は、近隣住民とも深く関わり、地域振興にも熱心で、存命中には興津駅を急行列車の停車駅に昇格させた[1]。また、西園寺は最後の元老として隠然たる権限を有したことから、政府高官や閣僚らが西園寺のもとを訪れるために当駅を利用し、「興津詣で」と呼ばれた[2]。西園寺の上京に備え当駅に西園寺専用の優等車両が配置されていたといわれる。[要出典]興津には井上・西園寺のみならず、松方正義、伊藤博邦、川崎正蔵、大倉和親ら多くの政財界の有力者たちも別荘を構えた。
由比駅との間にある薩埵峠付近は海岸と山に挟まれる地形となっており、土砂災害が頻発する区間である。1974年7月7日に発生した七夕豪雨では、線路に大量の土砂が堆積したため不通となり、6日間にわたり興津駅で折り返し運転を行った[3]。
年表
[編集]- 1889年(明治22年)2月1日:官設鉄道(現在の東海道本線)の駅として、国府津 - 静岡間の開通と同時に開業。一般駅。
- 1895年(明治28年)4月1日:線路名称制定。東海道線(1909年に東海道本線に改称)の所属となる。
- 1930年(昭和5年)4月18日:駅舎を改築[4]。
- 1980年(昭和55年)10月1日:車扱貨物の取扱を廃止。
- 1981年(昭和56年)10月24日:新駅舎(現在の駅舎)が落成[4]。
- 1985年(昭和60年)3月14日:チッキの取扱を廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、東海旅客鉄道(JR東海)が継承。
- 2008年(平成20年)3月1日:TOICAのサービス開始。
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清見寺を横切る東海道本線の列車
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清見寺と東海道本線(明治末期)
駅構造
[編集]単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線を持つ地上駅。1・2番線が本線、3番線が副本線となっている。3番線から保線車両留置用の側線が分岐している。2つのホームは跨線橋で連絡している。
折り返し列車が多数あり、運行上の拠点になっている。3番線が折り返し専用であり、1日1本を除きすべて折り返し列車となっている。2020年のダイヤ改正より通過待ちに使われなくなった。3番線に入線する列車は3 - 6両編成までである(ただし、6両が停車してもホームにはまだ2両ほど余裕がある)。そのため3番線に入線する上り列車は編成が6両より長いとき、静岡駅で運行する編成を短くしている。
JR東海交通事業の職員が業務を担当する業務委託駅で、清水駅が当駅を管理している。構内南側の単式ホーム(1番線)に接してコンクリート造りの駅舎がある。内部には待合所やJR全線きっぷうりば・自動券売機・簡易型自動改札機などが設置されている。早朝・夜間は無人となる。かつては売店が営業していたが、今は営業が中止され店舗自体も撤去されている。
のりば
[編集]番線 | 路線 | 方向 | 行先 | 備考 |
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1 | 東海道本線 | 下り | 静岡・浜松方面 | |
2 | 上り | 沼津・熱海方面 | ||
3 | 下り | 静岡・浜松方面 | 当駅折り返し | |
上り | 沼津・熱海方面 | 1日1本のみ[注釈 1] |
(出典:JR東海:駅構内図)
- 2014年の台風第18号により、当駅 - 由比駅間が不通になっている間はすべて当駅で折り返していた。
-
改札口(2022年7月)
-
1番線ホーム(2022年7月)
-
2・3番線ホーム(2022年7月)
利用状況
[編集]「静岡県統計年鑑」によると、2021年度(令和3年度)の1日平均乗車人員は1,710人である[* 1]。
1993年度(平成5年度)以降の推移は以下のとおりである。
乗車人員推移 | ||
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年度 | 1日平均 乗車人員 |
出典 |
1993年(平成 | 5年)2,923 | [* 2] |
1994年(平成 | 6年)2,837 | [* 3] |
1995年(平成 | 7年)2,838 | [* 4] |
1996年(平成 | 8年)2,856 | [* 5] |
1997年(平成 | 9年)2,705 | [* 6] |
1998年(平成10年) | 2,660 | [* 7] |
1999年(平成11年) | 2,578 | [* 8] |
2000年(平成12年) | 2,555 | [* 9] |
2001年(平成13年) | 2,476 | [* 10] |
2002年(平成14年) | 2,481 | [* 11] |
2003年(平成15年) | 2,487 | [* 12] |
2004年(平成16年) | 2,460 | [* 13] |
2005年(平成17年) | 2,486 | [* 14] |
2006年(平成18年) | 2,476 | [* 15] |
2007年(平成19年) | 2,437 | [* 16] |
2008年(平成20年) | 2,436 | [* 17] |
2009年(平成21年) | 2,358 | [* 18] |
2010年(平成22年) | 2,329 | [* 19] |
2011年(平成23年) | 2,344 | [* 20] |
2012年(平成24年) | 2,324 | [* 21] |
2013年(平成25年) | 2,327 | [* 22] |
2014年(平成26年) | 2,235 | [* 23] |
2015年(平成27年) | 2,245 | [* 24] |
2016年(平成28年) | 2,219 | [* 25] |
2017年(平成29年) | 2,184 | [* 26] |
2018年(平成30年) | 2,176 | [* 27] |
2019年(令和元年) | 2,139 | [* 28] |
2020年(令和 | 2年)1,761 | [* 1] |
2021年(令和 | 3年)1,710 |
駅周辺
[編集]- 農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門カンキツ研究興津拠点
- 清見潟公園
- 坐漁荘
- 清見寺
- 興津郵便局
- 駿河健康ランド
- 薩埵峠
- 国道1号
- 静岡市立清水興津小学校
- 静岡市立清水興津中学校
バス路線
[編集]駅前のロータリーにある「興津駅前」停留所にて、しずてつジャストラインの路線バスが発着する。かつては由比駅を経由して富士駅まで行く便(富士急静岡バス運行)が存在した。
- 250 三保山の手線:清水駅方面 / 但沼車庫方面
隣の駅
[編集]※なお、興津駅から2.4km清水寄りには1926年 - 1964年の間に海水浴シーズンの臨時駅として、袖師駅が設けられていた。
脚注
[編集]記事本文
[編集]注釈
[編集]- ^ 5:18発沼津行き(2021年3月改正時点)
出典
[編集]- ^ “日本の政治史に名を刻む東海道線の小駅「興津」 : 東洋経済オンライン : 深読み”. 読売新聞オンライン (2021年6月10日). 2021年10月17日閲覧。
- ^ まちめぐり(興津地区) - 静岡市 2021年8月1日閲覧。
- ^ 6日ぶり、東海道本線開通 恐る恐る徐行運転『朝日新聞』昭和49年(1974年)7月13日夕刊、3版、11面
- ^ a b 清水市合併20周年記念実行委員会『興津地区年表』1981年
利用状況
[編集]- 静岡県統計年鑑
- ^ a b “6.鉄道運輸状況(JR)” (xls). 長期時系列【統計年鑑編】(県・市町村の変遷~商業). 静岡県. 2024年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月14日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1993(平成5年). 静岡県. p. 285 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1994(平成6年). 静岡県. p. 285 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1995(平成7年). 静岡県. p. 285 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1996(平成8年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1997(平成9年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1998(平成10年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1999(平成11年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2000(平成12年). 静岡県. p. 338 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2001(平成13年). 静岡県. p. 282 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2002(平成14年). 静岡県. p. 282 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2003(平成15年). 静岡県. p. 284 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
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- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2008(平成20年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
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- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2012(平成24年). 静岡県 (2014年5月1日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2013(平成25年). 静岡県 (2015年5月11日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2014(平成26年). 静岡県 (2016年5月2日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
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- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2016(平成28年). 静岡県 (2018年3月29日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2017(平成29年). 静岡県 (2019年3月27日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2018(平成30年). 静岡県 (2020年3月17日). 2020年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月19日閲覧。
- ^ “6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2019(令和元年). 静岡県 (2021年3月23日). 2021年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月24日閲覧。