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象工場のハッピーエンド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
象工場のハッピーエンド
著者 村上春樹
イラスト 安西水丸
発行日 1983年12月5日
発行元 CBS・ソニー出版
ジャンル ショートショートエッセイ画集
日本の旗 日本
言語 日本語
ページ数 120
コード ISBN 4-7897-0117-4
ウィキポータル 文学
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象工場のハッピーエンド』(ぞうこうじょうのハッピーエンド)は、村上春樹安西水丸共著のショートショート集・エッセイ集・画集[1]。翻訳1編を含む。

概要

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1983年12月5日、CBS・ソニー出版より刊行された。1986年12月に新潮社より新潮文庫として文庫化された。また1999年2月に講談社より新版が再刊されている。装丁は久米亜紀子。

なお、文庫版のみ村上と安西の巻末対談「画家と作家のハッピーエンド」を収録。新版のみ未収録作品「にしんの話」、安西の「あとがき」[2]、村上の「あとがきにかえて」を収録。

収録作品

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タイトル 種類 初出 備考
1 カティーサーク自身のための広告 宣伝文句を模した、
詩ともとれる短い文章
2 クリスマス エッセイないしは
ショートショート
1960年12月に買ってもらったビング・クロスビーのレコードの思い出話。
3 ある種のコーヒーの飲み方について エッセイないしは
ショートショート
リチャード・ブローティガンの文章が引用されている。
4 ジョン・アプダイクを読むための最良の場所 短編小説に近いエッセイ BRUTUS
1982年6月1日号
ジョン・アプダイクの短編集『ミュージック・スクール』の文章が引用されている。
5 FUN、FUN、FUN エッセイ タイトルの「FUN、FUN、FUN」はアメリカの音楽グループ、ビーチ・ボーイズのヒット曲[3]
6 万年筆 ショートショート
7 にしんの話 ※1999年発行の新版のみに収録。同作品は後に『村上春樹 雑文集』(新潮社、2011年1月)に再録された。
8 スパゲティー工場の秘密 ショートショート 『BRUTUS』
1982年6月1日号
1973年のピンボール』でおなじみの「208」と「209」の双子の女の子が登場する。また、羊男も登場する。
9 マイ・ネーム・イズ・アーチャー エッセイ アメリカの小説家ロス・マクドナルドへの追悼文。
マクドナルドの短編集とされている「マイ・ネーム・イズ・アーチャー」の正しい表記は「The Name Is Archer」である。
10 A DAY in THE LIFE ショートショート 象工場[4]の工員の物語。
11 双子町の双子まつり エッセイ 本文で語られている「Twinsville」という町は「ツインズバーグ(Twinsburg)」を指しているものと思われる。
12 マイ・スニーカー・ストーリー エッセイ
13 鏡の中の夕焼け ショートショート 『TODAY』
1981年7月号
村上と安西の初めての共作だという[5]
14 サヴォイでストンプ 翻訳 『ハッピーエンド通信』
1980年4月号
音楽および映画批評家のオーティス・ファーガソンが書いたエッセイ。原文は『The New Republic』1936年2月12日号に掲載された。
『村上春樹 翻訳 (ほとんど) 全仕事』(中央公論新社、2017年3月)に再録された。

脚注

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  1. ^ 便宜上、本書を「画集」と記したが、文庫版巻末の対談で安西はこう述べている。「何か絵の本を出しませんかと言われたんだけど、僕は自分の『画集』っていうのがなんとなくいやでね。それで誰かと一緒にできないかと思って村上さんに電話したら、やってくれるというんで。」(文庫版、172頁)
  2. ^ あとがきで安西はこう述べている。「この本はぼくと村上春樹さんのはじめての共著となった本です。(中略)イラストレーターとしてのぼくは、自分が絵を描くことによって文を読む人が楽しくいい気分で本に向い合っていけることを心掛けています。そういう意味ではこの本はぼくのイラストレーターとしての正しい形の出発点にもなっています。」(単行本、新版、136-137頁)
  3. ^ 柴田元幸のエッセイ集『愛の見切り発車』(新潮社、1997年7月)に収められた「特別付録 私のロックンロール・オールタイム・トップテン」において、村上はビーチ・ボーイズの「Fun, Fun, Fun」を10曲のうちの1曲に選んでいる。
  4. ^ 村上のあとがきより。「僕は昔から、なぜか(なぜだろう?)ほんものの象を作るという作業に、深い興味を持っていて、どうやったらうまく作れるのだろうと、ずいぶん真剣に考えたものだった。」(単行本、新版、138頁)
  5. ^ 本書、新潮文庫、158頁。

関連項目

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