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阿部三郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

阿部 三郎(あべ さぶろう、1926年7月6日 - 2010年9月8日)は、日本弁護士日本弁護士連合会会長や、中央大学理事長を歴任した。阿部法律事務所主宰。1996年より宗教団体オウム真理教破産管財人

経歴

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1926年宮城県生まれ。宮城県石巻商業高等学校出身、中央大学法学部卒業[1]

司法修習第六期を経て1954年4月に弁護士登録、東京弁護士会入会[2]

1960年代には社会問題化した売血制度の廃止を働きかけ、弁護士会人権擁護委員会の建議書を通じ売血制度の廃止を実現[3]

1970年以降、東京弁護士会副会長、日本弁護士連合会事務総長、東京弁護士会会長、日本弁護士連合会副会長、日本弁護士連合会会長を歴任[2]

1996年3月、宗教団体オウム真理教の破産宣告を受けて破産管財人に就任[2]

1997年、勲二等瑞宝章受章[4]

1999年5月から2005年11月まで学校法人中央大学理事長、2003年6月から凸版印刷株式会社監査役、2004年2月から松下電工株式会社監査役[2]

2010年9月8日心不全のため千葉県松戸市の病院で死去。84歳没[5][6]。叙正四位[7]

オウム真理教の破産管財人として

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一連のオウム真理教事件被害者への配当額を確保するため、教団財産の徹底的な調査と処分を指導。また国会議員に協力を求め、国の債権を事実上放棄させるオウム真理教債権特例法の成立を促した[3]

義務教育年齢に達した信者の子供が自治体に就学を拒否された問題では、「オウムの子という理由で就学を拒否する差別は、法律家として認められない」として住民や自治体を説得、信者が教団施設から転出するまでの一時的な就学を実現[3]

管財人として12年間の活動を経た2008年11月26日、最後となる17回目の債権者集会で総括報告を行った[8]。 これによれば、被害者は賠償額として寄付を含め約15億4000万円を受けとることとなった。これは本来支払われるべき賠償額(1,201 名分、約38億1000万円)の40.39%に当たり、約22億7000万円の残債はオウム真理教犯罪被害者支援機構に引き継がれる。また教団の債権者は2,191名、債務総額は約51億6000万円だったとした。

脚注

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  1. ^ 破産者オウム真理教 管財人12年の闘い”. オンライン書店ビーケーワン. 2009年7月14日閲覧。
  2. ^ a b c d 所員紹介 阿部法律事務所. 2009年7月14日閲覧 - ウェイバックマシン(2010年6月19日アーカイブ分)。
  3. ^ a b c 「現場主義50年」つづる オウム破産管財人 阿部弁護士 読売新聞(2007年11月27日)。
  4. ^ 「97年秋の叙勲受章者勲三等以上の一覧」『読売新聞』1997年11月3日朝刊。
  5. ^ 阿部三郎氏死去 元日弁連会長 47NEWS 2010年9月9日 - ウェイバックマシン(2010年9月18日アーカイブ分)。
  6. ^ 元日弁連会長阿部三郎氏が死去 オウム被害救済に尽力 47NEWS 2010年9月9日 - ウェイバックマシン(2014年2月27日アーカイブ分)。
  7. ^ 『官報』第5414号、平成22年10月12日
  8. ^ オウム被害者に15億円 最後の債権者集会で報告 共同通信社 47NEWS.2009年7月14日閲覧。

著書

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  • 『そのときどきに「私の」思いをこめて』(自費出版、書誌は下記事務所ホームページ参照)
  • 『破産者 オウム真理教 管財人、12年の闘い』(朝日新聞出版2008)ISBN 978-4022504265

関連項目

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外部リンク

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先代
内海英男
中央大学理事長
1999年 - 2005年
次代
鈴木敏文