ゲット・バック
『ゲット・バック (Get Back)』 | ||||
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ビートルズ の シングル | ||||
リリース | ||||
録音 | トゥイッケナム・スタジオ(1969年1月27日、28日) | |||
ジャンル | ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | アップル・レコード | |||
プロデュース |
ジョージ・マーティン (シングルVer.) フィル・スペクター (アルバムVer.) ビートルズ&ジョージ・マーティン (ネイキッドVer.) | |||
ビートルズ シングル 年表 | ||||
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「ゲット・バック」("Get Back")は、1969年4月にビートルズが発表した19枚目のオリジナル・シングル曲である。
解説
レノン=マッカートニーの作品。実質的にはマッカートニーの作った楽曲である。リードヴォーカルはポール・マッカートニー。リードギターとコーラスはジョン。曲のクレジットは、『ザ・ビートルズ・ウィズ・ビリー・プレストン』で、プレストンはこの曲では電子ピアノを担当している。
アルバム『ザ・ビートルズ』の制作中よりビートルズのメンバー間に音楽性の違いや録音技術の発達によるすれ違いが大きくなりはじめた。そうしたビートルズ状況を危惧したポールが、「もう一度原点に戻ってやり直そう」と始められたゲット・バック・セッションのために作られた曲である。
元曲のタイトルは"(Don't Dig )No Pakistanis" (「パキスタン人は要らない」)というものであった。というのは、この曲が完成する前年頃からパキスタン難民[1]が自国民の職域を侵すとイギリスで大問題になり、排撃しようという空気が漂っていた。人種排撃を嫌うポールは歌にして自国の現状を逆説的に訴えようとしたが、逆に人種排撃に繋がるとして結果ボツになり、その後たわいのない歌詞に改められ結果、この曲として日の目を見たというわけである。
歌詞中にあるジョジョとは当然ジョン・レノン(John Lennon)の事であり、ヨーコに没頭しビートルズに対する意欲を失っていたジョンに対して、ポールが必死に戻って来いと呼びかけている。一方で、この曲の演奏中に、ポールが"Get back to where you once belonged"(元いた場所に帰れよ)と歌うときにヨーコのほうを見た、とジョンから責められたことがあり、ヨーコに向けられた歌という解釈もできる。
ビートルズ最後のライブである1969年1月30日、アップル本社の屋上ライブ「ルーフトップ・コンサート」でも演奏された。
ステレオ・ヴァージョン
「ゲット・バック」のリアル・ステレオ・ヴァージョンは1970年5月にリリースされたアルバム『レット・イット・ビー』に収録された。しかし後述の通りプロデューサーのフィル・スペクターによって編集されたミキシング違いヴァージョンである。シングル盤ヴァージョンのステレオ・ヴァージョンはビートルズの活動中にはリリースされなかった。ただしアメリカ、日本では同シングル盤はステレオでリリースされていた。英国では1973年4月リリースの『ザ・ビートルズ1967年〜1970年』が最初となる。CDでは1988年3月にリリースされたアルバム『パスト・マスターズ Vol.2』に収録された。
ミキシング
「ゲット・バック」はアルバム『ゲット・バック』のプロジェクトの一環としてリリースされた。しかしアルバムの方は不発に終わり、1970年にフィル・スペクターによって再プロデュースされ、アルバム『レット・イット・ビー』にリメイクされる。リメイクの際に「ゲット・バック」にミキシングの変更がなさた。エンディングのフェード・アウト部分がトリミングされ、パフォーマンスの前後には喋りが加えられ、あたかもルーフトップ・コンサートのライヴ演奏ように仕立てなおされている。
- 冒頭にはジョンの"Sweet Loretta Fart, she thought she was a cleaner, but she was a frying pan.…"(いとしのロレッタ・ファート(=屁)。彼女は自分を掃除機(または潔癖性)だと思っていたけど、実はフライパンだったのさ)という声が入っている。これはこの曲の2番の歌詞の冒頭部分"Sweet Loretta Martin thought she was a woman, but she was another man.…"(かわいいロレッタ・マーティンは自分を女だと思っていたけど、実は男だったのさ)のパロディである。
- 終了した後、ポールが"Thanks, Mo.…"(ありがとう、モー(=モーリーン。リンゴ・スターの先妻のこと。)。)と言い、続いてジョンの"I'd like to say thank you on behalf of the group and ourselves, I hope we passed the audition.…"(バンドを代表して皆様にお礼申し上げます。オーディションに受かるといいな)という声が入って終わっている[2]。
シングル盤
全世界で1,000万枚をセールス。『ビルボード』(Billboard)誌では、1969年5月24日に週間ランキング第1位を獲得。ビルボード誌1969年年間ランキングは第8位。B面は「ドント・レット・ミー・ダウン」("Don't Let Me Down")。本作が最後のモノラル・シングル盤となった。