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マネー (バレット・ストロングの曲)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バレット・ストロング > マネー (バレット・ストロングの曲)
ビートルズ > 作品リスト > マネー (バレット・ストロングの曲)
ビートルズ > 曲名リスト > マネー (バレット・ストロングの曲)
フライング・リザーズ > マネー (バレット・ストロングの曲)
「マネー」
バレット・ストロングシングル
B面 オー・アポロジャイズ
リリース
規格
ジャンル R&B[1][2]
時間
レーベル
作詞・作曲
チャート最高順位
後述を参照
バレット・ストロング シングル 年表
  • レッツ・ロック
  • (1959年)
  • マネー
  • (1959年)
  • イエス・ノー・メイビー・ソー
  • (1960年)
テンプレートを表示

マネー」(Money (That's What I Want))は、バレット・ストロングの楽曲である。作詞作曲はタムラ・レコードの創設者であるベリー・ゴーディジェイニー・ブラッドフォード英語版が手がけ、1959年にシングル盤として発売された。楽曲の発表後、1963年にビートルズ、1979年にフライング・リザーズによってカバーされた。

背景

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「マネー」は、デトロイドにあるヒッツビル・スタジオAでの自発的なレコーディング・セッションから発展した楽曲となっている[3]。ゴーディとストロングがピアノボーカルのみの即興演奏を始め、そこにベニー・ベンジャミン英語版ドラムで、ブライアン・ホーランド英語版タンバリンで加わった[3]。作家のジム・コーガンとウィリアム・クラークは、このセッションに参加したギタリストとベーシストについて、「高校からの下校中に演奏を聴いてヒッツビルにふらりと立ち寄り、一緒に演奏してもいいか訪ねてきた2人の白人の少年」としており、「ストロングは、ベースとギターを演奏した2人の少年を2度と見ることはなかった」と付け加えている[3]。一方で、ギタリストについてはユージン・グルーともされており、グルーはバレットから演奏を教わったと主張している[4]

曲はブルース調のピアノのリフから始まる[3]。作家のニック・タレフスキーは本作について「R&Bの名曲」[1]と評し、マーク・ルイソン英語版は「デトロイドのR&Bサウンド」[2]と評している。音楽ジャーナリストのチャールズ・シャー・マリーは、本作について「モータウンがR&Bの粗削りな一面を残していた時代の初期の名曲の1つ」と評している[5]

リリース・評価

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「マネー」は、1959年8月にタムラ・レコードからシングル盤として発売された[6]。シングルは、Billboard Hot 100で最高位23位[7]Hot R&B Sides chartで最高位2位を記録した[8]

ローリング・ストーン』誌が発表した「オールタイム・グレイテスト・ソング500」では第288位にランクインしており、グレイル・マーカスは「ストロングの名がアメリカの音楽チャートのトップに近い順位にランクインした唯一の例で、このおかげで彼は生涯ラジオに出続けていた」と述べている[9]

クレジット(バレット・ストロング版)

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※出典[10]

チャート成績(バレット・ストロング版)

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チャート (1956年) 最高位
US Billboard Hot 100[7] 23
US Hot R&B Sides chart (Billboard)[8] 2

カバー・バージョン

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ビートルズによるカバー

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マネー
ビートルズ楽曲
収録アルバムウィズ・ザ・ビートルズ
英語名Money (That's What I Want)
リリース
  • 1963年11月22日
  • 1964年6月5日 (Japan single)
A面日本の旗 プリーズ・ミスター・ポストマン
録音
ジャンルロックンロール[11]
時間2分47秒
レーベル
作詞者
  • ジェイニー・ブラッドフォード
  • ベリー・ゴーディ
作曲者
  • ジェイニー・ブラッドフォード
  • ベリー・ゴーディ
プロデュースジョージ・マーティン
チャート順位
ビートルズ シングル 日本 年表
ウィズ・ザ・ビートルズ 収録曲
ナット・ア・セカンド・タイム
(B-6)
マネー
(B-7)

ビートルズは、1963年7月18日にEMIレコーディング・スタジオで「マネー」のレコーディングを行なった[13]。6テイク録音された後、ジョージ・マーティンピアノが加えられ、7月30日にさらにピアノがオーバー・ダビングされた[14]。8月21日はテイク6と7を編集してモノラル・ミックスが作成された[14]。9月30日に再びピアノがオーバー・ダビングされ[14]、10月30日にステレオ・ミックスが作成された[15]。このカバー・バージョンは、イギリスでは1963年に発売された2作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』に最後の楽曲として[16]、アメリカでは1964年に発売されたキャピトル編集盤『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』のA面5曲目に収録された[17]。日本では、1964年6月5日に発売されたシングル盤『プリーズ・ミスター・ポストマン』のB面に収録された後、同月15日に発売された『ビートルズ No.2!』にも収録された。

ビートルズは、イギリスでヒットを記録していない時期に、マネージャーであるブライアン・エプスタインが経営するNEMSレコード・ショップで「マネー」のシングル盤を見つけた。楽曲を聴いたメンバー、とりわけジョン・レノンは本作を気に入り、すぐに自身の公演のレパートリーに加え[18]、1962年1月のデッカ・レコードのオーディションでも演奏した[19]。1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』には、ストックホルムでのライブ音源が収録されている[20]。また、BBCラジオの番組でも演奏されており、2013年に発売された『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』には、1963年12月26日に放送された『From Us to You』での演奏が収録された[21]

2018年に『タイムアウト・ロンドン』誌が発表した「The 50 Best Beatles Songs」では、第24位にランクインした[22]

リンゴ・スターは、2019年に発売したソロ・アルバム『ホワッツ・マイ・ネーム英語版』でもカバーしている[23]

クレジット(ビートルズ版)

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※出典[24]

フライング・リザーズによるカバー

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「マネー」
フライング・リザーズシングル
初出アルバム『ミュージック・ファクトリー英語版
B面 マネー・B
リリース
ジャンル
時間
レーベル ヴァージン・レコード
作詞・作曲
  • ジェイニー・ブラッドフォード
  • ベリー・ゴーディ
プロデュース デヴィッド・カニンガム
チャート最高順位
後述を参照
フライング・リザーズ シングル 年表
  • マネー
  • (1979年)
  • TV
  • (1980年)
ミュージック・ファクトリー英語版 収録曲
サマータイム・ブルース
(A-5)
マネー
(B-1)
ザ・フラッド
(B-2)
ミュージックビデオ
「Money」 - YouTube
テンプレートを表示

1979年にフライング・リザーズがカバーしており、同年7月にオリジナル・アルバム『ミュージック・ファクトリー英語版』からの第1弾シングルとして発売された。フライング・リザーズによるカバー・バージョンは、全英シングルチャートで最高位5位[27]Billboard Hot 100で最高位50位[28]を記録した。

チャート成績(フライング・リザーズ版)

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週間チャート
チャート (1979年 - 1980年) 最高位
オーストリア (Ö3 Austria Top 40)[29] 23
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[30] 28
カナダ トップシングルス (RPM)[31] 7
フランス (IFOP)[32] 39
オランダ (Dutch Top 40)[33] 33
オランダ (Single Top 100)[34] 5
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[35]
5
UK シングルス (OCC)[27] 5
US Billboard Hot 100[28] 50
US Hot Dance Club Play[36] 50
US Cash Box Top 100[37] 34
年間チャート
チャート (1980年) 順位
オーストラリア (Kent Music Report)[38] 71
Canada Top Singles (RPM)[39] 59
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[40] 32

その他のアーティストによるカバー

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上記のビートルズやフライング・リザーズの他にも「マネー」は、多くのアーティストにカバーされており、音楽チャートにチャートインしたカバー・バージョンもいくつか存在する。1964年にザ・キングスメン英語版がシングル盤として発売し、Billboard Hot 100で最高位16位、R&Bチャートで最高位6位を記録[41][42]。1966年に発売されたジュニア・ウォーカー&オール・スターズ英語版によるカバー・バージョンは、Billboard Hot 100で最高位52位、R&Bチャートで最高位35位を記録[43]し、バーン・エリオット&ザ・フェンメン英語版によるカバー・バージョンは全英シングルチャートで最高位14位を記録した[44]

日本では、RCサクセション1988年8月15日発売の『COVERS』(カバーズ)でカバー、王様が2005年に発売したアルバム『カブトムシ外伝』で独自の日本語詞をつけ、タイトルを「ゼニー」に変更してカバーしている[45]

2018年に公開された映画『クレイジー・リッチ!』では、シェリル・Kによるカバー・バージョンが使用された[46]

脚注

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出典

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  1. ^ a b Talevski 2006, p. 26.
  2. ^ a b Lewisohn 2013, p. 540.
  3. ^ a b c d Cogan & Clark 2003.
  4. ^ Rohter, Larry (2013年8月31日). “For a Classic Motown Song About Money, Credit Is What He Wants”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2013/09/01/arts/music/for-a-classic-motown-song-about-money-credit-is-what-he-wants.html?_r=1 2021年7月4日閲覧。 
  5. ^ Murray 2013, p. 225.
  6. ^ The Complete Motown Singles Vol. 1: 1959-61 (CD liner notes). New York: Hip-O Select/Motown/Universal Records.
  7. ^ a b The Hot 100 Chart”. Billboard (1960年4月18日). 2021年7月4日閲覧。
  8. ^ a b Barrett Strong Chart History (Hot R&B/Hip-Hop Songs)”. Billboard. 2021年7月4日閲覧。
  9. ^ Marcus, Greil (2015). The History of Rock 'n' Roll in Ten Songs. New Haven: Yale University Press. p. 169 
  10. ^ Barrett Strong – "Money (That's What I Want)"”. Classic Motown. Universal Music Enterprises. 2018年12月16日閲覧。
  11. ^ Wyman, Bill (2017年6月7日). “All 213 Beatles Songs, Ranked From Worst to Best”. Vulture.com. 2018年12月16日閲覧。
  12. ^ The Beatles - Money (That's What I Want) - ultratop.be” (French). Ultratop 50. 2021年7月4日閲覧。
  13. ^ Womack 2016, p. 352.
  14. ^ a b c Everett 2001, p. 184.
  15. ^ Everett 2001, p. 185.
  16. ^ Womack 2009, p. 287.
  17. ^ Womack 2009, p. 291.
  18. ^ Pollock 2011, p. 56.
  19. ^ Womack 2016, p. 116.
  20. ^ Winn 2008, p. 88.
  21. ^ Live At The BBC (Vol.2)”. thebeatles.com. 2021年7月5日閲覧。
  22. ^ Time Out London Music (2019年5月17日). “The 50 Best Beatles Songs”. Time Out London. Time Out England Limited. 2021年7月5日閲覧。
  23. ^ Music Review: Ringo Starr's peace and love fills up new album”. The Mainichi. The Mainichi Newspapers (2019年10月24日). 2021年7月5日閲覧。
  24. ^ Stannard 1982, pp. 19, 21.
  25. ^ Cateforis, Theo (2011). Are We Not New Wave? : Modern Pop at the Turn of the 1980s. University of Michigan Press. p. 97. ISBN 978-0-472-03470-3. https://books.google.com/books?id=-MVrM3zKrHQC&pg=PA97 
  26. ^ Howe, Brian (2020年9月18日). “David Toop: Apparition Paintings Album Review”. Pitchfork. 2021年7月5日閲覧。
  27. ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2021年7月5日閲覧。
  28. ^ a b The Hot 100 Chart”. Billboard (1980年1月19日). 2021年7月5日閲覧。
  29. ^ "Austriancharts.at – The Flying Lizards – Money" (in German). Ö3 Austria Top 40. 2021年7月5日閲覧。
  30. ^ "Ultratop.be – The Flying Lizards – Money" (in Dutch). Ultratop 50. 2021年7月5日閲覧。
  31. ^ "Top RPM Singles: Issue 0141a." RPM. Library and Archives Canada. 2021年7月5日閲覧。
  32. ^ InfoDisc : Tous les Titres par Artiste” (フランス語). InfoDisc. 2013年9月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月5日閲覧。
  33. ^ "Nederlandse Top 40 – The Flying Lizards - Money" (in Dutch). Dutch Top 40. 2021年7月5日閲覧。
  34. ^ "Dutchcharts.nl – The Flying Lizards – Money" (in Dutch). Single Top 100. 2021年7月5日閲覧。
  35. ^ charts.nz - The Flying Lizards - Money”. Top 40 Singles. 2022年3月27日閲覧。
  36. ^ The Flying Lizards - Awards”. AllMusic. All Media Network. 2012年11月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月5日閲覧。
  37. ^ Cash Box Top 100 2/02/80”. Cash Box (1980年2月2日). 2021年7月5日閲覧。
  38. ^ Forum - ARIA Charts: Special Occasion Charts - Top 100 End of Year AMR Charts - 1980s”. Australian-charts.com. Hung Medien. 2021年7月5日閲覧。
  39. ^ Top 100 Singles”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年1月16日閲覧。
  40. ^ End of Year Charts 1980”. Recorded Music New Zealand. 2021年7月5日閲覧。
  41. ^ Eder, Bruce. The Kingsmen - The Best of the Kingsmen [Rhino] | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年7月5日閲覧。
  42. ^ Whitburn, Joel (2006). The Billboard Book of Top 40 R&B and Hip Hop Hits. New York: Billboard Books. p. 322. ISBN 0-8230-8283-0 
  43. ^ Junior Walker - Awards”. AllMusic. 2016年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月5日閲覧。
  44. ^ Official Singles Chart Top 50”. Official Charts Company (1963年12月19日). 2021年7月5日閲覧。
  45. ^ 王様が語るニューアルバム『カブトムシ外伝』の全貌&全曲試聴”. BARKS. ジャパンミュージックネットワーク株式会社 (2005年12月15日). 2021年7月5日閲覧。
  46. ^ マドンナやコールドプレイのカバー、Miguelの新曲も 『クレイジー・リッチ!』はサントラも話題”. Real Sound. 株式会社blueprint (2018年9月15日). 2021年7月5日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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