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レイン (ビートルズの曲)

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ビートルズ > 作品リスト > レイン (ビートルズの曲)
ビートルズ > 曲名リスト > レイン (ビートルズの曲)
レイン
ビートルズ楽曲
英語名Rain
リリース
  • アメリカ合衆国の旗 1966年5月30日
  • イギリスの旗 1966年6月10日
  • 日本の旗 1966年6月15日
規格7インチシングル
A面ペイパーバック・ライター
録音
ジャンルサイケデリック・ロック[1][2]
時間2分59秒
レーベル
作詞者レノン=マッカートニー
作曲者レノン=マッカートニー
プロデュースジョージ・マーティン
チャート順位
後述を参照
ビートルズ シングル U.K. 年表
ビートルズ シングル U.S.、日本 年表
パスト・マスターズ Vol.2 収録曲
ペイパーバック・ライター
(3)
レイン
(4)
レディ・マドンナ
(5)
ミュージックビデオ
「Rain」 - YouTube

レイン」(Rain)は、ビートルズの楽曲である。1966年5月に発売されたシングル盤『ペイパーバック・ライター』のB面曲で、「ペイパーバック・ライター」と同様にアルバム『リボルバー』のセッション中にレコーディングされたが、いずれも同作には未収録となった。レノン=マッカートニー名義となっているが、主にジョン・レノンによって書かれた楽曲で、レノンは「常に天気に一喜一憂している人々について歌ったもの」と語っている[3]

本作はレコード化された楽曲としては初めてリズムトラック、ベース、バッキング・ボーカルをテープ速度を操作して録音した楽曲である[4]ポール・マッカートニーは歌うようなベースラインを弾き、ジョージ・ハリスンはギターでインド風のフレーズを演奏している[5]。なおリンゴ・スターは、本作のドラミングをベストプレイとしている[6]ミュージック・ビデオは3種類制作された。

背景・曲の構成

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1964年6月11日、ビートルズはニール・アスピノールと共に、オーストラリアのシドニーに訪れたが、当日は雨が降っていた[7]。レノンは「こんなにひどい雨はタヒチで見て以来だ」と語り、本作について「歌詞は常に天気に一喜一憂している人々について歌ったもの」と説明している[3]。なお、歌詞に出てくる「Rain」と「Sun」が、LSDのトリップ時に体験する現象の1つであることから、薬物に対する言及という解釈もなされている[8]

「レイン」はシンプルな構成となっており、キーはGメジャーに設定されている。ギターのイントロの後にスネアドラムが入り、ヴァースへと続く。ヴァースは9小節長で、4分の4拍子となっている。最初の2小節はGコードで、3小節目と4小節目でCコードに移行したのち、5小節目と6小節目でGコードに戻る。4番のヴァースとリフレインの後にドラムソロとギターソロが入り、1拍ブレイクする。これに続いて逆回転させたレノンのボーカルが入る[9]。音楽学者のウォルター・エヴェレット英語版は、本作のエンディングについて「ビートルズが『フェードインフェードアウトを使用したコーダ』の先駆者であることを示す例」と述べている[10]

音楽評論家のアラン・コジン英語版は、マッカートニーのベースについて「指板をくまなく使った独創的な対位法」「レノンとマッカートニーがほのかに中近東を思わせるメロディーを4分の1拍子で奏でている間、マッカートニーはまずHigh-Gを打ち鳴らし、20ビートを安定させたまま弾くことで、曲のドローンを表現している」と評している[11]

レコーディング

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「レイン」のレコーディングは、EMIレコーディング・スタジオで1966年4月14日から16日にかけて行われた[12][13]。ビートルズは、後に発売されたアルバム『リボルバー』で見られるようなADTの導入やテープ・エフェクトの使用など、レコーディングで実験を行うことに夢中になっていた[14]。バッキング・トラックはテープの回転速度を通常よりも速めB♭で録音され[15]、レノンのボーカルは逆に遅くして録音された。これにより、通常再生するとレノンの声が高く聴こえるようになった[16]

最後のヴァースでは、レノンのボーカルの一節が逆回転になっており、逆に再生された音源がレコード化された最初の例となった[17]。1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューで、レノンは「スタジオから家に帰ってきて、あの時はちょっとマリファナで酔っていたのかな。とにかくいつものようにその日にレコーディングしたテープをプレイバックしようとしていたんだけど、たまたまテープを逆にセットしちゃってて…。翌日スタジオに着いてから「これ使えるかもしれないから聴いてみて」って言って逆再生させたんだ。フェードアウト部分はギターも歌も逆再生になってる。(歌い出す)"Sharethsmnowthsmeanss!"…って感じでね。これはマリファナの神が与えたもうたものだ」[17][18][19]と語っているが、ジョージ・マーティンは「私はいつもテープを扱っていて、ジョンの声で何か特別なことができないものかと考えていた。そこで、私はジョンのリード・ボーカルの一部を4トラックから抜き出して、別のスプーリングに入れて逆回転させてから、うまく合うように調整した。その時外出していたジョンが戻ってきて、たいそう驚いていた」と語っている[15]

本作での使用楽器は、1965年製のグレッチ・ナッシュビル(レノン)、1964年製のリッケンバッカー・4001ポール・マッカートニー)、ギブソン・SGジョージ・ハリスン)、ラディック・ムッサードラムセットリンゴ・スター[20][13]

リリース・評価

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「レイン」は、アメリカで1966年5月30日にキャピトル・レコードより発売されたシングル盤『ペイパーバック・ライター』のB面に収録され、イギリスでは6月10日に発売された。その後コンピレーション・アルバム『パスト・マスターズ Vol.2』に収録され、アメリカでは1970年に発売されたキャピトル編集盤『ヘイ・ジュード』や『レアリティーズ Vol.2』にも収録された[13]

B面曲ながら、アメリカでは1966年7月9日付のBillboard Hot 100で最高位23位を記録[21]し、『ローリング・ストーン』誌が発表した「オールタイム・グレイテスト・ソング500」では463位にランクインした[22]。アメリカのラジオ局WAXQのランキング「THE TOP 1,043 CLASSIC ROCK SONGS OF ALL TIME: DIRTY DOZENTH EDITION」では382位にランクインした[23]

スターは、本作におけるドラミングをベストプレイとして挙げており、1984年にスターは「これまでバンドが作ったどのレコードよりもすごい。『レイン』には驚かされる。左チャンネルから僕の演奏が聴こえるんだけど、そこに僕の『レイン』があるんだ」と語っている[24]

本作におけるスターのドラミングについては、音楽評論家のイアン・マクドナルド英語版や『ローリング・ストーン』誌も称賛しているほか[20][25]、『オールミュージック』のリッチー・アンタ―バーガー英語版は「創造的なドラムブレイク」と評している[26]

音楽評論家のジム・デロガティス英語版は、本作について「ビートルズ初の素晴らしいサイケデリック・ロック・ソング」と評している[27]

プロモーション・フィルム

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「レイン」のプロモーション・フィルムは3種類制作された[28]。これらのフィルムは、初期のミュージック・ビデオの先駆けとされており[29]ジョージ・ハリスンは映像作品『ザ・ビートルズ・アンソロジー』で「ある意味じゃMTVは僕らの発明かもしれないね」と冗談めかして語っている[30]

3種類のプロモーション・フィルムは、いずれもマイケル・リンゼイ=ホッグが監督を務めたもので、1つは1966年5月20日に撮影したチジック・ハウスの庭園や温室でメンバーが演奏しているもので[28][31]、残りの2つは1966年5月19日に撮影したサウンド・ステージ英語版でメンバーが演奏している様子で構成されている[注釈 1][28][31]。撮影の半年前にマッカートニーは、バイク事故で前歯を折っていたため、歯を見せないように意識して歌っている[32][31]

制作されたプロモーション・ビデオのうち2種類が、映像作品『ザ・ビートルズ・アンソロジー』や『ザ・ビートルズ 1+』に収録された。

クレジット

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※出典[20]

チャート成績

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チャート (1966年) 最高位
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[33] 12
US Billboard Hot 100[21] 23

主なカバー・バージョン

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脚注

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注釈

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  1. ^ こちらのみカラー映像とモノクロ映像が2種類制作されており、『エド・サリヴァン・ショー』ではカラー映像、イギリスの音楽番組ではモノクロ映像が放送された。

出典

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  1. ^ Willams, Stereo (2017年4月13日). “The Beatles’ ‘Revolver’ Turns 50: A Psychedelic Masterpiece That Rewrote the Rules of Rock”. Daily Beast. https://www.thedailybeast.com/the-beatles-revolver-turns-50-a-psychedelic-masterpiece-that-rewrote-the-rules-of-rock 2020年8月31日閲覧。 
  2. ^ The 50 Best Beatles songs” (英語). Time Out London. Time Out Group (2019年5月17日). 2020年9月1日閲覧。
  3. ^ a b The Beatles 2000, p. 212.
  4. ^ Reising & LeBlanc 2009, pp. 94, 95.
  5. ^ ビートルズと60年代 1996, p. 229.
  6. ^ Miles 1997, p. 280.
  7. ^ The Beatles 2000, p. 140.
  8. ^ MacDonald 2005, pp. 196–197.
  9. ^ Pollack 1993.
  10. ^ Everett 2009, p. 154.
  11. ^ Kozinn, Allan (1995). The Beatles. London: Phaidon. p. 143 
  12. ^ Lewisohn 1988, p. 74.
  13. ^ a b c Fountenot 2008.
  14. ^ Lewisohn 1988, p. 70.
  15. ^ a b Emerick & Massey 2006, p. 117.
  16. ^ Lewisohn 1988, p. 83.
  17. ^ a b ジョンとヨーコ ラスト・インタビュー 1990.
  18. ^ Sheff 2000, p. 217.
  19. ^ Gilliland 1969, show 37, track 4.
  20. ^ a b c MacDonald 2005, p. 196.
  21. ^ a b The Hot 100 Chart”. Billboard (1966年7月9日). 2020年9月1日閲覧。
  22. ^ Rolling Stone 2004b.
  23. ^ The Top 1,043 Classic Rock Songs of All Time: Dirty Dozenth Edition”. Clear Channel Media and Entertainment. 2020年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月1日閲覧。
  24. ^ Ringo's Greatest Hit”. Rolling Stone. Penske Media Corporation (2010年4月14日). 2020年9月1日閲覧。
  25. ^ Rolling Stone 2004a.
  26. ^ Unterberger, Richie. Rain - The Beatles | Song Info - オールミュージック. 2020年9月1日閲覧。
  27. ^ DeRogatis 2003, p. 43.
  28. ^ a b c Neaverson 2009.
  29. ^ BBC 2008.
  30. ^ The Beatles 2000, p. 214.
  31. ^ a b c Ritchie 2008.
  32. ^ Miles 1998.
  33. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Rain" (in French). Ultratop 50. 2020年10月27日閲覧。
  34. ^ Rain / She's A Woman - RCA Victor - USA - 47-9757 - José Feliciano”. 45cat. 2020年9月1日閲覧。
  35. ^ Faithful - Todd Rundgren | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月1日閲覧。
  36. ^ Polyrock - Changing Hearts (1981, Vinyl)”. Discogs. Zink Media. 2020年9月1日閲覧。
  37. ^ I Wonder - The Gants | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月1日閲覧。
  38. ^ Dreams - The Allman Brothers Band | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月1日閲覧。
  39. ^ Planer, Lindsay. 712 - Shonen Knife | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月1日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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