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Ωカーブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Ωカーブ(オメガカーブ)は、道路線路において急勾配を越えるために急カーブを繰り返した結果として、上空から見た場合にギリシア文字の"Ω"のように見える路線形通称である。

なお、つづら折り(ヘアピンカーブ)やループ線はΩカーブとは区別される。

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例えば、Ωカーブは以下の場所に存在している。

道路

鉄道

下記の場所にも、現存していないが、過去にはΩカーブが存在していた。

名阪国道

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名阪国道[R 6]の上記区間がΩカーブとして特に有名である。 この区間は大和高原側から奈良盆地方面へ順に『高峰カーブ』·『中畑カーブ』·『米谷カーブ』·『大道カーブ』の4つのカーブから成り[R 7]、急カーブや急勾配が11km連続して標高差414メートルを繋いでいる[R 8]。 特に大道カーブの最大下り勾配6%および最小曲線半径150mは道路構造令で定められている限界値である[R 9]

そのため最高速度は、名阪国道で構造規格第一種第三級(設計速度80km/h)で建設された区間では実態に合わせようと70km/hに引き上げられたが、第一種第四級(設計速度60km/h)で建設されたΩカーブの区間では60km/hに制限されている[A 2]。 しかし、名阪国道全体が自動車専用道路の高規格で建設されているせいもあって大半の車輛が80km/h以上で進入して来るのが現状である。 そして、名阪国道の通行料が無料であることから、特にトラックなどの大型車の混入率も40%と高く、昼夜問わず混雑し、渋滞が頻発している。

このために、死亡事故率が全国ワースト1位である名阪国道の中で、本区間はその6割の事故が集中している[R 8]場所であり、特に下り車線での事故が多い[R 10][R 11]降雨によるスリップ事故をはじめとして、濃霧による視界不良による衝突事故も発生している。 下り車線においてカーブ外側となる中央分離帯のコンクリートブロックには車輛の接触痕が多数存在しており[R 12]、本線外への転落事故すらも発生している[R 13][R 14][R 15]。 また、冬季積雪による路面凍結の中でも約4割の車輌がノーマルタイヤでの走行であり[R 16]、これが更なる事故を誘発している。

事故対策として、本区間には多機能型排水性舗装が施され[R 17]、道路照明もナトリウムランプから演色性に優れるセラミックメタルハライドランプへ交換されている[R 16]。 その結果として、スリップ事故の抑制が確認されている[R 18][R 7][R 16]。 また、ドライバーに対する連続式視線誘導施設が、その点灯時には道路線形の認知とカーブ流入時の十分な減速を、消灯時には路面前方の目標物を探しながらの減速を、それぞれ促すべく設置されている[R 19]

注釈・出典

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  1. ^ 本区間を奈良県道192号福住横田線が急勾配で短絡している。
  2. ^ 福住ICから天理東ICまでの下り線の区間の一部では、速度制限が当初は50 km/hに設定されていた。
  1. ^ 主要地方道郡山湖南線三森I工区を供用開始します。』(pdf)(プレスリリース)福島県 土木部 道路整備課 · 福島県 県中事務所 道路課、2021年11月27日https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/library/211117sanmori.pdf 
  2. ^ 「Ωカーブ」誕生 郡山湖南線三森I工区まもなく開通 ヘアピンカーブ解消へ」『乗りものニュースメディア·ヴァーグ、2021年11月25日。
  3. ^ 【郡山湖南線三森I工区が開通します!!】』(pdf)(プレスリリース)福島県、2021年11月28日https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/482263.pdf 
  4. ^ 郡山湖南線 三森Ⅰ工区の道路改良工事について』(pdf)(プレスリリース)福島県、2021年12月31日https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/252025.pdf 
  5. ^ 伊那電車軌道(後の伊那電気鉄道)/Ωカーブ 伊那谷の悲願が生んだΩカーブ” (PDF). 国土交通省 中部地方整備局. 2022年3月31日閲覧。
  6. ^ 中部圏と関西圏を結ぶ大動脈 名阪国道 より安全で円滑な道路をめざします” (PDF). 国土交通省 近畿地方整備局 奈良国道事務所. 2022年3月31日閲覧。
  7. ^ a b 渡邉大介. “一般有料道路のアセットマネジメントと新しい舗装技術(民間有料道路の維持管理事例)” (PDF). 国際協力機構. 2019年2月7日閲覧。
  8. ^ a b 喜多良樹. “「魔」は道にあらず人にあり” (PDF). 京都府トラック協会. 2021年12月31日閲覧。
  9. ^ 道路構造令について (2) ~道路構造の各規程~” (PDF). 国土交通省. 2022年3月31日閲覧。
  10. ^ 米田優人名阪国道、魔の「Ωカーブ」なぜ生まれた 急勾配6%も」『朝日新聞デジタル朝日新聞社、2018年10月20日。
  11. ^ 大型トラック横転 23歳女性運転手が軽傷 名阪国道」『産経ニュース産経新聞社、2016年12月27日。
  12. ^ 【特集】事故多発「名阪国道Ωカーブ」」『MBSテレビ毎日放送、2017年5月2日。オリジナルの2017年5月9日時点におけるアーカイブ。
  13. ^ 名阪国道でトラック転落 男性運転手が意識不明の重体、ガードレール倒して10メートル下へ」『産経ニュース産経新聞社、2016年6月19日。
  14. ^ トラック衝突事故、名阪国道上で“炎上” 1遺体見つかる 奈良」『産経ニュース産経新聞社、2016年7月3日。
  15. ^ トラック35m転落、1人死亡 奈良の名阪国道」『毎日新聞毎日新聞社、2016年7月3日。
  16. ^ a b c 国道25号名阪国道事故対策検証と考察」(PDF)『近畿地方整備局研究発表会』第2011巻第11号、国土交通省 近畿地方整備局、02頁。 
  17. ^ 多機能型排水性舗装(FFP)施工による事故件数低減等の効果について」(PDF)『近畿地方整備局研究発表会』第2016巻第05号、国土交通省 近畿地方整備局、17頁。 
  18. ^ ガイアート. “フル·ファンクション·ペーブ(FFP) 防水機能や凍結抑制機能を併せ持つ多機能型排水性舗装(縦溝粗面型ハイブリット舗装)” (PDF). 新技術·新工法説明会. 国土交通省 九州地方整備局. pp. 32-44. 2021年11月18日閲覧。
  19. ^ 土田健次. “視線誘導効果にすぐれた連続式視線誘導施設について” (PDF). 国土技術研究会. 国土交通省. 2007年10月16日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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