インターナショナル・ダガー賞
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インターナショナル・ダガー賞(インターナショナル・ダガーしょう、The International Dagger )は、CWA賞の1つで、英国推理作家協会がその年の優れた翻訳小説に与える文学賞。受賞者は装飾された短剣(ダガー)と賞金5,000ポンドが、翻訳者には1,000ポンドが贈られる。
翻訳小説は2005年まではゴールド・ダガー賞に含まれていた[注 1]が、2006年より分割された。第1回の受賞者はフランスのフレッド・ヴァルガスの『死者を起こせ』(訳:シャン・レイノルズ)だった。ヴァルガスとレイノルズは2007年と2009年にも受賞している。
ロンドンのプライベートバンク「ダンカン・ローリー」が2006年からCWA賞のスポンサーを務めていたため、賞の名は「ダンカン・ローリー・インターナショナル・ダガー賞」であったが、2008年にスポンサーを撤退したため、2009年からは単に「インターナショナル・ダガー賞」となった。2020年からは、Crime Fiction in Translation Daggerの名称に変更された。
各年の結果
[編集]2006年 - 2007年 - 2008年 - 2009年 - 2010年 - 2011年 - 2012年 - 2013年 - 2014年 - 2015年 - 2016年 - 2017年 - 2018年 - 2019年 - 2020年 - 2021年 - 2022年
2006年 - 2009年
[編集]- 2006年[1]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 フレッド・ヴァルガス 『死者を起こせ』
(英語:The Three Evangelists )Debout les morts シャン・レイノルズ ノミネート アンドレア・カミッレーリ Excursion to Tindari La gita a Tindari スティーヴン・サルタレッリ ヤスミナ・カドラ Autumn of the Phantoms L'Automne des Chimeres オーブリー・ボツフォード Dominique Manotti Dead Horsemeat À nos chevaux! アマンダ・ホプキンソン
ロス・シュワルツホーカン・ネッセル 『終止符 ピリオド』
(英語:Borkmann's Point )Borkmanns punkt ローリー・トンプソン ラファエル・レイグ Blood on the Saddle Sangre a borbotones ポール・ハモンド
- 2007年[2]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 フレッド・ヴァルガス Wash This Blood Clean from My Hand Sous les vents de Neptune シャン・レイノルズ ノミネート カーリン・アルヴテーゲン 『恥辱』
(英語:Shame )Skam スティーヴン・T・マレイ Christian Jungersen The Exception Undtagelsen アンナー・パタースン ヤスミナ・カドラ 『テロル』
(英語:The Attack )L'Attentat ジョン・カレン オーサ・ラーソン 『オーロラの向こう側』
(英語:The Savage Altar )Solstorm Marlaine Delargy ジョー・ネスボ 『コマドリの賭け』
(英語:The Redbreast )Rødstrupe ドン・バートレット
- 2008年[3]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 Dominique Manotti Lorraine Connection アマンダ・ホプキンソン / ロス・シュワルツ ノミネート アンドレア・カミッレーリ The Patience of the Spider La pazienza del ragno スティーヴン・サルタレッリ スティーグ・ラーソン 『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』
(英語:The Girl with the Dragon Tattoo )Män som hatar kvinnor レグ・キーランド マルティン・ズーター A Deal with the Devil Der Teufel von Mailand ピーター・ミラー フレッド・ヴァルガス This Night's Foul Work Dans les bois éternels シャン・レイノルズ
- 2009年[4]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 フレッド・ヴァルガス 『青チョークの男』
(英語:The Chalk Circle Man )L'Homme aux cercles bleus シャン・レイノルズ ノミネート カーリン・アルヴテーゲン 『影』
(英語:Shadow )Skugga マッキンリー・バーネット アーナルデュル・インドリダソン Arctic Chill Vetrarborgin バーナード・スカダー
ヴィクトリア・クリブスティーグ・ラーソン 『ミレニアム2 火と戯れる女』
(英語:The Girl Who Played with Fire )Flickan som lekte med elden レグ・キーランド ジョー・ネスボ The Redeemer Frelseren ドン・バートレット ヨハン・テオリン 『黄昏に眠る秋』
(英語:Echoes from the Dead )Skumtimmen Marlaine Delargy
2010年 - 2014年
[編集]- 2010年[5]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 ヨハン・テオリン 『冬の灯台が語るとき』
(英語:The Darkest Room )Nattfåk Marlaine Delargy ノミネート トニーノ・ベナキスタ Badfellas Malavita エミリー・リード アンドレア・カミッレーリ August Heat La Vampa d'Agosto スティーヴン・サルタレッリ スティーグ・ラーソン 『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』
(英語:The Girl Who Kicked the Hornets' Nest )Luftslottet som sprängdes レグ・キーランド デオン・マイヤー Thirteen Hours 13 Uur K・L・シーガーズ アーナルデュル・インドリダソン Hypothermia Harðskafi ヴィクトリア・クリブ
- 2011年[6]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 ルースルンド & ヘルストレム 三秒間の死角
(英語:Three Seconds )Tre sekunder カリ・ディクソン ノミネート アンドレア・カミッレーリ The Wings of the Sphinx Le Ali della Sfinge スティーヴン・サルタレッリ エルネスト・マッジョ Needle in a Haystack La aguja en el pajar ジェトロ・スーター ジャン=フランソワ・パロ The Saint-Florentin Murders Le Crime de l'hôtel Saint-Florentin ハワード・カーティス ヴァレリオ・ヴァレーシ River of Shadows Il Fiume delle Nebbie ジョセフ・ファレル フレッド・ヴァルガス An Uncertain Place Un lieu incertain シャン・レイノルズ ドミンゴ・ヴィリャ Death on a Galician Shore La playa de los ahogados ソニア・ソト
- 2012年[7]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 アンドレア・カミッレーリ The Potter's Field Il campo del vasaio スティーヴン・サルタレッリ ノミネート オーサ・ラーソン Until Thy Wrath Be Past Till dess din vrede upphör ローリー・トンプソン ジョー・ネスボ Phantom Gjenferd ドン・バートレット マウリッツィオ・ド・ジョヴァンニ I will have Vengeance Il senso del dolore アンネ・ミラノ・アペル ヴァレリオ・ヴァレーシ The Dark Valley Le ombre di Montelupo ジョセフ・ファレル デオン・マイヤー 追跡者たち
(英語:Trackers )Spoor T・K・L・シーガーズ
- 2013年[8]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 フレッド・ヴァルガス Ghost Riders of Ordebec L'armée furieuse シャン・レイノルズ ピエール・ルメートル その女アレックス
(英語:Alex)Alex フランク・ウイン ノミネート D. A. Mishani The Missing File תיק נעדר スティーヴン・コーエン ルースルンド&ヘルストレム Two Soldiers Två Soldater カリ・ディクスン マルコ・ヴィッチ Death in Sardinia Il nuovo venuto スティーヴン・サルタレッリ フェルディナント・フォン・シーラッハ コリーニ事件
(英語:The Collini Case )Der Fall Collini Anthea Bell
- 2014年[9]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 アルトゥーロ・ペレス=レベルテ The Siege El Asedio フランク・ウイン ノミネート アーナルデュル・インドリダソン Strange Shores Furðustrandir Victoria Crib ピエール・ルメートル 悲しみのイレーヌ
(英語:Irène)Travail soigné フランク・ウイン Olivier Truc Forty Days without Shadow Louise Rogers LaLaurie Simon Urban Plan D Plan D Katy Derbyshire フレッド・ヴァルガス 論理は右手に
(英語:Dog Will Have His Day)Un peu plus loin sur la droite シャン・レイノルズ
2015年 - 2019年
[編集]- 2015年[10]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 ピエール・ルメートル 『傷だらけのカミーユ』
(英語:Camille)Camille フランク・ウイン ノミネート Leif G. W. Persson Falling Free, As If In A Dream Faller fritt som i en dröm Paul Norlen デオン・マイヤー Cobra Kobra K. L. Seegers ドローレス・レドンド The Invisible Guardian El guardián invisible Isabelle Kaufeler アンドレアス・ノーマン Into a Raging Blaze En rasande eld Ian Giles
- 2016年
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 ピエール・ルメートル 『天国でまた会おう』
(英語:The Great Swindle)Au revoir là-haut フランク・ワイン ノミネート ザーシャ・アランゴ 『悪徳小説家』
(英語:The Truth and Other Lies)Die Wahrheit und andere Lügen イモジェン・テイラー デオン・マイヤー Icarus Ikarus K・L・シーガーズ Cay Rademacher The Murderer in Ruins ピーター・ミラー 横山秀夫 Six Four 『64 (ロクヨン)』 ジョナサン・ロイド・デイヴィス
- 2017年
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 Leif G. W. Persson The Dying Detective Den döende detektiven ニール・スミス ノミネート アントニオ・マンツィーニ A Cold Death Anthony Shugaar ピエール・ルメートル 『死のドレスを花婿に』
(英語:Blood Wedding)Robe de marié フランク・ワイン ジャンリーコ・カロフィーリオ A Fine Line La regola dell'equilibrio ハワード・カーティス フレッド・ヴァルガス A Climate of Fear Temps glaciaires シャン・レイノルズ ドロレス・レドンド The Legacy of the Bones Legado en los huesos Nick Casiter & Lorenza Garcia
- 2018年
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 ヘニング・マンケル After the Fire Svenska gummistövlar Marlaine Delargy ノミネート オリヴィエ・ボッティーニ Zen and the Art of Murder Mord im Zeichen des Zen Jamie Bulloch ピエール・ルメートル Three Days and a Life Trois jours et une vie フランク・ワイン Jon Michelet The Frozen Woman La regola dell'equilibrio ハワード・カーティス ドロレス・レドンド Offering to the Storm Ofrenda a la tormenta Nick Casiter & Lorenza Garcia フレッド・ヴァルガス The Accordionist Sans feu ni lieu シャン・レイノルズ
- 2019年
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 Dov Alfon A Long Night in Paris Daniella Zamir ノミネート Karin Brynard Weeping Waters Maya Fowler & Isobel Dixon Gianrico Carofiglio The Cold Summer L'estate fredda Howard Curtis 東野圭吾 Newcomer 『新参者』 Giles Murray ホーカン・ネッセル The Root of Evil En helt annan historia Sarah Death Cay Rademacher The Forger Peter Millar
2020年 -
[編集]- 2020年[11]
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 Hannelore Cayre The Godmother Stephanie Smee ノミネート Marion Brunet Summer of Reckoning Katherine Gregor K. Ferrari Like Flies From Afar Adrian Nathan West Jorge Galán November Jason Wilson Sergio Olguín The Fragility of Bodies La fragilidad de los cuerpos Miranda France Antti Tuomainen Little Siberia David Hackston
- 2021年
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 Yun Ko-eun The Disaster Tourist Lizzie Buehler ノミネート フレドリック・バックマン Anxious People Neil Smith Roxanne Bouchard The Coral Bride David Warriner D.A. Mishani Three Jessica Cohen ミカエル・ニエミ To Cook a Bear Deborah Bragan-Turner Agnes Ravatn The Seven Doors Rosie Hedger
- 2022年
著者 作品 原題 翻訳者 受賞 Simone Buchholz Hotel Cartagena Rachel Ward ノミネート 伊坂幸太郎 Bullet Train 『マリアビートル』 Sam Malissa Sacha Naspini Oxygen Clarissa Botsford Samira Sedira People Like Them Lara Vergnaud Antti Tuomainen The Rabbit Factor David Hackston
注釈
[編集]- ^ 翻訳小説の受賞・ノミネートの例は2000年代に多く散見されるようになり、2005年には候補6作中4作が翻訳作品であった。
- 1994年候補 ペーター・ホゥ 『スミラの雪の感覚』(デンマーク)
- 2001年受賞 ヘニング・マンケル 『目くらましの道』(スウェーデン)
- 2002年受賞 ホセ・カルロス・ソモサ 『イデアの洞窟』(スペイン)
- 2003年候補 ボリス・アクーニン 『堕ちた天使―アザゼル』(ロシア)
- 2003年候補 カルロ・ルカレッリ "Almost blue" (イタリア)
- 2005年受賞 アーナルデュル・インドリダソン 『緑衣の女』(アイスランド)
- 2005年候補 カリン・フォッスム "Calling Out for You" (ノルウェー)
- 2005年候補 フリードリヒ・グラウザー 『狂気の王国』(スイス)
- 2005年候補 フレッド・ヴァルガス 『裏返しの男』(フランス)
出典
[編集]- ^ “The Duncan Lawrie International Dagger 2006”. 2012年6月2日閲覧。
- ^ “The Duncan Lawrie International Dagger 2007”. 2012年6月2日閲覧。
- ^ “The Duncan Lawrie International Dagger 2008”. 2012年6月2日閲覧。
- ^ “The CWA International Dagger 2009”. 2012年6月2日閲覧。
- ^ “Johan Theorin wins the CWA International Dagger 2010”. 2012年6月2日閲覧。
- ^ “Three Seconds wins the CWA International Dagger” (2011年7月22日). 2012年6月2日閲覧。
- ^ “Andrea Camilleri wins the CWA International Dagger 2012” (2012年7月5日). 2012年6月2日閲覧。
- ^ “CWA International Dagger shared” (2013年7月15日). 2014年3月13日閲覧。
- ^ “Winners Archive (2014)”. 2015年8月26日閲覧。
- ^ “This year's winner (2015)”. 2015年8月26日閲覧。
- ^ “Crime Fiction in Translation - The Crime Writers' Association”. 2020年10月2日閲覧。