ナーイアス
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(ネイアドから転送)
ナーイアス(古代ギリシア語:Ναιάς、Nāïas、複数形:ナーイアデス Ναιάδες、Nāïades)は、ギリシア神話に登場する淡水(泉や川)のニュンペーである[1]。ギリシア語の νάειν, naein(流れる)[2]に由来する。
日本語では長母音を省略してナイアス、ナイアデスとも表記される。海のニュンペーであるネーレーイスとは別である。
概説
[編集]各々の泉や河川には、1人または複数の固有のナーイアスがいる。ホメーロスによれば、ゼウスの娘である。別の説では、オーケアノスの一族とされる。通常、河川のナーイアスは、その河を領する河神の娘である[1]。
ナーイアスは人間の病を癒やす力があり、彼女たちのいる泉や河の水を飲むことでその力が発揮される。ナーイアスのいる水に入ることは冒涜とされ、侵犯者は病になり、また狂気に陥るとされる[1]。
ナーイアスに関する伝説は、古代ギリシアの様々な地方に残されている。人間の妻となることがあり、英雄の系譜には、ナーイアスが登場するものがある。エンデュミオーンや古代アテーナイの王エリクトニオスの妻はナーイアスであった[1]。
主なナーイアス
[編集]同名の登場人物が他にいることがあるので注意。
- アイグレー(Aiglē)
- アバルバレア(Abarbarea)
- アレトゥーサ(Arethousa)
- エケナイス(Echenais)
- オルセーイス(Orsēis)
- カスタリア(Kastalia)
- カリロエー(Kallirrhoē)
- クレウーサ(Kreousa)
- クレオカレイア(Kleochareia)
- コーリュキデス(Kōrykides) - 次の3人の総称
- サルマキス(Salmakis)
- ステュクス[3](Styks)
- ダプネー(Daphnē)
- ドロセア(Drosera)
- ノミアー(Nomiā)
- バテイア(Bateia)
- ハルピンナ(Harpinna)
- プラークシテアー(Prāksitheā)
- ペリボイア(Periboia)
- ピタネー(Pitanē)
- メリテー(Melitē)
- メンテー、ミンター(Menthē, Minthā)
- ララ(Lara)
- リライア(Lilaia)
- レーテー(Lēthē)
ナーイアスからの命名
[編集]- ナイアド - 海王星の衛星
- ナイアド - イギリス海軍の軽巡洋艦
- ナヤーデン - デンマーク海軍の駆逐艦
- アエグレ - 小惑星
- アレトゥーサ - 小惑星
- カスタリア - 小惑星
- カリロエ - 木星の衛星
- クレウサ - 小惑星
- リラエア - 小惑星
- ナヤス - 植物の属
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店、1960年、ISBN 4-00-080013-2