利用者:Kingfiser
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名前の由来は、カワセミの英語名「kingfisher」。入力の際、「h」が滑落して「Kingfiser」になってしまい、こんな名前になってしまいました。よろしくお願いします。英語版リンクはこちら(link to my English page)。写真はこちら。
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専門
主に生物の記事の作成や編集を行っています。ときどき他の分野に顔を出すことも。最近は出典の充実を心がけているつもりです。
現実ではコウイカ類や分類学、命名法、植物形態学を齧っています。趣味は洞窟・写真です。洞窟測量をします。知識は全然ありませんが、言語学も好きです。最近ラテン語の初級を履修し、一通りの文法ならわかるようになりました。
生物学全般、特に学名(命名規約)、植物/動物分類学、植物形態学、洞窟などに関して何か困ったことがあれば、ご遠慮なさらずお声がけください。
学名の「書き方」マニュアル
- 学名について
- 高校の教科書じゃ細かいところまで習いませんから、そりゃ正しく書けないのは当然の話。学名を命名するには各分類群の命名規約(動物ならICZN、植物ならICN)でかなり細かい規定がなされておりかなり難しいのですが、Wikipediaでそれを引用するだけならまず基本的なルールさえ知っておけば問題ありません。以下に大まかなルールとその根拠[注釈 1]を示していきます(但し、ICZN = 国際動物命名規約 第4版 2000, ICN = 国際藻類・菌類・植物命名規約 (深圳規約) 2018;細菌、古細菌およびウイルスに関してはここでは触れません)。
- 分類群について
- 生物の分類学的単位をタクソンと呼びます(ICZN 1.1)。普通これは「分類群」と訳されます(『岩波生物学辞典 第5版』 2013)。リンネ式階層分類において、あるタクソンは特定の分類階級に置かれます。
- 分類階級について
- 分類階級の基本は界 kingdom (regnum)・門 phylum/division (phylum/divisio)・綱 class (classis)・目 order (ordo)・科 family (familia)・属 genus・種 speciesです。国際藻類・菌類・植物命名規約(ICN)ではこれは一次ランクと呼ばれます(ICN 3.1)、それぞれの階級の前後に補助的な分類階級を挟むことが多くあります。国際動物命名規約(ICZN)では基本的な階級とその前後の補助的な階級をまとめて、「~階級群」といい、主に科階級群・属階級群・種階級群にあるタクソンのみ ICZN で規制されます (ICZN 1.2.2)。科階級群とは「上科,科,亜科,族,その他上科よりも低く属階級群よりも高い,必要に応じた任意の階級(たとえば亜族)に位置するタクソン」、属階級群とは「属・亜属の階級にあるタクソン」(寄集群も含む)、種階級群とは「種および亜種の階級にあるすべてのタクソン」を表す(ICZN 用語集)。ICNでは科と属の間に連 tribe (tribus)、属と種の間に節 section (sectio) と列 series、種より下に変種 variety (varietas) と品種 form (forma) を置き、これらを二次ランクと呼びます(ICN 4.1)。また、ICZNと同じように一次ランク、二次ランクに亜- sub- をつけて、またそれでも足りなければさらにランクを挿入して用いられます(ICN 4.2, 4.3)。
動物の学名 | |
Sepia officinalis Linnaeus, 1758 | ヨーロッパコウイカを表す種名 カール・フォン・リンネは1753年,ヨーロッパコウイカに対し Sepia officinalis と命名した.Sepia が属名,officinalis が種小名(属名とつなげて特定の種「ヨーロッパコウイカ」を指す名[注釈 2]).属名と種小名を並べて種を表した学名(二語名)を種名と呼ぶ.その隣に命名した人(著者名)と,その年(日付という)を書く. |
Acanthosepion esculentum (Hoyle, 1885) | コウイカを表す種名 Hoyle は1885年,コウイカを Sepia esculenta と命名したが,のち2023年に Lupše らによって Acanthosepion 属に移された[注釈 3].このように属が移動されるなどして新たな結合を形成した場合,最初の命名者及び日付を括弧内に入れて表記する. |
Acanthosepion esculentum (Hoyle, 1885) Lupše, Reid, Taite, Kubodera & Allcock, 2023 Acanthosepion esculentum (Hoyle, 1885) Lupše et al. , 2023 |
コウイカを表す種名(同上) もし,上記の Acanthosepion esculentum を Lupše らが属の移動を行ったことまで引用したい場合,左のように記す.学名が多数の著者に帰せられる場合,書かれている著作中で全員の名が挙げられていれば et al. (et alii,and others) を用いて、2行目のように省略して表記することができる. |
植物の学名 | |
Lycopodium clavatum L. Lycopodium clavatum L. (1753) |
ヒカゲノカズラを表す種名 カール・フォン・リンネは1753年,ヒカゲノカズラを Lycopodium clavatum と命名した.属名に続く学名は種小名ではなく,種形容語と呼ぶ.普通命名年は書かないが,書くとすれば2行目のように括弧に入れて付記する.動物ではリンネは Linnaeus または Linné と書かなければならないが,植物では L. と書くべきである. |
Corydalis solida (L.) Clairv. | オランダエンゴサクを表す種名 オランダエンゴサクはリンネによって Fumaria bulbosa var. solida L. と命名され,フィリップ・ミラーによって Fumaria solida (L.) Mill. と種に格上げされたのち, Joseph Philippe de Clairville によりキケマン属 Corydalis に移動された.この場合,間の Mill. は書かない. |
Illiciaceae A.C.Sm. | シキミ科を表す科名 シキミ属 Illicium をタイプ属とするシキミ科 Illiciaceae は Illicieae DC. を引用し正式発表されたが,属より上位の分類階級であるため,Illiciaceae (DC.) A.C.Sm. のようには引用されない. |
- 種名(属名 + 種形容語(ICN)/種小名(ICZN))
- 属名は大文字で書き始め、種形容語(動物では種小名)は小文字で書き始めなければなりません。動物では種名は「地の文と違う字体」(普通斜体)で印刷し、植物では決まりはないがこちらも通常イタリックで印刷されます。命名規約上はあまりきつい指定はないのですが、Wikipedia 内では学問上の慣習に従い斜体で表示するべきでしょう。また、Wikipedia の記事中ではTemplate:Sname(立体のとき;科以上)およびTemplate:Sname(斜体のとき;属・種名)の使用を強く推奨します。執筆者によってはリンクを張らない場合使わないことも多いですが、本来このテンプレートはリンクするためだけではなく、ラテン語化するためにあります。リンクさせる場合、{{sname||Brassica rapa}}とバー2本、リンクさせない場合{{sname|Brassica rapa}}とバー1本にすれば良いだけなので、非常に簡単です。
根拠
- ICZN 条5. 二語名法の原理.
5.1. 種名 他のどの階級のタクソンでもなく種だけについて,その学名は,2つの学名の結合(二語名)であり,第一名は属名であり,第二名は種小名である。属名は大文字で書き始めなければならず,種小名は小文字で書き始めなければならない[条28]. - ICZN 付録B 一般勧告
新学名の設立と形成に関して
6. 属階級群や種階級群のタクソンの学名は,地の文に使われているのとは異なる字体(フォント)で印刷すべきである.そういう学名は,通常,斜体で印刷されるが,高位のタクソンの学名には斜体を用いるべきではない.種階級群名はつねに小文字で始まるものであり,書くときはつねに属名(もしくはその略記)に続けるべきである.種より高位のあらゆるタクソンの学名は,大文字で始まる. - ICN 第VIII章 正字法と学名の性 勧告60F
60F.1. 種及び種内分類群のすべての形容語は小文字で書き始められるべきである. - ICN 序文 『規約』で使用されている体裁と基準
最近のすべての版と同様に,本『規約』でも学名はどのランクであれイタリックで印刷されている。印刷形式は編集のスタイルと伝統の問題であって命名法上の問題ではないので,本『規約』はこの点に関しては他を拘束する標準ではない。それにもかかわらず,国際的な統一性に関心のある編集者や著者は,『規約』の形式が概して好評で多数の植物学と菌類学の雑誌で採用されているため,この実例に従いたいと考えるだろう。本書では学名をよりはっきりと表示するために,学名の一部をなす word elements はイタリックとしているが,ラテン語の専門用語や表現はイタリックとしていない。
根拠
- ICZN 条4. 種階級群よりも高い階級のタクソンの学名.
4.1. 一語名 種階級群よりも高いタクソンの学名は,一語よりなる(すなわちその学名は一語名である).これは大文字で書き始めなければならない[条28].
根拠
- ICZN 条25
勧告 25A. 略記. 公表された著作物中である学名に最初に言及するときは,すべての構成要素を略さずに書くべきである.その後,二語名や三語名の一部に略記を用いる場合,その略記はあいまいでないやり方で行うべきであり,それが短縮していない単語だと誤解されないようにするために,常に終止符(ピリオド)を添えるべきである.
例. 蚊の学名 Aedes aegypti は,最初に言及するときはそのように書くべきである.しかし,その後は,A. aegypti (Aedes aegypti aegypti は A. a. aegypti)としてもよい.ただし,(例えば,Anopheles と)混同されるかもしれないときは,Aedes aegypti は Ae. aegypti のように略記してもよい(あいまいでないように,Anopheles のある種には An. macukipennis などとして用いる).
根拠
- ICZN 条22. 日付の引用
ある学名の公表の日付を引用する場合は,著者名に続ける(条51を見よ).
勧告22A. 引用.
22A.1. 日付の引用. あるタクソンを扱う著作物中で少なくとも一度,学名の公表の日付(およびその著者権,条50を見よ)を引用することを強く勧告する.これは,同名の場合や,原結合中でない種階級群名の場合,特に重要である.
22A.2. 引用方法. ある学名の公表の日付を引用するにあたり,著者は,
22A.2.1. 著者名と日付の間にカンマ1個以外のものを挿入するべきではない. - ICZN 条51. 著者名の引用
51.1. 著者名の使用は任意 著者名は,タクソンの学名の一部ではない.したがって,その引用は,習慣的であり望ましい場合がしばしばであるが,任意である.
勧告 51 A. 著者と日付の引用. 学名の著者と日付は,その学名で示されるタクソンを扱うどの著作物中でも,少なくとも1回は引用するべきである.これは,同名を区別したり原結合でない結合中の種階級群名を確認したりするときに特に重要である.ある著者の姓と名が混同されるおそれがあるときは,学術文献表中と同様の方法でそれらを区別するべきである. - ICN 第VI章 引用 第46条
46.1. 出版物,とりわけ分類学および命名法を扱う出版物では,たとえ初発表文への文献参照がなされていない場合でも,当該の学名の著者(第22.1条および第26.1条もみよ)を引用することが望ましい。その際には,以下の規定が適用される。
実例14 Streptophyta Caval.-Sm. (in Lewin, Origins of Plastids: 340. 1993) は,もともと infrakingdom(亜界 subkingdom と門 phylum の間のランクとして用いられた)のランクの学名として発表された。この学名が門のランクとして用いられるときでも,Streptophyta Caval.-Sm.(1993)と引用される。 - ICN 第VI章 引用 勧告50C
50C.1. 後続同名を引用する場合は,その先行同名の著者名を"non"という語の後に続けるべきであり,なるべくならば発表の日付をつけるのがよい。場合によっては"nec"という語を前につけてその他の同名も引用することが望ましい
実例1. Ulnus racemosa Thomas in Amer. J. Sci. Arts 19: 170. 1831, non Borkh. 1880.
根拠
- ICZN 条51
51.2. 著者権引用の形式. 著者名は,条51.3に規定する変更された結合中で引用する場合を除き,当該タクソンの学名の後にいかなる記号も挿入せずに続ける.
勧告51C. 多数の著者の引用. 3名以上の共著者が学名に責任あるとき,その学名のすべての著者が本文中か参照文献リスト中かを問わず同一著作物中のどこかに略さずに引用されていることを条件に,著者名の引用は,第一著者の名前に続けて用語"et al."を使用して示すことができる. - ICZN 付録B 一般勧告
学名の引用に関して
12. 学名の著者の苗字(姓)は,略記するべきではない.ただし,著者3人以上によって公表された学名の場合は,(原公表に書かれたのと同じ綴りで)筆頭著者の苗字だけを書き,それに用語"et al."("その他"という意味)を続けてもい.文献表中では,すべての著者の氏名を引用すべきである. - ICN 第VI章 引用 勧告46A
46A.4. ある人名を別の方法で短縮するよく確立された慣習がある場合には,その慣習に従うことが望ましい。
実例4. Augustin-Pyramus de Candolle は DC.; Saint-Hilaire は St.-Hil.; H. G. L. Reichenbach は Rchb. となる。 - ICN 第VI章 引用 勧告46C
46C.2. 3人以上の著者によって共同で発表された学名の後には,原発表を除いて,引用は最初の著者だけに限定し,"& al." [およびその他] または"et al."をあとにつけるべきである。
根拠
- ICZN 条51
51.3. 変更された結合における著者名(や日付)をくるむ丸括弧の使用. ある種階級群名が設立時の属ではない別の属名と結合するときは,その種階級群名の著者名を引用する場合は,それを丸括弧にくるむものとする(日付を引用する場合は,それの同一の丸括弧にくるむものとする).
勧告51G. 新結合を作成した人物の引用. 名義種階級群タクソンの著者とそれを初めて別属に移した人物の両方を引用したい場合,新結合を作った人物の名前は,その種階級群名の著者名(および,もし引用するなら,その日付.勧告22A.3を見よ)をくるんだ丸括弧の後に続けるべきである. - ICN 第VI章 引用 第49条
49.1 属あるいは属より下位のランクで基礎異名をもつ学名の著者の引用は,括弧に入れた基礎異名(第6.10条)の著者名をその学名自体の著者名の前に置くことで行う(第46.7条もみよ)。
49.2. 属より上位のランクの学名では,括弧に入れられた著者名の引用はなされない。
註
- ^ 長くて読みにくいのでデフォルトを非表示にしました
- ^ この種小名は属格(英語の所有格に相当)の名詞または形容詞であり,属名を修飾する.つまりこの場合,薬用の (officinalis) コウイカ (sepia) という意味になる.
- ^ なお,元の属 Sepia はラテン語の女性名詞であったため(ICZN 条30.1.1),もともと種小名も女性の形容詞 esculenta であり語尾は -a で終わっていた.それに対し,Acanthosepion は.最後の要素 -sepion がギリシア語で甲を表す σήπιον をそのまま換字したものであるため,ギリシア語 σήπιον の性である中性をとる(ICZN 条30.1.2).従って種小名も形容詞は中性である必要があるため,esculentum に変更された.
- ^ ただし、PhyloCode に基づく学名は全て斜体で表記されることになっています。これを意図したクレード名の場合、動物の分類群であっても斜体で表記される論文もあります。一方、ICZN 一般勧告において、高位のタクソンの学名には斜体を用いるべきではないと明記されているため、やはり基本的には立体で表記すべきでしょう。
- ^ 上記の表でも書きましたが、引用する「日付」は「年」のことを指します。
- ^ 下記の勧告22Aの通り、著者名と日付の間にはコンマ1個以外のものを入れてはならない。
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最初のころのものは出典や品質に不足のある項目も多いですがこれから加筆していくので温かく見守ってください。
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- 2023.11.19 - 満奇洞
- 2023.12.14 - フォニイ
- 2024.02.04 - 球果植物
- 2024.05.09 - グルーミング
- 2024.05.20 - アキシマクジラ
- 2024.06.12 - カエノラブディティス・エレガンス
- 2024.07.03 - 族 (分類学)
- 2024.07.26 - タカワラビ科
- 2024.07.27 - カニクサ属
- 2024.07.29 - マトニア科
- 2024.08.06 - タコ
- 2024.08.10 - ジュウモンジダコ属
- 2024.09.26 - 交接腕
- 2024.11.05 - サウィン祭
- 2024.11.30 - 亜属
参考にしている図書
→「利用者:Kingfiser/参考図書」を参照
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