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天元戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
天元戦
公式戦(七大タイトル)
前身 日本棋院選手権戦
関西棋院選手権戦
概要
主催 新聞三社連合日本棋院関西棋院
優勝賞金 1200万円
挑戦手合 五番勝負
棋戦形式 28名+αによる本戦トーナメントで挑戦者決定
持ち時間 3時間
秒読み 5分前より
創設年 1974年
開催時期 挑戦手合: 10-12月
本戦: 1-9月
公式サイト 日本棋院 天元戦
記録
現天元 一力遼(第50期)
名誉称号 林海峰(名誉天元)
井山裕太(名誉天元資格)
最多優勝 井山裕太(8期)
最長連覇 林海峰、井山裕太(5連覇)
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天元戦(てんげんせん)は、新聞5社連合(北海道新聞社中日新聞社神戸新聞社徳島新聞社西日本新聞社)及び日本棋院・関西棋院が主催する囲碁棋戦で、タイトル戦のひとつ。挑戦手合の勝者は天元のタイトル称号を得る。

概略

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前身は日本棋院選手権戦。創設にあたり、関西棋院でおこなわれていた関西棋院選手権戦(神戸新聞社主催)も統合された。

トーナメント戦による勝者がタイトル保持者と五番勝負を行い、優勝者を決める。毎年11月から12月にかけて五番勝負を行うことから、一年間の碁界を締めくくるタイトル戦である。名称は碁盤の中心点である「天元」から採られている。

トーナメント制である上に、同様の十段戦王座戦碁聖戦に比べて本戦トーナメントの出場枠が多い(28名+α)のが特徴で、小林光一片岡聡柳時熏羽根直樹河野臨・関航太郎ら若手が初タイトルとして戴冠することが多い棋戦となっている。

第1期から5期までは、トーナメントの優勝者が天元を名乗る制度であった(決勝戦が五番勝負)。1980年の第6期から、現在の挑戦手合五番勝負になった。

2009年の第35期から、七大タイトル戦では王座戦に続き、持ち時間3時間制を導入した。

2014年の第40期から、七大タイトルの序列4位から5位へ降格した[1]。また2023年以降は序列が4位に変更となる予定。

名誉天元

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天元戦を5連覇以上した棋士は、60歳以降に「名誉天元」を名乗る権利を得る。

棋士 通算 連覇
1 林海峰 5期 5連覇 1989-1993
2 井山裕太 8期 5連覇 2015-2019

歴代天元位

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棋士 生年 初奪年 通算 連覇
1 藤沢秀行 (1925-06-14) 1925年6月14日 1975 1期
2 小林光一 (1952-09-10) 1952年9月10日(72歳) 1976 5期 2連
3 島村俊廣 (1945-04-18) 1945年4月18日 1977 1期
4 加藤正夫 (1947-03-15) 1947年3月15日 1978 4期 4連
5 片岡聡 (1958-08-03) 1958年8月3日(66歳) 1982 2期 2連
6 石田芳夫 (1948-08-15) 1948年8月15日(76歳) 1984 1期
7 趙治勲 (1956-06-20) 1956年6月20日(68歳) 1987 2期 2連
8 林海峰 (1942-05-06) 1942年5月6日(82歳) 1989 5期 5連
9 柳時熏 (1971-12-08) 1971年12月8日(53歳) 1994 4期 3連
10 工藤紀夫 (1940-08-02) 1940年8月2日(84歳) 1997 1期
11 羽根直樹 (1976-08-14) 1976年8月14日(48歳) 2001 3期 3連
12 山下敬吾 (1978-09-06) 1978年9月6日(46歳) 2004 2期
13 河野臨 (1981-01-07) 1981年1月7日(43歳) 2005 3期 3連
14 張栩 (1980-01-20) 1980年1月20日(44歳) 2003 1期
15 結城聡 (1972-02-11) 1972年2月11日(52歳) 2010 1期
16 井山裕太 (1989-05-24) 1989年5月24日(35歳) 2011 8期 5連
17 高尾紳路 (1976-10-26) 1976年10月26日(48歳) 2014 1期
18 一力遼 (1997-06-10) 1997年6月10日(27歳) 2020 3期 2連
19 関航太郎 (2001-11-28) 2001年11月28日(23歳) 2021 2期 2連

歴代挑戦手合

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年度は五番勝負が行われた年。第6期から挑戦手合制に移行。左が勝者、◯●は勝者から見た勝敗。網掛けはタイトル保持者、もしくは前期優勝者。

開催年 優勝者 勝敗 準優勝
1 1975 藤沢秀行 3-1 大平修三
2 1976 小林光一 3-1 杉内雅男
3 1977 島村俊宏 3-1 苑田勇一
4 1978 加藤正夫 3-1 藤沢秀行
5 1979 加藤正夫 3-0 片岡聡
開催年 優勝者 勝敗 準優勝
6 1980 加藤正夫 3-0 山部俊郎
7 1981 加藤正夫 3-2 小林光一
8 1982 片岡聡 3-2 加藤正夫
9 1983 片岡聡 3-1 淡路修三
10 1984 石田芳夫 3-1 片岡聡
11 1985 小林光一 3-0 石田芳夫
12 1986 小林光一 3-1 苑田勇一
13 1987 趙治勲 3-2 小林光一
14 1988 趙治勲 3-2 苑田勇一
15 1989 林海峰 3-2 趙治勲
16 1990 林海峰 3-1 小林光一
17 1991 林海峰 3-1 加藤正夫
18 1992 林海峰 3-1 山城宏
19 1993 林海峰 3-1 片岡聡
20 1994 柳時熏 3○●○○1 林海峰
21 1995 柳時熏 3-2 小林光一
22 1996 柳時熏 3○●●○○2 林海峰
23 1997 工藤紀夫 3○○●○1 柳時熏
24 1998 小林光一 3●○○●○2 工藤紀夫
25 1999 小林光一 3○○○0 工藤紀夫
開催年 優勝者 勝敗 準優勝
26 2000 柳時熏 3○○○0 小林光一
27 2001 羽根直樹 3●○○○1 柳時熏
28 2002 羽根直樹 3○○○0 趙善津
29 2003 羽根直樹 3●○○●○2 山下敬吾
30 2004 山下敬吾 3○○○0 羽根直樹
31 2005 河野臨 3●○○●○2 山下敬吾
32 2006 河野臨 3○●○○1 山下敬吾
33 2007 河野臨 3●○○○1 山下敬吾
34 2008 張栩 3○○○0 河野臨
35 2009 山下敬吾 3○●○●○2 張栩
36 2010 結城聡 3○○○0 山下敬吾
37 2011 井山裕太 3○○○0 結城聡
38 2012 井山裕太 3○○○0 河野臨
39 2013 井山裕太 3○○○0 秋山次郎
40 2014 高尾紳路 3●○●○○2 井山裕太
41 2015 井山裕太 3○○○0 高尾紳路
42 2016 井山裕太 3○●○○1 一力遼
43 2017 井山裕太 3○○○0 一力遼
44 2018 井山裕太 3○●○●○2 山下敬吾
45 2019 井山裕太 3●○●○○2 許家元
46 2020 一力遼 3○●●○○2 井山裕太
47 2021 関航太郎 3○●○○1 一力遼
48 2022 関航太郎 3○●●○○2 伊田篤史
49 2023 一力遼 3●○○○1 関航太郎
50 2024 一力遼 3○●○○1 芝野虎丸

記録

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  • 最年長天元は、第3期島村俊宏の65歳。当時の史上最高齢タイトル記録でもあった。
  • 最年少天元は、第47期関航太郎の20歳。
  • 最多連続在位は林海峰、井山裕太の5期。
  • 挑戦手合い制度が採用される以前の第4期までは、天元のタイトルホルダーはトーナメント1回戦で敗退すると言うジンクスがあった。しかし、それを克服して第5期で天元連続獲得を達成したのが加藤正夫である。第6期からは挑戦手合い制度に移行した。
  • 山下敬吾は2003年、2005~2007年と挑戦権を獲得しており、本戦トーナメントにおいて22連勝の記録を持っている。
  • 趙治勲は第36期まで36期連続本戦出場した[注 1]

昇段規定

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  • 六段以下の棋士が、天元挑戦権を獲得した場合、七段に昇段する。
  • 七段の棋士が天元位を獲得した場合、八段に昇段する。
  • 八段で、他のタイトルを1期獲得している棋士が天元を獲得した場合、九段に昇段する。

この規定により、2005年に河野臨、2021年に関航太郎が八段へ、2020年に一力遼、2022年に関が九段へと昇段を果たした。また2003年にこの規定ができた際、柳時熏は過去の天元位4期獲得の実績により、七段から九段へと昇段している。

国外の天元戦

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他国にも似た名称の棋戦があり、優勝者には天元のタイトルが与えられる。

そのほか国際棋戦があり、中国と日本の天元が対局する「日中天元戦」は1988年から2002年まで開催、中国と韓国の天元が対戦する「中韓天元戦」は1997年から開催されている。

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ 天元位在位時を含む。第37期予選で林漢傑に敗れ、本戦出場ならず。

出典

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  1. ^ 朝日新聞 「七大タイトルの序列変更 囲碁」2014年5月27日

外部リンク

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