小樽港
小樽港 | |
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天狗山から眺めた小樽市街と小樽港(2011年8月) | |
所在地 | |
国 | 日本 |
所在地 | 北海道小樽市 |
座標 | 北緯43度12分09秒 東経141度00分47秒 / 北緯43.20250度 東経141.01306度座標: 北緯43度12分09秒 東経141度00分47秒 / 北緯43.20250度 東経141.01306度 |
詳細 | |
開港 | 1899年 |
管理者 | 小樽市産業港湾部 |
種類 | 重要港湾 |
面積 | 570.4ha |
統計 | |
統計年度 | 2014年 |
発着数 | 3,518(外航 478、内航 3,040)[1] |
貨物取扱量 | 10,058,856 トン[2] |
コンテナ数 | 14,654 TEU[3] |
公式サイト | 小樽市:小樽港について |
小樽港(おたるこう)は、北海道小樽市にある港湾。港湾管理者は小樽市。港湾法上の「重要港湾」、港則法上の「特定港」に指定されている。
概要
[編集]小樽港は北海道西部の積丹半島東側に位置し、石狩湾に弓状に面する海岸線に建設している[4]。北、西、南の三方が山に囲まれており、天然の良港になっている[4]。札幌市までは約40 kmの距離にあり、高速道路や鉄道までのアクセスが良い。石狩湾新港は海上約20 kmの距離に位置しており、小樽港との機能分担が求められている[5]。
1908年(明治41年)完成の広井勇設計による小樽港北防波堤は日本国内初となる斜塊構造(コンクリートブロックを斜めに積み上げた構造)が採用され、「土木学会選奨土木遺産」に認定されている[6]。また、「小樽みなとと防波堤」として「北海道遺産」にも選定されている[7]。
近年はクルーズ客船の寄港が増え、「環日本海クルーズ」普及に向けた取り組みを行っている[8]。勝納ふ頭を13万トンクラスまで対応できるように整備しており[9]、将来的には15万トンクラスのクルーズ客船が入港できる計画を持っている[10]。また、現在6万トン未満のクルーズ客船を受け入れている第3号ふ頭についても将来的には13万トンクラスまで対応可能とし、客船ターミナルやバス駐車場などを整備する計画が立てられ[9][11]、2023年には市営上屋を改修した客船ターミナルが完成している[12]。
港湾施設
[編集]大型船係留施設
[編集]- 港町ふ頭
- 第2号ふ頭
- 第3号ふ頭
- 中央ふ頭
- 勝納ふ頭
- 色内ふ頭
- 厩町-7.5m岸壁
- 高島地区-5m岸壁
- 高島-4.5m岸壁
- 南高島岸壁
- 北浜岸壁
- 手宮岸壁
- 手宮さん橋
- 若竹地区-10.0mけい船杭
小型船係留施設
[編集]公共
[編集]- 第1期運河物揚場
- 色内地区物揚場
- 国有港町物揚場
- 港町物揚場(甲)
- 有幌物揚場
- 川尻鉄道物揚場
- 第1艀積物揚場
- 第2艀積物揚場
- 若竹物揚場(乙)
- 中央ふ頭物揚場
- 市有港町物揚場
- 北高島船揚場
- 高島地区船揚場
- 厩町船揚場
- 若竹小船揚場
- 市営船員船客乗降さん橋
- マリーナ公共さん橋(I)
- マリーナ公共さん橋(II)
- マリーナ公共さん橋(III)
民間
[編集]- マリーナ固定さん橋
- マリーナ浮さん橋
緑地
[編集]- かつない臨海公園
- 運河公園
- 築港臨海公園
フェリーターミナル
[編集]勝納埠頭の北西部に新日本海フェリーが管理する「新日本海フェリー小樽ターミナル」があり、現在のフェリーターミナルは1994年に竣工し地下1階地上5階建ての本館「センター棟」と4階建ての「サテライト棟」を設け上下船用ギャングウェイとともに空中歩廊で連絡する形とし、本館は青い海や空・冬の雪に合うような北海道の海の玄関口にふさわしいゲートをイメージしたシンプルで力強い彫刻的なデザインとなっている[13]。
- 館内
- 1階
- 2階
- 3階
- 4・5階
- 交通アクセス
官公署
[編集]- 小樽市役所
- 小樽市産業港湾部港湾室
- 函館税関小樽税関支署
- 海上保安庁第一管区海上保安本部
- 小樽海上保安部
- 札幌入国管理局小樽分室
- 横浜植物防疫所札幌支所小樽出張所
- 動物検疫所北海道出張所小樽分室
- 小樽検疫所
- 北海道開発局小樽開発建設部
- 小樽港湾事務所
- 小樽警察署
- 後志総合振興局小樽建設管理部
- 国立小樽海上技術学校
- 石狩湾新港管理組合
沿革
[編集]1869年(明治2年)に明治政府が開拓使を設置し、蝦夷地を北海道と改称して本府建設を札幌に定めると、小樽の港は北海道開拓のための海陸連絡地となった[16]。石狩炭田の開発に合わせて小樽(手宮)から札幌まで北海道内初となる鉄道が開設されると、石炭の積み出しや内陸部への物資供給の中継港として発展した[16]。その後、エネルギー革命により主なエネルギー資源が石油に転換したことや太平洋側の経済発展などの影響を受けて、小樽港の役割も時代とともに変化してきた[16]。そこで、小樽運河の一部を散策路を有した道路、若竹貯木場の一部は小樽港マリーナ、石炭ヤードを始めとした小樽築港駅周辺地区はウォーターフロント開発により公園や商業施設(ウィングベイ小樽)などに変わった[16]。
- 1872年(明治 5年):明治政府が色内村に石造ふ頭を築造、翌年完成。
- 1880年(明治13年):手宮 - 札幌間に北海道最初の鉄道「官営幌内鉄道」(後の手宮線・函館本線)開通(日本国内でも3番目)。
- 1889年(明治22年):特別輸出港指定。
- 1897年(明治30年):小樽築港第1期修築工事着工。
- 1899年(明治32年):外国貿易港指定(開港)。
- 1908年(明治41年):小樽築港第2期修築工事着工。小樽築港第1期修築工事(北防波堤)完成(日本国内初となる本格的なコンクリート製の防波堤)[17][18]。
- 1911年(明治44年):手宮駅の近くに石炭積み下ろし用の高架桟橋が完成[19]。
- 1914年(大正 3年):区営(市営)第1期運河式埋立工事着工。植物防疫港指定。
- 1920年(大正 9年):南北防波堤灯台点灯。
- 1921年(大正10年):小樽築港第2期修築工事(南・島防波堤)完成。
- 1922年(大正11年)8月:高架桟橋付近で陸揚げ中のダイナマイトが爆発。死者87人[20]。
- 1923年(大正12年):第1期運河式埋立工事(小樽運河)完成。
- 1927年(昭和 2年):市営第2期港湾修築工事着工。
- 1929年(昭和 4年):第2期拓殖計画による小樽港修築工事着工。
- 1931年(昭和 6年):『小樽海港博覧会』開催[21]。
- 1932年(昭和 7年):市営第2期港湾修築工事(有幌町埋立)完成。
- 1934年(昭和 9年):厩町岸壁完成。
- 1939年(昭和14年):小樽港修築工事(北防波堤増設)完成。
- 1940年(昭和15年):第1号ふ頭完成。
- 1947年(昭和22年):検疫港指定。
- 1949年(昭和24年):『開港50年記念港まつり』(『おたる潮まつり』の前身)開催。
- 1950年(昭和25年):第2号ふ頭完成。
- 1951年(昭和26年):重要港湾指定。
- 1953年(昭和28年):小樽市が小樽港港湾管理者となる。
- 1954年(昭和29年):第3号ふ頭1期工事完成。
- 1958年(昭和33年):第3号埠頭を北海道大博覧会小樽会場の一部として使用。
- 1959年(昭和34年):高島漁港区第1期工事完成。
- 1965年(昭和40年):小樽港湾合同庁舎完成。
- 1966年(昭和41年):動物検疫港指定。
- 1967年(昭和42年):第3号ふ頭延長工事完成。
- 1969年(昭和44年):『開港70周年記念式』開催。
- 1970年(昭和45年):小樽 - 舞鶴・敦賀間フェリー就航(敦賀航路2002年廃止[22][23])。
- 1971年(昭和46年):若竹貯木場完成。
- 1972年(昭和47年):中央ふ頭完成。
- 1973年(昭和48年):高島漁港区用地造成工事完成。若竹木材取扱施設用地造成工事完成。
- 1974年(昭和49年):北副防波堤延長工事完成。小樽 - 新潟間フェリー就航。
- 1975年(昭和50年):中央ふ頭地下道工事完成。
- 1977年(昭和52年):勝納大橋完成。
- 1979年(昭和54年)8月14日:勝納ふ頭フェリーターミナル完成[24]。
- 1980年(昭和55年):高島地区小型船だまり施設築造事業完成。かつない臨海公園供用開始。
- 1981年(昭和56年):勝納・色内ふ頭造成工事完成。北海商船小樽 - 利尻・礼文航路にフェリー就航(1993年廃止)。
- 1984年(昭和59年):勝納・色内埠頭にて「'84小樽博覧会」開催。
- 1985年(昭和60年)
- 1986年(昭和61年):運河散策路完成。勝納防波堤工事完成。
- 1988年(昭和63年):島副防波堤工事完成。臨港道路小樽港縦貫線開通。
- 1989年(平成元年):開港90周年記念事業実施。
- 1990年(平成 2年)4月29日:小樽港マリーナ一部供用開始[26]。
- 1991年(平成 3年):ロシアのホルムスク港と姉妹港提携。廐町岸壁改良工事完成。
- 1993年(平成 5年)
- 1994年(平成 6年):勝納ふ頭新フェリーターミナル供用開始。
- 1995年(平成 7年)5月1日:日ロ定期フェリー航路開設[28](2005年休止)。外航船客公共待合所供用開始。高島地区-5m岸壁(70m)完成。
- 1996年(平成 8年)6月11日:敦賀航路に高速フェリー就航[29]。
- 1997年(平成 9年)
- :中央地区再開発工事小樽市施工1工区埋立完成。
- 10月:おたるポートラジオ局開局[30]。
- 1998年(平成10年)
- 1999年(平成11年)
- 2000年(平成12年):小樽港北防波堤が「土木学会選奨土木遺産」認定[6]。
- 2001年(平成13年):小樽みなとと防波堤として「北海道遺産」選定[7]。
- 2002年(平成14年)
- 2003年(平成15年)11月20日:手宮岸壁改良工事完成。ガントリークレーン供用開始[35]。
- 2004年(平成16年)
- 2007年(平成19年):第3号ふ頭に保税地域施設整備。
- 2008年(平成20年):小樽港関連遺産(北防波堤・みなとの資料コーナー所蔵のテストピース)が「近代化産業遺産」認定[37]。
- 2009年(平成21年):「にっぽん丸・飛んでクルーズ北海道」が『クルーズ・オブ・イヤー2008』グランプリ受賞[38]。開港110周年記念事業実施。小樽港斜路式ケーソン製作ヤードが「土木学会選奨土木遺産」選定[39]。
- 2010年(平成22年)6月1日:小樽地方合同庁舎完成[40]。
- 2011年(平成23年):外航クルーズの日本海側拠点港指定[41]。
- 2013年(平成25年)10月25日:小樽 - ウラジオストク間RO-RO船定期航路開設[42][43]。
- 2023年(令和5年)4月:第3埠頭にクルーズ客船ターミナルが完成[12]。
定期航路
[編集]フェリー航路
コンテナ航路
ギャラリー
[編集]-
今村三峰「小樽港之図」(明治6年)
-
タイヤマウント式ガントリークレーン(2009年3月)
-
冬の小樽港(2012年2月)
脚注
[編集]- ^ 統計年報 2014, pp. 11–12.
- ^ 統計年報 2014, p. 2.
- ^ 統計年報 2014, p. 10.
- ^ a b “小樽港の沿革と自然状況”. 小樽市. 2016年5月18日閲覧。
- ^ 小樽港の現状② 2007, p. 9.
- ^ a b “小樽港北防波堤”. 土木学会選奨土木遺産. 土木学会. 2016年5月11日閲覧。
- ^ a b “小樽みなとと防波堤”. 北海道遺産協議会. 2016年5月17日閲覧。
- ^ “環日本海クルーズ”. 環日本海クルーズ推進協議会. 2016年5月18日閲覧。
- ^ a b “小樽港、ダイヤモンド寄港に備え13万トンまで接岸可能に”. WEB CRUISE. 海事プレス社 (2013年8月30日). 2016年5月19日閲覧。
- ^ “小樽港、将来的にフリーダムクラス対応可能に”. WEB CRUISE. 海事プレス社 (2012年11月14日). 2016年5月19日閲覧。
- ^ “第3号ふ頭及び周辺再開発計画” (PDF). 小樽市 (2014年). 2016年5月19日閲覧。
- ^ a b 小樽港第3埠頭 ターミナル完成 10日稼働、4年ぶりにクルーズ船 - 北海道新聞 2023年4月5日
- ^ a b c d e 特集民都事業10年 フェリーターミナル整備事業 新日本海フェリー総務部財務課長堀内一孝 - 港湾1997年11月号(日本港湾協会)
- ^ a b c d e f 新日本海フェリー 小樽フェリーターミナルビルを改築 6年4月に完成 - 海上定期便ガイド'94(内航ジャーナル)
- ^ 三竝貞雄「新たな段階を迎えたフェリー事業の展望」 - 旅客船No.188(日本旅客船協会)
- ^ a b c d 小樽港の現状① 2007, p. 1.
- ^ “日本初のコンクリート製防波堤がある小樽”. 北海道ファンマガジン. PNG Office (2009年5月27日). 2016年5月17日閲覧。
- ^ 長瀧重義 監修 編『コンクリートの長期耐久性―小樽港百年耐久性試験に学ぶ』技報堂出版、1995年11月20日。ISBN 978-4-7655-1562-7 。
- ^ “国指定重要文化財・旧手宮鉄道施設 擁壁”. 小樽市 (2021年6月12日). 2023年1月15日閲覧。
- ^ 下川耿史 『環境史年表 明治・大正編(1868-1926)』p353 河出書房新社 2003年11月30日刊 全国書誌番号:20522067
- ^ “小樽海港博覧会”. 乃村工藝社. 2016年5月9日閲覧。
- ^ a b “汽笛の音 小樽に別れ フェリー敦賀航路 最終便が出港”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2002年9月17日)
- ^ “消える小樽ー敦賀航路!”. 小樽ジャーナル. 小樽ジャーナル社 (2002年7月18日). 2016年5月18日閲覧。
- ^ “勝納ふ頭動き出す 北洋材輸入船が初荷役”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1979年8月14日)
- ^ “第2バース運航始動”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1985年4月3日)
- ^ “にぎわう行楽地、小樽港マリーナもオープン”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1990年4月30日)
- ^ “さよなら 利礼航路 家族訪問に行商に 島通いの人々、熱い惜別”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1993年12月30日)
- ^ “往年の「樺太航路」復活 小樽-サハリン 定期フェリー第1船”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1995年5月1日)
- ^ “高速フェリーが就航 小樽-敦賀間 8時間も短縮”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1996年6月12日)
- ^ “小樽ポートラジオ運営協発足 港内安全航行10月から運用”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1997年7月10日)
- ^ “小樽観光の新顔? 運河公園オープン”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1998年10月28日)
- ^ “盛大に開港100周年 小樽、釧路で 式典や見学会”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1999年8月5日)
- ^ “地域の経済 小樽 中国コンテナ航路17日開設 地場企業へ波及期待 輸出品の確保課題”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2002年9月11日)
- ^ “第1便が小樽入港 初の中国定期コンテナ船 関係者、就航祝う”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2002年9月19日)
- ^ “小樽港 巨大クレーンが稼働 中国航路 週2便化の切り札に”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2003年11月20日)
- ^ “ウラジオ定期航路 小樽に貨物船初入港 10年ぶり ロシア本土と結ぶ”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2005年11月22日)
- ^ “平成20年度 近代化産業遺産群33” (PDF). 経済産業省. 2016年5月18日閲覧。
- ^ “クルーズ・オブ・イヤー2008”. 日本外航客船協会. 2016年5月18日閲覧。
- ^ “小樽港斜路式ケーソン製作ヤード”. 土木学会選奨土木遺産. 土木学会. 2016年5月11日閲覧。
- ^ “行政サービス より充実を 合同庁舎の開庁祝う 小樽”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2010年6月1日)
- ^ 『日本海側拠点港の選定結果について』(PDF)(プレスリリース)国土交通省、2011年11月11日 。2016年5月18日閲覧。
- ^ “中古車安定集荷に期待 RORO船 小樽で航路開設式典”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2013年10月26日)
- ^ “小樽の経済発展を! ロシアとの定期航路開設記念式典”. 小樽ジャーナル. 小樽ジャーナル社 (2013年10月25日). 2016年5月18日閲覧。
参考資料
[編集]- “平成26年 小樽港統計年報” (PDF). 小樽市 (2014年). 2016年5月18日閲覧。
- “小樽港の現状” (PDF). 小樽市. pp. 1-4 (2007年). 2016年5月18日閲覧。
- “小樽港の現状” (PDF). 小樽市. pp. 5-9 (2007年). 2016年5月18日閲覧。
関連文献
[編集]関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 小樽市:小樽港について
- 小樽港 - 国土交通省北海道開発局
- 港湾の紹介 -小樽港- - 北海道開発局小樽開発建設部
- 小樽市:クルーズ船
- 小樽港/CRUISE PORT GUIDE OF JAPAN - 観光庁
- 小樽みなとと防波堤 - 北海道遺産