デマンドバス
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デマンドバスは、デマンド対応型交通方式のバスを指す。日本ではしばしばオンデマンドバス(On-Demand Bus)と呼称し、利用者の要求に対応して運行する形態のバスである。注文対応バスのこと。
なお、本記事では乗合タクシーの形態をとるデマンド型乗合タクシーについても記述する。
形態
様々な分類法がある。
- 迂回型バス:路線バスの運行形態の一種であり、広義ではオンデマンドバスと称する場合もある。条件に応じて基本路線の外の迂回路線を経由する。これはバスの運行を管理する者に対し、利用者が通信手段(電話、ファックス、専用端末、インターネットなど)により利用者要求の手続きを行うと、バスに情報が伝えられ、乗降を希望する停留所まで迂回する。利用者要求が無い場合には迂回路線を経由せずに運行する。
- エリア型バス:路線バスの形態とは異なり、狭義のオンデマンドバスである。電話等による(複数の)利用者の希望乗降点(バス停名若しくは拠点施設)及び乗降車時刻の要求に応じて、希望乗車点へ迎えに行く形の経路で運行する形態のバスである。通常は複数の利用者を乗せるので、乗合型の利用形態となり、どの利用者にも著しい不便を与えることのない経路を選定して運行する。この運行形態を、フルデマンド方式と称する場合がある。
- 制約つきエリア型バス:路線バスの形態とは異なり、狭義のオンデマンドバスである。電話等による(複数の)利用者の希望乗降点(バス停名若しくは拠点施設)及び乗降車時刻の要求に応じるが、ルートや時刻に制約があり、例えば1日あたりの便数、1便あたりの台数、拠点での時刻、上り下りの方向性などが決まっているなど、希望乗車点へ迎えに行く際に一定の前提条件がつく経路で運行する形態のバスである。利用者の需要が集約され、より多くの利用者が乗り合いやすくなる特性がある。 この運行形態を、セミデマンド方式と称する場合がある。
[要検証 ]
概要
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日本では1972年(昭和47年)に阪急バスが大阪府能勢町とその周辺の路線を対象に初めて導入した(後、1997年(平成9年)10月に廃止)。[要出典]
利用者のいない停留所を通過できることから運行の効率化に結びつく利点があるが、目的地までの所要時間が他の利用者の都合によって変わることがあり、利用者からすると乗ってみるまで目的地到着時間が分からないという欠点がある。また、事前にバス迂回運行を申し込むシステムでは、予約の連絡に必要な施設や場合によってはオペレーターの人件費が掛かるため、一般の路線バスに比べて運行経費は高くなると考えられる。[要出典]
デマンド方式による公共交通機関の運行は、過疎地をかかえる地方自治体などで注目されている。この場合、バスでなく(デマンド対応型の)乗合タクシーなどとして導入されることが多く、これらを総称してデマンド対応型交通と呼ぶことがある。[要出典]
また、アクセスバスを走らせるほどの需要がない都市と空港を結ぶアクセス手段として用いられる例も多い。[要出典]
日本の例
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北海道
東北地方
青森県
福島県
- おだかe-まちタクシー(福島県商工会連合会小高町)
- 西会津町民バス
- 2012年4月1日より。
関東地方
群馬県
栃木県
- 宇都宮市地域内交通
- 小山市 「おーバス」の郊外地域
- 栃木市 「蔵タク」
- 佐野市 「さーのって号」の一部路線・一部便
- 下野市デマンドバス「おでかけ号」
- 鹿沼市 「予約バス」
- 日光市デマンドバス
- 野木町デマンド交通「キラ輪号」
- 上三川町デマンド交通「かみたん号」
- 茂木町デマンドタクシー「めぐるくん」
- 高根沢町デマンド交通「たんたん号」
- 那珂川町デマンドタクシー「なかちゃん号」
茨城県
※循環バスの廃止により代替として実施
埼玉県
- イーグルバス
- 深谷市コミュニティバス「くるリン」
- 2010年4月1日より、需要の少ない郊外地域の循環6路線を予約制のタクシー車両運行に転換。深谷タクシーに委託。
- 川越市デマンド交通「ときも号」
- 2013年、2014年に市内3エリアの路線バスの代替として実証運行を行っている。市内タクシー事業者が合同で、予約受付、配車指示等を行っている。2014年度の実証運行からはICT(コガソフトウェア株式会社「孝行デマンドバス」)を活用し、移動サービスを展開している。
- 本庄市デマンド交通「はにぽん号」・「もといずみ号」
- タクシー車両で運行。朝日自動車に委託。
神奈川県
- 京浜急行バス
- 鎌倉市山の上地区 1999年頃より
- 茅ヶ崎市予約型乗合バス
- 事前登録が必要。2013年12月21日より、えぼし号北部市立循環線の廃止経路代替として運行開始。小出地区内(行谷・芹沢・堤・下寺尾)のみ。
千葉県
- 成田市オンデマンド交通
- 2013年4月1日より市内全域で実証運行中。運行事業者は成田市タクシー協議会、運行管理事業者は株式会社千葉交タクシーで、予約受付、配車指示等を行う。ICT(コガソフトウェア株式会社「孝行デマンドバス」)を活用し、新しい高齢者移動サービスを展開している。
- 芝山あいあいタクシー
- 2004年4月1日より運行中。運行管理事業者は株式会社千葉交タクシーで、予約受付、配車指示等を行う。自宅から目的地までのドアトゥドアでの送迎を行っている。2014年4月1日よりICT(コガソフトウェア株式会社「孝行デマンドバス」)を活用し、地域ニーズに則した移動サービスを展開している。
かつてデマンド交通方式で運行されていたバス・乗合タクシー
中部地方
新潟県
富山県
- 富山地方鉄道バス
- 43・44系統の「月岡西緑町」停留所(2002年度より試験運行、その後本格運行)
- 大山コミュニティバス(富山市)
- 一部の路線・便・区間で実施
- 大沢野シルバータクシー(富山市)
- 「シルバータクシー利用証」保有者限定
- 大庄地区デマンドタクシー(富山市)
- 魚津市民バス
- 一部の路線・便・区間で実施
- 射水市コミュニティバス
- 射水市デマンドタクシー
- 南砺市営バス
- 一部の路線・便・区間で実施
- 小矢部市乗合タクシー
石川県
- めぐーる(白山市)
- ふるさとタクシー(能登空港利用促進協議会)
- クローズドドアシステムを採用
- 津幡町福祉バス
- 山森・倶利伽羅・大窪・南横根・常徳・舟尾・材木
- 宝達志水町デマンド(乗合)タクシー
- 事前登録が必要。町民限定
福井県
- 福井市乗合タクシー
- 本郷ルートの一部区間
- 鶉山バス(鶉〜宮ノ下〜大安寺地域コミュニティバス運行協議会)
- 一部の便・区間で実施
- テクノポート号(えちぜん鉄道)
- ほやほや号(京福バス・福井市・越前町)
- あわら市乗合タクシー
- 事前登録が必要
- 大野市市営バス
- 旧和泉村地域の一部の路線・便
- 大野市乗合タクシー
- 全路線で実施(小山・木本堀兼線の一部の便のみ定期運行)
- 勝山市乗合タクシー
- 一部の路線・便・区間で実施
- フレンドリー号(越前町)
- 一部の曜日・ルート・便・区間で実施
- 今庄地区住民利用バス(南越前町)
- 一部の曜日・路線で実施
- 赤ふんバス(高浜町)
- 事前登録が必要。町民限定
愛知県
- 豊橋市表浜乗合タクシー「愛のりくん」
- 豊田市
- 稲武地域バス「どんぐりバス」電話予約運行線
- 松平地域バス「松平ともえ号」電話予約運行便
- 下山地域バス「しもやまバス」
- 小原地域バス「おばら桜バス」
- 安城市 あんくるタクシー
- 西尾市 いこまいかー
- 江南市 いこまいCAR(予約便)
- 稲沢市 稲沢市コミュニティタクシー
- みよし市 さんさんバス 乗合タクシー
- 岩倉市 のり愛い~わ号
- 飛島村 飛島乗合タクシー(海南病院通院支援タクシー)
- 南知多町 篠島乗合タクシー
- 武豊町 武豊町コミュニティバス「ゆめころん」乗合タクシー
- 設楽町・東栄町 おでかけ北設 予約バス
岐阜県
- 可児市コミュニティバス
- あい愛バス (美濃加茂市)
- ふれあいバス(御嵩町)
- 郡上市自主運行バス
- 養老町オンデマンドバス
- 2012年11月15日より試行運行開始(無料)。2013年11月1日本格運行開始(有償)。
- 輪之内町デマンドバス
- 2015年1月5日より運行開始。
静岡県
三重県
- 玉城町元気バス
- 2008年11月4日から東京大学が開発した「乗り合い型交通システム コンビニクル」を採用し、共同で実証実験を開始。
- 玉城町から運行・管理・運営を玉城町社会福祉協議会へ委託。(平成25年度事業費 1,900万円)
- 運行エリアは町内で、利用は町民に限る。利用者は事前に会員登録が必要となり、氏名・住所・連絡先の他、身体的の状態など生活機能面も登録される。(このデータが、「ICTを利活用した安心・元気な町づくり事業」による外出支援、見守りにも活用される)
- 運用時間は、9時〜17時で、年末年始以外運行。町内を3台の9人乗りワゴン車が走る。予約受付は30分前から2週間先まで予約可能。予約方法は電話での予約以外に、インターネット、ケータイ、スマートフォン(独自開発)、タッチパネル(43カ所設置)からもできる。利用料は無料。
かつてデマンド交通方式で運行されていたバス・乗合タクシー
近畿地方
大阪府
京都府
兵庫県
- 朝来市コミュニティバス「アコバス」(神姫グリーンバスが予約・運行業務を受託)
- 11路線中の2路線(朝来市生野町内を走るコース)について、事前に電話で予約することにより、最寄の停留所へ行く方法を取っている(予約がない場合には運行されない)。これにより、細かなルート設定ができ、便数を増やせる上、全地区に停留所を置けるメリットがある。(2007年1月より運行開始)
- 南あわじ市コミュニティバス「らん・らんバス」(南あわじ観光タクシーが予約・運行業務を受託)
- 倭文地区とその周辺地域を運行する2路線(西回り基軸ルート・東回り基軸ルート)で導入。予約・乗車には予め利用登録申込書の提出が必要で、月曜・水曜・土曜(祝日・年末年始を除く)のみ1日最大5便運行。(2013年4月より運行開始)
滋賀県
奈良県
かつてデマンド交通方式で運行されていたバス・乗合タクシー
- 阪急バス
- 日本で初めてデマンドバスを、過疎地域型・都市(住宅地)型ともに本格的に導入した事業者。当時はかなり先進的なシステムとして注目され、2000年以前は運輸関係を中心に多くの雑誌に取り上げられた。
- 大阪府能勢町(能勢デマンドバス)、日本初(1972年〜1997年)。
- 大阪府箕面市阪急間谷住宅(間谷ミディバス・コールモービルシステム) 1975年5月10日より。現在は一般路線化。
- 日本で初めてデマンドバスを、過疎地域型・都市(住宅地)型ともに本格的に導入した事業者。当時はかなり先進的なシステムとして注目され、2000年以前は運輸関係を中心に多くの雑誌に取り上げられた。
- 西日本JRバス福知山営業所
- 2007年3月1日より一部ルートで導入。2012年4月1日より一部ルート廃止・定期運行化。同社では「オンデマンドバス」と称した。
- 奈良交通
- 関西文化学術研究都市精華・西木津地区 2002年11月〜12月・2003年7月〜11月実証実験
中国地方
鳥取県
岡山県
- 真庭市コミュニティバス
- 22系統(八束ルート)
- 23系統(川上ルート)
- 28系統(西河内ルート)
- 30-2系統(振興局・湯原ルート(コミュニティバス))
- 33系統(福谷・寺河内ルート)
- 34系統(二ノ氏ルート)
- 瀬戸内市デマンドバス「モーモーバス」(瀬戸内市牛窓地域)
- 2012年7月1日から2014年3月まで実証運行。自宅から目的地までのドアトゥドアで送迎する。
- 運行事業者は東備バス株式会社で、瀬戸内市の指定管理者として、バスの運行、管理、運営を行う。
- 利用者は事前に利用登録し、予約を行うことでバスに乗車できる。運行時間は8時〜16時。予約は1ヶ月前から当日30分前まで受付可能。1日に何回乗っても300円。9人乗りワゴンタイプ2台で運行。車両には手摺やステップを改造したものを使用し、高齢者の乗り降りに配慮している。予約時は希望する出発時刻か到着時刻を指定できるため、路線バスとの乗り入れも容易に行える。瀬戸内市商工会との連携により、モーモーバス利用者は商店等で割引サービスが受けられ、地域活性化も図る。
- ICT(コガソフトウェア株式会社「孝行デマンドバス」)を活用し、地域ニーズに即した生活交通ネットワークの構築を積極的に展開している。
- 玉野市デマンドタクシー「シータク」
- 2014年4月より本格運行開始。
- 2014年6月よりICT(コガソフトウェア株式会社「孝行デマンドバス」)を活用し、4エリア制のセミデマンド方式で運行している。
広島県
山口県
- 福岡空港アクセス便
- 山口市・宇部市内〜福岡空港(山口第一交通)
四国地方
高知県
- 中村まちバス(四万十市)
- 2000年4月より試験運行、その後本格運行。開発元株式会社 A. V. プラニング。
- 空港乗合タクシー
九州地方
福岡県
佐賀県
- 有明佐賀空港リムジンタクシー
- 佐賀県内各地、福岡県筑後地方発着で運行。
大分県
熊本県
鹿児島県
その他
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- コンビニクル(東京大学発オンデマンドバスサービス)
- 中部運輸局 中部地区のコミュニティバス運行状況
- 中部地区のコミュニティバス運行状況を掲載。利用時予約要否によりデマンドバスかどうかを確認することができる。
脚注
- ^ 全国デマンド交通システム導入機関連絡協議会
- ^ 「電話でバス」を運行しています - みどり市(2016年5月31日更新/2017年2月1日閲覧)
- ^ 清水プラント3を拠点とするバス路線再編社会実験について - 福井市
関連項目
外部リンク
- 全国デマンド交通システム導入機関連絡協議会
- デマンド交通システムNTT東日本
- 東京大学オンデマンド交通プロジェクト(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
- 孝行デマンドバスコガソフトウェア株式会社
- 予約バス 新太田タクシー
- 可児市・美濃加茂市・御嵩町から委託され、自社開発の「普及型デマンド配車システム」で、10区域 500停留所 1日約120名の利用者をタクシー車両にてデマンド運行している。
- 株式会社AVプランニング
- 前橋市・みどり市・豊田市・四万十市・南伊勢町・ニセコ町・美濃市・君津市・本庄市にソリューションを提供している。
- 地方におけるオンデマンド交通の可能性と課題 (PDF) - 鈴木文彦、オペレーションズ・リサーチ2012年3月号、pp.124-129