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「花火」の版間の差分

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{{Otheruses|火薬による炎色反応}}
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{{Dablink|「'''打上花火'''」と「'''打ち上げ花火'''」はこの項目へ[[Wikipedia:リダイレクト|転送]]されています。その他の用法については「[[打上花火 (曖昧さ回避)]]」をご覧ください。}}
{{Redirect|スターマイン|ストロマによる漫画作品|スターマイン (漫画)}}
{{国際化|[[日本]]}}


{{出典の明記|date=2021年3月}}
[[File:Bratislava New Year Fireworks.jpg|thumb|300px|打ち上げ花火]]
{{脚注の不足|date=2018年8月}}
[[File:Fireworks_closer_view.ogv|thumb|300px|Fireworks closer view]]
[[ファイル:Itabashi Hanabi Taikai Zenkei 1.jpg|thumb|300px|[[いたばし花火大会]]]]
[[ファイル:Suwa-ko firework 20080815 02.jpg|thumb|200px|[[諏訪湖祭湖上花火大会]]]]
[[ファイル:Nagaoka Festival Fireworks 2015 36 inches shell Fireworks 3 Barrage.webm|thumb|200px|thumbtime=0:27|動画:[[長岡まつり]]大花火大会「正三尺玉3連発」]]
'''花火'''(はなび、煙火)は、[[火薬]]と[[金属粉|金属の粉末]]を混ぜて包んだもので、火を付けて、[[燃焼]]・[[爆発|破裂]]時の音や[[火花]]の色、形状などを演出するもの。火花に色をつけるために金属の[[炎色反応]]を利用しており、混ぜ合わせる金属の種類によって様々な色合いの火花を出すことができる。野外で使用するのが一般的であるが、室内で使用する場合もある<ref>{{Cite web |title=屋内の演出に花火を使用するメリットとは|煙火や特殊効果(特効)の【スカイテック】 |url=https://www.skytechfx.com/column/2024-05-28/ |website=www.skytechfx.com |access-date=2024-09-30}}</ref>。<ref>{{Cite web|和書|url=http://japan-fireworks.com/basics/shikumi.html |title=日本の花火の3つの仕組み |access-date=2023/07/15}}</ref>


花火の光・色彩・[[煙]]を発生させる火薬の部分を'''星'''(ほし)という<ref name="入門11">{{Cite book |和書 |author=日本煙火協会 |year=2017 |title=花火入門 平成28年版 |page=11 }}</ref>。多くの場合は火薬が爆発・燃焼した時に飛び散る火の粉の色や形を楽しむが、ロケット花火やへび花火([[蛇玉]])、[[パラシュート]]花火のように、火薬の燃焼以外を楽しむものもある。花火大会のほか、イベントなどの開催を告げるため、また、[[祝砲]]の代わりにも使われる。
'''花火'''(はなび)は、[[火薬]]と[[金属]]の粉末を混ぜて包んだものに火を付け、燃焼・破裂時の音や火花の色、形状などを鑑賞するためのもの。火花に色をつけるために金属の[[炎色反応]]を利用しており、混ぜ合わせる金属の種類によってさまざまな色合いの火花を出すことができる。英語では、'''fireworks'''という。


[[英語]]では、{{En|[[:en:fireworks|fireworks]]}}という。近年は「華火」の字を[[当て字]]として使用している例も稀にある。<ref>{{Cite web|和書|title=“華火”の読み方と例文|ふりがな文庫 |url=http://furigana.info/w/%E8%8F%AF%E7%81%AB |website=furigana.info |access-date=2023-07-15 |language=ja |last=ふりがな文庫}}</ref>
== 概要 ==
{{TOC limit}}
[[File:Takino_natsumatsuri_hanabi_20040828.jpg|thumbnail|225px|[[夏]]の風物詩 花火大会([[兵庫県]][[滝野町]][[夏祭り]]]]
{{clear}}
多くの場合は[[火薬]]が爆発・燃焼した時に飛び散る火の粉の色や形を楽しむが、ロケット花火やへび花火、パラシュート花火のように、火薬の燃焼以外を楽しむものもある。

[[日本]]では、[[夏]]の夜の[[風物詩]]とされている。一部の自治体では大規模な花火の打ち揚げを「花火大会」と称して行っている。大会の時期は7、8月に集中している。

花火大会のほか、イベントなどの開催を告げるため、また、[[祝砲]]のかわりにも使われる。なお、演劇や映画などで演出や効果の一環として流される煙(スモーク)や、パーティーなどで音とともに[[紙テープ]]などが飛ぶ[[クラッカー (パーティーグッズ)|クラッカー]]も、法令上、花火(煙火)に含まれる。

日本では「[[火薬類取締法]]」により製造から消費までが規制されている。打上花火を揚げるには、煙火消費許可が必要であり申請には俗に花火師と呼ばれる煙火店所属の技能認定資格である日本煙火協会発行の煙火消費保安手帳を保持した「[[煙火打揚従事者]]」を記載する。一定量以下の消費であれば許可は必要ないものの、玩具煙火でない限り各自治体に対し消費届けを提出する事になっている。一般人の取り扱いは事実上不可能に近い。


== 花火の種類 ==
== 花火の種類 ==
[[ファイル:Takino_natsumatsuri_hanabi_20040828.jpg|thumb|200px|[[兵庫県]][[滝野町]]夏祭り]]
日本では、大きく分け、取り扱いや打ち揚げに免許が必要な大型の'''打上花火'''(法令上の用語は'''煙火''')と、玩具店などで販売され、家庭などで消費される小型の'''おもちゃ花火'''(法令上の用語は'''玩具花火''')に分けられる。法令上は、花火と煙火は異なるものを指すことになるが、煙火という用語は一般的な用語でないため、本項目内では'''花火'''に統一する。日本煙火協会サイト内でも、一般向けの表記は「花火」にほぼ統一されている。
花火(広義の煙火)は、打揚花火や仕掛花火など「[[玩具|がん具]]煙火以外の煙火」と「がん具煙火」に大別できる<ref name="metro">{{Cite web|和書|url=https://www.kankyo.metro.tokyo.jp/safety/powder/attachement/enkatebiki201103.pdf |title=火薬類(煙火)消費許可申請の手引 |publisher=東京都環境局 |accessdate=2017-04-13 |page=63}}</ref>。
* がん具煙火以外の煙火
** 信号又は観賞用の煙火
*** 打揚煙火(打上花火、打揚花火)
*** 仕掛煙火(仕掛花火)
** その他の煙火
**: 競技用紙[[雷管]]、[[発煙筒]]、照明筒、鳥獣駆逐用煙火などが分類される<ref name="metro" />。
* がん具煙火(おもちゃ花火)
*: なお、日本では、がん具として用いられる煙火のほか、発煙火工品や自動車保安炎筒([[発炎筒]])など法令の適用上がん具に指定されている煙火もこれに分類する<ref name="powdercontrol_law">{{Cite web|和書
| last =
| first =
| author =
| authorlink =
| url = https://laws.e-gov.go.jp/law/325M50000400088#Mp-At_1_5
| title = 火薬類取締法施行規則(昭和二十五年通商産業省令第八十八号) 第一条の五
| date = 2017-04-01
| website = e-Gov法令検索
| publisher =
| format =
| doi =
| accessdate = 2021-08-11 }}</ref><ref name="metro" />。


=== 打上花火 ===
=== 消費方法による分類 ===
信号又は観賞用の煙火は消費方法によって打揚煙火(打上花火、打揚花火)と仕掛煙火(仕掛花火)に分類される<ref name="metro" />。
[[File:Kagoshima-shi-japan- hanabi-001.jpg|thumbnail|225px|[[鹿児島市]]、かごしま錦江湾サマーナイト大花火大会]]


==== 打上花火(打揚花火) ====
「玉」とよばれる紙製の球体に「星」と呼ばれる火薬の玉を詰めて打ち揚げる花火である。打ち揚げにも火薬を用いる。打ち揚げ時と同時に[[導火線]]に点火され、所定の高さに到達すると、導火線が燃え尽きて玉内部の割火薬に点火されて「玉」が破裂し、「星」が飛散する。このとき「星」には、光の尾を引きながら燃焼するもの、落下途中で破裂するもの、色が変化するものなど様々なタイプがある。「玉」の内部に「星」を均一に詰めることが重要であるが、詳細な技術は花火師の秘伝とされる。
[[File:2012年隅田川花火大会.jpg|thumb|225px|[[隅田川花火大会]]]]
[[ファイル:Kagoshima-shi-japan- hanabi-001.jpg|thumbnail|225px|[[鹿児島市]]、かごしま錦江湾サマーナイト大花火大会]]
[[ファイル:Rainbow Bridge (Tokyo) - Fireworks 4.JPG|thumbnail|225px|[[お台場レインボー花火]]]]
[[ファイル:Fireworks in Sakura Chiba.jpg|thumb|[[佐倉市|佐倉]]の花火]]
[[File:Fogos durante a abertura de Tóquio 2020.jpg|thumb|225px|[[2020年東京オリンピックの開会式]]で打ち上げられた花火]]
火薬を球状に成形した「星」を詰めた紙製の球体「玉」(煙火玉)を打ち上げる花火である。上方を向いた円筒の底に発射薬を敷きその上に玉を置き打ち上げに備える。打ち揚げは「投げ込み」と呼ぶ火種を円筒上方の射出口から投げ入れて発射薬に点火する。打ち上げと同時に玉から出ている[[導火線]]に引火し、玉は所定の高さまで上昇しながら導火線が燃え玉内部の割火薬に到達し玉が破裂し星に引火・飛散する。玉の大きさ(花火の高さ)によって発射薬の量と導火線の長さが調整・選定される。玉の破裂後、星には光の尾を引きながら燃焼するもの、落下途中で破裂するもの、色が変化するものなど、様々なタイプがある。玉の内部に星を均一に詰めることが重要であるが、詳細な技術は花火師の秘伝とされる。
<gallery>
ファイル:Nagaoka Station Fireworks launch tube 20041114.jpg|[[長岡駅]]前に展示されている花火打ち上げ筒
ファイル:2006 Ojiya Festival 042 Edit.jpg|[[おぢやまつり]]の花火
ファイル:San_Diego_Fireworks.jpg|[[サンディエゴ]]での[[独立記念日 (アメリカ合衆国)|アメリカ独立記念日]]の花火
</gallery>


==== 仕掛花火 ====
一般的に、[[日本]]や[[中国]]など[[アジア]]の打上花火は、打ち揚げ時に光が同心円状に広がるものが多く、花火玉そのものの形も球形をしている。これに対し、日本国外(特に欧米諸国)の花火は打ち揚げても円状にはならず、花火そのものの形も円筒形をしている。円筒形の花火は、球形に比べ、火薬量などを増やすことができ、華やかな光や色を出すことが可能であるが、破裂途中で色の変化をさせることは困難だとされる。かつて、日本の花火も同心円状に広がるものの製造は困難で、一部の武家花火師のみの秘伝とされていたといわれるが、[[明治]]期に[[鍵屋]]十二代目弥兵衛が技術を取得し、以後、円形の花火が多く作られるようになったとされる。
[[ファイル:20140729 Ichijima-Kawasuso Matsuri 市島川裾祭花火(丹波市市島町)竹田川DSCF0621.JPG|thumb|240px|right|市島[[川裾祭]]のナイアガラ([[丹波市]][[市島町]])[[竹田川 (兵庫県・京都府)|竹田川]]]]

[[ファイル:Nagaoka Festival Fireworks 2015 Extra Large Miracle Starmine 20150803.webm|thumb|240px|thumbtime=1:32|動画:[[長岡まつり]]大花火大会「超大型ミラクルスターマイン」]]
日本と[[欧米]]の花火球の形の違いの理由は、昔、日本では河川で打ち上げて、観客はあらゆる方向から観賞していたため立体的に発光しなければならなかったのに対し、[[ヨーロッパ]]では、貴族の館など建物の裏から打ち上げていて、観客は一定方向からしか見なかったため、平面的な発光でもよかった、というのが理由とされる。
複数の花火を利用するなど作為的に仕掛けを施した花火。

* {{Anchors|スターマイン}}スターマイン(速射連発)<ref name="metro" />
打上花火は昼花火、夜花火に分けられるが、タイプとして大きく、「割物」、「ポカ物」、「型物」などに分類される。
*: 煙火玉や、星、笛等を順序よく配置し、速火線で連結し、高速で次々と連続して打ち上げるもの。枠仕掛けの最後に裏打ちとして使用されることもある。主に2号玉(約6cm)から4号玉(約14cm)の玉が用いられる。これらの制御に[[パソコン]]や電子式[[継電器|リレー]]を多用しているものは「デジタルスターマイン」などと呼ぶことがある。
* 枠仕掛<ref name="metro" />
*: [[速火線]]で連結した[[焔管]](えんかん)を、木や鉄パイプ等で文字や絵を型どった枠上に並べて配置し、点火によって焔管が一斉に[[燃焼]]することにより、数分程度[[文字]]や[[絵]]を浮かび上がらせるもの。
* {{Anchors|綱仕掛}}綱仕掛<ref name="metro" />(ナイアガラ)
*: 速火線で連結した焔管を数から数十メートルに渡り一列に吊し、点火によって焔管から火の粉が一斉に流れ落ちるもの。一部花火大会では2000mに及ぶものも存在する。[[ナイアガラ滝]]から。
* 水上仕掛け・水中仕掛(水中花火)<ref name="metro" />
*:水上・水中仕掛けは水面から打ち上げるので半円形に開き水面の反映も見えるもので<ref>[https://hanabi.岸や水上の船などで点火した花火を、水中に向かって打ち込み水の中で爆発させるもの.com/topics/article/1002646/ 水中花火と水上花火の違いとは?2021年開催の代表的な花火大会も紹介!(全国花火大会)]</ref>、水上仕掛け(水上花火)はあらかじめ船やいかだなどにセットしておいた花火を遠隔操作で点火させるもので多くの花火大会で見られ、水中仕掛(水中花火)は岸や水上の船などで点火した花火を水中に向かって打ち込み水の中で爆発させるもの<ref>[https://www.trip-kamakura.com/article/kamakura-hanabi/20216.html 【鎌倉花火大会】水中花火とは(鎌倉刊行公式ガイド、2024年)]</ref>。
* 立火仕掛<ref name="metro" />
*: 星や火の粉を筒から放出・噴出させるもの<ref name="metro" />。手持ちや抱えたまま噴出させるものは「手筒」という。
* 車花火<ref name="metro" />
*: 円盤等の周りに火薬を詰めた筒を配置し、火薬の噴射推進力により円盤を回転させ、火の粉を円状に噴出させるもの。
<gallery>
ファイル:Feuerwerk Ruhrort 3.jpg|ナイアガラ(綱仕掛) ドイツの[[デュースブルク]]市、2004年
ファイル:2006 Ojiya Festival 036.jpg|スターマイン
ファイル:大淀祇園祭・仕掛け花火.JPG|枠仕掛([[三重県]]・[[大淀祇園祭]])
ファイル:Kamakura underwater fireworks 2.webm|水中花火([[鎌倉市|鎌倉]]花火大会)
</gallery>


=== 構造性能による分類 ===
* 「割物」は代表的な打上花火で、破裂したときに星が球状に飛散するものである。中でも星が[[キク|菊]]の花のように尾を引いて広がるものを「菊物」、尾を引かないものを[[牡丹]]に喩えて「ボタン物」とよぶ。また、二重の球状に広がるものを「芯物」という。
信号又は観賞用の煙火は構造や性能によって煙火玉(花火玉)と煙火玉以外の煙火に分類される<ref name="metro" />。
* 「ポカ物」は星が飛散しないもので、ランダムな方向に星が飛んでいく「蜂」などがある。
==== 煙火玉(花火玉) ====
* 「型物」は「割物」の変形で、[[土星]]などの形に星が飛散するものである。
打上花火の主流は、打ち上げ時に光が同心円状に広がるものが多く、玉そのものの形も球形をしている。これに対し、初期の花火は打ち揚げても円状にはならず、花火そのものの形も円筒形のものが多かった。円筒形の花火は、球形に比べ、火薬量などを増やすことができ、華やかな光や色を出すことが可能であるが、破裂途中で色の変化をさせることは困難だとされる。かつて、日本の花火も同心円状に広がるものの製造は困難で、一部の武家花火師のみの秘伝とされていたと言われるが、[[明治]]期に鍵屋十二代目弥兵衛が技術を取得し、以後、円形の花火が多く作られるようになったとされる。


伝統的に打上花火の「玉」の大きさは[[寸]]、[[尺]]で表される。直径約6.06cmの二寸玉(2号玉)から直径約60.6cmの二尺玉(20号玉)、さらに三尺玉(30号玉)、[[正四尺玉|四尺玉]](40号玉)まである。二尺玉は直径約500m程度、世界最大といわれている四尺玉は直径約800m程度まで広がる。ただし、この号数表記は打ち揚げ筒(内側)の太さであって、実際の花火玉の直径はこれよりも若干小さくなる。具体的には、20号玉の直径は60cmではなく約57cmである。また、最近{{いつ|date=2013年8月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->開発された世界最小の打ち上げ花火は、玉の直径1cm、打ちあげる距離は2m。ただし、まだ開発段階のため、実用化。
* 昼花火の「音物」は、現在様々なイベント等の開催の合図に使用されている。


『[[世界の果てまでイッテQ!]]』の企画で、開花時の直径が推定1kmになる花火玉(四尺三寸大千輪)を作り、打ち揚げた。しかし、花火玉自体が重過ぎたために上昇せず水中で爆発、失敗に終わった。
伝統的に打上花火の「玉」の大きさは[[寸]]、[[尺]]であらわされる。直径約6.06cmの二寸玉(2号玉)から直径約60.6cmの二尺玉(20号玉)、さらに三尺玉(30号玉)、[[正四尺玉|四尺玉]](40号玉)まである。二尺玉は直径約500m程度、世界最大といわれている四尺玉は直径約800m程度まで広がる。ただし、この号数表記は打ち揚げ筒の太さであって、実際の花火玉の直径はこれよりも若干小さくなる。具体的には、20号玉の直径は60cmではなく約57cmである。
また、最近開発された世界最小の打ち上げ花火は、玉の直径1cm、打ちあげる距離は2m。ただし、まだ開発段階のため、実用化されていない。


煙火玉(花火玉)は割物とぽか物に分類される<ref name="metro" />。
『[[世界の果てまでイッテQ!]]』の企画で、開花時の直径が推定1kmになる花火玉を作り打ち上げた。しかし、花火玉自体が重過ぎた為に上昇せず水中で爆発、失敗に終わった。
* 割物
*: 星の部分を割火薬で球状に飛散させ開かせるもの<ref name="metro" /><ref name="入門11" />。中でも星が[[キク|菊]]の花のように尾を引いて広がるものを「菊物」、尾を引かないものを[[牡丹]]に喩えて「ボタン物」とよぶ。また、二重の球状に広がるものを「芯物」という。
*: 割物の変形で[[土星]]などの形に星が飛散するものを「型物」という。
* ぽか物
*: 空中で[[くす玉]]のように割れて部品が飛び出るもの。
** 音物
**: 俗に「のろし」「合図花火」等と呼ばれているもの。運動会など様々なイベントの開催の合図に使用されている。3回連続で音が鳴る「3段雷」と5回鳴る「5段雷」が主に使われている。
** 袋物・吊物など
**: 和紙など薄紙で袋状に作った人形や、パラシュートに吊った煙玉・旗などがゆっくりと落ちてくる昼花火。特定条件下以外の打ち上げが禁止されている。「袋物」は花火師の平山甚太が1883年にアメリカで特許を取得しているが、これが日本人がアメリカで取得した初の特許である<ref>{{Cite news|date=2013-10-14|newspaper=神奈川新聞|title=明治期の花火が横浜に里帰り、オランダ在住の男性が開港資料館に寄贈 専門家「現存、珍しい」/横浜|archiveurl=https://web.archive.org/web/20131014173307/http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1310140003/|url=http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1310140003/|publisher=カナロコ|accessdate=2013-10-14|archivedate=2013-10-14}}</ref>。


代表的な打上花火である「割物」の鑑賞のポイントとして以下のようなものがある。
代表的な打上花火である「割物」の鑑賞のポイントとして以下のようなものがある。
*玉の座りがしっかりしているか」:玉が昇りつめた点で開いていることを「玉の座りがしっかりしている」という。きれいに広がるための重要なポイントである。
*玉の座りがしっかりしているか玉が昇りつめた点で開いていることを「玉の座りがしっかりしている」という。きれいに広がるための重要なポイントである。
*盆が取れているか」:星が[[]]のように真ん丸に見えているか。
*盆が取れているか星が盆のように真ん丸に見えているか。
*消え口が揃っているか」:星の色が一斉に変化し、一斉に消えているかである。ただし、わざと消え口をずらしている花火もある。
*消え口が揃っているか星の色が一斉に変化し、一斉に消えているかである。ただし、わざと消え口をずらしている花火もある。
* 星がまんべんなく広がり、歯抜けになっていないか。
*星がまんべんなく広がり、歯抜けになっていないか。
* 星の発色が良く、はっきりとした色が出ているか。さらに、星をどのように配色するかは花火師の個性が発揮される重要なポイントである。
*星の発色が良く、はっきりとした色が出ているか。さらに、星をどのように配色するかは花火師の個性が発揮される重要なポイントである。


煙火玉はスターマインなどの仕掛花火にも用いる<ref name="metro" />。
<gallery>
File:Nagaoka sanjaku 20041114.jpg|花火打ち上げ筒のモニュメント(長岡駅前)
File:2006 Ojiya Festival 042 Edit.jpg|おぢやまつりの花火
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=== 仕掛花火 ===
==== 煙火玉(火玉)以外の煙====
流星(龍勢)のように星を打ち出すロケット花火や、火の粉等を噴出させる手筒花火などである<ref name="metro" /><ref name="入門24">{{Cite book |和書 |author=日本煙火協会 |year=2017 |title=花火入門 平成28年版 |page=24 }}</ref>。
複数の花火を利用するなど作為的に仕掛けを施した花火。
; 枠仕掛
: [[速火線]]で連結した[[焔管]](えんかん)を、木や鉄パイプ等で文字や絵を型どった枠上に並べて配置し、点火によって焔管が一斉に[[燃焼]]することにより、数分程度[[文字]]や[[絵]]を浮かび上がらせるもの。
; 網仕掛(ナイアガラ)
: 速火線で連結した焔管を数~数十メートルに渡り一列に吊し、点火によって焔管から火の粉が一斉に流れ落ちるもの。一部花火大会では2000mに及ぶものも存在する。[[ナイアガラ滝]]から。
; スターマイン
: 打上花火の玉や、星、笛等を順序よく配置し、速火線で連結し、次々と連続して打ち揚げるもの。枠仕掛けの最後に裏打ちとして使用されることもある。主に2号玉(約6cm)から4号玉(約14cm)の玉が用いられる。
; 立火仕掛
: 星を連発で打ち揚げる「乱玉」、筒に詰めた火薬により火の粉を噴出させる「噴水」(別名「三国」)の二種がある。「噴水」のうち、手持ちや抱えたまま噴出させるものは「手筒」という。
; 車花火
: 円盤等の周りに火薬を詰めた筒を配置し、火薬の噴射推進力により円盤を回転させ、火の粉を円状に噴出させるもの。
; 流星(龍勢)、ロケット
: 竹筒等に火薬を詰めた筒を取り付け、火薬の噴射推進力により、上空へ打ち出すもの。
; ケーブル花火
: ロケットを[[ロープ]]で吊し、火薬の噴射推進力によりロープに沿って走るもの。枠仕掛の点火用に使用されることもある。
; 海上自爆
: 花火を打ち上げるのではなく、海上に浮かべた筏などの台舟に「玉」を設置し、遠隔操作で点火するものである。本来、球形に展開する花火が海面上でしか開かず下半分は海面に映ったものとなるが、遠方から見るとあたかも普通の花火のように見える。湖上でも行われる。近年の遠隔操作技術の向上により、各地で見られるようになった。

<gallery>
File:Feuerwerk Ruhrort 3.jpg|ナイアガラ(網仕掛) ドイツの[[デュイスブルク]]市、2004年
File:2006 Ojiya Festival 036.jpg|スターマイン
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=== おもちゃ花火 ===
=== おもちゃ花火 ===
<!-- この節の花火それぞれに対して、画像提供が求められています。-->
[[File:Small fireworks.jpg|thumb|220px|[[駄菓子屋]]で売られている玩具花火 ([[三崎 (三浦市)|三浦市]]にて)]]
[[ファイル:Small fireworks.jpg|thumb|220px|[[駄菓子屋]]で売られている玩具花火 ([[三崎 (三浦市)|三浦市]]にて)]]
{{Notice|この節の花火それぞれに対して、画像提供が求められています。}}
かつては玩具花火とも呼ばれたが、日本煙火協会での表記はこちらに統一されている。購入や使用に免許が不要な花火の総称で、[[線香花火]]のような手で持つものが代表的なものであるが、小型ではあっても打上花火になっていて、筒があって上空で破裂するものも存在する。日本では日本煙火協会が出荷品の検査を行っており、合格したものには「SFマーク」がつけられる。


かつては玩具花火とも呼ばれたが、日本煙火協会での表記はこちらに統一されている<ref group="注">[[火薬類取締法]]、および火薬類取締法施行規則では「がん具煙火」と表記する。</ref>。購入や使用に免許が不要な花火の総称で、[[線香花火]]のような手で持つものが代表的なものであるが、小型ではあっても打上花火になっていて、筒があって上空で破裂するものも存在する。日本では日本煙火協会が出荷品の検査を行っており、合格したものには「SFマーク」がつけられる。
かつては駄菓子屋などで単品でも発売されていたが、現在では一つの種類の数本入りから複数種類の花火100本くらいを詰め合わせにしたものが、晩春から初秋にかけて[[スーパーマーケット]]や[[ホームセンター]]、[[駄菓子屋]]などで売られている。


火薬量の制限は、花火の種類により異なるが、最高でも15グラム以下となっている<ref name="fireworks_introduction2021">{{Cite web|和書
[[帰省]]や[[旅行]]の際に楽しもうと出発前に購入しておくことがあるが、[[旅客機|航空機]]には安全上の理由から航空機内への持込み、受託手荷物の取り扱いも出来ない<ref>[http://www.ana.co.jp/dom/checkin/rules/dangerous_goods.html ANA国内線手荷物について]</ref>ので注意を要する。
| last =
| first =
| author =
| authorlink =
| url = http://www.hanabi-jpa.jp/booklet2021/html5.html
| title = 令和3年夏 花火入門
| date =
| website = 日本煙火協会
| publisher =
| format =
| doi =
| accessdate = 2021-07-21 }}</ref><ref group="注">火薬類取締法施行規則で、広義のおもちゃ花火である「緊急保安炎筒」([[発炎筒]])、「[[モデルロケット|模型ロケット]]に用いられる噴射推進器」、「内容物盗用防止装置付きかばんに用いられる発煙火工品」は、これより多量の火薬使用が認められている。最も火薬を使えるのは、発炎筒の150グラムである。</ref>。おもちゃ花火であっても、束ねて使う場合はおもちゃ花火とは見なされず、煙火(届出・免許が必要な花火)としての届出が必要になる<ref>{{Cite web|和書
| last =
| first =
| author =
| authorlink =
| url = http://ota-hanabi.net/gangu3-5.htm
| title = 連発花火
| date =
| website = 太田煙火製造所
| publisher =
| format =
| doi =
| accessdate = 2021-07-21 }}</ref><ref>{{Cite web|和書
| last =
| first =
| author = ピーターBaN
| authorlink =
| url = https://www.youtube.com/watch?v=yw4-cAOSakE
| title = コンビニで売ってる花火だけでロケットランチャーをつくったらとんでもない事になったw
| date = 2018-08-12
| website = YouTube
| publisher = ピーターBaN TV
| format =
| doi =
| accessdate = 2021-07-21 }}</ref>。
[[ファイル:手持ち玩具花火.JPG|thumb|手持ち玩具花火。ホームセンターなどで手軽に入手可能。]]


おもちゃ屋などで単品で発売されることも多いが、大抵は一つの種類の数本入りから複数種類の花火100本くらいを詰め合わせにしたものが、晩春から初秋にかけて[[スーパーマーケット]]や[[ホームセンター]]、[[駄菓子屋]]などで売られている。
; [[ねずみ花火]]

: 炎を吹き出すタイプのひも状の花火を、円形に組んだもの。火を点けて炎が吹き出すと重心に対して回転を与える向きの力がかかるため、地面に置かれた場合、高速に回転してその勢いで地面をはい回る。円形の炎がシュシュッと音を立ててはい回る様が[[ネズミ]]に喩えられたためにこの名がある。最後にパンとはじけるような仕掛けを施されたものが一般的。最近は使い方が分からない人が多く、やけどをする人が多いようである。
[[帰省]]や[[旅行]]の際、旅先で使うために出発前に購入したり、使い切れなかった花火を自宅に持ち帰ったりすることがあるが、花火を携行して交通機関を利用する場合、持ち込みに禁止や制限があるので注意を要する。[[旅客機|航空機]]を利用して旅行する場合、安全上の理由から少量であっても機内への持込みも受託手荷物の取り扱いも出来ない<ref>[http://www.jal.com/ja/flight/safety/airport/baggage.html おあずけ・機内へのお持込に制限がある手荷物 | 安全・運航情報 | JAL企業サイト] - 日本航空</ref><ref>[http://www.ana.co.jp/domestic/prepare/baggage/index.html?menu=caution-restriction ANA 手荷物[国内線]制限のある手荷物(機内持ち込み・お預かりできないもの)]- 全日本空輸</ref>。列車・バスを利用する場合、少量の持ち込みはできるが、持ち込める量に制限がある{{Refnest|たとえば[[東海旅客鉄道|JR東海]]では、旅客営業規則にて列車に持ち込めない危険品を定めており、適用除外の物品に「がん具煙火、競技用紙雷管及びその他のがん具用軽火工品で、容器・荷造ともの重量が1キログラム以内のもの。」とあり、これを上回る量は持ち込めない<ref>{{PDFlink|[http://railway.jr-central.co.jp/ticket-rule/cjr-regulation/_pdf/000021424.pdf 東海旅客鉄道株式会社旅客営業規則 別表第4号]}}</ref>。他の鉄道事業者でも類似する規則をそれぞれ定めている。バスの場合は、旅客自動車運送事業運輸規則により100グラムを超える量の持ち込みを禁じている<ref>[https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000800044 旅客自動車運送事業運輸規則]第52条2項</ref>。|group="注"}}。また、[[宅配便]]での発送はできない<ref>[http://www.kuronekoyamato.co.jp/qa/03.html Q04.宅急便で送れない品物はどんなものがあるのですか?] - ヤマト運輸</ref><ref>[https://www.post.japanpost.jp/question/353.html 花火はゆうパックで送れますか?] - 日本郵便</ref>。
; [[コマ花火]]

: ねずみ花火の応用型で、本体が[[独楽]](こま)状になっている。ねずみ花火よりも高速に回転できるため、うなるような音を立てて地面上で回転する。
; [[UFO花火]]
; [[ヘビ花火]]
: 火薬量5グラム以下<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />。「ヘビ玉(法令上は「へび玉」)」ともいい、地方によって名称の違いあり。色は黒。
: コマ花火の応用系。扇風機の様な小型のフィンがついているため回転と同時にフィンに風を受け上昇する。平らな所に置かないと予想しない方向に飛んだりするので、注意が必要。
: 後述のネズミ花火と同じく、生物名が付いた花火として知られる。
[[File:線香花火.jpg|thumb|220px|[[線香花火]]]]
: 円形の炭状の火薬に火を点けると煙と共に燃えカスが[[ヘビ]]のような形状に伸びていく構造の花火。普通の花火とは異なり、色鮮やかな色の火花は出ず、煙しか出ない。このため、昼花火の一種に入れられることもある。
; ネズミ花火
: 火薬量1グラム以下。または、火薬量0.9グラム以下かつ爆薬0.1グラム以下<ref name="fireworks_introduction2021" />。炎を吹き出すタイプのひも状の花火を、円形に組んだもの。1929年創業の[[筒井時正玩具花火製造所]]の初代・[[筒井時正]]が考案<ref>[https://hitokoto-monokoto.jp/?post_type=interview&p=103 400年も形を変えずに残って来たスボ手牡丹の歴史も、うちが作るのをやめたら途絶えてしまう。 | ヒトコト・モノコト]</ref><ref>[https://www.harima.co.jp/legendary_technology/pdf/legendtech_no38.pdf 花火製造職人]</ref><ref>[https://www.ntv.co.jp/dash/contents/garage/takumi/03_tutui/index.html エンジニア]</ref>。火を点けて炎が吹き出すと重心に対して回転を与える向きの力がかかるため、地面に置かれた場合、高速に回転してその勢いで地面をはい回る。円形の炎がシュシュッと音を立ててはい回る様が[[ネズミ]]に喩えられたためにこの名がある。最後にパンとはじけるような仕掛けを施されたものが一般的。最近{{いつ|date=2013年8月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->は使い方が分からない人が多く、やけどをする人も珍しくないようである。
; コマ花火
: ネズミ花火の応用型で、本体が[[独楽]](こま)状になっている。ネズミ花火よりも高速に回転できるため、うなるような音を立てて地面上で回転する。
; トンボ花火
: コマ花火の応用系。双方向に噴射する本体の花火筒に二枚の紙羽根が付いており、表面を上にして平らな場所に置いて打ち上げる。二か所からの噴射力によって高速回転を行い、風を受けた紙羽根によって揚力を得て高速で錐揉み上昇する。上昇時に二段階で急上昇する特徴がある。日中でも使えるため、昼花火の一種に入れられることもある。
; UFO花火
: トンボ花火からの派生花火。扇風機の様な小型のフィンがついているため回転と同時にフィンに風を受け上昇する。平らな所に置かないと予想しない方向に飛んだりするので、注意が必要。日中でも使えるものもあり、昼花火の一種に入れられることもある。
[[ファイル:線香花火, 2006-08-14.jpg|thumb|[[線香花火]]]]
; [[線香花火]]
; [[線香花火]]
: 日本の夏の情緒を代表する花火である。こよりや細い竹ひごの先端に火薬を付けた花火。火を付けると火薬が丸くなり、小さな火花を散らすようになる。燃え方に様々な名前が付いている。現在でも開発が行われている。最も長く安定させて燃えさせるには45度の角度に傾けた方が良いとも言われている。
: 火薬量は法律によれば0.5グラム以下<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />とされているが、実際には0.06 - 0.08グラム程度である。こよりや細い竹ひごの先端に火薬を付けた花火。日本の夏の情緒を代表する花火である。火を付けると火薬が丸くなり、小さな火花を散らすようになる。燃え方に様々な名前が付いている。現在{{いつ|date=2013年8月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->でも開発が行われている。最も長く安定させて燃えさせるには45度の角度に傾けた方が良いとも言われている。
; [[ロケット花火]]
; ロケット花火
: 打ち揚げ式の花火。[[瓶]]などを発射台にする。打ち揚げ後破裂するものと破裂しないものがある。破裂しない物の場合は打ち揚げ時の大きな音を出すように改良されているものが多い。
: 火薬量0.5グラム以下かつ爆薬(笛音薬)2グラム以下<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />。打ち揚げ式の花火。[[瓶]]などを発射台にする。打ち揚げ後破裂するものと破裂しないもの、曳光の有るもの無いものがある。破裂しない物の場合は打ち揚げ時の大きな音を出すように改良されているものが多い。燃えカスが回収できないという問題があるため、海岸での使用を禁止している自治体も存在する
; [[こうもり花火]]
; こうもり花火
: 基本的にはロケット花火と変わらないが、[[コウモリ]]のような[[]]がついており、真上に急上昇、柄が無いなどの特徴がある。地方によって名称の違いあり。
: 基本的にはロケット花火と変わらないが、[[コウモリ]]のような羽がついており、真上に急上昇、柄が無いなどの特徴がある。地方によって名称の違いあり。
; 単発打上げ
; [[パラシュート花火]](袋物)
: 火薬量10グラム以下<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />。一般的な打上花火。筒物で数個または1個の星を1回打ち上げる。筒状の容器に火薬を仕込んであるが、一部は業務用の打上花火同様に、球形の丸玉に火薬を仕込んだ製品もある。
: かつて打上花火として揚げられていたもの。昼花火の一種で、上空で破裂した玉の中に袋が入っており、万国旗やパラシュートが降りてくる仕組み。電線にひっかかるなどの障害が生じたため、現在では打上花火としては全く使われず、おもちゃ花火で小さなものが若干生産されているのみである。1931年に細谷火工(現在ホソヤエンタープライズの名で花火部門が独立)によって製造されたものが始まりとされる。
; 連発打上げ
;[[噴出花火]]
: 火薬量15グラム以下<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />。「乱玉」とも。筒物(筒の内径1cm以下)で、火を付けると複数の星が間欠的に飛び出す。筒1本あたり、5連発から30連発程度まである。発数が多い製品は、複数の筒が最初から仕込まれていて、総数で70連発程度まで実現している。
:紙製の筒から火花を[[噴水]]のように吹き上げるもの。地面に置いて、導火線に点火して使う。
; パラシュート花火(袋物)
; [[発破]]
: 火薬量10グラム以下<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />。打上花火の一種で、昼花火の一種でもある。法令上は単発打上げと同一の扱い。上空で破裂した玉の中に袋が入っており、万国旗やパラシュートが降りてくる仕組み。おもちゃ花火で小さなものが若干生産されている。1931年に細谷火工(創業1906年。1990年にホソヤエンタープライズの名で花火部門が独立<ref>[http://www.hosoya-hanabi.co.jp/profile/index.html 会社概要]株式会社ホソヤエンタープライズ</ref>)によって製造されたものが始まりとされる。電線にひっかかるなどの障害が生じるため、打ち上げの際には注意が必要。
: 長さ数センチの小型の花火。多くの場合複数の爆竹が導火線によって結びつけられており連続して爆発するようになっている。花火としての歴史は古く、もっとも古い種類の花火とする説もある。中国系文化圏では、[[旧正月]]などを祝うために使われる。別名、ダイナマイト。
; 噴出花火
; [[クラッカー]]
: 火薬量15グラム以下<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />。紙製の筒から火花を[[噴水]]のように吹き上げるもの。かつて一世を風靡した太田煙火製作所の「ドラゴン」が代表的な製品である<ref>{{Cite news |和書|title=中国に負けるな、再び燃えろ!国産ドラゴン 花火会社8年ぶり製造再開 |newspaper=産経WEST |date=2016-08-08 |url=https://www.sankei.com/west/news/160808/wst1608080014-n1.html |accessdate=2019-05-16}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://ota-hanabi.net/info.htm |title=(株)太田煙火製造所の商品紹介 |publisher=株式会社太田煙火製造所 |accessdate=2019-05-17}}</ref>。地面に置いて、導火線に点火して使う。手持ち用として小パイプほどの太さに改良されたものもあり、後述のススキに似る。
: 長さ10cm程度の小型花火。発破同様、音を楽しむ花火であるが発破とは異なり単体で使用する。導火線は無く、代わりに筒の先端に有る火薬が導火線の役目を果たしている。点火後5秒程度で破裂する。
; ススキ(より物)
; [[蛇花火]]
: 火をつけると[[ヘビ]]よう燃えかすが伸びる花火。色は黒。地方によって名称の違いあ
: 火薬量10グラム以下<ref name="powdercontrol_law" />。手持ち用。竹ひご・針金など持ち手花の出る紙製の筒を取り付けた物「朝顔」など、地方によって名称の違い
; [[煙花火]]煙玉
; 銀波より物
: 火薬量10グラム以下<ref name="powdercontrol_law" />。手持ちまたは吊り下げ用。糸に、火花の出る紙製の筒をぶら下げた物。複数個の銀波を、あらかじめ用意した台などに吊り下げて同時に点火することで、擬似的にナイアガラ花火を再現できる。このため、複数個セットが「ナイアガラ」などの名称で市販されている。
: [[球]]体をしたもの(玉の[[色]]はさまざま)。花火の一種。火をつけるとその名のとおり煙を吹く。殆どが色の付いた煙を出す。もっぱら花火の使われ方より、その特性から[[悪戯]]などに使われるのが非常に多い。地方によって名称の違いあり。
; スパークラー(ねり物)
: 火薬量10グラム以下。または、[[鉄]]粉を30%以上含んでいる火薬量15グラム以下<ref name="powdercontrol_law" />。手持ち用。竹ひご・針金などの持ち手に、火薬を直接塗り込んだもの。
; 絵型
: 火薬量10グラム以下<ref name="powdercontrol_law" />。手持ち用。厚紙製の持ち手に、パイプを取り付け、火薬を詰め込んだもので、パイプの先に点火して使う。パイプはプラスチック製のものが多いが、環境問題から紙製のものも増えている。
; [[爆竹]]
: 1本で火薬量1グラム以下かつ爆薬0.05グラム以下。また、20連発以下の制限もある<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />。長さ数センチの小型の花火。多くの場合複数の爆竹が導火線によって結びつけられており連続して爆発するようになっている。花火としての歴史は古く、もっとも古い種類の花火とする説もある。中国系文化圏では、[[旧正月]]などを祝うために使われる。別名、ダイナマイト。
; [[クラッカー (パーティーグッズ)|クラッカー]]
: 爆薬量0.05グラム以下<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />。長さ10cm程度の小型花火。発破同様、音を楽しむ花火であるが発破とは異なり単体で使用する。導火線は無く、代わりに筒の先端に有る火薬が導火線の役目を果たしている。点火後5秒程度で破裂する。
; 煙花火(煙玉)
: 火薬量15グラム以下<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />。球体をしたもの(玉の[[色]]はさまざま)。花火の一種。火をつけるとその名のとおり煙を吹く。殆どが色の付いた煙を出す。もっぱら花火の使われ方より、その特性から[[悪戯]]などに使われるのが非常に多い。地方によって名称の違いあり。
; [[癇癪玉]](かんしゃくだま)
; [[癇癪玉]](かんしゃくだま)
: 踏んだり、物に当てたりすると[[音]]がなる。[[スリングショット|パチンコ]]などで飛ばすことが多い。クラッカーボールと呼ぶ場合もある。
: 爆薬量0.08グラム以下。また、直径1センチメートル以下、総重量1グラム以下の制限もある<ref name="powdercontrol_law" />。踏んだり、物に当てたりすると[[音]]がなる。[[スリングショット|パチンコ]]などで飛ばすことが多い。クラッカーボールと呼ぶ場合もある。
: これを大型化したものが、異常時に線路上にセットし、列車が通過すると爆音を発して緊急停止させる[[信号雷管]]である。
: これを大型化したものが、異常時に線路上にセットし、列車が通過すると爆音を発して緊急停止を促す[[信号雷管]]である。
; [[紙火薬]]
; [[紙火薬]]
: [[遊戯銃]]、あるいは陸上競技のスタート用のピストルなどに使用され、火薬部分に打撃が加わると発火し、火花と破裂音を放つ。小粒な火薬を赤い巻紙に等間隔で配置したものを'''巻玉火薬'''、ミシン目の入った赤色または黄色のシートにやや大きめの火薬を配置したものを'''平玉火薬'''と呼ぶ。大量にまとめて使われる危険性があるため、後述のキャップ火薬の普及により淘汰されつつある。
: 「平玉」は爆薬量0.01グラム以下。また、一粒の直径4.5ミリメートル以下、高さ1ミリメートル以下の制限もある。「巻玉」は爆薬量0.004グラム以下で、なおかつ一粒の直径3.7ミリメートル以下、高さ0.7ミリメートル以下<ref name="powdercontrol_law" /><ref name="fireworks_introduction2021" />。[[遊戯銃]]、あるいは陸上競技のスタート用のピストルなどに使用され、火薬部分に打撃が加わると発火し、火花と破裂音を放つ。小粒な火薬を赤い巻紙に等間隔で配置したものを'''巻玉火薬'''、ミシン目の入った赤色または黄色のシートにやや大きめの火薬を配置したものを'''平玉火薬'''と呼ぶ。大量にまとめて使われる危険性があるため、後述のキャップ火薬の普及により淘汰されつつある。
[[ファイル:Modelgun caps1.jpg|thumb|220px|キャップ火薬]]
; [[キャップ火薬]]
; [[キャップ火薬]]
: 主に遊戯銃に使用される、[[プラスチック]]製のキャップに紙火薬同様の火薬を詰めたもの。過剰装てんなどのおそれがなく、紙火薬より取り扱いが容易かつ発火も確実である。特に[[モデルガン]]に使用されるものは、作動を確実にするために厳密に調整されており、価格も高い。種類は、直径5mmと7mmの種類ある。
: 主に遊戯銃に使用される、[[プラスチック]]製のキャップに紙火薬同様の火薬を詰めたもの。過剰装てんなどのおそれがなく、紙火薬より取り扱いが容易かつ発火も確実である。特に[[モデルガン]]に使用されるものは、作動を確実にするために厳密に調整されており、価格も高い。種類は、直径5mmと7mmの2種類ある。

== 花火と炎色 ==
[[ファイル:ColorfulFireworks.png|thumb|300px|炎色反応を用いて多種多様な色を花火に持たせることができる(第352回[[筑後川花火大会]])]]
[[原子]]を[[励起]]した時に電子が外側の軌道に移り、元の軌道に戻る時に放出されるエネルギーに応じた色の光を放出する[[炎色反応]]および[[放射]]を利用している<ref>{{Cite journal |和書 |author=桜井弘 |title=化学が好きになる元素図鑑 |journal=[[ニュートン (雑誌)|Newton]] |volume=43 |issue=11 |publisher=ニュートンプレス |date=2023-11-07 |pages=28-29 |id={{JAN|4910070471135}}}}</ref>。添加される元素はアルカリ金属、アルカリ土類金属が多く用いられる。


== 花火の色 ==
[[原子]]を[[励起]]した時に電子が外側の軌道に移り、元の軌道に戻る時に放出されるエネルギーに応じた色の光を放出する[[炎色反応]]を応用している。添加される元素はアルカリ金属、アルカリ土類金属が多く用いられる。
*[[第1族元素]](アルカリ金属)
*[[第1族元素]](アルカリ金属)
**[[リチウム]] - 深紅色、670 nm(赤紫色)
**[[リチウム]] - 深紅色、670 nm
**[[ナトリウム]] - 黄色、588 nm(無色)
**[[ナトリウム]] - 黄色、588 nm
**[[カリウム]] - 淡紫色、760 nm(紫色)、特にナトリウムに邪魔されやすいためコバルトガラスが役立つ
**[[カリウム]] - 淡紫色、760 nm
*[[第2族元素]](アルカリ土類金属)
*[[第2族元素]](アルカリ土類金属)
**[[カルシウム]] - 橙赤色(橙緑色)
**[[カルシウム]] - 橙赤色
**[[ストロンチウム]] - 深赤色、460 nm(紫色)
**[[ストロンチウム]] - 深赤色、460 nm
**[[バリウム]] - 黄緑色(青緑色)
**[[バリウム]] - 黄緑色
*[[第11族元素]]
*[[第11族元素]]
**[[銅]] - 青緑色、510 nm(淡青色)
**[[銅]] - 青緑色、510 nm
*[[第13族元素]](土類金属)
*[[第13族元素]](土類金属)
**[[ホウ素]] - 黄緑色(青紫色)、エタノール炎外縁の呈色で観察
**[[ホウ素]] - 黄緑色
*[[第15族元素]]
*[[第15族元素]]
**[[リン]] - 淡青色、[[リン酸|リン酸イオン]]による反応
**[[リン]] - 淡青色、[[リン酸|リン酸イオン]]による反応


== 歴史 ==
== 花火の歴史 ==
=== 中国 ===
[[紀元前3世紀]]の[[中国]]で[[爆竹]]が使用されたのが起源だという説もあるが、最初期の花火は[[6世紀]]、中国で[[火薬]]が使われるようになるのとほぼ同時期に作られはじめたと考えられている。ただし、[[10世紀]]まで花火は存在しなかったという主張もあるが、いずれにしても発明の地は中国であったとされる。最初期のものは、例えばロケット花火に似たものを敵陣に打ち込んで火事を起こしたり相手を威嚇したりといった、[[武器]]との区別がはっきりしないものもあった。
花火の起源については諸説ある。一般的には花火のルーツは古代中国の[[狼煙]](のろし)とされ、煙による通信手段であり、火薬の技術の発達とともに花火が誕生することとなった<ref name="trace">{{Cite web |url=https://www.ntt-card.com/trace/vol16/special/index.shtml |title=Trace vol.16 |publisher=NTTファイナンス |accessdate=2017-04-13 |page=1}}</ref>。


21世紀の現代において、[[中華人民共和国]]は世界の花火生産量の9割を占めると推定されており、最大の輸出国である<ref name="日経産業20221101">[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1024A0Q2A011C2000000/【グローバルViews】中国の花火産業が活況:中小メーカー多く安全面課題]『[[日経産業新聞]]』2022年11月1日グローバル面(2022年11月4日閲覧)</ref>。「四大花火の里」と呼ばれる地域にメーカーが集積している([[江西省]][[万載県]]・[[上栗県]]と[[湖南省]][[瀏陽市]]・醴陵市)<ref name="日経産業20221101"/>。
[[ヨーロッパ]]に伝わったのは[[13世紀]]以降で、初期のものは[[祝砲]]の音を大きくしたり、煙に色などがつくようにしたものだったと考えられる。ヨーロッパでの主な生産地は[[イタリア]]で、火薬と花火製造がさかんに行われた。この時代、ヨーロッパの花火は主に[[王族|王侯]][[貴族]]のものであり、王の権力を誇示するため王が催すイベントなどで揚げられた。ロケットを除く打上花火はイタリアで開発されたという説もある。

=== ヨーロッパ ===
[[ヨーロッパ]]に伝わったのは[[13世紀]]以降で、初期のものは[[祝砲]]の音を大きくしたり、煙に色などがつくようにしたりしたものだったと考えられる。ヨーロッパでの主な生産地は[[イタリア]]で、火薬と花火製造が盛んに行われた。

鑑賞用の花火は14世紀、イタリアの[[フィレンツェ]]に始まるとされ、[[キリスト教]]の祝祭で用いられる人形に口から火を吐く仕掛けのために用いられたとされている<ref name="trace" />。


[[16世紀]]になると[[イングランド]]で花火の技術が大きく進歩する。[[1532年]]、[[ヘンリー8世 (イングランド王)|ヘンリー8世]]は王室軍隊の花火師を徴用するための規則を定め、[[戴冠式]]や王室の[[結婚式]]、[[誕生日]]などで[[テムズ川]]で水上花火を楽しんだという記録がある。
[[16世紀]]になると[[イングランド]]で花火の技術が大きく進歩する。[[1532年]]、[[ヘンリー8世 (イングランド王)|ヘンリー8世]]は王室軍隊の花火師を徴用するための規則を定め、[[戴冠式]]や王室の[[結婚式]]、[[誕生日]]などで[[テムズ川]]で水上花火を楽しんだという記録がある。


また[[17世紀]]になると[[ポーランド]]や[[スウェーデン]]、[[デンマーク]]などに花火学校が設立され、体系的な知識を有す専門的な花火師集団が形成されていった。イングランドの[[ジェームズ1世 (イングランド王)|ジェームズ1世]]はデンマークから技術者を招聘し、娘[[エリザベス・ステュアート|エリザベス]]の結婚式を花火で盛大に祝った。また[[1672年]]には[[ウリッジ兵器廠]]に花火研究所が設立され、[[1683年]]には花火に関するテキストが刊行されるなど、花火技術は漸次発展していったのである
さらに[[17世紀]]になると[[ポーランド]]や[[スウェーデン]]、[[デンマーク]]などに花火学校が設立され、体系的な知識を有す専門的な花火師集団が形成されていった<ref name="trace" />。イングランドの[[ジェームズ1世 (イングランド王)|ジェームズ1世]]はデンマークから技術者を招聘し、娘[[エリザベス・ステュアート|エリザベス]]の結婚式を花火で盛大に祝った。また[[1672年]]には[[ウリッジ兵器廠]]に花火研究所が設立され、[[1683年]]には花火に関するテキストが刊行されるなど、花火技術は漸次発展していった。


=== 日本での歴史 ===
=== 日本 ===
[[ファイル:100 views edo 098.jpg|thumb|240px|歌川広重『[[名所江戸百景]]』に描かれた19世紀中頃の[[隅田川花火大会|両国花火]]。]]
[[ファイル:100 views edo 098.jpg|thumb|225px|歌川広重『[[名所江戸百景]]』に描かれた19世紀中頃の[[隅田川花火大会|両国花火]]。]]
日本で花火が製造されるようになったのは16世紀の[[鉄砲伝来]]以降である。


日本における花火の最古の記録としては、[[室町時代]]の[[公家]][[万里小路時房]]の日記『[[建内記]](建聖院内府記)』[[1447年]][[5月5日]]([[文安]]4年[[3月21日 (旧暦)|3月21日]])条に記されている。[[清浄華院|浄華院]]における法事の後に[[境内]]にて、「唐人」が花火と考えられる「風流事」を行ったという記事が確認されている。そこでは、竹で枠を作り、火で[[ススキ|薄]]や[[キキョウ|桔梗]]、[[センノウ属|仙翁花]]、[[水車]]などの形を表現したもの、火が縄を伝って行き来するといったものや、「鼠」と称し火を付けると「走廻」るもの、手に持って火を付けると空中を「流星」のように飛ぶもの、などが披露されたという。時房は「希代之火術也」と賞賛し、褒美を与えている。
幕府の御金改役の後藤庄三郎光次の著作(幕府の儒学者の[[林羅山]]とする説もあり)とされる『駿府政事録』という日記・政事録によると、[[1613年]]に[[徳川家康]]が[[駿府城]]内で外国人の行った花火を見物したというのが、花火という語で確実に花火が使われたと分かる最も古い記録である。『宮中秘策』([[1741年]])、『武徳編年集成』にも引用されている。また、『[http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=41016883&VOL_NUM=00330&KOMA=86&ITYPE=0 古事類苑]』に、花火の起源や詳細が紹介されており、『駿府政事録』の記述もある。


この時代は[[足利義満]]の死後途絶えていた[[日明貿易]]が[[足利義教]]によって再開されており、花火も大陸から持ち込まれていたとも考えられる。
[[1712年]]([[正徳 (日本)|正徳]]2年)頃出版された『[[和漢三才図会]]』(寺島良安著、江戸時代の図入り[[百科事典]])には、鼠花火、[http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=54009983&VOL_NUM=00000&KOMA=223&ITYPE=0 狼煙花火]などが紹介されている。


少なくとも[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]には鉄砲や火薬とともに鑑賞用の花火が伝来したとされている<ref name="trace" />。まもなく日本でも花火が製造されるようになったとされているが、以後もキリスト教[[宣教師]]や「唐人」といった外国人の手による花火の記録が多く見られる。
異説として、[[1582年]]4月14日に[[ポルトガル]]人の[[イエズス会]][[宣教師]]が現在の[[大分県]][[臼杵市]]にあった[[聖堂]]で花火を使用したという記録がある。(『イエズス会日本年報』『[[ルイス・フロイス]]日本史』)


[[1582年]][[4月14日]]([[天正]]10年[[3月22日 (旧暦)|3月22日]])に[[ポルトガル]]人の[[イエズス会]][[宣教師]]が現在の[[大分県]][[臼杵市]]にあった[[聖堂]]で花火を使用したという記録(『イエズス会日本年報』『[[フロイス日本史]]』)は、[[大友義鎮|大友宗麟]]が花火を活用して[[受難週|聖週間]]の祭儀を[[キリシタン]]を増やすための盛大な公開イベントとしたものである。[[聖土曜日]]の夜から翌[[明け方]]までの[[復活祭|復活徹夜祭]]では、三つの[[楼閣|城楼]]から花火細工が出て来る仕掛けが、三千もの提燈([[教会堂]]や日本の[[物語]]を象った[[夜高行燈]])の行列に豪華さを加えた。さらに数々の花火が「[[空]]中で実にさまざまな形となった」ので人々は皆立ち止まって花火見物をした。そして[[真夜中]]には教会堂も[[中庭]]も[[広場]]も立錐の余地もない人込みとなった<ref>『フロイス日本史 8 [[豊後国|豊後]]篇2』(1[[昭和]]53年([[1978年]])[[12月20日]]発行/訳者:[[松田毅一]]、[[川崎桃太]] 発行所:[[中央公論新社|中央公論社]])19~23頁</ref>。
[[1585年]]に、現在の[[栃木県]][[栃木市]]で、[[皆川広照|皆川山城守]]と[[佐竹氏|佐竹衆]]が戦のなぐさみに花火を立てたという記述もあるが、戦の最中に当時貴重だった火薬をそのようなことに使うはずがないという主張もされている。


外国人による花火の技術を学び日本でも独自に花火が作られたと考えられるが、その最初はよくわかっていない。[[1585年]]に、現在の[[栃木県]][[栃木市]]で、[[皆川広照|皆川山城守]]と[[佐竹氏|佐竹衆]]が戦のなぐさみに花火を立てたという説もあるが、戦の最中に当時貴重だった火薬をそのようなことに使うはずがないという主張もされている。
[[伊達政宗]]が居城の[[米沢城]]で、[[1589年]]([[天正]]17年)7月7日夜、外国人(大唐人)によって、花火を行ったという([[元禄]]年間作成といわれる伊達家治家記録;『貞山公治家記録』、『伊達天正日記』など)。徳川家康の記述内容との酷似や仙台七夕花火の内容と酷似する。『伊達家治家記録』が一般に出版されたのは、[[仙台市図書館]]蔵書によると、平重道・責任編集『仙台藩史料大成・第1期』(出版年 1972-1982)とある。


[[太田牛一]]著『[[信長公記]]』巻十四に見える[[1581年]][[2月18日]](天正9年[[1月15日 (旧暦)|正月15日]])のところに「御[[爆竹]]の事」に見える「御[[爆竹]]」を花火の爆竹であるとし、[[安土城]]下で爆竹(花火の一種)の製作されたと考える説もあるが、これは竹を燃やして音を立てる[[小正月]]の催しの一つとして少なくとも[[鎌倉時代]]から行なわれているものであり、火薬を使用した花火であったかどうかは即断できない。
'''『信長公記』太田牛一著 巻十四(天正九年辛巳)御[[爆竹]]の事'''という資料に“正月八日、御馬廻、御[[爆竹]]用意致し、(中略)御[[爆竹]]申し付けの人数、(中略)この外、歴/\、美々しき御出立、思ひ/\の頭巾、装束、結構にて、早馬十騎・廿騎宛乗せられ、後には、[[爆竹]]に火を付け、どうと、はやし申し、御馬ども懸けさせられ、其の後、町へ乗り出だし、さて、御馬納めらる。見物群集をなし、御結構の次第、貴賤耳目を驚かし申すなり”と記載があり、[[1581年]]([[天正]]9年)正月15日に、祝賀の行事として、[[安土城]]下で、[[織田信長]]が馬揃えを行い、爆竹(花火の一種)を使用したとある。


ただし、この頃には鉄砲に使用する需要から火薬の大量生産が行なわれるようになって、日本独自の花火の製作も行われていたことであろう。
[[江戸時代]]になり、戦がなくなると、花火を専門に扱う火薬屋が登場した。[[1648年]]には[[江戸幕府|幕府]]が[[隅田川]]以外での花火の禁止の触れを出しており、花火は当時から人気があったとされる。当時のものは、おもちゃ花火であったと考えられる。現存する日本で最も古い花火業者は、東京(当時の[[江戸]])の宗家花火鍵屋であり、[[1659年]]に初代弥兵衛がおもちゃ花火を売り出した。


戦国時代から[[江戸時代]]初期にかけて「花火見物」が行われたとする記録としては、[[伊達政宗]]が居城の[[米沢城]]で、[[1589年]][[8月17日]](天正17年[[7月7日 (旧暦)|7月7日]])夜、「大唐人」による花火を見物したというもの(『貞山公治家記録』『伊達天正日記』など)、[[1613年]]8月に[[徳川家康]]が[[駿府城]]で英国使節[[ジョン・セーリス]]と謁見した際、同行した明の商人から火の粉が筒から吹き出るような形状の花火を見せられたという記事(『[[駿府政事録]]』『宮中秘策』『武徳編年集成』)などがある(但し政宗の記事は元禄頃の編纂資料によるものであり、家康の記事と酷似するなど問題が指摘されている)<ref name="trace" />。
鍵屋初代弥兵衛は[[大和国]]篠原([[奈良県]][[吉野郡]])出身であり、幼少の頃から花火作りに長けていたと言う。[[1659年]]、江戸に出てきた弥兵衛は葦の中に[[星 (花火)|星]]を入れた玩具花火を売り出し好評を得た。弥兵衛はその後研究を続け、両国横山町に店を構え、「鍵屋」を屋号として代々世襲するようになった。


==== 江戸時代 ====
その後大型花火の研究を進め、[[1717年]]には水神祭りに合わせて献上花火を打ち上げている。[[1733年]]、[[関西]]を中心に[[飢饉]]に見舞われ、江戸では[[コレラ]]が猛威を振るい多数の死者を出した暗い世相の中、将軍[[徳川吉宗|吉宗]]が死者の慰霊と悪霊退散を祈り両国大川([[隅田川]]のこと)の水神祭りを催し、それに合わせて大花火を披露し、これが隅田川川開きの花火の起源になったと言われている。
江戸時代になり、戦がなくなると、花火を専門に扱う火薬屋が登場した。徳川発祥の地である、[[岡崎市|岡崎]]を中心とした[[三河国|三河地方]](現在の[[愛知県]]東部)は江戸時代、[[江戸幕府|徳川幕府]]によって唯一、火薬の製造・貯蔵を公式に許可されていた。そのような歴史もあり花火は昔から岡崎を中心とした三河地方に普及発達し、全国に三河花火の名をほしいままにした。その名残か、現在においても三河とその東隣の[[遠江国|遠州地方]](現在の[[静岡県]]西部)周辺は全国的にみて煙火の製造業や問屋が多く集積している。


[[1648年]]には[[江戸幕府|幕府]]が[[隅田川]]以外での花火の禁止の触れを出しており、花火は当時から人気があったとされる。当時のものは、おもちゃ花火であったと考えられる。[[1712年]]頃出版された絵入り[[百科事典]]『[[和漢三才図会]]』([[寺島良安]]著)には、鼠花火、狼煙花火<ref>{{国立国会図書館デジタルコレクション|992482/223|和漢三才図会. 巻之1-20|format=EXTERNAL}}</ref>などが紹介されている。
鍵屋と並んで江戸の花火を代表したのが'''玉屋'''である。玉屋は鍵屋の手代であった清吉が[[1810年]]に暖簾分けをし、市兵衛と改名の上、両国広小路吉川町に店を構えたのが始まりである。


花火禁止令が[[慶安]]元年(1648年)、[[寛文]]5年(1665年)、寛文10年(1670年)などにも出され、[[江戸]]中では、花火は全く行われないようになり、漸次地方へ移っていった。打ち上げ事故が起き、禁令が出されるということを繰り返したとされている。
このように鍵屋、玉屋の二大花火師の時代を迎えるようになった江戸では、両国の川開きは、両国橋を挟んで上流を玉屋、下流を鍵屋が受け持つようになった。当時の浮世絵を見ると玉屋の花火は多く描かれており、また「橋の上、玉や玉やの声ばかりなぜに鍵やといわぬ情(じょう)なし」(「情」と鍵屋の「錠」をかけている)という歌が残っていることからも、玉屋の人気が鍵屋をしのいでいたと考えられる。しかし[[1843年]]、玉屋から失火、店のみならず半町ほどの町並みを焼くという騒動があり、失火は重罪と定められていた当時であり、また偶然将軍[[徳川家慶|家慶]]の[[日光東照宮|東照宮]]参拝出立の前夜であったことから厳しい処分が下され、玉屋は[[闕所]](財産没収)、市兵衛は江戸お構い(追放)となってしまい、僅か一代で家名断絶となってしまった。


2013年時点で現存する日本で最も古い花火業者は、東京(当時の江戸)の[[宗家花火鍵屋]]であり、[[1659年]]に初代弥兵衛がおもちゃ花火を売り出した。
当時は、鍵屋のような花火専門業者の花火は町人花火と呼ばれた。このほか、[[大名]]らが配下の火薬職人らに命じ、競って隅田川で花火を揚げたという。これらの花火は'''武家花火'''と呼ばれる。特に、火薬製造が規制されなかった[[尾張藩]]、[[紀州藩]]、[[水戸藩]]の3つの徳川家の花火は'''御三家花火'''と呼ばれ、江戸[[町人]]らに人気があった。また仙台の伊達家の武家花火も、[[伊達政宗]]以来の豪放な藩風を反映させ、'''仙台河岸の花火'''として江戸町人の人気を得、見物人が大挙押しかけ、藩邸近くの[[萬年橋]]の欄干が折れるという事故まで発生している。武家花火は、戦に用いる信号弾のようなものが進化したもので、'''狼煙花火'''と呼ばれ、いわば垂直方向に着目した花火であり、色や形を楽しむ仕掛け花火を中心とした、いわば平面に特化した町人花火とは方向性が異なった。この方向の違いを共に取り入れたのが現代の日本の花火技術である。

鍵屋初代弥兵衛は[[大和国]]篠原([[吉野郡]]、後に[[奈良県]][[五條市]])出身であり、幼少の頃から花火作りに長けていたと言う。1659年、江戸に出てきた弥兵衛は葦の中に[[星 (花火)|星]]を入れた玩具花火を売り出した。弥兵衛はその後研究を続けて両国横山町に店を構え、「鍵屋」を屋号として代々世襲するようになり、現代に続いている(2018年時点で15代目)<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGKKZO38080330S8A121C1TY5000/ 【Women & Work】技術も情熱も 家業 私が継ぐ/花火研究で博士号■経営工学学ぶ]『[[日本経済新聞]]』朝刊2018年11月26日(女性面)2018年12月15日閲覧</ref>。その後、大型花火の研究を進め、[[1717年]]には水神祭りに合わせて献上花火を打ち上げている。

なお、[[隅田川花火大会|隅田川川開きの花火]]の起源として、これまで広く流布していた言説に次のようなものがある。

{{Quotation|[[1733年]]、[[畿内]]を中心に[[飢饉]]に見舞われ、江戸では[[コレラ]]が猛威を振るい多数の死者を出した暗い世相の中、将軍[[徳川吉宗|吉宗]]が死者の慰霊と悪霊退散を祈り両国大川(隅田川のこと)の水神祭りを催し、それに合わせて20発前後の花火が披露された<ref name="trace" />。}}

しかし、このエピソードは、明治中期から昭和初期にかけて徐々に創られていったものであり、歴史的事実とはかけ離れている<ref>福澤徹三「享保一八年隅田川川開開始説の形成過程」すみだ郷土文化資料館編『隅田川花火の三九〇年』(すみだ郷土文化資料館、2018年)186、192-193頁</ref>。例えば、コレラの日本国内での流行は、1822([[文政]]5)年に[[西日本]]一帯で起きたのが最初であり<ref>『[[国史大辞典_(昭和時代)|国史大辞典]] 第6巻』(吉川弘文館、1985年)、コレラの項。</ref>、1730年代に流行したというのは事実に反する<ref>福澤徹三「享保一八年隅田川川開開始説の形成過程」すみだ郷土文化資料館編『隅田川花火の三九〇年』(すみだ郷土文化資料館、2018年)192頁</ref>。詳細は「[[隅田川花火大会]]」を参照。

鍵屋と並んで江戸の花火を代表したのが'''玉屋'''である。玉屋は六代目の鍵屋の手代であった清吉が[[1810年]]に[[のれん分け|暖簾分け]]をして、市兵衛と改名の上、両国広小路吉川町に店を構えたのが始まりである<ref>『江戸東京地名辞典』([[講談社学術文庫]])</ref>。

このように鍵屋、玉屋の二大花火師の時代を迎えるようになった江戸では、両国の川開きは、[[両国橋]]を挟んで上流を玉屋、下流を鍵屋が受け持つようになった<ref name="trace" />。「たーまーやー」「かーぎーやー」というかけ声が生み出された{{Refnest|“打ち上がって、花が開き、それが落ちていくまで「たーーーまやーーー」と声を出し続けるのが本寸法だと言い伝えられている。[[享保]]18年(1733年)の両国での花火大会はわずか二十発程度だったという”<ref>『[[中日新聞]]』「中日春秋」(2014年7月28日)</ref>。|group="注"}}。当時の[[浮世絵]]を見ると玉屋の花火は多く描かれており、また「橋の上、玉や玉やの声ばかりなぜに鍵やといわぬ情(じょう)なし」(「情」と鍵屋の「錠」をかけている)という[[狂歌]]や「玉屋だと またぬかすわと 鍵屋いい」という[[川柳]]が残っていることからも、{{独自研究範囲|玉屋の人気が鍵屋をしのいでいたと考えられる|date=2023年7月}}。しかし[[1843年]][[5月16日]]([[天保]]14年[[4月17日 (旧暦)|4月17日]])、玉屋から失火、店のみならず半町(約1500[[坪]])ほどの町並みを焼くという騒動があった<ref name="trivia">{{Cite book |和書 |author=フジテレビトリビア普及委員会 |year=2003 |title=トリビアの泉〜へぇの本〜 3 |publisher=講談社 }}</ref>。当時、失火は重罪と定められており、また偶然ながら[[征夷大将軍|将軍]][[徳川家慶]]の[[日光東照宮|東照宮]]参拝出立の前夜であったことから厳しい処分が下され、玉屋は[[闕所]](財産没収)、市兵衛は江戸[[構 (刑罰)|お構い]](追放)となってしまい、僅か一代で家名断絶となってしまった<ref name="trivia" />。

当時は、鍵屋のような花火専門業者の花火は町人花火と呼ばれた。このほか、[[大名]]らが配下の火薬職人らに命じ、競って隅田川で花火を揚げたという。これらの花火は'''武家花火'''と呼ばれる。特に、火薬製造が規制されなかった[[尾張藩]]、[[紀州藩]]、[[水戸藩]]の3つの[[徳川御三家]]の花火は'''御三家花火'''と呼ばれ、江戸[[町人]]らに人気があった。また仙台の伊達家の武家花火も、[[伊達政宗]]以来の豪放な藩風を反映させ、'''仙台河岸の花火'''として江戸町人の人気を得て、見物人が大挙押しかけ、[[江戸藩邸]]近くの[[萬年橋]]の[[欄干]]が折れるという事故まで発生している。武家花火は、戦に用いる[[信号弾]]のようなものが進化したもので、'''狼煙花火'''と呼ばれ、いわば垂直方向に着目した花火であり、色や形を楽しむ仕掛け花火を中心とした、いわば平面に特化した町人花火とは方向性が異なった。この方向の違いを共に取り入れたのが現代の日本の花火技術である。


日本煙火芸術協会創立者で煙火に関する書物を数多く著した花火師の武藤輝彦([[1921年]] - [[2002年]])によれば、打揚花火は、[[1751年]]に開発されたとされている。それ以前の花火は、煙や炎が噴き出す花火であったと考えられている。
日本煙火芸術協会創立者で煙火に関する書物を数多く著した花火師の武藤輝彦([[1921年]] - [[2002年]])によれば、打揚花火は、[[1751年]]に開発されたとされている。それ以前の花火は、煙や炎が噴き出す花火であったと考えられている。


鍵屋は[[第二次世界大戦]]期に十三代天野太道が花火製造を取りやめ、現在は打ち揚げ専業業者となっている。
鍵屋は[[第二次世界大戦]]期に十三代天野太道が花火製造を取りやめ、2013年時点では打ち揚げ専業業者となっている。

花火に関しては特に江戸での記録が多く残っているが、これ以外の地方で花火が製造されなかったわけではない。特に、外国と交易のあった[[九州]]と、[[長野県]]、愛知県などでは、江戸時代から花火が作られていた。特に、[[三河国]]岡崎地方(愛知県[[岡崎市]]付近)は徳川家康の出身地ということで、火薬に関する規制が緩やかであり、江戸時代から町人が競って花火を製造した。2013年現在も岡崎周辺におもちゃ花火問屋が多いのはこの名残だといわれる。これ以外の日本国内での花火の主な産地は長野県、[[新潟県]]、[[秋田県]]、[[茨城県]]で、徳川家にゆかりのある地方が多い。


==== 明治時代以降 ====
花火に関しては特に江戸での記録が多く残っているが、これ以外の地方で花火が製造されなかったわけではない。特に、外国と交易のあった[[九州]]と、[[長野県|長野]]、[[愛知県|愛知]]などでは、江戸時代から花火が作られていた。特に、[[三河国]]岡崎地方(現在の愛知県[[岡崎市]]付近)は徳川家康の出身地ということで、火薬に関する規制が緩やかであり、江戸時代から町人が競って花火を製造した。現在も岡崎周辺におもちゃ花火問屋が多いのはこの名残だといわれる。これ以外の現在の花火の主な産地は長野県、[[新潟県]]、[[秋田県]]、[[茨城県]]で、徳川家にゆかりのある地方が多い。
[[File:Mikawa-Hanabi-1.jpg|thumb|260px|大正時代の花火工場(愛知県[[岡崎市]])]]
ヨーロッパで18~19世紀に化学の発展によって新しい化合物が合成され、それらを原材料にした「西洋花火」が[[明治]]元年([[1868年]])に日本に初めて輸入された。<ref>{{Cite book|author=岡田登 |year=1995 |title=イタリア初期の花火と日本への伝流 }}</ref>


[[明治時代]]になると、海外から[[塩素酸カリウム]]、[[アルミニウム]]、[[マグネシウム]]、[[炭酸ストロンチウム]]、[[硝酸バリウム]]といった多くの薬品が輸入され、それまで出せなかったを出すこができようになったばかりか明るさも大きく変化した。これらの物質の輸入開始は[[1879年]]から[[1887年]]にかけて段階的に行われ、日本の花火の形は大きく変化した。これ以前の技術で作られた花火を'''和火'''、これ以後のものを'''洋火'''と言い分けることもある。
明治時代になると、海外から[[塩素酸カリウム]]、[[アルミニウム]]、[[マグネシウム]]、[[炭酸ストロンチウム]]、[[硝酸バリウム]]といった多くの薬品が輸入され、それまで炭火色といわれ橙色の強弱のみで表現されていた花火新た色彩が加わったばかりか明るさも大きく変化した<ref name="trace" />。これらの物質の輸入開始は[[1879年]]から[[1887年]]にかけて段階的に行われ、日本の花火の形は大きく変化した。これ以前の技術で作られた花火を'''和火'''、これ以後のものを'''洋火'''と言い分けることもある。


新たな薬品によって多彩な色彩を持つ鮮やかな花火が誕生した反面、化学薬品に対する知識不足から相当な事故が発生したのも明治時代である。特に塩素酸カリウムは他の酸性薬品と混合すると不安定になり、僅かな衝撃でも爆発する危険性が高まる性質を有しており、和火時代の酸化剤として使用していた硝石と同様に扱った場合重大な事故を招く結果となった。
新たな薬品によって多彩な色彩を持つ鮮やかな花火が誕生した反面、化学薬品に対する知識不足から相当な事故が発生したのも明治時代である。特に塩素酸カリウムは他の酸性薬品と混合すると不安定になり、僅かな衝撃でも爆発する危険性が高まる性質を有しており、和火時代の酸化剤として使用していた硝石と同様に扱った場合重大な事故を招く結果となった。


多彩な色彩を持った洋火を大規模に打ち上げた記録としては、[[1889年]][[2月11日]]の[[大日本帝国憲法]]発布の祝賀行事で、[[二重橋]]から打ちげたものである。
多彩な色彩を持った洋火を大規模に打ち上げた記録としては、[[1889年]][[2月11日]]の[[大日本帝国憲法]]発布の祝賀行事で、[[皇居]]の[[二重橋]]から打ちげたものである。


それまで、花火の製造は打ち揚げには何の免許も規制も存在しなかったが、[[1910年]]に許可制となった。これ以前の地方の花火は、[[農家]]などが趣味で製造しているものが多かったが、この後、化学知識を駆使する必要から花火師の専業化が進むことになる。
それまで、花火の製造は打ち揚げには何の免許も規制も存在しなかったが、[[1910年]]に許可制となった。これ以前の地方の花火は、[[農家]]などが趣味で製造しているものが多かったが、この後、化学知識を駆使する必要から花火師の専業化が進むことになる。


[[大正]]期には発光剤としての[[マグネシウム]][[アルミニウム]]などの金属粉が登場し、夜空により鮮やかに大輪の華を咲かせられるようになり、また塩素酸カリウムに[[鶏冠石]]を混合した'''赤爆'''を編み出し、大きな発音効果を有す花火が完成していった。
[[大正]]期には発光剤としてのマグネシウムやアルミニウムなどの金属粉が登場し、夜空により鮮やかに大輪の華を咲かせられるようになった。また塩素酸カリウムに[[鶏冠石]]を混合した'''赤爆'''を編み出し、大きな発音効果を有す花火が完成していった。また[[青木儀作]]や[[廣岡幸太郎]]などの名花火師が登場したのも大正期である<ref name="trace" />


このように順調に技術を発展させていった花火であるが、[[昭和]]に入り戦火が拡大する世界情勢で停滞期を迎えることになる。花火製造は禁止はされないかわりに高い[[物品税]]がかけられたが、それでも当初は出征兵士壮行の花火や、英霊を迎える慰霊花火など、慰霊祭や戦勝祈願の花火が上げられていた。しかし戦火の拡大により隅田川川開きの花火大会も[[1937年]]に中止となった。そんな中、花火製造業者は防空演習で使用する発煙筒や焼夷筒(焼夷弾の音を再現する)を製造していた。
このように順調に技術を発展させていった花火であるが、[[昭和]]に入り、[[日中戦争]]など戦火が拡大する世界情勢停滞期を迎えることになる。花火製造は禁止はされないかわりに高い[[物品税]]がかけられたが、それでも当初は出征兵士壮行の花火や、[[英霊]]を迎える慰霊花火など、慰霊祭や戦勝祈願の花火が上げられていた。しかし戦火の拡大により隅田川川開きの花火大会も[[1937年]]に中止となった。そんな中、花火製造業者は防空演習で使用する発煙筒や焼夷筒([[焼夷弾]]の音を再現する)を製造していた。


敗戦後は[[1945年]][[9月]]に[[長野市]]の[[諏訪神社]]で花火が揚げられるが、翌[[10月]]に[[連合国軍最高司令官総司令部|連合国軍総司令部(GHQ)]]により火薬製造が禁じられた。しかし、[[1946年]]7月4日には、各地の[[アメリカ軍]]基地で日本業者がアメリカ独立祭の打ち揚げ花火を揚げ、戦後初の花火大会として1946年[[9月29日]]と[[9月30日|30日]]に[[土浦市]]で開催された第14回全国煙火競技大会(現在の土浦全国花火競技大会)、[[1947年]]の新憲法施行記念で[[皇居前広場]](皇居前広場では最後の花火打ち上げとなった)などが行われた。
[[第二次世界大戦]]敗戦後は[[1945年]][[9月]]に[[長野市]]の[[諏訪神社]]で花火が揚げられるが、翌[[10月]]に[[連合国軍最高司令官総司令部|連合国軍総司令部]](GHQ)により火薬製造が禁じられた。しかし、[[1946年]]7月4日には、各地の[[アメリカ軍]]基地で日本業者がアメリカ独立祭の打ち揚げ花火を揚げ<ref name="trace" />、戦後初の花火大会として1946年8月10日、[[岐阜市]]の[[長良川]]河畔で全国煙火大会(後に全国花火大会となる)、[[9月29日]]と[[9月30日|30日]]に[[茨城県]][[土浦市]]で開催された第14回全国煙火競技大会(後に土浦全国花火競技大会となる)、[[1947年]]の新憲法施行記念で[[皇居前広場]](皇居前広場では最後の花火打ち上げとなった)などが行われた。


日本の花火製造業者の粘り強い説得により、[[1948年]]にはGHQが在庫花火の消費を許可これを受け両国花火組合主催、[[読売新聞社]]が後援、丸玉屋小勝煙火店が単独で打ち上げる、両国川開きの花火大会が[[1948年]][[8月1日]]に復活した。この時は打ちげ許可量僅か600発であったが、平和な時代の大輪の華に70万人の観客があった(『両国川開年表』)。
日本の花火製造業者の粘り強い説得により、[[1948年]]にはGHQが在庫花火の消費を許可これを受け両国花火組合主催、[[読売新聞社]]が後援、丸玉屋小勝煙火店が単独で打ち上げる、両国川開きの花火大会が1948年[[8月1日]]に復活した。この時は打ちげ許可量僅か600発であったが、平和な時代の大輪の華に70万人の観客があった(『両国川開年表』)。


敗戦後はおもちゃ花火を含め、日本の花火は海外に多く輸出されたが、現在は中国からの輸入量の方が多く、輸出は激減している。現在でも多くの花火業者は、地元に根付いた零細・中小企業であり、技術を親の手から子の手へと伝える世襲制をとっている。
敗戦後はおもちゃ花火を含め、日本の花火は海外に多く輸出されたが、2013年時点では中国からの輸入量の方が多く、輸出は激減している。多くの花火業者は、2013年時点でも地元に根付いた零細・中小企業であり、技術を親の手から子の手へと伝える世襲制をとっている。


== 季節消費 ==
== 花火文化 ==
=== 日本 ===
日本では、花火の消費は夏に集中しており、そのほかの季節はあまり需要が無い。これは、花火が川開きに使用されていた名残だといわれている。一方、諸外国では冬をピークに年間を通じて消費されており、日本でも近年では、自治体の緊縮財政などで消費が伸び悩んでいる打ち上げ花火を中心に、年間を通した小口での販売を行う業者が出てきている。
[[日本]]では、[[夏]]の夜の[[風物詩]]とされている。一部の自治体では大規模な花火の打ち揚げを「花火大会」と称して行っている。花火大会の大半の開催時期は7、8月に集中している。
==== 伝統花火 ====
主に歴史のある花火を紹介する。この中には手筒花火の様に地方公演も行うなど地域交流の1つともなっているものもある。


; 松下流綱火(茨城県[[つくばみらい市]])
== 伝統花火 ==
: 別名を'''からくり人形仕掛花火'''ともいう。[[1603年]]、[[小張藩]]主となった[[松下重綱]]が戦勝祝いなど陣中で行ったのが始まりとされる。江戸時代になると火難除けと五穀豊穣を祈って愛宕神社に奉納するようになった。
主に歴史の有る花火を紹介する。この中には手筒花火の様に地方公演も行うなど地域交流の一つともなっている物もある。
: 小張松下流綱火は民族芸能の人形芝居と花火を組み合わせた珍しい行事である。高さ10m程度の柱を3本立て、3本の大綱を中心に綱を張り巡らし、人形を操作するための櫓を組み、お囃子に合わせて人形を操りながら仕掛け花火で人形の姿を照らすというものである。

: 上演外題は『[[源平盛衰記]]』や『[[桃太郎]]』、[[安珍・清姫伝説|安珍清姫日高川場]]などであり、お囃子も松下以外にも、[[巫女舞]]、繰こみ、[[三番叟|三番臾]]など外題(げだい)によって様々である。
; 松下流綱火(茨城[[つくばみらい市]])
: 人形は外題により上演ごとに[[藁]]を束ねたものを使用する。また仕掛け花火の火薬の調合は、[[1807年]]の文書『万華火本』が現存{{いつ|date=2013年8月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->しており、それに従った製法が守られている。
: 別名を'''からくり人形仕掛花火'''ともいう。[[1603年]]、小張城主となった松下石見守重綱が戦勝祝いなど陣中で行ったのが始まりとされる。江戸時代になると火難除けと五穀豊穣を祈って愛宕神社に奉納するようになった。
; 高岡流綱火(茨城県つくばみらい市)
: 小張松下流綱火は民族芸能の人形芝居と花火を組み合わせた珍しい行事であり、高さ10m程度の柱を3本立て、3本の大綱を中心に綱を張り巡らし、人形を操作するための櫓を組み、お囃子に合わせて人形を操りながら仕掛け花火で人形の姿を照らすというものである。
: 「綱火」は、[[操り人形|あやつり人形]]と仕掛花火を結合させ、空中に張り巡らせた綱を操作し、お囃子に合わせて人形を操るもので、別名を'''あやつり人形仕掛花火'''とも言う。その歴史は古く、[[慶長|慶長年間]]から続いており、それを中止すると村内は不幸に見舞われると言われている。
: 上演外題は[[源平盛衰記]]や[[桃太郎]]、[[安珍清姫日高川場]]などであり、お囃子も'''松下'''以外にも'''巫女舞'''、'''繰こみ'''、'''三番臾'''など外題によって様々である。
: この綱火の起源について確かな記録は残っていないが、慶長年間の愛宕神社祭礼当日、黒蜘蛛と赤蜘蛛の空中での巣作りをみて、その動作から暗示を得て、藁で人形を作り、空中で演技をさせるようになったという。
: 人形は外題により上演ごとに藁を束ねたものを使用する。また仕掛け花火の火薬の調合は、[[1807年]]の『'''万華火本'''』と称される文書が現存しており、それに従った製法が守られている。
: その後このあやつり人形にたいまつや提灯をつけるようになり、火薬の伝来とともに花火の製造技術を研究し、人形に取り付け神社に奉納し、村内の安全を祈願したといわれる。現在{{いつ|date=2013年8月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->は高岡地区に住む長男だけで組織される'''更進団'''により伝統が守られている。
; 高岡流綱火(茨城つくばみらい市)
; 秩父龍勢花火(埼玉県[[秩父市]])
: 「綱火」は,あやつり人形と仕掛花火を結合させ,空中に張り巡らせた綱を操作し,お囃子に合わせて人形をあやつるもので、別名を'''あやつり人形仕掛花火'''とも言う。その歴史は古く[[慶長|慶長年間]]から続いており、それを中止すると村内は不幸に見舞われると言われている。
: 天正年間に始まったといわれる秩父市下吉田、[[椋神社]]秋の大祭に奉納される手造りの花火。長さ約15mのロケット花火が300 - 500mの高さまで打ち上げる。
: この綱火の起源について,確かな記録は残っていないが,慶長年間愛宕神社祭礼当日黒蜘蛛と赤蜘蛛の空中での巣作りをみて,その動作から暗示を得て,藁で人形を作り,空中で演技をさせるようになったという。
; 三河手筒花火(愛知県[[豊橋市]]・[[東三河]])
 その後このあやつり人形にたいまつや提灯をつけるようになり,火薬の伝来とともに花火の製造技術を研究し,人形に取り付け神社に奉納し,村内の安全を祈願したといわれる。
: 直径約10cm、長さは70-80cmの青竹の節をくりぬき、周囲を麻縄で巻きつけた手筒を使用した花火である。氏神に奉納する前日に内部には火薬をたたき詰め、奉納の当日は若衆が脇腹に抱えて点火する。すると炎が時には10メートルを超えて噴出すという勇壮なものである。
。現在は高岡地区に住む長男だけで組織される'''更進団'''により伝統が守られている。
; 秩父龍勢花火(埼玉秩父
; 手力雄煙火([[岐阜市]]長森
: 毎年5月、9月、11月に方策を祈って[[手力雄命]](たぢからおのみこと。手力男命とも)に奉納する花火である。神輿に取り付けた手筒花火や、舞火、滝花火などの種類がある。
: 天正年間に始まったといわれる秩父市下吉田、椋神社秋の大祭に奉納される手造りの花火。長さ約15mのロケット花火が300~500mの高さまで打ち上げる。
; 流星(滋賀県[[米原市]]・近江他)
; 三河手筒花火(愛知豊橋・東三河)
: [[関ヶ原の戦い]]の際、関ヶ原から[[石田三成]]が本陣を構えた佐和山まで狼煙花火で連絡を取っていたのを真似て今日に伝えたと言われている。
: 直径約10センチ、長さは70~80センチの青竹の節をくりぬき、周囲を麻縄で巻きつけた手筒を使用した花火である。氏神に奉納する前日に内部には火薬をたたき詰め、奉納の当日は若衆が脇腹に抱えて点火する。すると炎が時には10メートルを超えて噴出すという勇壮なものである。
; 手力雄煙火(岐阜長森)
: 毎年5月、9月、11月に方策を祈って[[手力雄命]](たぢからおのみこと。手力男命とも)に奉納する花火である。神輿に取り付けた'''手筒花火'''や、'''舞火'''、'''滝花火'''などの種類がある。
; 流星(滋賀米原・近江他)
: 関ヶ原の合戦の際、関ヶ原から[[石田三成]]が本陣を構えた佐和山まで狼煙花火で連絡を取っていたのを真似て今日に伝えたと言われている。
: 流星で使用されているのは日本の伝統的な黒色火薬であるが、集落ごとに配合が異なり流派を形成している。
: 流星で使用されているのは日本の伝統的な黒色火薬であるが、集落ごとに配合が異なり流派を形成している。
; 篠田の花火(滋賀近江八幡)
; 篠田の花火(滋賀県[[近江八幡市]]
: 江戸中期に起源を持つ花火である。硝石と[[明礬]]を配合した上で糊を加え、板に絵や文字を描き、それを櫓に取り付けて火を放つというものである。
: 江戸中期に起源を持つ花火である。硝石と[[明礬]]を配合した上で糊を加え、板に絵や文字を描き、それを櫓に取り付けて火を放つというものである。
<!--花火陣屋(滋賀長浜)-->
<!--花火陣屋(滋賀長浜)-->
; 成羽愛宕神社奉納花火(岡山成羽)
; 成羽愛宕神社奉納花火(岡山成羽)
: [[1704年]]に成羽藩主の[[山崎義方]]が愛宕神社の勧請のための奉納花火を催したことに由来する花火大会である。
: [[1704年]]に[[成羽藩|成羽]]領主の[[山崎義方]]が愛宕神社の勧請のための奉納花火を催したことに由来する花火大会である。


== 花火大会 ==
==== 花火大会一覧 ====
[[日本の花火大会一覧]]を参照。
記録ではっきりわかる最も古い花火大会は、[[隅田川花火大会]](両国川開き)である。


==== 花火の日 ====
打ち上げ花火の製造には半年以上かかり、ほとんどの工程が手工業で量産が不可能である。また、危険な業種でもあることから、古くから非常に人気があったにもかかわらず、しばらく長い間、花火大会の数はあまり増えなかった。1980年ごろでも、名のある主な花火大会は10~20くらいであったとされる。しかしその後、安価な中国産花火が大量に輸入されるようになり、[[1985年]]に[[鍵屋]]十四代天野修が電気点火システムを開発すると、少人数で比較的安全に打ち揚げができるようになったことから、花火大会の数は激増した。日本煙火協会によれば、2004年に行われる花火大会は200近くにのぼる。協会が把握していない小規模なものもあるため、実数では200を超えると考えられる。
戦後、花火が解禁された1948年8月1日の記念に、東京本所[[厩橋]]で大規模な花火爆発事故の起きた1955年8月1日の追悼、世界最大ともいわれる[[教祖祭PL花火芸術]]の開催日8月1日の記念を兼ね、花火の日が[[8月1日]]に制定された(1967年制定)。このほか両国川開きが旧暦5月28日であったことから、[[5月28日]]も花火の日となっている。


=== 代表的な花火大会 ===
==== サプライズ花火 ====
サプライズ花火は事前に予告せずに打ち上げる花火である<ref name=":0">{{Cite web|和書|title=花火大会復活で注文増 花火の製造会社では生産急ピッチ|NHK 北海道のニュース |url=https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20230727/7000059504.html |website=NHK NEWS WEB |access-date=2023-09-01 |last=日本放送協会}}</ref>。'''シークレット花火'''ともいう<ref>{{Cite web|和書|title=【絶景夏写真】2023年「必見花火大会」を大公開! |url=https://news.livedoor.com/article/detail/24468779/ |website=ライブドアニュース |access-date=2023-09-01 |language=ja}}</ref>。2020年代前半に[[新型コロナウイルス感染症 (2019年)|新型コロナウイルス感染症]]の流行に伴い、密集を避けるため等の理由で度々行われた<ref name=":0" /><ref>{{Cite web|和書|title=福岡・筑後市でサプライズ花火、自粛生活が続く市民にエールを |url=https://www.nishinippon.co.jp/item/n/788770/ |website=西日本新聞me |access-date=2023-09-01 |language=ja}}</ref>。
<!--
書式テンプレート(発数は「x万xxxx発」の形が望ましい)
:* 大会名(実施される市町村、開催日、1開催の発数) - 説明
-->
; [[北海道]]
:* [[洞爺湖]]ロングラン花火大会(北海道[[虻田郡]][[洞爺湖町]]、4月から10月の20時45分~21時05分、1日400発) - 実施日数では日本最高(年間約180日間開催)
:* [[勝毎花火大会]](北海道[[帯広市]][[十勝川]]河川敷、8月13日、2万発) - [[十勝毎日新聞|十勝毎日新聞社]]主催。北海道内で最大規模、日本全国においても八大花火大会のひとつに数えられる花火大会。2007年度の集客数は約17万人。
; [[青森県]]
:* [[青森花火大会]](青森県[[青森市]]、8月7日、1万発) - 青森県内最大規模の花火大会。花火の打ち上げとねぶたの海上運行のコラボレーションがあり、世界ではここにしかない花火大会。
:* 浅虫温泉花火大会(青森県青森市、8月1日、5000発) - 青森県内最古の花火大会。ねぶたの前夜祭とともに行われる。
:* 五所川原花火大会(青森県[[五所川原市]]、8月3日、5000発) - 浅虫温泉花火大会に次ぐ青森県内での古い花火大会。プログラムが全てスターマインで構成されている。
:* 古都ひろさき花火の集い(青森県[[弘前市]]、6月第3土曜日、1万発) - 2006年に始まったばかりの花火大会。
; [[宮城県]]
:* [[仙台七夕花火祭]](宮城県[[仙台市]]、[[8月5日]]、1万6000発)花火師は、[[シドニーオリンピック]]閉会式の世界[[五大陸]]花火・[[アジア]]代表の芳賀火工(アジア代表はこの1社のみ)。観客数は55万人で、[[東北地方]]では「大曲の花火」に次ぐ観客数である。なお、宮城県の主な花火大会は同社が担当している。
:*[[石巻川開き祭り]](宮城県[[石巻市]]、8月1日~8月2日、1万5000発)打ち上げ花火の他にスターマインやナイアガラ、水上花火などが見られる。また大会前の昼に[[航空自衛隊]][[ブルーインパルス]]による曲技飛行が行われる。
; [[秋田県]]
:* '''[[全国花火競技大会_(秋田県大仙市)|全国花火競技大会]]''' (秋田県[[大仙市]](旧・大曲市)、8月第4土曜日、約1万5000発) - 80回以上続く著名な競技大会で、[[日本三大花火大会]]の一つ。日本煙火協会が後援する2つの競技大会のうちの1つで「大曲の花火」とも呼ばれる。また、競技会の合間にテーマに合わせて打上げられるワイドスターマイン「大会提供花火」は毎年大変な人気で、大曲花火協同組合青年部が1年かけて製作する。「大会提供花火」は1セットのスターマインではなく一列に並んで何カ所も打ち上げられ、音楽に合わせて約5~7分に渡り壮大な打ち上げを行う。集客は約70万人(大仙市の人口は9.8万人)と非常に多く、市内中心部が交通規制されたり、[[秋田新幹線]]が増発されたりと対応するものの、未だに50km先の[[秋田市]]まで車で帰るとなると最大で5時間かかるほどの渋滞に見舞われる。なお、NHKの衛星放送(BS-hiで生中継によるリアルタイム放送をしたのち、大会当日から1~2週後にBS2でも放送される)でこの大会が全国放送されるようになるとさらに知名度があがり、2010年の第84回大会では約80万人を記録した。また、大会の模様を2~3週遅れの金曜夜19:30~20:43に地元局のNHK秋田放送局(場合により東北ブロックネット)の『あきたスペシャル』(2006・2007年は『ワンダフル東北』(東北ブロックネット))で73分の短縮放送で再度放送されている。
:* [[能代港まつり花火大会]](秋田県[[能代市]]、7月第3土曜日、1万5000発) - 能代大火復興記念行事として1958年「能代の花火」として始まり、一時中断したが24年のブランクを経て、2003年「能代港まつり花火大会」として復活した大会。三尺玉の打上もある。テレビでは[[秋田放送]]で中継録画され特別番組として放映されている。
; [[山形県]]
:* [[酒田花火ショー]](山形県酒田市、8月第一土曜日)日本一のデジタルスターマイン。打上げ幅日本最大級の1,000mからのシンクロ花火。東日本最大級の尺玉(10号・20号玉)226発打上。観客数は東北屈指の約40万人。打上総数は約1万2000発。有料の特別観覧席などがある。
:* [[赤川花火大会]](山形県鶴岡市、8月9日、1万3000発)全長2kmに渡るスケールの大きな打ち上げ場所と観覧席、上空幅1000mにおよぶワイドな花火。全国花火50選、07年のヤフー全国花火大会テーマ別ランキング「最高の技にうなりたい」部門で全国4位に選ばれた。
; [[茨城県]]
:* '''[[土浦全国花火競技大会]]'''(茨城県[[土浦市]]、10月第1土曜日、約2万発) -日本三大花火の一つであり、日本煙火協会が後援する2つの競技大会のうちの1つで、日本各地の花火大会が終わった秋季に開催される。1925年から開催している。途中、第二次世界大戦による中断があった。会場は土浦市の桜川学園大橋付近下流側河川敷。観客数は毎年70万人以上で2008年には80万人(土浦市の人口は2009年現在約14万4千人ぐらいである。)を記録し、茨城県内では最大の規模を誇るイベントである。また、一般的に大会前に行われる市長の挨拶が中盤に行われて「土浦花火づくし」という大会主催者が日本煙火協会茨城県支部の協力を得て提供するスターマインが1列に並んだ4か所から約5分かけて同時に合計約1000発も打ち上げられる。このスターマインの打ち上げ幅は約500mに達し、この大会で毎年一番打ち上げ数が多い。[[茨城放送]]が2000年から『Saturday night IN HANABI』と題して毎年実況を茨城県内全域で放送している(2006年は当初放送予定であったが、順延のため枠確保できず中止)。しかし、土浦局及び県西中継局限定の放送もあった。 また、NHK茨城県域(NHKでは関東初となる県域テレビジョン放送(茨城県内が放送エリアの[[地上デジタル放送]]。))でも生放送されている。さらに、JR常磐線の臨時の普通列車が運行され、普段は同駅を通過する特急列車がこの日に限り土浦駅に臨時停車するなどの臨時の[[運行ダイヤ]]が組まれるが、上り線の臨時列車の大半が我孫子駅止まりとなる。(一部は松戸駅止まり。)また、年によっては回送扱いの特急列車を乗客に開放し土浦駅から我孫子駅まで無停車の快速運転をすることもある。
; [[栃木県]]
:* [[足利花火大会]](栃木県[[足利市]]、8月第1土曜日、2万発) - [[北関東]]を代表する歴史と規模 ー渡良瀬川河川敷の田中橋から福寿大橋間で打ち上げられる。東武足利市駅・JR足利駅から徒歩数分以内の大会会場ロケーション等により、毎年約40万人の人出となる。スターマインコンクールも開催され、昔懐かしい仕掛け花火、尺玉の打ち上げやナイアガラ花火もある。大会会場と打ち上げ場所が近いため、花火の炸裂が近く迫力のある鑑賞ができる。花火大会の前後期間は「わたらせサマーフェスタ」として芸能人やアーティスト等によるイベントが開催されている。
:* [[小山市#催し物|おやまサマーフェスティバル 小山の花火]](栃木県[[小山市]]、8月第2土曜日、2万8発(2008年実績))-約30万人の人出。思川河畔で打ち上げられる。
; [[埼玉県]]
:* [[戸田橋花火大会|戸田橋]]・[[いたばし花火大会]](埼玉県[[戸田市]]・東京都[[板橋区]]、8月第1土曜日、1万発)- 戸田市と板橋区の同時開催、荒川沿いで行われ都内近郊で1万発の花火と尺玉が上がること、アクセスの便利さなどもあり戸田・板橋両方を合わせて100万人の人出がある。戸田側だけでも45万人の人出がある。
:* [[熊谷花火大会]](埼玉県[[熊谷市]]、8月第2または第3土曜日、1万発) - スターマインコンクールや、市民などが記念に上げる「慶事花火」(会場でメッセージがナレーションされる)など。最寄りの[[熊谷駅]]から徒歩5分で会場の[[荒川 (関東)|荒川]]河川敷の会場に到着できる。45万人の人出がある。埼玉県内最古の花火大会。
:* [[秩父夜祭|秩父夜祭花火大会]](埼玉県[[秩父市]]、12月3日 8000発)- 全国的に数少ない大規模な冬の花火大会。[[秩父夜祭]](日本三大美祭)の山 車と山を背景にした上空に映える花火の競演。
; [[千葉県]]
:* [[NARITA花火大会in印旛沼]](千葉県[[成田市]]、10月第3土曜日) - [[印旛沼]]湖畔で行われる花火大会。
; [[東京都]]
:* [[隅田川花火大会]](東京都) - 記録に残る限り最も古い。
:* [[東京湾大華火祭]](東京都、8月第2土曜日、1万2千発) - 隅田川花火大会と並ぶ東京の代表的な花火大会。
:* [[神宮外苑花火大会]](東京都)-神宮球場、軟式球場、秩父宮ラグビー場、国立競技場を会場とする都会の花火大会。各会場では、豪華ゲストによる余興も行われる。
:* [[多摩川花火大会 (世田谷区・川崎市)|多摩川花火大会]] (東京都世田谷区・川崎市、8月第3土曜日)- [[多摩川]]にかかる二子橋付近の河川敷で同日に行われる花火大会。打上数は両大会それぞれ約6,000発、合計約12,000発。
:* [[足立の花火]](東京都、足立区、7月最終土曜日の2日前の木曜日、約1万2000発)- 荒川河川敷(西新井橋~[[東京地下鉄千代田線|千代田線]]鉄橋間)にて行われる。旧名「千住の花火大会」「足立の花火大会」。
:* [[立川まつり国営昭和記念公園花火大会]](東京都、立川市、7月最終土曜日、約5000発(1尺5寸玉を含む))- 国営昭和記念公園にて行われる。
; [[神奈川県]]
:* 鎌倉花火大会(神奈川県[[鎌倉市]]、8月、約2900発)- [[材木座]]から坂ノ下に渡る数か所から打ち上げられ、半球形の「水上花火」が名物
:* [[あつぎ鮎まつり]]花火大会(神奈川県[[厚木市]]、8月第1土曜日、約10.000発)- 相模川三川合流点で毎年盛大に開催されている厚木市最大のイベント
; [[新潟県]]
:* '''[[長岡まつり]]大花火大会''' (新潟県[[長岡市]]、8月2日・3日、2日間で約2万発) - [[信濃川]]河川敷で開催される。正三尺玉(30号玉)や10号早打ち100連発など。[[上越新幹線]]や[[信越本線|信越線]]など臨時列車が増発される。[[越後三大花火|越後三大花火大会]]の1つ。毎年、約70〜80万人が訪れる。
:* [[片貝まつり]]浅原神社秋季大祭奉納煙火(新潟県[[小千谷市]]、9月9日・10日)-日本国内で唯一[[正四尺玉|四尺玉]](40号玉)の打ち揚げがある。また、日本で唯一の「昼間の三尺玉」の打ち揚げもある。[[越後三大花火|越後三大花火大会]]のひとつ。海岸や川原ではなく丘陵の上で打ち上げられる。
:* [[ぎおん柏崎まつり]]海の花火大会(新潟県[[柏崎市]]、約2万発) - [[越後三大花火|越後三大花火大会]]の1つ。海中空スターマイン・日本唯一の海上三尺玉など。尺玉(10号玉)300連発は約7分間にも及び[[本州]][[日本海]]側最大規模。
; [[長野県]]
:* [[諏訪湖祭湖上花火大会]](長野県[[諏訪市]]、毎年[[8月15日]]、約4万2000発(2007年)) - 日本最大の打ち上げ数を誇る日本屈指の大会。観衆は約45万人。水上スターマインが有名。輸送には普段首都圏で使用されている[[国鉄201系電車|201系]]電車による臨時列車が増発される。
:* [[全国新作花火競技大会]](長野県諏訪市、9月第1週、約1万7000発)- 観衆は約30万人。花火師各々がテーマを決め、そのテーマに沿って作られた新作花火を、テーマに沿った曲にあわせて打ち上げる。新作もの限定の競技会であり、目新しい花火を見ることができる。大会の最後には諏訪湖花火名物の水上スターマインも打ち上げられる。
:* [[長野えびす講煙火大会]](長野県[[長野市]]、[[11月23日]]、約4000発) - 晩秋に開催される、[[1899年]](明治32年)から続く伝統ある花火大会。[[2005年]](平成17年)に第100回を迎え、観衆は32万人であった。
; [[石川県]]
:* [[輪島市民まつり花火大会]](石川県[[輪島市]]、6月第1土曜日、約1万発)- 20分間に約1万発の花火をあげる(2011年は、10149発)日本でも稀有な花火大会。通常、1万発の花火をあげる規模の花火大会は、1時間くらいかけて花火をあげるが、この花火大会は、たった20分間で1万発をあげる。その規模の大きさの割には知名度が低く、ほとんど輪島市民しか観客がいない。また、[[輪島市]]のマリンタウン沖の100メートル先の堤防から打ち上げられるため、花火の迫力に圧倒される。
:* [[北國大花火川北大会]](石川県[[能美郡]][[川北町]]、8月第1土曜日、約1万8000発)
:*和倉温泉夏花火(石川県[[七尾市]]、約3000発)
; [[福井県]]
:*[[とうろう流しと大花火大会]](福井県[[敦賀市]]、毎年8月16日、約1万2000発)
; [[岐阜県]]
:*[[全国選抜長良川中日花火大会]](岐阜県[[岐阜市]]、毎年7月最終土曜日、約3万発)
:*[[長良川全国花火大会]](岐阜県岐阜市、毎年8月第1週土曜日、約3万発)
; [[静岡県]]
:* [[熱海市|熱海]]海上花火大会(静岡県[[熱海市]]、夏・秋・年末に数回) - 海上での花火大会としては日本最大級。
:* [[狩野川花火大会]](静岡県[[沼津市]]、7月最終土日、約9000発) - 観衆は約35万人。全国でも珍しい中心市街地で行われる花火大会。[[沼津夏まつり]]と同時開催。
:* [[ふくろい遠州の花火]](静岡県[[袋井市]]、8月第1または第2週土曜日、3万発) - 観衆は約40万人。[[富士山]]を有する静岡県にちなんだ「空中ナイアガラ大富士瀑布」や、競技花火など多彩な花火を観られる。開始僅か十余年で全国屈指の大会規模に成長した、全国でも珍しい大会である。
; [[愛知県]]
:* [[岡崎観光夏まつり花火大会]](愛知県[[岡崎市]]、8月第1土曜日) - 江戸時代から続く三河花火や各種コンクールでは最新花火など堪能できる。全国でも類を見ない凝りに凝った豪華な枠仕掛け花火や水面を走る「金魚花火」といった珍しい小型花火も観られる。名鉄本線や愛知環状鉄道で臨時列車や臨時増結が行われる。
:* [[豊橋祇園祭]](愛知県[[豊橋市]]、7月中旬の金・土曜日) - [[今川義元]]の[[三河国]]統治時代から続く花火大会。金曜日には[[手筒花火]]、土曜日には[[豊川]]で打ち上げ花火・仕掛け花火・金魚花火が見られる。
; [[三重県]]
:* [[熊野大花火大会]](三重県[[熊野市]]、8月17日) - [[七里御浜]]にて開催 周囲が山に囲まれているため爆音は圧巻。[[国道42号]]は毎年30km超の渋滞、[[JR]][[紀勢本線]]も臨時列車が多数運行されるが寿司詰め状態で、交通の混雑具合も有名。
; [[大阪府]]
:* [[教祖祭PL花火芸術]](大阪府[[富田林市]]、[[8月1日]]、2万発<ref>[[2008年]]は花火の数え方を、花火の炸裂数から打ち上げ数に変更したため、見かけの数は激減して2万発と発表された。規模は例年通りである。</ref>) - [[パーフェクト リバティー教団]]の宗教行事で雨天決行。 花火大会として発数では日本最大かつ世界最大級。約30万人の人出とされるが、周辺市町も見学者であふれる。
:* [[なにわ淀川花火大会]]([[大阪市]][[淀川区]]、8月第1土曜日、約2万発) - 2005年までは[[平成淀川花火大会]]。
:* [[岸和田港まつり花火大会]](大阪府[[岸和田市]]、1500発)
; [[兵庫県]]
:* [[いたみ花火大会]]([[大阪府]][[池田市]]、[[兵庫県]][[川西市]])
:* [[猪名川花火大会]]([[兵庫県]][[伊丹市]])
:* [[みなと神戸花火大会]]([[兵庫県]][[神戸市]])
; [[広島県]]
:* [[宮島水中花火大会]](広島県[[廿日市市]][[宮島町]]、8月14日、約5000発) - 大型の水中花火が目玉。
; [[山口県]]・[[福岡県]]
:* [[関門海峡花火大会]](山口県[[下関市]]・福岡県[[北九州市]][[門司区]]、[[8月13日]]、計1万3000発)- [[関門海峡]]を挟んで両岸で打ち上げが行われる。全国2番目の計110万人の人出。[[門司港駅]]・[[下関駅]]、[[サンデン交通]]バスは大変混雑する。列車は各線で大増発される。
; [[香川県]]
:* [[さぬき高松まつり|さぬき高松まつり花火大会・どんどん高松]](香川県[[高松市]]、8月13日、約6,500発) - [[サンポート高松]]で行われ、約21万人の観客を集める。
; [[福岡県]]
:* [[筑後川花火大会]](福岡県[[久留米市]]、[[8月5日]]、18000発) - [[筑後川]]で行なわれる。西日本最大級の花火大会で県内多くの人で賑わいを見せる。最寄り駅は久留米([[久留米駅|JR]]・[[西鉄久留米駅|西鉄]])である。
:* [[西日本大濠花火大会]](福岡県[[福岡市]][[中央区 (福岡市)|中央区]]、[[8月1日]]、6000発) - [[大濠公園]]で行なわれる。市街地のビルでは見えるところが多く、また[[NHK福岡放送局]]も大濠公園の近くにあるため中継する。当日は最寄の[[福岡市地下鉄空港線]]・[[大濠公園駅]]は大変混雑する。[[七隈線]]開業後は[[六本松駅]]へ誘導する。[[西日本新聞社]]・[[コカ・コーラウエストジャパン]]などが協賛している。
; [[熊本県]]
:*[[やつしろ全国花火競技大会]]([[熊本県]][[八代市]]、[[10月]]第3土曜日、約13,000発)-西日本で唯一開催される花火競技大会である。約30万人の観客が訪れる秋の風物詩である。JR鹿児島本線、肥薩おれんじ鉄道で臨時列車が増発されるが、肥薩線、九州新幹線では増発されない。鹿児島本線では、熊本の車両では賄うことができないため、福岡で運行される電車や、特急ハウステンボスなどが用いられることがある。
; [[沖縄県]]
:* [[琉球海炎祭]](沖縄県[[宜野湾市]]、約10,000発)-日本で一番早い花火大会として、3月~4月の週末に行われている。


=== 花火が関連する作品 ===
{{Main2|その他の花火大会|日本の花火大会一覧}}
{{Main|Category:花火を題材とした作品|Category:花火を題材とした楽曲}}


== 花火の ==
== 花火の法規制 ==
花火の取り扱いには国ごとに法規制がある。がん具としての花火にも文化により法規制に違いがある。国によっては花火の爆音が銃声と混同されかねないことから、記念日以外は花火の使用を禁止していることもある。
戦後、花火が解禁された1948年8月1日の記念に、東京本所厩橋で大規模な花火爆発事故の起きた1955年8月1日の追悼、世界最大ともいわれる教祖祭PL花火芸術の開催日8月1日の記念を兼ね、花火の日が[[8月1日]]に制定された(1967年制定)。このほか両国川開きが旧暦5月28日であったことから、[[5月28日]]も花火の日となっている。


== 花火と事故 ==
=== 日本 ===
==== 火薬類取締法 ====
花火の[[事故]]としては、花火工場における製造過程での事故と花火大会における実演時の事故とに大きく分けられる。花火大会における事故は、花火の危険性だけでなく、[[群集事故]]など多くの観客が集まるために起こりうる事故を防ぐために事前にさまざまな予防措置が運営側によって施されるようになっているが、防ぎ切れていない。また、家庭で行なわれる花火でも、火薬の危険性を十分認識していない[[児童]]が遊戯の主体であるため、取り扱い時の不注意や、ふざけて人に向けるなど危険な行為を行なうことによって、事故を起こしがちである。また、遊戯後の火の不始末による火災の危険性もある。<br/>家庭で花火をするときは、[[バケツ]]などに水を汲むなどしていつでも消火できる環境にして遊び、燃え尽きた後の花火はきちんと処理すること。また、小さい子供だけで花火をするのは避けること。不発の花火(特に打ち上げ花火のものは「黒玉」と呼称される)には再発火や爆発の危険があり、水に漬けるなどの処置が必要となる。
[[火薬類取締法]]による規制がある。
* 製造
*: 一般の火薬類と同じく煙火やがん具煙火の製造には許可が必要である<ref name="meti">[https://web.archive.org/web/20170414083241/http://www.meti.go.jp/committee/downloadfiles/g41006a40j.pdf 我が国におけるがん具煙火の規制概要について] [[経済産業省]]</ref>。
* 販売
*: 一般の火薬類と同じく煙火の販売には許可が必要である(がん具煙火の販売には許可は不要)<ref name="meti" />。
* 火薬庫での貯蔵
*: 一般の火薬類と同じく煙火の貯蔵には許可が必要である<ref name="meti" />。がん具煙火の貯蔵は25kg以下であれば許可は不要である<ref name="meti" />。
* 譲渡・譲受
*: 一般の火薬類と異なり煙火やがん具煙火の譲渡・譲受には許可は不要である<ref name="meti" />。
* 運搬
*: 一般の火薬類では100kg以上の運搬に届出が必要とされているが、煙火では600kg以上、がん具煙火では2t以上の運搬に届出が必要である<ref name="meti" />。
* 輸入
*: 一般の火薬類と同じく煙火やがん具煙火の輸入には許可が必要である<ref name="meti" />。
* 消費
*: 一般の火薬類と同じく煙火の消費には許可が必要である(がん具煙火の消費には許可は不要)<ref name="meti" />。一般の火薬類と同じく煙火の消費には、技術基準が定められているほか、18歳未満の取り扱いが禁止されている(がん具煙火にはこのような規制はない)<ref name="meti" />。
*: 例えば、打上花火を揚げるには、各都道府県知事による煙火消費許可が必要であり、申請には一般人から俗に花火師と呼ばれる煙火店所属の技能認定証明である日本煙火協会発行の[[煙火消費保安手帳]]を保持した「煙火打揚従事者」を記載する。
* 廃棄
*: 一般の火薬類と異なり煙火やがん具煙火の廃棄には許可は不要である<ref name="meti" />。


==== 消防法 ====
従来から花火の事故は多くあったが、統計が残っているのは[[1950年代]]ごろからである。1950年代から[[1960年代]]にかけては花火工場の爆発事故が多く、毎年10名以上の死者が出ていた時代もあった。多くは花火工場が爆発し従業員が死亡するというものだったが、近隣の建造物や一般人の生命に危害を及ぼしたものもあり、これらの事故により花火製造に関する規制は徐々に厳しくなった。ただし、安全な種類の火薬を用い、保管量を守れば、そのような事故の大部分は防げたはずだという主張もある。
[[消防法]]では危険物の扱いを受ける。


==== 航空法 ====
国によっては花火の爆音が銃声と混同されかねないことから、記念日以外は花火の使用を禁止していることもある。
[[航空法]]により、打ち上げる花火が到達する空域によっては、打ち上げが禁止される場合、または打ち上げる場合に事前に国土交通大臣への届出が必要な場合がある([[制限表面]]も参照)。
また、災害発生時に[[緊急用務空域]]が指定された場合、花火の打ち上げに一時的に許可または通報が必要となる。


=== 火災・爆発など ===
=== アメリカ ===
{{main|en:Fireworks policy of the United States}}
; 玩具問屋爆発事故([[1955年]][[8月1日]])
日本の「がん具煙火」に相当する物は「consumer fireworks」(消費者向け花火、花火師が上げる物はprofessional fireworksと呼ばれる)と呼ばれる。それらの取り扱い(購入、所持、消費)には、州ごとに年齢制限(多くの州は16歳)があり、消費も年末年始や独立記念日前後に限られている場合が多い<ref name="meti" />。
: [[東京都]][[墨田区]]厩橋で、おもちゃ花火問屋が爆発。死者18名。

; [[東京宝塚劇場]]火災事故([[1958年]])
=== ドイツ ===
: 無許可で演出のために使われた花火が引火。[[劇団]]員3名が死亡。以後[[劇場]]での花火の使用に厳しい規制がかけられる。特に東京都では全面禁止となった。(1985年に一部規制緩和)
パーティー用クラッカーなど一部の品目を除き購入や消費に制限がある<ref name="meti" />。
; [[上郷村花火工場爆発事故]]([[1959年]][[5月29日]])

: [[長野県]][[下伊那郡]][[上郷村]](現・[[飯田市]])で死者7名を出した事故。花火工場に近接した[[小学校]]校庭で体操をしていた小学6年女子児童1名が爆風で死亡。花火製造への規制が強化される一因となる。
=== イギリス ===
; 横浜花火大会爆発事故([[1989年]][[8月2日]])
{{main|en:Fireworks law in the United Kingdom}}
: 山下公園前海上の台船で打ち揚げていた花火の火が、他の打ち上げ前の花火に引火し花火玉325個が爆発。花火師2名が焼死、負傷者7名。
パーティー用花火(party popper)やクラッカーボール(throwdown)などを除き、がん具煙火の購入や消費などにも年齢制限(原則満18歳)がある<ref name="meti" />。
; 茨城県守谷町(現[[守谷市]])花火工場爆発事故([[1992年]][[6月16日]])

: 煙火製造工場内倉庫、薬品庫で爆発が発生、工場内で3人死亡、負傷者58名。
=== スウェーデン ===
; エンスヘーデ花火保管倉庫爆発事故 ([[2000年]][[5月13日]])
手持ちスパークラー(handheld sparklers)やパーティー用花火(party popper)、噴水(ice fountain)などを除き、がん具煙火の購入や消費などにも年齢制限(原則満18歳)がある<ref name="meti" />。
: [[オランダ]]の[[エンスヘーデ]]にあった花火保管倉庫に保管されていた100tの中国製花火が爆発し、街にオランダ史上第二次世界大戦以来と言われる壊滅的被害を与えた。20名以上死亡、900名以上負傷、1000名が住居を失った。被害総額8900万ドル<ref>[http://www.sozogaku.com/fkd/cf/CA0000254.html 失敗事例データベース]</ref>。

; [[鹿児島県]]南国花火製造所爆発事故([[2003年]](平成15年)[[4月11日]])
=== ノルウェー ===
がん具煙火の購入や所持には年齢制限(満16歳)があるが消費に許可は不要<ref name="meti" />。

=== 中国 ===
{{main|{{ill2|中国での花火禁止令|en|Fireworks bans in China}}}}

== 花火による環境汚染 ==
花火により、[[重金属]]の残留物、硫黄化合物、[[粒子状物質]]、その他の低濃度の毒性物質などを含有する煤煙が生じる<ref name="GrimaButler2012">{{cite journal|last1=Grima|first1=Matthew|last2=Butler|first2=Mark|last3=Hanson|first3=Robert|last4=Mohameden|first4=Ahmed|title=Firework displays as sources of particles similar to gunshot residue|journal=Science & Justice|volume=52|issue=1|year=2012|pages=49–57|issn=13550306|doi=10.1016/j.scijus.2011.04.005}}</ref><ref name="BaranyaiSimon2014">{{cite journal|last1=Baranyai|first1=Edina|last2=Simon|first2=Edina|last3=Braun|first3=Mihály|last4=Tóthmérész|first4=Béla|last5=Posta|first5=József|last6=Fábián|first6=István|title=The effect of a fireworks event on the amount and elemental concentration of deposited dust collected in the city of Debrecen, Hungary|journal=Air Quality, Atmosphere & Health|volume=8|issue=4|year=2014|pages=359–365|issn=1873-9318|doi=10.1007/s11869-014-0290-7}}</ref><ref name="TiwariChate2011">{{cite journal|last1=Tiwari|first1=S.|last2=Chate|first2=D. M.|last3=Srivastava|first3=M. K.|last4=Safai|first4=P. D.|last5=Srivastava|first5=A. K.|last6=Bisht|first6=D. S.|last7=Padmanabhamurty|first7=B.|title=Statistical evaluation of PM10 and distribution of PM1, PM2.5, and PM10 in ambient air due to extreme fireworks episodes (Deepawali festivals) in megacity Delhi|journal=Natural Hazards|volume=61|issue=2|year=2011|pages=521–531|issn=0921-030X|doi=10.1007/s11069-011-9931-4}}</ref><ref name="MorenoQuerol2007">{{cite journal|last1=Moreno|first1=Teresa|last2=Querol|first2=Xavier|last3=Alastuey|first3=Andrés|last4=Cruz Minguillón|first4=Mari|last5=Pey|first5=Jorge|last6=Rodriguez|first6=Sergio|last7=Vicente Miró|first7=José|last8=Felis|first8=Carles|last9=Gibbons|first9=Wes|title=Recreational atmospheric pollution episodes: Inhalable metalliferous particles from firework displays|journal=Atmospheric Environment|volume=41|issue=5|year=2007|pages=913–922|issn=13522310|doi=10.1016/j.atmosenv.2006.09.019}}</ref>。
これらの燃焼による副生成物は、原材料の混合の仕方により大きく異なってくる。
(例えば、[[バリウム]]塩を加えることで、花火の緑色を出すことがある<ref name="GrimaButler2012"/>。これらの物質には毒性のあるものも含まれる。)

また花火は[[過塩素酸塩]]の排出源にもなっているとされてきた<ref>[http://www.sciencedaily.com/releases/2007/05/070528095714.htm Fireworks Displays Linked To Perchlorate Contamination In Lakes]</ref><ref name="MunsterHanson2008">{{cite journal|last1=Munster|first1=Jennie|last2=Hanson|first2=Gilbert N.|last3=Jackson|first3=W. Andrew|last4=Rajagopalan|first4=Srinath|title=The Fallout from Fireworks: Perchlorate in Total Deposition|journal=Water, Air, and Soil Pollution|volume=198|issue=1-4|year=2008|pages=149–153|issn=0049-6979|doi=10.1007/s11270-008-9833-6}}</ref><ref name="YamadaAsano2009">{{cite journal|last1=Yamada|first1=Etsu|last2=Asano|first2=Hiroki|last3=Fuse|first3=Yasuro|title=Behavior of Atmospheric Perchlorate in Kyoto City|journal=BUNSEKI KAGAKU|volume=58|issue=4|year=2009|pages=241–247|issn=0525-1931|doi=10.2116/bunsekikagaku.58.241}}</ref>。
[[アメリカ合衆国環境保護庁]]のリチャード・ウィルキンらは、環境中の過塩素酸塩による人体や野生動物への影響を念頭に置いて、水域上空での花火類の使用についての研究を行った。
過塩素酸塩の排出源は雷や特定の化学肥料からロケット燃料や爆発物中に含まれるものまで多岐にわたる。
科学者らは長年の間、地域の花火大会がもう一つの排出源となっているのではないかと疑ってきたが、ほとんど研究がなされていなかった。
ウィルキンの研究グループは2004年、2005年、2006年に花火大会の前後にオクラホマ州にある湖の水を分析することで、花火が過塩素酸塩汚染の原因の一つであることを立証した。
花火大会から14時間以内に、過塩素酸塩の濃度はバックグラウンド濃度の24倍から1,028倍へと上昇した。
24時間後に濃度は最大となり、20日から80日後には大会前の水準へと落ち着いた<ref>{{Cite web|url=http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/es0700698 |title=Perchlorate Behavior in a Municipal Lake Following Fireworks Displays - Environmental Science & Technology (ACS Publications) |publisher=Pubs.acs.org |date= |accessdate=2010-06-24}}</ref>。

過塩素酸塩は固体塩の一種であり、地下水や表流水に容易に溶解し移動する。
過塩素酸塩が飲料水に混じっていると[[甲状腺]]の[[ヨウ素]]の取り込みが阻害されることが知られている<ref name="MunsterHanson2008"/><ref name="YamadaAsano2009"/><ref>{{cite web|title=Interim Drinking Water Health Advisory For Perchlorate |url=https://nepis.epa.gov/Exe/ZyPDF.cgi/P1004X7Q.PDF?Dockey=P1004X7Q.PDF |publisher=U.S. Environmental Protection Agency |accessdate=2017-07-30}}</ref><ref name="KOSAKAASAMI2007">{{cite journal|last1=KOSAKA|first1=Koji|last2=ASAMI|first2=Mari|last3=MATSUOKA|first3=Yukiko|last4=KAMOSHITA|first4=Masahiro|last5=KUNIKANE|first5=Shoichi|title=Occurrence of Perchlorate in Water Purification Plants in Tone River Basin|journal=Journal of Japan Society on Water Environment|volume=30|issue=7|year=2007|pages=361–367|issn=0916-8958|doi=10.2965/jswe.30.361}}</ref>。
連邦全体での飲料水の基準は現在存在しないものの、いくつかの州では公衆衛生の目標や対策レベルを既に設定しており、最大基準値を確立しようしている州もある。
たとえば、アメリカ合衆国環境保護庁では飲料水と同様に環境への過塩素酸塩による影響が研究されている<ref>{{Cite web|url=http://www.epa.gov/safewater/contaminants/unregulated/perchlorate.html |title=Perchlorate &#124; Drinking Water Contaminants &#124; Safewater &#124; Water &#124; US EPA |publisher=Epa.gov |date= |accessdate=2010-06-24}}</ref> 。
また[[カリフォルニア州]]は過塩素酸塩使用に関する指針を発行した<ref>{{Cite web|url=http://www.cdph.ca.gov/certlic/drinkingwater/Pages/Perchlorate.aspx |title=Perchlorate in Drinking Water |publisher=Cdph.ca.gov |date= |accessdate=2010-06-24}}</ref>。

花火からの汚染物質は健康リスクについての懸念を招く。
大多数の人について長期にわたり多数の排出源からの低レベルの毒物へ暴露した場合の影響というのはよく分かってない。
一方で[[ぜんそく]]患者や多種類化学物質過敏症の患者にとっては、花火からの煙が疾患を悪化させる可能性がある<ref>New Scientist - [http://www.newscientist.com/article/mg20026875.800 Great fireworks, shame about the toxic fallout]</ref><ref name="GouderMontefort2014">{{cite journal|last1=Gouder|first1=Caroline|last2=Montefort|first2=Stephen|title=Potential impact of fireworks on respiratory health|journal=Lung India|volume=31|issue=4|year=2014|pages=375|issn=0970-2113|doi=10.4103/0970-2113.142124}}</ref>。

=== アメリカ合衆国 ===
[[マサチューセッツ州]]を含む複数の州は過塩素酸塩についての飲料水の基準を立法化してきた。
カリフォルニア州議会では2003年に過塩素酸塩汚染防止法(AB 826)が制定された。
この法律ではカリフォルニア州有害物質規制局(DTSC)に対して過塩素酸塩および過塩素酸塩の含有物質についての最適な管理方法を示す規制を採択するよう求めた。
この管理方法は2005年12月31日に採択され、2006年7月1日に施行された<ref>{{Cite web|url=http://www.dtsc.ca.gov/HazardousWaste/Perchlorate/ |title=Perchlorate |publisher=Dtsc.ca.gov |date= |accessdate=2010-06-24}}</ref> 。
またカリフォルニア州は飲料水の基準を2007年に制定した。
[[アリゾナ州]]、[[メリーランド州]]、[[ネバダ州]]、[[ニューメキシコ州]]、[[ニューヨーク州]]、[[テキサス州]]を含む複数の州では、強制性のない勧告基準を制定した。

司法もまた過塩素酸塩汚染に関連した判決も下してきた。
例えば、2003年にカリフォルニア州の連邦地方裁判所は、過塩素酸塩は発火性であり「特徴的に」有害な廃棄物であるを理由に、{{仮リンク|包括的環境対処・補償・責任法|en|Comprehensive Environmental Response, Compensation and Liability Act}}の適用を決定した<ref>{{cite court
|litigants= Castaic Lake Water Agency v. Whittaker|vol= 272|reporter= F. Supp. 2d|opinion= 1053|pinpoint=|court= United States District Court, C.D. California.|date= July 15, 2003.|url= http://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp2/272/1053/2296018/|quote=}}</ref>。

中国の製造業者と協力し、汚染物質である過塩素酸塩を低減し、究極的には除去しようとしていると主張する米国企業も存在する<ref>[http://www.philly.com/philly/living/green/20090704_Pa__company_works_to_make_fireworks_greener.html Knee, Karen. Philadelphia Inquirer. 4 Jul 2009. Pa. company works to make fireworks greener]</ref>。

=== インド ===
[[インド]]では都市部を中心に[[大気汚染]]が深刻化している中で、[[ヒンドゥー教]]の祭日である[[ディーワーリー]]の時期に鳴らされる[[爆竹]]が汚染レベルの悪化に拍車を掛ける傾向が見られた。[[2017年]]、[[インド最高裁判所]]は、ディーワーリ前後の期間の爆竹販売を禁止した<ref>{{Cite web|和書|date= 2017年10月22日|url= https://www.asahi.com/articles/ASKBK56JNKBKUHBI01H.html|title= インド、首都で花火販売禁止|publisher= 朝日新聞|accessdate=2018-05-25}}</ref>

== 花火の事故 ==
[[ファイル:Ramp enschede.jpg|250px|サムネイル|右|エンスヘデ花火保管倉庫爆発事故]]
花火の[[事故]]としては、花火工場における製造過程での事故と花火大会における実演時の事故とに大きく分けられる。花火大会における事故は、花火の危険性だけでなく、[[群集事故]]など多くの観客が集まるために起こりうる事故を防ぐために事前にさまざまな予防措置が運営側によって施されるようになっているが、まだまだ防ぎ切れていない。また、家庭で行なわれる花火でも、火薬の危険性を十分認識していない[[児童]]が遊戯の主体であるため、取り扱い時の不注意や、ふざけて人、動物、物に向けるなど危険な行為を行なう<ref>[https://www.afpbb.com/articles/-/2892461?pid=9311794 花火を尻に挟んで大やけど、パーティーの余興で]AFPBB.News 2012年07月30日]</ref>ことによって、事故を起こしがちである。また、遊戯後の火の不始末による火災の危険性もある。

家庭、公園等の個人で花火をする時は、[[バケツ]]などに水を汲むなどしていつでも消火できる環境にして遊び、燃え尽きた後の花火はきちんと水で消火を行い、十分に鎮火したことを確認したあと処理すること。また、小さい子供だけ等の成人した管理者が不在ので花火をするのは避けること。不発の花火(特に打ち上げ花火のものは「黒玉」と呼称される)には再発火や爆発の危険があり、水に漬けるなどの処置が必要となるので放置、管理を行う。

従来から花火の事故は多くあったが、統計が残っているのは[[1950年代]]ごろからである。1950年代から[[1960年代]]にかけては花火工場の爆発事故が多く、毎年10人以上の死者が出ていた時代もあった。多くは花火工場が爆発し従業員が死亡するというものだったが、近隣の建造物や一般人の生命に危害を及ぼしたものもあり、これらの事故により花火製造に関する規制は徐々に厳しくなった。ただし、安全な種類の火薬を用い、保管量を守れば、そのような事故の大部分は防げたはずだという主張もある。

=== 花火が直接の原因の事故 ===
; {{Flagicon|JPN}} [[玩具問屋爆発事故]]
: [[1955年]][[8月1日]]午後1時頃
: [[東京都]][[墨田区]]厩橋で、おもちゃ花火を扱う卸問屋の経営する花火工場が爆発。死者18人。
; {{Flagicon|JPN}} [[東京宝塚劇場]]火災
: [[1958年]][[2月1日]]16時15分
: 無許可で演出のために使われた花火が引火。[[劇団]]員3人が死亡。以後[[劇場]]での花火の使用に厳しい規制がかけられる。特に東京都では全面禁止となった(1985年に一部規制緩和)。
; {{Flagicon|JPN}} [[上郷村花火工場爆発事故]]
: [[1959年]][[5月29日]]午後2時25分頃
: [[長野県]][[下伊那郡]][[上郷町 (長野県)|上郷村]](現・[[飯田市]])で死者7人を出した事故。花火工場に近接した[[小学校]]校庭で体操をしていた小学6年女子児童1人が爆風で死亡。花火製造への規制が強化される一因となる。
; {{Flagicon|JPN}} 岩槻花火工場爆発事故
: [[1969年]](昭和44年)[[12月1日]]午後9時頃
: 埼玉県岩槻市[[美幸町 (さいたま市)|美幸町]]にあった信号弾、花火を製造する工場で爆発事故が発生。2人死亡、8人が重軽傷。同社は1960年にも2人が死亡する爆発事故を起こしていた<ref>花火工場が爆発 二人死に八人が重軽傷『朝日新聞』1969年(昭和44年)12月2日 12版 15面</ref>。
; {{Flagicon|JPN}} 横浜花火大会爆発事故
: [[1989年]][[8月2日]]
: [[山下公園]]前海上の台船で打ち上げていた花火の火が、他の打ち上げ前の花火に引火し花火玉325個が爆発。花火師2人が焼死、負傷者7人([[神奈川新聞花火大会]])。
; {{Flagicon|JPN}} 茨城県[[守谷町]]花火工場爆発事故
: [[1992年]][[6月16日]]
: 煙火製造工場内倉庫、薬品庫で爆発が発生、工場内で3人死亡、負傷者58人。
; {{Flagicon|NLD}} {{ill2|エンスヘデ花火保管倉庫爆発事故|nl|Vuurwerkramp in Enschede}}
: [[2000年]][[5月13日]]
: [[オランダ]]の[[エンスヘデ]]にあった花火保管倉庫に保管されていた100tの中国製花火が爆発し、街にオランダ史上第二次世界大戦以来と言われる壊滅的被害を与えた。20人以上が死亡、900人以上負傷、1,000人が住居を失った。原因は、倉庫の所有者による放火だと考えられている。被害総額8,900万ドル<ref>[http://www.sozogaku.com/fkd/cf/CA0000254.html 失敗事例データベース]</ref>。
; {{Flagicon|JPN}} 北海道の女児死亡事故
: [[2002年]][[8月14日]]
: 第53回[[勝毎花火大会]]で、二尺玉花火の破片 (3.4kg) が観客席に落下、小学3年生が直撃を受けて死亡。この事故を受けて、北海道は安全距離基準を改定した。
; {{Flagicon|JPN}} [[鹿児島県]]南国花火製造所爆発事故
: [[2003年]][[4月11日]]
: 煙火製造工場内の配合所、火薬類一時置場を含む複数箇所で爆発が発生、10人死亡。この事故により法令が改正され、雷薬などの配合工程において導電性のある器具の使用義務が定められたほか、この工程における停滞量・人数が従来より縮小され、原材料に使われる金属の保管場所は危険区域外へ設置しなければならなくなった。
: 煙火製造工場内の配合所、火薬類一時置場を含む複数箇所で爆発が発生、10人死亡。この事故により法令が改正され、雷薬などの配合工程において導電性のある器具の使用義務が定められたほか、この工程における停滞量・人数が従来より縮小され、原材料に使われる金属の保管場所は危険区域外へ設置しなければならなくなった。
; {{Flagicon|CHN}} 中国赤峰市での爆発事故
: [[2012年]]1月10日
: [[中華人民共和国|中国]][[内モンゴル自治区]][[赤峰市]][[元宝山区]]で、野外販売中の花火に実演として点火したところ、売り物に引火し爆発した。5人が死亡、8人が負傷<ref>[http://news.livedoor.com/article/detail/6183880/ 花火爆発 5人死亡、8人けが 中国内モンゴル] - [[livedoor]]ニュース</ref>。
; {{Flagicon|CHN}} 中国杭州市での爆発事故
: [[2012年]]10月13日
: 中国[[浙江省]][[杭州市]]での第14回{{仮リンク|西湖国際博覧会|zh|西湖国际博览会}}開幕イベントの花火大会で、花火が暴発し、観客100人以上が負傷した(報道時点で死者はなし)<ref>[https://news.ntv.co.jp/category/international/215805 花火大会で花火爆発、100人ケガ 中国] - [[日テレNEWS24]]</ref>。
; {{Flagicon|USA}} アメリカ合衆国での暴発事故
: [[2012年]]7月4日
: アメリカ合衆国サンディエゴの独立記念日花火大会で、コンピュータのプログラムミスにより、2万発を17分かけて打ち上げるはずが15秒で全て打ち上げてしまった。死者・負傷者はなし。
:: {{see also|en:Big Bay Boom}}
; {{Flagicon|NGR}} ナイジェリアでの爆発事故
: [[2012年]]12月26日
: [[ナイジェリア]]最大の都市[[ラゴス]]の人口密集地にある花火保管庫で大規模な火災と爆発が起こった。少なくとも1人が死亡、30人が負傷した<ref>[https://www.afpbb.com/articles/-/2918141?pid=10033635 ナイジェリアの花火倉庫で大規模な爆発] - [[フランス通信社|AFP]]BB News</ref>。
; {{Flagicon|IDN}} インドネシア、ジャカルタ花火工場爆発事故
: [[2017年]]10月26日
: [[ジャカルタ]]近郊の花火工場で爆発、死亡47人以上、負傷34人以上<ref>{{Cite web |date=2020-10-27 |url=https://www.cnn.co.jp/world/35109451.html |title=花火工場で爆発、47人死亡 |publisher=CNN |accessdate=2020-12-04}}</ref>。
; {{Flagicon|JPN}} 静岡県浜松市花火工場爆発事故
: [[2018年]][[6月28日]]
: [[浜松市]]の煙火製造工場で爆発が発生、従業員ら2人死亡<ref>{{Cite web|和書|date=2018-06-29 |url=https://www.asahi.com/articles/ASL6Y342SL6YUTPB007.html |title=花火工場爆発、重傷の51歳男性が死亡 浜松 |publisher=朝日新聞DIGITAL |accessdate=2020-12-04}}</ref>。
; {{Flagicon|TUR}} トルコ、{{ill2|サカリヤ県花火工場爆発事故|tr|2020 Hendek havai fişek fabrikası patlaması}}
: [[2020年]][[6月16日]]
: [[トルコ]]、[[サカリヤ県]]の花火製造工場で[[SARSコロナウイルス2|コロナ禍]]で売れ残っていた大量の花火が爆発、死亡・行方不明7人、重軽傷108人<ref>{{Cite web|和書|date=2020-07-04 |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200703/k10012495201000.html |title=トルコ 大量の花火が爆発 4人死亡 新型コロナで売れ残る |publisher=NHK |accessdate=2020-12-04}}</ref>。
; {{Flagicon|IND}} タミル・ナードゥ州ヴィルドゥナガル県の爆竹工場爆発事故
: [[2021年]][[2月12日]]
: [[インド]]、[[タミル・ナードゥ州]][[ヴィルドゥナガル県]]で違法操業をしていた爆竹工場で爆発。少なくとも19人が死亡、数十人が負傷<ref>{{Cite web|和書|date=2021-02-13 |url=https://www.afpbb.com/articles/-/3331588 |title=爆竹工場で爆発、19人死亡 インド |publisher= |accessdate=2021-02-13}}</ref>。
; {{Flagicon|THA}} ナラーティワート県の花火倉庫爆発事故
: [[2023年]][[7月29日]]
: [[タイ王国]][[ナラーティワート県]]の花火倉庫で[[溶接]]中の火花が花火に引火。爆発が発生して子供を含む10人以上が死亡、100人以上が負傷。家屋100軒以上が損壊<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.yomiuri.co.jp/world/20230730-OYT1T50000/ |title=タイの花火倉庫で爆発、子供ら10人死亡・100人超けが…溶接作業の火花が引火か |publisher=読売新聞|date=2023-07-30 |accessdate=2023-07-29}}</ref>。


=== その他・花火大会に絡む事故 ===
=== 花火大会での群集事故 ===
; 両国橋落下事故([[1879年]])
; {{Flagicon|JPN}} 両国橋落下事故
: [[1879年]][[8月10日]]
: 両国川開きの際、混み合う見物人により[[両国橋]]が崩れ、花火は途中中止となる。
: 両国川開きの際、車の通る間だけ空いているほど混み合う見物人により、[[両国橋]]欄干が崩れ、見物人たちが川に転落、花火は途中中止となる。死傷者数十人に上る惨事となった<ref>{{国立国会図書館デジタルコレクション|1920411/77|新聞集成明治編年史. 第十卷|format=EXTERNAL}}. 2016年3月27日閲覧。</ref>。
; 萬代橋事件([[1948年]][[8月23日]])
; {{Flagicon|JPN}} 萬代橋事件
: 「[[新潟まつり]]」の前身にあたる「川開き」の花火大会の際、打ち上がり始めたスターマインを見ようと、観衆が一斉に[[萬代橋]]下流側の欄干に殺到し欄干が落下、約100名の観衆が[[信濃川]]に転落。死者11名、重軽傷者29名。これ以降、花火大会の際には萬代橋を含む信濃川に架かる橋梁上での立ち止まっての花火見物は禁止されている。
; [[明石花火大会歩道橋事故]]([[2001年]][[721日]]
: [[1948年]][[823日]]
: 「[[新潟まつり]]」の前身にあたる「川開き」の花火大会の際、打ち上がり始めたスターマインを見ようと、観衆が一斉に[[萬代橋]]下流側の欄干に殺到し欄干が落下、約100人の観衆が[[信濃川]]に転落。死者11人、重軽傷者29人。これ以降、花火大会の際には萬代橋を含む信濃川に架かる橋梁上での立ち止まっての花火見物は禁止されている。
: 花火大会の観客が[[歩道橋]]で群集雪崩を起こし、死者11名・負傷者247名の大惨事に。[[警察]]・[[自治体]]の警備や対応の不備が浮き彫りになる。([[大蔵海岸#事故]]も参照のこと)
; {{Flagicon|JPN}} [[明石花火大会歩道橋事故]]
; 北海道の女児死亡事故([[2002年]][[8月]])
: [[2001年]][[7月21日]]
: 第53回[[勝毎花火大会]]で、二尺玉花火の破片(3.4kg)が観客席に落下、小学3年生が直撃を受けて死亡。この事故を受けて、北海道は安全距離基準を改定した。
: 花火大会の観客が[[人道橋|歩道橋]]で群集雪崩を起こし、死者11人・負傷者247人の大惨事に。[[警察]]・自治体の警備や対応の不備が浮き彫りになる([[大蔵海岸#事故]]も参照のこと)。
; {{Flagicon|IND}} ケララ州ヒンドゥー教寺院爆発事故
: [[2016年]][[4月10日]]
: [[インド]]、[[ケララ州]]の[[ヒンドゥー教]]寺院で行われた花火大会で、打ち上げた花火が保管場所に落下して爆発。数千人の群衆がパニック状態に陥ったことで100人超が死亡、200人超が重軽傷を負った。花火大会は地元当局が不許可としたにもかかわらず強行されたものであった<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.afpbb.com/articles/-/3083638 |title=100人超死亡のインド花火大会、6人を訴追へ |publisher=AFP |date=2016-04-11 |accessdate=2023-10-10}}</ref>。


== 花火の値段 ==
===花火大会周囲不注意による事故===
; {{Flagicon|JPN}}[[2013年福知山花火大会露店爆発事故]]
花火の種類、複雑さ、花火師により複雑に価格が大きく異なるが、一般的な打ち上げ花火の一発あたりの相場は
: [[2013年]][[8月15日]]
*3号玉が約3400円
:ドッコイセ花火大会に隣接する露店が、[[ガソリン携行缶]]で発電機に給油中に気化した[[ガソリン]]に引火したことで[[爆発]]。死者3名、負傷者59名。
*5号玉が約1万円
*10号玉が約6万円
*20号玉が約55万円
となっている。


===賠償事例===
== 花火が関連する作品 ==
*[[2017年]]、[[アメリカ合衆国]][[オレゴン州]]の[[森林]]に花火を投げ込み大規模な[[山火事]]を発生させた少年に対し、約3,700万ドルの損害賠償請求が行われた例がある<ref>{{Cite web |date= 2018.05.22|url= https://www.cnn.co.jp/usa/35119549.html|title= 山火事で194平方キロ焼失、少年に40億円の支払い命令|publisher= CNN|accessdate=2018-05-24}}</ref>。
; 書籍
* 『星花火 - 夏目雅子写真集』([[夏目雅子]]、発行:[[新潮社]])
* 『花火の本』 ([[冴木一馬]] 発行:[[淡交社]] 2004年6月)
; 音楽
* 「[[王宮の花火の音楽]]」[[ジョージ・フレデリック・ヘンデル|ヘンデル]]
* 「花火」[[クロード・ドビュッシー|ドビュッシー]]の[[前奏曲 (ドビュッシー)|前奏曲集]]第2巻の第12曲
* 「[[花火 (ストラヴィンスキー)|花火]]」[[イーゴリ・ストラヴィンスキー|ストラヴィンスキー]]
* 「[[花火 (aikoの曲)|花火]]」[[aiko]]
* 「[[H (シングル)|HANABI]]」 「[[& (シングル)|HANABI~episodeII~]]」[[浜崎あゆみ]]
* 「[[金魚花火 (曲)|金魚花火]]」[[大塚愛]]※タイトルは大塚の造語であり、実在する金魚花火とは無関係。
* 「花火」[[レミオロメン]]のアルバム「[[風のクロマ]]」収録曲
* 「[[The Swinging Star#収録曲|あの夏の花火]]」[[DREAMS COME TRUE]]
* 「[[THE HURRICANE 〜FIREWORKS〜|FIREWORKS]]」[[EXILE]]
* 「[[DA・DI・DA#Side B|月夜のロケット花火]]」[[松任谷由実]]
* 「[[元気です。#SIDE A|せんこう花火]]」[[吉田拓郎|よしだたくろう]]
* 「starmine」[[中原龍太郎|Ryu☆]]
* 「'''花火'''」[[PINKISH PARTY]]のセカンドシングル [[三国花火]]をモチーフにした曲
* 「[[My First Love (アルバム)|花火]]」[[浜田省吾]]
* 「[[HANABI (Mr.Childrenの曲)|HANABI]]」[[Mr.Children]]


== 比喩表現 ==
;映画・テレビドラマ
[[野球]]で両チームが[[本塁打]]を打ち合い、点の取り合いになる状況を「'''花火大会'''」と形容する。この場合、冒頭に[[野球場|球場]]名が付く事もある。
* [[打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?]]([[ドラマ]]「[[If もしも]]」、[[岩井俊二]]監督)
* [[こころ (朝ドラ)|こころ]]([[日本放送協会|NHK]][[連続テレビ小説]])
* [[天国の本屋〜恋火]] ([[竹内結子]]主演)
; 舞台
* [[大江戸ロケット]]
; ゲーム
* [[ファンタビジョン]]([[プレイステーション2|PS2]]用[[ゲームソフト]]、[[パズル]])
* ドンちゃんパズル 花火でドーン!([[ゲームボーイアドバンス]]用ゲームソフト、パズル)
* 花火百景(PS2用ゲームソフト、[[パチスロ]][[シミュレータ]])
* 花火職人になろう([[Microsoft Windows|ウィンドウズ]]用ゲームソフト、花火シミュレータ)
* 花火職人になろう2(PS2用ゲームソフト、花火シミュレータ)


==航空法==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
日本国内では[[航空法]]に基づき、打ち上げる花火が到達する空域によっては、打ち上げが禁止される場合、または打ち上げる場合に事前に国土交通大臣への届出が必要な場合がある。
{{see also|制限表面}}


== 関連項目 ==
=== 注釈 ===
{{Reflist|group=注}}
* [[パイロテクニクス]]

* [[手持ち花火]]
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* 監修:[[日本煙火協会]]、写真:泉谷玄作『花火の大図鑑』[[PHP研究所]]
*監修:[[日本煙火協会]]、写真:[[泉谷玄作]]『花火の大図鑑』[[PHP研究所]]
* [[武藤輝彦]]『日本の花火のあゆみ』[[あずさ書店]]、2000年10月
*[[武藤輝彦]]『日本の花火のあゆみ』[[あずさ書店]]、2000年10月
* 武藤輝彦『ドンと花火だ』三空出版、1993年5月、ISBN4944063059
*武藤輝彦『ドン!と花火だ』[[三空出版]]、1993年5月、ISBN 4-944063-05-9
* [[清水武]]『花火の話』サークル花火万華鏡、1998年7月(1970年刊行の復刻版。著者は1912年生まれ、工学博士)ISBN494762039X
*[[清水武夫 (花火)|清水武夫]]『花火の話』サークル花火万華鏡、1998年7月(1970年刊行の復刻版。著者は1912年生まれ、工学博士) ISBN 4-947620-39-0
* 武藤輝彦『長野の花火は日本一』[[信濃毎日新聞社]]、2001年11月、ISBN4784099123
*武藤輝彦『長野の花火は日本一』[[信濃毎日新聞社]]、2001年11月、ISBN 4-7840-9912-3


== 脚注 ==
== 関連項目 ==
*[[パイロテクニクス]]
{{Reflist}}
*[[手持ち花火]]
*[[日本の花火大会一覧]]
*[[世界一の一覧#その他|世界最大の打上花火]]
*[[世界一の一覧#その他|世界で最も重い花火]]
*[[正四尺玉]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Commons&cat|Firework|Fireworks}}
{{Commons&cat|Fireworks|Fireworks}}
* [http://www.hanabi-jpa.jp/index.html 日本煙火協会](日本の業界団体)
; 業界団体
:* [http://www.hanabi-jpa.jp/ 日本煙火協会]
* [http://www.groupef.com/ グループF] (フランスの花火師グループ)
* {{Kotobank}}
; 花火写真家,研究家(歴史と文化),演出家,[[ハナビスト]]
:* [http://www.saekikazuma.com/ ハナビスト 冴木一馬]


{{日本の伝統芸能}}
{{日本の伝統芸能}}
{{公害}}

{{Normdaten}}


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2024年12月20日 (金) 21:24時点における最新版

いたばし花火大会
諏訪湖祭湖上花火大会
動画:長岡まつり大花火大会「正三尺玉3連発」

花火(はなび、煙火)は、火薬金属の粉末を混ぜて包んだもので、火を付けて、燃焼破裂時の音や火花の色、形状などを演出するもの。火花に色をつけるために金属の炎色反応を利用しており、混ぜ合わせる金属の種類によって様々な色合いの火花を出すことができる。野外で使用するのが一般的であるが、室内で使用する場合もある[1][2]

花火の光・色彩・を発生させる火薬の部分を(ほし)という[3]。多くの場合は火薬が爆発・燃焼した時に飛び散る火の粉の色や形を楽しむが、ロケット花火やへび花火(蛇玉)、パラシュート花火のように、火薬の燃焼以外を楽しむものもある。花火大会のほか、イベントなどの開催を告げるため、また、祝砲の代わりにも使われる。

英語では、fireworksという。近年は「華火」の字を当て字として使用している例も稀にある。[4]

花火の種類

[編集]
兵庫県滝野町夏祭り

花火(広義の煙火)は、打揚花火や仕掛花火など「がん具煙火以外の煙火」と「がん具煙火」に大別できる[5]

  • がん具煙火以外の煙火
    • 信号又は観賞用の煙火
      • 打揚煙火(打上花火、打揚花火)
      • 仕掛煙火(仕掛花火)
    • その他の煙火
      競技用紙雷管発煙筒、照明筒、鳥獣駆逐用煙火などが分類される[5]
  • がん具煙火(おもちゃ花火)
    なお、日本では、がん具として用いられる煙火のほか、発煙火工品や自動車保安炎筒(発炎筒)など法令の適用上がん具に指定されている煙火もこれに分類する[6][5]

消費方法による分類

[編集]

信号又は観賞用の煙火は消費方法によって打揚煙火(打上花火、打揚花火)と仕掛煙火(仕掛花火)に分類される[5]

打上花火(打揚花火)

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隅田川花火大会
鹿児島市、かごしま錦江湾サマーナイト大花火大会
お台場レインボー花火
佐倉の花火
2020年東京オリンピックの開会式で打ち上げられた花火

火薬を球状に成形した「星」を詰めた紙製の球体「玉」(煙火玉)を打ち上げる花火である。上方を向いた円筒の底に発射薬を敷きその上に玉を置き打ち上げに備える。打ち揚げは「投げ込み」と呼ぶ火種を円筒上方の射出口から投げ入れて発射薬に点火する。打ち上げと同時に玉から出ている導火線に引火し、玉は所定の高さまで上昇しながら導火線が燃え玉内部の割火薬に到達し玉が破裂し星に引火・飛散する。玉の大きさ(花火の高さ)によって発射薬の量と導火線の長さが調整・選定される。玉の破裂後、星には光の尾を引きながら燃焼するもの、落下途中で破裂するもの、色が変化するものなど、様々なタイプがある。玉の内部に星を均一に詰めることが重要であるが、詳細な技術は花火師の秘伝とされる。

仕掛花火

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市島川裾祭のナイアガラ(丹波市市島町竹田川
動画:長岡まつり大花火大会「超大型ミラクルスターマイン」

複数の花火を利用するなど作為的に仕掛けを施した花火。

  • スターマイン(速射連発)[5]
    煙火玉や、星、笛等を順序よく配置し、速火線で連結し、高速で次々と連続して打ち上げるもの。枠仕掛けの最後に裏打ちとして使用されることもある。主に2号玉(約6cm)から4号玉(約14cm)の玉が用いられる。これらの制御にパソコンや電子式リレーを多用しているものは「デジタルスターマイン」などと呼ぶことがある。
  • 枠仕掛[5]
    速火線で連結した焔管(えんかん)を、木や鉄パイプ等で文字や絵を型どった枠上に並べて配置し、点火によって焔管が一斉に燃焼することにより、数分程度文字を浮かび上がらせるもの。
  • 綱仕掛[5](ナイアガラ)
    速火線で連結した焔管を数から数十メートルに渡り一列に吊し、点火によって焔管から火の粉が一斉に流れ落ちるもの。一部花火大会では2000mに及ぶものも存在する。ナイアガラ滝から。
  • 水上仕掛け・水中仕掛(水中花火)[5]
    水上・水中仕掛けは水面から打ち上げるので半円形に開き水面の反映も見えるもので[7]、水上仕掛け(水上花火)はあらかじめ船やいかだなどにセットしておいた花火を遠隔操作で点火させるもので多くの花火大会で見られ、水中仕掛(水中花火)は岸や水上の船などで点火した花火を水中に向かって打ち込み水の中で爆発させるもの[8]
  • 立火仕掛[5]
    星や火の粉を筒から放出・噴出させるもの[5]。手持ちや抱えたまま噴出させるものは「手筒」という。
  • 車花火[5]
    円盤等の周りに火薬を詰めた筒を配置し、火薬の噴射推進力により円盤を回転させ、火の粉を円状に噴出させるもの。

構造性能による分類

[編集]

信号又は観賞用の煙火は構造や性能によって煙火玉(花火玉)と煙火玉以外の煙火に分類される[5]

煙火玉(花火玉)

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打上花火の主流は、打ち上げ時に光が同心円状に広がるものが多く、玉そのものの形も球形をしている。これに対し、初期の花火は打ち揚げても円状にはならず、花火そのものの形も円筒形のものが多かった。円筒形の花火は、球形に比べ、火薬量などを増やすことができ、華やかな光や色を出すことが可能であるが、破裂途中で色の変化をさせることは困難だとされる。かつて、日本の花火も同心円状に広がるものの製造は困難で、一部の武家花火師のみの秘伝とされていたと言われるが、明治期に鍵屋十二代目弥兵衛が技術を取得し、以後、円形の花火が多く作られるようになったとされる。

伝統的に打上花火の「玉」の大きさはで表される。直径約6.06cmの二寸玉(2号玉)から直径約60.6cmの二尺玉(20号玉)、さらに三尺玉(30号玉)、四尺玉(40号玉)まである。二尺玉は直径約500m程度、世界最大といわれている四尺玉は直径約800m程度まで広がる。ただし、この号数表記は打ち揚げ筒(内側)の太さであって、実際の花火玉の直径はこれよりも若干小さくなる。具体的には、20号玉の直径は60cmではなく約57cmである。また、最近[いつ?]開発された世界最小の打ち上げ花火は、玉の直径1cm、打ちあげる距離は2m。ただし、まだ開発段階のため、実用化。

世界の果てまでイッテQ!』の企画で、開花時の直径が推定1kmになる花火玉(四尺三寸大千輪)を作り、打ち揚げた。しかし、花火玉自体が重過ぎたために上昇せず水中で爆発、失敗に終わった。

煙火玉(花火玉)は割物とぽか物に分類される[5]

  • 割物
    星の部分を割火薬で球状に飛散させ開かせるもの[5][3]。中でも星がの花のように尾を引いて広がるものを「菊物」、尾を引かないものを牡丹に喩えて「ボタン物」とよぶ。また、二重の球状に広がるものを「芯物」という。
    割物の変形で土星などの形に星が飛散するものを「型物」という。
  • ぽか物
    空中でくす玉のように割れて部品が飛び出るもの。
    • 音物
      俗に「のろし」「合図花火」等と呼ばれているもの。運動会など様々なイベントの開催の合図に使用されている。3回連続で音が鳴る「3段雷」と5回鳴る「5段雷」が主に使われている。
    • 袋物・吊物など
      和紙など薄紙で袋状に作った人形や、パラシュートに吊った煙玉・旗などがゆっくりと落ちてくる昼花火。特定条件下以外の打ち上げが禁止されている。「袋物」は花火師の平山甚太が1883年にアメリカで特許を取得しているが、これが日本人がアメリカで取得した初の特許である[9]

代表的な打上花火である「割物」の鑑賞のポイントとして以下のようなものがある。

  • 玉の座りがしっかりしているか。玉が昇りつめた点で開いていることを「玉の座りがしっかりしている」という。きれいに広がるための重要なポイントである。
  • 盆が取れているか。星が盆のように真ん丸に見えているか。
  • 消え口が揃っているか。星の色が一斉に変化し、一斉に消えているかである。ただし、わざと消え口をずらしている花火もある。
  • 星がまんべんなく広がり、歯抜けになっていないか。
  • 星の発色が良く、はっきりとした色が出ているか。さらに、星をどのように配色するかは花火師の個性が発揮される重要なポイントである。

煙火玉はスターマインなどの仕掛花火にも用いる[5]

煙火玉(花火玉)以外の煙火

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流星(龍勢)のように星を打ち出すロケット花火や、火の粉等を噴出させる手筒花火などである[5][10]

おもちゃ花火

[編集]
駄菓子屋で売られている玩具花火 (三浦市にて)

かつては玩具花火とも呼ばれたが、日本煙火協会での表記はこちらに統一されている[注 1]。購入や使用に免許が不要な花火の総称で、線香花火のような手で持つものが代表的なものであるが、小型ではあっても打上花火になっていて、筒があって上空で破裂するものも存在する。日本では日本煙火協会が出荷品の検査を行っており、合格したものには「SFマーク」がつけられる。

火薬量の制限は、花火の種類により異なるが、最高でも15グラム以下となっている[11][注 2]。おもちゃ花火であっても、束ねて使う場合はおもちゃ花火とは見なされず、煙火(届出・免許が必要な花火)としての届出が必要になる[12][13]

手持ち玩具花火。ホームセンターなどで手軽に入手可能。

おもちゃ屋などで単品で発売されることも多いが、大抵は一つの種類の数本入りから複数種類の花火100本くらいを詰め合わせにしたものが、晩春から初秋にかけてスーパーマーケットホームセンター駄菓子屋などで売られている。

帰省旅行の際、旅先で使うために出発前に購入したり、使い切れなかった花火を自宅に持ち帰ったりすることがあるが、花火を携行して交通機関を利用する場合、持ち込みに禁止や制限があるので注意を要する。航空機を利用して旅行する場合、安全上の理由から少量であっても機内への持込みも受託手荷物の取り扱いも出来ない[14][15]。列車・バスを利用する場合、少量の持ち込みはできるが、持ち込める量に制限がある[注 3]。また、宅配便での発送はできない[18][19]

ヘビ花火
火薬量5グラム以下[6][11]。「ヘビ玉(法令上は「へび玉」)」ともいい、地方によって名称の違いあり。色は黒。
後述のネズミ花火と同じく、生物名が付いた花火として知られる。
円形の炭状の火薬に火を点けると煙と共に燃えカスがヘビのような形状に伸びていく構造の花火。普通の花火とは異なり、色鮮やかな色の火花は出ず、煙しか出ない。このため、昼花火の一種に入れられることもある。
ネズミ花火
火薬量1グラム以下。または、火薬量0.9グラム以下かつ爆薬0.1グラム以下[11]。炎を吹き出すタイプのひも状の花火を、円形に組んだもの。1929年創業の筒井時正玩具花火製造所の初代・筒井時正が考案[20][21][22]。火を点けて炎が吹き出すと重心に対して回転を与える向きの力がかかるため、地面に置かれた場合、高速に回転してその勢いで地面をはい回る。円形の炎がシュシュッと音を立ててはい回る様がネズミに喩えられたためにこの名がある。最後にパンとはじけるような仕掛けを施されたものが一般的。最近[いつ?]は使い方が分からない人が多く、やけどをする人も珍しくないようである。
コマ花火
ネズミ花火の応用型で、本体が独楽(こま)状になっている。ネズミ花火よりも高速に回転できるため、うなるような音を立てて地面上で回転する。
トンボ花火
コマ花火の応用系。双方向に噴射する本体の花火筒に二枚の紙羽根が付いており、表面を上にして平らな場所に置いて打ち上げる。二か所からの噴射力によって高速回転を行い、風を受けた紙羽根によって揚力を得て高速で錐揉み上昇する。上昇時に二段階で急上昇する特徴がある。日中でも使えるため、昼花火の一種に入れられることもある。
UFO花火
トンボ花火からの派生花火。扇風機の様な小型のフィンがついているため回転と同時にフィンに風を受け上昇する。平らな所に置かないと予想しない方向に飛んだりするので、注意が必要。日中でも使えるものもあり、昼花火の一種に入れられることもある。
線香花火
線香花火
火薬量は法律によれば0.5グラム以下[6][11]とされているが、実際には0.06 - 0.08グラム程度である。こよりや細い竹ひごの先端に火薬を付けた花火。日本の夏の情緒を代表する花火である。火を付けると火薬が丸くなり、小さな火花を散らすようになる。燃え方に様々な名前が付いている。現在[いつ?]でも開発が行われている。最も長く安定させて燃えさせるには45度の角度に傾けた方が良いとも言われている。
ロケット花火
火薬量0.5グラム以下かつ爆薬(笛音薬)2グラム以下[6][11]。打ち揚げ式の花火。などを発射台にする。打ち揚げ後破裂するものと破裂しないもの、曳光の有るもの無いものがある。破裂しない物の場合は打ち揚げ時の大きな音を出すように改良されているものが多い。燃えカスが回収できないという問題があるため、海岸での使用を禁止している自治体も存在する。
こうもり花火
基本的にはロケット花火と変わらないが、コウモリのような羽がついており、真上に急上昇、柄が無いなどの特徴がある。地方によって名称の違いあり。
単発打上げ
火薬量10グラム以下[6][11]。一般的な打上花火。筒物で数個または1個の星を1回打ち上げる。筒状の容器に火薬を仕込んであるが、一部は業務用の打上花火同様に、球形の丸玉に火薬を仕込んだ製品もある。
連発打上げ
火薬量15グラム以下[6][11]。「乱玉」とも。筒物(筒の内径1cm以下)で、火を付けると複数の星が間欠的に飛び出す。筒1本あたり、5連発から30連発程度まである。発数が多い製品は、複数の筒が最初から仕込まれていて、総数で70連発程度まで実現している。
パラシュート花火(袋物)
火薬量10グラム以下[6][11]。打上花火の一種で、昼花火の一種でもある。法令上は単発打上げと同一の扱い。上空で破裂した玉の中に袋が入っており、万国旗やパラシュートが降りてくる仕組み。おもちゃ花火で小さなものが若干生産されている。1931年に細谷火工(創業1906年。1990年にホソヤエンタープライズの名で花火部門が独立[23])によって製造されたものが始まりとされる。電線にひっかかるなどの障害が生じるため、打ち上げの際には注意が必要。
噴出花火
火薬量15グラム以下[6][11]。紙製の筒から火花を噴水のように吹き上げるもの。かつて一世を風靡した太田煙火製作所の「ドラゴン」が代表的な製品である[24][25]。地面に置いて、導火線に点火して使う。手持ち用として小パイプほどの太さに改良されたものもあり、後述のススキに似る。
ススキ(より物)
火薬量10グラム以下[6]。手持ち用。竹ひご・針金などの持ち手に、火花の出る紙製の筒を取り付けた物。「朝顔」など、地方によって名称の違いがある。
銀波(より物)
火薬量10グラム以下[6]。手持ちまたは吊り下げ用。糸に、火花の出る紙製の筒をぶら下げた物。複数個の銀波を、あらかじめ用意した台などに吊り下げて同時に点火することで、擬似的にナイアガラ花火を再現できる。このため、複数個セットが「ナイアガラ」などの名称で市販されている。
スパークラー(ねり物)
火薬量10グラム以下。または、粉を30%以上含んでいる火薬量15グラム以下[6]。手持ち用。竹ひご・針金などの持ち手に、火薬を直接塗り込んだもの。
絵型
火薬量10グラム以下[6]。手持ち用。厚紙製の持ち手に、パイプを取り付け、火薬を詰め込んだもので、パイプの先に点火して使う。パイプはプラスチック製のものが多いが、環境問題から紙製のものも増えている。
爆竹
1本で火薬量1グラム以下かつ爆薬0.05グラム以下。また、20連発以下の制限もある[6][11]。長さ数センチの小型の花火。多くの場合複数の爆竹が導火線によって結びつけられており連続して爆発するようになっている。花火としての歴史は古く、もっとも古い種類の花火とする説もある。中国系文化圏では、旧正月などを祝うために使われる。別名、ダイナマイト。
クラッカー
爆薬量0.05グラム以下[6][11]。長さ10cm程度の小型花火。発破同様、音を楽しむ花火であるが発破とは異なり単体で使用する。導火線は無く、代わりに筒の先端に有る火薬が導火線の役目を果たしている。点火後5秒程度で破裂する。
煙花火(煙玉)
火薬量15グラム以下[6][11]。球体をしたもの(玉のはさまざま)。花火の一種。火をつけるとその名のとおり煙を吹く。殆どが色の付いた煙を出す。もっぱら花火の使われ方より、その特性から悪戯などに使われるのが非常に多い。地方によって名称の違いあり。
癇癪玉(かんしゃくだま)
爆薬量0.08グラム以下。また、直径1センチメートル以下、総重量1グラム以下の制限もある[6]。踏んだり、物に当てたりするとがなる。パチンコなどで飛ばすことが多い。クラッカーボールと呼ぶ場合もある。
これを大型化したものが、異常時に線路上にセットし、列車が通過すると爆音を発して緊急停止を促す信号雷管である。
紙火薬
「平玉」は爆薬量0.01グラム以下。また、一粒の直径4.5ミリメートル以下、高さ1ミリメートル以下の制限もある。「巻玉」は爆薬量0.004グラム以下で、なおかつ一粒の直径3.7ミリメートル以下、高さ0.7ミリメートル以下[6][11]遊戯銃、あるいは陸上競技のスタート用のピストルなどに使用され、火薬部分に打撃が加わると発火し、火花と破裂音を放つ。小粒な火薬を赤い巻紙に等間隔で配置したものを巻玉火薬、ミシン目の入った赤色または黄色のシートにやや大きめの火薬を配置したものを平玉火薬と呼ぶ。大量にまとめて使われる危険性があるため、後述のキャップ火薬の普及により淘汰されつつある。
キャップ火薬
キャップ火薬
主に遊戯銃に使用される、プラスチック製のキャップに紙火薬同様の火薬を詰めたもの。過剰装てんなどのおそれがなく、紙火薬より取り扱いが容易かつ発火も確実である。特にモデルガンに使用されるものは、作動を確実にするために厳密に調整されており、価格も高い。種類は、直径5mmと7mmの2種類ある。

花火と炎色

[編集]
炎色反応を用いて多種多様な色を花火に持たせることができる(第352回筑後川花火大会

原子励起した時に電子が外側の軌道に移り、元の軌道に戻る時に放出されるエネルギーに応じた色の光を放出する炎色反応および放射を利用している[26]。添加される元素はアルカリ金属、アルカリ土類金属が多く用いられる。

花火の歴史

[編集]

中国

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花火の起源については諸説ある。一般的には花火のルーツは古代中国の狼煙(のろし)とされ、煙による通信手段であり、火薬の技術の発達とともに花火が誕生することとなった[27]

21世紀の現代において、中華人民共和国は世界の花火生産量の9割を占めると推定されており、最大の輸出国である[28]。「四大花火の里」と呼ばれる地域にメーカーが集積している(江西省万載県上栗県湖南省瀏陽市・醴陵市)[28]

ヨーロッパ

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ヨーロッパに伝わったのは13世紀以降で、初期のものは祝砲の音を大きくしたり、煙に色などがつくようにしたりしたものだったと考えられる。ヨーロッパでの主な生産地はイタリアで、火薬と花火製造が盛んに行われた。

鑑賞用の花火は14世紀、イタリアのフィレンツェに始まるとされ、キリスト教の祝祭で用いられる人形に口から火を吐く仕掛けのために用いられたとされている[27]

16世紀になるとイングランドで花火の技術が大きく進歩する。1532年ヘンリー8世は王室軍隊の花火師を徴用するための規則を定め、戴冠式や王室の結婚式誕生日などでテムズ川で水上花火を楽しんだという記録がある。

さらに17世紀になるとポーランドスウェーデンデンマークなどに花火学校が設立され、体系的な知識を有す専門的な花火師集団が形成されていった[27]。イングランドのジェームズ1世はデンマークから技術者を招聘し、娘エリザベスの結婚式を花火で盛大に祝った。また1672年にはウリッジ兵器廠に花火研究所が設立され、1683年には花火に関するテキストが刊行されるなど、花火技術は漸次発展していった。

日本

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歌川広重『名所江戸百景』に描かれた19世紀中頃の両国花火

日本における花火の最古の記録としては、室町時代公家万里小路時房の日記『建内記(建聖院内府記)』1447年5月5日文安4年3月21日)条に記されている。浄華院における法事の後に境内にて、「唐人」が花火と考えられる「風流事」を行ったという記事が確認されている。そこでは、竹で枠を作り、火で桔梗仙翁花水車などの形を表現したもの、火が縄を伝って行き来するといったものや、「鼠」と称し火を付けると「走廻」るもの、手に持って火を付けると空中を「流星」のように飛ぶもの、などが披露されたという。時房は「希代之火術也」と賞賛し、褒美を与えている。

この時代は足利義満の死後途絶えていた日明貿易足利義教によって再開されており、花火も大陸から持ち込まれていたとも考えられる。

少なくとも戦国時代には鉄砲や火薬とともに鑑賞用の花火が伝来したとされている[27]。まもなく日本でも花火が製造されるようになったとされているが、以後もキリスト教宣教師や「唐人」といった外国人の手による花火の記録が多く見られる。

1582年4月14日天正10年3月22日)にポルトガル人のイエズス会宣教師が現在の大分県臼杵市にあった聖堂で花火を使用したという記録(『イエズス会日本年報』『フロイス日本史』)は、大友宗麟が花火を活用して聖週間の祭儀をキリシタンを増やすための盛大な公開イベントとしたものである。聖土曜日の夜から翌明け方までの復活徹夜祭では、三つの城楼から花火細工が出て来る仕掛けが、三千もの提燈(教会堂や日本の物語を象った夜高行燈)の行列に豪華さを加えた。さらに数々の花火が「中で実にさまざまな形となった」ので人々は皆立ち止まって花火見物をした。そして真夜中には教会堂も中庭広場も立錐の余地もない人込みとなった[29]

外国人による花火の技術を学び日本でも独自に花火が作られたと考えられるが、その最初はよくわかっていない。1585年に、現在の栃木県栃木市で、皆川山城守佐竹衆が戦のなぐさみに花火を立てたという説もあるが、戦の最中に当時貴重だった火薬をそのようなことに使うはずがないという主張もされている。

太田牛一著『信長公記』巻十四に見える1581年2月18日(天正9年正月15日)のところに「御爆竹の事」に見える「御爆竹」を花火の爆竹であるとし、安土城下で爆竹(花火の一種)の製作されたと考える説もあるが、これは竹を燃やして音を立てる小正月の催しの一つとして少なくとも鎌倉時代から行なわれているものであり、火薬を使用した花火であったかどうかは即断できない。

ただし、この頃には鉄砲に使用する需要から火薬の大量生産が行なわれるようになって、日本独自の花火の製作も行われていたことであろう。

戦国時代から江戸時代初期にかけて「花火見物」が行われたとする記録としては、伊達政宗が居城の米沢城で、1589年8月17日(天正17年7月7日)夜、「大唐人」による花火を見物したというもの(『貞山公治家記録』『伊達天正日記』など)、1613年8月に徳川家康駿府城で英国使節ジョン・セーリスと謁見した際、同行した明の商人から火の粉が筒から吹き出るような形状の花火を見せられたという記事(『駿府政事録』『宮中秘策』『武徳編年集成』)などがある(但し政宗の記事は元禄頃の編纂資料によるものであり、家康の記事と酷似するなど問題が指摘されている)[27]

江戸時代

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江戸時代になり、戦がなくなると、花火を専門に扱う火薬屋が登場した。徳川発祥の地である、岡崎を中心とした三河地方(現在の愛知県東部)は江戸時代、徳川幕府によって唯一、火薬の製造・貯蔵を公式に許可されていた。そのような歴史もあり花火は昔から岡崎を中心とした三河地方に普及発達し、全国に三河花火の名をほしいままにした。その名残か、現在においても三河とその東隣の遠州地方(現在の静岡県西部)周辺は全国的にみて煙火の製造業や問屋が多く集積している。

1648年には幕府隅田川以外での花火の禁止の触れを出しており、花火は当時から人気があったとされる。当時のものは、おもちゃ花火であったと考えられる。1712年頃出版された絵入り百科事典和漢三才図会』(寺島良安著)には、鼠花火、狼煙花火[30]などが紹介されている。

花火禁止令が慶安元年(1648年)、寛文5年(1665年)、寛文10年(1670年)などにも出され、江戸中では、花火は全く行われないようになり、漸次地方へ移っていった。打ち上げ事故が起き、禁令が出されるということを繰り返したとされている。

2013年時点で現存する日本で最も古い花火業者は、東京(当時の江戸)の宗家花火鍵屋であり、1659年に初代弥兵衛がおもちゃ花火を売り出した。

鍵屋初代弥兵衛は大和国篠原(吉野郡、後に奈良県五條市)出身であり、幼少の頃から花火作りに長けていたと言う。1659年、江戸に出てきた弥兵衛は葦の中にを入れた玩具花火を売り出した。弥兵衛はその後研究を続けて両国横山町に店を構え、「鍵屋」を屋号として代々世襲するようになり、現代に続いている(2018年時点で15代目)[31]。その後、大型花火の研究を進め、1717年には水神祭りに合わせて献上花火を打ち上げている。

なお、隅田川川開きの花火の起源として、これまで広く流布していた言説に次のようなものがある。

1733年畿内を中心に飢饉に見舞われ、江戸ではコレラが猛威を振るい多数の死者を出した暗い世相の中、将軍吉宗が死者の慰霊と悪霊退散を祈り両国大川(隅田川のこと)の水神祭りを催し、それに合わせて20発前後の花火が披露された[27]

しかし、このエピソードは、明治中期から昭和初期にかけて徐々に創られていったものであり、歴史的事実とはかけ離れている[32]。例えば、コレラの日本国内での流行は、1822(文政5)年に西日本一帯で起きたのが最初であり[33]、1730年代に流行したというのは事実に反する[34]。詳細は「隅田川花火大会」を参照。

鍵屋と並んで江戸の花火を代表したのが玉屋である。玉屋は六代目の鍵屋の手代であった清吉が1810年暖簾分けをして、市兵衛と改名の上、両国広小路吉川町に店を構えたのが始まりである[35]

このように鍵屋、玉屋の二大花火師の時代を迎えるようになった江戸では、両国の川開きは、両国橋を挟んで上流を玉屋、下流を鍵屋が受け持つようになった[27]。「たーまーやー」「かーぎーやー」というかけ声が生み出された[注 4]。当時の浮世絵を見ると玉屋の花火は多く描かれており、また「橋の上、玉や玉やの声ばかりなぜに鍵やといわぬ情(じょう)なし」(「情」と鍵屋の「錠」をかけている)という狂歌や「玉屋だと またぬかすわと 鍵屋いい」という川柳が残っていることからも、玉屋の人気が鍵屋をしのいでいたと考えられる[独自研究?]。しかし1843年5月16日天保14年4月17日)、玉屋から失火、店のみならず半町(約1500)ほどの町並みを焼くという騒動があった[37]。当時、失火は重罪と定められており、また偶然ながら将軍徳川家慶東照宮参拝出立の前夜であったことから厳しい処分が下され、玉屋は闕所(財産没収)、市兵衛は江戸お構い(追放)となってしまい、僅か一代で家名断絶となってしまった[37]

当時は、鍵屋のような花火専門業者の花火は町人花火と呼ばれた。このほか、大名らが配下の火薬職人らに命じ、競って隅田川で花火を揚げたという。これらの花火は武家花火と呼ばれる。特に、火薬製造が規制されなかった尾張藩紀州藩水戸藩の3つの徳川御三家の花火は御三家花火と呼ばれ、江戸町人らに人気があった。また仙台の伊達家の武家花火も、伊達政宗以来の豪放な藩風を反映させ、仙台河岸の花火として江戸町人の人気を得て、見物人が大挙押しかけ、江戸藩邸近くの萬年橋欄干が折れるという事故まで発生している。武家花火は、戦に用いる信号弾のようなものが進化したもので、狼煙花火と呼ばれ、いわば垂直方向に着目した花火であり、色や形を楽しむ仕掛け花火を中心とした、いわば平面に特化した町人花火とは方向性が異なった。この方向の違いを共に取り入れたのが現代の日本の花火技術である。

日本煙火芸術協会創立者で煙火に関する書物を数多く著した花火師の武藤輝彦(1921年 - 2002年)によれば、打揚花火は、1751年に開発されたとされている。それ以前の花火は、煙や炎が噴き出す花火であったと考えられている。

鍵屋は第二次世界大戦期に十三代天野太道が花火製造を取りやめ、2013年時点では打ち揚げ専業業者となっている。

花火に関しては特に江戸での記録が多く残っているが、これ以外の地方で花火が製造されなかったわけではない。特に、外国と交易のあった九州と、長野県、愛知県などでは、江戸時代から花火が作られていた。特に、三河国岡崎地方(愛知県岡崎市付近)は徳川家康の出身地ということで、火薬に関する規制が緩やかであり、江戸時代から町人が競って花火を製造した。2013年現在も岡崎周辺におもちゃ花火問屋が多いのはこの名残だといわれる。これ以外の日本国内での花火の主な産地は長野県、新潟県秋田県茨城県で、徳川家にゆかりのある地方が多い。

明治時代以降

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大正時代の花火工場(愛知県岡崎市

ヨーロッパで18~19世紀に化学の発展によって新しい化合物が合成され、それらを原材料にした「西洋花火」が明治元年(1868年)に日本に初めて輸入された。[38]

明治時代になると、海外から塩素酸カリウムアルミニウムマグネシウム炭酸ストロンチウム硝酸バリウムといった多くの薬品が輸入され、それまで炭火色といわれる橙色の強弱のみで表現されていた花火に新たな色彩が加わったばかりか明るさも大きく変化した[27]。これらの物質の輸入開始は1879年から1887年にかけて段階的に行われ、日本の花火の形は大きく変化した。これ以前の技術で作られた花火を和火、これ以後のものを洋火と言い分けることもある。

新たな薬品によって多彩な色彩を持つ鮮やかな花火が誕生した反面、化学薬品に対する知識不足から相当な事故が発生したのも明治時代である。特に塩素酸カリウムは他の酸性薬品と混合すると不安定になり、僅かな衝撃でも爆発する危険性が高まる性質を有しており、和火時代の酸化剤として使用していた硝石と同様に扱った場合重大な事故を招く結果となった。

多彩な色彩を持った洋火を大規模に打ち上げた記録としては、1889年2月11日大日本帝国憲法発布の祝賀行事で、皇居二重橋から打ち揚げたものである。

それまで、花火の製造は打ち揚げには何の免許も規制も存在しなかったが、1910年に許可制となった。これ以前の地方の花火は、農家などが趣味で製造しているものが多かったが、この後、化学知識を駆使する必要から花火師の専業化が進むことになる。

大正期には発光剤としてのマグネシウムやアルミニウムなどの金属粉が登場し、夜空により鮮やかに大輪の華を咲かせられるようになった。また塩素酸カリウムに鶏冠石を混合した赤爆を編み出し、大きな発音効果を有す花火が完成していった。また青木儀作廣岡幸太郎などの名花火師が登場したのも大正期である[27]

このように順調に技術を発展させていった花火であるが、昭和に入り、日中戦争など戦火が拡大する世界情勢下で、停滞期を迎えることになる。花火製造は禁止はされないかわりに高い物品税がかけられたが、それでも当初は出征兵士壮行の花火や、英霊を迎える慰霊花火など、慰霊祭や戦勝祈願の花火が上げられていた。しかし戦火の拡大により隅田川川開きの花火大会も1937年に中止となった。そんな中、花火製造業者は防空演習で使用する発煙筒や焼夷筒(焼夷弾の音を再現する)を製造していた。

第二次世界大戦敗戦後は1945年9月長野市諏訪神社で花火が揚げられるが、翌10月連合国軍総司令部(GHQ)により火薬製造が禁じられた。しかし、1946年7月4日には、各地のアメリカ軍基地で日本業者がアメリカ独立祭の打ち揚げ花火を揚げ[27]、戦後初の花火大会として1946年8月10日、岐阜市長良川河畔で全国煙火大会(後に全国花火大会となる)、9月29日30日茨城県土浦市で開催された第14回全国煙火競技大会(後に土浦全国花火競技大会となる)、1947年の新憲法施行記念で皇居前広場(皇居前広場では最後の花火打ち上げとなった)などが行われた。

日本の花火製造業者の粘り強い説得により、1948年にはGHQが在庫花火の消費を許可。これを受け両国花火組合主催、読売新聞社が後援、丸玉屋小勝煙火店が単独で打ち上げる、両国川開きの花火大会が1948年8月1日に復活した。この時は打ち揚げ許可量僅か600発であったが、平和な時代の大輪の華に70万人の観客があった(『両国川開年表』)。

敗戦後はおもちゃ花火を含め、日本の花火は海外に多く輸出されたが、2013年時点では中国からの輸入量の方が多く、輸出は激減している。多くの花火業者は、2013年時点でも地元に根付いた零細・中小企業であり、技術を親の手から子の手へと伝える世襲制をとっている。

花火と文化

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日本

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日本では、の夜の風物詩とされている。一部の自治体では大規模な花火の打ち揚げを「花火大会」と称して行っている。花火大会の大半の開催時期は7、8月に集中している。

伝統花火

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主に歴史のある花火を紹介する。この中には手筒花火の様に地方公演も行うなど地域交流の1つともなっているものもある。

松下流綱火(茨城県つくばみらい市
別名をからくり人形仕掛花火ともいう。1603年小張藩主となった松下重綱が戦勝祝いなど陣中で行ったのが始まりとされる。江戸時代になると火難除けと五穀豊穣を祈って愛宕神社に奉納するようになった。
小張松下流綱火は民族芸能の人形芝居と花火を組み合わせた珍しい行事である。高さ10m程度の柱を3本立て、3本の大綱を中心に綱を張り巡らし、人形を操作するための櫓を組み、お囃子に合わせて人形を操りながら仕掛け花火で人形の姿を照らすというものである。
上演外題は『源平盛衰記』や『桃太郎』、安珍清姫日高川場などであり、お囃子も松下以外にも、巫女舞、繰こみ、三番臾など外題(げだい)によって様々である。
人形は外題により上演ごとにを束ねたものを使用する。また仕掛け花火の火薬の調合は、1807年の文書『万華火本』が現存[いつ?]しており、それに従った製法が守られている。
高岡流綱火(茨城県つくばみらい市)
「綱火」は、あやつり人形と仕掛花火を結合させ、空中に張り巡らせた綱を操作し、お囃子に合わせて人形を操るもので、別名をあやつり人形仕掛花火とも言う。その歴史は古く、慶長年間から続いており、それを中止すると村内は不幸に見舞われると言われている。
この綱火の起源について確かな記録は残っていないが、慶長年間の愛宕神社祭礼当日、黒蜘蛛と赤蜘蛛の空中での巣作りをみて、その動作から暗示を得て、藁で人形を作り、空中で演技をさせるようになったという。
その後このあやつり人形にたいまつや提灯をつけるようになり、火薬の伝来とともに花火の製造技術を研究し、人形に取り付け神社に奉納し、村内の安全を祈願したといわれる。現在[いつ?]は高岡地区に住む長男だけで組織される更進団により伝統が守られている。
秩父龍勢花火(埼玉県秩父市
天正年間に始まったといわれる秩父市下吉田、椋神社秋の大祭に奉納される手造りの花火。長さ約15mのロケット花火が300 - 500mの高さまで打ち上げる。
三河手筒花火(愛知県豊橋市東三河
直径約10cm、長さは70-80cmの青竹の節をくりぬき、周囲を麻縄で巻きつけた手筒を使用した花火である。氏神に奉納する前日に内部には火薬をたたき詰め、奉納の当日は若衆が脇腹に抱えて点火する。すると炎が時には10メートルを超えて噴出すという勇壮なものである。
手力雄煙火(岐阜市長森)
毎年5月、9月、11月に方策を祈って手力雄命(たぢからおのみこと。手力男命とも)に奉納する花火である。神輿に取り付けた手筒花火や、舞火、滝花火などの種類がある。
流星(滋賀県米原市・近江他)
関ヶ原の戦いの際、関ヶ原から石田三成が本陣を構えた佐和山まで狼煙花火で連絡を取っていたのを真似て今日に伝えたと言われている。
流星で使用されているのは日本の伝統的な黒色火薬であるが、集落ごとに配合が異なり流派を形成している。
篠田の花火(滋賀県近江八幡市
江戸中期に起源を持つ花火である。硝石と明礬を配合した上で糊を加え、板に絵や文字を描き、それを櫓に取り付けて火を放つというものである。
成羽愛宕神社奉納花火(岡山県成羽)
1704年成羽領主の山崎義方が愛宕神社の勧請のための奉納花火を催したことに由来する花火大会である。

花火大会一覧

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日本の花火大会一覧を参照。

花火の日

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戦後、花火が解禁された1948年8月1日の記念に、東京本所厩橋で大規模な花火爆発事故の起きた1955年8月1日の追悼、世界最大ともいわれる教祖祭PL花火芸術の開催日8月1日の記念を兼ね、花火の日が8月1日に制定された(1967年制定)。このほか両国川開きが旧暦5月28日であったことから、5月28日も花火の日となっている。

サプライズ花火

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サプライズ花火は事前に予告せずに打ち上げる花火である[39]シークレット花火ともいう[40]。2020年代前半に新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、密集を避けるため等の理由で度々行われた[39][41]

花火が関連する作品

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花火の法規制

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花火の取り扱いには国ごとに法規制がある。がん具としての花火にも文化により法規制に違いがある。国によっては花火の爆音が銃声と混同されかねないことから、記念日以外は花火の使用を禁止していることもある。

日本

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火薬類取締法

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火薬類取締法による規制がある。

  • 製造
    一般の火薬類と同じく煙火やがん具煙火の製造には許可が必要である[42]
  • 販売
    一般の火薬類と同じく煙火の販売には許可が必要である(がん具煙火の販売には許可は不要)[42]
  • 火薬庫での貯蔵
    一般の火薬類と同じく煙火の貯蔵には許可が必要である[42]。がん具煙火の貯蔵は25kg以下であれば許可は不要である[42]
  • 譲渡・譲受
    一般の火薬類と異なり煙火やがん具煙火の譲渡・譲受には許可は不要である[42]
  • 運搬
    一般の火薬類では100kg以上の運搬に届出が必要とされているが、煙火では600kg以上、がん具煙火では2t以上の運搬に届出が必要である[42]
  • 輸入
    一般の火薬類と同じく煙火やがん具煙火の輸入には許可が必要である[42]
  • 消費
    一般の火薬類と同じく煙火の消費には許可が必要である(がん具煙火の消費には許可は不要)[42]。一般の火薬類と同じく煙火の消費には、技術基準が定められているほか、18歳未満の取り扱いが禁止されている(がん具煙火にはこのような規制はない)[42]
    例えば、打上花火を揚げるには、各都道府県知事による煙火消費許可が必要であり、申請には一般人から俗に花火師と呼ばれる煙火店所属の技能認定証明である日本煙火協会発行の煙火消費保安手帳を保持した「煙火打揚従事者」を記載する。
  • 廃棄
    一般の火薬類と異なり煙火やがん具煙火の廃棄には許可は不要である[42]

消防法

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消防法では危険物の扱いを受ける。

航空法

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航空法により、打ち上げる花火が到達する空域によっては、打ち上げが禁止される場合、または打ち上げる場合に事前に国土交通大臣への届出が必要な場合がある(制限表面も参照)。 また、災害発生時に緊急用務空域が指定された場合、花火の打ち上げに一時的に許可または通報が必要となる。

アメリカ

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日本の「がん具煙火」に相当する物は「consumer fireworks」(消費者向け花火、花火師が上げる物はprofessional fireworksと呼ばれる)と呼ばれる。それらの取り扱い(購入、所持、消費)には、州ごとに年齢制限(多くの州は16歳)があり、消費も年末年始や独立記念日前後に限られている場合が多い[42]

ドイツ

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パーティー用クラッカーなど一部の品目を除き購入や消費に制限がある[42]

イギリス

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パーティー用花火(party popper)やクラッカーボール(throwdown)などを除き、がん具煙火の購入や消費などにも年齢制限(原則満18歳)がある[42]

スウェーデン

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手持ちスパークラー(handheld sparklers)やパーティー用花火(party popper)、噴水(ice fountain)などを除き、がん具煙火の購入や消費などにも年齢制限(原則満18歳)がある[42]

ノルウェー

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がん具煙火の購入や所持には年齢制限(満16歳)があるが消費に許可は不要[42]

中国

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花火による環境汚染

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花火により、重金属の残留物、硫黄化合物、粒子状物質、その他の低濃度の毒性物質などを含有する煤煙が生じる[43][44][45][46]。 これらの燃焼による副生成物は、原材料の混合の仕方により大きく異なってくる。 (例えば、バリウム塩を加えることで、花火の緑色を出すことがある[43]。これらの物質には毒性のあるものも含まれる。)

また花火は過塩素酸塩の排出源にもなっているとされてきた[47][48][49]アメリカ合衆国環境保護庁のリチャード・ウィルキンらは、環境中の過塩素酸塩による人体や野生動物への影響を念頭に置いて、水域上空での花火類の使用についての研究を行った。 過塩素酸塩の排出源は雷や特定の化学肥料からロケット燃料や爆発物中に含まれるものまで多岐にわたる。 科学者らは長年の間、地域の花火大会がもう一つの排出源となっているのではないかと疑ってきたが、ほとんど研究がなされていなかった。 ウィルキンの研究グループは2004年、2005年、2006年に花火大会の前後にオクラホマ州にある湖の水を分析することで、花火が過塩素酸塩汚染の原因の一つであることを立証した。 花火大会から14時間以内に、過塩素酸塩の濃度はバックグラウンド濃度の24倍から1,028倍へと上昇した。 24時間後に濃度は最大となり、20日から80日後には大会前の水準へと落ち着いた[50]

過塩素酸塩は固体塩の一種であり、地下水や表流水に容易に溶解し移動する。 過塩素酸塩が飲料水に混じっていると甲状腺ヨウ素の取り込みが阻害されることが知られている[48][49][51][52]。 連邦全体での飲料水の基準は現在存在しないものの、いくつかの州では公衆衛生の目標や対策レベルを既に設定しており、最大基準値を確立しようしている州もある。 たとえば、アメリカ合衆国環境保護庁では飲料水と同様に環境への過塩素酸塩による影響が研究されている[53] 。 またカリフォルニア州は過塩素酸塩使用に関する指針を発行した[54]

花火からの汚染物質は健康リスクについての懸念を招く。 大多数の人について長期にわたり多数の排出源からの低レベルの毒物へ暴露した場合の影響というのはよく分かってない。 一方でぜんそく患者や多種類化学物質過敏症の患者にとっては、花火からの煙が疾患を悪化させる可能性がある[55][56]

アメリカ合衆国

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マサチューセッツ州を含む複数の州は過塩素酸塩についての飲料水の基準を立法化してきた。 カリフォルニア州議会では2003年に過塩素酸塩汚染防止法(AB 826)が制定された。 この法律ではカリフォルニア州有害物質規制局(DTSC)に対して過塩素酸塩および過塩素酸塩の含有物質についての最適な管理方法を示す規制を採択するよう求めた。 この管理方法は2005年12月31日に採択され、2006年7月1日に施行された[57] 。 またカリフォルニア州は飲料水の基準を2007年に制定した。 アリゾナ州メリーランド州ネバダ州ニューメキシコ州ニューヨーク州テキサス州を含む複数の州では、強制性のない勧告基準を制定した。

司法もまた過塩素酸塩汚染に関連した判決も下してきた。 例えば、2003年にカリフォルニア州の連邦地方裁判所は、過塩素酸塩は発火性であり「特徴的に」有害な廃棄物であるを理由に、包括的環境対処・補償・責任法英語版の適用を決定した[58]

中国の製造業者と協力し、汚染物質である過塩素酸塩を低減し、究極的には除去しようとしていると主張する米国企業も存在する[59]

インド

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インドでは都市部を中心に大気汚染が深刻化している中で、ヒンドゥー教の祭日であるディーワーリーの時期に鳴らされる爆竹が汚染レベルの悪化に拍車を掛ける傾向が見られた。2017年インド最高裁判所は、ディーワーリ前後の期間の爆竹販売を禁止した[60]

花火の事故

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エンスヘデ花火保管倉庫爆発事故

花火の事故としては、花火工場における製造過程での事故と花火大会における実演時の事故とに大きく分けられる。花火大会における事故は、花火の危険性だけでなく、群集事故など多くの観客が集まるために起こりうる事故を防ぐために事前にさまざまな予防措置が運営側によって施されるようになっているが、まだまだ防ぎ切れていない。また、家庭で行なわれる花火でも、火薬の危険性を十分認識していない児童が遊戯の主体であるため、取り扱い時の不注意や、ふざけて人、動物、物に向けるなど危険な行為を行なう[61]ことによって、事故を起こしがちである。また、遊戯後の火の不始末による火災の危険性もある。

家庭、公園等の個人で花火をする時は、バケツなどに水を汲むなどしていつでも消火できる環境にして遊び、燃え尽きた後の花火はきちんと水で消火を行い、十分に鎮火したことを確認したあと処理すること。また、小さい子供だけ等の成人した管理者が不在ので花火をするのは避けること。不発の花火(特に打ち上げ花火のものは「黒玉」と呼称される)には再発火や爆発の危険があり、水に漬けるなどの処置が必要となるので放置、管理を行う。

従来から花火の事故は多くあったが、統計が残っているのは1950年代ごろからである。1950年代から1960年代にかけては花火工場の爆発事故が多く、毎年10人以上の死者が出ていた時代もあった。多くは花火工場が爆発し従業員が死亡するというものだったが、近隣の建造物や一般人の生命に危害を及ぼしたものもあり、これらの事故により花火製造に関する規制は徐々に厳しくなった。ただし、安全な種類の火薬を用い、保管量を守れば、そのような事故の大部分は防げたはずだという主張もある。

花火が直接の原因の事故

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日本の旗 玩具問屋爆発事故
1955年8月1日午後1時頃
東京都墨田区厩橋で、おもちゃ花火を扱う卸問屋の経営する花火工場が爆発。死者18人。
日本の旗 東京宝塚劇場火災
1958年2月1日16時15分
無許可で演出のために使われた花火が引火。劇団員3人が死亡。以後劇場での花火の使用に厳しい規制がかけられる。特に東京都では全面禁止となった(1985年に一部規制緩和)。
日本の旗 上郷村花火工場爆発事故
1959年5月29日午後2時25分頃
長野県下伊那郡上郷村(現・飯田市)で死者7人を出した事故。花火工場に近接した小学校校庭で体操をしていた小学6年女子児童1人が爆風で死亡。花火製造への規制が強化される一因となる。
日本の旗 岩槻花火工場爆発事故
1969年(昭和44年)12月1日午後9時頃
埼玉県岩槻市美幸町にあった信号弾、花火を製造する工場で爆発事故が発生。2人死亡、8人が重軽傷。同社は1960年にも2人が死亡する爆発事故を起こしていた[62]
日本の旗 横浜花火大会爆発事故
1989年8月2日
山下公園前海上の台船で打ち上げていた花火の火が、他の打ち上げ前の花火に引火し花火玉325個が爆発。花火師2人が焼死、負傷者7人(神奈川新聞花火大会)。
日本の旗 茨城県守谷町花火工場爆発事故
1992年6月16日
煙火製造工場内倉庫、薬品庫で爆発が発生、工場内で3人死亡、負傷者58人。
オランダの旗 エンスヘデ花火保管倉庫爆発事故オランダ語版
2000年5月13日
オランダエンスヘデにあった花火保管倉庫に保管されていた100tの中国製花火が爆発し、街にオランダ史上第二次世界大戦以来と言われる壊滅的被害を与えた。20人以上が死亡、900人以上負傷、1,000人が住居を失った。原因は、倉庫の所有者による放火だと考えられている。被害総額8,900万ドル[63]
日本の旗 北海道の女児死亡事故
2002年8月14日
第53回勝毎花火大会で、二尺玉花火の破片 (3.4kg) が観客席に落下、小学3年生が直撃を受けて死亡。この事故を受けて、北海道は安全距離基準を改定した。
日本の旗 鹿児島県南国花火製造所爆発事故
2003年4月11日
煙火製造工場内の配合所、火薬類一時置場を含む複数箇所で爆発が発生、10人死亡。この事故により法令が改正され、雷薬などの配合工程において導電性のある器具の使用義務が定められたほか、この工程における停滞量・人数が従来より縮小され、原材料に使われる金属の保管場所は危険区域外へ設置しなければならなくなった。
中華人民共和国の旗 中国赤峰市での爆発事故
2012年1月10日
中国内モンゴル自治区赤峰市元宝山区で、野外販売中の花火に実演として点火したところ、売り物に引火し爆発した。5人が死亡、8人が負傷[64]
中華人民共和国の旗 中国杭州市での爆発事故
2012年10月13日
中国浙江省杭州市での第14回西湖国際博覧会中国語版開幕イベントの花火大会で、花火が暴発し、観客100人以上が負傷した(報道時点で死者はなし)[65]
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国での暴発事故
2012年7月4日
アメリカ合衆国サンディエゴの独立記念日花火大会で、コンピュータのプログラムミスにより、2万発を17分かけて打ち上げるはずが15秒で全て打ち上げてしまった。死者・負傷者はなし。
ナイジェリアの旗 ナイジェリアでの爆発事故
2012年12月26日
ナイジェリア最大の都市ラゴスの人口密集地にある花火保管庫で大規模な火災と爆発が起こった。少なくとも1人が死亡、30人が負傷した[66]
インドネシアの旗 インドネシア、ジャカルタ花火工場爆発事故
2017年10月26日
ジャカルタ近郊の花火工場で爆発、死亡47人以上、負傷34人以上[67]
日本の旗 静岡県浜松市花火工場爆発事故
2018年6月28日
浜松市の煙火製造工場で爆発が発生、従業員ら2人死亡[68]
トルコの旗 トルコ、サカリヤ県花火工場爆発事故トルコ語版
2020年6月16日
トルコサカリヤ県の花火製造工場でコロナ禍で売れ残っていた大量の花火が爆発、死亡・行方不明7人、重軽傷108人[69]
インドの旗 タミル・ナードゥ州ヴィルドゥナガル県の爆竹工場爆発事故
2021年2月12日
インドタミル・ナードゥ州ヴィルドゥナガル県で違法操業をしていた爆竹工場で爆発。少なくとも19人が死亡、数十人が負傷[70]
タイ王国の旗 ナラーティワート県の花火倉庫爆発事故
2023年7月29日
タイ王国ナラーティワート県の花火倉庫で溶接中の火花が花火に引火。爆発が発生して子供を含む10人以上が死亡、100人以上が負傷。家屋100軒以上が損壊[71]

花火大会での群集事故

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日本の旗 両国橋落下事故
1879年8月10日
両国川開きの際、車の通る間だけ空いているほど混み合う見物人により、両国橋欄干が崩れ、見物人たちが川に転落、花火は途中中止となる。死傷者数十人に上る惨事となった[72]
日本の旗 萬代橋事件
1948年8月23日
新潟まつり」の前身にあたる「川開き」の花火大会の際、打ち上がり始めたスターマインを見ようと、観衆が一斉に萬代橋下流側の欄干に殺到し欄干が落下、約100人の観衆が信濃川に転落。死者11人、重軽傷者29人。これ以降、花火大会の際には萬代橋を含む信濃川に架かる橋梁上での立ち止まっての花火見物は禁止されている。
日本の旗 明石花火大会歩道橋事故
2001年7月21日
花火大会の観客が歩道橋で群集雪崩を起こし、死者11人・負傷者247人の大惨事に。警察・自治体の警備や対応の不備が浮き彫りになる(大蔵海岸#事故も参照のこと)。
インドの旗 ケララ州ヒンドゥー教寺院爆発事故
2016年4月10日
インドケララ州ヒンドゥー教寺院で行われた花火大会で、打ち上げた花火が保管場所に落下して爆発。数千人の群衆がパニック状態に陥ったことで100人超が死亡、200人超が重軽傷を負った。花火大会は地元当局が不許可としたにもかかわらず強行されたものであった[73]

花火大会周囲の不注意による事故

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日本の旗2013年福知山花火大会露店爆発事故
2013年8月15日
ドッコイセ花火大会に隣接する露店が、ガソリン携行缶で発電機に給油中に気化したガソリンに引火したことで爆発。死者3名、負傷者59名。

賠償事例

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比喩表現

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野球で両チームが本塁打を打ち合い、点の取り合いになる状況を「花火大会」と形容する。この場合、冒頭に球場名が付く事もある。

脚注

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注釈

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  1. ^ 火薬類取締法、および火薬類取締法施行規則では「がん具煙火」と表記する。
  2. ^ 火薬類取締法施行規則で、広義のおもちゃ花火である「緊急保安炎筒」(発炎筒)、「模型ロケットに用いられる噴射推進器」、「内容物盗用防止装置付きかばんに用いられる発煙火工品」は、これより多量の火薬使用が認められている。最も火薬を使えるのは、発炎筒の150グラムである。
  3. ^ たとえばJR東海では、旅客営業規則にて列車に持ち込めない危険品を定めており、適用除外の物品に「がん具煙火、競技用紙雷管及びその他のがん具用軽火工品で、容器・荷造ともの重量が1キログラム以内のもの。」とあり、これを上回る量は持ち込めない[16]。他の鉄道事業者でも類似する規則をそれぞれ定めている。バスの場合は、旅客自動車運送事業運輸規則により100グラムを超える量の持ち込みを禁じている[17]
  4. ^ “打ち上がって、花が開き、それが落ちていくまで「たーーーまやーーー」と声を出し続けるのが本寸法だと言い伝えられている。享保18年(1733年)の両国での花火大会はわずか二十発程度だったという”[36]

出典

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  17. ^ 旅客自動車運送事業運輸規則第52条2項
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  19. ^ 花火はゆうパックで送れますか? - 日本郵便
  20. ^ 400年も形を変えずに残って来たスボ手牡丹の歴史も、うちが作るのをやめたら途絶えてしまう。 | ヒトコト・モノコト
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参考文献

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関連項目

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外部リンク

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