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2021年6月16日 (水) 06:51時点における版
ゴッドファーザー PART II | |
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The Godfather Part II | |
国立映画博物館に保管されている本作の脚本 | |
監督 | フランシス・フォード・コッポラ |
脚本 |
マリオ・プーゾ フランシス・フォード・コッポラ |
製作 |
フランシス・フォード・コッポラ グレイ・フレデリクソン フレッド・ルース |
出演者 |
アル・パチーノ ロバート・デュヴァル ダイアン・キートン ロバート・デ・ニーロ |
音楽 |
ニーノ・ロータ カーマイン・コッポラ |
撮影 | ゴードン・ウィリス |
編集 |
ピーター・ツィンナー バリー・マルキン リチャード・マークス |
配給 | パラマウント映画 |
公開 |
1974年12月12日 1975年4月26日 |
上映時間 | 200分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 |
英語 イタリア語(シチリア語) スペイン語 |
製作費 | $13,000,000[1] |
興行収入 |
$47,542,841[1] $193,000,000[2] |
配給収入 | 8億1900万円[3] |
前作 | ゴッドファーザー |
次作 | ゴッドファーザー PART III |
『ゴッドファーザー PART II』(ゴッドファーザー パート ツー、原題: The Godfather Part II )は、1974年に公開されたアメリカ映画。監督はフランシス・フォード・コッポラ。脚本はコッポラとマリオ・プーゾの合作。PG12指定。
『ゴッドファーザー』の続編だが、物語の時系列はやや複雑で、前作の後日談であると共に前日談に相当する。第一作でコルレオーネ・ファミリーを継承したマイケル・コルレオーネのその後を語ると同時に、若かりし頃のヴィトー・コルレオーネが力を手にして浮上していく様を丁寧に描き出す。
概要
1972年に公開された『ゴッドファーザー』の続編。原作となったマリオ・プーゾの小説の中から、前作では描けなかった父ヴィトー・コルレオーネの青年時代と、息子マイケル・コルレオーネのその後という二つの異なった時代の物語を平行させながら描いている。
パラマウント映画は『ゴッドファーザー』が公開される数か月前から続編の製作を検討していた。1971年8月、ちょうどコッポラがシチリア島のロケを終えた頃、続編の脚本執筆にゴーサインが出され、パラマウントはマリオ・プーゾと契約を交わした。コッポラは『ゴッドファーザー』公開から1か月後の1972年4月、続編の監督には興味がないと表明し、関係者を驚かせた。パラマウントはコッポラに対し製作に関するほぼ全面的な決定権、事実上無制限の予算などを約束し、彼を説き伏せた。コッポラは監督兼プロデューサーとして契約書にサインをし、前回同様、プーゾと脚本を共同執筆した[4]。
映画は1973年10月1日から1974年6月19日の間に撮影された。1974年12月12日に全米で公開され、興行的に成功を収めた。批評家たちからも前作に勝るとも劣らない傑作であると絶賛された。同年度のアカデミー賞では作品賞を含む9部門(そのうち助演男優賞部門では3人が候補になった)でノミネートされ、そのうち作品賞・監督賞・助演男優賞・脚色賞・作曲賞・美術賞を受賞した。アカデミー作品賞を受賞した映画の続編が再び作品賞を受賞したのは、現在に至るまでアカデミー賞史上唯一の快挙である。
1993年にはアメリカ国立フィルム登録簿の保管作品に選ばれた。1998年にアメリカ映画協会が選んだ映画ベスト100中第32位、2007年に更新されたリストでは同じくベスト100中第32位にランクインした。
この映画はテクニカラーで撮影された最後のアメリカ映画である[5]。
ストーリー
この映画では、二つの物語が同時進行で語られる。一つ目の物語の舞台は1958年から1959年で(一部に1941年の回想)、前作『ゴッドファーザー』に続くマイケル・コルレオーネの姿が描かれる。もう一方の物語は1901年から1925年までの、マイケルの父ヴィトー・コルレオーネの在りし日の姿を描く。幼い頃にニューヨークに渡りコルレオーネ・ファミリーを築いていくヴィトーの物語が、現在のファミリーを守るために戦うマイケルの物語と交錯(クロスカッティング)する。
マイケルのパート
1958年。父ヴィトーの跡目を継ぎ、ニューヨーク五大ファミリーのドンたちの暗殺によって裏社会の強力な権力を得たマイケル・コルレオーネは、ネバダ州に本拠を移していた。タホ湖の湖岸にある邸宅では息子アンソニーの初聖体式を祝う盛大なパーティーが開かれており、組織の古参ピーター・クレメンザ亡き後に、彼のニューヨーク(NY)の縄張りを継承したフランク・ペンタンジェリも来ている。ペンタンジェリはNYの縄張りを巡って同じくクレメンザからその一部を譲り受けたと主張するロサト兄弟と対立しており、その解決をマイケルに頼む。しかし、ロサト兄弟の後見にはユダヤ系マフィアの大物でヴィトーの盟友であったハイマン・ロスがおり、事を荒立てたくないマイケルは我慢するように言う。その晩、マイケルは妻のケイと共に就寝中のところを、寝室の窓の外から銃撃を受ける。
犯人の正体はわからないが、身近な者が関わっていること、またNYの件と関係があると見たマイケルは、本拠を義兄弟で組織の弁護士であるトム・ヘイゲンに任せ、マイアミにいるロスの邸宅に赴く。マイケルは父の代から続くファミリーとロスとの長年の協力関係を強調した上で、自分を襲撃させた犯人はペンタンジェリだと告げ、彼を粛清することで合意する。次にその足でブルックリンに赴いたマイケルはペンタンジェリと会見し、事件の黒幕はロスだとわかっていると告げた上で、彼を油断させるためにロサト兄弟と会談して欲しいと依頼する。マイケルの希望に従い、ペンタンジェリはロサト兄弟との会談場所に赴くが、兄弟に裏切られてガロットで首を絞められる。争いの音を聞き現場に駆けつけた警察によってペンタンジェリは助かるが、自分はマイケルに裏切られたと考える(ただし、表向きペンタンジェリの生死は不明となる)。
1958年末、マイケルはロスの誕生日パーティーが開かれるキューバのハバナへ向かい、多くの者たちと共にロスと会見する。その頃キューバではアメリカの支援を受けるバティスタ政権とカストロ率いる反政府ゲリラによる紛争が起きており、マフィア達は反政府ゲリラが勝ち、キューバ利権が失われることを危惧していた。遅れてマイケルの兄フレドがハバナへと到着し、マイケルはフレドに自分を殺そうとしているのはロスで、間もなく暗殺することを伝える。マイケルとロスは改めて会見し、マイケルはペンタンジェリを襲撃したのは誰か問い詰めるが、ロスは動じることもなく、逆に自身が目をかけていたモー・グリーンを殺し、その利権を奪い去ったマイケルを非難する。また、マイケルはフレドの失言によって、彼がロスの内通者だったと知り、激怒する。
マイケルは手下にロスとその側近ジョニー・オラの暗殺を命じ、オラは殺されたがロスは発作を起こして病院に運ばれ、辛くも暗殺の手を逃れる。さらに1959年の新年パーティーの最中、政府高官が反政府ゲリラが政府軍に勝利したことを出席者達に知らせ、一転して場はパニックに陥る。マイケルも他の多くの客と同様にハバナから離脱しようとするが、同行することを拒否したフレドは一人で逃走する。タホ湖の邸宅に戻ってきたマイケルはトムから報告を受け、ロスはキューバを脱してマイアミで静養中であること、フレドはおそらくNYに潜伏していることを伝える。さらにケイが流産したことを教えられ、マイケルはショックを受ける。
ロスの差し金により、連邦議会上院で組織犯罪に対する特別委員会が開かれることとなり、表向き実業家となっているマイケルが告発される。委員会側ではマイケルに裏切られたと勘違いし、組織の内幕をよく知るペンタンジェリが告発の証人になろうとしていた。マイケルは公聴会にて五大ファミリー暗殺などの厳しい質疑を受け窮地に立たされるも、トムと相談し、弱みを握るギアリー上院議員の反対演説などで巻き返していく。そしてペンタンジェリの証言日、マイケルはペンタンジェリの兄をシチリアから呼び寄せ、人質にしていることを暗黙に示し、土壇場でペンタンジェリは証言することを拒否する。
一方、マイケルはケイから子供を連れて出て行くと伝えられる。突然の出来事に驚き狼狽するマイケルに対し、ケイはもはや裏社会のドンとして非情な手段でのし上がるマイケルについていけなくなったこと、さらに流産の真相が堕胎であったことも明かす。激怒したマイケルはケイを殴りつけ、子供は渡さないと言い放つ。結局、マイケルは子供たちの親権は自分に残したままケイと離婚し、彼女を冷たく家から追い出す。
家族のために行動しているのに、次々と家族を失っていく事態にマイケルは母に、父はなぜ家族を守れたのかと問う。その母も間もなくして亡くなり、その葬儀には疎遠になっていた妹コニーやフレドも参席する。コニーと和解したマイケルは、彼女の願いでフレドの帰参も許す。そして互いに抱き合うが、マイケルはフレドの頬にキスをしながら腹心のアル・ネリに意味深長な目線を投げる(死の口づけ)。
窮地を脱したマイケルは今回の出来事についてすべて精算することをトムに告げる。まずトムは、連邦政府に保護され刑務所で特別待遇を受けるペンタンジェリに面会に行き、残された家族を守るためには自殺が最善だと仄めかす。その言に従いペンタンジェリは浴室で手首を切り自殺する。次にイスラエルへの亡命を企てるも失敗しアメリカに戻ってきたロスは、空港にて記者に変装したロッコに射殺される(また、ロッコはその場で射殺される)。最後に、アル・ネリと共にボートで湖に出ていたフレドは、釣りの前の祈りの最中に彼に射殺される。湖畔に響く銃声を聞くマイケルは、一人、1941年の父の誕生日に兄弟たちが集まった時のことを思い浮かべる。日本との戦争が始まり、マイケルは兄弟に軍に志願したことを打ち明け、長兄ソニーが反発する中、フレドだけはその選択を支持する。
抗争に勝利するも家族の大半を失ったマイケルが庭で虚ろな表情を浮かべるシーンで映画は終わる。
ヴィトーのパート
1901年、シチリア島コルレオーネ村。まだ9歳の少年ヴィトーは、父アントニオが地元マフィアのボスであるドン・チッチオに殺され、さらに報復としてチッチオの命を狙った兄パオロも返り討ちに遭い殺される。掟に従い今度はヴィトーの命が狙われるがチッチオの下に助命嘆願に向かった母が身代わりとなって死に、ヴィトーは村の者たちの手を借りて一人でアメリカへ向かう移民船に乗る。その後、ニューヨーク港で入国管理官に名前を尋ねられるも英語がわからないヴィトーは押し黙ってしまう。管理官はヴィトーが持っていた名札を誤読し、出身地名を名字に読み替え、ヴィトー・コルレオーネと名簿に登録する。
1917年。成長したヴィトーは結婚し、長男ソニーにも恵まれる。ヴィトーは友人ジェンコ・アッバンダンドの家が経営するリトルイタリーの個人食品雑貨店で堅実に働いていたが、地元で怖がられるギャングのファヌッチの横槍で職を奪われてしまう。家族を養わなければならないヴィトーは、隣人でこそ泥のピーター・クレメンザに誘われて裕福なアパートから赤い絨毯を盗み出す空き巣の手伝いを行い、これが生涯で最初の犯罪となる。
1919年、ヴィトーとクレメンザはさらにテシオを加え、窃盗でそれなりに上手く金を稼ぎ、生活できるようになっていた。この成功を聞きつけたファヌッチが高額のみかじめ料を要求してくる。怒る仲間を制し、ヴィトーは自分に任せるように言う。リトルイタリーの祭りの日、ヴィトーはファヌッチを暗殺する。そのまま、家に帰ってきたヴィトーは生まれたばかりのマイケルを優しく抱き上げる。
地元住民達から鼻つまみ者のファヌッチをヴィトーが殺したことは公然の秘密となっており、ヴィトーは周りの者たちから尊敬を得るようになっていた。街の相談役として頼まれてトラブルの調停などを行うようになり、確かな交渉の腕を持つ上に、公正で弱者に優しいヴィトーはますます声望を高め、クレメンザやテシオも、ヴィトーを自分たちのドンと認める。また、旧友ジェンコと組んで、シチリアからのオリーブオイル輸入事業を行う「ジェンコ貿易会社」を立ち上げる(これは生涯にわたってヴィトーの表向きの商売・肩書きとなる)。
1925年、アメリカで成功を収めたヴィトーは家族を連れ、故郷のシチリア島コルレオーネ村へ帰省する。オリーブオイル事業のシチリア島での協力者でもあったドン・トマシーノと協力し、ヴィトーはドン・チッチオの邸宅を訪ねる。かつての少年とは知らず、単なるアメリカの実業家との会見と認識する老いたチッチオであったが、ヴィトーは正体を名乗ると彼を殺し復讐を果たす。ヴィトーと家族達は、足を撃たれて車椅子に乗ったトマシーノらに見送られながらコルレオーネ村を離れる。
キャスト
コルレオーネ・ファミリー
- ドン・ヴィトー・コルレオーネ
- 演 - ロバート・デ・ニーロ
- 9歳の時に両親と兄を地元のボスであるドン・チッチオに殺害され、命からがらニューヨークに逃亡してくる。当初はリトル・イタリーの食料品店で働く一介の店員であったが、嫌われ者である恐喝屋のドン・ファヌッチを殺害して周囲の信頼を獲得し、友であるクレメンザとテッシオと共にマフィアのボスとしてのし上がっていく。
- マイケル・コルレオーネ
- 演 - アル・パチーノ
- ヴィトーの三男でありコルレオーネファミリーのボス。ユダヤ人のボスであり、父の盟友であったハイマン・ロスやフランク・ペンタンジェリと暗闘を繰り広げる。ファミリーを守るためには手段を選ばす、立ちはだかる敵を冷徹かつ徹底的に排除していくが、その過程で人間性を喪失し、冷酷な人物に変貌していく。
- フレド・コルレオーネ
- 演 - ジョン・カザール
- ヴィトーの次男。心優しいが気が弱く、おおよそマフィアには向いていない。コルレオーネファミリーのアンダーボスではあるが、使い走りのような仕事ばかり任されているなど、実際の立場はかなり低い。有能である弟のマイケルに対して劣等感と嫉妬心を抱いており、妻であるディアナとの仲もうまくいっていない。ロスの部下であるジョニー・オーラの差し金で弟を裏切り、ファミリーを窮地に陥れる。母の死後は弟と和解したかに見えたが、最後はアル・ネリにタホ湖で粛清される。
- トム・ヘイゲン
- 演 - ロバート・デュバル
- コルレオーネファミリーの弁護士。ボスであり義兄弟のマイケルに命の危険が迫った際には家族と跡目を託される程信頼されている。ファミリーの強大化及び敵の排除に大きく貢献するが、冷酷な人間に変貌していくマイケルに困惑もしている。
- ケイ・アダムス・コルレオーネ
- 演 - ダイアン・キートン
- マイケルの妻。夫との間に長男のアンソニーと長女のメアリーをもうけるが、次第に冷酷なマフィアのボスに変貌していく夫についていけなくなり、遂には妊娠していた次男を中絶して離婚してしまう。
- コニー・コルレオーネ
- 演 - タリア・シャイア
- ヴィトーの長女でありマイケルの妹。夫であるカルロを殺害したマイケルを恨んでおり、当てつけるかのように育児を放棄し、兄の意に添わぬ結婚を繰り返すが、母の死後にマイケルと和解し、フレドを許すよう懇願する。
- カルメラ・コルレオーネ
- 演 - モーガナ・キング(若年期:フランチェスカ・デ・サピオ)
- ヴィトーの妻であり、ソニー、フレド、マイケル、コニーの母親。夫や子供の仕事には口を出さないが、若い頃は大家に追立てられそうな近所のコロンボ夫人を夫に紹介するなど内助の功を発揮する。
- アンソニー・コルレオーネ
- 演 - ジェームス・ゴナリス
- マイケルとケイの長男。伯父であるフレドとは釣り仲間であり、非常に仲が良い。
- メアリー・コルレオーネ
- 演 - ソフィア・コッポラ
- マイケルとケイの長女。
- ソニー・コルレオーネ
- 演 - ジェームズ・カーン
- ヴィトーの長男。ラストの回想シーンに登場。父の意に反して海軍に志願したマイケルの決断を非難する。
- カルロ・リッツィ
- 演 - ジャンニ・ルッソ
- ラストの回想シーンに登場。ソニーの友人としてコニーに紹介される。
- ディアナ・コルレオーネ
- 演 - マリアンナ・ヒル
- フレドの妻。元女優であり奔放な性格で夫と家族を困らせている。タホ湖の襲撃犯の死体を見て錯乱する。
コルレオーネ・ファミリーの幹部
- フランク・ペンタンジェリ
- 演 - マイケル・V・ガッツォ
- クレメンザが持っていたニューヨークの縄張りを引き継いだコルレオーネファミリーの幹部。ロスの部下であるロサト兄弟と対立しており、マイケルにロサト兄弟の殺害を願い出るが、ロスとの間にトラブルを構えることを嫌ったマイケルは許可を出さず不満を募らせる。ロスの策略でロサト兄弟に殺害されかけたことをマイケルの差し金と誤解し、FBIの保護下でコルレオーネファミリーに対して反旗を翻す。ファミリーの実態を上院の公聴会にて暴露しようとするが、シシリアからやってきた兄であるベンチェンゾの姿を見て公聴会での証言を翻す。その後はトムに家族を守る代わりに自殺をするよう促され、手首を切って自殺する。
- ウィリー・チッチ
- 演 - ジョー・スピネル
- 元はクレメンザの部下であり、現在はフランクのボディガードを務めている。ロサト兄弟との抗争で負傷する。その後はコルレオーネファミリーを裏切り、上院の公聴会でファミリーの実態を暴露する。
- ロッコ・ランポーネ
- 演 - トム・ロスキー
- 元はクレメンザの部下であり、現在はマイケルのボディガード兼殺し屋を務めている。マイアミの空港でロスを射殺するが、自らもFBIのエージェントに撃たれて死亡する。
- アル・ネリ
- 演 - リチャード・ブライト
- 元警官であり、マイケル直属のボディガード兼殺し屋。フレドをタホ湖で粛清する。
- ミオ
- 演 - アメリゴ・トッド
- マイケルが雇った黒づくめのボディガード兼殺し屋。ジョニー・オーラを絞殺し、ロスも暗殺しようとするが、キューバの軍人に射殺される。
- ピーター・クレメンザ
- 演 - ブルーノ・カービー
- ヴィトーの部下。若い頃はリトル・イタリーでこそ泥家業に手を染めており、ヴィトーに銃を預かるよう依頼する。
- サルバトーレ・テッシオ
- 演 - エイブ・ヴィゴダ(若年期:ジョン・アプレア)
- ヴィトーの部下。若い頃はクレメンザと共にこそ泥稼業に手を染めていた。ラストの回想シーンではヴィトーの誕生ケーキを持ってくる。
コルレオーネ・ファミリーの敵
- ハイマン・ロス
- 演 - リー・ストラスバーグ(若年期:ジョン・メグナ)
- 本名はハイマン・スチャウスキー。マイアミを根拠地とするユダヤ人のボス。ヴィトーやモー・グリーンとはかつての仕事仲間であり、禁酒法時代に糖蜜をカナダへ輸送して財を築いた。バティスタ政権下でのキューバに巨大な権益を持っており、マイケルとの協力関係を築こうとするが、実は目をかけていたグリーンを殺害されたことを恨んでおり、様々な手段を用いてマイケルを窮地に陥れようとする。最後はイスラエルへの亡命を拒否され、衆人環視の中ロッコにマイアミの空港で射殺される。若い頃は自動車の修理工を務めており、クレメンザがヴィトーに彼を引き合わせ、実在のマフィアであるアーノルド・ロススタインにちなんで名字を変えるシーンが存在する(本編では削除されている)。モデルは実在のマフィアであるマイヤー・ランスキー。
- ジョニー・オーラ
- 演 - ドミニク・キアネーゼ
- ロスの部下であるシチリア人。フレドを唆してマイケルの居所を入手し、タホ湖の邸宅での襲撃を行う。キューバでマイケルのボディガードであるミオに絞殺される。モデルは実在のマフィアであるヴィンセント・アロ。
- ロサト兄弟
- 演 - ダニー・アイエロ、カーマイン・カリディ
- ロスの部下であり、兄のトニーと弟のカーマインの2人組。ニューヨークの縄張りを巡ってフランクと対立しており、ロスの策略によりフランクの暗殺未遂事件を起こす。
- パット・ギアリー
- 演 - G・D・スプラドリン
- ネバダ州出身の上院議員。マイケルやマフィアを「アメリカ人のふりをする汚い商売をする奴」と軽蔑しており、賄賂として法外なカジノの許可料を吹っかけてくるが、フレドが管理する売春宿で女とSMプレーの最中になぜか意識を失い、目を醒ますと女はベッドに手を縛られて血まみれに。この修羅場をトムにもみ消してもらったことで、その後はコルレオーネファミリーの傀儡と化す。
- ドン・ファヌッチ
- 演 - ガストーネ・モスキン
- リトル・イタリーを根城にする「ブラック・ハンド」と呼ばれる一匹狼の恐喝屋。横暴で皆に嫌われており、ヴィトーがジェンコの店で得た就職口を自分の甥のために奪い取り、窃盗で得た金までゆすり取ろうとするが、聖ジェンナーロの祭の日にヴィトーに射殺される。
- ドン・チッチオ
- 演 - ジュゼッペ・シラート
- シシリアのコルレオーネ村を支配しているボス。ヴィトーの両親と兄を殺害するが、その後オリーブの輸入業者としてシシリアに凱旋したヴィトーに報復として刺殺される。
その他の人物
- ジェンコ・アッバンダンド
- 演 - フランク・シベロ
- ヴィトーが務めていた食料品店の同僚であり親友。ヴィトーがファミリーのボスとなった際には相談役(コンシリエーリ)に就任する。
- ドン・トマシーノ
- 演 - マリオ・コトーネ
- コルレオーネ村に住むヴィトーの古い友人であり顔役。ドン・チッチオに対するヴィトーの報復にも協力するが、その際にチッチオの部下に足を撃たれてしまう。ヴィトーがシシリアを離れる際には車椅子に座っている。
- コロンボ夫人
- 演 - サベリア・マゾーラ
- アパートの大家であるロベルトに追い出されそうになり、友人であるカルメラを通じてヴィトーに問題の解決を依頼する。
- ロベルト
- 演 - レオポルド・トリエステ
- コロンボ夫人が住んでいるアパートの大家。トラブルを起こした彼女をアパートから追い立てようとする。ヴィトーの依頼にも最初は全く耳を貸そうとしなかったが、ヴィトーが何者かを知ってからは平身低頭で謝罪に訪れる。
- マール・ジョンソン
- 演 - トロイ・ドナヒュー
- コニーの3番目の夫。アンソニーの聖体祭パーティーの際に家族に紹介されるが、マイケルやカルメラには全く信用されていない。
日本語吹き替え
主な受賞歴
アカデミー賞
- 受賞
- アカデミー作品賞:フランシス・フォード・コッポラ/グレイ・フレデリクソン/フレッド・ルース[注 1]
- アカデミー監督賞:フランシス・フォード・コッポラ
- アカデミー助演男優賞:ロバート・デ・ニーロ[注 2]
- アカデミー脚色賞:フランシス・フォード・コッポラ/マリオ・プーゾ
- アカデミー美術賞:ディーン・タブラリス/アンジェロ・グラハム/ジョージ・R・ネルソン
- アカデミー作曲賞:ニーノ・ロータ/カーマイン・コッポラ[注 3]
- ノミネート
- アカデミー主演男優賞:アル・パチーノ
- アカデミー助演男優賞:マイケル・V・ガッツォ/リー・ストラスバーグ
- アカデミー助演女優賞:タリア・シャイア
- アカデミー衣装デザイン賞:テオドラ・ヴァン・ランクル
英国アカデミー賞
- 受賞
- 主演男優賞:アル・パチーノ[注 4]
- ノミネート
- アンソニー・アスキス賞:ニーノ・ロータ
- 編集賞:ピーター・ツィンナー/バリー・マルキン/リチャード・マークス
- 新人賞:ロバート・デ・ニーロ
ゴールデングローブ賞
- ノミネート
- 作品賞 (ドラマ部門)
- 監督賞:フランシス・フォード・コッポラ
- 主演男優賞 (ドラマ部門):アル・パチーノ
- 脚本賞:フランシス・フォード・コッポラ/マリオ・プーゾ
- 作曲賞:ニーノ・ロータ
- 新人男優賞:リー・ストラスバーグ
配役
青年時代のヴィトーを演じたロバート・デ・ニーロは当時無名だったが、前作でソニー役のオーディションを受けていた。役のイメージとは合わずに最終的に起用されなかったものの、コッポラはデ・ニーロの存在感や演技力を心に留めていた。その後マーティン・スコセッシ監督の『ミーン・ストリート』のデ・ニーロを見て、コッポラは彼こそヴィトーの青年期を演じるのにふさわしい俳優だと確信し、デ・ニーロを抜擢した[5]。その判断通り、デ・ニーロは絶賛され、アカデミー助演男優賞を受賞、ほとんど英語を話さずにオスカーを獲得した珍しい例となった。前作で晩年のヴィトーを演じたマーロン・ブランドは主演男優賞を受賞している(後に拒否)。青年期と晩年という違いこそあれ、同じ人物を演じてオスカーを得た俳優は、ブランドとデ・ニーロの二人のみである。
当初コッポラは、前作でヴィトーを演じたマーロン・ブランドならどんな年齢の役でも演じられると思い、青年時代のヴィトー役をブランドにオファーした。しかしブランドは前作でのパラマウント映画が出したオファーに不満があったので、巨額のギャラを要求した[5]。コッポラはせめてラストの誕生日の回想シーンだけでもブランドを起用したがったが、ブランドは撮影に現れなかった。止む無くこのシーンでヴィトーは映らず、代役なしで撮影することになったが、それが却って今は亡きドンの偉大さ、そして回想するマイケルの孤独を強調させることになった。
前作でソニーを演じたジェームズ・カーンはソニー役で誕生日の回想シーンのみに出演することに同意したが、その条件とは、前作と同額のギャラを受け取るというものであった[5]。
ブルーノ・カービー(クレジットでは「B・カービー・Jr.」)は若い頃のクレメンザを演じたが、前作で年老いたクレメンザを演じたのはリチャード・S・カステラーノだった。テレビシリーズの『The Super』では、カービーはカステラーノと親子を演じている[5]。カービーは他にも「ドン・サヴァティーニ」(90年)で、マーロン・ブランド演じるヴィトー・コルレオーネを彷彿させるマフィアのドンの甥を演じた。当初、現在のクレメンザも出演する構想であったがカステラーノが台詞をすべて妻に書かせることを要求したために出演を断念し、死んだ設定となった[7]。
タイトルについて
2001年に発売されたDVDの監督解説の中で、監督であるフランシス・フォード・コッポラは、作品のタイトルに「Part II」を使用した大作映画はこの作品が初めてだと述べている。パラマウント映画は当初、映画の名前を『ゴッドファーザー PART II』にしようというコッポラの案に反対していた。コッポラによれば、映画スタジオはそのような題の映画は観客に避けられるだろうと思って反対したと言う。既に前作の『ゴッドファーザー』を見た観客は、原作にはもうほとんど追加するものがないと感じるだろうというのがその理由である。本作品の成功により、続編にナンバーをつけるのはハリウッドの伝統となった。
後に『ゴッドファーザー』の三作目の製作が決定した時、コッポラは逆に新作に『マイケル・コルレオーネの死』という題を付けることで自身が作った先例を壊そうとしていた。しかし1980年代の興行的失敗の後で彼の影響力は落ちていたため、スタジオはこの案を拒否した。結局シリーズ三作目は、『ゴッドファーザー PART III』というタイトルで1990年に公開された。コッポラは、2020年に発表した同作の改訂版のタイトルを『ゴッドファーザー<最終章>:マイケル・コルレオーネの最期』とすることでようやく目的を達成した。
その他
- 映画の物語は撮影前にプーゾとコッポラが新しく考え出したものであったが、アカデミー賞では脚本賞ではなく脚色賞を獲得した。マイケルの物語は映画の為に書き下ろされたものであったが、ヴィトーの物語はプーゾの小説から採られたものだったからである[5]。初期の原稿には、トム・ヘイゲンがソニー・コルレオーネの未亡人と関係を持ち、コルレオーネ・ファミリーに摩擦を生じさせるという案もあった。この部分はすぐに廃案になったが、コッポラは同様のエピソードを、続編である『ゴッドファーザー PART III』に採用した。
- 『ゴッドファーザー』と『ゴッドファーザー PART II』との間に、フランシス・フォード・コッポラは『カンバセーション…盗聴…』を監督している(撮影期間は1972年11月26日から1973年3月まで)。『カンバセーション…盗聴…』は『ゴッドファーザー PART II』と同年の1974年に劇場公開され、アカデミー作品賞の候補作にもなった。その結果コッポラは、同じ年に二つの監督作品で作品賞にノミネートされた二人目の監督(一人目はアルフレッド・ヒッチコック監督)となった。
- ヴィトーの母親役は、イタリア人でフォークミュージックのシンガーソングライターであるマリア・カルタ(Maria Carta)が演じた。少年時代のヴィトー役も、同じく演技経験のない11歳のオレステ・バルディーニが演じた[8]。
- マイケルのボディーガード役はハンガリー出身の彫刻家、アメリゴ・トット(Amerigo Tot)が演じた。
- 公聴会でウィリー・チッチ、マイケル・コルレオーネ、フランク・ペンタンジェリを尋問する委員の中に、映画プロデューサーのロジャー・コーマンやフィル・フェルドマン、SF作家のリチャード・マシスンの姿がある[5]。
- ヴィトー・コルレオーネがドン・ファヌッチと交渉するシーンは、ジョージ・ルーカス監督の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』で、ハン・ソロがジャバ・ザ・ハットと金額交渉する場面に再現されている。このシーンは劇場版ではカットされたが、DVDには収録されている。
- 本作では予算が潤沢であったこともあり、1918年のシーンを撮るためニューヨーク市内東6番街の1ブロックがまるごと当時の街並みに改築され撮影が行われた。
- 終盤、マイケル達の母親カルメラ・コルレオーネが亡くなり棺桶に入っているシーンがあるが、実はこのシーンで彼女の役を演じていたのはそれまでのモーガナ・キングではない。シチリア人にとって死後以外に棺桶に入ることは縁起が悪いこととされているので、拒否したとのこと。代わりに演じたのはフランシス・フォード・コッポラ及びタリア・シャイアの母親であった。
- 共に『ゴッドファーザー』が転機となり、イタリア系の俳優として名高いアル・パチーノとロバート・デ・ニーロは、この映画で初共演した。2人が映画で再び共演したのは、この作品より20年以上後の1995年に公開された、マイケル・マン監督作品の『ヒート』である。
脚注
注釈
- ^ なお、この受賞によって本作はアカデミー賞史上初の作品賞を受賞した続編映画となった。
- ^ なお、この第47回アカデミー賞の式典にデ・ニーロ本人は出席しておらず、代理人として同作品の監督であるフランシス・フォード・コッポラが受賞している。
- ^ なお、この第47回アカデミー賞の式典に、ロータは出席していない。
- ^ 『狼たちの午後』との同時受賞。
出典
- ^ a b “The Godfather Part II (1974)”. Box Office Mojo. 2010年1月12日閲覧。
- ^ The Godfather Part II 英語版Wikipedia
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』 キネマ旬報社、2012年、332頁。
- ^ ハーラン・リーボ 著、河原一久、鈴木勉 訳『ザ・ゴッドファーザー』ソニーマガジンズ、2001年11月22日、303-306頁。ISBN 978-4789717748。
- ^ a b c d e f g The Godfather: Part II (1974) - Trivia - IMDb
- ^ リライト部分
- ^ ハーラン・リーボ 『ザ・ゴッドファーザー』前掲書、309-310頁。
- ^ ハーラン・リーボ 『ザ・ゴッドファーザー』前掲書、311頁。
関連項目
- ゴッドファーザー
- 愛のテーマ
- キューバ革命
- マイヤー・ランスキー - ハイマン・ロスのモデル。
- THE GODFATHER2 - 映画を基にしたビデオ・ゲーム。
外部リンク
- The Godfather Trilogy
- ゴッドファーザー PART II - allcinema
- ゴッドファーザー PART II - KINENOTE
- ゴッドファーザー PART IIのチラシ[リンク切れ]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。 - ぴあ
- The Godfather Part II - オールムービー(英語)
- The Godfather Part II - IMDb(英語)