「ゴッドファーザー (映画)」の版間の差分
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2021年6月16日 (水) 06:52時点における版
ゴッドファーザー | |
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The Godfather | |
監督 | フランシス・フォード・コッポラ[1][2] |
脚本 |
マリオ・プーゾ フランシス・フォード・コッポラ |
原作 | マリオ・プーゾ |
製作 |
アルバート・S・ラディ ロバート・エヴァンス(クレジットなし) |
出演者 |
マーロン・ブランド アル・パチーノ ジェームズ・カーン ロバート・デュヴァル |
音楽 | ニーノ・ロータ |
撮影 | ゴードン・ウィリス |
編集 |
ウィリアム・レイノルズ ピーター・ジンナー |
配給 | パラマウント映画 |
公開 |
1972年3月15日 1972年7月15日 |
上映時間 | 177分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 |
英語 イタリア語 ラテン語 |
製作費 | $6,000,000[3] |
興行収入 | $245,066,411[3] |
次作 | ゴッドファーザー PART II |
『ゴッドファーザー』(原題:The Godfather)は、1972年に公開されたアメリカ映画。監督はフランシス・フォード・コッポラ。マリオ・プーゾの小説『ゴッドファーザー』の映画化作品。「ゴッドファーザー(ゴッドマザー、ゴッドペアレンツ)」とは、日本語版では原作、映画共に「名付け親」と訳されているが、正式にはキリスト教(特にカトリック)文化において洗礼式に選定される代父母のことであり、その後の生涯にわたって第二の父母として人生の後見を担う立場である[注 1]。
公開されると当時の興行記録を塗り替える大ヒットになり、同年度のアカデミー賞において作品賞・主演男優賞・脚色賞を受賞した。1990年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。
あらすじ
第二次世界大戦終戦直後の1945年。ニューヨーク五大ファミリーの一角で、最大の勢力を誇るイタリア系マフィア「コルレオーネ・ファミリー」の邸宅では、ドン・コルレオーネ(ヴィトー)の娘コニーの結婚式が盛大に開かれていた。ドンには他に3人の息子と1人の事実上の養子がおり、その中で末弟であるマイケルはただ一人裏社会には入らずに大学を経て軍隊に入り、戦場での活躍で英雄扱いを受けていた。式に参列したマイケルは婚約者のケイを家族に紹介し、祝福される。その華やかな雰囲気の一方で、ヴィトーは娘をレイプされた葬儀屋の男の請願を執務室にて受け、困惑しながらもその報復を部下に指示する。また、自らが代父となった歌手のジョニーからも懇願を受け、弱気なジョニーを叱咤激励しつつ、事実上の養子であり組織の弁護士かつ顧問(コンシリエーレ)であるトムを介して、ジョニーを干そうとしていたプロデューサーのウォルツを脅し、彼が大事に育てていた雄馬の首を切り取り、彼のベッドへと放り込ませる。
ある日、五大ファミリーのタッタリア・ファミリーの客分で麻薬密売人のソロッツォが、政治家や司法界への人脈も厚いコルレオーネ・ファミリーに麻薬(ヘロイン)の取引を持ちかけてくる。麻薬取引を固く禁じるヴィトーは拒絶するが、長男で跡継ぎ(アンダーボス)のソニーは乗り気の姿勢を見せたために、ソロッツォ(及びタッタリア)は邪魔なヴィトーを消せば取引は可能と考える。ソロッツォはヴィトー襲撃事件を引き起こし、ヴィトーは複数の銃弾を受けて昏睡状態となるも一命を取り留め、思惑が外れてしまう。一方のコルレオーネ・ファミリーではソニーは報復を訴えるも、全面抗争は避けるため様子を見ることになる。そんな中、夜半の病院で、いまだ意識の戻らない父の見舞いに来たマイケルは護衛達が警察の指示で追いやられたと知り、敵の暗殺者が迫っていることに気づく。マイケルは機転を利かせて、同じく見舞いに来ていたパン屋のエンツォと共にタッタリアの襲撃者をやり過ごす。間もなくタッタリアの依頼を受け護衛たちを帰らせたマクラスキー警部が病院に到着し、目論見を失敗させたマイケルの顔面を殴りつける。ヘイゲンの機転で護衛問題は片付くが、再度父を狙われたことに激怒したソニーはタッタリアの跡継ぎブルーノを殺害し、ここに全面抗争が確定する。また、父を守る思いと怒りに燃えるマイケルは裏社会に入ることを決意して兄ソニーや父の盟友で幹部(カポ・レジーム)のクレメンザやテシオに相談する。そしてマイケルは、ソロッツォとマクラスキーとの会談に応じる振りをして、レストランでの会談の席で二人を暗殺すると、ケイに黙ったまま、組織と縁が深いシチリア島へ高跳びする。
その後もニューヨークでの抗争は熾烈を極めるが、コルレオーネ・ファミリーはソニー指揮の下でタッタリアに大損害を与えていた。コルレオーネの勝利が間近と見られていたが、そんな折に、ソニーは妹コニーがその夫で義弟のカルロより日常的に暴力を受けていることを知って激しく怒り、カルロを問い詰めるために単身屋敷を飛び出してしまう。その隙を狙われ、ハイウェイの料金所にてソニーは短機関銃の集中射撃を浴びて無残に殺される。一方、シチリア島で知り合った現地の美女アポロニアと結婚し安穏とした生活を送るマイケルにも敵の手が伸び始めており、護衛役のファブリツィオの裏切りでアポロニアが爆死する。
意識を回復するもまだ体調は万全ではないヴィトーは息子ソニーの死にショックを受けつつ、タッタリアとの手打ちを決める。コルレオーネに次ぐ勢力を誇るバルジーニが仲介役となって五大ファミリーの会合が開かれ、その場でヴィトーは麻薬取引を部分的に認めつつ、残る息子マイケルの身の安全を要求し、タッタリアとの講和が結ばれる。その帰途、ヴィトーはトムに今回の騒動の黒幕はバルジーニだと指摘する。
ヴィトーは帰国したマイケルを正式にファミリーの跡継ぎにすることを決め、自らは相談役として退く。若く新参のマイケルに不安を覚える部下たちも多い中、マイケルは5年以内にファミリーを合法化して一部のシマは譲ると言い、また有能だが平時の人材と目する義兄トムを遠ざけ、ファミリーの仕事をしたがっていた義弟カルロを重用する。加えてマイケルはケイと再会して結婚し、2人の子供をもうける。しかし、コルレオーネ・ファミリーは落ち目だと内外にみなされ始めており、ラスベガスを新天地とする構想は、次兄フレドを預かっているラスベガスの有力者モー・グリーンとの対立で破綻する。また、死期を悟ったヴィトーは、マイケルに自分の死後にバルジーニが動き出すだろうと忠告し、さらに彼との会談を持ちかけてきた者が裏切り者だと指摘する。間もなくヴィトーは孫と菜園で過ごしている際に心臓発作で亡くなり、その葬儀の場でテシオがバルジーニとの会談を持ちかけてくる。マイケルは会談の日を自らが代父(ゴッドファーザー)となる妹コニーの息子の洗礼式の日と定める。
洗礼式当日。マイケルは信頼するロッコやアル・ネリらに命令を下し、バルジーニを含めたニューヨーク五大ファミリーのドン全員と、モー・グリーンの同時暗殺を実行する。さらにテシオを粛清し、ソニー暗殺に加わっていたカルロをも粛清する。
数日後。転居を控えたコルレオーネ邸に酷く取り乱したコニーが現れ、洗礼式の日にその父親(カルロ)を殺したこと、そもそも初めから殺すために手元に置く目的で重用していたことなどを指摘し、兄マイケルを人でなしと罵る。それを聞いて心配になるケイは事実かとマイケルに問うが、彼はこれを否定する。表面的には安堵の顔を浮かべるケイであったが、新たなカポ・レジームがドン・コルレオーネとしてのマイケルに忠誠を誓うところを彼女が眺めるシーンで物語は終わる。
登場人物・キャスト
主な登場人物
- ヴィトー・コルレオーネ
- 演 - マーロン・ブランド
- 通称ドン・コルレオーネ。ニューヨーク五大ファミリーである大マフィア「コルレオーネ・ファミリー」の長。元はシチリア島出身の移民で、一代でニューヨーク最大のマフィア組織を築く。犯罪組織の長であるものの、道徳心は強く、また義理堅く、慈悲深い性格であるため、部下だけでなく一般人からも深く尊敬される(アメリゴのように距離を置かれた人物もいるが積極的に害すようなことはしない)。必要とあれば暴力も厭わないが、シノギも賭博や酒、組合といったものに限定し、ドラッグを固く禁じる。政治家や司法界にも多くの人脈を持っており、他のファミリーらから羨望される。
- 詳細は「ヴィトー・コルレオーネ」を参照
- マイケル・コルレオーネ
- 演 - アル・パチーノ
- ヴィトーの三男。コルレオーネ一族としては線の細い容姿だが、父に似て内に闘志を秘め、知性に優れる。ヴィトーのお気に入りであったが自らの意思で家業と距離を置きダートマス大学に進学、戦争が始まると父の反対を押し切ってアメリカ海兵隊に入隊し、戦場での活躍で英雄扱いされる。そのまま表の世界で活躍することをヴィトーからも望まれていたものの、一連の抗争の中で、裏社会に入ることを決意し、最終的には長兄ソニーの死などを経て、正式にファミリーの2代目ドンとなる。
- 詳細は「マイケル・コルレオーネ」を参照
コルレオーネ・ファミリー
- ソニー・コルレオーネ
- 演 - ジェームズ・カーン
- ヴィトーの長男かつ組織のアンダーボス(ドンに次ぐ地位)。ヴィトーの跡継ぎと目されており、マフィアの長としては申し分ないものの、ヴィトーほどの聡明さはない点をやや心配されている。良くも悪くもシチリアの男らしいと評され、真っすぐで少々短気な性格故に暴力沙汰が絶えず、女癖が悪い。家族からはヴィトーからのみ愛称ではない「サンティノ」と呼ばれている。
- 父と違い麻薬ビジネスに乗り気の姿勢を見せたが、父が襲撃されて瀕死の重傷を負うとタッタリアとの抗争を決意し、陣頭指揮をとる。ブルーノの殺害に成功するなど一定の戦果を得るも、短気で逆上しやすい性格が災いし、単身で行動したところをハイウェイの料金所で待ち伏せていた殺し屋達から短機関銃の一斉射撃を全身に受けて殺される。
- 原作ではヴィトーからボスの器ではないとみなされており、最初からヴィトーはマイケルを跡継ぎにしたがっていた。
- トム・ヘイゲン
- 演 - ロバート・デュヴァル
- ヴィトーの事実上の養子かつ組織の相談役(コンシリエーレ)。名前の通りドイツ系であり12歳の頃に親に捨てられた孤児だったところをヴィトーに拾われる。親や出自に悪いという理由で法的には正式な養子にはされず、苗字はヘイゲンのままであるが、ソニーやマイケルらと同等に愛情を受けて育ち、学費を援助してもらい大学を出て弁護士資格を得る。このため、血がつながらずともヴィトーには父として多大な恩義を感じており、組織に尽くす。先代コンシリエーレのアッバンダンドを師とし、彼の死去に伴い、その才覚と忠誠心から非イタリア系ながらヴィトーの大抜擢として組織の重職についていた。
- 物語後半では表向きラスベガスに拠点を移すマイケルの計画のためにコンシエーレを解任され、顧問弁護士扱いとなる。しかし、ヴィトーと共にマイケルの才覚を熟知する数少ない人物であり、その側近として行動する。
- 原作ではシチリア人の出自の誇りの強さから、非イタリア系がコンシリエーレに任命されたのはヴィトー最大の失策とまでマフィア達に評され、コルレオーネ・ファミリーが落ち目とみなされている一因にもなっている。
- ピーター・クレメンザ
- 演 - リチャード・カステラーノ
- ヴィトーの盟友かつ最古参の幹部(カポレジーム)。恰幅の良い男で武闘派、ヴィトーからは暴力はやりすぎることがないと言われている。ファミリー内では世話好きで面倒見がいい。料理も上手く、劇中でマイケルにパスタのレシピを教えている。
- 終盤、生前のヴィトーが示唆していた組織の裏切り者について、トム・ヘイゲンからその正体として疑われていたが、マイケルからは裏切りができるような器用な人物ではないと否定されている。
- サルバトーレ・"サル"・テシオ
- 演 - エイブ・ヴィゴダ
- ヴィトーの盟友かつ最古参の幹部(カポレジーム)。長身細身で冷静沈着な男。聡明で武闘派としても申し分なく、最高の兵隊と評されてコルレオーネ・ファミリーを支えてきた重鎮であり、ヴィトーから誰よりも信頼されたといわれる。
- ヴィトー亡き後のファミリーを悲観しており、バルジーニの誘いに乗ってマイケル暗殺の策謀に加担する。ヴィトーの葬儀の場でバルジーニとの会談をセッティングしたことをマイケルに伝えるものの、これ自体が生前のヴィトーが予期していた裏切り者の証であり、洗礼式の日に粛清される。クレメンザが裏切り者だと疑っていたトム・ヘイゲンからは非常に驚かれる。
- ルカ・ブラージ
- 演 - レニー・モンタナ
- 殺し屋。組織最強の殺し屋と称され、ヴィトーの命令を受けて数々の暗殺を成功させてきた大柄な男。必ず単独で仕事を行うために、協力者から尻尾を掴まれることもなく警察の捜査も及ばないという。ヴィトーに強い忠誠心を誓い、その仕事ぶりはヴィトーから高く信頼される。
- ソロッツォとの会談決裂後、事態に不審を抱いたヴィトーからタッタリア・ファミリーへの潜入調査を命じられ、ヴィトーに不満を抱いたという筋書きでタッタリアに接触する。しかしヴィトーの目論見はタッタリア側から見透かされており、逆に暗殺される。
- 原作では、あまりに暴力一辺倒な性格をヴィトーから煙たがられており、それを察してコニーの結婚式で大金を包もうとするなどの様子が描写される。タッタリアへの潜入命令も、そうした二人の関係を踏まえたものになっている。
- カルロ・リッツィ
- 演 - ジャンニ・ルッソ
- コニーの夫。外見は精悍ながら軟派な性格のため信頼されず、ファミリーの中枢から遠ざけられていた。コニーとの新婚生活の期間中にも浮気をし、コニーに暴力を振るう。これを知って激怒したソニーが家に乗り込もうとしたことが彼の死のきっかけとなる。その後、マイケルがドンになるとトムと交代する形で彼の右腕として重用され、コニーと円満の満足した生活を送るようになる。ところが、ソニーの死は偶然ではなく元々バルジーニが仕組んだものであり、マイケルには真相を知られていた。重用されたのも油断及び監視が目的であった。物語終盤の洗礼の日にマイケルから尋問され、命は保証するという彼の言葉を信じて自白した後、クレメンザにガロットで絞殺される。
- 原作によれば、シチリア人の父と北イタリア人の母を両親に持ち、ネバダ州に住んでいたが、そこで若気のいたりから拳銃が絡む「些細な」事件を起こしニューヨークへ逃げてきたという。ソニーと知り合い、また事件もヴィトーの手配でもみ消された。また、この時のネバダ州での情報収集でヴィトーがカジノビジネスに興味を持ち、後にモー・グリーンに出資したエピソードもある。
- ポーリー・ガットー
- 演 - ジョン・マルティーノ
- クレメンザの右腕で組織の幹部候補。ヴィトーの専属運転手兼護衛役であったが、ヴィトー襲撃事件の日は突然の病気で不在であった。これはタッタリアと内通していた結果であり、クレメンザの意を受けたロッコにより粛清される。
- 原作ではマイケルの同級生とされ、アメリゴの娘の報復の担当者としても登場している。
- ウィリー・チッチ
- 演 - ジョー・スピネル
- クレメンザの部下でボディガード兼殺し屋。
- ロッコ・ランポーネ
- 演 - トム・ロスキー
- クレメンザに見出された逸材で、ヴィトー時代はクレメンザの下で研鑽を積み、マイケルが跡を継ぐと彼の側近(カポレジーム)となる。作中では裏切り者のポーリーを始末する。
- 原作では五大ファミリーの会議の際にヴィトーとトムの運転手をたまたま務めていたところを、ヴィトーが高く評価して将来の幹部候補に見いだされたというエピソードがある(トムはただ普通に寡黙で運転していたとしか思っておらず、ヴィトーの高評価に驚く)。
- アルベルト・"アル"・ネリ
- 演 - リチャード・ブライト
- マイケルに忠誠を誓う殺し屋。物語終盤で警察官に扮し、バルジーニを射殺する。その後、幹部(カポレジーム)へ出世する。
- 作中では終盤に登場するのみで詳細な出自は明かされないが、元警官という経歴を持ち、その正義観から過剰暴力を振るい、義父の依頼を受けたヴィトーに助けられたという来歴を持つ。このためヴィトーに多大な恩義を感じている。バルジーニ暗殺に使った警官の制服も自身の現役時代のもので、最後に証拠破棄のため制服を廃棄して、過去との決別としている。また、原作では最初の殺しの仕事として、モー・グリーンも殺している。「マイケルのルカ・ブラージ」とも評され、ルカ以上の殺しの才に頭脳まで伴う逸材とされる。
- ジェンコ・アッバンダンド
- 初代相談役(コンシリエーレ)で、トムの前任者。通常版では登場しないが、クレメンザ、テシオと並ぶ組織の最古参であり、ヴィトーの盟友。元は若きヴィトーが務めていた個人食料品店の息子で、しがない一般人であったが、コンシリエーレとしては非凡な才能を見せ、数々の内外の争い事を調停し、信頼厚かった。
- 本編開始時点では死病の床にあり、結婚式の日の午後にヴィトーに看取られながら亡くなる。未公開シーンでは彼の臨終シーンがある。
コルレオーネ一族
- ソニー・コルレオーネ
- ヴィトーの長男。
- →#コルレオーネ・ファミリー
- フレド・コルレオーネ
- 演 - ジョン・カザール
- ヴィトーの次男。およそマフィアとも理想的なシチリア人とも程遠い、気が弱く胆力に欠けた青年。ヴィトー襲撃事件では父に同行していたが、突然の事態に動揺し、まともに銃を扱えず敵を取り逃がす。その後、タッタリアとの抗争が激化する中で、カジノビジネスを学ぶという名目でラスベガスの友好組織のモー・グリーンの下へ送られ、庇護を受ける。ラスベガスではモーに手球に取られる形で自堕落な生活を送る。
- 原作ではかなり女性関係が派手になったことなどが明示されており(特に女性二人を相手にセックスした件など)、それがヴィトーの倫理観に触れ、勘気を蒙っている。他にも数ヶ月の内になんども性病を患い、また何人もの女性を堕胎させている。ただし、現地ではホテル経営に才があると評され、その点でヴィトーに驚かれている。
- トム・ヘイゲン
- ヴィトーの養子。
- →#コルレオーネ・ファミリー
- コニー・コルレオーネ・リッツィ
- 演 - タリア・シャイア
- ヴィトーの娘。兄ソニーの紹介で知り合ったカルロと恋仲にあり、物語冒頭において結婚式を挙げる。しかし、結婚生活では組織から冷遇され苛立つカルロから恒常的に暴力を受けていた。物語後半ではカルロがマイケルに重用され、さらに息子が生まれたことでカルロの暴力もなくなり、順風満帆な生活を送れるようになっていたが、カルロが粛清されたことで物語最後ではマイケルを激しく罵る。
- カルロ・リッツィ
- コニーの夫。
- →#コルレオーネ・ファミリー
- マイケル・フランシス・リッツィ
- 演 - ソフィア・コッポラ
- コニーとカルロの息子。乳児。マイケルが代父(ゴッドファーザー)となり、物語のラストで洗礼式が行われる。
- コッポラの娘ソフィアが男児の役を行った。
- ケイ・アダムス・コルレオーネ
- 演 - ダイアン・キートン
- マイケルのダートマス大学での学友でありガールフレンド。誠実で真面目な青年だったはずの恋人が、父親襲撃の復讐のために殺人を犯して国外に逃亡するという悲劇に見舞われる。彼の帰国後に再会して結婚するが、マフィアの一員となり権力を得ると同時に徐々に変容していくマイケルの姿を目の当たりにすることになる。マイケルを愛することで困難を乗り越えられると考えるが、耐え難い不安に苦しめられる。
- サンドラ・コルレオーネ
- 演 - ジュリー・グレッグ
- ソニーの妻。夫との間に4人の子供をもうけているが、夫の女癖の悪さのせいかあまり夫婦仲は良くない。コニーの結婚式で夫のペニスの大きさを自慢している。
- カルメラ・コルレオーネ
- 演 - モーガナ・キング
- ヴィトーの妻でマイケル達の母親。ファミリーの仕事には決して口を出さない。夫を立て、家族に愛情を注ぐ古き良きイタリアの母。
- 演じたモーガナ・キングは本職が女優ではなく歌手であり、劇中で歌唱も披露されている。
- ルーシー・マンチーニ
- 演 - ジニー・リネロ
- コニーの親友であり、ソニーの愛人。作中での登場は少ないが、原作によればサンドラがソニーのペニスの大きさを自慢したことで彼に興味を持ち、花嫁の介添人としても参列したコニーの結婚式の最中においてソニーと情事に至り、以降逢瀬を重ねる。
- 原作では膣の構造が特殊であったことから性的な満足感を得られたことがなく、それを与えてくれたソニーに執心した原因となっている。ソニー死亡後も傷心して自殺を図ろうとするなど、彼を溺愛していたが、見かねたヴィトーの計らいでラスベガスにて静養する(その際、トム・ヘイゲンから紹介された医者によって膣を外科手術で直し、またその医者と結婚する)。映画第3作目に登場するヴィンセントの実母にあたるが、原作では妊娠していないことが明示されている。
五大ファミリーと協力者
- エミリオ・バルジーニ
- 演 - リチャード・コンテ
- バルジーニ・ファミリーのドン。五代ファミリーの一角であり、コルレオーネに継ぐ勢力を誇る。本格的な登場は物語後半冒頭、コルレオーネとタッタリアの手打ちからであったが、その場で今回の騒動の黒幕がバルジーニだとヴィトーから確信を持たれる。以降、テシオやモー・グリーンを懐柔し、ヴィトー亡き後のコルレオーネ・ファミリーを打倒して権勢を握ることを企図していたが、洗礼式の日に裁判所のエントランスにて警察官に扮したアル・ネリによって運転手や護衛共々射殺される。
- 原作によればスタテン・アイランドを拠点にし、スポーツ賭博・麻薬をシノギとし、売春業にも関わる。アメリカ中の様々な利権にも目ざとく絡み、キューバやシチリアといった国外にも人脈を持つ、現代的で洗練されたマフィアで、ヴィトーのような温かさこそないが、その狡猾さ、力強さでヴィトーとはまた違った尊敬を持たれているという。コルレオーネとタッタリアの抗争ではタッタリアの同盟者として資金や影響力という形で力を貸しており、ドン・タッタリアよりもタッタリア勝利の立役者とみなされていた。
- フィリップ・タッタリア
- 演 - ビクター・レンディナ
- タッタリア・ファミリーのドン。物語前半における表面上の敵役。客分のソロッツォを介して、ニューヨークでの麻薬取引による利益を目論むが、ヴィトーに防止されたことでコルレオーネとの激しい抗争に発展する。結果として互いの息子を失うも、麻薬ビジネスをヴィトーに認めさせることに成功する。しかし、一連の騒動を単独で起こせるような胆力のある人物ではなく、後にヴィトーから真の黒幕はバルジーニだと推測される。洗礼式の日に愛人とホテルにいたところをロッコとその部下によって、愛人共々短機関銃で射殺される。
- 原作によればアメリカ中の売春宿(ストリップ、キャバレーなどを含む)を主な資金源としている。ただでさえシチリア的価値観でマフィアの売春業は賤業であるにも関わらず、本人も60歳を超えて漁色家、かつケチでつまらぬ癇癪を起こすことで知られており同業から小物扱いされている。ソロッツォの件も、むしろ彼に利用されているとみなされており、コルレオーネとの抗争は事実上の勝利者にも関わらず、全く尊敬を得なかったという。
- ブルーノ・タッタリア
- 演 - トニー・ジョルジオ
- フィリップの息子で、ファミリーのアンダーボス。作中ではルカがタッタリアに潜入調査をしようとした際にわずかに登場する。その後、マクラスキーと組んだ病院での襲撃計画が失敗した翌日、激怒したソニーによって暗殺されたことが明かされる。
- バージル・ソロッツォ
- 演 - アル・レッティエリ
- 「ターキー(トルコ人)」と渾名される麻薬密売人(実際にはトルコ人ではなく、扱うヘロインの材料であるケシがトルコ経由であることに由来)。タッタリアの客分で、ニューヨークを新たなヘロインの商売先とするべく、政治家や司法とコネがあるコルレオーネを頼る。ヴィトーに拒絶されると、ソニーが乗り気であったことを踏まえて、邪魔なヴィトーの暗殺未遂事件を起こし一連の騒動の引き金となる。マイケルとの会談の場を設けるが、同席したマクラスキー警部共々マイケルによって射殺される。
- 映画ではドン・タッタリアとの力関係は不明確であるが、原作では狡猾なソロッツォがタッタリアをうまく利用していると明確に描写されている。
- マール・マクラスキー警部
- 演 - スターリング・ヘイドン
- ニューヨーク市警の汚職警官。ソロッツォと結託している。アイルランド人だが酒を飲まない。ヴィトーが入院している病院へ見舞いに来たマイケルの顔面を殴りつけ負傷させる(マイケルがハンカチで終始鼻をぬぐっているのはこの傷のためである)。ソロッツォと共にレストランでの会談中、マイケルに射殺される。
- カーメン・クネオ
- 演 - ルディ・ボンド
- ニューヨーク五大ファミリーの一つであるクネオ・ファミリーのドン。作中ではコルレオーネとタッタリアの手打ち式に出席するのみで特に目立った登場や、物語への関わりはない。回転ドアに閉じ込められ、チッチに拳銃で射殺される。
- 原作によればニューヨーク北部を支配し、賭博と、カナダからのイタリア系移民の不法入国の斡旋をシノギとする。表向きは大手牛乳会社の経営者で、常にお菓子をポケットいっぱいに詰めた子供好きとして有名人であり、裏の顔はまったく世間に知られておらず、商業会議所に実業家として表彰さえされたという。なお、原作では暗殺されない。また、原作での名はオッティリオ。
- ビクター・ストラキ
- 演 - ドン・コステロ
- ニューヨーク五大ファミリーの一つであるストラキ・ファミリーのドン。作中ではコルレオーネとタッタリアの手打ち式に出席するのみで特に目立った登場や、物語への関わりはない。最期は洗礼式の日にエレベーター内でクレメンザに散弾銃で射殺される。
- 原作によればマンハッタン西部の港湾事業や貨物運搬、建築をシノギとする。港湾を縄張りとする以上、麻薬取引とは無縁ではいられずにいた。五大ファミリーでは最弱という。なお、原作では暗殺されない。
ラスベガス
- モー・グリーン
- 演 - アレックス・ロッコ
- ラスベガスを作った男とも言われるカジノビジネスの大物。コルレオーネ・ファミリーから多額の出資を受けた縁から親交があり、コルレオーネとタッタリアとの抗争が始まると、カジノ業を学ぶという名目でフレドを預かり保護する(正確にはモリナリ・ファミリーの庇護)。物語終盤では落ち目のコルレオーネを見限っており、フレド自身に落ち度があるとはいえ彼を人前で殴ったり、赤字と嘘をついてカジノの儲けを誤魔化していたことが示唆される。マイケルからカジノの買収を要求されると激昂し、もはやコルレオーネ・ファミリーは終わりであること、既にバルジーニと関係があることを明かす。このためマイケルから明白な敵とみなされ、五大ファミリー暗殺と同じ日に、マッサージの施術を受けている最中に暗殺される。
- 原作では洗礼の日ではなく、マイケルとの決裂の数日後にアル・ネリに暗殺される。
- モデルはベンジャミン・シーゲル。また、名前はモー・セドウェイとガス・グリーンバウムから取られている。
- フレド・コルレオーネ
- →#コルレオーネ一族
シチリア島
- アポロニア・ヴィテッリ・コルレオーネ
- 演 - シモネッタ・ステファネッリ
- シチリアの旧家出身の女性で、お互い一目惚れしたマイケルと結婚する。容姿は名前の通りにギリシャ系。マイケルを狙った自動車爆弾により、彼の目の前で爆死する。
- ファブリツィオ
- 演 - アンジェロ・インファンティ
- トマシーノの部下でマイケルの護衛役。饒舌な青年でマイケルとすぐに打ち解ける。コルレオーネとタッタリアの抗争が激化する中で、タッタリア(実際はバルジーニ)の手引により、トマシーノを裏切り、自動車爆弾によるマイケル暗殺を企ててアポロニアを死亡させる。その後はアメリカに逃亡し、ニューヨークでピザ屋を開いていたが、未公開シーンではマイケルの復讐として同じく自動車爆弾で爆殺される。
- 原作ではバルジーニら暗殺と同日にマイケルが送った暗殺者に射殺される。
- カーロ
- 演 - フランコ・チッティ
- トマシーノの部下でマイケルの護衛役。
- リオネーレ・トマシーノ
- 演 - コラード・ガイパ
- シチリアを拠点とするトマシーノ・ファミリーのドン。コルレオーネのオリーブオイル事業の協力者で、かつ、かつてヴィトーの復讐を手助けした縁(詳細は『PART2』)から、強い友好関係にある。この時の復讐がきっかけで足が不自由になり、杖を突いている。高跳びしてきたマイケルを匿う。
その他
- ジョニー・フォンテーン
- 演 - アル・マルティーノ
- 若手の人気歌手。ヴィトーを代父(ゴッドファーザー)に持つ。今でも女性人気はあるが下降気味であり、とある戦争映画の主演となることで逆転を狙っている。ところが、その映画のプロデューサーのウォルツが大切に育て上げた女優の卵に手を出し台無しにしたために干されてしまい、ヴィトーに助けを乞う。結果として映画主演となり、目論見通りに大スターとなる。その後、ドンを継いだマイケルからラスベガスでのショーを依頼され、ファミリーへの恩義から了承する。
- フランク・シナトラがモデルとされる。
- ジャック・ウォルツ
- 演 - ジョン・マーリー
- ハリウッドの映画会社社長、大物プロデューサー。5年掛けて育てていた女優をジョニーに手を出されて台無しにされたことから、彼を深く恨み、彼が望む映画出演を拒絶する。その後、ジョニーに頼まれたヴィトーによって派遣されたトム・ヘイゲンとの交渉でも無碍に断る。結果、就寝中に愛馬の首をベッドに投げ込まれて大きな恐怖を受け、ジョニーの映画出演を認める。
- ハリー・コーンがモデルとされる。
- アメリゴ・ボナセーラ
- 演 - サルヴァトーレ・コルシット
- 物語冒頭にて娘をレイプし、さらに顎に酷い重傷を負わせた若者たちへの報復(殺し)をヴィトーへ依頼する葬儀屋の男。イタリア系でヴィトーとは旧知の仲であり、被害を受けた娘はヴィトーの妻カルメラが代母(ゴッドマザー)でもあったが、マフィアに借りを作ることを嫌い、長年に渡り距離を置いていた。アメリカの司法を信じていたが、相手の青年達が政治家の息子だったこともあり執行猶予つきの禁錮3年で済んだことに腹を立て、コニーの結婚式の日に上記の報復の依頼を行う。ヴィトーから都合の良い時だけ自分を頼る不実を皮肉られ、シチリア人は頼まれたことを断れないという娘の結婚式の日に友情ではなく金で殺しをさせようとする態度などを咎められる。改めて友情を誓うという形でヴィトーをゴッドファーザーと呼び、殺しではなく暴力による制裁、また金の支払いは不要でいずれ借りを返すよう約束させられる。物語中盤、借りを返すときが来たとして、全身に被弾して見るも無残な姿となったソニーの遺体を最善を尽くして修復するようヴィトーから依頼される。
- ナゾリーネ
- 演 - ビト・スコッチ
- パン屋の主人でヴィトーの友人。コニーの結婚式において、娘の恋人であり、店で働くパン職人のエンツォがシチリアへ送還されないようヴィトーに依頼する。また、結婚式のウェディングケーキを準備した。
- 原作ではアメリゴと対比される人物で、ヴィトーの子供時代からの友人としてイースターやクリスマス、誕生日には必ずチーズパイなどの料理を送っていた。またマフィアとして駆け出し時代のヴィトーがパン屋の組合を作るとこれに参加し、その手数料の支払いを一度も欠かすことなく続けてきた。このため作中の陳情もヴィトーは借りを返せるとして大いに喜び、エンツォが米国市民権を得られるように有力政治家への根回し、それに必要な経費2000ドルという大金の一切を肩代わりするという、ヴィトーの寛大さが示される形となっている。
- エンツォ
- 演 - ガブリエレ・トレ
- パン屋でケーキ職人。シチリア出身でナゾリーネの義理の息子。不法移民として強制送還される危機にあったところを、ナゾリーネの依頼を受けたヴィトーにより米国市民権を得ることができた。恩義があるヴィトーが襲撃されたことを聞きつけていち早く病院に見舞いに駆けつける。マイケルと共に病院の玄関に立って武装した護衛を演じ、病院に近付いてきたタッタリアの刺客を追い払うことに貢献する。
日本語吹き替え
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |||
---|---|---|---|---|---|
日本テレビ版 | DVD版 | Blu-ray版 | ?版[5] | ||
ドン・ヴィトー・コルレオーネ | マーロン・ブランド | 鈴木瑞穂 | 麦人 | ||
マイケル・コルレオーネ | アル・パチーノ | 野沢那智 | 山路和弘 | 森川智之 | |
ソニー・コルレオーネ | ジェームズ・カーン | 穂積隆信 | 谷口節 | 羽佐間道夫 | |
フレド・コルレオーネ | ジョン・カザール | 大塚国夫 | 牛山茂 | ||
ケイ・アダムス・コルレオーネ | ダイアン・キートン | 鈴木弘子 | 山像かおり | ||
トム・ヘイゲン | ロバート・デュヴァル | 森川公也 | 田原アルノ | ||
ピーター・クレメンザ | リチャード・カステラーノ | 富田耕生 | 辻親八 | 後藤哲夫 | |
コニー・コルレオーネ・リッジ | タリア・シャイア | 小谷野美智子 | 渡辺美佐 | 斎藤恵理 | |
カルメラ・コルレオーネ | モーガナ・キング | 沼波輝枝 | 竹口安芸子 | 新田万紀子 | |
マクラスキー警部 | スターリング・ヘイドン | 北山年夫 | 糸博 | 仲野裕 | |
ジャック・ウォルツ | ジョン・マーリー | 加藤精三 | 水野龍司 | ||
ドン・エミリオ・バルジーニ | リチャード・コンテ | 真木恭介 | 水野龍司 | 仲野裕 | |
ソロッツォ | アル・レッティエリ | 小林清志 | 銀河万丈 | 楠大典 | |
カルロ・リッジ | ジャンニ・ルッソ | 青野武 | 内田直哉 | 桐本琢也 | |
モー・グリーン | アレックス・ロッコ | 家弓家正 | 佐々木梅治 | 青山穣 | |
テッシオ | エイブ・ヴィゴダ | 塩見竜介 | 水野龍司 | ||
ポーリー・ガットー | ジョン・マルティーノ | 伊武雅之 | 樫井笙人 | ||
ファブリツィオ | アンジェロ・インファンティ | 里居正美 | |||
カーロ | フランコ・チッティ | 納谷六朗 | 星野充昭 | ||
ジョニー・フォンテーン | アル・マルティーノ | 山内雅人 | 大川透 | 内田直哉 | |
ドン・フィリップ・タッタリア | ビクター・レンディナ | 宮川洋一 | 島香裕 | 佐々木梅治 | |
ルカ・ブラージ | レニー・モンタナ | 今西正男 | |||
ブルーノ・タッタリア | トニー・ジョルジオ | 寺島幹夫 | 宝亀克寿 | 木村雅史 | |
ドン・トマシーノ | コラード・ガイバ | 河村弘二 | |||
ドン・ザルキ | ルイス・ガス | 北川国彦 | 西村知道 | ||
アメリゴ・ボナセーラ | サルヴァトーレ・コルシット | 富田仲次郎 | 佐々木梅治 | ||
エンツォ | ガブリエル・トッレイ | 小川真司 | 髙階俊嗣 | ||
サンドラ | ジュリー・グレッグ | 沢田敏子 | 佐藤しのぶ | ||
クレメンザ夫人 | アーデル・シェリダン | 斎藤昌子 | |||
ルーシー | ジニー・リネロ | 片桐真衣 | |||
アンソニー | アンソニー・グナリス | 冨永みーな | 三浦智子 | ||
フランキー | ルー・マティーニ・Jr. | 松田辰也 | 亀井芳子 | ||
アポロニア | シモネッタ・ステファネッリ | 信沢三恵子 | |||
ピデリ | 寄山弘 | ||||
看護婦 | キャロル・モーリー | 三枝みち子 | |||
その他 | - | 宮下勝 千葉耕市 上田敏也 作間功 小関一 |
稲葉実 斎藤恵理 |
白熊寛嗣 加納千秋 田代有紀 清和祐子 田中晶子 津川祝子 寺門真希 |
|
日本語版スタッフ | |||||
演出 | 小林守夫 | 伊達康将 | |||
翻訳 | 木原たけし | 佐藤一公 | 佐藤一公 小寺陽子[6] |
||
効果 | 芦田公雄 熊耳勉 |
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調整 | 前田仁信 | オムニバス・ジャパン | |||
音楽 | 重秀彦 | - | - | ||
制作 | 東北新社 |
- 日本テレビ版:初回放送1976年10月13日・20日『水曜ロードショー 世紀の超大作完全放送 ゴッドファーザー』※ノーカット。2017年発売の45周年記念ブルーレイBOXに収録。
- DVD版:「ゴッドファーザーDVDコレクション」(2001年11月22日発売)・コッポラ・リストレーション版Blu-rayに収録。
- Blu-ray版:「ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション」(2008年10月3日発売)に収録。
製作
イタリア系の小説家のマリオ・プーゾは5作目の長編小説の題材として、ニューヨークの犯罪ファミリーを選んだ。出版社からわずかな前払い金を受け取って書き始めた小説『マフィア』をプーゾはパラマウント映画に売り込み、1967年3月、パラマウントは映画化権を買い取ったことを発表した。プーゾはパラマウントの経済的援助を得て執筆を進め、1969年3月10日に446ページからなる小説『ゴッドファーザー』を上梓した。原作は同年9月に売上げ1位を記録し、67週間にわたってベストセラー・リストに留まった[7]。
1969年秋から1970年冬にかけて、パラマウントの重役のピーター・バートと制作部長のロバート・エヴァンスは、製作スタッフを探しにかかるが、有名なプロデューサーたちはマフィアを理想化したようなこのプロジェクトに加わることに消極的であった[8]。結局映画のプロデューサーはその時点で1本のテレビ番組と1本映画の経験しかないアルバート・S・ラディが務めることとなり、1970年3月23日、パラマウントはラディの会社アルフラン・プロダクションを通して映画の製作を行うことを発表した[9]。
1970年8月10日にプーゾは脚本の第1稿を完成[10]。
同年9月27日、パラマウント映画は監督に、イタリア系のフランシス・フォード・コッポラを選んだことを発表[11]。当時のコッポラは批評家からの評価は高かったが、興行的にはまだ成功を体験していない、いわばマイナーな監督であった。コッポラは原作者のプーゾと組んで脚本を執筆していったが、その改稿が進む中で徐々に物語の中心が父ヴィトーから息子マイケルに移っていった。
主人公であるヴィトー役には、プーゾが想定したマーロン・ブランドが起用された。ブランドは当時既に大物俳優であったが、落ち目と見られており、さらにわがままで現場をかき乱す俳優だと思われていたので映画製作者たちは敬遠した。ブランドは同作品の企画を知り、ヴィトー役に自分を売り込むため、自分のイメージ・フィルムをコッポラに送った。原作のヴィトーのブルドッグのような人相に見せるため口に綿を含んで顔を変え、渋みの演技が行えることを強調した。この努力が功を奏し、彼は見事ヴィトー役を獲得することが出来た。この時ブランドが結んだ契約条件は、出演料ゼロ、ロイヤリティーとして興行収入の数%を上限150万ドル付で支払う、ブランドの撮影中に起きた損害は全て自腹で負担させる、というものであった。
1970年の終わり頃からキャスティングは開始された[12]。主要人物の中で最後まで決まらなかったのがマイケル役であった。製作者側はマイケル役にロバート・レッドフォードを起用しようとしたが、コッポラとアルバート・S・ラディは、1969年上演の『Does a Tiger Wear a Necktie?』でトニー賞を受賞したアル・パチーノこそが適役と言って譲らず、粘り強い交渉の末イタリア系(母方の先祖はシチリア島出身)のパチーノの起用にこぎつけた。1971年3月4日、パラマウントはパチーノの配役決定を発表した[13]。
また、当時若手であったコッポラをサポートするために、スタッフにもトップクラスの人材が集められることとなった。その中でも撮影監督であるゴードン・ウィリスと美術を担当したディーン・タヴォウラリスの功績は大きかった。ウィリスの下にはカメラ・オペレーターとしてマイケル・チャップマンがついた。メイクアップ・デザイナーはディック・スミスが担当した。
撮影は1971年3月23日、ニューヨークのラジオシティ・ミュージック・ホール前のシーンから開始され[14]、同年8月7日まで行われた[15]。
当初、コッポラは映画を125分の作品として編集したが、パラマウントは「こんな作品は予告編にしかならない。もっと長くしろ」と要求。コッポラは「普通はもっと短くしろと言われるものなのに長くしろなんて普通じゃない」と反論した。177分のファイナル・カット版は1971年11月に完成し[16]、映画は翌1972年3月に公開された。
コッポラは黒澤明監督作品である『悪い奴ほどよく眠る』(1960年9月15日公開)の、結婚披露宴から始まるという展開に感心して、本作でも採用した。
公開後
1972年3月15日に全米で映画が公開されると爆発的なヒットとなり、『ジョーズ』(1975年)に破られるまでのハリウッドの興行収入記録を打ち立てた。批評家たちからも映画の内容を絶賛され、同年度の第45回アカデミー賞で作品賞を獲得した。続編の『ゴッドファーザー PART II』もアカデミー作品賞を受賞したため、今日に至るまで正編と続編でアカデミー作品賞を獲得した唯一の例としても有名。
マーロン・ブランドはヴィトー役での年齢を重ねていく演技が絶賛され、アカデミー主演男優賞を獲得した(ただし、本作とは別の理由から受賞は拒否)。アル・パチーノやジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァルなど共演した俳優たちも、この作品によって一気にスターダムにのし上がった。
2006年には『ゴッドファーザー』の世界観をモチーフにした同名のビデオゲームが、エレクトロニック・アーツより発売された。
コッポラは本作を製作中にヒット作『フレンチ・コネクション』を鑑賞しており、その出来栄えを高く評価し、「同じマフィア映画でも、『ゴッドファーザー』は暗くて退屈で悲しい映画だ。男が座って会話する場面ばかりだ。『フレンチ・コネクション』のようにヒットすることはないだろう」と語っていたという。その後「本作が成功したのは私の力ではない。多くの優秀なスタッフに恵まれたからだ」と謙虚なコメントをしている。
評価
公開当時には、アメリカ国内ですらあまり知られていなかったイタリア系マフィアの世界を一般に知らしめ、現在に至るまでそのステレオタイプを確立した映画である[17]。マフィアを題材にした作品として抜群の知名度を誇るため、他の映画やテレビドラマ、ゲームなどでパロディにされることも多い。
作中でしばしば繰り返される印象的なセリフ「奴が決して断れない申し出をする」(原文:I'm gonna make him an offer he can't refuse)は特に有名であり、ブランドの特徴的な話し方と共にしばしば物真似の対象となっている。2005年にはアメリカ映画協会選定の名ゼリフランキングの第2位に選出された。また、カクテルのゴッドファーザーはこの映画から名付けられたものである。
『ゴッドファーザー』の第1作と第2作で「マフィアの暴力を間接的に礼賛している」として、映画の人気とは対照的に知識人たちから批判を受けたことをコッポラは告白している[18]。
ランキング
評論家選定の映画ベスト100などのリストで、必ずと言っていいほど上位に名前が挙げられる作品である。
- 「映画史上最高の作品ベストテン」(英国映画協会『Sight & Sound』誌発表)※10年毎に選出
- 1982年:「映画批評家が選ぶベストテン」第17位
- 1992年:「映画批評家が選ぶベストテン」第29位
- 1992年:「映画監督が選ぶベストテン」第6位
- 2002年:「映画批評家が選ぶベストテン」第4位
- 2002年:「映画監督が選ぶベストテン」第2位
- 2012年:「映画批評家が選ぶベストテン」第21位
- 2012年:「映画監督が選ぶベストテン」第7位
- 「AFIアメリカ映画100年シリーズ」
- 1998年:「アメリカ映画ベスト100」第3位
- 2001年:「スリルを感じる映画ベスト100」第11位
- 2005年:「映画音楽ベスト100」第5位
- 2005年:「アメリカ映画の名セリフベスト100」第2位
- 2007年:「アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)」第2位
- 2008年:「10ジャンルのトップ10 ギャング映画部門」 第1位
- 2000年:「20世紀の映画リスト」(米『ヴィレッジ・ヴォイス』紙発表)第11位
- 2008年:「歴代最高の映画ランキング500」(The 500 Greatest Movies of All Time)(英『エンパイア』誌発表)第1位(パートIIは19位、パートIIIは282位)
- 2008年:「史上最高の映画100本」(仏『カイエ・デュ・シネマ』誌発表)第36位
- 2010年:「エッセンシャル100」(トロント国際映画祭発表)第4位
- 2013年:「オールタイムベスト100」(米『エンターテイメント・ウィークリー』誌発表)第2位
以下は日本でのランキング
- 1995年:「オールタイムベストテン・世界映画編」(キネマ旬報発表)第18位
- 1999年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編(キネ旬創刊80周年記念)」(キネ旬発表)第7位
- 2009年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編(キネ旬創刊90周年記念)」(キネ旬発表)第1位
主な受賞歴
賞 | 部門 | 候補者 | 結果 |
---|---|---|---|
アカデミー賞 | 作品賞 | アルバート・S・ラディ | 受賞 |
主演男優賞 | マーロン・ブランド[注 2] | 受賞 | |
助演男優賞 | ジェームズ・カーン | ノミネート | |
ロバート・デュヴァル | ノミネート | ||
アル・パチーノ | ノミネート | ||
監督賞 | フランシス・フォード・コッポラ | ノミネート | |
脚色賞 | マリオ・プーゾ[注 3] フランシス・フォード・コッポラ |
受賞 | |
作曲賞 | ニーノ・ロータ[注 4] | ノミネート | |
編集賞 | ピーター・ツィンナー ウィリアム・H・レイノルズ |
ノミネート | |
録音賞 | クリストファー・ニューマン リチャード・ポートマン バド・グレンツバック |
ノミネート | |
衣裳デザイン賞 | アンナ・ヒル・ジョンストン | ノミネート | |
英国アカデミー賞 | 主演男優賞 | マーロン・ブランド | ノミネート |
助演男優賞 | ロバート・デュヴァル | ノミネート | |
アンソニー・アスキス賞 | ニーノ・ロータ | 受賞 | |
衣裳デザイン賞 | アンナ・ヒル・ジョンストン | ノミネート | |
有望若手男優賞 | アル・パチーノ | ノミネート | |
ゴールデングローブ賞 | |||
作品賞 (ドラマ部門) | 受賞 | ||
監督賞 | フランシス・フォード・コッポラ | 受賞 | |
主演男優賞 (ドラマ部門) | マーロン・ブランド | 受賞 | |
アル・パチーノ | ノミネート | ||
助演男優賞 | ジェームズ・カーン | ノミネート | |
脚本賞 | フランシス・フォード・コッポラ マリオ・プーゾ |
受賞 | |
作曲賞 | ニーノ・ロータ | 受賞 | |
ニューヨーク映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | ロバート・デュヴァル | 受賞 |
エピソード
- 劇中に出てくる「馬の生首(血も含む)」は本物である。ただし、劇中の馬を殺したわけではなく撮影現場の近くにあった、馬肉で製造されるドッグフードの製造工場から、死骸を拝借したものである。
- ラストの洗礼式で洗礼を受けているコニーとカルロの子役はコッポラの娘であるソフィア・コッポラであり、彼女は男子として洗礼を受けることになった。劇中ではマイケルが代父であり、マイケル・フランシス・リッチと名付けられている。
- ロバート・デ・ニーロがソニーの役のオーディションを受けているが、役のイメージには合わず、落選している。しかし、演技を気に入ったコッポラは続編で若きヴィトー役に彼を抜擢した。
- 映画の中で出てくる「ルイズN.Y.ピザパーラー」はユニバーサル・スタジオ・ジャパンで再現され、イタリアン・レストランとして営業している。ただし映画に登場するのはLOUIS RESTAURANT、ユニバーサルスタジオジャパンにあるのはLOUIE'S PIZZA PARLOR、共通するのは「ニューヨークにあるイタリア系の店」という設定のみで、メニューや内装が同じわけではない。
- 映画に出てくる大邸宅はロサンゼルスのビバリーヒルズにあり、1927年に銀行幹部が建てたもの。ジョン・F・ケネディ元大統領とジャクリーン夫人がハネムーンを過ごした場所としても知られていた。2010年代では、1億2500万ドルの価値があるものとみられている[19]。
- ロバート・デュヴァルは当時からかなり頭が禿げてきていて、年齢に真実味を与えるためかつらをつけて役作りをした。
- 当初、パラマウントからコッポラは監督としての力量が疑問視されていたため、降板する可能性が常に付きまとっていた。しかし、マイケルがトイレで銃を探す場面を撮った時から、製作側はコッポラに何も言わなくなったという。コッポラは後に音声解説で「この場面のおかげで私は解雇されずにすんだ」と語っている。
脚注
注釈
- ^ カトリックでは、実の親が洗礼式の代父・代母を務めることは禁じられている[4]。即ちタイトル『ザ・ゴッドファーザー』は、ドン・コルレオーネが幅広く一族郎党のボスであることを暗示している。
- ^ ただし、ハリウッドのネイティヴ・アメリカンへの扱いが不当だという事を理由に、受賞を拒否。第45回アカデミー賞式典にも出席していない。
- ^ ただし、この第45回アカデミー賞の式典にプーゾ本人は出席しておらず、代理人としてプーゾの娘であるドロシー・アン・プーゾが受賞した。
- ^ ただし、授賞式直前に既存の曲を再使用していたことが発覚し、ノミネートは取り消しとなった(再投票の結果、『探偵スルース』がノミネートされた)。
出典
- ^ ゴッドファーザーの上映スケジュール・映画情報|映画の時間
- ^ ゴッドファーザー : 作品情報 - 映画.com
- ^ a b “The Godfather”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年5月7日閲覧。
- ^ カトリック教会法第874条(1)-5。『カトリック新教会法典』有斐閣・1998年3月30日初版第5刷(羅和対訳。初版第1刷は1992年2月20日)、p.480-481。
- ^ “羽佐間道夫の見た高度成長と「スター声優」誕生の関係(#5)著:大野裕之”. 光文社. 2020年11月8日閲覧。
- ^ リライト部分
- ^ ハーラン・リーボ 著、河原一久、鈴木勉 訳『ザ・ゴッドファーザー』ソニーマガジンズ、2001年11月22日、25頁。ISBN 978-4789717748。
- ^ ハーラン・リーボ 『ザ・ゴッドファーザー』前掲書、28頁。
- ^ ハーラン・リーボ 『ザ・ゴッドファーザー』前掲書、31頁。
- ^ ハーラン・リーボ 『ザ・ゴッドファーザー』前掲書、61頁。
- ^ ハーラン・リーボ 『ザ・ゴッドファーザー』前掲書、56頁。
- ^ ハーラン・リーボ 『ザ・ゴッドファーザー』前掲書、84頁。
- ^ ハーラン・リーボ 『ザ・ゴッドファーザー』前掲書、110-114頁。
- ^ ハーラン・リーボ 『ザ・ゴッドファーザー』前掲書、163-165頁。
- ^ Cowie, Peter (1997). The Godfather Book. London, England: Faber and Faber Limited. p. 57. ISBN 0-571-19011-1
- ^ ハーラン・リーボ 『ザ・ゴッドファーザー』前掲書、283頁。
- ^ Roger Ebert、“Great Movies – The Godfather”、1997年3月16日。(参照:2009年6月26日)
- ^ 『ゴッドファーザー PART III』に付随するコッポラ監督へのインタビューより
- ^ “「ゴッドファーザー」に登場のビバリーヒルズ豪邸、破産法適用対象”. ブルームバーグ (2019年11月26日). 2019年11月28日閲覧。
関連項目
- ゴッドファーザー
- 愛のテーマ
- ハリウッド
- カンノーロ
- マリオ・プーゾ
- フランク・シナトラ - ヴィトーの長女の結婚式に招かれ、ヴィトーに映画出演抜擢の為の助力を乞う歌手「ジョニー・フォンテーン」のモデルとされている。ジョニーのエピソードは、フランク・シナトラが『地上より永遠に』への出演を強く希望した実話に基づいている。
- ベンジャミン・シーゲル(バグジー) - モー・グリーンのモデルとされている。
外部リンク
- The Godfather Trilogy
- ゴッドファーザー - allcinema
- ゴッドファーザー - KINENOTE
- The Godfather - オールムービー(英語)
- The Godfather - IMDb(英語)