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2021年9月6日 (月) 09:40時点における版
リブランド後のロゴ | |
会長のアリステア・ドーマー(左) | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
業種 | エンジニアリング |
後継 | 日立レールSTS |
設立 | 2006 |
本社 | 、 |
主要人物 |
アリステア・ドーマー(会長)、 アンドリュー・バー(CEO)、 アルベルト・デ・ベネディクティス(副会長)[1] |
サービス | 信号保安システム、列車制御システムの設計、開発、販売、メンテナンス |
売上高 | 14億3,710万ユーロ(2018)[2] |
営業利益 | 1億1,850万ユーロ (2018)[2] |
利益 | 8,830万ユーロ(2018)[2] |
従業員数 | 4,327 (2018)[2] |
親会社 |
日立製作所 (日立レール・リミテッド(Hitachi Rail, Ltd.) |
ウェブサイト |
sts |
脚注 / 出典 2006年-2019年3月の社名はアンサルドSTS |
日立レールSTS(ひたちレールSTS、Hitachi Rail STS S.p.A.)はイタリアのジェノヴァを拠点とする鉄道信号保安を手がける企業で、日立グループのヨーロッパにおける鉄道部門のひとつ。前身はフィンメッカニカ・グループのアンサルドSTS(英語: Ansaldo Signalling and Transportation Systems)であり、日立の買収完了後に現在の名称となった。
保安装置の開発、製造、新設、更新、保守を一手に手掛け、信号保安、旅客鉄道や物流の統合輸送システム分野ではグローバル規模で事業を展開している。日立の完全買収完了前まではイタリア証券取引所でFTSE Italia Mid Cap Index(FTSE MIB指数のうち中型株)を構成していた。全世界で4,327人の従業員を抱える。
沿革
日立による完全買収以前も、国と世紀を跨いだ数社の合併を繰り返し、2006年にアンサルドSTS社が設立された[3]
社名は1853年にジェノヴァでジョヴァンニ・アンサルドによって創業されたアンサルド(Gio. Ansaldo & C.)に由来する。アンサルドは蒸気機関車の製造のほか、造船、電力、原子力など多角的に事業を展開した[4]。
変遷
19世紀 | 20世紀(戦前) | 20世紀(中盤) | 20世紀(終盤) | 21世紀 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
インターロッキング・スイッチ・アンド・シグナル・カンパニー | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ユニオン・エレクトリック・シグナル・カンパニー 1878- (W.ロビンソン) | US&S 1881- (G.ウェスティングハウス) | US&S 1917- (WHエアブレーキ) | US&S 1966- (アメリカン・スタンダード・カンパニーズ) | US&S 1998- | アンサルドSTS USA 2009- | 日立レールSTS USA 2019- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
スタンダード・レディオ・オ・テレフォン(SRT) (1938) | アンサルド・シグナル・スウェーデン 1990 (アンサルド) | アンサルド・シグナル・スウェーデン | アンサルドSTSスウェーデン | 日立レールSTSスウェーデン 2019- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
CSEE フェルナン・デュモン (1902-1934 CSE) | CSEE 1996 | CSEEトランスポート | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アンサルド・シグナル 1996(持株会社) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アンサルドTSF 2001 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アンサルド(Gio. Ansaldo & C.) (1853 ジョヴァンニ・アンサルド) | アンサルド (イタリア産業復興公社) | アンサルド 1993- (フィンメッカニカ) | アンサルド・ブレーダ・トラスポルティ 2000 | アンサルドSF 2001 | アンサルドSTS 2006 (フィンメッカニカ) | 日立レールSTS 2019 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ブレーダCF(BCF) (1971-) | アンサルド・ブレーダ 2001 (フィンメッカニカ) | 日立レールヨーロッパ | 日立レールLtd. 2019 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
レルヴェティカ (1886- エルネスト・ブレーダ) | E.ブレーダ (1899-) | E.ブレーダ (1962- EFIM) | E.ブレーダ (1993- フィンメッカニカ) | 日立レールイタリア 2015 | 日立レールS.p.A. 2019 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
北米
1881年、ジョージ・ウェスティングハウスが米国ピッツバーグでユニオン・スイッチ・アンド・シグナル(US&S)を創業した。 元は『インターロッキング・スイッチ・アンド・シグナル・カンパニー(Interlocking Switch & Signal Company)』と軌道回路の発明家だったウィリアム・ロビンソンが創業した『ユニオン・エレクトリック・シグナル・カンパニー(Union Erectric Signal Company)』であり、US&Sの親会社はウェスティングハウス・エア・ブレーキ、アメリカン・スタンダード・カンパニーと変遷した。
1998年、US&Sはアンサルドに買収され、2009年に『アンサルドSTS USA』となった[5]。
欧州
欧州ではスウェーデンでATC(自動列車制御装置)を開発していた国内通信事業者であるスタンダード・レディオ・オ・テレフォン社(Standard Radio & Telefon AB)を1990年に[6]、1996年にフランスで同じく鉄道信号を開発していたCSEE社(Compagnie des Signaux et d'Entreprises Electriques、1902年CSEとして創業)をアンサルドグループに吸収している[7]。
1993年にアンサルド社はフィンメッカニカグループとなり、2000年にはソチエタ・イタリアーナ・エルネスト・ブレーダ・ペル・コストゥルツィオーニ・メッカニケの鉄道車両部門(Società Italiana Ernesto Breda per Costruzioni Ferroviarie、1996年にフィンメッカニカが吸収した)ブレーダ・コストルツィオーニ・フェッロッヴィアリエと統合しアンサルド・トラスポルティ(Ansaldo Trasporti)となった。
2001年のフィンメッカニカ民営化でアンサルドは
- アンサルド・セグナメント・フェッロヴィアリオ(Ansaldo Segnamento Ferroviario S.p.A、信号保安部門。以下アンサルドSF)
- アンサルド・ブレーダ(AnsaldoBreda S.p.A、鉄道車両部門。のちに日立レールイタリアを経て日立レールS.p.A.となる。)
- アンサルド・トラスポルティ・システミ・フェッロヴィアリ(Ansaldo Trasporti Sistemi Ferroviari S.p.A、システム、土木インフラ部門。以下アンサルドTSF)
の3つに分割された。
その後、オランダのアムステルダムを拠点とする持ち株会社アンサルド・シグナル(Ansaldo Signal N.V.)社が自国系のアンサルドSFと米国系のUS&S、フランス系CSEEの親会社となった。
2006年、アンサルド・シグナルとアンサルドTSF両社の持ち株会社アンサルドSTSが誕生した[8][3]。TSF社および米仏北欧各社はシグナル社の子会社としてこの時点でも共存していた[8]。ミラノのイタリア証券取引所でIPO(株式公開)がなされるとフィンメッカニカは発行済み株式の40%を保有[8]。アンサルド系2社は徐々にフィンメッカニカの支配が強まっていった[9][10]。
日立グループ化
2015年2月24日、日本の日立製作所がフィンメッカニカの保有するアンサルドSTS株40%すべてを買い取ることを発表[11]、11月2日には正式にフィンメッカニカ保有の全株式買い取りを完了[12]。また、2015年3月からTOB(株式公開買付け)により総額10.5億ユーロを投じて買い取った一般投資家保有分と合わせ合計50.7%とSTS社の過半数を確保した[13]。元アルストムで日立レールヨーロッパ首脳のアリステア・ドーマー(Alistair Dormer)はイタリアの実業家ステファノ・シラグーサにCEO就任を打診、ステファノがアンサルドSTSのCEOとなった。
日立の長期的な目標は車両と信号部門の製品で欧州におけるシェアを高めることだった[14]。
2016年3月31日、ステファノはCEO職を辞任し、後任は日立レール・ヨーロッパのアンドリュー・バー(Andrew Barr)が就いた[15][16]
2018年10月、日立は米国のヘッジファンドエリオット・マネジメント(Elliot Management)からSTS社の株式32%買い取りで合意した[17]
2019年1月22日、日立はアンサルドSTSの株式99%超を確保し[18][19]、 同月末にイタリア証券取引所の上場を廃止するとアナウンスした[20]。
そして4月1日に社名からアンサルドの名は消滅、日立レールSTSとなった[3][21]。
事業
STS社の事業は貨物輸送向けと旅客輸送(高速鉄道とその他)の2つに大別される。
アンサルド時代から日立時代まで鉄道車両、自動制御、システム監視、その他システム一式を請け負ってきた。コペンハーゲンを皮切りとする都市鉄道部門、LGV東線やイギリスのHS1などの高速鉄道での信号・保安部門は一貫して同社の主力事業である[22]。また、パリ、ロサンゼルス、ローマ、ミラノ、ナポリ、香港、瀋陽、デリー、テッサロニキなどでは信号、列車制御、保守管理も受注している[22]。
高速鉄道
アンサルドは1981年にフランスで開業したヨーロッパ初の高速鉄道(TGV)の高速新線(LGV)上の運転保安装置(TVM) を皮切りに、その後もイタリアやスペイン(マドリード-バルセロナ高速線など[23])など多くの路線に納入している。
2013年時点では日本を除く世界の高速鉄道路線にアンサルド/日立STSの信号システム製品は半数以上で採用されている[24]。
LGV南東線に続きLGV東ヨーロッパ線[25][注釈 1]、2005年にはERTMS(Level2)規格での自社製品がローマ-ナポリ高速線、LGVブルターニュ-ペイ・ド・ラ・ロワール線[26]、LGV南ヨーロッパ大西洋線[27]、2018年にはミラノ-ブレシア高速線(イタリア)で運行管理システム、保安システムが採用された[28]。
TGV系統を採用した韓国高速鉄道のうち、湖南高速線(2015年開業)および水西平沢高速線(2016年開業)でも納入している[29]。
2019年12月、LGV南東線を含むパリ - リヨン間の信号システム更新事業を約1億2,930万ユーロで受注[30][31]。
一般旅客と貨物
欧州では、イタリアの一般鉄道路線で多く用いられている自動車両制御システム『SCMT(Sistema Controllo Marcia Treno)』やERTMS(level 1、2)に準拠した製品を多く開発、販売し[32]、複数の国に跨る異なる信号・保安システムのインターオペラビリティー(相互運用性)を確保している。
米国では、US&S時代に遡って130年以上鉄道貨物輸送に深くかかわってきた。アンサルド/日立は北米の一級鉄道(Class I railroad)向けの製品とシステムを納入している[33]。
豪州でも鉄道貨物関連に進出して20年以上となる。近年では自動運行管理技術をリオ・ティントの長距離自動輸送プロジェクト『Autohaul』に提供している[34]。
マス・ラピッド・トランジット
STS社の制御システムは伝統的な信号機から新世代の無人運転システムまで多様に手掛けている。多くはアンサルド・ブレーダ/日立レールS.p.A.のコンセプト車両『ドライバーレス・メトロ』(DM)と一括式(ターンキー)だけではなく、日立系以外の他の車両メーカーとのコンソーシアムで展開されている[35][36]。
無線式移動閉塞によるドライバーレス運転を実現するシステム。STS社のシステム水準は他社同様『GoA 4』(完全自動運転、UTO: Unattended Train Operation)を提供している。
ドライバーレス用ATCは既存のATC、ATO、ATP機能を拡張するもので、アンサルドのシステムは厳格な欧州電気標準化委員会(CENELEC)の規格を満たした完全な無人運行システムソリューションを2002年に初めてコペンハーゲンに納入した。その後もミラノ、ローマ、リヤド、ブレシア、テッサロニキ、台北などで受注を獲得している。
- 既存メトロと路面電車
都心部の併用軌道におけるライトレールの目視運転から、従来のメトロ路線の軌道回路技術まで有人運転の路線を北米や欧州を中心にサポートしている。また、ブレーダ時代からのトラム車両のコンセプトモデル『シリオ』の無架線モードシステムなどもカバーしている。地表集電方式の『Stream』もこれに含まれる。
主な受注案件
事業者 | 路線 | 開業年 | 提供システム | 車両 | 出典 |
---|---|---|---|---|---|
コペンハーゲン地下鉄 | M1線、M2線 | 2002 | 自社CTBC | 自社DM | [22] |
ナポリ地下鉄 | 6号線 | 2007 | 電力、通信、信号 | アンサルド他 | [38] |
瀋陽地下鉄 | 1号線 | 2010 | 自社CTBC | 長春軌道客車 | [39] |
プリンセス・ヌーラ・ビント・アブドゥッラハマーン女子大学私設 | 2012 | 自社CBTC | 自社DM | [40] | |
パリ・メトロ | 3号線 | 2012 | 自社CTBCに更新 | - | [41] |
杭州地下鉄 | 1号線 | 2013 | 自社CBTC | 中国南車 | [42] |
ブレシア地下鉄 | 2013 | 自社CBTC | 自社DM | [43] | |
ストックホルム地下鉄 | ローダ線 | 自社CBTC | ボンバルディア | [36](遅延のため2017年にキャンセル[44]) | |
ミラノ地下鉄 | M4線、M5線 | 2014 | 自社CBTC | 自社DM | [45] |
大連地下鉄 | 1号線、2号線 | 2014- | 自社CBTC | 大連機車車輛 | [35] |
アンカラ地下鉄 | 1-4号線[注釈 2] | 2014- | 自社CBTC | ボンバルディア、中国中車 | [46] |
ローマ地下鉄 | C線 | 2015 | 自社CTBC | 自社DM | [47] |
パナマメトロ | 3号線 | 建設中 | 自社信号 | 日立モノレール | [48] |
コルカタ・メトロ | 2号線 | 2015 | 自社CBTC | BEML | [49] |
リヤド・メトロ | 3号線 | 建設中 | 自社CBTC | ボンバルディア | [50][40] |
オーフスLRT | 2017 | ライトレール用 | シュタッドラー・レール | [51][36] | |
北京地下鉄 | 西郊線 | 2017 | ライトレール用 | Sirio(中国北車大連機車車輛) | [52] |
珠海有軌電車 | 1号線 | 2017 | キャパシタ | Sirio(中国北車大連機車車輛) | [53] |
ソウル軽電鉄 | 牛耳新設線 | 2017 | ATP、ATO | 現代ロテム | [54] |
ノイダ・メトロ | アクアライン | 2019 | 自社CBTC | 中国中車 | [55] |
コペンハーゲン地下鉄 | M3線 | 2019[56] | 自社CBTC | 自社DM | [57] |
M4線 | 2020[58] | ||||
台北捷運 | 環状線 | 2020[59] | 自社CBTC | 自社DM | [60] |
グラスゴー地下鉄 | 環状線 | 更新 | 自社CTBCに更新 | シュタッドラー・レール | [61] |
リマ地下鉄 | 2号線、4号線 | 建設中 | 自社CTBC | 自社DM | [62] |
テッサロニキ・メトロ | 建設中 | 自社CBTC | 自社DM | [63] | |
ボルチモア地下鉄 | 更新 | 自社CBTC | 自社 | [64] | |
ナビムンバイ・メトロ | 1号線 | 建設中 | 自社CBTC | 中国中車株洲電力機車 | [65] |
ホノルル・レール・トランジット | 建設中 | 自社CBTC | 自社DM | [66] | |
ロサンゼルス郡都市圏交通局 | パープルライン | 2023- | 自社ATP、ATO、ATS更新 | - | [67] |
新北捷運 | 三鶯線 | 建設中 | 自社CBTC | 自社DM | [68] |
パリ・メトロ | 6号線 | 2030 | 自社CBTCに更新 | 既存路線 | [69] |
メトロリンクス | ヒューロンタリオ・ライトレール | 2024 | 自社CBTC | - | [70] |
BART | 2029 | 自社CBTCに更新 | 既存路線 | [71] |
監視システム
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『CAD』(コンピュータ支援ディスパッチ、Computer-aided dispatch)は[72]、1966年にユニオン・スイッチ・アンド・シグナルがペンシルベニア州のユニオン・レールロード(Union Railroad Company)向けに開発された[73]。
『OTP』(Optimizing Traffic Planner)は[74]、現在アンサルド/日立STSが採用している上記CADの後継モデル。リアルタイムシステムによって複雑な物流系統を解決し線路容量の最大化と平均速度を向上する。
コンポーネント
この節の加筆が望まれています。 |
MicroLok II(連動装置)、軌道回路、転轍機、従来式およびLED式の鉄道信号機、ETCS準拠のユーロバリスを含むバリス式列車検知形閉塞装置、セイフティー・リレー(バイタルリレーとも)、滑走検知装置、踏切保安装置などがある。
脚注
注釈
- ^ 乗り入れ先のドイツ鉄道在来線マンハイム-ザールブリュッケン線を含む。
- ^ 1号線は更新、他は新規。[46]
出典
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関連項目
外部リンク
- 現公式
- 公式ウェブサイト
- Hitachi Rail STS (@HitachiRailSTS) - X(旧Twitter)
- Hitachi Rail STS (HitachiRailSTS) - Facebook
- Hitachi Rail STS - YouTubeチャンネル
- 旧サイト
- Ansaldo Signal CSEE Transport - ウェイバックマシン(2006年12月12日アーカイブ分)
- Union Switch & Signal - ウェイバックマシン(2008年9月26日アーカイブ分)