「アグラウロス」の版間の差分
27行目: | 27行目: | ||
*[[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年) |
*[[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年) |
||
*オウィディウス『[[変身物語]](上)』[[中村善也]]訳、岩波文庫(1981年) |
*オウィディウス『[[変身物語]](上)』[[中村善也]]訳、岩波文庫(1981年) |
||
*[[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年) |
*[[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年) |
||
*[[ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年) |
*[[ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年) |
||
*高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』[[岩波書店]](1960年) |
*高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』[[岩波書店]](1960年) |
2021年11月15日 (月) 10:44時点における版
アグラウロス (古希: Ἄγλαυρος, Aglauros / 古希: Ἄγραυρος, Agrauros) は、ギリシア神話の女性である。主に、
の3名が知られている。以下に説明する。
アクタイオスの娘
このアグラウロスは、アクタイオスの娘で、アテーナイの初代の王ケクロプスの妻である。ケクロプスとの間にエリュシクトーン、アグラウロス(下記)、ヘルセー、パンドロソスを生んだ[1][2]。
ケクロプスの娘
このアグラウロスは、アテーナイ王ケクロプスの娘で、エリュシクトーン、ヘルセー、パンドロソスと兄弟である。アグラウロスはアレースとの間にアルキッペーを[1]、また一説にヘルメースとの間にケーリュクスを生んだ[3]。
神話によればアグラウロスとその姉妹たちはアテーナーから赤子のエリクトニオスの入った箱を預かった。しかしアグラウロスとヘルセーは中を見ることを禁じられていたにもかかわらず、箱を開いて見てしまい、エリクトニオスを守っていた蛇に殺されたとも、アテーナーの怒りに触れて気が狂い、アクロポリスから身を投げたともいわれる[4][5]。またあるいは3人で中を見たがそのことをカラスがアテーナーに知らせ、3人は気を狂わされて海に身を投げたともいわれる[6]。
オウィディウスによれば、ヘルセーとパンドロソスはアテーナーの言いつけ通りに預かっていたが、アグラウロスは姉妹たちを笑いながら中身を見、そのことをカラスがアテーナーに知らせた。後にヘルメースがヘルセーに恋をして訪ねて来たとき、アグラウロスは恋の仲立ちをすると言って黄金をせしめ、ヘルメースを追い返した。それを知ったアテーナーは「嫉妬」に命じてアグラウロスの心にヘルセーに対する嫉妬を起させた。このためアグラウロスは悩み苦しみ、ヘルメースが再びやってきたときにヘルセーの部屋の扉の前に座り込んで神を入らせまいとした。怒ったヘルメースはアグラウロスを石像に変えたが、その石像は嫉妬心のために黒色であったという[7]。
なお、アテーナイのアクロポリスにはアグラウロスの聖苑があって、ペルシア戦争のさい、ペルシア軍はこの付近からアクロポリスに登り、神託を誤解してテミストクレースに従わずにアクロポリスに立てこもっていたアテーナイ人を皆殺しにした[8][5]。
エレクテウスの娘
このアグラウロスは、アテーナイ王エレクテウスの娘で、エレクテウスは自分の娘プロクリスと近親相姦の結果アグラウロスをもうけたという[9]。